『和ごころを伝えるデザイン』 “新しい和のデザイン”の アイデアが詰まった一冊

書籍『和ごころを伝えるデザイン』が
パイ インターナショナルより発売中です。
これは、和風のデザインを表現している作品を手法別に掲載し、
細やかな和ごころをつたえるポイントに焦点をあて紹介するデザイン書。

日本の名風景などを使った〈フォトグラフィー〉、
日本古来の文字や和風テイストのロゴマークをあしらう〈タイポグラフィー&ロゴ〉、
和の伝統色を効果的にあしらったものや四季を彩る配色などの〈カラーリング〉、
浮世絵や錦絵の雰囲気を漂わせたり、日本画を用いる〈イラストレーション、
海外の方にも届けたい新しさを感じるデザイン〈ニュー・ジャポニズム〉など。

地方創生、古き良き日本やこれからの新しい日本を
伝えていくためには、どのようにしたらよいでしょう?

日本人の心の機微やわびさび、凛とした美しさ、雅な世界観など。
そうしたものを“伝える”ために、
様々なかたちで和風のデザインを表現している作品を手法別に掲載し、
細やかな和ごころをつたえるポイントに焦点をあて紹介していきます。

三陸から始まる 1000人の“フィッシャーマン” をつくるプロジェクト。 フィッシャーマン・ジャパン前編

フィッシャーマン1000人できるかな

日本は海に囲まれているから、昔から水産文化が豊かに根づいている。
いろいろな地域に行くと、各地に名産の海鮮料理があり、
新鮮な魚をおいしくいただける。
しかしその魚を獲る漁師は、
20年前の約32万人から減り続け、現在では約17万人。半減に近い。
特に、20〜30代の漁師は2割にも満たない。
国内の水産物の生産額も半減している。
日本人は魚が好きという定説からすると不思議に聞こえるかもしれないが、
このような現実があるのだ。

そんな現状を打破したいと動き出した団体がいる。
世界三大漁場ともいわれ、漁業が盛んな三陸エリアで、
2014年に立ち上がった〈フィッシャーマン・ジャパン〉である。
現在、事務局を務める長谷川琢也さんは、
東日本大震災後にヤフーの復興支援室勤務として石巻に移住し、
〈復興デパートメント〉や
水産物を取り扱う〈三陸フィッシャーマンズプロジェクト〉などを立ち上げた。
そんな長谷川さんと、石巻の漁師、阿部勝太さんの出会いがきっかけだった。

フィッシャーマン・ジャパンのメンバー。(右から)発起人の長谷川琢也さん、アートディレクターの安達日向子さん、プロジェクトマネージャーの島本幸奈さん、写真家の平井慶祐さん。

「僕が、ヤフーの復興関係の仕事で石巻に来たのが2012年。
その直前に(阿部)勝太に会いました。
初めて会ったときから、震災からの復興だけでなく、その先を見据えていましたね。
彼から“これをきっかけに漁業に変化を起こすような挑戦をしていきたい”
という話を聞いたんです。
でも、いきなり東京から来たよそ者と、20代の若い漁師で始めるのは簡単ではなくて、
ゆっくりと仲間を増やしてやっていこうと思いました」と、
出会いを話してくれた長谷川さん。

「僕は漁師だし、長谷川さんも水産物の取り扱いに力を入れていたので、
自分たちの仕事を通して、いろいろな水産系の仲間に出会うことができたんです。
彼らと話すと、みんな同じような問題意識を持っていたり、
やりたいことが似ていることがわかりました」と言うのは、
一般社団法人〈フィッシャーマン・ジャパン〉の代表理事を務める阿部勝太さん。

石巻市の十三浜でワカメ漁師をしている阿部勝太さん。漁業生産組合〈浜人(はまんと)〉を立ち上げる。(写真提供:フィッシャーマン・ジャパン)

ふたりの思いに共鳴して、若い仲間が集まっていき、
長い構想期間と地ならしを経て、フィッシャーマン・ジャパンが立ち上げられた。
その原点には、ふたりの漁師の言葉が強く残っていると長谷川さんは言う。

