小中高生が斬新な発想で 雑煮のレシピを開発! オリジナル雑煮コンテスト 「第2回Z-1グランプリ」開催

応募総数1107作品。郷土食の代表、お雑煮を若い世代に親しんでほしいと開催したコンテスト

お雑煮は土地ごとに特徴を持つ郷土色豊かな食べ物。
そのお雑煮を小中高生が自由な発想でレシピを考案した
オリジナル雑煮コンテスト「第2回Z-1グランプリ」が開催されています。
2024年4月27日(土)に5つのレシピを調理、実食した三次審査が行われ、
6月1日(土)に行われるグランプリ大会(最終審査)に進む
ふたつの雑煮が選ばれました。

「Z-1グランプリ」ロゴマーク

「Z-1グランプリ」は雑煮と主催者の全国調理師養成施設協会の頭文字から名付けられています。

「第2回Z-1グランプリ」を主催しているのは、全国調理師養成施設協会。
食文化継承の役割を担う調理師を養成する調理師学校の教育振興を目的とした団体です。
若い世代にも、日本の食文化を代表する郷土食、
雑煮に親しんでもらうきっかけ作りにしたいと始まったイベントです。

参加対象は全国の小・中学生、高校生。
第2回となった今回は、全国から昨年開催された第1回を上回る1,107作品もの応募がありました。

テーマは「いつでも食べたい、地元食材で私のオリジナル雑煮!」。
雑煮を、餅を入れた汁物と定義した上で、応募には3つの条件が加えられました。

1. 餅米から加工された餅を入れること(餅の形や調理法は問わない)

2. 地元食材を1種類以上入れること

3. 1杯分の材料費が500円以内であること

4. SDGs(地産地消、食品ロス)を意識すること

全国から応募があったレシピは、地域にある調理師学校での1次審査、Z-1事務局での2次審査を経て5作品にまで絞られました。
実食審査となる3次審査が行われたのは4月27日(土)。
会場は東京都小金井市にある辻調理師専門学校 東京です。

地元の食材を取り入れた自由な発想のある5つの雑煮

今回3次審査に進んだ5作品はいずれも高校生が考案しました。

広島県の高校2年生による「広島満載担々雑煮」

広島県の高校2年生による「広島満載担々雑煮」

ひとつ目の「広島満載担々雑煮」は広島県在住高校2年生が考案。
広島では汁なし坦々麺など辛い麺類が人気。
この雑煮にも担々麺をイメージしたゴマと豆乳入りのスープに、
地元食材の牡蠣、レモンが加えられています。途中でラー油を入れて味変も可能です。

鹿児島県の高校2年生による「かごんま特製雑煮」

鹿児島県の高校2年生による「かごんま特製雑煮」

ふたつ目の作品は鹿児島県在住の高校2年生が考えた「かごんま特製雑煮」。
「かごんま」とは、鹿児島県の方言で「かごしま」の意味。
鹿児島県の雑煮は海老が入っているのが特徴です。
その地元らしい味わいの雑煮に地鶏の黒さつま鶏など、鹿児島県の食材を加えています。

岐阜県の高校2年生による「信長雑煮」

岐阜県の高校2年生による「信長雑煮」

3つ目は岐阜県に住む高校2年生の作品「信長雑煮」。
「岐阜県にあるお城の城主を務めた織田信長が好物だったとされる
干し柿、酒をメインとした雑煮です」
というコメントの通り、お雑煮に干し柿が入っているという斬新さ。
餅は黒豆入り、汁には酒粕を使用。
金箔をトッピングして、城主・織田信長のイメージをお椀の中で膨らませています。

兵庫県の高校2年生による「多幸と明石特産品が詰まった雑煮」

兵庫県の高校2年生による「多幸と明石特産品が詰まった雑煮」

4つ目の「多幸と明石特産品が詰まった雑煮」はタコが有名な
兵庫県に住む高校2年生の作品です。
レシピを考案した高校生はネーミングも工夫。
「タコとたくさんの幸がつまっているという意味をかけて“多幸”にしました」とのこと。
自宅で明石焼きを作ると余ることがあるので雑煮に入れたというSDGsを意識した作品です。
澄まし汁にゆずの皮が添えられて上品な味わいです。

福岡県の高校1年生による「洋風明太子ZONI」

福岡県の高校1年生による「洋風明太子ZONI」

5つ目の作品は「洋風明太子ZONI」。明太子が名物の福岡県に住む高校1年生の作品です。
「栄養面と食品ロスを考え、野菜の芯や皮も使ったお雑煮にしてみました」と
こちらもSDGsを意識。
明太子のトッピングが福岡らしく、焼いた赤い丸餅、
大根やにんじんなど野菜もたくさん。
豆乳も使用したヘルシーなお雑煮です。

徳島県産の「たかきび」使用の 代用肉による餃子とハンバーグ

世界農業遺産認定の「にし阿波の傾斜地農耕システム」でつくられた「たかきび」

健康志向の高まりや、畜肉生産による温室効果ガス削減を推進するために、
近年増えつつあるプラントベースの代用肉。
一般的に外国産の大豆を原料とした代用肉が多いなか、
国産のスーパーフードに注目した企業があります。
それが徳島県で55年続く外食企業の〈ふじや〉。
同社は徳島で古くからつくられてきた「たかきび」という雑穀で、
次世代のプラントベースフードを開発しました。

徳島で古くから作られてきた「たかきび」

主原料となるたかきびは、世界五代穀物の一つ(諸説あり)とも言われており、
ダイエット食や健康食としても知られています。
「ミートミレット」という別名も持ち、ひき肉に似た弾力ある食感が特徴です。

「にし阿波の傾斜地農耕システム」でつくられたたかきび

〈ふじや〉では人口約7700人、急斜面が多い山間地域である徳島県美馬郡つるぎ町にて、
「にし阿波の傾斜地農耕システム」でつくられた(一部海外産も使用)たかきびを使用しています。

「にし阿波の傾斜地農耕システム」

にし阿波の傾斜地農耕システムとは、斜面で一般的な段々畑をつくるのではなく、
独特の農具と知恵を使い、傾斜地のまま農耕を行う手法で、
400年以上にわたり継承されてきた文化です。
このシステムは持続可能であり、食と農の危機的状況や生態系の破壊など、
世界が直面する問題解決にもつながると評価され、
国連食糧農業機関(FAO)が認定する制度「世界農業遺産」
に中国・四国地方で初めて認定されました。

能登半島地震で被災した 能登町の〈松波酒造〉 たくさんの人と手を取り合って 酒づくりを進め復興へ

蔵から救い出した日本酒や酒米が被災した酒蔵の進む力に

2024年1月1日16時10分に発生した能登半島地震。
被害が大きかった奥能登の輪島市、珠洲市、能登町には11の酒蔵があります。
そのひとつ、能登町の〈松波酒造〉は地震発生直後に家屋や蔵が倒壊。
地元での酒づくり再開の目処が立たないなか、
無事だったお酒や取り出せた酒米で仕込んだ日本酒を少しずつ販売しています。

冬は日本酒づくりが忙しい季節。
松波酒造の若女将、金七(きんしち)聖子さんは
今年も元日だけがゆっくりできる予定でした。
大きな揺れに襲われたのは、初詣を午前中に済ませ、
3階の自室でのんびり過ごしていた午後のこと。

能登は2020年12月以降群発地震が発生していて、
最初は「またか」と思ったといいます。
しかし十数秒後、これはいつもとは違うと察して
日頃から何かのときの命綱だと感じていたスマートフォンと
パソコン、電源ケーブルだけを抱えて階下へ。

100年以上経っている建物に増改築を繰り返してきた店舗兼住まいは、
そのときすでにあちこちに被害が出ていました。

松波酒造の被害の様子。

松波酒造の被害の様子。

ケガをして動けなくなっていた妹さんや
98歳の祖母を含めて自宅にいた家族7人は外へ。
金七さんと社長である父・政彦さんは、それでも蔵の様子を見に行きました。
黒い瓦ぶきの蔵は「巨人が倒れていたようだった」と
金七さんはその様子を振り返ります。

蔵には代表銘柄〈大江山 おおえやま〉のもろみや搾った新酒と瓶詰めされた半製品、
およそ3トンの酒米、そして長期熟成酒〈双心〉が保存されていました。
なかでも金七さんが気掛かりだったのは〈双心〉です。
2005年、2006年、2015年に仕込んで熟成された日本酒〈双心〉を
ラグジュアリーな酒として販売するプロジェクトが進行中で
春先には瓶詰めをする予定だったからです。

ラグジュアリーな日本酒〈双心〉。

ラグジュアリーな日本酒〈双心〉。

「絶対生きている酒はあるはず。酒は出す」という強い気持ちとともに
家族と一緒に避難所指定の松波中学校に辿り着きました。

数日後、金七さんは財布も身分証明書となる運転免許もない状況で
金沢のホテルへ二次避難。
明治元年から続いてきた酒蔵はどうなるのか
事業に欠かせない実印や重要書類などを取り出せないものかと
方々に相談するうちに
災害レスキューと呼ばれるNGOのひとつ、
〈災害NGO結〉が協力してくれることになりました。

〈益子舘里山リゾートホテル〉が ロビーをリニューアル。 森をイメージしたカフェがオープン

益子の自然をイメージした癒やしの空間に

「陶芸のまち」として知られる栃木県益子町。

この里山に佇む一軒宿〈益子舘里山リゾートホテル〉(以下、益子舘)が
ロビーをリニューアルオープンしました。

新たに設けられたのは、〈森のカフェ 〜ましろ〜〉と
名付けられたカフェスペース。

ゲストに、“森の中でくつろいでいるような非日常を
味わってもらいたい”という想いから生まれたこのカフェは、
樹々を模したオブジェを多用し、まるで森の中にいるような
空間になっています。

