伊豆大島の魅力を五感で楽しむ 〈大島イイもの展- 自然と向き合い よりそう島のくらし-〉

東京から高速船で約2時間の距離にある、青い海に囲まれた「伊豆大島」。
おでかけコロカルでもご紹介
しているこの伊豆大島を紹介するイベント、
〈大島イイもの展-自然と向き合いよりそう島のくらし-〉が
2016年2月6日(土)、東京・秋葉原の〈アーツ千代田3331内ラウンジ〉にて
開催されます。
伊豆大島でつくられたものや、伊豆大島にゆかりのある作品を集め、
それらをつくり上げたつくり手のストーリーとともに展示するイベントです。

このイベントは、2015年2月に伊豆大島のデザインユニット〈トウオンデザイン〉が
運営しているコミュニティースペース〈kichi〉で
開催された〈大島イイもの展〉の発展形です。

まず、行われる展示は、伊豆大島の特産品や、
島の風景や特産品を写真や文章で伝えるパネルや、
大島の海と山の音を収めた音響作品などなど。
写真家の佐久間ナオヒトさんによる写真展〈島の家族〉では、
島内に在住する30代の家族を写すことで、
今の島の若者像を伝えるとともに、
彼らに島の生活の中で思うことや島の未来について
インタビューしたテキストを展示します。
ほかにも会場では、2013年10月16日未明に発生した台風26号の
集中豪雨による土砂災害にまつわるアート作品の展示も。

もう一つの注目は、大島の名物〈椿彫りあんこ人形〉を
作るワークショップ。
椿彫りしたミニあんこ人形にペインティングして、
自分だけのオリジナルストラップを作ることができます。
こちらは13:00~15:00で当日随時受付、
先着20名に限り、参加費は300円です。

〈錦海ハビタット〉 東洋一の塩田跡が、 メガソーラーと自然の共生地に

岡山県瀬戸内市にある、
かつて東洋一といわれた大規模な〈錦海塩田〉。
現在は〈錦海塩田跡地〉と呼ばれるこの地の面積は約500ヘクタール、
東京ディズニーランド約10個分の広さにも相当する区域です。
1956年に干拓され、1962年より製塩事業が行われたのですが、
1971年に国の“第4次塩業整理”により、全国の塩田が廃止。
以降は製塩工場や産業廃棄物最終処分場として使用されてきました。

しかし、産廃最終処分事業が破産のため廃業に。
排水ポンプなど、周辺への影響を考え、
2010年に瀬戸内市がこの地を取得。
いまは2019年春の稼働を目指し、太陽光発電所を建設する
〈メガソーラープロジェクト〉が行われています。

このたび、この〈メガソーラープロジェクト〉の一環として、
塩田跡地に環境デザインのプロジェクト〈錦海ハビタット〉が完成しました。
一見自然のように見えますが、希少な猛禽類の保護を目的に、
猛禽類の餌となる鳥やネズミが増えるような環境デザインが施されています。

塩田廃業から40年以上。ここには既に、雨水と海水の混じり合う
塩性湿地やヨシ原、水路、クリーク(小川)、ヤナギ林などが
混在する環境が形成されてきました。

〈錦海ハビタット〉では、
木を増やすためには、もともと現地で生育していた樹木を苗木から育て、
在来種を主体とした植栽を行っています。
小鳥が隠れやすいように細く曲がりくねらせたクリークには、
水深に変化をつけて水生植物の多様化を促したり、
ネズミ類の隠れ家となるように、樹木を積み上げた場所を作ったり。

クリーク

ちちぶメープルプロジェクト vol.2 メープルで林業の未来をつくる!

なぜ秩父でメープルの取り組みが始まったのか

メープルプロジェクトが行われている秩父、皆さんは聞いたことがありますか?
秩父は、埼玉県の西部に位置し、池袋から西武鉄道で最短80分の距離にあります。
四方を山々に囲まれた盆地で、荒川の源流も流れる、自然豊かな土地です。
また、日本最初の貨幣といわれる〈和同開珎〉や
最近話題のパワースポット〈三峯神社〉、
日本三大曳山祭りのひとつ〈秩父夜祭り〉など、秩父には歴史的な文化資源も豊富です。
最近では、秩父を舞台にしたアニメ作品「あの花」こと、
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のおかげで、
たくさんの若い人たちも秩父を訪れてくれるようになりました。

秩父の奥地、大滝にある〈三峯神社〉は遠方から人が訪れるパワースポット!

そんな秩父ですが、ほとんどの地方と同様に少子高齢化という問題を抱えています。
市の87%が森林というなかで、林業の衰退により
生かしきれていない森林資源もたくさんあるのです。

秩父のほとんどは、木、木、木!

なぜ秩父でメープルの取り組みが始まったのか?
そこには、仕掛け人であり、NPO法人〈秩父百年の森〉の理事長(当時)、
島崎武重郎さんの存在が大きいのです。

大学時代に山登りが好きだった、島崎さん。
あるとき立山連峰の山小屋のマタギさんから紅茶をごちそうになりました。
ほんのり甘く、心と体に染み込んだ紅茶の味は、
これまで飲んだ紅茶とは比べものにならないほどおいしかったそうです。
ところが砂糖が入っていると思いきや、まったく入っておらず、
それはカエデの樹液だけで淹れた紅茶だったのです。
その驚きとおいしさに感動し、山に通って樹液の採取方法を教わったそうです。
それからも山遊びや川での釣りが好きだった島崎さんは、
自然と密に関わりながら秩父で暮らしてきました。

島崎さんの山と関わる原点は、意外にも釣りにあるそう。

いまから17年ほど前、秩父の新たな名産品をつくろうという取り組みが始まり、
そのときに島崎さんはカエデの樹液紅茶のことを思い出したそう。
「そういえば、秩父にはたくさんカエデの木があるのだから、
それを生かした商品をつくればいいのではないか」と。
あらためて秩父の森の調査を始めると、たくさんの発見があったそう。

島崎さんは秩父の貴重な資源、カエデのことを積極的に子どもたちに伝えています。

秩父の土地はカエデの生育に適しており、
日本にある28種類のうち21種類のカエデがあったのです。
秩父のカエデがたくさんある大滝というエリアを中心に、
その後数年にわたり、NPOや埼玉大学の協力のもとにカエデの調査が行われ、
ある程度まとまった量のカエデの樹液が採れるようになりました。

種差海岸の 世界観にひたる 〈TANESASHI CAFE〉 期間限定オープン

青森県八戸市にある〈種差海岸〉のポップアップカフェ、
〈TANESASHI CAFE〉が2016年2月1日(月)、
東京・渋谷ロフト2F〈Shibuya City Lounge〉にオープンします。

広大な天然芝生!

種差海岸は、日本でも珍しい景色が広がるエリア。
ウミネコが空を舞い、海から吹き注ぐヤマセの影響で
高山植物が咲き乱れています。
波打ち際まで敷き詰められた広大な天然芝生や、
樹齢100年以上の松並木がつづく「淀の松原」、
鳴砂が有名な、2km以上にわたる砂浜「大須賀海岸」など、
穏やかで表情豊かな風景が拡がる、
10km以上にわたる地域の総称が〈種差海岸〉なんです。

八戸産スルメイカとみどり野菜のジェノベーゼパスタ 田子にんにくのガーリックトースト添え/1000円

カフェでは、そんな種差海岸自慢のメニューが登場。
ランチでは、全国一の水揚げを誇る八戸産のイカや“田子にんにく”など、
青森の食材をふんだんに使った
〈スルメイカとみどり野菜のジェノベーゼパスタ〉をご提供します。
これは種差海岸の芝生地をイメージした、色鮮やかな緑色のパスタ。
甘みと歯応えが特徴の八戸産スルメイカと春野菜を、
香り高いバジルのジェノベーゼソースで合わせました。
天然酵母バゲットと、国産最高峰の青森県田子にんにくを使用した
ブルゴーニュトーストを添えた、おしゃれな一皿。