「勝太と、もうひとり理事を務める漁師の鈴木真悟。
彼らの言葉がすごく心に響いています。
震災をきっかけに、漁ができなくなって、土地から出ていってしまったり、
漁師を辞めてほかの仕事をしている仲間がたくさんいて寂しいと言うんです。
そんな人たちも、自分たちががんばっている姿を見れば、
戻ってきてくれるのではないか、と。
そこなんです。みんな地域に根を張っているんですよ。
代々続く太い根があって、1回離れても戻ってこられる。
よそ者にとって、うらやましくて、すごく惹かれる話でした」(長谷川さん)

カキ剥きの実習なども行われている漁師学校。詳細は後編にて。

石巻の美しい漁場。

えひめで、働く、暮らす、育てる。 〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉 イベントレポート

“仕事”からイメージしてみる、えひめ移住

自分らしいスタイルで働きたい、地域活性の活動に興味がある、
より良い環境で子育てをしたい、充実したセカンドライフを送りたい……など、
さまざまなかたちで地方移住への関心が近年高まりつつあります。
でも移住を決断するまで、考えたり決断しなければいけないことはたくさん。
そして多くの人が一番悩むと思われるのが
「日々の暮らしを支える“仕事”をどうするか?」ということ。

でも“仕事”をまず切り口に、移住した後の生活の魅力を考えてみるというのは、
実はイメージしやすい検討方法のひとつ。
そんなアイデアのもと、“仕事の選択からえひめ移住をイメージしてみる”をテーマに
開催されたのが〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉
愛媛県の職の魅力、そこから見えてくる暮らしや環境を紹介する、
地方への移住や愛媛県へのU・J・Iターンを考えている方に向けたイベントです。

2月14日(日)・21日(日)・27日(土)の3日間に分けて、
農業、福祉、サービスなど、多彩な職種の愛媛県の企業が一堂に集結する
〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉。
今回は2月14日(日)に開催されたフェアの様子をお届けします。

フェアの開会の挨拶をする、愛媛県企画振興部長の門田さん。

第1回目となるこの日のフェアに参加されたのは、20代から60代の方々。
ご夫婦で参加された方もいれば、お子さんと一緒に会場へいらした方も。
受付後は〈おせっかい人〉と呼ばれるスタッフに引き合わされ、
フェア開始までの間にどんなことに興味があるのか、どの参加企業と面談したいか、など
簡単なヒアリングが行われます。

愛媛県企画振興部長の門田泰広さんによる開会の挨拶に続いて行われたのが、
東京・有楽町にある〈ふるさと回帰支援センター〉で
愛媛県専任の移住相談員である〈えひめ移住コンシェルジュ〉の松岡朋枝さんによる
愛媛県でのライフスタイルの紹介。
温暖な気候による暮らしやすさ、住環境が充実しているので
通勤・通学時間が全国で一番短いこと、
そして全国で2番目に仕事の平均時間が短いことなどから、
仕事をしながらも自分の時間や家族との時間を持ちやすいといった、
愛媛県だからこそ送れる生活の特長を紹介。
また県内には自治体の移住担当窓口以外にも、NPOなどで移住を支援している団体があり、
移住をサポートする体制を整えているという、頼もしいひと言もありました。

愛媛県への先輩移住者である冨田さん。東京に住まれていた頃は、広告代理店に勤務されていたのだそう。

続いて行われたのが先輩移住者として、
震災をきっかけに東京から愛媛県伊予市に移住した先輩移住者の冨田敏さんによる経験談。
自然が多く、子育てがしやすいことや、地域の方々とのやりとりについて紹介。
移住後の暮らしに関するリアルな声ということもあり、
どの参加者も真剣に聞き入っているのが印象的でした。