〈森のカフェ 〜ましろ〜〉

日中は太陽の光に包まれ、夜は和紙ランプの光の演出に包まれます。

夜は和紙ランプの光の演出に包まれます。

日本三大銘菓〈山川〉が 10年越しのリニューアル! 島根県松江の老舗和菓子店 〈風流堂〉の挑戦

伝統を守りながら進化した新サイズが登場

島根県松江市にある和菓子店〈風流堂〉。
1890(明治23)年の創業から、実に130年以上続く老舗です。

この店を代表する銘菓〈山川〉に、特小サイズとなる
〈山川古今(やまかわここん)〉が新登場しました。

紅白の縁起の良さが際立つパッケージ。

紅白の縁起の良さが際立つ山川のパッケージ。

〈山川〉は同店の2代目が大正時代に復刻させた、
日本三大銘菓のひとつにも数えられる干菓子。

発祥は、江戸時代後期に大名茶人・松平不昧(ふまい)が
京都の紅葉の名所である高尾の美しさを詠んだ歌と伝えられています。

赤を紅葉、白を川(水)に見立てて、移ろう季節を楽しんでいたという
この干菓子は、今なお茶席を中心に愛され続けています。

しっとりとした口当たりと後を引かない甘さが魅力。

山川はしっとりとした口当たりと後を引かない甘さが魅力。

一方で、時代とともに茶席で供されるお菓子の大きさが
変化しているという課題にも直面していました。

これまで販売していた大きさは、はがきサイズほどだったことから
「ひと口サイズにカットしてほしい」などの声を受けていたと言います。

従来商品のサイズ。

山川従来商品のサイズ。

土地に根ざした持続可能な農業を。 島原半島で種を守り継ぐ 〈竹田かたつむり農園〉

ミネラル豊富で、肥沃な土地に根ざす伝統野菜

その土地になじんで育ってきた野菜の種を採りながら、
長い歳月をかけて、守り継がれてきた伝統野菜。

種を蒔き、収穫し、種を採って……と繰り返しながら、
人々が種をつないでいくことで、
風土や気候を記憶し、ひとつひとつ個性ある色や形、
異なる味わいや風味を持った、エネルギーに満ちている。

長崎県雲仙市・国見町で〈竹田かたつむり農園〉を営む、
種採り農家の竹田竜太さんは、雲仙普賢岳のふもと、
島原半島の温暖な気候と、火山灰でできた黒ボク土という
肥沃な土地で育った伝統野菜、そして種を守り継いでいる。

〈竹田かたつむり農園〉竹田竜太さん・真理さん夫婦。畑のある有明町は、豊かな土壌を裏づけるように、農業生産額は県内トップクラスを誇る。

〈竹田かたつむり農園〉竹田竜太さん・真理さん夫婦。畑のある有明町は、豊かな土壌を裏づけるように、農業生産額は県内トップクラスを誇る。

竹田かたつむり農園の畑を訪れた3月下旬は、「端境期(はざかいき)」と呼ばれる、新しい芽吹きや野菜の成長を待つ時季。畑には竹田さんが育てる「雲仙こぶ高菜」が花を咲かせていた。

竹田かたつむり農園の畑を訪れた3月下旬は、「端境期(はざかいき)」と呼ばれる、新しい芽吹きや野菜の成長を待つ時季。畑には竹田さんが育てる「雲仙こぶ高菜」が花を咲かせていた。

農家になる前は、特別支援学校の教員として、10年間働いていた竹田さん。
学校では露地野菜を育てる活動に携わり、そのうちの2年は、
青年海外協力隊の野菜隊員、サモアの高校の農業教師として、
現地で野菜栽培の指導を行うなかで、
「持続可能な農業こそが主流となるべきだ」と考えるようになった。

実家のある雲仙市国見町では、父親がイチゴやメロンなどの
ハウス栽培をしており、竹田さんもその跡を継ぐかたちで一度は就農。

転機となったのは、新婚旅行中に雲仙の種採り農家・岩﨑政利さんの
「黒田五寸人参の種を採り続けて30年」という記事を、
たまたま見つけたことだった。

「こんなにすばらしい取り組みをしている方が地元にいたなんて」と、
感銘を受け、帰省してすぐに岩﨑さんの勉強会に参加。
それから2年が経過し、2016年に種採り農家として再スタートした。

竹田かたつむり農園では「在来種・固定種」の野菜を中心に年間約60品目以上を栽培している

竹田かたつむり農園では、農薬や化学肥料を利用せず、
種が採れる「在来種・固定種」の野菜を中心に、西洋野菜、
黒米や種じゃがいもなど、年間約60品目以上を栽培している。
そのうちの9割で種採りを行っており、
雲仙こぶ高菜、黒田五寸人参、九条ネギ、
イギリスの在来種・アーリースプリング パープルブロッコリーなど、
初めて見聞きするような伝統野菜も多く扱っている。

採れた種は乾燥剤とともに瓶やプラスチック容器に保存し、冷蔵庫の中で5℃以下に保つ。そうすることで発芽率を保てるそうだ。

採れた種は乾燥剤とともに瓶やプラスチック容器に保存し、冷蔵庫の中で5℃以下に保つ。そうすることで発芽率を保てるそうだ。

竹田かたつむり農園で栽培されている、長崎県大村市が発祥の「黒田五寸人参」。

竹田かたつむり農園で栽培されている、長崎県大村市が発祥の「黒田五寸人参」。

「種を採るには人参の場合、100本ほどの母本を選定します。
色や形を見るために、その人参を土から一度引き抜き、植え替えて、
花が完熟するまで待ち、そこから種を採ります」

黒田五寸人参の種には細かな毛がびっしりと生えているが、
これは種を守るとともに、発芽時に水分を吸い寄せる役割も担っている。

竹田さんがひとつひとつ手作業で毛を取り除いた「黒田五寸人参」の種。毛があると播種機を使って、均一に蒔くうまく蒔くことができないため、1粒ずつ取り除く作業を行う。

竹田さんがひとつひとつ手作業で毛を取り除いた「黒田五寸人参」の種。毛があると播種機を使って、均一に蒔くうまく蒔くことができないため、1粒ずつ取り除く作業を行う。

竹田かたつむり農園で育てた野菜は、
オンラインショップでの販売を行っている。

「こうして自家採種をして栽培する伝統野菜は、
同じ品種でも育ち方や成長スピードが異なります。

だからどうしても安定した収穫、流通を行うのは難しいのですが、
農園の名前にある『かたつむり』のように、
ゆっくりでも続けることが野菜を、この種を、
未来につなぐことにつながると信じている。
かたつむりの渦の形に、持続可能な農業を重ねています」

竹田かたつむり農園

そのまっすぐな思いは確実に広がりをみせており、
国見町のイタリアンレストラン〈villa del nido (ヴィッラ デル ニード)〉
をはじめ、地元の飲食店などでの取り扱いも少しずつ増えている。
また、地元第一を掲げると同時に、
「保育園や学校など、子どもたちにも伝統野菜を伝えていきたい」と、
次世代を見据えた取り組みを続けてきた。

〈鎌倉紅谷〉の「クルミッ子」が主役の アフタヌーンティーが期間限定登場

創業70周年を迎えた〈鎌倉紅谷〉の「クルミッ子」

1954年、和菓子職人の初代と洋菓子職人の2代目が鎌倉の鶴岡八幡宮前に創業し、
2024年に創業70周年を迎えた〈鎌倉紅谷〉。
約40年前に誕生した代表商品の「クルミッ子」は、
自家製キャラメルとクルミをバター生地ではさんだ鎌倉や神奈川を代表する焼菓子として、
世代を超えて親しまれています。

〈鎌倉紅谷〉の「クルミッ子」

〈鎌倉紅谷〉は、業種を超えたさまざまな企業との
コラボレーションにも取り組んでいます。
伊勢丹新宿店 新宿出店90周年を記念し、〈ピエール・エルメ・パリ〉の
代表的スイーツ「イスパハン」とコラボレーションを行ったり
CLAMP原作の『カードキャプターさくら』では作品キャラクターの
ケロちゃんと「クルミッ子」のシンボルキャラクターであるリスくんが共演した
オリジナルストーリーが公開されるなど、そのコラボレーションは多岐にわたっています。

雲仙に根ざした在来種野菜が揃う、 農家と食べ手がつながる。 オーガニック直売所〈タネト〉

多様な在来種が根づく、雲仙に惹かれたワケ

長崎県南部の島原半島に位置する雲仙市。
雲仙在住の種採り農家、岩﨑政利さんをはじめ、
地元の生産者によって守り継がれる、在来種野菜に魅了されて、
市内で取り扱う飲食店が増えたり、
都心部から話題のレストランが移転してきたり、
近年、雲仙の食文化はさらなる盛り上がりを見せている。

穏やかな橘湾に臨む小浜温泉。古くから温泉観光地として親しまれてきた。

穏やかな橘湾に臨む小浜温泉。古くから温泉観光地として親しまれてきた。

そんな小浜エリアの隣町である、
雄大な自然に囲まれた千々石町(ちぢわちょう)には、
まちに根ざしながら、地元の人だけでなく、
県内外の多くの人々を惹きつける場所がある。

オーガニック直売所 〈タネト〉

店主の奥津爾さんが、2019年に始めたオーガニック直売所 〈タネト〉。
地域の気候風土に適応し、毎年種を採りながら何代にも渡って、
守り継がれる「在来種野菜」を軸に、半径20キロ圏内で生産された
農薬・化学肥料不使用の野菜を取り扱っている。

タネトの店主、奥津爾さん。

タネトの店主、奥津爾さん。

奥津さんは、もともと夫婦で東京・吉祥寺で料理教室や、カフェを運営する
〈オーガニックベース〉を主宰しながら、2013年からへ雲仙へ移住、
吉祥寺と雲仙を行き来しながら2拠点生活をしていた。

6年という時間をかけ徐々に雲仙に重心を移し、
2019年に地域のいいものに出合える、この直売所をオープンした。
この移住という大きな決断をした背景にあったのは、
雲仙で在来種野菜の種を守り継いでいた岩﨑政利さんの存在だった。

雲仙の種採り農家、岩崎政利さん。(photo:繁延あづさ)

雲仙で種を守り継ぐ農家、岩﨑政利さん。2020年から種と農、風土をテーマに多様な在来種が根づく雲仙を起点に、オーガニックベースが企画運営する『種を蒔くデザイン展』。(写真提供:オーガニックベース photo:繁延あづさ)

「岩﨑さんは40年以上も前から、50種以上の在来種の野菜を、
自家採種しながら育て、守り続けている。
おそらく世界中、歴史上で誰もやったことがないことを、
成し遂げている唯一無二の存在です。

2013年に東京で岩﨑さんの講演を聞いたときに衝撃を受けて、
岩﨑さんの畑を訪れたら、それは言葉にできない美しさでした。
黒田五寸人参の花が一面に咲き誇り、その甘い香りに誘われてミツバチが飛んでいて……。

その景色に心を打たれて『ここで暮らそう』と。
具体的に何をするかは決めずに、その3ヶ月後には雲仙に引っ越していました」

しかし移住後、地元で岩﨑さんの野菜が買えないことに気づいた奥津さん。

「岩﨑さんの野菜に惹かれて雲仙に来たのに、
どこにも販売されていないし、取り扱っているお店もない。
それどころか、地元でつくったオーガニック野菜のほとんどが、
都市部に出荷されていて、地元の人が買えないという状況でした」

