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秋田県「川連漆器」の世界で、
これからの伝統工芸の在り方を
模索する小さな挑戦者

コロカルニュース

posted:2019.10.7  from:秋田県湯沢市  genre:ものづくり

PR 秋田県

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幸脇麻由子(ぱど)

秋田県湯沢市。
夏はのどかな田園風景が広がり、冬は雪景色に染まるまちに
都会からひとりの女性が移り住んできた。
湯沢市の地域おこし協力隊として活動する店網華子(たなあみはなこ)さんだ。
ミッションは伝統工芸である「川連(かわつら)漆器」を継承する担い手。
職人の高齢化、需要の減少、さまざまな問題を抱えている伝統工芸の世界に
単身で飛び込んだ店網さんに密着した。

800年前から大切に受け継がれてきた伝統の技を継ぐ

丁寧に漆を塗り重ねることで、木地に柔らかな質感を出す。

丁寧に漆を塗り重ねることで、木地に柔らかな質感を出す。

秋田県湯沢市川連地区に伝わる伝統工芸「川連漆器」。
歴史を遡ると約800年前の鎌倉時代、刀の鞘や弓、
鎧などの武具に漆を塗らせたのが始まりと言われている。
江戸時代になると椀、膳、重箱などの漆器がつくられ、
全国でも有数の漆器産地として知られるようになる。
昭和後期に最盛期を迎え、昭和51年には国の伝統的工芸品に指定された。
その後、工業化による大量生産、
中国からの輸入などの波におされ、徐々に生産量は減少していく。
実稼働している漆器店は年々減少し、職人も高齢化。
日本の伝統工芸が直面している現状そのものだ。

そんな川連漆器の世界へ飛び込んだのが、店網華子さんだ。
生まれは東京都杉並区という根っからの都会っ子。
大学卒業後は化学メーカーに就職し、会社員生活をおくる。
会社が嫌だ、仕事が面白くない。決してそんなことはなかったが、
毎日満員電車に揺られながら頭に過るのは
「地方で暮らしてみたい。ものづくりをしてみたい」という想いだった。

「小さい頃から田舎で暮らすことへの憧れがありましたね。
父は東京出身、母は福岡出身。
夏休みなどに福岡へ帰省していましたが、そうは言っても福岡は都会ですし、
田舎には縁がなくて。自然の中で暮らしてみたいという思いが強く、
いつかは地方に移住しようと決めていました。
もし地方で暮らすなら“ものづくり”に挑戦してみたい。
そう思って移住先を探していたときに飛び込んできたのが、
秋田県湯沢市で伝統工芸の継承を担う地域おこし協力隊だったんです。
秋田は小学校の修学旅行で来たくらいで縁もゆかりもない場所でしたが、
憧れだった“田舎暮らし”と“ものづくり”が一緒にできるならと挑戦しました」

せっかく移住するのだから新しいことにチャレンジしてみたい。
それなら若いうちに!と約2年の会社員生活に終止符を打ち、
2017年8月、秋田県湯沢市の地域おこし協力隊として着任した。

生活の中で育まれた「川連漆器」の魅力とは?

手に取ると木の温かみが感じられる川連漆器。厚手の木地だから中身が冷めにくい。

手に取ると木の温かみが感じられる川連漆器。厚手の木地だから中身が冷めにくい。

“川連漆器”と言っても馴染みのない人も多いはず。
同じ湯沢市の名物「稲庭うどん」の器としてよく使われている漆器と言えば、
触れたことがある人もいるだろう。
川連漆器は、京都や輪島、山中などの美術的な漆器とは違い、
人々の生活のなかで使われてきた実用的な漆器。
その分、お手頃でお求めやすい価格の商品が多く、
知らない人からすれば品質が良くないと思われがちだが、実は全く違うのだ。
これだけ安価に提供できるのも、秋田に豊かな森林が残っていること、
そして職人の卓越した技があってこそ。

川連漆器の原料となる原木は、市場でせり落とされる。

川連漆器の原料となる原木は、市場でせり落とされる。

漆器に使われる原木は主に秋田県産。
奥羽山脈で採れるブナやカツラが材料だ。
この原木を節や傷を避けて切る「木取り」、ろくろで大まかに挽く「荒挽き」、
その後「燻煙(くんえん)乾燥」という川連独特のやり方で木地を乾燥させる。