そして冨田さんを司会に行われたのが、この日フェアに参加した企業9社の紹介。
その職種は農業や福祉にはじまり、宇和島のバス会社や老舗旅館までと実にバラエティ豊か。
また各企業における仕事の内容だけでなく地元に関する紹介も行われ、
ひとくちに愛媛県といっても沿岸部や離島など海と縁のある地域から、
ウィンタースポーツ施設が整った高原まで、地域によって環境がいかに異なるかを実感。
“仕事”だけでなく、環境という面でも幅広い選択肢があるのも
愛媛県ならではの魅力かもしれません。

フェアの参加企業の紹介は各社のPRムービーと共に。

参加者の皆さんが座られているのは、みかん畑で使用されるコンテナ。座面が広いせいか、思いのほかいい座り心地。

各社の紹介が終わった後は、参加者と企業との面談がスタート。
面談といっても採用面接のような重苦しさはなく、
“まずは話を聞いてみたい”というスタンスでも参加できることもあり、
和やかな雰囲気につつまれていた会場。
待ち時間中はケータリングコーナーでジャコ天やみかんジュースなど
愛媛県ならではの軽食を楽しめたり、〈おせっかい人〉に追加でヒアリングもしてもらえたりと、
リラックスした雰囲気の中で移住に関する情報を得られるフェアでした。

会場には、たくさんのみかんも。愛媛県ならではの、うれしいおもてなし。

会場内のキッズスペースには、愛媛県で育った木でつくられたおもちゃや、愛媛県出身アーティストのMAYA MAXXさんの絵本が。

この記事を読んで愛媛県への移住に関心を持たれた方もいるかもしれませんが、
人生における大きなライフイベントとなる移住。
移住先を決めるときのポイントや準備、移住までの流れなど、
気になることはたくさんあると思います。そこで次のページでは、
今回のフェアにも参加されている相談機関の方々にうかがった話をご紹介します。

参加者は延べ3000人。 市民の力で守ってきた、 もうひとつの古民家再生とは。 一般社団法人ノオト vol.9

一般社団法人ノオト vol.9

ノオトの連載も第9回目を迎えました。
今回は、前回の記事でも取り上げた、〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉(通称“町屋研”)
の理事長である酒井宏一さんに執筆をお願いしました。

町屋研は、我々の本拠地である兵庫県篠山市を中心に、
ボランティアの力を活用した古民家再生・活用や、
伝統的なまち並み景観の保全活動を行うNPO法人です。
町屋研にはノオトの社員が2名参画していることもあり、
ノオトとは物件情報の共有や人材の交流、物件状況に応じた役割分担など、
お互い連携しながら古民家再生・活用事業を行っています。

具体的には、所有者・事業者の意向や用途に応じ、
ボランティアを活用し低コストで時間をかけて改修する場合には町屋研、
プロの人材を活用して事業化や産業化を積極的に進める場合にはノオト、
といった役割にあることが多いです。
今回は、市民活動の立場から見た古民家再生の現場をご紹介できればと思います。
以下、酒井宏一さんにバトンタッチします。

古い町家を残すためには

こんにちは。〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉の酒井宏一です。
私たちは、「伝統的なまち並み景観や伝統的な建物は、歴史や文化と同じように、
大切に守らなければならない日本全体の財産である」という思いを持って、
ノオトとはゆるやかに連携しながら、
市民の力による伝統的なまち並みの保全、活用に取り組んでいます。

そのスタートは2004年。
丹波地方の地域づくり団体であるNPO法人たんばぐみの一部門(まちなみ景観部会)、
として〈丹波篠山古民家再生プロジェクト〉を立ち上げました。
その後、2010年に〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉として独立した団体です。

立ち上げから10年以上「伝統的な建物が壊されないようにする活動」
「伝統的な建物の活用」「古民家再生ボランティア活動」などを
ボランティアベースで続けています。

例えば、壊されそうな町屋があると聞くと飛んでいって
「なんとか壊さないでください」とお願いしたり、
景観上大切な建物が空き家になっていれば
具体的な保存・活用方法の提案などもお手伝いしています。

まずは、この活動を始めたきっかけを少しお話したいと思います。

私はなぜか昔から古いまち並みが好きで好きでしょうがなくて、
日本各地のまちを巡るのを最大の楽しみにしていました。
私にとっては理屈抜きに、古い建物や伝統的なまち並みはすごく大切なものだったんです。

