連載
posted:2024.2.28 from:愛知県名古屋市 genre:旅行 / 食・グルメ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
酒ライター岩瀬大二さんが、全国のまちで思わずその場で缶を空けたくなるほど魅力的な「焼酎ハイボールのお供」を見つけます。
“お供”とはご当地グルメに限らず、風光明媚な景色や地域の方々との対話なども立派な酒のアテ!
焼酎ハイボールを通してそのまちの多面的な魅力を発信していきます。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆。
credit
撮影:黒川ひろみ
焼酎ハイボールのアテ探し旅。
回を重ねて、相性が良さそうと予想できるもの、
冒険かなと思いながら思わぬ喜びが得られたものなど、
いろいろな体験を重ねることができた。
そのなかで、相性が良さそう、でも実際は冒険?
と思いを巡らせていたのが“名古屋メシ”だ。
伝統と新しさが感じられる赤味噌を使った酒場メニューや、
意外な食材の組み合わせによって生まれる、
ちょっと想像の斜め上を行くB級グルメの数々が、
焼酎ハイボールを待っている……ような気がしていた。
ということで、向かうのは〈大須商店街〉。
さて、どんな不思議な出合いが待っているのか。
大須商店街は総称というか愛称で、その実態は大須観音を中心とした、
8つの振興組合からなる実に大きな商店群だ。
東京だと浅草寺を中心とした、浅草エリアをイメージするとわかりやすいだろうか。
グルメ、服飾、日用品、雑貨、娯楽、サブカルなどなど、
名古屋の伝統的な食文化から流行までが混在し、
観音様ならではの明るい賑わいがあり、
でも、どこかカオスな空気感もある。
旅酒人とすればなんともワクワクさせられる場所だ。
まずは、ということで向かったのは〈矢場とん〉。
名古屋独自の食“みそかつ”を全国区にした人気店だが、
ここ大須店は、〈昔の矢場とん〉という名の酒場感たっぷりな店で、
売りはみそ串かつとみそおでん。
矢場とん広報部で味噌ソムリエでもある片山武士さんに聞けば、
「戦後、矢場とんが創業した1947(昭和22)年頃、
名古屋の屋台では赤味噌を使った土手焼、土手煮が人気で、
そこに串かつを入れたところ好評で、それがのちに、味噌かつへと進化していきました。
そこで、温故知新といいますか、
あえて味噌かつのルーツを掘り下げていったのがこの店です」
酒場×味噌の基本中の基本であるメニューにフォーカスしつつ、
次の主力になりそうな角煮や玉子なども加え、
まさに古きを知りつつ新しさも楽しめる場所。
そういえばと思い出したのは、矢場とんのみそかつのみそタレ。
ほかの店の味噌とちょっと違うな、という感覚があって。
それを尋ねると片山さんは笑顔で、
「そうなんです。まず甘さは控えめです。甘みがあるかなぁぐらいの感じ。
そしてドロッとしたものが多いなか、さらっとしています」
これは、味噌かつにかけるものをつくったのではなく、
土手鍋、土手煮にかつをつけた感覚を大切にしているからだそう。
原点の追求、こだわりだったわけだ。
それでも味わいが深いというのも特徴。理由は出汁にあった。
「普通の味噌だれの出汁は、カツオや昆布といった魚介。
これを味噌に溶かし込んでいき、ドロっと仕上げます。
ですが、矢場とんは、まず出汁のベースが豚肉。
かたいスジを煮込んで、煮込んで、凝縮し、
そこにこだわりの豆味噌を溶かし込んでいきます」
なるほど、タレというよりスープ感覚。
さらりとしたなかに豚肉のコクと旨みも感じられる。
さすが味噌が食文化に溶け込む名古屋、愛知ならではのこだわりだなと
感心していたところで、片山さんからうれしいひと言。
「だから、焼酎ハイボールにも合いますよ」
ニヤリと自信の笑顔。にぎわう店内を見れば、
月曜の昼からいろいろなお酒とともに楽しむ人たちを見て、早く自分も味わいたいと、
テイクアウトで袋に入れてもらった、串かつとみそおでんを二度見してしまうのだった。
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味噌グルメとともに名古屋の文化を語るうえではずせないのが喫茶店だろう。
ボリューム満点のモーニングや、小倉トーストといった話題もあるが、
なによりも喫茶店で過ごす、サロン的な楽しみ方がある。
昭和からの風情を紡いできた店が多く、
よき風景として名古屋のまち並みを彩っている。
大須に本店を構える〈コンパル〉もそのひとつだ。
創業は矢場とんと奇しくも同じ終戦から2年後。
