サンサンと降り注ぐ太陽に、ビーチやマリンレジャーが沖縄のA面とするなら、
夏の賑わいを削ぎ落とした市井の「うちなー時間」を堪能できる沖縄はいわばB面。
そのなかで「やちむん」と「沖縄タコス」は、
ともに沖縄独特の文化として定着しているが、
ここ数年で観光客や現地の若い世代を中心にさらに注目を集めている。
沖縄の伝統的な陶器、やちむんは、沖縄の人だけではなく、
観光客や全国からの移住者である新鋭作家たちによって再評価を受けている。
一方、沖縄タコスは、メキシコで生まれたタコスがアメリカナイズされ、
米軍基地を経由し、沖縄で独自に進化してきた。
メキシコのタコスでもなく、アメリカのタコスでもない。
沖縄タコスとはどんなものなのだろうか。
どちらも沖縄で研磨され独特の進化を遂げたもの。
その先で、しっかりと沖縄の文化として定着してきた。
テイクアウトした沖縄タコスをやちむんに盛りつけて味わえば
コロナ禍の沖縄のB面も、新しい表情を覗かせてくれるに違いない。

やちむんと聞いてまず思い浮かぶのは、陶芸家の工房が集まるやちむんの里・読谷村。特にこの登り窯は圧倒的な存在感だ。
やちむんを求めて訪れたのは、浦添市にある〈港川外人住宅街〉だ。
別名〈港川ステイツサイドタウン〉の名で、
カフェや雑貨屋、飲食店が軒を連ねる人気のスポット。
近年、徐々に拡大しながら沖縄のエッセンスを発信している。
港川外人住宅街の名の通り、もとは米軍関係者の住宅地として使われていた一角で
ポーチこそないが、平屋のコンクリートづくりの家屋が60軒あまり建ち並び、
アメリカの田舎町にいるような感覚にとらわれる。

港川外人住宅街の店舗は元米兵の住宅とあって、大きな窓に高い天井と那覇市内にはないレトロな雰囲気が漂う。
この港川外人住宅街のなかで、個性あふれるやちむんを
多く取り扱っているお店が〈PORTRIVER MARKET〉だ。
東京から移住してきた麦島さん夫婦が2013年にオープン。
沖縄の衣食住に関わるものをセレクトしたライフスタイルショップだ。
やちむんだけでも小鉢から茶碗、豆皿、植木鉢など、
さまざまな作家の作品を取り揃えている。
「やちむんには、沖縄の土を使わなければならないとか、
伝統的な製法でなければならないとか細かな定義がありません。
沖縄の『やきもの』だから、訛って『やちむん』なんです」

PORTRIVER MARKETはやちむんを中心に沖縄の雑貨や調味料などを揃える。沖縄色を生活に取り入れられる、麦島さんのセレクト眼が光る。
こう話すのは、店主の麦島美樹さん。
沖縄にやってくる前は東京で〈BEAMS〉で働き、
そこで出会った今の旦那さんと沖縄にやってきた。
BEAMSで培った審美眼もさることながら、別注づくりもお手のもの。
沖縄の生活で知り合ったやちむん作家とのコネクションや、
たまたま飲食店で見かけたものなど
「ビビっと」きたものはすぐにピックアップし、作家さんと連絡を取って
PORTRIVER MARKETオリジナルの商品として生みだしていく。
「やちむんは、比較的ポテっとした表情で、
沖縄の自然になぞらえたアースカラーのものが多いですね。
なので、日常生活にもすごくマッチするんです。
和洋中、なにを盛りつけても相性はいいと思います。
クラシックなスタイルだけでなく、アレンジの効いた作品も多いので、
作家さん単位で探していくと、きっとお好みのものが見つかると思いますよ!」
そのほかにも調味料や日用品など、PORTRIVER MARKETには
麦島さん夫婦のお眼鏡にかなったアイテムが
ギュギュッと詰め込まれている。
「『港川』をそのまま英語にしてPORTRIVER MARKET。
ここに来れば沖縄のいいものがすべて揃っている
『港川商店』みたいなイメージですね。
この一角は、飲食店からコーヒーショップ、
雑貨屋となんでも揃っているので一日中遊べますよ。
個人でやっている個性的なお店が多いですね」

港川外人住宅街の店舗はすべて平屋。ミリタリーハウジングとして栄えたブロックで、現在は各通りにアメリカの州名がつけられている。
さてやちむんに沖縄タコスを合わせる、そんな使い方は沖縄では一般的なのだろうか。
「やちむんにも、もちろんマッチすると思います。
やちむんが『沖縄の焼きもの』としかいえないように、
沖縄タコスにもお店ごとに個性があって、
どこかゆるい感じが似ていますね」
どちらもはっきりとした定義がないのならば、捉え方は幅広い。
その組み合わせは無限大かもしれない。