『テオ・ヤンセン展』 風を食べて動く生命体に 〈サンドーム福井〉で出会う

〈アニマリス・オルディス・クォータス〉帆部分に越前和紙が使われている〈ストランドビースト〉。地質時代にならい、ビーストの特徴と誕生時期にあわせてこのように名付けられました。頭の「アニマリス」は、英語で動物を意味する「animal」とラテン語で海を意味する「Mare」を組み合わせたヤンセンの造語。

テオ・ヤンセンと越前和紙、初のコラボレーション

無数の足がシンクロするように滑らかに動く、生き物のような
アートピース〈ストランド(砂浜)ビースト(生命体)〉。
CMなどで、皆さん一度はお目にかかったことはあるかと思います。
ですが、実際に見たことはありますか?
インスタにあげるなら動画であげたい……! そんな光景が広がっています。

黄色いプラスチックチューブでできているため、
非常に軽く、風を受けると簡単に前へ進むのです。

テオ・ヤンセン1948年生まれ。オランダはスフェベニンゲン出身。デルフト工科大学にて物理学を専攻後、画家に転向。新聞に寄稿したコラム記事『砂浜の放浪者』をきっかけに〈ストランドビースト〉を生み出す。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称され、芸術と科学の融合した作品を作り続けている。

テオ・ヤンセンは、1948年生まれ。オランダはスフェベニンゲン出身。デルフト工科大学にて物理学を専攻後、画家に転向。新聞に寄稿したコラム記事『砂浜の放浪者』をきっかけに〈ストランドビースト〉を生み出しました。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称され、芸術と科学の融合した作品をつくり続けています。

もともとオランダの海面上昇問題を解決するために
アーティストのテオ・ヤンセンによって生み出された〈ストランドビースト〉。
現在は歩行はもちろん、方向転換や危険察知などの機能を備え、
初期モデルもよりかなりレベルが上がっているのだそうです。

そんな〈ストランドビースト〉の過去から現在までのモデル、
そして越前和紙とコラボレーションした作品が登場する
〈テオ・ヤンセン展 in ふくい〉が、現在サンドーム福井で開催されています。

会場展示風景。広々とした空間に並ぶ〈ストランドビースト〉は圧巻。

会場展示風景。広々とした空間に並ぶ〈ストランドビースト〉は圧巻。

このように、巨大な〈ストランドビースト〉が会場に15作品も出現します。

このように、巨大な〈ストランドビースト〉が会場に15作品も出現します。

本展は日本初となるドーム会場での展示会。
会場には〈ストランドビースト〉15作品が展示され、
実際に動く巨大な姿を間近で見ることができます。

また、通常パラシュート生地の帆部分を越前和紙で制作した、
この展覧会のみの公開となる作品2体が登場。

広々としたサンドーム福井で、〈ストランドビースト〉が
それぞれ展示される姿はなかなかの迫力です。
〈ストランドビースト〉と越前和紙が、
どのように交わり、実際にかたちとなって動くのかにも注目したいですね。

「東京2020 オリンピック・パラリンピック」の エンブレムを手がけた野老朝雄氏が 有田焼とコラボレーション。 青で魅せる「つなげる」紋様

『五千五十水玉紋様皿(動図)』野老朝雄|Asao TOKOLO 2019

野老氏が表現する「青」を用いた有田焼

コロカルでも何度もご紹介している有田焼。
17世紀の佐賀県有田町でつくられた日本初の磁器であり、
透明感のある白磁の上に、花や草木などの図案が
藍をはじめ、赤や緑、黄、紫など色とりどりに、美しく表現されているのが特徴です。
高温で焼き締めるため丈夫で、長年人々の間で親しまれてきました。

今回、そんな有田焼と、美術家・野老朝雄(ところ・あさお)氏がコラボレーション。
現在、有田焼誕生の地にある〈佐賀県立九州陶磁文化館〉で、
野老氏がデザインした有田焼が展示されています。

野老氏は「つなげる」をテーマに、紋様の制作をはじめ、
美術、建築、デザインの境界領域で活動している美術家。

単純な形から核となるピースをつくり、
それをつなぎあわせたり増殖の法則を考慮したうえで
組み立てていく手法で紋様を形成。
そのようにつくられた作品には、“ものや人をつなげていきたい”という
野老氏の想いが込められています。

主な作品は、大名古屋ビルヂング下層部ファサードガラスパターン、
大手町パークビルディングのための屋外彫刻作品、
そして言わずと知れた、来年開催の「東京2020オリンピック・パラリンピック」
公式エンブレムなど。

オリンピック・パラリンピックのエンブレムとなった作品も、
日本の伝統色・藍色を基調に市松模様をアレンジしたもの。
野老氏の表現に深く関わってくる色、それが「青色」なのです。

〈三陸国際芸術祭〉 岩手、青森、世界の芸能に“触レル” パフォーマンスアートの祭典

三陸沿岸に国内外の芸能が集結

岩手県と青森県の三陸沿岸地域にて、
〈三陸国際芸術祭〉が開催されます。

三陸沿岸エリアは、世界でも類を見ない芸能の宝庫。
青森・岩手・宮城の三県だけでも、2,000以上の
郷土芸能団体が存在するといわれています。

三陸国際芸術祭はそうした郷土芸能をはじめ、
アジアの芸能や国内外のコンテンポラリーダンスなど、
ジャンルを超えたパフォーマンスアートが集う芸術祭です。

電車の中

今年のテーマは「触レル」。
日本の芸能に触れるとともに海外の芸能や現代の芸術と交流し、
相互の接触から過去を読み解き、現在を更新し、
新たな未来に向けて歩んでいくことを目指しています。

10月26日(土)〜10月31日(木)は、
気仙地区(陸前高田市・大船渡市)にて
さまざま鑑賞プログラムと体験プログラムを開催。

バロンダンス&トゥラン・ブーラン(インドネシア・バリ島)

バロンダンス&トゥラン・ブーラン(インドネシア・バリ島)

南国の熱狂に触れるなら、10月27日(日)に開催される
一夜限りのバリナイト、〈インドネシア・バリ島から
バロンダンスとガムランの夕べ〉へ。
キャッセン大船渡の千年広場にて
バリ舞踊・バロンダンスとガムラン演奏が行われます。

この芸術祭には“芸能を習う”プログラムも用意されています。
10月29日(火)〜31日(木)は3日間連続プログラム
〈大船渡まるごと芸能体験館×三陸国際芸術祭〉が開かれます。

大船渡市の「永浜鹿踊り」

大船渡市の「永浜鹿踊り」

仰山流笹崎鹿踊り、赤澤鎧剣舞、石橋鎧剣舞、
前田鹿踊り、永浜鹿踊りのレクチャーが行われ、
稽古場や衣装、芸能のはじめ方など、
普段は見られない芸能の内側に触れられます。
申し込み、詳細はこちらから。