ところが、訪ねた歩いたそれぞれのまちで、
久しぶりに行ってみると町家などの古い建物が壊されて、
ずいぶんとまち並みの雰囲気が変わってしまっていることもたびたびありました。
こんなときはすごくかなしいイヤな気分になってしまいます。
伝統的な建物が壊されて古いまち並みが失われるのは
私にとってもったいないという以上に、
何か大切なものを失った気持ちになり、落ち込んでしまうのです。

古いまち並みを守る仕組みとして、
国の制度である重要伝統的建造物群保存地区のような、
法令による規制や補助金制度があるのですが、
そのように国に守られる保存地区は日本の中でごく一部で、
そのほかの大部分の建物については、
壊されていくのを防ぐことが難しいのが現実です。

そんな風に古いまち並みが失われていくのがイヤで、
なんとか、規制や補助金以外に守る仕組みができないかといろいろと考えたのが、
現在の活動の原点です。

篠山市河原町の伝統的なまち並み。

市民の力でまち並みを守る「古民家再生ボランティア」

そのなかで、10年以上定期的に実施しており、
私たちの中心的な活動となっている「古民家再生ボランティア」の仕組みついて、
詳しくご紹介します。

「古民家再生ボランティア」とは、
古民家再生工事の現場で、プロの職人の指導のもとに、
市民ボランティアが、ワークショップ形式で行う取り組みです。
壁塗りや床張りをはじめとした大工仕事や、荷物の片付けなどを行います。

篠山を中心に、毎月2回の開催を継続的に続けており、今年で11年目となりました。
ボランティアの方は毎回10名程度で、これまでの実施回数は230回、
参加者は延べ3000人近くになっています。
最初はそこまで続くと思っていませんでしたので、
本当によく続いているものだと思います。

ワークショップで人気の土壁塗りの様子。

毎月第1・3土曜日に開催しているワークショップ。見学も自由です。

贅沢なキャンプ、 グランピングって? 〈森と星空のキャンプヴィレッジ〉 ツインリンクもてぎにオープン

栃木県茂木町のレジャー施設〈ツインリンクもてぎ〉のオートキャンプ場が、
2016年3月19日(土)に〈森と星空のキャンプヴィレッジ〉として
リニューアルオープンします!
ちかごろ日本でも注目を集めている
ラグジュアリーなキャンプ〈グランピング〉をファミリーで楽しめるスポットです。

そもそもグランピングとは、
グラマラス(glamorous)+キャンピング(camping)の造語で、
キャンプ場のサービスを高級ホテル並にした高級キャンピングのこと。

こちらのテントの中にはベッドと洗面所、ヒーターなどもついています。
欧米では既に人気のアクティビティとして人気があり、
日本でも取り入れられつつある、新しいスタイルのアウトドアです。

ホテルのような設備

〈森と星空のキャンプヴィレッジ〉のコンセプトは、
“ファミリーがゆったりとした上質なときを過ごしていただける滞在エリア”。
日中は、森の中での様々なアクティビティやモータースポーツ、
夕暮れ時には優雅なお食事、そして夜には星空を眺めたり、
ソファーやベッドのある快適なテントで過ごしたり。
自然の中で、特別な時間が過ごせそうです。

展示やトークで空き家を活性化! 〈空き家をつかった みんなの居場所づくり展〉

2016年2月19日(金)から21日(日)にかけて、
千葉県松戸市にて〈空き家をつかったみんなの居場所づくり展〉が開催されます。

これは、MAD Cityと千葉大学大学院園芸学研究科らが共同して
松戸駅東口で始める、空き家活用のプロジェクトにまつわる展覧会。
松戸駅東口にある空き家を地域のために活用するべく、
その一部を開放し、学生による展示とトークイベントを行う取り組みです。
テーマは“食”。食を通じて地域とつながったお店をつくるべく、
“食”について考えるミニトークやオープン・ミーティングを開催します。