タネトの店内

「この土地で暮らす人たちに在来種野菜を届ける場が必要だ」
と考えた奥津さんは、地元農家と消費者をつなぐ拠点をつくることに。

1200種を超える、日本の風土が生んだ 多彩な「古来種野菜」の世界。 〈warmerwarmer〉高橋一也

種をつないできた、果てしない時間軸と多様性

種を蒔き、芽が出て花が咲き、種を採り、そしてまたその種を再び蒔く。
長い歳月をかけて、何世代も受け継ぎ、
地域の豊かな風土や自然のなかで生まれた「古来種野菜」を届ける八百屋
〈warmerwarmer〉を営む、高橋一也さん。

その始まりは、2011年3月の東日本大震災から数日がたった頃。
福島県浪江町で先祖代々農家を営んでいる、
種採り農家からの1本の電話だった。

「受け継いだ種を子どもたちに引き継ごうとしていたのに、
福島第一原発の事故で、畑も種もなくなってしまった」と。

その土地に、家族に寄り添うように、受け継がれてきた種。

そこで種を補償してもらえないかと相談をしたら、
電力会社に「たかが種でしょ」と言われてしまったと聞いて、
世の中にとって種の重要性はまったく理解されていない。
このままではマズイと身震いしたという。

その土地に、家族に寄り添うように、受け継がれてきた種。
また震災や災害によって、種が途絶えてしまったら……。

高橋さんはこの現状と向き合い、その年に会社を辞め、
日本に昔からあるこの野菜の多様性を、そして種の大切さを、
語り継ぐ八百屋として、次代へつなげていくと決めた。

〈warmerwarmer〉高橋一也さん(写真右)、船久保琴恵さん。

〈warmerwarmer〉高橋一也さん(写真右)、船久保琴恵さん。

現在スーパーマーケットなどに流通している野菜の99%はF1種。
一代限りだが、大きさや味が均一、日持ちもするなど、
大量生産に適しているため、現在の市場で大半を占める。

それに対して、品種改良されず、
代々受け継がれてきた種から育つ「古来種野菜」。
成長した野菜の種を採り、その種を蒔いて育て、また種を採る。
こうして何十年、何百年もくり返されながら、
その土地の風土に合った野菜へと定着していく。

品種改良されず、代々受け継がれてきた種から育つ「古来種野菜」。

その数は1200種を超えるといわれるほど、多種多様だ。
しかし、極めて収穫量が少なく、
流通するには効率的でないという理由で、
現在は市場に1%しか存在しておらず、認識されていない。

「それでも、こうして代々種が受け継がれてきたのは、
自然の摂理に寄り添った農法でつくられ、風土に馴染む
種の生命力と、先人たちの思いがあったからこそ。

一般的には固定種、在来種、伝統野菜などと呼ばれ、
生産者などのつくる側、国や自治体などの守る側によっても、
その定義はさまざまです」

一般的には固定種、在来種、伝統野菜などと呼ばれ、その定義はさまざま

warmerwarmerでは、それらすべての種、
そしてその思いを総称したものを「古来種野菜」と呼んでいる。

「現在は流通が発達し、種の交換会も開催されていることから、
この定義を一言では言い表せないのも現状です。
そこで、私たちは“古来からずっと続いている”ということに
定義をしぼり、『古来種』という造語で呼びはじめました」

シェアキッチンや 長年愛される町中華、主婦の食堂まで 「まちで愛されるごはん屋さん」 をチェック!


今月のテーマ 「まちで愛されるごはん屋さん」

地元の人の行きつけの店。

この言葉にグッとくる人も少なくないのではないでしょうか。
ガイドブックや口コミサイトでよく見かけるお店とはひと味ちがい、
常連客に混じって食べるメニューはおいしさ以上の特別な何かがあります。

今回はまちで長く愛される町中華や、
現代らしいシェアキッチンスタイルのお店、地元の主婦が運営するお店など
その土地で「愛されてるごはん屋さん」をご紹介。
実際に住んでいる人たちが通う“お墨付きのお店”は必見です。

【福島県耶麻郡猪苗代町】
「食事に楽しさを。まちに元気を」個性派ぞろいの店主が集うシェアキッチン!

JR磐越西線の猪苗代駅。
そこから磐梯山のふもとまで伸びる中央商店街。
その最奥部に〈ななかまど食堂〉があります。
曜日と時間帯によってお店が変わるシェアキッチン。
食事はもちろん、楽しい出会いがたくさん生まれます。

〈ななかまど食堂〉のシンボルマークは猪苗代町のまちの木であるナナカマドがモチーフ。1週間で「七つの竈(かまど)」という意味も込められています。

〈ななかまど食堂〉のシンボルマークは猪苗代町のまちの木であるナナカマドがモチーフ。1週間で「七つの竈(かまど)」という意味も込められています。

飲食店を始めてみたいという人のチャレンジスペースになっているこの店は、
本当にたくさんのジャンルのお食事が楽しめます。
2022年6月1日のオープン以来、お蕎麦屋さん、カフェ、カレー屋さん、
焼肉屋さん、牛丼屋さん、居酒屋さん、ワインバー、スナックなど、
たくさんのお店が営業し、卒業していきます。

昨年卒業して会津若松市にお店を構えた〈きちんとごはん虹〉のカツ丼。

昨年卒業して会津若松市にお店を構えた〈きちんとごはん虹〉のカツ丼。

現役営業していて、平日の3日間を担当する〈二択のしづや〉のカレーラーメン。

現役営業していて、平日の3日間を担当する〈二択のしづや〉のカレーラーメン。

春に卒業し、喜多方市でお店を出す〈ソラノネcaféさん〉のスパイスカレープレート。

春に卒業し、喜多方市でお店を出す〈ソラノネcaféさん〉のスパイスカレープレート。

「今度新しく始まるお店は何の店だろう?」「どんな人がやるのかな?」
そんな思いを馳せながら、ワクワクと暖簾をくぐる。
それが〈ななかまど食堂〉の特製スパイスです。

常連さんのなかには、
「同じ場所にあるのに、違う店をたくさん回っているみたい(笑)」
なんていう方もいます。
みなさんも来ていただければ、きっと気に入るお店が見つかります。

〈ななかまど食堂〉外観。

〈ななかまど食堂〉外観。

SNSなどで日々更新される店舗情報をチェックしながら、足を運んでみてください!

information

map

ななかまど食堂

住所:福島県耶麻郡猪苗代町新町4931-1

TEL:050-3095-7497

MAIL:info@awre.co.jp

Web:シェアキッチン ななかまど食堂

photo & text

遠藤孝行 えんどう・たかゆき

福島県の会津に位置する「猪苗代町」で地域おこし協力隊をしています。もともと東京でエンジニアをしていたこともあり、ITのノウハウを活かして「ふるさと納税」と「猪苗代湖の環境保全」を担当しております。現在、協力隊3年目となり、情報発信・教育・観光事業を主とした株式会社アウレを起業しました。

【北海道】
〈浜の母ちゃん食堂〉北海道・羅臼産の味覚を堪能あれ!

今回紹介するのが、
町内の飲食店減少の対策として立ち上げられた〈浜の母ちゃん食堂〉。
羅臼に在住する主婦たちが立ち上げた
「Join-Rausu美活塾」に所属する方々が運営している食堂です。

営業は10名様以上の団体のお客様から予約があったときのみとなっていて、
取材でお邪魔させていただいたときのメニューはこちら。
もちろん海産物はすべて知床羅臼の海で獲れたものばかりです!

撮影日のメニューはこちら。

撮影日のメニューはこちら。

・羅臼昆布ごはん
・スケソ鍋
・刺身(ボタンエビ、タコ、サクラマス、ブリ、ウニ)
・ホタテ稚貝のかき揚げ
・宗八カレイの甘酢あんかけ
・キンキの半身焼き
・羅臼昆布チップス
・茶碗蒸し

メニューはその時々で替わります。
町内にはほかにももちろん飲食店はありますが、
特別感の味わえる〈浜の母ちゃん食堂〉を体験してみるのもおすすめします!

今の時期だと、貴重なエゾバフンウニ、サクラマス、スケソウダラ、
春から夏にかけては脂がたっぷり乗ったサケ(トキシラズ)などが旬となってきます!
先述のとおり、営業は事前の団体様(10名様以上)でのご予約時のみとなっています。

information

浜の母ちゃん食堂

FAX:0153-87-4002

MAIL:kanae59@icloud.com

※ご予約はメールまたはFAXにて受付。

profile

近藤雨 こんどう・あめ

今年5月より、北海道羅臼町の地域おこし協力隊に着任し、まちの魅力発信などの仕事をしています。出身は大分県です。ドラマ『北の国から 遺言編』のロケ地である羅臼に住んでみたいと思ったのが何よりの応募理由でした(笑) 大分とはいろんな面で異文化なことがあり、だからこその視点で情報発信をしたいと思っています。
Instagram:@kondo_ame

岡山県内有数の桜の名所に 地産地消にこだわったカフェ 〈Miyama cafe PUUT〉がオープン

地元・玉野が育んだ食材をふんだんに使用したオリジナルメニューを提供

岡山県の南端、瀬戸内海に面した場所に位置する玉野市。

市内のほぼ中央部に位置する〈みやま公園〉は、
県内有数の桜の名所としても知られています。

〈みやま公園〉。東京ドーム40個分の広さを誇る敷地のなかに、道の駅のほかイギリス庭園やドッグラン、ミニパターゴルフ場などの施設が充実。

〈みやま公園〉。東京ドーム40個分の広さを誇る敷地のなかに、道の駅のほかイギリス庭園やドッグラン、ミニパターゴルフ場などの施設が充実。

四季折々の自然が楽しめるこの公園内で営業を行う〈道の駅 みやま公園〉に
4月1日、〈Miyama cafe PUUT(みやまカフェ プート)〉がグランドオープンしました。

“玉野の食材をたっぷりと使った、身体が喜ぶ食事を味わえるパーク・カフェ”を
コンセプトにしたこちらのお店。

店名に掲げた“PUUT”にはフィンランド語で「木々」という意味があり、
内装にも〈みやま公園〉の豊かな木々や桜の花びらを連想させる色合いが
採用されています。

グリーンやナチュラルベージュをベースにした店内。

グリーンやナチュラルベージュをベースにした店内。

島の人も知らない景色。 五島うどん〈虎屋〉が魅せる 新〈島diningとらや〉 〈TORAPAN〉Wデビュー!