箱根・岡田美術館で 古代にタイムトリップ!? 『DOKI土器!土偶に青銅器展 ―はにわもいっしょに 古代のパレード―』

『埴輪 壺をのせる女性 杯をもつ女性たち』古墳時代 5~6世紀 岡田美術館蔵

土器や埴輪などから読み解く古代の文化

箱根最大級の規模を誇る美術館〈岡田美術館〉で、
10月5日(土)から2020年3月29日(日)までの期間、
『DOKI土器!土偶に青銅器展 ―はにわもいっしょに古代のパレード―』
が開催されます。

日本と中国古代のやきものや青銅器約80点が一堂に展示されるこの展覧会。
併せて、中国との交流の中で発展したペルシア陶器が初公開されます。

展示内容を説明する前に、土器と埴輪の違いって? 青銅器ってなに?
という方も多いかと思うのでここで少しおさらい。

まず土器とは、粘土を素焼きした器のこと。
日本で土器が誕生したのは世界の歴史の中でも古く、
およそ1万3000年も前のこと。
当時ほとんどの土器に縄目文様がついていたことから、
縄文土器と名づけられ、時代名称の由来にもなったのだそう。
煮炊きや貯蔵などに用いられていたようですが、
縄文や粘土紐の貼り付け、透かし彫りなど、
その模様の緻密な美しさは惚れぼれしてしまうほど。

土偶は人や動物をかたどった土製品のこと。
日本で定義されているものは、縄文時代(紀元前15000年~紀元前400年頃)に
つくられた素焼きの人形で、その当時は時期・地域によって
さまざまな種類のものが登場したようですが、膨らんだ胸や腹のように
女性的な体の特徴を備えたものが多いことから、安産、子孫繁栄、豊穣などを
祈願する祭祀に用いられたものと考えられています。

古墳時代(3世紀後半~6世紀)、権力者の墳墓(古墳)の
上に並べられた素焼きのやきものを埴輪と呼びます。
最初は筒形でしたが、次第に権威を示す家屋や道具、動物、人物へと
時代を重ねるごとに変化していった埴輪の形。そこからは、
当時の人々の生活や風俗が想起されます。

青銅とは銅と錫の合金のこと。それを器にしたものが青銅器で、
古代の西アジアを起源に世界各地でさまざまなものが作られています。
中国では紀元前2000年頃に誕生。殷・周時代のものは、技術・芸術両面で
最高峰と言われています。その中でも「中国古代美術の白眉」と言われる
殷の青銅器は、祭りの際の器(祭器)として使用され、王権のシンボルとなる
重要なものなのだそう。

アーティストと市民パフォーマーで
つくるOeshikiの音。
ツアーパフォーマンス『BEAT』開催へ

〈Oeshiki Project〉から見る東京のローカルの未来 vol.4

雑司が谷に江戸時代から伝わる伝統行事
「御会式(おえしき)」を軸に展開するアートプロジェクト〈Oeshiki Project〉。
その背景やプロセスを、劇作家であり、このプロジェクトのディレクターである
石神夏希さんが紹介していきます。

自分たちのOeshikiを立ち上げる

1年以上かけて準備してきた〈Oeshiki Project〉も、いよいよ本番間近。
前回の記事では昨年、初めての御会式を体験したあと、
『BEAT』というツアーパフォーマンスを着想した話を書いた。

天皇のご病気で御会式が自粛になった昭和63年、我慢できなかった人たちが、
家の中で太鼓を叩き出し、だんだんと音が集まって、
小さいながらも「御会式」をやっ(てしまっ)た。

太鼓の魔力と魅力は世界共通。古今東西、さまざまな儀式や祭りに用いられてきた。(写真:鈴木竜一朗)

太鼓の魔力と魅力は世界共通。古今東西、さまざまな儀式や祭りに用いられてきた。(写真:鈴木竜一朗)

御会式は、誰かに言われてやるものじゃない。
地域の決まりだから参加するのでもない。明確なルーツがあるわけでもない。
文化も言葉も違う、さまざまな地方から集まった江戸の庶民たちの間から、
自然発生的に生まれたビート。
それが伝わって、広がって、やりたい人がいるから「伝統」として続いている。

Oeshiki Projectツアーパフォーマンス『BEAT』は、御会式の当日10月16日(水)~18日(金)に上演される。

Oeshiki Projectツアーパフォーマンス『BEAT』は、御会式の当日10月16日(水)~18日(金)に上演される。

そんな、「はじまりの御会式」を見たい。
だから『BEAT』では、現代の東京に国境を越えて集まった
トランスナショナルな「東京市民」のパフォーマーたちと、
当日やってくる観客(参加者)たちと一緒に、
自分たちの手でOeshikiを立ち上げてみたいと思った。

御会式で用いる団扇太鼓。(写真:鈴木竜一朗)

御会式で用いる団扇太鼓。(写真:鈴木竜一朗)

それに、雑司が谷の人たちと、新しく来た人が伝統文化を教わるという関係じゃなくて、
異なる文化を持った者同士として対等に出会いたい。
だから太鼓の曲も、衣装も、万灯も、自分たちでやってみる。
まち中を練り歩き、最後に、雑司が谷の御会式に合流する。
そのとき初めて、江戸から続くビートの奥行きも、実感できるんじゃないだろうか。

ゆるかわな画風に癒される! 「博多の仙厓さん」が 福岡市美術館で一挙公開

仙厓義梵筆『双狗図』

ゆるかわな画風で人気を博した仙厓さん

「きやん~」

ちょっと肩の力が抜けたお犬様2匹。
こんな落書きを中学校の習字の時間に、書いたなあなんて方も多いのでは?

こちらは日本初の禅寺である福岡市博多の聖福寺の住職を長く務め、
江戸時代中期に活躍した禅僧・仙厓義梵(せんがい・ぎぼん/1750~1837)の作品。

仙厓は、親しみやすい書画を通して難解な禅の教えを
わかりやすく伝えたことから「博多の仙厓さん」と呼ばれ、
子どもから大人まで多くの人々に慕われました。

そのため、博多には仙厓の作品をコレクションする
文化人や実業家が多いのだとか。

今回の展覧会は、福岡市で証券会社を経営していた
小西友次郎氏が収集し、2016年度に息子である昭一氏より
寄贈された55点にも及ぶコレクションが展示されます。
展覧会はこの寄贈を記念したもので、
コレクションの全貌が公になるは初めてとなります。

〈福岡の森八女の木プロジェクト〉
木質化リノベーションやイベントでの
八女材活用術

中島宏典 vol.5

前回に続き、八女の林業活性化をテーマにお送りします。

市民のみなさんにも、まちづくり団体や建築業界にも、
八女で良質な木材製品が生産・加工・利用できていることを知ってもらいたい。
とはいえ、「八女の杉が良いので、ご利用ください!」と口頭で説明しても、
実体験する場がなければ、その良さは誰にも伝わりません。