八戸産焼きスルメイカと春野菜のチーズリゾット パルメジャーノ飾り 1300円

こちらがディナーメニューの、
〈八戸産焼きスルメイカと春野菜のチーズリゾット パルメジャーノ飾り〉。
八戸産スルメイカを丸ごと1パイ、芽キャベツ、チェリートマト、
そしてパプリカをコク深いパルミジャーノチーズで合わせたリゾットです。
色鮮やかな見た目も楽しく
春の訪れを感じさせてくれそう。

2棟の木造アパートをつないだら、 まちに生まれた心地よい場所。 仏生山まちぐるみ旅館 vol.4

仏生山まちぐるみ旅館 vol.4

ぼくは、香川県高松市の仏生山町というところで暮らしています。

建築設計事務所と、仏生山温泉を運営しながら、

まち全体を旅館に見立てる、
〈仏生山まちぐるみ旅館〉
という取り組みを進めています。

今回ご紹介する、
〈TOYTOYTOY(トイトイトイ)〉は雑貨店です。
場所は仏生山温泉から徒歩2分、西へ100メートルぐらいのところにあります。
店主の高柳敦史さんは、
2015年に家族で東京から移住、開業しました。
奥さんと、お子さんふたりの一家4人。
移住の大きなきっかけのひとつは震災でした。
そして高柳さんが仏生山を選んだのは、子育てがしやすい環境というのもあるし、
雑貨店を始めるにあたって、
まちぐるみ旅館という取り組みがとてもすてきだと思ってくれたことでした。
ぼくにとって、すごくうれしいことです。

左が店主の高柳敦史さん。右はダンボール作家の、しまづふゆき(カルトン)さん。ギャラリーでワークショップの準備中。

TOYTOYTOYは
デッキをはさんで雑貨店部分とギャラリー部分に分かれています。
雑貨店部分は、店内いっぱいに、めずらしい文具や衣類があります。
からくり人形や肉タオル、人工シャボン玉?(レインボースティック)もある。
店内をまわると、にやにやできる。
ぼくは、誰かに紹介するとき、
“変態雑貨を上品に売る店”と伝えたりしています(笑)。
ギャラリー部分では、アートやクラフト、プロダクトの展示を不定期に行っています。
大きい窓のある箱のような空間で、とても明るい。
2階に作家が滞在できる場所があって、そういうのがとてもいい。

変態雑貨が上品に販売されています。

TOYTOYTOYには、
大きな特徴がふたつあると感じています。
ひとつめは、
いわゆる雑貨店に行くと、
どこかで見たことがある、というものがたくさんあるんだけど、
ここでは、そういうことがほとんどないのです。
すべての商品は、店主の高柳敦史さんが自分の目で選んで
ほんとうに好きだと思ったものばかり。
雑誌に出ているようないわゆる「売れ線」商品は皆無なのです。
このことは、とても仏生山的で、
売れるからという理由が先にはならないというところ。
いいもの、いいこと、居心地がいい場所、
そういうものが先にあって、「結果」として、売れていくこと。
TOYTOYTOYをはじめ、仏生山ではそういう感じが空気として共有されています。

ふたつめは、販売の方法がユニークなのです。
名前をつけるとしたら、「好きだトーク販売」。
店主のトークがとてもおもしろいのです。
その内容は商品自体の説明でもあるのだけれど、
自分がどれだけ好きか、みたいな感じなのです(笑)。
そのうえ説明に、まったく圧力がなく何よりも楽しいし、心地よい。
受け取り方によって、トークショーを聞いているようでもあるし、
バックミュージックを聞いているようでもある。
お客さんはものを買うけれど、そういう楽しい体験もして帰ることができるのです。
これは高柳さんの人柄によるところがとても大きい。

リノベーションを行う前。手前が1棟1戸、奥が1棟2戸の木造賃貸住宅。

リノベーションを行う前は、築50年になる2棟3戸の木造賃貸アパートでした。
その3戸分を全部借りて、ひとつの店舗併用住宅としました。
おおまかには1階が店舗、2階が住居という分け方です。

住居部分の施工前。

〈THIS 伊豆 しいたけバーガー〉 しいたけが主役! 肉厚でジューシー極まりなし

しいたけ、といえば普段は食の脇役ですが、
このたび静岡県三島市の〈伊豆・村の駅〉で発売された
〈THIS 伊豆 しいたけバーガー〉は、
しいたけを主役に据えた、ここでしか食べられないご当地バーガー!

肉厚なしいたけをハンバーグのタネに加え、
さらにしいたけステーキ2個としいたけカツを間に挟んだ、
ボリュームたっぷりの逸品。
お値段はお求めやすい550円(税抜)となっております。

上からみたところ

伊豆はそもそも、日本有数の椎茸産地。
毎年10万人が訪れるこの村の駅でも、
地元で採れるしいたけはトップの売上を誇る人気の商品。
そんな伊豆のしいたけのジューシーな美味しさを、
その場でダイレクトに味わってほしい、
という想いから作られました。
しいたけづくしのこのバーガー、
上から見たところもしいたけのようです。

フレンチ風の恵方巻き 〈びわ湖ロール〉って?! 〈おいしが うれしがマルシェ〉 in 有楽町駅前広場

滋賀のおいしいものって何でしょう?
近江米、近江牛、湖魚、近江の茶、近江の野菜など
たくさんある滋賀のおいしいものを紹介する
〈おいしが うれしがマルシェ〉が、
2016年1月30日(土)と31日(日)の二日間にわたり、
有楽町駅前広場にて開催されます。
こちらのお料理は、琵琶湖の幸と山の幸を使った
香味豊かなオリジナルスープ。
琵琶湖産シジミ、スジエビ、日野菜、赤かぶ、白ねぎを使った、
〈滋賀のスープ ド ポアソン〉です。
31日(日)の13時より数量限定で振る舞われるそうですよ。

〈おいしが うれしがマルシェ〉には、
滋賀を代表する食材がたくさん。
会場には約20ブースを設置。
近江ブランドで人気の近江米や近江牛をはじめ、
野菜や漬物、琵琶湖の魚介、お茶や和菓子などが販売されます。

会場では数量限定で、温かいシジミ汁や、
普段はこの季節の滋賀県内でしか食べられないのヒウオ(アユの稚魚)の
釜揚げを無料試食でご提供!
ほかキッチンカーでは、近江牛の串ステーキの販売もあります。

もう一つの目玉は、
滋賀をこよなく愛するフレンチシェフ船岡勇太さんによる
オリジナルメニューの紹介。
シェフ特製フレンチ風滋賀の恵方巻き〈びわ湖ロール〉って
いったいどんなものでしょう?

食材の宝庫、佐渡から インスパイアされた 〈ANDAZ TOKYO × DINING OUT〉

食を通じて地域経済の活性化を目指す地域振興プロジェクト、
〈ダイニング・アウト〉。
これは日本の地方のまちを訪ね、その地域の厳選食材で、
一流のシェフが腕によりをかけてつくる料理を、
最高のロケーションでいただくプレミアム・レストランです。
これまでに新潟県佐渡市や静岡県静岡市で開催され、
コロカルでもご紹介してきました。

この〈ダイニング・アウト〉が、
東京・虎ノ門にあるホテル〈アンダーズ 東京〉の
メインダイニング〈アンダーズ タヴァン〉にやってきます!
期間は2016年1月29日(金)から2月29日(月)まで。
〈ダイニング・アウト〉初開催の地、佐渡の食材をテーマに、
トップシェフが腕をふるうスペシャルメニューが
ランチとディナーで提供されるのです。
登場するのは、アンダーズ 東京の総料理長ゲハード・パスルガーと、
〈DINING OUT SADO〉で料理を担当した
東京・赤坂〈TAKAZAWA〉の高澤義明シェフ。
佐渡茶でマリネしたり、カキフライのタルタルソースに甘酒を使ったり、
イマジネーションあふれるメニューが並びます。

佐渡茶でマリネした両津港水揚げブリのスモーク 洋ナシ「ル・レクチェ」とタラゴンピューレ ビーツのマリネ

イベントの最初を飾る1月29日(金)と30日(土)の2日間は、
二人が佐渡島を訪れ、現地で出会った旬の海や大地の恵みを存分に活かし、
それぞれのインスピレーションと感性で創り上げた至高のメニューを提供するスペシャルコース
〈ANDAZ TOKYO x DINING OUT Special Collaboration~Inspired by SADO~〉をご用意。

ランチコースは6,000円、ディナーコースは18,000円と22,000円の2コースがあります。 
ランチでは〈佐渡島産牛蒡のフラン 杉と松葉の香り 甲殻類のクレム〉
といったメニューがあるほか、ディナーコースにはお食事に合うお酒・ワインのペアリングも!

