トミトアーキテクチャ vol.4
2016年4月9日、今から1年ほど前に、横浜市の丘の上の住宅街に木造二軒長屋を改修した
〈CASACO〉(カサコ)は無事オープンの日を迎えました。
改修のお手伝いをしてくれた多くの方々や、
CASACOに期待を寄せてくださるまちの方々に見守られるなか、
これから始まる「日常」のことを思っていました。

オープン時のメンバー。 後方左から冨永美保、伊藤孝仁、濱島幸生、玉腰純、前方左から春日井省吾、柴田真帆、加藤功甫。(photo:大高隆)

オープニングイベントの際の様子。(photo:大高隆)
石をたたいたり、埃まみれになったり、壁を壊したり、ペンキを塗ったり。
「汚れてもいい格好」で過ごした6か月間の「非日常」な日々から、
突如として穏やかな日常へと切り替わる。正直なところ、あまり想像がつきませんでした。
オープンの日は、設計者にとってみれば、ある責任から解放される日です。
ただ私たちは、継続して運営にも関わっていくことに決めていました。
旅・教育・まちづくり・建築といったバックグランドをもつ7名のメンバーが
CASACOの運営を担っています。
週1回のミーティングと、ウェブ上での情報共有を基本に、
CASACOでの出来事や活動を整理し、時間や空間やお金のマネジメントをしています。
CASACOがどういう場所であるべきかを、
短期的・長期的な視点にたって試行錯誤しながら検討しています。
自分たちが設計した建物が、どのように使われ、どこに問題があり、
どういった工夫を経て誰かの居場所となる日常を獲得していくか。
空間に血が通っていくプロセスを最前列で体験することは、
私たちにとってこれ以上ない学びの機会でもあると思いました。
CASACOの大家さんにお願いをして、同じ敷地内の建物の一室を事務所としてお借りしました。
設計中ずっとお世話になった横浜の古民家(vol.1登場)を後にし、
窓からCASACOが見える場所へ。トミトアーキテクチャの活動を始めて、
2年が経った頃でした。

(photo:大高隆)
住宅と公共的なスペースを両立させる運営は可能?
CASACOの現在の使われ方は、1階と2階で異なるのが特徴です。
2階はシェアハウスの居住スペースで、4つの部屋があります。
そのうち1〜2室は海外から語学留学に来ている学生のための
ホームステイ用の部屋になっており、スペースの管理を担う住民が、
ごはんや日本語の勉強の世話をしています。大きな広間やキッチンがある1階は、
住民の共有空間でありつつ、時間によって住民以外のまちの方々にも使われるような、
広い意味での共有空間です。
地域住民の「日直さん」によって運営されるカフェやバーであり、
ママさんたちのクラブ活動の場であり、子どもが放課後に立ち寄れる児童館のようであり、
散歩中にふと立ち寄る休憩スペースであり、
旅人が観光地では味わえないローカルな体験ができる場所であり、
いろんな人が出会い、思い思いの時間を過ごす場所です。

月毎に発行しているカレンダー。日直さんの個性があらわれるプログラムが日替わりで実施されています。
住宅でありながら不特定多数の人にスペースを開くというのは、
実は相当にチャレンジングなことだなと日々痛感しています。
曜日や時間、登場する人物によって場所のキャラクターが変わりながら、
人が居心地よく時間を過ごすために、きめ細かい調整を行う運営が必要になります。
毎日のようにイベントが実施され、たくさんの人がCASACOに出入りをしていたら、
2階の住民の心が休まりにくいですし、
1階がいかにも家のようになってしまうと入りにくい雰囲気になってしまいます。
また、CASACOが持続的に運営していくために必要なお金を稼ぐ必要もあります。
住民とまちの人、よそから遊びにくる方の関係をよりよくするための、
空間と時間とお金のマネジメントの方法を、試行錯誤しながらつくっていっています。




































































