千葉大学で行った設計発表会の様子

会場に展示される学生の提案は、
松戸駅から千葉大学松戸キャンパスまでのランドスケープ計画と、
その中間に位置する空き家〈浮ケ谷邸〉の地域拠点としての活用案。
日本、中国、韓国、ロシア、インドネシア5カ国9名の学生が取り組み、
“食べられる景観”などのアイデアを盛り込んだ計画です。

この会期中、開催されるトークイベントは3つ。

うなぎのねどこ

1つめは、2016年2月19日(金)の15時から開催される、
品川宿にある空家空店舗を活用した
コワーキングスペース〈うなぎのねどこ〉の亭主であり、
まちひとこと総合計画室の田邉寛子さんをお招きしての
トークイベント〈「空き家を活用した場づくりの事例1」うなぎのねどこ〉。
うなぎのねどこの場づくりのプロセスや活動に関するお話をうかがいます。

食とものづくりスタジオ FERMENT

2つ目は、2016年2月20日(土)14時から。
フードデザイナーズネットワーク理事の中山晴奈さんを招いての、
地域と食の関係性やその可能性などを考えるトークイベント「地域と食を考える」。

地元の小学生と大学生が 〈子ども宣伝部〉を結成! 商店街活性化プロジェクト

地元の小学生と大学生が協力して、
商店街を盛り上げよう!
そんな試み〈子ども宣伝部〉が、大阪府のベッドタウン、
池田市の〈石橋商店街〉で行われました。

ここは阪急石橋駅と直結した、古き良き昭和の香り漂う商店街。
毎月18日に商店のお店がそれぞれ得意な“十八番”を準備するイベント
〈おはこ市〉を行うなど、活気のある商店街です。

さてこの〈子ども宣伝部〉とは、地元の石橋南小学校4〜6年生と、
大阪大学の学生(以下 阪大生)が中心となった
〈子ども宣伝部〉を結成し、店舗の広告コピーや販売など、
PR活動にチャレンジするプロジェクトです。

2016年1月に行われた第一回目のテーマは
「商店街のお店ののぼりを考えよう!」。
阪大生と小学生がそれぞれチームを編成し、担当店舗を訪問。
店主や従業員の方からヒアリングを行い、
そのヒアリングをヒントにそれぞれのぼりを制作しました。

たとえばこちらは、パン屋さんののぼり。
それぞれ視点の異なるコピーに、各店舗からもとても好評だったのだそう。

商店街に飾られるのぼり

こどもたちが考えたコピー

アートで都市の可能性を開放する、 おおさかカンヴァス ミズベリング 後編

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アートで都市の魅力を創造する

全国に広がる水辺のソーシャルアクション〈ミズベリング〉。
大阪では“水都大阪”として官民連携のまちづくりを進めてきた。
なかでもアートを効果的に使った戦略を展開している。

大阪府都市魅力創造局 文化・スポーツ課 主任研究員 寺浦 薫さんにお話をうかがった。

「なにも起こっていないエリアでまずはアートで“こと”を起こして、
エリアのポテンシャルや可能性を引き出していければと考えています。
ヨーロッパでは盛んに取り組まれている都市再生の手法ですが、
まずアートでエリアの新しい魅力や可能性を引き出し、
その後そこに民間の投資などを呼び込んで活性化する仕組みです」

「都市開発系と都市環境をつくるアート系とが連携・協働して一緒にやっていく、
そんな動きですね。
アートはすぐに予算が削られがちですが、都市の再生や活性化の動きと並走し、
補完関係にあるような取り組みを進められれば、と考えています」

きっかけは橋下徹前知事の時代に“水都大阪”を盛り上げようということで、
部署を横断したチームがつくられたところから始まる。

オランダ人アーティスト、フロレンティン・ホフマン氏により2007年に製作されたラバーダック。公共の河川や海などの水辺をバスタブに見立てたパブリックアート。提供・水と光のまちづくり推進会議