五島列島で唯一、塩から手づくりするうどん製麺所〈虎屋〉

長崎の西方、大小140以上の島からなる五島列島。
豊かな海と緑に囲まれた自然の宝庫であり、
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」をはじめとする歴史文化や、
五島うどんや魚介類など「島グルメ」でも知られています。

空路による直行便がないため、福岡県や長崎県の港から
「船の島旅」を楽しむ人が増えているのが中通島の新上五島町。
五島列島の玄関口ともいわれ、長崎港から高速船に乗れば
約1時間43分で上五島の有川港に渡ることができます。

〈虎屋〉は有川港からほど近い、五島うどんの製麺所です。
うどんづくりに欠かせない「塩」から手づくりしているのは、
五島に数あるうどんメーカーのなかでも〈虎屋〉だけ。

1986年に犬塚虎夫さんが製麺所として創業し、1997年には塩づくりをスタート。
7人の子どもたちとともにうどんと塩づくりに励む暮らしは、
ドキュメンタリー映画『五島のトラさん』として公開されました。

現在、のれんを受け継ぐのは娘の南こころさんと、夫の慎太郎さん。
主に塩づくりは慎太郎さん、うどんづくりはこころさんが担っています。

南慎太郎さん(左)、こころさん(右)夫妻。

南慎太郎さん(左)、こころさん(右)夫妻。

慎太郎さんは島の漁師から譲り受けた魚網を再活用して塩田をセルフビルドし、
環境負荷の少ない廃油燃料装置を開発して海水を焚いています。

「僕自身が五島の海に育てられてきたので、
海にも山にもできるだけ負担をかけたくない。
つくる人も食べる人も安心できる塩づくりをしたいんです。
この塩を使うと、うどんのコシも香りも際立ちます」

深い味わいと甘みを引き出した一番塩〈まあるい塩〉。

深い味わいと甘みを引き出した一番塩〈まあるい塩〉。

和歌山県紀の川市発、 生産者×クリエイターによる エシカルギフト6選

生産者×クリエイターが手がける、地域ブランド〈ISSEKI〉

「一次産業が盛んなフルーツのまち」として知られ、
ファーマーズマーケットの〈めっけもん広場〉には年間70万人が訪れる
和歌山県紀の川市。
現在、紀の川市では、地域の活性化・産品の生産・新しい品種の認知拡大など、
さまざまな想いを持って、挑戦に取り組む人々がいます。

そんな新しいチャレンジを、ブランドを通して広げていきたいという思いから
始まったのが紀の川市認定ブランド〈ISSEKI(いっせき)〉です。
和歌山県紀の川市の一次産業生産者とクリエイターがともに
新しい紀の川市の加工商品認定ブランドを生み出しています。

現在、紀の川市の加工商品認定ブランド創出を目指す共創プロジェクト、
「Local Co-Creation Project in 紀の川(以下、LCP)」(和歌山県紀の川市主催)
を経て、認定ブランドとして商品化が決まったものが順次販売されています。
今回は、節目を迎える季節に大切な人へ贈りたい
和歌山県紀の川市の畑から生まれた「エシカル」なギフトを
ピックアップしてご紹介します。

1.紀の川のパッションフルーツを使ったドリンク「PARI PORI TEA」

「PARI PORI TEA」

まずご紹介するのは、紀の川市唯一のパッションフルーツ生産者との
コラボレーションで誕生したドリンク「PARI PORI TEA」(6個入り3520円)です。
葉酸や食物繊維が豊富に摂れるので、妊娠中や妊活中の女性におすすめ。
紀の川市産の桃の果肉、ハチミツなどをふんだんに使用しています。
添加物不使用かつフリーズドライなので、栄養価もそのまま。
食物繊維を豊富に含んだ種の食感で満腹感もありつつ
1杯50キロカロリー弱のヘルシーなドリンクで
出産祝いにもぴったりです。

information

「PARI PORI TEA」 

2.紀の川の春夏秋冬の味を黒米で包んだしゅうまい「紀の川黒米包み」

「紀の川黒米包み」

自然栽培で育てた自社農園の黒米と、同じく自然の力を生かして野菜を育てる
農家仲間と手を取りあい完成したという「紀の川黒米包み」
(5個入り×3パック4860円)。
旬の紀の川野菜を餡に使い、春夏秋冬で異なる味わいを数量限定で
販売しています。

information

「紀の川黒米包み」

3.地域の課題に応えた新感覚キウイスナック「amaboshi」

「amaboshi」

サイズの問題から市場に出回ることがなかった規格外のキウイを原料に、
地域で製造が盛んな「あんぽ柿」の製法を元に開発された
「amaboshi(アマボシ)」(販売ページは準備中、100グラム1056円)。
果実をカットせずに、キウイ本来の美味しさと栄養がギュッと凝縮されています。
キウイフルーツの生産が盛んな地域が、フードロス問題の解決に取り組んだ逸品です。

information

「amaboshi(アマボシ)」

桜、梅、スミレでつくる 「野の花のシロップ」ってどんな味? ピクニック・花見におすすめの カクテルレシピ3選も

※野生の花は毒を持つものもあるため、必ず毒性がないか調べてからつくりましょう。
※花を採取する際は、土地の持ち主さんに許可をとってからにしましょう。

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

長かった冬が終わり、
春が来たことを知らせてくれる野の花たち。
ピンク、青、紫とカラフルな花たちを見ていると、
「春の花のシロップ」をつくりたくて
うずうずしてしまいます。

パンケーキにかけたり、炭酸で割ったり、
いろいろな楽しみ方ができる花のシロップですが、
今年は、このシロップで「カクテル」をつくってみたくなりました。

春のピクニックに、お花見に。
気分が上がるお花のカクテルがあったら、
すごく楽しいと思いませんか?

桜の花のシロップをおたまですくい、瓶に入れている様子。

桜の花をシロップ漬けに。

花の味が生きるのは「煮出し型」それとも「漬け込み型」?

去年は、タンポポやレンゲを使った「煮出す」タイプのシロップをつくりました。

そのとき、ちょっと失敗してしまったのが桜の花のシロップ。
桜餅のような甘い香りを期待してつくりましたが、
香りが少なく、エグ味が出てしまい、
がっかりしたのを覚えています。

さまざまな花でシロップをつくるうちに、
「煮出し型」と「漬け込み型」があることを学びました。

満開の桜の風景写真。

美しい花を見ると、どんな味がするのかな? と思うようになりました(笑)。

「煮出し型」

花を煮出して香りを移してから花をとり出し、
残った液体をお砂糖で煮詰める方法。
タンポポやレンゲなど、香りの少ない野性味の強い花に向いています。
日持ちするのが特徴。

「漬け込み型」

砂糖を溶かしたお湯に、花やハーブを漬け込む方法。
煮込むと香りが飛んだり、エグ味が出てしまう、
桜、梅、スミレ、和ハッカなど、
香りが特徴の花やハーブが向いています。
あまり日持ちはしません。

去年は「煮出し型」のシロップをたくさんつくったので、
今年は香りや色を生かした
「漬け込み型」のシロップに挑戦してみたいと思います。

清酒の旧酒蔵が21年ぶりに復活。 歴史的複合施設〈伊東合資〉が 愛知県半田市にオープン

愛知県西部の小さな港町・亀崎に誕生した新スポット

愛知県の西部に位置する知多半島。
海に囲まれた、温暖な気候で知られています。
いくつもの市や離島からなるこの地域で、漁業や醸造業、海運業で栄えたのが
半田市の「亀崎(かめざき)」エリアです。

2024年1月20日、この亀崎で200年以上続く老舗の日本酒醸造元・伊東株式会社の
旧酒蔵が歴史的複合施設としてオープンしました。

かつては、40ほどの酒蔵や百貨店、劇場があるような繁華街だった亀崎。
1788年からつくられ、全国の人々に愛される銘酒もありました。
それが、〈敷嶋〉です。

〈敷嶋〉は仕込みにミネラル豊富な井戸水を使っており、独特のキレが特徴。
かつては江戸へ大量に出荷された、亀崎と中部地方を代表するお酒でした。
敷嶋を製造していた伊東合資会社は亀崎のどこよりも広大な酒蔵を持ち、
敷地内に銀行を併設していたことも。
地域のシンボルであり、地元の人々が集まる寄り合いどころでもあったのです。

しかし近年の清酒需要低下を受け、伊東合資会社は2000年に酒造免許を返納。
酒蔵も売却され、〈敷嶋〉の歴史も幕を閉じました。
時は流れ2014年。祖父の死をきっかけに酒蔵の復興を決意したのが9代目・伊東優さん。
11年間勤めた会社を辞め、〈敷嶋〉の復活を目指して、酒造りの道へ飛び込みました。

2021年には酒造免許を再取得し、酒蔵も買い戻しました。
新たに製造工場も建てて、再び酒造りをスタートさせます。
そして今回、「建物の一部だけでも活用し、再びたくさんの人が集まる場所にしたい」
との願いで、複合施設のプロジェクトをスタート。
旧酒蔵を改修して、3つの店舗が入る複合施設へと生まれ変わらせたのです。

「おいしいものないかな」が力になる。 離れた場所から能登を応援 石川県アンテナショップがリニューアル

銀座や日本橋、八重洲の周辺には、全国各地のアンテナショップが密集している。
東京にいながら、ちょっとした旅行気分を味わえるのが魅力だが、
商品を買うことが、被災地の復興につながることもあるようだ。

今年3月9日には、〈いしかわ百万石物語・江戸本店〉が
銀座から場所を移して〈八重洲いしかわテラス〉として再出発。
また5月(予定)には〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉がオープンを控えるなど、
今、注目度が高まる北陸地方のアンテナショップを紹介する。

[hidefeed]

[/hidefeed]

石川県と人をつなぐ総合発信拠点 
アンテナショップが「復興の象徴」に

〈八重洲いしかわテラス〉の外観

2014年10月、東京・銀座にオープンした
石川県のアンテナショップ〈いしかわ百万石物語・江戸本店〉。
出店から10年を迎える節目の年に、
東京駅からほど近い八重洲エリアへの移転した。

石川県 商工労働部 産業政策課の寺西洋毅さんに、
新たにオープンした〈八重洲いしかわテラス〉について、
また、年明けに発生した能登半島地震への率直な思いを聞いた。

継続的に石川の情報を発信し続ける

― はじめに、〈八重洲いしかわテラス〉の特徴を教えてください。

単に石川県の物産を販売するだけではなく、
観光コンシェルジュのコーナーなども設けています。
石川県内の事業者による首都圏での販路拡大や観光案内など、
情報発信の拠点となるアンテナショップを目指しています。

〈八重洲いしかわテラス〉店内の商品ディスプレイ

工芸品が並ぶエリア

銀座にあった頃は地下1階、地上2階の3フロアでしたが、
今回はワンフロアにすべてが集まっているため、
お客様にとっても買い物しやすく、広く、明るい店舗になっています。
東京駅から徒歩で約4分と立地がよく、アクセスしやすいのもアピールポイントです。

― 飲食スペースもあるのですね。

新たに飲食スペースも設け、「加賀棒茶」をお召し上がりいただけるほか、
日本酒の飲み比べやSNS映えする金箔ソフトなどもご用意しています。

情報の発信拠点ということで、イベントスペースでは文化的な体験も。
九谷焼の絵付けや金箔貼りなどの企画を通して、にぎわいを創出していきたいですね。

〈八重洲いしかわテラス〉の飲食スペースのカウンター。日本酒が並ぶ

― 移転の準備段階で「能登半島地震」が発生しましたが……。

以前の店舗を10月に閉めて、約半年空きました。
2024年の年明けくらいからPRのための物産展を企画していたのですが、
そのタイミングで地震が発生しました。
物産展は予定通り開催しましたが、「石川県を応援したい」とのことで、
足を止めていただいたり、カゴいっぱいの商品を買ってくださったり、
みなさまの「何かできないか」という気持ちがとてもありがたかったです。

― お店に並ぶ商品はすべて「地元のもの」ですよね。地震の影響は何かありましたか?