例えば〈活南蛮海老のトムヤムクン 白子のタルタル 黒トリュフ 
佐渡さかや農園の林檎と赤泊産ズワイ蟹〉を
佐渡の酒蔵〈加藤酒造 金鶴 純米活性にごり酒〉と一緒にいただいたり、
思いもつかないような、ワクワクするような組み合わせが楽しいですね。

新潟県産青首鴨のクレイポット かりん、八幡芋、牛蒡のロースト 松葉の香り

秩父産メープルってどんな味? 〈和メープルエコツアー2016〉 参加者募集開始

コロカルで今週、新連載〈ちちぶメープルプロジェクト〉がスタートしました。
これは、埼玉県秩父の森で、
メープルシロップを作る施設〈シュガーハウス〉の
設立するべく奮闘する井原愛子さんが綴る連載。
メープルといえばカナダが有名ですが、実は埼玉県秩父で
カエデの樹液からメープルシロップをつくる取り組みが
行われているんです。

さてその井原さんらが毎年開催している人気企画、
〈和メープルエコツアー2016〉が今年も開催!
2016年2月6日(土)、20日(土)、26日(金)、27日(土)、
3月4日(金)、5日(土)の全6回にわたり開催されます。
内容は、カエデの森の散策や採りたて樹液の試飲に、
ランチはおいしい和メープルのコースを。
秩父でこの時期だけでしか体験できないエコツアーです。

ランチ

コンセプトは“人との繋がり”。 奥沢の〈ONIBUS COFFEE〉 二号店が中目黒にオープン

東京・世田谷区の奥沢で、“人と人の繋がり”をコンセプトに、
丁寧に作られた自家焙煎のスペシャルティ・コーヒーを
提供するカフェ〈ONIBUS COFFEE〉。
奥沢のオープンから4年、道玄坂の
コーヒースタンド〈ABOUT LIFE COFFEE BREWERS〉では
ゲストバリスタやゲストビーンズを招くというユニークな
活動もする彼らが、2016年1月21日(木)、
2店舗目となる〈ONIBUS COFFEE 中目黒〉をオープンします。

〈ONIBUS COFFEE 中目黒〉では、
路地裏の古民家をリノベーションし、
最新のエスプレッソマシンと焙煎機を導入。
和のテイストを感じさせる内装は、鈴木一史氏によるデザインです。
1Fは、常滑焼の新たな試みである手作りのタイルを使用した、
風合いと落ち着きある壁面が特徴で、
2Fは、日本家屋を活かした採光と眺望が気持ちのよい空間になっています。

ちちぶメープルプロジェクト vol.1 海外志向からまさかの秩父Uターン

秩父の森で生まれたメープルシロップ

皆さんは、日本でメープルシロップがつくられているというのをご存知ですか?
メープルといえばカナダが有名ですが、実は埼玉県秩父で
カエデの樹液からメープルシロップをつくる取り組みが行われているのです。

初春の時期だけ、カエデの木に穴を開けると、そこからぽたぽたと樹液が流れ落ちます。白い管にチューブを差し込んで、タンクに樹液を集めます。

コロカルのニュースでも取り上げられたことがあるので、
聞いたことがある方もいるかもしれません。
今回、この短期連載を通じて、秩父のメープルの活動や、
森での取り組みについて取り上げていきたいと思います。
ひとりでも多くの方に日本の森のこと、秩父のこと、
メープルのことに興味を持ってもらえたらなと思っております。
実は、このメープルプロジェクト、日本の森や林業の問題を背景に始まったのです。

日本の国土の森林面積はなんと約3分の2。にもかかわらず、林業は衰退の一途をたどっています。これは樹齢200年以上の天然のイタヤカエデの木。秩父にはたくさんのカエデの木があります。

外資系企業で仕事に夢中の日々

最初に、ちょっとだけ私のことを話させてください。
何を隠そう、私、秩父でメープルの活動に取り組みたくて、
1年半ほど前に勤めていた会社を辞めて、秩父にUターンしたのです。
人生における一大転機、そのきっかけは、いまからちょうど2年前のことでした。

外資系の家具販売会社に新卒で入ってから、仕事が楽しくて、
気の合う仲間にも囲まれて、本当に恵まれた日々を過ごしていました。
学生時代からイギリスに留学していたり、
卒業論文でマーサ・スチュワート(アメリカのライフスタイルをビジネスにした実業家)
を取り上げたりして、海外の文化やライフスタイル全般に興味があった私。
海外志向が強かったので、いつか海外で働いてみたい、
住んでみたいとも思っていました。
「まさか私がUターンするなんて!」と、
いまでもその決断に我ながらびっくりしています。

いつもの食材で、新しい料理を。 にし阿波の食材を使った クッキングステージ

急傾斜地でのサステナブルな農業

徳島県の山間部。徳島空港からも、高松空港からも距離がある
“にし阿波”と呼ばれる地域=三好市、つるぎ町、美馬市。
標高が高く、しかも急峻な傾斜地に人は住み、昔から独特の農業が行われてきた。
このような高地性集落の伝統農法は、
ススキを肥料にする“コエグロ”など集落内の植物資源などによる循環型農業が行われ、
食に対する関心の高まりとともに注目されてきている。

そのにし阿波を舞台に開催されたのが世界農業遺産推進協議会の主催による
〈世界農業遺産を目指すクッキングステージ〉。
料理研究家の松田美智子さんが現地を訪れ、生産者と直接ふれあいながら、
料理を考え、現地の人たちに食べてもらう企画である。

取材チームは、まずは農業の現場として三好市にある落合集落を訪れた。
ここは「重要伝統的建造物群保存地区」に認定されている。
最近では、茅葺き屋根の古民家空き家をアレックス・カーさんのディレクションのもと
リノベーションし、〈桃源郷祖谷の山里〉という宿泊施設として再利用もされている。

“コエグロ”を利用した傾斜地農村の風景。

いつもたくさんの見学者を迎えている南敏治さん。

その地区長である南敏治さんが、急傾斜地における農業の特性を教えてくれた。
「傾斜地なので、少量ずつしかつくれません。
だから必然的に少量多品種生産になります。
かつては20種類以上の雑穀をつくっていました。
いまでもキビとヒエは種も採っていますよ」

同じ集落でも、民家の高低差が390メートルあるという。
だから上部と下部では、多少DNAの異なる作物をつくっているということになる。
同じ集落内でも、さらに多品目になっているのだ。
しかも集落内で採れたススキを肥料にするので、無農薬のうえにサステナブル。

落合集落を反対側から見ると、山の傾斜に人が住んでいることがわかる。

にし阿波エリアの大切な穀物であるそば米。

さらに約10名が暮らしているつるぎ町の猿飼集落を訪れた。
秋になると、斜面いっぱいにそばの花が咲く。
しかし25〜30度の急傾斜!
スキー場を思い出してほしい。上から見たら、30度がどれだけ急斜面に感じるか。
ここでそばを育てている西岡田治豈(はるき)さんは、
「風通しがよかったので、傾斜地によくそばが育った」と語る。
当然重機は入れないので、昔ながらの農機具で、人の手による作業が行われている。
それなりの広さがあることはもちろん、この急傾斜に畑を持つことは、
受け継がれてきた技術があるからこそできることだ。

急斜面にみっちりと生えているそばの花。

つるぎ町の猿飼集落、その急斜面でそばなどを育てている西岡田治豈(はるき)さんと節子さん夫婦。

この大根を干していくと、松田さんも初めて見たという大根1本干しに。

おいしさも見た目も、まさに格別。 パティシエたちを 魅了するイチゴ〈紅い雫〉

甘さもかたちの美しさも一級品。優秀イチゴの育て方

寒い季節に、その鮮やかな色合いで食卓に華を添えてくれる果物イチゴ。
柑橘類の印象が強い愛媛県ですが、実はイチゴの栽培も盛ん。
〈あまおとめ〉、〈紅ほっぺ〉、〈さがほのか〉、〈さちのか〉といった
さまざまな県オリジナルの品種のイチゴが生産されています。

