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posted:2019.10.7 from:宮城県仙台市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Haruna Sato
佐藤春菜
さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。
〈東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館〉で、
企画展『芹沢銈介のデザインノート』が開催中です。
芹沢銈介は、「型染絵」という
独自の技法を確立させた重要文化財保持者(人間国宝)。
作品のみならず、世に出ていない試作や、
手書きの指示が入った下絵などを多く見られる今回の展示。
銈介氏がどんな構想を練って作品と向き合っていたのか、
晩年まで全力を注いだ制作風景を想像できる展示として、
〈デザインノート〉と名付けられました。
東北福祉大学東口キャンパス2階にある〈芹沢銈介美術工芸館〉入口。JR仙台駅から徒歩約3分の好立地で、新幹線の待ち時間を利用して訪れる人も多いそう。
出生地・静岡に1981年〈静岡市立芹沢銈介美術館〉が完成していますが、
東北の風土や手しごとを愛した銈介氏は、
東北の人たちにも自身の作品を見てもらいたいと、陳列館設立を願います。
生前その願いは叶いませんでしたが、
考古学の第一人者である長男・長介氏が東北福祉大学で教鞭をとるとなった際、
ちょうど大学が感性教育に力を入れ、美術館建設を計画していると耳にします。
それであればと、約1,000点の資料を寄贈。
1989年、国見キャンパスに〈芹沢銈介美術工芸館〉が開館し、
初代館長に就任しました。
美術館のある2階のエレベーター扉。銈介氏がデザインした着物模様「立木文(たちきもん)」を小さくあしらった図案が並びます。
2019年1月に、仙台駅東口キャンパスに移転。
年約3回企画展が催され、
今では3,000点にのぼる収蔵品の中から厳選した資料を鑑賞することができます。
今回の企画展では、「より身近に芹沢デザインを感じてもらいたい」と、
包装紙や酒瓶ラベル、品書きやマッチボックスなど、
ふだんの生活で目にしたことがあるかもしれない
身近な品のデザインが数多く展示されています。
芹沢銈介がこれまでにデザインした数多くの包装紙や品書き。愛知・名古屋の割烹〈八雲〉、東京・新宿の〈民芸茶房すずや〉、愛媛・松山の日本料理〈すし丸〉など。
日本各地に店舗をもつ京懐石〈美濃吉〉ののれんや、
菓子屋〈銀座 あけぼの〉の〈味の民藝〉の掛紙には、
今でも銈介氏のデザインが残り、手にとることができます。
〈味の民藝〉の掛紙は、銈介氏の代表作〈春夏秋冬〉をあしらったもの。
季節に合わせて掛紙が変わります。
〈春夏秋冬〉をつかった〈銀座 あけぼの〉の〈味の民藝〉の掛紙。朱色は正月限定の「飛」。
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企画展のメインビジュアルにつかわれているデザインは、
朝日麦酒(現アサヒビール)に関わる試作。
ポスターとして寄贈されましたが、同時期、
朝日麦酒東京工場完成記念品の包装紙を銈介氏がデザインしていたことがわかり、
包装紙の試作とも推測されます。
企画展チラシ表。〈アサヒビール アサヒゴールド 三ツ矢サイダー ポスター〉のデザインの一部が採用されています 。会場では、世に出ていない色違いやデザイン違いの試作を見ることができます。
こうした企業デザインの裏には、朝日麦酒の社長であり、
大阪ロイヤルホテル(現リーガロイヤルホテル)の設立者である
山本為三郎の存在がありました。
民藝を愛した彼が、自身の企業に関わるデザインを銈介氏に数多く依頼したのです。
企画展では、アサヒビールが提供されるビアホール〈ニュートーキョー〉の
壁面に採用された影絵の下絵や、ビール祭で配布された記念絵皿、
大阪ロイヤルホテルの館内浴衣とその試作染も見ることができます。
実際大阪ロイヤルホテルでつかわれていた浴衣。芹沢デザインを纏って眠れるのは贅沢な時間です。
ほかにも、1957年頃使用された日本航空(JAL)のパンフレットや
そのケースの試作、福神漬や佃煮をあつかう〈酒悦〉のマッチボックス、
〈日本新薬〉のカレンダーなど、身近な商業デザインを見ることができます。
飲食店やメーカーのために染められた、
100以上並ぶマッチボックスのコレクションは必見です!
企画展のチラシ裏にも掲載されている〈甘味ところ むらや〉の立て看板。
仙台の青葉区一番町にあった店で、実は銈介氏の次女が経営していました。
企画展のチラシ裏。中央の立て看板が、〈むらや〉の鉄行灯。右上が〈アサヒビール アサヒゴールド 三ツ矢サイダー ポスター〉の色違いの試作。上下どちらから見ても上になるように組まれていることも包装紙の試作と考えられる一因です。
息子と娘がいたこともあり、よく仙台を訪れた銈介氏。
民藝品をあつかう〈光原社〉仙台店とせんだーど店の看板、
鳴子温泉も好み、〈鳴子ホテル〉のマッチボックスや、
こけしと郷土玩具店〈髙亀〉の看板もデザインしました。
会場では、民藝家具や器が揃う日本料理店〈ざくろ〉の品書きや照明の試作、
1972年にパリに開店した日本料理店〈じゅん〉の案内状やコースター、
1962年頃〈マリメッコ〉から影響を受け、銈介氏がデザインしたカーテンの展示もあります。
商品化されなかったカーテンは、ここでしか見られない貴重な作品です!
今回の企画展限定でつくられた〈セットはがき(4枚入り)〉。〈むらや〉の鉄行灯やアサヒビール包装紙の試作、パリの日本料理店〈じゅん〉のためのうちわ絵や挨拶状の試作が配されています。
企画展・〈芹沢銈介のデザインノート〉は、2019年10月20日(日)まで。
会期中の毎週木曜と土曜にはコースターづくりのワークショップも開催。
10月13日(日)、19日(土)には展示解説も行われるので、
作品の背景を深く知れるチャンスです。
詳しくは公式サイト
企画展『芹沢銈介のデザインノート ―ポスター・看板・サイン・パッケージ―』で。
information
企画展・〈芹沢銈介のデザインノート ―ポスター・看板・サイン・パッケージ―〉
開催期間:2019年9月19日(木)~10月20日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日 ※10/14(月・祝)は開館、10/15(火)は休館
場所:東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
住所:仙台市宮城野区榴岡2-5-26 東北福祉大学仙台駅東口キャンパス2F
入館料:一般400円、大学・専門学生300円
※高校生以下・障がい者手帳持参の方およびその介助者1名は無料
※着物で来館の方は当日の入館料100円引き(併用不可)
Web:東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
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