被害状況は県内でも地域によって差がありますが、やはり能登のほうは被害が深刻で、
主に日本酒など、入荷を予定していた商品がまだそろっていません。
ただ、それは能登の復興がどれだけ進んだのかを可視化するバロメーターでもあるんです。
前はなかった商品が次に来店したときに並んでいたら、その事業者が再開した証になりますから。
そうした観点からも、一度と言わず、何度も足を運んでほしいです。

― いよいよオープンとなりましたが、これからの展望を教えてください。

過去の震災で被害に遭った福島や熊本のアンテナショップでも、
1年くらいはたくさんのお客さんが来てくれたそうです。
一方で、時間が経てば経つほど、客足が遠のいていくとも聞きました。
そうした状況を避け、いかに持続していくかが課題だと感じています。

現在、復興応援ブースや新幹線県内全線開業ブースなどを計画していますが、
開始時だけではなく、継続して随時情報を発信していく。
首都圏にお住まいの方々に、少しでも石川県の現状や魅力を知ってもらいたいです。
きっかけは、「何かおいしいものないかな」でもいいので、
ぜひ一度足を運んでいただきたいです。

information

〈八重洲いしかわテラス〉ロゴmap

八重洲いしかわテラス

住所:東京都中央区八重洲2-1-8 八重洲Kビル1F

営業時間:10:30~20:00

Web:八重洲いしかわテラス

食べる・見る・聞く 
東京にいながら北陸を疑似体験

ここからは、富山、福井、新潟の3県のアンテナショップを見ていこう。
銀座や日本橋など首都圏にいながらも、さまざまな体験を通し、
まるで北陸へ旅行したような気分になれるのが特徴だ。

富山の魅力を知ってもらう
「体験テーマパーク」

〈日本橋とやま館〉の外観

東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅(B5出口)より、
出てすぐの場所にある〈日本橋とやま館〉。
食品や工芸品が約1200点も並ぶショップフロアのほか、
和食レストラン「富山はま作」やバーラウンジ「トヤマバー」、
観光交流サロンなどがワンフロアに集う。
入口すぐのイベントスペースでは、企画展示やワークショップが開催されている。

〈日本橋とやま館〉が目指すのは、ただ買い物できるアンテナショップではなく、
いろいろな角度から五感をフルに使って富山の魅力を感じてもらう
首都圏と富山をつなぐ情報発信拠点。
おいしいものを食べ、文化に触れ、いずれは実際に富山に行ってもらう。
子どもから大人まで幅広い世代に体験の機会を提供し、
富山の上質を見て、味わい、『人とモノ』『人と人』を、
体験を通してつなげる役割も担っている。

総括館長の田崎 博勝さんは、
「地震は大きな被害をもたらしましたが、長い目で見たときに追い風にできるよう
富山の魅力を知ってもらう機会にしたい」と前を向く。
また「富山のものを買ってもらうことは大きな力になる」と加えた。

information

〈日本橋とやま館〉ロゴmap

日本橋とやま館

住所:東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F

TEL:

ショップフロア(物販) 03-3516-3020

和食レストラン「富山はま作」 03-3516-3011

バーラウンジ(トヤマバー)03-6262-2723

その他(イベント等) 03-6262-2723

営業時間:

ショップフロア 10:30~19:30

和食レストラン 11:30~14:30 17:00~22:30(日・祝~21:00)

バーラウンジ 11:00~21:00

観光交流サロン 10:30~19:30

Web:日本橋とやま館

「福井を買って、味わい、旅する」
MADE IN FUKUIが詰まった複合施設

〈ふくい食の國291〉の外観

〈ふくい食の國291〉は、
「福井を買って、味わい、旅する」がコンセプトの複合施設。
ショップエリアには県内各地から厳選した海の幸やご当地グルメのほか、
職人の技が光る工芸品などが並ぶ。

施設内の〈越前若狭 食と酒 福とほまれ〉では、
現地直送の新鮮な食材を使った料理を堪能できる。
観光移住情報コーナーでは福井への旅の計画のサポートや、
移住を検討している人にも現地のリアルな暮らしの情報を提供している。

東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅の5番出口から徒歩1分、
JR山手線・京浜東北線「有楽町」駅京橋口改札から徒歩5分とアクセスも良好。
福井の歴史や風土に光を当て、都心から“MADE IN FUKUI”の魅力を発信している。

information

〈ふくい食の國291〉ロゴmap

ふくい食の國291

住所:東京都中央区銀座1-5-8

Ginza Willow Avenue BLDG 1F・B1F

TEL:03-5159-4291

営業時間:

ショップ10:30-19:00

イートイン 福とほまれ

平日 11:00〜15:00 (L.O.14:30)、17:00〜21:00 (L.O.20:00)

土日祝 11:00〜20:00 (L.O.19:00)

定休日:不定休(年末年始を除く)

Web:ふくい食の國291

飲食から文化体験まで、
新潟の新拠点が銀座にオープン

〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉の外観イメージ

1997年のオープン以来、多くの人々に愛されてきた〈表参道・新潟館ネスパス〉。
ビルの老朽化に伴い、2023年12月25日に閉館した。
その後継として2024年5月(予定)にオープンするのが、
銀座に建設中のビルの5つのフロアを使った〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉だ。
「新潟の魅力を伝える場所があることをストレートに伝えたい」
という思いを込め、この名が付いた。

1・2階は物産販売エリアで、軽飲食販売や日本酒の試飲も可能。
また、地下1階は移住相談窓口となっている。
3階のイベントスペースでは文化体験の機会も設けられ、
8階には飲食店が入る予定で、“食”を通して新潟県の魅力を堪能できる。

information

map

銀座・新潟情報館 THE NIIGATA

住所:東京都中央区銀座 5-6-7

離れていてもできるもうひとつの復興支援 
クラウドファンディングで能登を応援

震災前の石川県輪島の白米千枚田

本特集「復興のバトンをつなごう。」のトップにも採用した震災前の石川県輪島の白米千枚田。©輪島市

手軽にできる復興支援として「買い物」を紹介したが、
寄付や義援金のほかにも、クラウドファンディングという選択肢もある。

「津波の被害に遭った旅館を再建したい」
「江戸時代から続く輪島塗の工房を再建したい」
「水族館の生き物を守りたい」
被災地からは、さまざまな理由から支援を募る声が届いている。

たとえば能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島市の「白米千枚田」は、
棚田に亀裂が入り、地下水は地上にあふれ出し、壊滅的な状態に。
放置しておくと修復不可能になるとのことで、対応が急がれるなか、
立ち上がったのが「白米千枚田愛耕会」のみなさん。

「400年間守りつないできた能登の財産をここで絶やすわけにはいかない」
そんな思いで、クラウドファンディングに挑戦したという。

愛耕会のメンバーのなかには、自宅が全壊した人もいる。
避難生活を強いられながらも「白米千枚田」を守ろうとする姿に、
心を動かされた人は多いようだ。
自宅からでも、何かできることを。
クラウドファンディングで応援するというのも、復興支援のひとつの形だ。

information

能登半島地震|白米千枚田を修復し、再び米作りを。

【コロカルSNS連動企画】みんなの思う「これぞ、ご当地パン」大集合! 

2月の特集『会いに行きたいパンがある。』はご覧いただけましたか?
今回のパン特集にちなみ、 instagramX(旧Twitter)
コロカル公式アカウントを通して、
みなさまから「これぞ! ご当地パン」というイチオシパンを募集しました。

どれも個性的で、編集部も知らなかったパンも多数ありました。
あらためて、投稿いただいたみなさまありがとうございます。
そんななかでも、編集部が「会いに行きたい!」と思ったパンを厳選。
北から順にご紹介します!