「大阪府・大阪市・経済界が協働して2009年に開催を予定していた
〈水都大阪2009〉というイベントがありました。計画もほぼ固まっていた2008年、
前府知事の橋下さんが突然、“計画を認めない。府独自でプランをつくる”と、
いわゆる“ちゃぶ台返し”をしたんです。
橋下前府知事からは、都市の魅力をアップする“ハード整備”と
“賑わいづくり”を同時に進めるプランをつくるべきという指示があり、
都市整備系の部局と文化系部局とが協働しないと前に進めない状況が生まれました。
プランには橋梁のライトアップや護岸のウォールペインティングも含まれ、
そこで初めて河川室などの土木系部局と文化課(現在は文化・スポーツ課)とが連携して
ハードとソフトを一体的に構想していくチームが組まれました」

アートと市民協働を柱とした水都大阪2009が成功を収めたあと、
そこで培われた人的ネットワークなどを糧として、
行政課題などをクリエイティブに解決する拠点
〈大阪府立文化芸術創造センター(enoco)〉を2012年に開設。
enocoでは、現在も、都市整備部局や文化・スポーツ課などと連携し、
ハードとソフトが一体となって都市を活性化する事業を引き続き展開している。

「例えば、木津川に遊歩道をつくる事業では、
従来ですと一定の資格を持った大手企業しか参入できず、
また入札金額だけで内容が決まってしまう仕組みでしたが、
それを河川室と協働してつくり変え、地域の想いを要件に入れたうえで、
誰でも参画できる開かれたデザイン・コンペとしてスタートさせました」

木津川遊歩空間アイデアデザインコンペ

土木と文化が組むことで、都市の魅力を創造する仕組みが生まれた。
それにともない行政と住民が一緒になってまちをつくるスキームづくりも進んでいる。

「護岸整備を確実に行い、人々の命を安全に守ることは何より大切ですが、
それと同時に、それらの土木インフラをいかに愛着を持ってたくさんの人に使ってもらえるか、
という視点もこれからの都市には必要です。
維持管理と活用も住民と一緒にやっていかないと、行政だけではお金も人も足りない。
通常、護岸は行政が管理するのですが、
木津川で整備を進めている遊歩道設備は行政主導ではなく、
より多くの地域の人々に管理し、活用してもらう。
花や果樹を植えたり、好きなように使ってもらえるよう、仕組みづくりを進めています。
住民は自分が知らない間にできあがってしまったインフラ施設には
愛着を持って関わってはくれませんよね? 
木津川の場合は設計の前の段階から地域の方々と一緒につくっていきましょうと、
地元でワークショップを何度も行って、
そこに住む人がこんな遊歩道があるといいな、愛着が持てるな、
という想いを集約し、デザインコンペの条件として盛り込んでいったんです」

そこに住んでいる地域の方でも学生でも自由に応募できる、開かれたデザインコンペを実施。
誰もが参加できる土木インフラのコンペは注目を集め、全国から40件もの応募があった。
その結果、20代の建築家、岩瀬諒子さんの案が選ばれた。
人と人を結びつけ、関わり続けられる機能としての“だんだんばたけ”のある遊歩道だ。
地域の交流拠点としての可能性を大きく期待させるデザインである。
(3月に一部共用開始予定)

木津川遊歩空間アイデアデザインコンペの最優秀アイデア提案。岩瀬諒子さんの「だんだんばたけでハマベをつくる-立売堀のマーケットプレイス」©Ryoko Iwase 提供:大阪府

水辺をもっと楽しい場所にするための規制緩和

大阪では水辺を楽しい場所に変えていこうという
さまざまな取り組みが官民協働で行われている。
規制やルールがいろいろとある河川空間ではあるが、一方で緩和の動きも進んでいる。

「かつては河川敷での営業行為の禁止など規制がいろいろとありましたが、
現在では河川法の準則などを活用することで、
水辺を活性化する仕組みにいろいろとトライすることは可能です。
例えば法律が施行される前から存在していた京都の川床は別にして、
新たに川床を設けることは河川法上は禁止されていました。それが河川法準則の緩和により、
現在は仕組みさえ整えれば設置可能です」