その中でもここ数年、話題となっているのが
〈えひめスイーツコレクション2015〉にも登場した〈紅い雫(あかいしずく)〉。
愛媛県の農林水産研究所が10年の歳月をかけて開発し、
2014年にデビューしたばかりの新品種のイチゴです。

甘酸っぱい味わいの〈紅ほっぺ〉と、
甘さに定評のある〈あまおとめ〉がかけあわされて誕生した〈紅い雫〉。
約1万株の中から選別に成功したという優良品種なのだそう。
そんな〈紅い雫〉の特徴のひとつは、〈あまおとめ〉よりもさらに高い糖度。
しかもただ甘いだけでなくほど良い酸味もあり、
これまでのイチゴになかった深い味わいを備えていて、
そのおいしさに惚れ込むパティシエさんも多いのだとか。

〈えひめスイーツコレクション2015〉で提供されたタルト。お尻から先端まで、美しい紅色に色づくのも〈紅い雫〉の特徴。

〈紅い雫〉のもうひとつの特徴が、その美しい見た目。
厳冬期は色づきがやや悪く、どうしても白い部分が残りがちな〈あまおとめ〉に対し、
実の全体がまんべんなく赤く色づく〈紅い雫〉。
そしてその名の通り、まるで雫のような美しいかたちに実るのだそう。

味よし、見た目よしで人気の〈紅い雫〉ですが、
生産者にとってもうれしい特徴も兼ね備えているのだそう。
その特徴を知りに、西予市宇和町で〈紅い雫〉を生産されている
酒井敏幸さんの園地を訪ねました。

翻訳事務所が夜はビールバーへ? 2事業を叶えたリノベ空間とは。 ASTER vol.3

ASTER vol.3

みなさまこんにちは。ASTERの中川です。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
vol.3ではvol.2でご紹介しました複合施設〈リバーポート9〉の中に誕生した
新しいお店の紹介をしたいと思います。

お店の名前は〈 voyager(ボイジャー)〉 
元駐車場だった地下スペースをリノベーションしてできたバーです。

熊本でもまだ珍しいクラフトビールが揃うバーで、
昨年のオープン以降、年齢層を問わず多くの人々が連日訪れる場所となっています。
しかもこのvoyager、ただのバーではなくオフィスも兼ね備える
オフィス&バーという形態の空間です。
オフィスの中にバー? バーの中にオフィス?
あまり聞いたことがない形態ですが、なぜこのふたつの異なる形態を
ひとつの空間につくったのか。
この場所をつくったふたりのオーナーは田島ミキコさんとジェイソン・モーガンさん。
バーvoyagerのオーナー兼、翻訳・通訳を専門に行う株式会社アドアストラ代表のふたりです。

左が田島さん、右がジェイソン。

ふたりとも既成概念にとらわれない自由な発想と
スピードある行動力でこの場所をつくりました。
その経緯とは? 

少しさかのぼること、約2年前。
もともとはそれぞれ別々に翻訳の仕事をやっていたふたり。
田島さんは13年間、ジェイソンは来日後4年間。
共通の知人を通して知り合ったふたりは翻訳以外でもさまざまな活動に興味があり、
同じ方向性を持っていることでビジネスパートナーとして活動をともにし始めます。

そして2013年、最初のチャレンジとして
熊本市中心市街地で定期的に開催されている〈Seedmarket〉に出店。
Seedmarketとはまちなかで出店意欲がある人や
いまから創業しようと計画している人がチャレンジしたり、
自店の顧客獲得につなげたりと、それぞれの目的で活用するマーケットです。
Seedとは「種を蒔く」という意味で、まちに新しい種を蒔き、
魅力あるまちをつくっていくという想いが込められているそうです。
いろいろな人やお店が持つ魅力を
まちの中心地で発揮し自己発信の場につなげてもらいたいという目的で開催されています。

シードマーケットの様子。

そこでまずふたりはそれぞれコレクションしていた古書や洋書を販売しました。
2回目からは本に加え、世界各国の珍しいビールも販売しました。
出店ショップ名は“Liquor&Spirits”
ビールと本の店〈Liquor&Spirits〉が現在のvoyagerの前身です。

そんな活動をしていくなかで2014年1月、共同出資で株式会社アドアストラを設立。
翻訳や通訳が専門の会社ですが、事業計画にはあらかじめバーの運営も入れていたそうです。
ちなみに設立資金は世界旅行のために貯めていた貯金をあてたそうです。

それからすぐにアドアストラの新拠点となる物件探しが始まりました。
オフィスだけど自分たちが好きなビールや本も販売したい。
それならオフィスで働きながらバーもできる空間を見つけようよと。
でもそんな空間ってなかなか見つからない。

青森県の食と文化を知る! 〈あおもりティスティング~ “新年会”& いろいろワークショップ〉

太平洋、日本海、津軽海峡、八甲田山、岩木山。
海の幸、山の幸に囲まれながら、農業、漁業、料理人、食の作り手たちが、
時に自然と格闘しながら、日々活動を繰り広げている青森県。

2016年1月15日(金)と16日(土)の二日間、
東京・秋葉原の3331 Arts Chiyodaにて、そんな青森の食を知る
イベント〈あおもりティスティング~"新年会"& いろいろワークショップ〉
が開催されます。
これは、青森県の極めつけの食材や、食の作り手たちの仕事や食のトリビアに
焦点をあてたスペシャルサイト〈あおもり食のコミュニティ〉が主宰するイベント。
ディープなあおもりの試食会と、食のワークショップが行われます。

あかめし

津軽のいなり

2016年1月15日(金)に行われるのは、
新年会〈あおもり 食のクリエイティブを楽しむ〉。
〈あおもり食のコミュニティ〉キュレーターのダ・サスィーノ笹森通彰氏、
料理家の野上優佳子氏監修のもと、
話題の特A米〈青天の霹靂〉を初めとしたあおもりの食材が集結。
野上氏による〈食のアイデアソン〉を経て生み出されたレシピを披露。
新年会をかねて楽しめるテイスティングパーティと、
野上氏、3331アーツ千代田 統括ディレクター中村政人氏、
りんご農家 kimori代表の高橋哲史氏、
青森県産業技術センター 農林総合研究所 水稲品種開発部長の須藤充氏、
青天の霹靂生産者の大柳壽憲氏らによる
フードトークも開催します。
青森りんごのお酒“シードル”や日本酒も提供されますよ。
※試食に供される食材には数に限りがあります。
当日披露されるメニューはこちら!

メニュー

【ご飯もの】

・青天の霹靂塩むすび

・若生昆布のまぜむすび

・赤くて甘いおいなりさん

【汁もの】

・けの汁

【お供】

・根菜おかずなんばん味噌(蓮根、牛蒡、長芋)

・ひじきと牛すじの煮物

・鴨とアスパラ菜の串仕立て(隠し味に源たれを)

・切り干し大根のブンゴ梅和え

・りんごと春菊のカレー和え

・すしこ(あかめし)

・笹森通彰シェフ鯵ヶ沢ジャージーミルクのモッツアレラ

・笹森通彰シェフ鯵ヶ沢ジャージーミルクのブッラータ

【お飲み物】

・kimoriシードル

・タムラシードル

・あおもりシードル(A-FACTORY)

・ニッカシードル

・陸奥八仙 いさり火特別純米

・陸奥八仙 ピンクラベル吟醸

・陸奥八仙 赤ラベル特別純米無濾過生原酒

・陸奥八仙 黒ラベル純米吟醸無濾過生原酒

・陸奥八仙 華想い50 純米大吟醸

・りんごジュース ふじ(弘前 山野りんご)

・りんごジュース 千雪(弘前 山野りんご)

・りんごジュース とき(弘前 山野りんご)

・りんごジュース 紅玉(鯵ヶ沢 風丸農場)

・やまぶどうジュース(青森 青〜い郷里)

・甘酒(青森 青〜い郷里)