そこで前回ご紹介した〈里山ながや・星野川〉のほか、
市庁舎、オフィス、賃貸住宅、ホームセンター、
まち並みの修理やイベントなどさまざまなシーンで八女杉を活用し、
八女杉の魅力に触れていただく機会を増やしています。

これらの取り組みは、林業の川上~川中~川下まで、
つまり森のつくり手から製材所や工務店、そして使い手までを含めた
関係者で構成するチーム〈福岡の森八女の木プロジェクト〉が主体となっています。
このチームをつくるために、森林組合や製材所の集まりに何度もお邪魔して
意図を説明し、先進地視察にうかがってノウハウを聞きつつ課題を共有し、
八女杉を利活用するためチーム一丸となって動き始めました。

八女市役所内をリノベーション。移住定住センターをオープン

まずは地元で八女杉の良さを認識してもらうため、
八女市本庁舎の一室(約33平方メートル)を、八女杉を使って木質化リノベーションし、
〈八女市移住定住支援センター〉を設置することになりました。

昭和45年に建築された事務室の天井材を剥がし、
杉板のルーバー(細長い板を枠組みに隙間をあけて平行に組んだもの)を設置し、
八女杉でオフィス家具を制作。お子さん連れのファミリー向けに、
少し遊べるよう八女杉のブランコも設置しました。

単純に木をたくさん使えば良さが伝わるものではありません。
床はモルタル仕上げにし、スギ材との対比・バランスを図ることで、
木の良さを引き立てる空間となりました。

工事は、里山ながや・星野川でも活躍いただいた、
八女市星野村在住の大工・今村俊佑さんを中心に、
地元の若手の職人さんたちが工事を行ってくれました。

〈八女市移住定住センター〉工事中。工事は、市役所の通常業務の時間を避けて、夜間及び休日の作業となりました。

〈八女市移住定住センター〉工事中。工事は、市役所の通常業務の時間を避けて、夜間及び休日の作業となりました。

八女杉を壁や天井に利用しているところ。

八女杉を壁や天井に利用しているところ。

八女市移住定住センターのリノベ後。

八女市移住定住センターのリノベ後。

こうして2017年に八女市移住定住支援センターがオープンし、
八女の移住希望者をお迎えする空間が完成しました。

市庁舎の廊下を歩いていると、途中から杉の香りがほんのり漂います。
そして突然現れる木の温かみある空間に驚いていただき、
八女杉に癒されつつ、ゆったりと話をしていただけています。
何より日頃から、市役所職員のみなさんに打ち合わせなどで
積極的に空間を活用していただいていることがうれしいです。

建築関係者の方からは、
「これ、八女の木? よか木目をしとるやんね!」という声が聞かれるようになり、
八女杉の良さが少しずつ見直されていることを実感しています。
林業者から製材所、工務店まで、業界全体が有機的につながったチームで
実績が生まれたことも大きな成果でした。

雑司が谷の「御会式」に
もうひとつのOeshikiが出会う。
ツアーパフォーマンス『BEAT』

〈Oeshiki Project〉から見る東京のローカルの未来 vol.3

雑司が谷に江戸時代から伝わる伝統行事
「御会式(おえしき)」を軸に展開するアートプロジェクト〈Oeshiki Project〉。
その背景やプロセスを、劇作家であり、このプロジェクトのディレクターである
石神夏希さんが紹介していきます。

「御会式を見たことがない」からのスタート

「まずは今年の御会式に参加して、全部を見てください。
そのうえで、一緒にやれるかどうか、話しましょう」

ちょうど1年前に、御会式を取り仕切っている
「御会式連合会」の人から投げかけられた言葉だ。
厳しくも聞こえるけれど、門前払いされなくて本当によかった。
うれしさと「本当にできるのだろうか」という不安を抱えて、
雑司が谷から池袋駅まで歩いた。

〈Oeshiki Project〉のはじまりは、簡単ではなかった。
雑司が谷の「御会式」は、そもそもは仏教の行事。
宗教行事に、公共的な文化事業が関わること自体に、なかなか理解は得られなかった。
慎重になるのも理解できる。

御会式は江戸庶民の祭り。秋の風物詩であり、季語にもなっている。(写真:鈴木竜一朗)

御会式は江戸庶民の祭り。秋の風物詩であり、季語にもなっている。(写真:鈴木竜一朗)

だが御会式は同時に、この地域に受け継がれてきた文化であり、
無形民俗文化財としても認められている。
その保持者は、地域住民からなる組織・御会式連合会、
つまりお寺ではなく、地域に暮らす人々自身だ。

地元21講社からなる御会式連合会のみなさん。(写真:鈴木竜一朗)

地元21講社からなる御会式連合会のみなさん。(写真:鈴木竜一朗)

2018年9月。紆余曲折の末、ようやく連合会の会合に参加させてもらった。
すでにお寺の賛同は得ていたが、事前に連合会へ挨拶に行った実行委員会の担当者は、
「なぜ協力しなきゃいけないんだ」
「御会式への愛が感じられない」と追及されたらしい。

鬼子母神さんに祈ってから臨みましたが、ガチガチに緊張しました……。(写真:鈴木竜一朗)

鬼子母神さんに祈ってから臨みましたが、ガチガチに緊張しました……。(写真:鈴木竜一朗)

この日、私は連合会に初めて参加して、
「御会式をテーマとしたパフォーマンス作品をつくりたい。
来週には、雑司が谷の近所に引っ越してきます」と伝えた。

雑司が谷の猫も素知らぬ顔。

雑司が谷の猫も素知らぬ顔。

地域の人たちから返ってきたのは、胡散臭いものを見る眼差しと、冒頭の言葉だった。
企画が立ち上がってから、10か月が過ぎていた。
東アジア文化都市の開幕まで、あと半年。

神話の島・壱岐島に、 天野喜孝・藤沢とおる作品が! 漫画カルチャー誌『COZIKI』から 生まれた漫画・アート展『カミテン』

古事記をモチーフに、新たな神話を

2019年10月11日(金)〜10月14日(月・祝) 、
長崎県壱岐市の壱岐島にて『カミテン』が開催されます。
これは、壱岐島で実施している漫画とアートのプロジェクト
〈COZIKIプロジェクト〉の一環として開催される漫画・アート展。

天野喜孝、藤沢とおる、寺田克也、河村康輔、下田昌克、大橋裕之、マッチロなどの
漫画家・イラストレーターの作品や、写真家の嶌村吉祥丸や川島小鳥が
現地で撮影した小松菜奈、森山未來、夏帆の写真などを展示します。
さらには、水曜日のカンパネラとオオルタイチによる
ユニット〈YAKUSHIMA TREASURE〉のライブや、
地元食材を使ったスペシャルメニューなども。
壱岐島を見て・食べて・触れられるイベントです。