青森県・工藤パン〈イギリストースト〉

ご当地パンとして有名な〈イギリストースト〉は、
しっとりふわふわのパンにマーガリンと砂糖というベーシックな味のみならず、
限定商品をふくめてたくさんのパリエーションがあるのが楽しいですね。
工藤パン公式サイトでは230種類を超える歴代のラインナップを見ることができます。

岩手県・福田パン〈コッペパン〉

1948年(昭和23年)創業、盛岡のソウルフードというべきご当地パン。(写真提供:cdtrkdさん/@cdtrkd )

1948年(昭和23年)創業、盛岡のソウルフードというべきご当地パン。(写真提供:cdtrkdさん/@cdtrkd

「どこか懐かしさを感じる」と地元の方からのコメントがありましたが、
地元でない人でも、確かに、ノスタルジーを感じます。
〈福田パン〉については特集『会いに行きたいパンがある。』でも
取り上げていますので、まだという方はぜひご一読を。

注文すると、目の前で具材を塗ってくれる。詳しくは、特集『会いに行きたいパンがある。』へ。

注文すると、目の前で具材を塗ってくれる。詳しくは、特集『会いに行きたいパンがある。』へ。

秋田県・たけや製パンの〈アベックトースト〉

1951年(昭和26年)創業の秋田の製パン業界をリードする老舗〈たけや製パン〉。定番なのがこの〈アベックトースト〉。(写真提供:にっぽん食べる旅/@umaimon888 )

1951年(昭和26年)創業の秋田の製パン業界をリードする老舗〈たけや製パン〉。定番なのがこの〈アベックトースト〉。(写真提供:にっぽん食べる旅/@umaimon888

2種類の味を合わせているから「アベック」なのだとか。時代を感じますね。
投稿者の方から「コスパ最高」とありますが、
日常的に食べるものだから、コスパも重要ですよね。
サンドされてる食パンにはマーガリンとジャムがそれぞれ半分ずつ塗られており、
どうやって食べ進めるかについて話が盛り上がることがあるそうです。

新潟県・中川製パン所〈カステラサンド〉

1952年(昭和27)創業の歴史を刻むご当地パン。(写真提供:YOSABEIさん/@yosabei_sado )

1952年(昭和27)創業の歴史を刻むご当地パン。(写真提供:YOSABEIさん/@yosabei_sado

投稿写真は、佐渡の「あめやの桟橋」でしょうか。
ご当地パンはその土地の景色と一緒に味わいたいですね。
カステラサンドのオリジナルTシャツ(?)まであるとは……。
気になるお味は、素朴な甘さとのこと。
佐渡に行ったらぜひ、食べてみたいと思います。

北海道上士幌町の地元食材が 十勝の人気シェフの手で 極上フレンチに! 「Farm to Table かみしほろ」

ユニークな挑戦を続けるまち・上士幌町は、自慢の食材の宝庫

上士幌町(かみしほろちょう)は、とかち帯広空港から車で約1時間20分、
北海道十勝エリアの北部に位置するまちです。
人口は約5000人ながら、面積は東京23区以上!
無人のスマートストアの設置、自動運転バスやドローンを活用した施策など
ユニークな試みを多く行っていることでも知られています。

羽田空港→とかち帯広空港は約1時間35分。意外と近い!?

羽田空港→とかち帯広空港は約1時間35分。意外と近い!?

全国で初めて大会が開かれた、“熱気球のまち”としての顔も。

全国で初めて大会が開かれた、“熱気球のまち”としての顔も。

広大な十勝平野と恵まれた気候をいかし、古くから農業や酪農が盛んですが、
近年は、大規模農業と並行して、個性ある野菜作りに取り組む生産者も見られるように。
また乳牛だけでなく肉牛の飼育も増えつつあります。
(ちなみに町内の牛の数は、人口のおよそ7.5倍!)

そんな上士幌町の食材を、
もっと多くの人に知ってもらい、味わってもらいたい!
というプロジェクトが計画されています。
そのキックオフイベントとして、生産者の方々を招いて、
「Farm to Table かみしほろ」が開催されました。

人気フレンチのシェフが参加し、極上の品々が完成

今回お招きした生産者さんは3組。
希少品種を含む、多彩な豆を生産する〈オリベの豆や〉の関口孝典さんと嘉子さん、
最新の農業理論と祖父の代から続く知恵を総動員して、
“最上級においしい野菜”をつくる〈須田農場〉の、須田侑希さん、和雅さん兄弟、
そして上士幌町ブランドの黒毛和牛「十勝ナイタイ和牛」を扱う、
〈片原商店〉の中山浩志さん。

今回の主役はこちら。和牛と豆、そしてじゃがいも&さつまいもです。

今回の主役はこちら。和牛と豆、そしてじゃがいも&さつまいもです。

左から、関口さん夫妻、中山さん、須田和雅さん、侑希さん。

左から、関口さん夫妻、中山さん、須田和雅さん、侑希さん。

料理を担当したのは、
同じ十勝エリア・帯広のフレンチレストラン〈マリヨンヌ〉の小久保康正シェフ。
十勝の恵みを最大限にいかし、十勝の食材で完結させることを目指したフレンチは
名だたるレストランガイドに選出されるなど、高い評価と人気を博しています。

そんな小久保シェフが、このイベントのために生み出したのは4皿。
丁寧な作業とフレンチの技が光る、目にも楽しい品が並びました。

〈オリベの豆や〉福白金時のムースと5種の豆のサラダ ホゲット添え

〈オリベの豆や〉福白金時のムースと5種の豆のサラダ ホゲット添え

〈須田農場〉紅はるか(さつまいも)とホタテのミルフィーユ仕立て

〈須田農場〉紅はるか(さつまいも)とホタテのミルフィーユ仕立て

〈須田農場〉ホッカイコガネ(じゃがいも)のガトー リードヴォーと共に

〈須田農場〉ホッカイコガネ(じゃがいも)のガトー リードヴォーと共に

〈片原商店〉十勝ナイタイ和牛サーロインスライスのすき焼き見立て

〈片原商店〉十勝ナイタイ和牛サーロインスライスのすき焼き見立て

“くだものの里”に根付くシードル文化。 醸造所〈VinVie〉がつなぐ ユニークなりんご農家のコミュニティ

地域や農家ごとの特徴が表れたシードル

全国屈指のりんごの産地として知られ、国内2位の生産量を誇る長野県。
高い育種技術でさまざまなオリジナル品種も数多く生み出しているほか、
近年は、りんご果汁の醸造酒・シードルが盛り上がりを見せている。
県内で新進気鋭の醸造所が続々と開業し、生産者数は80を超えるとも。
酒蔵やワイナリーが多い土地柄もあって、
地域や品種の個性を生かした多彩な味わいのシードルが生まれている。

銘柄数は日本一ともいわれる長野県のシードル。

銘柄数は日本一ともいわれる長野県のシードル。

なかでも注目を集めるのが、県南部にあたる南信州地域。
とりわけ「くだものの里」として知られる松川町は
シードルづくりに意欲的に取り組むりんご農家が多く、
それぞれが独自のブランドを立ち上げて製造・販売する
ユニークなシードル文化が根づいている。

その一翼を担うのが、2018年に創業した株式会社〈VinVie(ヴァンヴィ)〉。
自社畑で育てたりんごとブドウを使ったシードルやワインの製造・販売、
そしてりんご農家からの委託醸造も引き受けている。

3000メートル級の南アルプスを正面に臨む高台に位置する〈VinVie〉。

3000メートル級の南アルプスを正面に臨む高台に位置する〈VinVie〉。

社名でありブランド名でもある〈VinVie〉は、フランス語でワインを意味する「Vin」と、
生命や人生、生活などを意味する「Vie」を合わせた造語だ。
普段の生活や地域に根ざし、
飲む人すべてを幸せにするやさしいワインとシードルづくりを通じて、
地域の発展や活性化も目指したいとの思いが込められている。

〈VinVie〉の発起人であり代表の竹村暢子さん(左)と醸造責任者の竹村剛さん(右)。名字は同じ「竹村」でも親族関係ではない。

〈VinVie〉の発起人であり代表の竹村暢子さん(左)と醸造責任者の竹村剛さん(右)。名字は同じ「竹村」でも親族関係ではない。

開拓者精神が息づく意欲的な生産者の営み

そもそも松川町で本格的に果樹栽培がはじまったのは、約100年前の大正4(1915)年。
町の中央を流れる天竜川の河岸段丘と扇状地に開けた自然豊かな地で、
水はけのよい土壌と、
日照時間が長く昼夜の寒暖差が大きいという果樹栽培に適した環境を生かし、
りんごやナシの集団生産地として農業が発展した。

〈VinVie〉のある増野(ましの)地区を中心に農地の開墾も進み、
現在の数多くの果樹園の下地に。
今ではブドウやさくらんぼ、ブルーベリーなど、さまざまな種類の果樹が栽培されている。

至るところに果樹園がある町内。春のさくらんぼから冬のりんごまで季節ごとに多彩な風景が広がる。取材時は農閑期で、12月に収穫を終えた松川町の〈VInVie〉のりんごは落葉し、剪定の時期に突入していた。

至るところに果樹園がある町内。春のさくらんぼから冬のりんごまで季節ごとに多彩な風景が広がる。取材時は農閑期で、12月に収穫を終えた松川町の〈VInVie〉のりんごは落葉し、剪定の時期に突入していた。

くだもの狩りができる観光農園も多く、
直売所運営、自社製品の開発や独自の販売ルートの開拓など
意欲的な農家が多いのもこのまちの特徴だ。

「観光農園は自分たちで価格を決められますし、
固定客がつくなど収入が安定しやすいので、若い世代も事業承継しやすいんです。
特に、1975年に町内に高速道路のICが開かれたことで、
それぞれの農園ごとにオリジナリティを出す農家が多かったことが
背景にあると思います」と〈VinVie〉代表の竹村暢子さんは言う。

日本最大級の商店街〈大須商店街〉で、 人気名古屋メシを探せ! あなたのまちの焼酎ハイボール アテ探し旅

個性的な名古屋メシは、焼酎ハイボールに合うのか!?

焼酎ハイボールのアテ探し旅。
回を重ねて、相性が良さそうと予想できるもの、
冒険かなと思いながら思わぬ喜びが得られたものなど、
いろいろな体験を重ねることができた。
そのなかで、相性が良さそう、でも実際は冒険?
と思いを巡らせていたのが“名古屋メシ”だ。

伝統と新しさが感じられる赤味噌を使った酒場メニューや、
意外な食材の組み合わせによって生まれる、
ちょっと想像の斜め上を行くB級グルメの数々が、
焼酎ハイボールを待っている……ような気がしていた。
ということで、向かうのは〈大須商店街〉。
さて、どんな不思議な出合いが待っているのか。

名古屋駅から地下鉄で10分ほど。徳川家康によって岐阜から移設された大須観音を中心に東西南北に広がる商店街。商店がひしめくメイン通りだけでも8本を数え、のんびり歩いたら1日がかり。徳川時代から寺町として発展。大正元年から娯楽、歓楽街として繁栄し、時代の新風を巻き込みながら現在に至る。秋葉原、大阪・日本橋とならぶ日本三大電気街でもある。

名古屋駅から地下鉄で10分ほど。徳川家康によって岐阜から移設された大須観音を中心に東西南北に広がる商店街。商店がひしめくメイン通りだけでも8本を数え、のんびり歩いたら1日がかり。徳川時代から寺町として発展。大正元年から娯楽、歓楽街として繁栄し、時代の新風を巻き込みながら現在に至る。秋葉原、大阪・日本橋とならぶ日本三大電気街でもある。

大須商店街は総称というか愛称で、その実態は大須観音を中心とした、
8つの振興組合からなる実に大きな商店群だ。
東京だと浅草寺を中心とした、浅草エリアをイメージするとわかりやすいだろうか。
グルメ、服飾、日用品、雑貨、娯楽、サブカルなどなど、
名古屋の伝統的な食文化から流行までが混在し、
観音様ならではの明るい賑わいがあり、
でも、どこかカオスな空気感もある。
旅酒人とすればなんともワクワクさせられる場所だ。