【りんご】

・ふじ

・むつ

・紅玉

・星の金貨

・紅の夢

・春明21

・大紅栄

・メロー

都会の市場・ ファーマーズマーケットから 見えてきたコミュニティのかたち メディアサーフ コミュニケーションズ 後編

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ファーマーズマーケットの立ち上げに携わって

都市を耕す、メディアサーフコミュニケーションズ。
青山国連大学前〈Farmer's Market @ UNU(以下、ファーマーズマーケット)〉や
南青山の〈COMMUNE246〉、〈青山パン祭り〉など、
さまざまなイベントやメディアを仕掛けている。

今回は創業メンバーの田中佑資さんに、
活動を通じて見えてくる社会像をお聞きした。

メディアサーフコミュニケーションズの創業メンバー田中佑資さん。

ファーマーズマーケットが始まったのは、2009年の9月。
その立ち上げから関わっているのが田中佑資さんだ。
ファーマーズマーケットは、
農家さんが直接野菜や果物を売る、都会の中の市場である。

「海外とかの文化的な都市には必ず市場がある。
東京にもあったらいいんじゃないか、ということで始まりました。
僕自身、もともと農業にも食にも興味を持っていました」

野菜、果物、花などの産直品やジャムなどの加工品、
パン、コーヒーなど、1回の開催ごとに100店舗ほどが集う。

毎週土日に開催しているが、簡単なことではない。

「月に1~2回だとどうしてもイベントになってしまう。
毎週開催していくことで、コミュニティが生まれます。
最初から毎週、出店されている方もいらっしゃいますし、
毎回いらっしゃるお客さんもいます」

さらに〈青山パン祭り〉のような企画も連動している。

「2014年から〈AOYAMA FOOD FLEA〉という動きもつくりました。
食の多様性をテーマにして、会場で同時開催しています。
そちらは職人にスポットをあてて、全国のパン屋さんが集まる〈青山パン祭り〉、
コーヒーのロースターの方が集まる〈Tokyo Coffee Festival〉、
日本酒の蔵元さんを集める〈AOYAMA SAKE FLEA〉などをやりました。
会場を提供している国連大学の意向とも一致して進めています」

毎週末、“村”ができる。
食と農を通じて出会うコミュニティがある。

国連大学前で毎週開催されるファーマーズマーケット。写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ株式会社

田中さんたちは日ごろから関東近郊の畑を訪れ、生産者さんたちと対話し、
消費者との架け橋をつくることを進めている。

「農家さんはこだわっていればいるほど、
自分でお客さんを見つけなければならない。
なぜかというといま農産品の“規格”というのが、
大きな価値観になってしまっているんです。
“色”、“かたち”、“大きさ”が野菜や果物の価値を決めてしまいがちですが、
“規格”ではない大切な思い、例えば無農薬であるとか、
在来種であるといか、そういうこだわりは流通が小さくて評価されないんです」

だから、農家さんの“こだわり”と都会の消費者の“こだわり”を直接結びつける。

「都市に住んでいると、農家さんと触れ合うだけでもおもしろい。
おいしくて、癒される。新鮮なものも買えるし、値段も高くない。
それに直接やりとりをしたほうが楽しいじゃないですか。
効率的にやるなら今の流通でもいいのだと思いますが、
出会いを求めているのなら、こういう“交換”のやり方が一番いい。
“こういうものをあなたに食べてもらいたい”、
“食べたい”、という関係ができればいいと思う。
それが僕が思うファーマーズマーケットなんです」

ファーマーズマーケットのコンセプトは“野良”。
そこに目指す社会の姿も見えてくる、と田中さん。

「“野に良い”というのはどういうことなのだろうか。
すべての生活の原点はそこにあるんじゃないかと考えました。
つまり、野良があって、農家さんがいて、食事ができるということ」

都市のなかにあって、その流れを意識したコミュニティをつくっていくこと。
そのベースとなっているのがファーマーズマーケットなのだ。

ファーマーズマーケットでは野菜だけでなく、花屋さんも出店。ほかにパン、お酒、コーヒーなども出店している。2014年からは食の多様性をテーマ に〈AOYAMA FOOD FLEA〉も併催している。
写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ株式会社

日本の伝統建築を美しく昇華! 国産無垢材でローコスト 〈工学院大学 八王子キャンパス〉 弓道場とボクシング場

東京都八王子市にある工学院大学八王子キャンパス。
ここに昨年、125周年記念事業として作られた弓道場とボクシング場がいま話題です。
設計は、建築学部 建築デザイン学科の冨永祥子准教授によるもの。
“国産無垢材を使った木造無柱空間をローコストでつくる”
という条件に応え、日本の伝統的木造建築の美しさや
構造特性を現代の技術で再構成しました。
木材は和歌山県産。
日本の伝統建築を現代に美しく昇華したデザインが評価され、
2015年日本建築学会賞(作品)など、
多数の国際的な賞を受賞しています。

ボクシング場(撮影:小川 重雄)

弓道場には細い束・貫による格子フレーム、
ボクシング場には大仏様の三手先を
内部空間に反転した天秤フレームが使われています。
共に斜材を使わない水平垂直の構成と、その膨大な接合部の集積により
外力を吸収する柔軟な構造が特徴です。
同大学の建築学部1年生によるコンクリート平板作りを実施し、
彼らの作品が弓道場の一部として組み込まれているというのもステキ。

弓道場の木を組んでいるところ

弓道場。このように木が組まれています

弓道場全景

あの〈岩木遠足〉が本になった! 豊嶋秀樹『岩木遠足 人と生活を めぐる、26人のストーリー』 トークツアーも開催

朝起きたら

まず、窓を開けます

太陽が出てくるのね

お岩木様も見てね

それからご飯炊きもね

ずっと続けていることですよ

『岩木遠足 人と生活をめぐる、26人のストーリー』(青幻舎)P.15“初女さんの言葉”より

新刊『岩木遠足 人と生活をめぐる、26人のストーリー』(青幻舎)には、
2009年から2013年にかけて、青森県の弘前市を出発点に開催された
遠足形式のイベント〈岩木遠足〉に登場した、26人の物語が収録されています。

はじめの言葉は、弘前で〈森のイスキア〉を主催する
佐藤初女(はつめ)さんの言葉。
“お岩木様”というのは、広い広い津軽平野のどこからでも見える、
県内で一番高い山のことです。
その麓には、岩木山を仰ぎ見るようなかたちで神社があり、
山頂には奥宮が建てられているのだそう。
津軽の人たちの暮らしに溶け込み、古くから慕われきた山です。

『岩木遠足』は、この岩木山を望む地域をひとつの文化圏ととらえ、
その周辺に暮らす人や、ゆかりのある人を訪ねるバスの旅から始まります。

編著者は、このイベントの発起人であり、
先日「つくる」Journal!にもご登場いただいた豊嶋秀樹さん。
「岩木遠足」の本制作委員会のみなさんと一緒にこの本をつくってきました。
豊嶋さんは〈gm projects〉のメンバーとして展覧会の空間構成を手がけたり、
〈津金一日学校〉(山梨県)や〈陸前高田ミーティング(つくる編)〉(岩手県)
などのイベントを手がけたり、自身の作品を制作したりと、
枠にとらわれない活動を展開しています。

岩木遠足は、豊嶋さんが興味のある人や、会いたい人に会いに行く道程を
遠足のようなかたちで参加者の皆さんと
共有できたら楽しいのではないか——そんな思いから始まったイベントなのだとか。

一行が貸し切りバスを降りて山のなかを歩いていくと、
そこにはマタギや音楽家、こぎん刺しの研究所の所長さん、
農家さん、こけし工人、シェフなどなど、
その場所にゆかりのある人が待っていて、いろいろな話をしてくれる。
しかもただ話を聞くだけではなくて、
津軽笛による登山囃子(とざんばやし)の演奏を聴いたり、
リンゴ畑を歩いたり、農場でお昼ごはんを食べたりと、
そこでしかできない体験とともに聞く。
遠足は、そんな風に進んでいきます。