マンガ家、イラストレーター寺田克也が現地でライブドローイングした作品。撮影は嶌村吉祥丸。嶌村は壱岐で撮影した小松菜奈『MOON DANCE』と森山未來『Dance with Monkeys』の未公開写真を含む写真展も開催。

マンガ家、イラストレーター寺田克也が現地でライブドローイングした作品。撮影は嶌村吉祥丸。嶌村は壱岐で撮影した小松菜奈『MOON DANCE』と森山未來『Dance with Monkeys』の未公開写真を含む写真展も開催。

日本最古の歴史書、古事記にも登場する「壱岐島」。
福岡と対馬のあいだに浮かぶこの島には、
1000を超える神社や祠が点在し、神々の宿る島とも呼ばれています。

ところが近年は人口が減少傾向にあり、
観光客や移住者の誘致が大きな課題になっています。
そこで「神話が息づく島の文化、豊かな自然や地形、美味しい食物などを
未来に伝えたい」と始まったのがCOZIKIプロジェクト。

企画会社の〈キリンジ〉と出版社の〈ライスプレス〉が2018年に立ち上げ、
いまでは壱岐市と官民連携で取り組んでいます。

活動の第一弾として発表されたのは、壱岐島でしか買えない漫画カルチャー誌『COZIKI』。
アーティストが手がけた島を舞台にした作品や、
古事記をテーマにした作品を通して壱岐島の魅力を伝えています。

『COZIKI』創刊号(左)、2号(中央)、3号(右)。3号の表紙は壱岐島で撮影した森山未來。

『COZIKI』創刊号(左)、2号(中央)、3号(右)。3号の表紙は壱岐島で撮影した森山未來。

誌面はリジナリティあふれる作品に彩られ、
アーティストたちの視点で綴られたエッセイや観光情報も。
河村康輔による『火の鳥』のコラージュ、
大橋裕之が将来に悩む島の高校生を描いた『ドライブ』、
川島小鳥氏が夏帆をとらえた『夏帆の思い出』などなど、魅力的な作品が一杯です。

カミテンオリジナルグッズのひとつ「壱州豆腐キーホルダー」1300円(税別)※30個限定。壱岐の名物、壱州豆腐を藤沢とおるに漫画にしてもらい、カミテンでは食品サンプルキーホルダーを発売。(c) 藤沢とおる

カミテンオリジナルグッズのひとつ「壱州豆腐キーホルダー」1300円(税別)※30個限定。壱岐の名物、壱州豆腐を藤沢とおるに漫画にしてもらい、カミテンでは食品サンプルキーホルダーを発売。(c) 藤沢とおる

実は仙台にあるんです。 〈芹沢銈介美術工芸館〉で 企画展が開催中!「芹沢銈介は、 のれんと着物だけじゃない」 

試作や下絵を見られる〈デザインノート〉

〈東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館〉で、
企画展『芹沢銈介のデザインノート』が開催中です。

芹沢銈介は、「型染絵」という
独自の技法を確立させた重要文化財保持者(人間国宝)。

作品のみならず、世に出ていない試作や、
手書きの指示が入った下絵などを多く見られる今回の展示。
銈介氏がどんな構想を練って作品と向き合っていたのか、
晩年まで全力を注いだ制作風景を想像できる展示として、
〈デザインノート〉と名付けられました。

なぜ仙台に? 銈介氏が望んだ東北の陳列館

東北福祉大学東口キャンパス2階にある〈芹沢銈介美術工芸館〉入口。JR仙台駅から徒歩約3分の好立地で、新幹線の待ち時間を利用して訪れる人も多いそう。

東北福祉大学東口キャンパス2階にある〈芹沢銈介美術工芸館〉入口。JR仙台駅から徒歩約3分の好立地で、新幹線の待ち時間を利用して訪れる人も多いそう。

出生地・静岡に1981年〈静岡市立芹沢銈介美術館〉が完成していますが、
東北の風土や手しごとを愛した銈介氏は、
東北の人たちにも自身の作品を見てもらいたいと、陳列館設立を願います。

生前その願いは叶いませんでしたが、
考古学の第一人者である長男・長介氏が東北福祉大学で教鞭をとるとなった際、
ちょうど大学が感性教育に力を入れ、美術館建設を計画していると耳にします。
それであればと、約1,000点の資料を寄贈。
1989年、国見キャンパスに〈芹沢銈介美術工芸館〉が開館し、
初代館長に就任しました。

美術館のある2階のエレベーター扉。銈介氏がデザインした着物模様「立木文(たちきもん)」を小さくあしらった図案が並びます。

美術館のある2階のエレベーター扉。銈介氏がデザインした着物模様「立木文(たちきもん)」を小さくあしらった図案が並びます。

2019年1月に、仙台駅東口キャンパスに移転。
年約3回企画展が催され、
今では3,000点にのぼる収蔵品の中から厳選した資料を鑑賞することができます。

まちなかに息づく、身近な芹沢デザイン

今回の企画展では、「より身近に芹沢デザインを感じてもらいたい」と、
包装紙や酒瓶ラベル、品書きやマッチボックスなど、
ふだんの生活で目にしたことがあるかもしれない
身近な品のデザインが数多く展示されています。

芹沢銈介がこれまでにデザインした数多くの包装紙や品書き。愛知・名古屋の割烹〈八雲〉、東京・新宿の〈民芸茶房すずや〉、愛媛・松山の日本料理〈すし丸〉など。

芹沢銈介がこれまでにデザインした数多くの包装紙や品書き。愛知・名古屋の割烹〈八雲〉、東京・新宿の〈民芸茶房すずや〉、愛媛・松山の日本料理〈すし丸〉など。

日本各地に店舗をもつ京懐石〈美濃吉〉ののれんや、
菓子屋〈銀座 あけぼの〉の〈味の民藝〉の掛紙には、
今でも銈介氏のデザインが残り、手にとることができます。
〈味の民藝〉の掛紙は、銈介氏の代表作〈春夏秋冬〉をあしらったもの。
季節に合わせて掛紙が変わります。

〈春夏秋冬〉をつかった〈銀座 あけぼの〉の〈味の民藝〉の掛紙。朱色は正月限定の「飛」。

〈春夏秋冬〉をつかった〈銀座 あけぼの〉の〈味の民藝〉の掛紙。朱色は正月限定の「飛」。

京都・嵯峨嵐山に新しく 〈福田美術館〉が誕生! コンセプトは「100年続く美術館」

〈福田美術館〉空撮全景

錚々たる有名画家の作品や幻のコレクション約1500点を所蔵

2019年10月1日、京都に新たな美術館がオープンします。
その名は〈福田美術館〉。古くから多くの貴族や文化人に愛され、
現在は観光地として栄えている嵯峨嵐山に誕生です。