伝統と新しさが融合した赤味噌の酒場メニュー

まずは、ということで向かったのは〈矢場とん〉。
名古屋独自の食“みそかつ”を全国区にした人気店だが、
ここ大須店は、〈昔の矢場とん〉という名の酒場感たっぷりな店で、
売りはみそ串かつとみそおでん。

大須観音から歩みを始めればすぐに目に入る〈昔の矢場とん〉。

大須観音から歩みを始めればすぐに目に入る〈昔の矢場とん〉。

名前通り昔ながらの雰囲気を見せつつ、内装には気鋭のアーティストのイラストも飾られ、いい具合の混沌。

名前通り昔ながらの雰囲気を見せつつ、内装には気鋭のアーティストのイラストも飾られ、いい具合の混沌。

矢場とん広報部で味噌ソムリエでもある片山武士さんに聞けば、
「戦後、矢場とんが創業した1947(昭和22)年頃、
名古屋の屋台では赤味噌を使った土手焼、土手煮が人気で、
そこに串かつを入れたところ好評で、それがのちに、味噌かつへと進化していきました。
そこで、温故知新といいますか、
あえて味噌かつのルーツを掘り下げていったのがこの店です」

入社のきっかけは矢場とんの社会人野球チームへの入部。それまでは「とんかつには塩でした」と笑う片山さんだが、入社以来、矢場とんの味噌かつにはまり、味噌ソムリエも取得。自社にとどまらず「名古屋の文化としての味噌かつ」を発信するべく奮闘中。

入社のきっかけは矢場とんの社会人野球チームへの入部。それまでは「とんかつには塩でした」と笑う片山さんだが、入社以来、矢場とんの味噌かつにはまり、味噌ソムリエも取得。自社にとどまらず「名古屋の文化としての味噌かつ」を発信するべく奮闘中。

酒場×味噌の基本中の基本であるメニューにフォーカスしつつ、
次の主力になりそうな角煮や玉子なども加え、
まさに古きを知りつつ新しさも楽しめる場所。
そういえばと思い出したのは、矢場とんのみそかつのみそタレ。
ほかの店の味噌とちょっと違うな、という感覚があって。

それを尋ねると片山さんは笑顔で、
「そうなんです。まず甘さは控えめです。甘みがあるかなぁぐらいの感じ。
そしてドロッとしたものが多いなか、さらっとしています」

これは、味噌かつにかけるものをつくったのではなく、
土手鍋、土手煮にかつをつけた感覚を大切にしているからだそう。
原点の追求、こだわりだったわけだ。
それでも味わいが深いというのも特徴。理由は出汁にあった。
「普通の味噌だれの出汁は、カツオや昆布といった魚介。
これを味噌に溶かし込んでいき、ドロっと仕上げます。
ですが、矢場とんは、まず出汁のベースが豚肉。
かたいスジを煮込んで、煮込んで、凝縮し、
そこにこだわりの豆味噌を溶かし込んでいきます」

なるほど、タレというよりスープ感覚。
さらりとしたなかに豚肉のコクと旨みも感じられる。
さすが味噌が食文化に溶け込む名古屋、愛知ならではのこだわりだなと
感心していたところで、片山さんからうれしいひと言。
「だから、焼酎ハイボールにも合いますよ」
ニヤリと自信の笑顔。にぎわう店内を見れば、
月曜の昼からいろいろなお酒とともに楽しむ人たちを見て、早く自分も味わいたいと、
テイクアウトで袋に入れてもらった、串かつとみそおでんを二度見してしまうのだった。

みそおでんの大根(320円)、たまご(160円)、豚角煮(320円)とロース串かつ(4本640円)。大根は味噌をかける、ではなく、しみしみで芯から味わい深く、たまごはしっかり煮込まれながらもとろり半熟。

みそおでんの大根(320円)、たまご(160円)、豚角煮(320円)とロース串かつ(4本640円)。大根は味噌をかける、ではなく、しみしみで芯から味わい深く、たまごはしっかり煮込まれながらもとろり半熟。

長野県飯田市のシンボル〈りんご並木〉 中学生が守り、 地域で育むまちづくりの循環

〈りんご並木〉誕生秘話

長野県の南端に位置する飯田市。
東西に南アルプスと中央アルプスがそびえ、その中央を天竜川が貫く自然豊かな地だ。

明治期以降は、天竜川によって形成された日本有数の河岸段丘と
豊富な日照量や内陸性気候を生かし、果樹栽培も盛んだ。
とくに長野県が生産量全国2位を誇るりんごは飯田市が日本の栽培地の南限に当たり、
陽光をたっぷりと浴びた南信州産のりんごファンも多い。

市のロゴマークにも使われるほど飯田市民にとって身近なりんご。地域の基幹産業でもある。

市のロゴマークにも使われるほど飯田市民にとって身近なりんご。地域の基幹産業でもある。

そんな飯田市のシンボルのひとつが、
碁盤の目のような市街地の大通りに連なる〈りんご並木〉だ。
南北約300メートルにわたって12種類26本のりんごの木が植えられており、
地域を象徴するシンボルロードとして地域の人たちに親しまれている。

2023年で誕生70周年を迎えたこの〈りんご並木〉、
実はかつて中学生たちの強い熱意によって誕生したものだ。
当時から現在に至るまで、代々、生徒たちの手によって管理され、
今では毎年1万個以上のりんごが実を結んでいる。

プレートの整備など、飯田東中学校を中心とした〈りんご並木〉への取り組みが行われている。

プレートの整備など、飯田東中学校を中心とした〈りんご並木〉への取り組みが行われている。

ルーツは、昭和22(1947)年までさかのぼる。
当時、戦後日本最大の市街地大火といわれた「飯田大火」で市中心部の3分の2が焼失。
要因のひとつが、狭い道路幅と木造建築物の密集だった。

翌年からはじまった本格的な復興事業では、広い道路を設けることで延焼を防ぎ、
防火機能の拡充を図るまちづくりが進められた。
一方で、焼け野原となったまちは少しずつ復興していくものの、
城下町のまち並みは一変し、無機質で殺風景な風景が広がっていった。

大火から5年を経た昭和27(1952)年、
被災時に避難所となった飯田東中学校の第2代校長・松島八郎先生が、
北海道で開かれた全国中学校学校長会に出席。

札幌の道路の広さや街路樹の美しさに感銘を受け、帰校後の全校朝会でその光景を語った。
さらに、ヨーロッパには美しいりんごの並木があること、
落ちたりんごの実はまちの人が備え付けのかごに入れ、
盗む人はいないという話も生徒たちに伝えた。
そのうえで、まだまだ焼け跡が残る飯田市のまちにも街路樹が必要なことを話した。

2024年現在の校長は、滝澤勇一先生が務めている。

2024年現在の校長は、滝澤勇一先生が務めている。

その講話に素直に心を打たれた生徒たちが発案したのが、
寂しくなった市街地の防火帯である大通りに、自分たちの手でりんごの木を植える計画だ。
この計画が行政に上申され、市で検討されることに。
予算不足や、病害虫の被害を受けやすいりんご栽培の難しさの問題、
盗難による犯罪者増加の懸念、さらには市民の冷ややかな目などもあったが、
「並木でまち並みを美しくするだけではなく、まちの人々の心も美しくしたい」
という生徒たちの熱意が行政と人々の心を動かした。

そして、翌年の昭和28(1953)年、約2カ月にわたる生徒たちの手作業により、
とうとう大通りにりんごの苗木が植樹され、〈りんご並木〉が誕生。
生徒たちが維持管理に励んだ結果、大火からの復興のシンボルとして愛されるようになり、
今では飯田市のシンボルとして広く知られる存在になっている。

大河ドラマで再注目の滋賀県・大津で 行くべきグルメスポット5選

紫式部ゆかりの〈石山寺〉の参道に位置する〈石山テラス〉

現在NHKで放送している大河ドラマ「光る君へ」。
主人公である紫式部ゆかりの地のひとつが、滋賀県の大津市にある〈石山寺〉です。
平安時代、石山寺にお参りした紫式部は、びわ湖に映る中秋の満月を見て
『源氏物語』を起筆したと言われています。

〈石山寺〉

石山寺の創建は奈良時代、聖武天皇の命によって瀬田川のほとり、
伽藍山の麓に建立されました。
平安時代には石山寺へお参りする「石山詣」が貴族たちの間で流行しました。

国の天然記念物にも指定されている硅灰石の上に、
数々のお堂が建てられています

石山寺はその名の通り、国の天然記念物にも指定されている硅灰石の上に、
数々のお堂が建てられています。

〈石山テラス〉

そんな大津の名所石山寺の参道に2022年4月にオープンしたのが、
スイーツ&ベーカリーが4店舗入る複合施設〈石山テラス〉です。

お芋スイーツ専門店〈芋屋十三〉、〈石山寺プリン本舗〉のスイーツ

お芋スイーツ専門店〈芋屋十三〉は、〈石山寺〉が日本最古の巡礼の路である
西国三十三所の「第十三番」だったことに由来します。
産地・品種から厳選したさつまいも使用し、独自の二段階焼成によって
甘みを引き出した「焼き芋」(400円)や、目の前で出来たてを提供する
「絞りたて お芋のモンブラン」(850円)などが名物です。

〈石山寺プリン本舗〉では、近江八幡市の高木牧場の牛乳を100%使用するなど
滋賀県産の素材にこだわり、ひとつひとつ手づくりしたプリン(1個400円〜)
を販売しています。
生クリームをたっぷり使ったなめらかな口溶けが特徴のプリンで、
甲賀市の朝宮茶や守山市のモリヤマメロン(期間限定)などを使った
多彩なフレーバーのプリンも味わうことができます。

information

map

石山テラス

住所:滋賀県大津市石山寺3-1-7

営業時間::00〜18:00

店休日:不定休

TEL:077-548-8810

Web:〈石山テラス〉公式ウェブサイト

全国に近江牛の名を知らせた老舗〈松喜屋〉

〈松喜屋(まつきや)〉

滋賀県といえば近江牛の名産地。
明治初期に近江牛の生産体制を整え、東京や横浜への輸送・販売に注力し
「近江牛肉」の名を全国に広めたのが〈松喜屋(まつきや)〉の先祖である
西居庄蔵翁です。
庄蔵翁は、明治16年に創業した〈銀座の松喜屋〉に近江牛を一手に納入し、
明治・大正・昭和の三代にわたり宮内庁御用達として近江牛を納めてきました。