挿画 佐々木愛

第1章には、世界を旅する写真家・石川直樹さんが登場します。
石川さんはつぶ沼という沼のほとりで、
“自分なりの地図”を描いて探求していくことなどを語りました。

石川さんはオーストラリアでアボリジニの人たちに会った時に、
彼らが何の変哲もない風景のなかに泉が湧き立つ場所や
聖地となっている洞窟を見ていることを知り、
普通の地図には載っていない、
まったく別の世界が存在することに気づいたのだそう。

その時に石川さんが思ったのは、たとえ見慣れたような風景でも、
自分のとらえ方によって、いかようにも変化させられるということ。

それから第2章、第3章と読み進んでいくと、
次々に“自分なりの地図を描く”ような生き方をしている人が登場します。

たとえば、伝統を継承していくだけではなく
“今の時代のいいものって何なのか、ってことをしっかりと考えて伝えられればいいな”と
語っていた〈必殺ねぷた人〉の三代目棟梁・中川俊一さん、
お金を稼ぐ仕事は自分が責任を持てることでないとだめだと気づき、
音楽に重点を置くようになったという音楽家のオオルタイチさん、などなど。

そうした人たちの話を聞いているうちに、
“自分なりの地図を描く”って、いつもの見方ややり方をちょっと変えてみるとか、
自分で考えた方法でやってみるとか、
そういうことなのかもしれない、と気づかされたりするのです。

過疎の集落も城下町も、 再生のカギは空き家とヨソ者? 一般社団法人ノオト vol.08

一般社団法人ノオト vol.08

皆さん、こんにちは。ノオト代表の金野(きんの)です。

前回は、理事で事務局長の伊藤が、
〈篠山城下町ホテルNIPPONIA〉にまつわる物語を紹介しました。
ファンドなどの難しい話が続いていたので、
彼女としては「箸やすめのつもりで気楽に書いた」らしいのですが、
たくさんの方に読んでいただいたようで、本人もご満悦です。

彼女は大阪府豊中市生まれ。東京のIT企業でばりばりと働いていました。
ある日のこと、いつものように左手のハンバーガーをかじりつきながら、
右手でキーボードをがりがり打っていて、
この数字を追いかける世界には終わりがなく、
その意味も行き先も見定めることができない、と気づきます。
パソコンから視線を上げると、
ガラスの向こうには、流れゆく雑踏と車列がありました。
彼女はさらに視線を上げて、空を仰ぎました。そして決断します。

まずは、香川県の仏生山、徳島県の神山、神戸市の岡本商店街、
岡山県の西粟倉を巡って薫陶を受けます。
信念を持って、こんなに生き生きと働いている大人たちがいる、
それをこんなに楽しそうに話す人たちがいる、
だいたい、働いているのか遊んでいるのかわからないじゃないか、
彼女はそのように感極まって、
岡 昇平さん大南信也さん、松田 朗さん、牧 大介さんの前で、
それぞれ泣き出したそうです。

それから、かつての上司が「地域づくり」をしている兵庫県の篠山へ、
ふらふらとやってきました。それが2年前のことで、
いまは、ノオトの事務局長、CCNJ(創造都市ネットワーク日本)事務局として、
ばりばり働いています。
前にも書いたようにノオトはフラットな組織なので、
私などは日々ダメ出しをいただいています。

ノオトは現在、理事4名、社員5名の9名で運営しています。
最近になって気がついたのですが、ノオトには勤務時間という概念がありません。
だから労務管理もありません。
事務所のほか、自宅、行きつけのカフェ、食堂、コンビニの駐車場が仕事場です。
9名のうち、伊藤や私を含む6名がIターン、2名がUターンで、
拠点としている篠山市においてもヨソ者の集団ということになります。

NOTE本社事務所から望む丸山集落の黒豆畑。

高齢化するドヤ街。 簡易宿泊所から生まれた ゲストルームとは。 IVolli architecture vol.3

IVolli architecture vol.3

こんにちは。アイボリィの永田です。
これまで2回にわたって僕らの拠点のある黄金町について
ご紹介しましたが、今回は少しだけ足を延ばして、
寿町というエリアでの仕事をお話したいと思います。

ドヤ街と呼ばれたまち

寿町はJR関内駅、石川町駅から徒歩5分ほどの場所にあり、
僕らの事務所のある黄金町からも自転車で10分ほどのところにあります。
黄金町が以前は特殊飲食店でにぎわっていたまちであることは
vol.2でお話してきましたが、
この寿町もまた、独特な歴史を持った地域です。
「寿町」と検索すればいろいろな話が出てくるのですが、
ここは日雇い労働者のための簡易宿泊所が集まる、
「ドヤ街」と呼ばれてきたまちです。
“ドヤ”とは簡易宿泊所のことを
「人が住むような宿(=ヤド)ではない」という意味から、
自嘲的に“ヤド”を逆さまに呼んだ名称のことで、
大阪の釜ヶ崎、東京の山谷、横浜の寿町は
「3大ドヤ街」とよく言われます。

寿町の様子。(コロカルのエリアマガジンでも寿町を紹介)

簡易宿泊所というのは、名前の通り、
生活するのに最低限の設備しか整えておらず、
ひと部屋はとても小規模で、3〜4畳ほどの広さも珍しくありません。

部屋数は多く、廊下にたくさん扉が並んでいます。

ひと部屋は3〜4畳ほどの広さ。

寿町の現在

寿町は戦後、横浜港での荷役などを中心とした
労働者たちのための簡易宿泊所が100軒以上立ち並ぶようになり、
一時は港湾労働者たちで大変にぎわっていた時期もありました。
しかし時代とともに港湾を中心とした産業も経済も変化していき、
かつての労働者たちが職を失っていくようになりました。
治安の悪さなども目立ち、寿町のまちとしての印象は
とてもいいものではありませんでした。
現在では寿町の住民たちの高齢化が進み、
まちで暮らす人たちの8割近くが生活保護を受けながら暮らしています。
かつての日雇い労働者のまちは静かに福祉のまちに移り変わっています。

寿町には福祉サービスがたくさんあります。

では、そのような寿町と僕らの“改修”がどこで結びつくのでしょうか。

日本の工芸を“おいしく知る”! 中川政七商店 創業三百周年記念 〈大日本市東京博覧会〉開催

2016年1月13日(水)から17日(日)にわたり、
東京・六本木の〈東京ミッドタウン〉にて、
〈大日本市博覧会 東京博覧会〉が開催されます。
主催は、1716年創業の奈良の老舗、株式会社中川政七商店。
現在は全国のものづくりを紹介する〈中川政七商店〉や
工芸の地産地消を目指す〈日本市プロジェクト〉などをてがけ、
展開する直営店は全国44店舗にものぼるほど。

本イベントは、そんな中川政七商店が、創業三百周年を記念して、
全国の産地と手を組んで”日本の工芸を元気にする!”プロジェクト。
東京を皮切りに、岩手、長崎、新潟、奈良の
全国5地域を巡る〈大日本市博覧会〉を行うのです。

ABC クッキングスタジオ 料理レッスン〈日本の伝統× 食を学ぶ和の道具で作るごちそう和食〉

第1回目の開催地となる東京は〈食と工芸〉がテーマ。
料理教室の〈ABCクッキングスタジオ〉と、
だしでおなじみの〈久原本家グループ(茅乃舎)〉とコラボした
特別な料理レッスンを実施します。
タイトルは〈日本の伝統×食を学ぶ和の道具で作るごちそう和食〉。
蒸籠、飯台、竹の皮、まきす、さらしという五種類の工芸品を使い、
海鮮太巻き、茶わん蒸し、丁稚羊羹の3品を調理します。
工芸品の使い心地も気になるところ。

茅之舎御用達汁椀セット&オリジナルメニュー

そして会場では、東京博覧会限定の〈茅乃舎御用達の汁椀セット〉も販売されます。
ふち塗り椀と寒仕込み2段熟成醤油、茅乃舎だしがセットで
お値段は8,532円です。
「茅乃舎」のお出汁と醤油に、福井県鯖江市で200年続く越前漆器の老舗〈漆琳堂〉が
このためにつくった限定のふち塗り椀の組合せ。
さらに漆琳堂によるワークショップも開催されます。