「100年続く美術館」をコンセプトに
オーナーである福田吉孝氏の生まれ故郷であり、
現在も住んでいるという京都に恩返ししたいという想いで創建された同館。

エントランスロビー

エントランスロビー

廊下

「縁側」のような廊下

展示室

「蔵」をイメージした展示室

外壁ガラスの文様

「網代文様」をもとにデザインされた美しい外壁ガラス

建物は伝統的な京町家のエッセンスを踏まえつつ、
100年後も通用するような洗練されたデザインに。
周辺の自然に溶け込む外観、「蔵」をイメージした展示室、
「縁側」のような廊下、「網代文様」から着想された壁面ガラスなど、
随所に日本的な意匠が散りばめられています。

大堰川対岸の桜越しに望む福田美術館

大堰川対岸の桜越しに望む〈福田美術館〉

大きな水盤

嵐山を映し出す「水鏡」となる大きな水盤

カフェの内観

「渡月橋」が最も美しく見えるカフェ

庭には大きな水盤があり、目前を流れる大堰川(桂川)に
連なる水鏡のごとく、嵐山を映します。館内には、
この地のシンボルである渡月橋を一望できるカフェも併設。

近藤聡乃の初回顧展が 福岡県・三菱地所アルティアムで開催!

本展メインビジュアル

1998年から2019年までの約50点の作品を一堂に展示

ニューヨークを拠点に、アニメーション、マンガ、絵画、エッセイなど
幅広く作品を手がけている近藤聡乃氏。
読者のみなさんも、彼女の本を読んだことがあるという方は多いのでは?

この度、待望の彼女の初回顧展が、10月12日(土)より
福岡県の三菱地所アルティアムで開催されます。

『KiyaKiya_painting02』

『KiyaKiya_painting02』2011年キャンバスに油彩 76×102cm 撮影:宮島径Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

『ニューヨークで考え中』

『ニューヨークで考え中』(2) 亜紀書房 2018年出版Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

代表的なアニメーション作品のほか、なんと高校時代に初めて描いた
マンガ『女子校生活のしおり』、アニメーション、スケッチ、絵画、
ドローイングなど異なる形式で表現した『KiyaKiya』、
現在連載中の恋愛マンガ『A子さんの恋人』、そして未発表の絵画作品を含む
約50点もの作品が登場する本展。

滋賀県・比叡山延暦寺に ゲゲゲの鬼太郎がやってくる! 〈ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の 七不思議展〉

比叡山延暦寺

ゲゲゲの鬼太郎と延暦寺の妖怪がコラボレーション!

境内が真っ赤に染まる秋の滋賀県・比叡山延暦寺。
ここで、10月12日(土)より〈ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展〉が開催されます。

伝教大師1200年大遠忌を記念し、
国の登録有形文化財に指定され、通常非公開となっている
大書院を特別に公開するかたちで行うこの展覧会。

日本仏教の母山と言われる天台宗総本山・比叡山延暦寺。
天台大師の教えを日本に伝え、教え広めた伝教大師・最澄によって
開かれたことで有名ですが、最澄が亡くなって令和3年で1200年経ちます。

比叡山延暦寺では、その1200年の大遠忌に際して、
平成24年4月1日から令和4年3月末日までの10年間で
さまざまなプロジェクトを実地。

今回は比叡山延暦寺に古くから伝わる七不思議にちなみ、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』 に
登場する妖怪などが描かれた約20作品の日本画が展示されます。

手がけたのは、約500年前から桃山時代京都所司代後豊臣政権の
五奉行にあたる前田玄以を先祖に、代々伝わる文献を基に
織や染めなどに着眼し復元と創作を行っている京都の工房・豊和堂の
アートディレクター兼絵師の山田晋也氏と友禅絵師の平尾務氏。

紅葉見学に訪れた鬼太郎と目玉おやじとねずみ男が、
この山に伝わる七つの不思議な噂を耳にし、
噂の場所を巡りながら、比叡山の妖怪達に出会うという
ストーリーから着想を得た作品が展示されます。

江戸に住んだサムライの生きざまに迫る 『「士 サムライ」 -天下太平を支えた人びと-』展が開催

『薩摩藩の役人』フェリーチェ・ベアト撮影 1863~1870年頃 個人蔵

勝海舟や高橋泥舟の所用品も展示

東京都江戸東京博物館で、9月14日(土)より
特別展『士 サムライ-天下太平を支えた人びと-』が始まっています。

“サムライ”という言葉は世界中で使われていますが、
武家・武士・侍・浪人など、よくよく掘っていくとその詳細はさまざま。
全員が歴史的な実態をふまえてこの言葉を使っているとは言いがたく、
日本で“サムライ”についてきちんと語れる人はごくわずかではないでしょうか。

この展覧会では、風俗画や古写真、古記録、当時の道具類など、
約200点あまりの多彩な資料を展示し、江戸時代のサムライ=〝士〟の
暮らしや仕事ぶりに注目、実際に生きた彼らの姿に迫ります。

展示構成は以下のとおり。

プロローグ ―都市のサムライ―
武都江戸―太平の諸相―/武人の沿革―サムライとは何か―

第一章 士 変容 ―武人から役人へ―
下剋上―天下太平の世の軍団―/天下普請―平時の集団動員―/天下一統―出仕行列と狩猟儀礼―

第二章 士 日常 ―実生活のあれこれ―
日常の断片―泥絵と古写真から―/江戸勤番―大名屋敷の生活―/旗本御家人―御直参の勤めと暮らし―

第三章 士 非常 ―変事への対応―
災害出動―救命のための戦い―/生老病死―人生との戦い―

第四章 士 交流 ―諸芸修養と人材交流―
学芸と人脈―大田南畝と平賀源内―/士と庶の間―川崎平右衛門―/ 江戸の武芸―剣術と砲術―

第五章 士 一新 ―時代はかけめぐる―
幕末の外交使節団―使節一行と野々村一之進/幕末の軍事―講武所と軍制改革―/幕末の三舟―勝海舟・高橋泥舟・山岡鉄舟―/大政奉還―武都の変容―

エピローグ ―サムライ、新たな生き様―
サムライ観の受容と変容―和装と洋装―/一新とサムライ―川村帰元・清雄と井上廉―

生誕120年! 兵庫県・姫路で川端康成の 大規模展覧会が開催

ロダン『女の手』を見る川端康成撮影:林忠彦

川端の“美術”と“文学”それぞれの側面にフォーカス

今年は日本人初のノーベル文学賞受賞作家・川端康成の生誕120年の年。
それを記念して、兵庫県にある姫路市立美術館と姫路文学館で
〈生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展〉が開催されています。