「創業者の意志で内装にはほとんど手を入れずに、
昔の雰囲気を大切にしています」と店長の播磨良明さん。
播磨さんは、本店にバイトで入って、栄店の店長を務め、
本店に戻ってきた。そのころからの常連さんも多い。
常連さんに愛されているのは、この変わらぬ雰囲気、おいしいコーヒー、そして
「20種ぐらいありますかね」という、バリエーション豊富なサンドウィッチ。
1960(昭和35年)にレストランのシェフをスカウトし、
本格的に取り組んだというコンパルの代名詞だ。
長く愛される定番に加え、人気なのがエビフライサンド。
エビフライ3本を使うたっぷりとしたボリューム。
今日はこれをテイクアウトしよう。
登場は1988(昭和63)年。
「栄店の改装にあたって目玉商品をつくりたい。
せっかくなら名古屋らしいものを、ということで生まれました。
私が昭和62年生まれなのでほぼ同い年ですね(笑)」と播磨さん。
自社工場で独自に開発したというカツソースとタルタルの“食欲”
……いや、“吞み欲”を誘う香りに、
焼酎ハイボールとの時間への期待が高まる。
さて、2軒の名古屋グルメと、焼酎ハイボールを楽しもう。
まずは矢場とんの「ロース串かつ」。
味噌はちゃんと串かつに絡みつつも、確かにさらり。
甘さは控えめで焼酎ハイボールのコクとも好相性。
キレのある炭酸のあと、ほのかに余韻が残る。
続いて食した「みそおでんの豚角煮」は最近の人気メニューとのこと。
ここで“出汁は豚ベース”に納得。角煮から染み出す旨みと甘みと、
豚ベースの味噌から染み出す旨みと甘みは、
いってみれば豚から豚へ、そしてまた豚への無限ループ。
その無限ループに焼酎ハイボールが、驚くほど自然に入り込む。
角煮をもうひとつ追加しておけばよかったという後悔が少し……。
持った瞬間にボリューム感が伝わるエビフライサンドは、
トーストとエビフライの香ばしさがふわっと漂い、
かつソースも心地よい刺激を感じさせてくれる。
名古屋らしいものをというコンパルのプライドが伝わる。
タルタルとかつソースはキャベツの千切りとも見事なマッチング。
ここで焼酎ハイボール、投入。
頭の上に“!”という記号が浮かぶ。
想像以上にぷりぷりの弾力とガツンと弾ける感じが合う。
そしてダブルソースの刺激、エビの甘みとも混然一体に。
実はこの時間の前に、ちょっと道草をしてきた。
いい酒場が大須にはある。
どて、エビ串かつを楽しめる〈佐㐂(さき)〉。
実はここ、焼酎ハイボールが呑める店としてマークしていた。
味噌ダレとエビのバリエーションを2軒以外でも試してみたい。
ということで、味噌おでんとエビ串を注文。
味噌おでんはしつこくなくさらり。具材がちゃんとうまい。
味噌を使ったものだと甘いけれど塩辛く、濃い、というイメージもあるけれど、
なるほどこれなら酒に合う。
エビ串はぷりぷり。小ぶりで身がしっかり詰まっている。
衣がほんのり甘い。秘密は女将さん手づくりのパン粉。
やさしい味わいとエビのぷりぷりとアツアツ。
氷でキリっと割った焼酎ハイボールとの温度差もたまらなかった。
戦後間もなくから続く、酒場味噌グルメと喫茶。
復興から、成長、現在へ。時代時代の光と影のなかで、
人々を幸せなひと時へ誘ってきた文化と美味を、
焼酎ハイボールとともに味わう。楽しくて、深い。
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ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた
元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。
ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえと
キレのある辛口な味わいに加え、プリン体ゼロ※1、甘味料ゼロ※2、糖質ゼロ※3
といった機能面もうれしいひと缶です。
※1 100ml当たりプリン体0.5㎎未満をプリン体ゼロと表示。
※2 食品添加物としての甘味料は使用していません。
※3 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。
information
昔の矢場とん 大須観音店
information
コンパル 大須本店
information
佐㐂
住所:愛知県名古屋市中区大須2-17-2
TEL:052-221-6425
定休日:水曜
営業時間:11:30〜18:00
information
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