ミズベリングでは河川法についてまとめている。

「準則を活用し、行政が特区指定をしたエリアを対象に、
協議会を設け、地域の合意を得たうえで占用主体を公募で選ぶ、という手続きをふめば、
河川敷でも川床を設置したり、カフェなどの営業行為を行ったりすることは可能です。
しかし一般的にはその“気運”をつくっていくのがなかなか難しい」

大阪ではそれができるのだという。

「大阪では自主的にそういった動きを進めていこうとする人がたくさんいるんです。
“水辺で気持ち良くお酒を飲みたい!”、その一心で協議会までつくり、
民間主導で川床を次々と設置している〈北浜テラス〉の動きがあったり、
民間のアイデアで水都を活性化させようという〈水都大阪パートナーズ〉が
〈水都大阪フェス〉を毎年開催する一方、
〈中之島GATE〉で魚市場と食堂を常設で運営する事業者を誘致したり……
おもしろい動きが次々と生み出されています。
また、それらをサポートする行政側にも、
意欲的に新しい仕組みに挑戦する河川専門の職員がいたり、
と本当におもしろい人たちが水都大阪にたくさん関わっています」

もともと大阪にはそういう“気質”があった、と寺浦さんは言う。

大阪府都市魅力創造局 文化・スポーツ課 主任研究員 寺浦 薫さん

水を浄化するボールを使ったNANIWAZA(ナニワザ)によるアート作品『GREEN to CLEAN』。一般に川にモノを投げ入れる行為は厳しく禁止されるが、川の中に打ち込むゴルフボールを水質浄化に効果があるとされる材料で特別に開発するなど、環境に配慮することを条件として、河川管理者や公園管理者と協議し特別に許可を得た。おおさかカンヴァス2012より。提供:おおさかカンヴァス推進事業

地域の価値と デザインを掛け合わせる 『地域×デザイン -まちを 編みなおす20のプロジェクト-』

いま全国各地では、地域の特色を活かした
様々な取り組みが行われています。
2016年2月18日より、
東京・六本木の〈東京ミッドタウン・デザインハブ〉にて、
第56回企画展『地域×デザイン -まちを編みなおす20のプロジェクト-』が
開催されます。

これは、日本の地域で地域活性化のために
デザインを取り入れて行われている取り組みを紹介する展覧会。
地域が持つ価値にデザインを掛け算することで生まれた、
興味深い取り組みがたくさんです。

本展で取り上げるのは、
もともとその地が持っていた価値を改めて見出して「まちを編集」すること、
また生活・文化やコミュニティの「編みなおし」と考え、
デザインの視点から分析、紹介すること。
例えば、北海道の〈清里焼酎醸造所〉が、
40年間作られ続けてきたじゃがいも焼酎をリブランディングした〈清里〉。

〈じゃがいも焼酎 北海道 清里〉

また、宮城県で、震災後に大規模な花火大会を中止し、
地域の祭りを30年ぶりに復活した〈松島流灯会 海の盆〉。

松島流灯会 海の盆実行委員会〈松島流灯会 海の盆〉

徳島県で、高齢化した集落でITやロボットを
活用したリサーチを展開する〈暮らしのロボット共創プロジェクト〉。

株式会社たからのやま〈暮らしのロボット共創プロジェクト〉

そして埼玉県の、大手バス会社が撤退した赤字路線を引き継ぎ、
利用者を増やした〈川越市イーグルバス〉。

イーグルバス株式会社〈川越市イーグルバス〉

そのほか、いずれも個性的な20のプロジェクトを紹介。
会期中には新潟県三条市長や兵庫県豊岡市長らの
ゲストを招いた充実のトークセッションを活発に開催します。
是非地元の声を聞いてみてはいかがでしょう。
プログラム日程は、公式サイトにて。