人気の近江牛専門店

そんな歴史ある〈松喜屋〉は、国内外の観光客だけでなく、
滋賀県民がお祝いの際に利用するなどいまなお人気の近江牛専門店です。
本店レストランには日本最大級の長さを誇る31席のステーキカウンターがあり、
ステーキだけでなく40種類以上にわたる牛肉の創作料理を味わうことができます。

期間限定の「紫式部近江牛御膳」

近江の魅力を存分に味わえるのが、2024年11月30日までの期間限定で登場している
「紫式部近江牛御膳」(5500円〜)です。
十二単になぞらえ近江牛のローストビーフなど12種類の食材で構成されたサラダや、
紫式部の好物だったと言われるイワシの南蛮漬け、近江牛の手毬寿司にステーキ、
「蘇」をイメージしたチーズケーキなど、紫式部のストーリーとともに味わえます。

information

map

松喜屋

住所:滋賀県大津市唐橋町14-17

営業時間:11:30〜15:00(LO14:00、土日11:00〜)、17:00〜21:30(LO20:00)

店休日:不定休

Tel:077-534-2901

Web:〈松喜屋〉公式ウェブサイト

日本中から新鮮魚介が大集合! 〈SAKANA&JAPAN FESTIVAL2024 in 代々木公園〉が 2月22日~25日に開催

新鮮な魚介グルメを味わえる4日間

全国各地の魚介グルメが一堂に会する〈SAKANA&JAPAN FESTIVAL2024 in 代々木公園〉
(以下、魚ジャパンフェス)が、2月22日~25日の期間に開催されます。

2019年2月に第1回が開催された〈魚ジャパンフェス〉は、
コロナ禍を経て2023年2月に4年ぶりに復活。

姉妹イベントと合わせた累計来場者数が約167万人にのぼる
日本最大級の魚介グルメフェスティバルです。

今回の開催では、東日本大震災からの復興応援を目的に「常磐もの」と呼ばれる
福島県産の魚介を使った料理が味わえる〈発見!ふくしまお魚まつり〉が
同時開催となるほか、高校生が考案した福島県の特産品を使ったスイーツが楽しめる
〈ふくしまスイーツフェスティバル〉が初開催されます。

過去に開催された〈魚ジャパンフェス〉の様子。

過去に開催された〈魚ジャパンフェス〉の様子。

日本最大級の魚介グルメフェスティバル

マグロやサーモン、カニ、イクラなど、全国各地から集まった旬で新鮮な魚介を
海鮮丼や海鮮ラーメン、海鮮パエリアといった和洋中の料理で堪能できる
〈魚ジャパンフェス〉。

今回の開催では、能登半島地震で震度6強の揺れに見舞われた石川県七尾市からも、
名産〈能登かき〉の生産者〈三次水産 能登牡蠣養殖場〉(以下、三次水産)と
〈木村功商店〉の2ブースが出店します。

〈三次水産〉の能登かきガンガン焼き。

〈三次水産〉の能登かきガンガン焼き。

世界農業遺産「能登の里山・里海」に認定されている七尾湾は、
海域の栄養が豊かなことからカキの養殖が盛んで、旨みたっぷりに
育ったカキを目当てに、毎年多くの観光客が訪れます。

しかし、今回の地震で養殖施設が大きな被害を受けたうえ、
観光客が訪れることは難しい状況が続いています。

〈三次水産〉によると、旬の1~3月は年間売上の7割以上を占める書き入れどきで、
廃業に追い込まれる生産者も出かねない状況といいます。

被害を受けた作業場で出荷再開の準備を急ぐ〈三次水産〉。

被害を受けた作業場で出荷再開の準備を急ぐ〈三次水産〉。

そんななか、〈三次水産〉では作業場の復旧など出荷再開の準備を進めており、
「こんな時だからこそ、おいしいカキを届けたい」と、予定通り出店を決意。

同じく出店を決めた〈木村功商店〉の木村功さんも、「今年もおいしいカキが
育ったので無駄にはしたくない」と話します。

当日、各ブースではお取り寄せの申し込みも受け付け予定とのことなので、
会場や自宅で〈能登かき〉のクリーミーで濃厚なおいしさを味わってみては
いかがでしょうか。

淡路島の民宿〈南海荘〉で焼く 圧巻のバゲットとカンパーニュ。 14年の日進月歩

パンのおいしい民宿が、南あわじにある

2012年夏に淡路島の南端、南あわじ市の〈南海荘〉のご主人・竹中淳二さんを訪ね、
イタリアンがおいしい民宿の秘密を密着取材した。
この様子はコロカルのエリアマガジンで公開されている。

当時から竹中さんの地産イタリアンとワインのペアリングは抜群のセンスだったが、
この12年間で進化しているのが、
コース料理の序盤と終盤に料理のおともとしてサーブされるバゲットとカンパーニュだ。
より芳醇に、より余韻が長く。
単体で食べたとき、白身の魚と合わせたとき、ジビエと合わせたときで印象が変わるが、
特に皿に残った濃厚な旨みのソースを拭ったバゲットの旨さたるや!

2015年に食事処の和室から離れで食べるというスタイルに変え、
より非日常感を味わえるようになったが、
和の装いのシンプルな個室で、箸で食べるイタリアンがこれほどまでに印象的なのも、
バゲットとカンパーニュという名脇役がいるからだ。
そんなパンを生み出す竹中さんに、南海荘流のバゲットとカンパーニュの極意を聞いた。

「パンをたくさん食べてほしい」

「『パンがおいしい』って言ってもらえるのはうれしいですね。
料理やソースと一緒にパンを食べてもらうことで
味わいがいっそう膨らむように考えています。だからたくさん食べてほしいんです」
今日自家製のパンを提供するフレンチやイタリアンは珍しくないが、
竹中さんのパンにはコース料理にもみられる一貫した哲学や美学を感じられる。

竹中さんが自分でパンを焼き始めたのは2010年頃のこと。
それまでもパンを焼いた経験はあったものの、
農家の橘真さんが育てた小麦を炒ってバゲットを焼いてみたことで
開眼したのだという。
同時期に洲本市でパンや菓子を焼く〈アムリタン〉のチカコさんが、
レーズン酵母で焼いたパンを食べさせてくれたことも大きかった。
「そのパンが本当においしくて衝撃的で。
チカさんから本を借りて参考にしながら
レーズン酵母を起こしてパンを焼きました。
当然最初からうまくは焼けませんでしたが、とても楽しかったのを覚えています」

[hidefeed]

[/hidefeed]

そこから創作意欲がむくむくと湧き、パンづくりにのめり込んでいった。
地元産にこだわってつくり始めた玄米米粉のバゲットは、
もっちりとしすぎる傾向にあるので、
米の品種や小麦との配合を工夫しながら試作を続けてきた。
天気や気温で微妙に変わる水分量や酵母種の量も
「感覚だよりなところがあって、細かくは気にしていない」と笑いつつ、
料理人の勘と試作の手応えでレシピをつくりあげた。

淡路島の食のプロフェッショナルたち
(竹中さんにとっては「友人」でもある)から知見を得て、
それを竹中さん流にアレンジできてしまうのだ。
宿でパンを出すようになってから13年。今もレシピはほとんど変わらないのだという。

ほぼ完成型かと思われたパンづくりだったが、そこからブレイクスルーが起きた。
きっかけはコロカルのエリアマガジンで南海荘を撮影した写真家の在本彌生さんが
埼玉の天然酵母のパン屋〈タロー屋〉の本を竹中さんに献本したことだった。

「その本を読んでタロー屋さんが野菜や果物で酵母を起こしているのを知り
やってみたくなったんです」
2016年頃のことだった。「酵母で淡路らしさを出せるかも」とすぐさま取り入れた。

さまざまな果実を試すなかで、特にお気に入りの酵母は、梨と柿。
地元の産直やご近所から仕入れた柿で起こした酵母でパンを焼くと、
チーズのような乳酸発酵の香りがしたそうだ。
「柑橘も特徴が出ておいしいのですが、僕はこのふたつが好き。
梨と柿は同じような乳酸発酵の風味が出るのでおもしろいですよね」

この冬は柚子と金柑で酵母を起こした。
柚子酵母のカンパーニュは、
開栓したてのオリーブオイルのようなフレッシュな酸味とビターな後味が印象的だ。

金柑の酵母を起こすところ。「なるべく自然のもので起こしたい」というのが竹中さんのこだわり。夏場は3日ほどで酵母が起こるが、冬場は1週間以上かけてじっくりと様子を見ていく。

金柑の酵母を起こすところ。「なるべく自然のもので起こしたい」というのが竹中さんのこだわり。夏場は3日ほどで酵母が起こるが、冬場は1週間以上かけてじっくりと様子を見ていく。

元気に発酵中。果物を多く入れれば入れるほど発酵は早いそうだが、「量は計らず感覚」なのだという。

元気に発酵中。果物を多く入れれば入れるほど発酵は早いそうだが、「量は計らず感覚」なのだという。

竹中さんがイタリアンのコースで提供するのは、
主に玄米米粉のバゲットとカンパーニュの2種類(日によってはフォカッチャも)
バゲットは、その日近所の漁港であがった魚のカルパッチョと合わせて3皿目に出される。
南海荘のイタリアンコースは竹中さんのオリジナリティ溢れる構成で、
1皿目に1貫の握り寿司、2皿目にすまし汁と懐石料理的な前菜が続くのだが、
次が鮮魚のカルパッチョだと和からイタリアンへ一足飛びになってしまうものを、
玄米バゲットの存在があるから和のトーンを残したまま、
ゲラデーションのように本格的なイタリアンへ移行していくのだ。

一方カンパーニュはコースの中頃、
強い風味を持ったメイン級の素材とともに提供される。
あるときはカンパーニュのパン粉で揚げた鹿肉のカツ、
またあるときは〈3年とらふぐ〉の白子のソテーが乗せられ軽やかな日本ワインと一緒に。

そして終盤、魚料理と一緒にまた玄米バゲットが添えられてくる。
「ほんまパンを食べてもらうコースですね」と竹中さんは笑う。
2012年の取材当時も、美食家たちがこの竹中さんのイタリアン目がけて
全国からやってくると評判の宿だった。
行かないと味わえないというのが、淡路島にわざわざ足をはこぶ理由になっている。
すなわち、このパンに惹かれて来るのだ。

竹中さんは、ふとパンの奥深さを感じるときがあるという。
「おいしいパンを焼くための要素が無限にありすぎて、
その日その日でこんな感じかーと自然任せなんです。
だから、ゴールが“これ”というのがない。おいしかったらそれでいいんですよ。
気にしていることといえば口溶けですね。
口の中で団子にならないようにと気を使っています」