さまざまな美術品を収集していたことでも知られる川端康成。

国宝 池大雅《十便図》より「釣便」1771年公益財団法人川端康成記念会蔵

国宝 池大雅「十便図」より『釣便』 1771年 公益財団法人川端康成記念会蔵

岸田劉生「童女像」 1923年東山家蔵

岸田劉生『童女像』 1923年 東山家蔵

国宝に指定される浦上玉堂の《凍雲篩雪図》から、
池大雅・与謝蕪村の《十便十宜図》、土偶や仏像などの古美術、
東山魁夷・古賀春江・草間彌生といった近現代日本美術、
ロダン・ピカソといった西洋美術に至るまで、そのジャンルは幅広いものです。

東山魁夷『古都』(光悦垣直筆装) 1973年公益財団法人川端康成記念会蔵

東山魁夷『古都』(光悦垣直筆装) 1973年 公益財団法人川端康成記念会蔵

ノーベル文学賞メダル1968年公益財団法人川端康成記念会蔵

ノーベル文学賞メダル1968年 公益財団法人川端康成記念会蔵

良寛《恁麼》江戸時代 公益財団法人川端康成記念会蔵

良寛『恁麼』 江戸時代 公益財団法人川端康成記念会蔵

夏目漱石《五言絶句》 1914年公益財団法人川端康成記念会蔵

夏目漱石『五言絶句』 1914年 公益財団法人川端康成記念会蔵

9月27日から2か月間開催! 〈岡山芸術交流2019〉 3年ぶりの開催をお見逃しなく!

Pierre HuygheAfter ALife Ahead, 2017Courtesy of the artist; Marian Goodman Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin; Hauser & Wirth, Londres, Galerie Chantal Crousel, Paris Photo: Ola Rindal

3年ぶりに開催。17組のアーティスト作品が岡山のまちに

9月27日(金)から11月24日(日)までの2か月間、
〈岡山芸術交流2019〉が開催されます。

岡山市で3年ごとに開催される国際現代美術展〈岡山芸術交流〉。

今年はアーティスティックディレクターにピエール・ユイグを起用し、
岡山城・岡山後楽園周辺エリアのさまざまな歴史文化施設が
アートスポットに様変わりします。

〈TOKYO 2021〉 2021年以降の東京はどうなってる? アーティスト、建築家らが 未来を問うアートイベントを開催

藤元明『2021 #TOKYO 2021』(c)TOKYO 2021

東京の過去を検証し、未来を発見するために

2019年夏、東京・京橋にて〈TOKYO 2021〉が開幕しました。
これはクリエイターたちが東京の過去を新しい視点で検証し、
未来の発見をしていくアートイベント。
「建築」と「現代美術」、ふたつの展示を通じ
「2021年以降を考える」ことと向き合っていきます。
建築展は既に開催され、8月24日に盛況のうちに終了。
9月14日より美術展「un/real engine —— 慰霊のエンジニアリング」が始まります。

〈TOKYO 2021〉のメンバー

〈TOKYO 2021〉のメンバー。上左から中山英之/永山祐子/藤村龍至 photo: Kenshu Shintsubo/下左から藤元明/黒瀬陽平/西澤徹夫

総合ディレクションは、アーティストの藤元明さん。
企画アドバイザーに建築家の永山祐子さん。
建築展 課題「島京2021」のディレクションは
建築家の中山英之さん、課題制作は藤村龍至さんが手がけました。
美術展のキュレーションはアーティストの黒瀬陽平さんが手がけます。

出品作家は、会田誠さん、高山明さん、中谷芙二子さんなどなど。

左:高山明  Photo : Yasuyuki Emori/右:会田誠 Courtesy Mizuma Art Gallery

左:高山明 Photo : Yasuyuki Emori/右:会田誠 Courtesy Mizuma Art Gallery

左:中谷芙二子/右:大山顕

左:中谷芙二子/右:大山顕

TOKYO 2021の発端は、総合ディレクターの藤元さんが
2016年より開始したアートプロジェクト〈2021〉にあるそう。
今回のイベントは2021のコンセプトを共有された〈戸田建設〉が
TOKYO 2021の主催者として開催を決定しました。

藤元明『2021 #New National Studium Japan』(2016/ 東京)

藤元明『2021 #New National Studium Japan』(2016/ 東京) 撮影:宮川貴光 新国立競技場建設予定地の前に2、0、2、1という数字をかたどった木製オブジェを設置することから始まった現在進行中のアートプロジェクト。

展示会場は、間もなく解体される戸田建設本社ビル。
(解体後は、芸術文化施設を備えた新社屋を建設予定)

藤元さんは、本展の開催によせて次のように語っています。

「現在、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博同様、
国家的大祭を機に、都市を書き換えるほどの、
数え切れない開発が進行しています。
開発とは、文化や地域性、未来像など、これまでの価値観と、
これからの価値観に向き合わざるを得ません。
私は、そのような時にこそアートは機能すると考えます。
ここでいうアートとは、美術館やギャラリー、
アートフェアや芸術祭とは違う文脈の
“開発とアート”という社会性を有した枠組みです」

三上晴子『Bad Art For Bad People』(1986)

三上晴子『Bad Art For Bad People』(1986) (c) Seiko Mikami Photo: Ichiro MishimaCourtesy of Seiko Mikami Archive, Tama Art University

アーティストが開く地域の可能性。
夕張でプロジェクトを行う
永岡大輔さんと山口一樹さんの挑戦とは

画像提供:ニュー浴場プロジェクト

そこに住む人々の記憶を掘り起こそうとする試み

わたしの住む岩見沢の美流渡(みると)地区は、もともと炭鉱があった場所だ。
炭鉱で働いた人たちが住んでいた炭鉱住宅がいまでも残っているし、
活況を呈した当時の様子を知る住民もいる。
東京で暮らしていた頃は、炭鉱は過去にあった
どこか遠い出来事のように感じていたのだが、ここに住んでいると、
まちの個性をつくった重要なものであると、強く実感するようになった。

そんななかで、産炭地として全国に知られる夕張で、
独自のプロジェクトを行っているふたりがゲストとなった
アーティストトークに参加した。

8月末、アーティスト・イン・レジデンス事業を行う
〈さっぽろ天神山アートスタジオ〉で、
「アーティストがみた北海道と炭鉱・夕張とはなにか。」をテーマとし、
アーティストの永岡大輔さんと、
写真家でありキュレーターでもある山口一樹さんが、
これまで行ってきた活動について語ってくれた。

イベントの告知画像。左が永岡大輔さん。右が山口一樹さん。

イベントの告知画像。左が永岡大輔さん。右が山口一樹さん。

まず活動を語ったのは山口さんだ。
3年半前から夕張に移住し、現在は市の職員として働きつつ、
本を出版したりイベントを企画したりなど多彩な活動を展開している。

山口さんが夕張を初めて訪ねたのは6年前。
当時、新潟大学の学生だった山口さんは、北海道をめぐるなかで
夕張駅で野宿をしようとしたことがあった。
そのとき地元の人が「うちにとめてあげるよ」と言ってくれて、
初めて炭鉱住宅に泊まり、銭湯につかる体験をした。