話題のパン本も出版。都市を “耕す(Cultivate)”集団  メディアサーフコ ミュニケーションズ 前編

“メディア”をつくるだけでなく、
“メディア”をサーフして“コミュニケーション”をつくる

目黒区青葉台のワークスペース みどり荘に
〈メディアサーフコミュニケーションズ〉を訪ねた。
青山国連大学前で毎週末行われている〈Farmer's Market @ UNU〉や
南青山のコミュニティ型空間〈COMMUNE246(コミューン246)〉、
2015年は10月に開催され、盛況を見せた〈青山パン祭り〉など、
さまざまなイベントやメディアを仕掛けている、今注目の若者メディアチームだ。
さらに、都市の野良仕事カルチャーを発信する雑誌『NORAH(ノラ)』を発行したほか、
最近では話題のパン本『CRAFT BAKERIES』もクラウドファンディングで刊行を実現させた。

創業メンバーの堀江大祐さんにお話をうかがった。
まずはメディアサーフコミュニケーションズという会社はどんな会社なのか。

メディアサーフコミュニケーションが企画・運営し、2009年9月より青山・国連大学前で開催されている〈Farmer's Market @ UNU〉。そこで日本各地からパンの名店が集う〈青山パン祭り〉が行われた。写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ

「メディアサーフコミュニケーションズの構想は
元IDEE、現在は流石創造集団株式会社の黒﨑輝男さんが
10年くらい前から考えていたことです。
当時まだ本や雑誌など紙媒体がおもしろかった時代。
でもこれからはWebやSNS、映像やイベントなど、表現方法はいろいろあって、
それを組み合わせることによってより効果的な状況も生み出せるし、
伝えたいことによってメディアも選べるはず。
だからメディアをサーフィンするように有機的につないでいくことをする会社を
つくろうと考えたんです」

“メディア”をつくるだけでなく
“メディア”をサーフして“コミュニケーション”をつくる会社。

「僕はもともと黒崎さんのIID(世田谷ものづくり学校)での学びの場
〈スクーリング・パッド〉の学生だったんです。
そこでスクーリング・パッドの書籍の編集を手伝わせていただいて、
その流れで2008年にメディアサーフコミュニケーションズを立ち上げるときに参加しました。
最初はほんと仕事がなくて、毎月イベントをやったり、
そのコンセプトをもとにフリーペーパーをつくったりしていました。
そのうちに〈Farmer's Market @ UNU〉が始まって、
それが広がっていったんです。
会社の多くの力を〈Farmer's Market @ UNU〉や〈COMMUNE246〉に割いています。
僕は会社の中ではメディアづくりや、
あとは紙媒体やWebなどの制作系の仕事をやっていますね」

メディアサーフコミュニケーションズ内のプロジェクトチーム〈Bread Lab〉が運営する〈青山パン祭り〉。土日で約2万人を動員する。もともと2011年に世田谷・三宿エリアで始まった〈世田谷パン祭り〉から発展した。写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ

都市を耕す

〈Farmer's Market @ UNU〉のコンセプトを発信しているのが季刊誌『NORAH』。
これまでに紙媒体『NORAH』を5冊出しているほか、連動するWebサイトも立ち上げた。

「NORAHとは都市を耕す、ということなんです」

Culture(文化)の語源はCultivate(耕作)にあるという。
土を耕し、豊かにすることで、生まれ育つものを収穫し、楽しむということ。
それがNORAHだ。

「野良って、野を良くするって書くのだけれど、
それが僕たちのコンセプトをよく表していると思っています。
そして〈ファーマーズマーケット〉を
都市のなかに根ざしたものにしたいと思ったので、
催事的にやるだけではなく、メディアをつくることを考えました。
メディアというと最近はまずウェブマガジンになるんですが、
紙媒体としてかたちに残るものにしたいということで、季刊の紙媒体にこだわりました」

年4回発行する季刊誌『NORAH』とWebサイトは連動している。
エディター自ら掘り起こしてきた情報をWebサイト上にストックし、
その中から多くのユーザーの関心と意見を集めたトピックや、
今伝えるべきテーマをさらに掘り下げて雑誌に編集している。
野良的な感性を磨き、野良的な生活を志向する、そんなコンセプトブックだ。

「食や農に興味がある人だけでなく、
ファッションやデザインに興味がある人にも
“いいな”と思ってもらえるものにしたいと思っています。
海外の農家さんって野菜や作物にこだわるだけでなく、
家に行ってもインテリアも音楽も本も趣味がいい。
ライフスタイルそのものがかっこいい人が圧倒的に多いんです。
日本の農家さんでもやっていることや思想がかっこいい人はいらっしゃる。
でも趣味や生活まで羨ましいと思える人は数少ない。
日本の農家さんも憧れられる、
“生き方としてのファーマー”というものを発信していけるといいなと思います」

次は“種”の特集で、3月に出版予定だという。

メディアサーフコミュニケーションズの季刊誌『NORAH』。

2万人に愛される〈青山パン祭り〉から生まれた〈Bread Lab〉が送る、パン好きによる、パン好きのためのパンの本『CRAFT BAKERIES』。

森を活かして 伝統技術を進化させる 〈株式会社 飛騨の森で クマは踊る〉前編

Web、コンテンツ、コミュニケーション、空間、イベントなどの“デザイン”を手がける
クリエイティブ・エージェンシー〈ロフトワーク〉がお届けする
「ロフトワーク ローカルビジネス・スタディ」。
5回目は、ロフトワークが今年5月につくった
株式会社 飛騨の森でクマは踊る(通称 ヒダクマ)について。
東京から飛騨に移り住んだヒダクマの森口明子が語ります。
2回にわたるシリーズのうち、今回はなぜ飛騨で林業なのか、ヒダクマとは何かについて。
2回目は飛騨移住に至った理由とその後の奮闘記をお届けしたいと思います。

飛騨と聞いて、何を思い浮かべますか?

日本の原風景が残る景色、江戸時代のような城下町の風景、山に囲まれた雄大な自然、
飛騨牛、おいしいお味噌、地酒……。
そもそも飛騨市はどこにあるのかというと、岐阜県最北端に位置し、
富山と高山に挟まれた山深い地域です。

飛騨高山は観光業で成功し外国人にも人気のある旅行スポットである一方、
飛騨市は人々の暮らしが伝統文化の中に息づいている地域です。
「飛騨の匠」とは優れた木工職人を称える総称で、歴史的に見ると、
その職人の技術を都づくりに活用するために中央政府が税を免じてまで
木工職人として京へ派遣し、神社仏閣や平城京、平安京などの造営に貢献し
日本建築士の黄金時代の一翼を担ったと言われています。

飛騨への移住

私自身が、最初に飛騨の地に降り立ったのは2月のとても寒い時期でしたが、
雪景色が幻想的な風景を生み出していました。2度ほど来ると、
”秘境”たらしめる美しさに感動すると同時に、
その美しさを継承し続けてきたなりの難しさも兼ね備えている土地だとも感じました。
良く言えば文化の色濃いまち、でもまちの持続性という観点からすると、現代や都会、
そして世界とのつながりを持って次世代に繋いでいくには、
その趣深い伝統や精神などが足枷になりかねないな、と感じたのです。

しかし、飛騨古川祭りを見たり、何度か通うたびに
自然と土地の持つエネルギーに惹かれていったような気がします。
飛騨古川祭りは、あの武満 徹氏が賞賛し
飛騨古川のために音楽を作曲されたというのも納得の
強いインスピレーションを受けるお祭りです。
まるでスルメイカのように、通えば通うほど味わい深いエネルギーを感じ、
最終的に東京からの移住を決意しました。

林業にテクノロジーとクリエイティブで向き合うヒダクマ誕生

飛騨は市の面積の9割以上を占める森林の中でも広葉樹の割合が7割と、
全国でも広葉樹の豊富な地域です。飛騨市と、林業・地域再生を手掛けるトビムシ
ロフトワークの3社が手を組み、広葉樹の活用を通じて地域活性を目指し、
〈ヒダクマ〉が生まれました。

私は飛騨に移住してヒダクマで働き始め、
何もかもが新しい環境で日々奮闘しているのですが、その話はまた改めて。
ヒダクマは、日本の課題である林業にテクノロジーを駆使して向き合い、
クリエイティブな解決を図り、伝統の知恵や技の伝承のため、
データをオープンにして世界中のクリエイターたちと共有し、
新しいかたちやプロダクトをつくり出すことを目指しています。