天井までぎっしりと積み上げられた木地。まるでアートのよう。

天井までぎっしりと積み上げられた木地。まるでアートのよう。

中1週間の寝かし期間を入れながら
約1か月間から3か月間ゆっくり乾燥させることで、
割れの元になる歪みが少なくなり、防虫・防腐にもなる燻煙乾燥。
燃やす資材に廃材を使う循環方式でとってもエコなのだ。
この手間がかかる燻煙乾燥こそ、川連漆器が丈夫と言われる大きな理由だ。

木地づくりで使う道具も職人自らが鉄を叩いて作るのだとか。

木地づくりで使う道具も職人自らが鉄を叩いてつくるのだとか。

燻煙乾燥をした木地は、「仕上げ挽き」に入る。
川連漆器の木地は、他の産地と木取りの仕方が違うので、通常よりも厚めに挽くのが特徴。
そうすることで下地を作る「地塗り」の回数が少なく済み、工程が簡素化できる。
この職人の技があるから、結果、安価に漆器を提供できるのだ。

最近では、若手職人のさまざまなグループによる
自主的な活動や新商品開発も精力的に行われている。
美術大学や他産地とのコラボレーションの実績もあり、
川連漆器の新たな魅力が生み出されている。

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職人が代々繋いできた技や想いを受け継ぐということ

店網さんの漆器づくりは、木地を切り出すところから始まる。

店網さんの漆器づくりは、木地を切り出すところから始まる。

代々の職人の努力と知恵によりつないできた技を
一身に受け止め修行に励む店網さん。
現在は、週の前半は木地づくりを、後半は塗りの修行に励む。
「通常の漆器づくりでは、木地の職人、塗りの職人、
蒔絵の職人……といった感じで分業制になっていますが、
わたしの場合は木地づくりから塗りまで、
すべての工程の修行をさせてもらっています。
これができるのも地域おこし協力隊という制度があるからですね。
すべての工程を経験することで、
次の工程のためにはこういうところに注意するといいなどポイントがわかり、
役立っています」

楽しそうに修行に励んでいるように見える店網さん。
しかし、現実は良いことばかりではない。
「昔は量があったから単価が安くても商売になっていました。
今は10個、20個など小ロットのオーダーが増えています。
今のやり方で、漆器職人一本で食べていくのは厳しいです」

ひとたび筆を持てば、緊張感あふれる職人の表情に変わる。

ひとたび筆を持てば、緊張感あふれる職人の表情に変わる。

川連漆器の職人として活動する地域おこし協力隊は、店網さんで3人目。
過去のふたりは、最後まで任期を全うすることができなかったということで、
厳しい世界であると感じる。
漆器づくりの一連の技術を学ぶのも、
これからの職人の在り方を考えるために選んだ道だった。

漆器はもちろん、地元のことも右も左もわからない東京の女の子。
着任当時は「冷やかしで来たんじゃないか?」と思う職人もいなかったわけではない。

1872年創業、川連漆器の製造から販売まで行う老舗「佐藤善六漆器店」。

1872年創業、川連漆器の製造から販売まで行う老舗〈佐藤善六漆器店〉。

「東京から来たこんなに小柄な女の子に
厳しい漆の仕事が勤まるのかって初めは半信半疑でした。
でも、その予想は大きく外れましたね。
店網さんは自らの足でいろんな人のところへ行って話を聞くし、
ほかの漆器の産地にも勉強しに行っています。
私なんかよりもずっと事情を知っていますよ(笑)」と語るのは、
店網さんが塗りの修行で通っている〈佐藤善六漆器店〉の6代目、佐藤善六さん。

燻煙乾燥をしている阿部さんの作業場にて。様々な職人さんの現場を直接訪れながら技を学んでいる。

燻煙乾燥をしている阿部さんの作業場にて。さまざまな職人さんの現場を直接訪れながら技を学んでいる。

現役で残るわずか5名の木地師のひとり、
ベテランの阿部博さんはこう語る。
「華ちゃんは、真面目で素直。
この前なんて、塗りをやっている若い子に自分で交渉して木地を売ってきちゃうし。
こっちがびっくりしちゃうよ。今の時代、漆器職人だけで食べていくことはできない。
だから、もっと外に出て行って川連漆器の可能性をどんどん広げてくれるといいよね」
店網さんにはいいことよりも、川連漆器職人が目の当たりにしている
厳しいことをたくさん伝えてきたという。