「激アツのお風呂に近所のみなさんが順々に入っていって、
なんなんだろうこれはと。とてつもないコミュニティの力を感じました」

その後2年間夕張に通い、地域おこし協力隊としてこの地で暮らすこととなった。
児童館のない夕張で、子どもの居場所づくりなどの活動を行いつつ、
同時並行で歴史を掘り起こす取り組みも続けていった。

山口さんは富山県出身。北海道を初めて訪れたのは高校時代。東川町で行われた〈写真甲子園〉というプロジェクトに参加したことがきっかけ。以来、このイベントでボランティアをするようになり、夕張にも足を運んだそう。

山口さんは富山県出身。北海道を初めて訪れたのは高校時代。東川町で行われた〈写真甲子園〉というプロジェクトに参加したことがきっかけ。以来、このイベントでボランティアをするようになり、夕張にも足を運んだそう。

山口さんは2冊の本の制作に携わった。
1冊は『ヤマを伝える』。
元炭鉱マンで画家の宮城七郎さんが描いた、炭鉱の労働と暮らしの絵をはじめ、
当時の記憶をたどる写真と解説文で構成されたものだ。

「その時代、その場所を生きた人にしか出せない空気感や感覚、
想いがあると感じました。いま夕張には、みんなが共通して
大事にできるようなものってそんなにないように感じていたので、
共通の財産をつくりたいと思いました」

夕張市清水沢地区を中心として地域活動を行う一般社団法人〈清水沢プロジェクト〉が幹事となって運営されている〈夕張の記憶ミュージアム実行委員会〉によって刊行された冊子『ヤマを伝える』。

夕張市清水沢地区を中心として地域活動を行う一般社団法人〈清水沢プロジェクト〉が幹事となって運営されている〈夕張の記憶ミュージアム実行委員会〉によって刊行された冊子『ヤマを伝える』。

当時の状況を知るからこその味わいを感じる宮城さんの絵に、夕張出身の高塚光栄さんが解説文をつけた。また、同じく夕張出身の渡津澄夫さんの写真も載せた。

当時の状況を知るからこその味わいを感じる宮城さんの絵に、夕張出身の高塚光栄さんが解説文をつけた。また、同じく夕張出身の渡津澄夫さんの写真も載せた。

もう1冊が、今年の3月に刊行した『暮らしと創造』という本だ。
夕張に長く住み、手芸や短歌、絵といった
ものづくりを楽しんできた6名にスポットをあて、
その作品やポートレートを収録したもの。

「夕張に来たときから、財政破たんをしたまちで暮らす人たちの
豊かさとはいったいなんだろうと考えてきました。
ひとりひとりをフィーチャーしていくと、
自分の目の前で大事にしてつくったものの延長線上にこのまちがある。
そんなことを実感して、そこから本が生まれていきました」

このほか山口さんは、9月に地域で戦争体験をした人に話を聞いて、
その記憶と手記を紹介するような展覧会も企画していた。

A4サイズ、オールカラー、168ページ。写真家でもある山口さんが、夕張に住む人々を独自の視点で切り取った写真集。清水沢プロジェクトのホームページで購入可能。

A4サイズ、オールカラー、168ページ。写真家でもある山口さんが、夕張に住む人々を独自の視点で切り取った写真集。清水沢プロジェクトのホームページで購入可能。

「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019」 「アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS-」 「下町芸術祭」 この秋、神戸の山・まちを大胆に使った 注目のアートイベントが開催

芸術の秋ということで、日本各地でアートイベントが盛んになるこれからの時期。
神戸でもまちをあげて、さまざまなイベントが開催されます。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019

六甲山上に土地や景観を生かした現代アート作品が
点在する「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019」。
ピクニック気分で、自然とともに存在するアート作品を楽しめるイベントです。

2010年から始まり、通算通算300組を超えるアーティストが
出展したこのイベントは、今年で10回目を迎えます。
今年は過去最多となる以下の42組のアーティストの作品が登場。

浅野忠信/市川平/伊藤存/岩城典子/岩谷雪子/植松琢麿/
宇野亞喜良/江頭誠/榎忠/大石麻央/大﨑のぶゆき/大野公士/大畑幸恵/
OBI/風間天心(GermanSuplexAirlines)/金子未弥/狩野哲郎/國久真有/
栗真由美/黒田恵枝/小出ナオキ/佐川好弘/松蔭中学校・高等学校美術部/
杉谷一考/鈴木なるみ/大東真也/髙橋匡太/中森大樹/野村由香/秦まりの/ヒロセガイ/
藤江竜太郎/伏見雅之/藤本由紀夫 *astronavigation/本多大和/前田耕平/
前田真治(GermanSuplexAirlines)/YOSHIHIRO MIKAMI+HAJIME YOSHIDA/
盛圭太/山口典子/葭村太一/若田勇輔

明治時代に居留外国人によってレジャーの山として開発された六甲山。
現在も、そのすばらしい眺望や豊かな自然で多く人が訪れます。

ちょうど紅葉が美しい時期までイベントは開催されているので、
時期を見計らって足を運ぶと、より一層魅力的な六甲山に巡り会えるかもしれません。

information

map

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019

会期:2019年9月13日(金)~11月24日(日)※会期中無休

開催時間:10:00~17:00 ※会場により17:00以降も鑑賞できる作品あり

会場:六甲ガーデンテラス/自然体感展望台 六甲枝垂れ/六甲山カンツリーハウス/六甲高山植物園/六甲オルゴールミュージアム/六甲ケーブル/天覧台/風の教会(グランドホテル 六甲スカイヴィラ会場含む)/六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)/記念碑台(六甲山ビジターセンター)/TENRAN CAFE(プラス会場)

※プラス会場「TENRAN CAFE」の展示作品については、カフェのご飲食利用が必要。

主催:六甲山観光株式会社、阪神電気鉄道株式会社

総合ディレクター/キュレーター:高見澤清隆/六甲オルゴールミュージアム シニアディレクター

Web:https://www.rokkosan.com/art2019/

秋田のファンキーすぎる おじいちゃん・シルバーテツヤの 写真展が開催!

ハイブランドをさらりと着こなす姿にノックアウト!

今流行りのハイブランドや華やかなファッションを
着こなしたおじいちゃん「シルバーテツヤ」をみなさん、ご存知でしょうか?

なんとインスタのフォロワーは現在124万人!