森づくり

ヒダクマの正式名称は〈株式会社 飛騨の森でクマは踊る〉。
社名にこめられたメッセージは、クマも踊り出すような健康な森にしよう、という思いから。
森を守ることとは、森を放っておくことではなく、
100年後を見据えた未来の森プランを共有し検討し実行していくことです。
第一次産業である農業や漁業と比較しても取り組みが難しいと言われる林業は、
日本では他の国に比べて国産材使用の流れに遅れをとっています。

例えば、日本もフィンランドも国土の面積に占める森林面積が9割ほど。
でもフィンランドは自給率126%、かたや日本は28%、フィンランドは輸出していますが、
日本は大量に輸入しているのです。
世界に誇る森を持っていながら輸入して資産を有効活用できておらず、
自然災害などさまざまな問題を引き起こしているのです。
飛騨は世界に誇る日本有数の木工技術が集積したエリアで、
高い技術を持つ家具メーカーがひしめき合っているのにも関わらず、
多くの家具メーカーが輸入材を利用。
これほどの資源を目の前にしながら驚愕の事実ですが、現実は厳しい。
そうならざるを得ない構造自体を変えていかなくてはならないのです。

こういった状況に危機意識を持つ人たちの間で、
森という資産を経済的に有効活用しようという動きが出始め、
針葉樹林は活用され始めています。
そんな中、ヒダクマがフォーカスしているのは広葉樹の活用です。

広葉樹というのは、私たちの暮らしにも身近なクリ、クルミ、サクラやケヤキ、キリ、
ミズナラ、ブナ、ホオ、ミズメ、トチ、カツラ、サワグルミなど、
地球上には針葉樹が約540種が存在、広葉樹はなんと約20万種。
広葉樹は育ちが遅く(針葉樹が伐期50年と言われる一方、広葉樹は70年と言われている)、
木の幹が太く曲がっていたり枝や節が多く扱いずらいため市場価値を持たず、
線路の枕木や燃料の薪や製紙用のチップとしてしか利用されていません。

しかし、よく見ると樹種によって色も木目も触り心地も匂いもすべて違う、
広葉樹は個性的な”生き物”であるということに気づきます。
それらを価値化してプロダクトにしていこう! というのが
ヒダクマの取り組みなのです。

以下の写真は飛騨の広葉樹のうち、”栃の実”でよく知られるトチの木を利用し、
東京のデザイナーの設計により、コンクリートを流し込んだカウンター材を
ロフトワークの新しいコワーキングスペース〈FabCafe MTRL〉に導入した例です。
仕上がりはとても自然です。
ただし広葉樹は育成に時間がかかるので、
広葉樹の人工植林も同時に対応していく必要はあります。

ヒダクマは飛騨市が現物出資している森などをベースに、テクノロジーを活用し、
森にある木の樹種、色、樹齢そして森全体の環境状況などをデータ化し、集積する。
さらには製材所にある木材もデータ化し、
オンラインで建築家やデザイナーが発注できるようなシステムを目指しています。
また、マーケットに出たあとの利用状況、
木材の経過観察し特徴などをデータ化することで知見を貯めていきます。 

飛騨の広葉樹のトチを東京の〈FabCafe MTRL〉のカウンター材に。

デザイナーにより、コンクリートを流し込んで完成したカウンター。

全読者を覚えられる コミュニティサービスを目指して 東北開墾 後編

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顔が見える1500人

『東北食べる通信』は、2013年7月に始まったサービスだ。
毎月、食材とともに冊子が届く。
ただし、おいしい食材を届けることが目的ではなく、
その生産者の背景を冊子で知ってもらうことが主目的なのだ。
発行元である〈NPO法人 東北開墾〉の代表理事である
高橋博之さんが掲げた読者数の目標は1500人。
現在ではこれを達成したが、以降、自分たちの読者をどんどん増やしていくよりも、
同じ仕組みを全国に横展開していく手法を選んだ。

「各地域に同じ取り組みをする仲間を増やしていって、
それぞれが1000人、1500人と読者を獲得していったほうがいい」と高橋さんは言う。

地域によって採れる食材に特徴もあるし、課題も異なる。
外に向けて、自分たちの地域をアピールしていきたいという目的もあれば、
まずは地域内で魅力を再確認していこうという目的もある。
「どこの消費者と、どうつながりたがっているか」によるのだ。

高橋さんが設定した1500人という読者数。
実は刃物メーカーである〈貝印〉の社長が、
社員約1500人の名前や出身地を覚えているという話を聞いたからだそうだ。

「僕も全読者を覚えられるコミュニティサービスにしたいと思ったので、
1500人に設定しました。規模でしか成果を測れないのが、近代社会の病。
それは古い時代の価値観だし、自然を破壊して成り立つ豊かさです。
とはいえ、たった1500人の読者で世の中を変えることができるのか?
横展開することで、同じような規模のコミュニティが全国各地にたくさんできれば、
それは可能だと思います。
ひとつのコミュニティの消費者を15万人にするより、
1500人の、価値を理解し末長く応援してくれる消費者と関係性を築きたいのです」

小さなコミュニティがたくさんあったほうが、個性的で、独自で、多彩だろう。
効率は悪いかもしれないが、きっとそのほうがおもしろい社会だ。
全国に26誌(発行中20誌)を数える『食べる通信』。
それぞれの食べる通信の編集長や運営母体もバラバラ。
個人もいれば、株式会社、NPO法人、漁協というのもある。
でも同じような課題を抱えているので、意見交換もできる。
横でつながっている仲間になる。

〈東北開墾〉と〈日本食べる通信リーグ〉の代表理事である高橋博之さん。

自ら発信する仕掛け

『食べる通信』に続いて
ウェブメディア『NIPPON TABERU TIMES(日本食べるタイムス)』を
立ち上げた(運営は〈日本食べる通信リーグ〉)。
全国の農家や漁師自身が書き手になっているので、
フィルターのかかっていない、現場のリアルな声を読むことができる。
『食べる通信』は消費者の意識を変えてきた。
同時にそれが生産者へフィードバックされることで、生産者の意識も変えてきた。
その延長として、『NIPPON TABERU TIMES』はよりダイレクトなツールになる。
『食べる通信』では、一度紹介されたら基本的には終わり。
それ以降は自分たちで発信していってほしい。その受け皿となる。

「農家はこれまで“もの言わぬ民”と言われてきました。
消費者の目から見えなくなった巨大な流通システムを整理するだけではなく、
生産者も自ら発信していかないといけません。
これまではものだけ出して終わり、自分たちの価値を発信してこなかったわけです。
そうして時代の変化に取り残されてしまいました」

『NIPPON TABERU TIMES』では、
自分たちの育てている野菜や採っている魚のこと、日々の仕事の内容はもちろん、
「自然の猛威」というカテゴリーでは、一次産業の難しさを赤裸々に語っている。
そんなことを書けるのも、書き手が実際に体感していることだから。
言葉に嘘がない。

さらに農家の発進力を高めていく画期的なシステムが
〈KAKAXI(カカシ) PROJECT〉だ。
農地に設置するデジタルデバイスで、気温や湿度、日照時間を記録してくれる。
さらには樹液流量や土壌水分などの計測も可能だ。
太陽光のみで稼働し、Bluetooth経由でスマートフォンにデータを転送してくれる。
それらのデータはクラウドにアップ可能なので、
消費者はそのデータにいつでもアクセスできるのだ。
さらに、消費者はその野菜を使った料理をアップすることで、
生産者はもちろん、消費者同士の横のネットワークを形成することもできる。

消費者が生産者と同じ目線を持つことができるツール。
現在はアメリカで実証実験を終え、来年から日本での導入を予定している。
概念的な意味での“可視化”を超えた、“リアルな可視化”。
言葉にして伝えたり、宣伝が得意ではないという農家でも、
このKAKAXIなら自分たちのありのままを伝えることができる。
生産者と消費者が、より直接的関係性を持つことで、
農業の価値を高めることになりそうだ。