仕事が早く終わったときは滝さんと鮎漁へ。これも秋田だからできる体験。

仕事が早く終わったときは滝さんと鮎漁へ。これも秋田だからできる体験。

店網さんが師匠と仰ぐ木地師・指物師の滝健一さんは、
そのバイタリティに驚かされているようだ。
「木地の仕事は楽ではないし、危険なことも多い。
最初はできるのか……と心配していましたが、取り越し苦労でした。
好奇心旺盛だし、なんでも臆せずチャレンジする。
この辺りで華ちゃんを知らない人はいないくらい顔も広いしね。
木地づくりは危険な仕事でもあるので、
華ちゃんにはできるだけ危険が少ないやり方や、
漆器の技術を活かした別の作品づくりも教えています。
従来のやり方にとらわれず、これからの職人の新しい道を見つけてほしいですね」

滝さんとはなんでも話せる。
時には漆器から離れて、鮎漁や海釣りなどを楽しみながら、
自然との付き合い方の指南を受けることもあるのだとか。

仕事終わりに職人の先輩たちとバーベキューを楽しむ店網さん。川連漆器の話にはつい熱が入る。

仕事終わりに職人の先輩たちとバーベキューを楽しむ店網さん。川連漆器の話にはつい熱が入る。

厳しい現実としっかり向き合いながら、
まるで娘のように店網さんを育てる職人たち。
店網さんには大きな期待を寄せているようだが、どう応えるのだろうか。
「地域おこし協力隊の任期も残すところあと少し。
卒業後の道をそろそろ決めないといけない時期です。
まだどうなるかはわかりませんが、
もし川連漆器で食べていける方法が見つかれば、
ここに住み続けたいなと思っています。
まず、残された任期で、自分の道をしっかり見つけなければいけませんね」

「まだ先が見えない」と正直に語る店網さん。
“やりたいこと”と“稼ぐこと”を両立させることは、
伝統工芸の世界に携わる多くの人の課題でもある。
店網さんには、川連職人の先輩だけでなく、地域の人々みんなが期待している。
最後に、秋田へ移住して良かったかを聞いてみた。

厳しくも楽しい職人の世界と秋田の豊かな自然を満喫している店網さん。

厳しくも楽しい職人の世界と秋田の豊かな自然を満喫している店網さん。

「もちろん、良かったです!
あのまま都会で会社員をやっていたら経験できなかったことだらけ。
仕事が終わった後に川で鮎を釣るなんて都会では絶対にできないですよね(笑) 
秋田に来て、土に触れながら生きていくということが
どれだけ人間らしいかを実感しました。
川連漆器もそのひとつ。燃やせば土に還る、すべてが自然のものでできています。
地元の人が便利な都会に出たくなる理由もわかりますが、
不便でもいつでも自然に触れることができる場所は大切。
常に自然が近くにある秋田のような場所で生きていくのが
私にはあっているかなと思っています」

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「いいな♪ AKITA移住・交流フェア」開催!
今回インタビューした店網華子さんによる川連漆器の蒔絵体験もあります。
移住を検討している人から、秋田にちょっと興味がある人までどなたでも参加OK!
先輩移住者、市町村や企業の担当者と気軽に交流し、
暮らしや子育て、仕事など、今の秋田のリアルな情報が得られるチャンスです。
ご家族、ご友人を誘って参加してみては?

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「いいな♪ AKITA移住・交流フェア」

開催日時:2019年10月26日(土)11:00(開場)〜17:00 ※入退場自由

会場:EBiS303

住所:渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル5階 JR恵比寿駅東口より徒歩3分

入場料:無料 

※ワークショップ「川連漆器蒔絵体験」に参加する場合は参加費1,000円(定員15名、当日先着順で受付)

主催:秋田県

「いいな♪ AKITA移住・交流フェア」特設ページ:https://ponjo.jp/akita-fair2019

事前予約フォーム:https://pado.me/bzgv1

お問い合わせ:いいな♪ AKITA移住・交流フェア事務局

担当:高倉

TEL:080-4632-3930(平日10:00〜17:00)

Mail:at189@pado.co.jp

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