シルバーテツヤの孫であるクドウが、GWの帰省中
「自分の服をおじいちゃんに着せたらおもしろそう」
という思惑からスタートしたこのプロジェクト。

写真をSNSに投稿するやいなや、ツイッターでは7万リツイート
28万いいね、instagramの専用アカウントを開設すると、
3日間で2万人フォロワーに達し、国内外数々のメディアに
取り上げられたのだとか。

この度そんなシルバーテツヤの写真展が表参道のSIDEで開催されます。
会期は9月16日(月)~22日(日)まで。

築約70年の木造校舎の廃校を活用。
熊野市のまつりをリノベーションする

多田正治アトリエvol.5

vol.1~4にかけて、〈梶賀のあぶり場〉〈コウノイエ〉と
ふたつのリノベーションの現場をレポートしてきました。

今回は少し趣向を変えて、「まつりのリノベーション」がテーマです。
時をさかのぼり、ぼくたちが熊野エリアに関わるきっかけから、
旧神上(こうのうえ)中学校の活用とその空間を彩るコンテンツづくり、
そして県をまたぎ、和歌山県側の熊野エリアで行ったイベントに
スポットを当てていきます。

熊野市神川町の旧神上中学校。

熊野市神川町の旧神上中学校。

神川町との出会いと桜まつり

2014年の年末、「熊野市の神川町が過疎で困っている」と知人から相談をもらい、
ぼくたちは初めて三重県熊野市に足を踏み入れました。

現在は300人ほどの集落の神川町ですが、ひと昔前はダムの開発で賑わい、
3000人もの人が暮らしていたそうです。

神川町は、明治の偉人として知られる写真技師、田本研造の故郷でもあります。
彼の記念館を建ててみるのはどうか、という意見もありましたが、
聞けば、神川町には毎年桜の季節になると
旧神上中学校で行われる「桜まつり」があるとのこと。
それならば、桜まつりに合わせて田本研造の展示をやってみよう!

こうして2015年に第28回を迎える桜まつりと出会い、
ここから3年にわたり、桜まつりに関わっていくことになったのです。

宇宙に浮かぶ星々の壮大な眺め。 長野・白馬美術館で 『“長野県は宇宙県” 大西浩次・信州星景写真展』 が開催

日本全国津々浦々ある中で、特に宇宙との
結びつきが強い県と言われてる長野県。

県内にはプラネタリウムや天文同好会、宇宙航空産業、
天文研究施設など宇宙に関する施設や団体が存在します。

そんな長野県で、晩夏の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれそうな
涼やかな展覧会が行われているようです。

今年は葛飾北斎没後170年。 茂木本家美術館所蔵の 北斎作品が一挙公開

葛飾北斎『冨嶽三十六景 凱風快晴』(前期)茂木本家美術館蔵

代表シリーズのほか、門人たちの作品も

2019年は、葛飾北斎没後170年の節目の年。

これを記念して、千葉にある茂木本家美術館が所蔵している北斎関連作品が
東京のすみだ北斎美術館で一挙公開。9月10日(火)より展覧会
『北斎没後170年記念 茂木本家美術館の北斎名品展』が開催されます。

茂木本家美術館は、キッコーマン創業家の一つである
茂木本家十二代当主茂木七左衞門氏が収集した美術品を
展示する館として、2006年に千葉県野田市にオープン。

この展覧会では、浮世絵や近現代作家の作品など多岐にわたる
所蔵品の中から、北斎作品は北斎の代表的なシリーズとして知られる
『冨嶽三十六景』『諸国名橋奇覧』『諸国瀧廻り』のほか、
『詩歌写真鏡』シリーズや、『木曽路名所一覧』、
『北斎漫画』全冊、『富嶽百景』などの錦絵・摺物・版本に加え、
国内ではあまり確認されていない門人たちの稀少な作品、
籔内佐斗司氏による1点ものの北斎の彫刻など、
前後期あわせて116点の北斎関連作品がラインナップされます。

展示構成は以下の通り。

1章 富士を旅する―冨嶽三十六景―

2章 瀧をめぐる―諸国瀧廻り―

3章 奇しき橋をのぞむ―諸国名橋奇覧―

4章 北斎さまざま

5章 門人へのまなざし

季節、時間、天候、場所などの要因で、さまざまな見え方をする
富士を描写した46図のシリーズ『冨嶽三十六景』。
1章では「富士を旅する―冨嶽三十六景―」と題し、
「I 斬新な構図・工夫された構図」、「II 厳かな自然と時」、
「III 江戸のシンボル・旅情の演出」といった3つの切り口で
その魅力を紐解きます。

葛『冨嶽三十六景 凱風快晴(藍摺版)』

葛飾北斎『冨嶽三十六景 凱風快晴(藍摺版)』(前期)茂木本家美術館蔵

通称“青富士”と呼ばれる『凱風快晴』の藍摺版も登場。
こちらは現存する数が少ないめずらしいもので、通称“赤富士”と
呼ばれる『冨嶽三十六景 凱風快晴』と“青富士”が並べて展示されます。

『冨嶽三十六景 凱風快晴』は有名ですが、そのほかの45図が
どのように描き分けられているか、じっくり観察したいですね。

2章で着目するのは、日本各地に点在する滝を描いたシリーズ『諸国瀧廻り』。
豪快に流れ落ちる大瀑布、岩肌を伝わる石清水のような滝など、
『冨嶽三十六景』と同様に、さまざまなパターンで描き分けられた滝が登場。
前期と後期に分けて全8図が展示されます。

地形によって滝の姿は千差万別。
その違いが、日本の大自然の多様さを物語ります。

世界遺産・二条城を舞台にした 国際的なアート見本市 〈artKYOTO 2019〉が開催

二の丸御殿台所外観

国内外の31軒の美術商が集結

ICOM Kyoto 2019(国際博物館会議京都大会)の開催に伴い、
この秋、たくさんのアートイベントが行われる京都。

9月7日(土)~9日(月)には、
世界遺産・二条城を舞台にした国際的なアート見本市
〈artKYOTO 2019〉が開催されます。

今年初開催となるこの〈artKYOTO 2019〉は、
国内外の12都市から31軒の美術商が二条城に集結。
ラインナップは以下の通りです。

1. 二の丸御殿台所・御清所(おきよどころ)

梅軒画廊/Gajah Gallery/ギャラリー広田美術/宝満堂/imura art gallery/
Yoshiaki Inoue Gallery/タカ・イシイギャラリー/
古美術 鐘ヶ江 Japanese Sculpture Next 100 years project/KOMIYAMA TOKYO/
ミヅマアートギャラリー/NUKAGA GALLERY/OVER THE INFLUENCE/
ART OFFICE OZASA/CHRISTINE PARK GALLERY/思文閣/祥雲/シュウゴアーツ/
秋華洞/現代美術 艸居/画廊たづ/宇野商店/清昌堂やました/夢工房

2. サテライツアート

サテライツ・アート・ラボ

3. ライブアートガーデン

アンザイ ギャラリー

4. 東南隅櫓(すみやぐら)

Galleria Col/ギャラリー HATA Bros./古美術もりみや/SHUMOKU GALLERY/古美術 柳