馬詰佳香さんと 岡尾美代子さんの 〈LONG TRACK FOODS〉 仙台へ

鎌倉市農協連即売所にあるデリカテッセン、〈DAILY by LONG TRACK FOODS〉。
ケータラーの馬詰佳香さんと、スタイリストの岡尾美代子さんによるこのお店は、
看板メニューのピクルスやディップにドレッシング、
キッシュにスコーン、クッキー、パウンドケーキなどの手作りフードや、
キッチンツールに買い物カゴなど、
作り手の顔が見える、ホームメイドにこだわった商品が並ぶ、すてきなお店。

鎌倉市農協連即売所にある〈DAILY by LONG TRACK FOODS〉

鎌倉でも大人気のこのデリカテッセンのポップアップストアが、
仙台にやってきます! 
2016年2月27日(土)と2月28日(日)の2日間にわたり、
市内の書店〈stock books & coffee〉に、
〈LONG TRACK FOODS〉POP UP STOREがオープン。
定番のピクルスや焼き菓子はもちろん、
オリジナルバッグなどの雑貨も販売します。
大人気まちがいなし、是非ご来場はお早めに!

また会場では、料理研究家の長尾智子さんとの、
東日本大震災の被災地を支援する〈TASTE IN A JAR〉の商品も
販売。こちらは売り上げの一部が寄付となるそうです。

会場の〈stock books & coffee〉は、
小冊子「ふきながし」の発行のほか、
国内外の本・アートブック・インディペンデントマガジン・リトルプレスなどを
本屋さん。店内にはTO GO スタイルのコーヒースタンドが併設されていて、
ゆっくり本との出会いを楽しむことができます。

information

map

〈LONG TRACK FOODS〉POP UP STORE

住所:宮城県仙台市青葉区一番町1丁目12-7

TEL:022-342-1082

営業時間:13:00〜19:00

会場:stock books & coffee

期間:2016年2月27日(土)〜2月28日(日)

Webサイト:www.stock-web.com

ちちぶメープルプロジェクト vol.3 2016年、樹液シーズンスタート!

カエデの樹液は春の知らせ

ここ数年は、年が明けるとなんだかワクワクしてきます。
人によっては、スキーやスノボーなどの
ウィンタースポーツのシーズンインかもしれませんが、
私の場合はカエデの樹液シーズンが始まるのです!

「樹液にシーズンなんてあるの?」という疑問とともに、
「樹液」と聞くと、クヌギの木などから出ていて、
カブトムシたちが群がっている様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
今回はカエデの樹液の秘密とともに、
カエデの樹液採取についての様子をお伝えできればと思います。

NPOのメンバーと山の持ち主たちで作業をする様子。冬の山での作業は重労働。

カエデの樹液が採れるのは、まだまだ寒い
1月末から3月中旬にかけてのたった1か月強。
そんな寒い過酷な時期にしかカエデの樹液は採れないのです。
カエデの木は春の芽吹きの準備のために、根から地中の水分を吸い上げます。
その時期に幹に穴を開けると、ポタポタと樹液が流れてきます。

木に穴をあけてもカエデの木は大丈夫? と聞かれますが、私たちが採取する樹液の量は、木にとってはごくわずか。木を枯らすことなく、少しだけ分け前をいただいています。

地中のミネラル成分をたっぷり含んだ樹液は、
無色透明のミネラルウォーターという感じです。
樹液は芽吹くために必要な栄養素がたくさん詰まっていますので、
カリウム、カルシウムなどのミネラルや酵素類、
アントシアニンなどのポリフェノール類が含まれていて、
樹液を飲むことは春の息吹をまるごといただくといっても過言ではありません。

最近はカナダ産のメープルウォーターも見かけるようになってきましたが、貴重な国産メープルウォーターも販売しています! 今年の採れたて樹液の発売をお楽しみに……!

最近は、ココナッツウォーターの次にブレイクすると紹介されており、
美容や健康に興味のある方々には大注目のヘルシードリンクです。

メープルシロップはどうつくる?

カエデの木から直接メープルシロップが流れ出てくると
思っていた方もいるかもしれません。
でもカエデの樹液の糖度はだいたい2度前後ですので、ほんのり甘さを感じる程度です。
メープルシロップをつくるには、この樹液を40分の1に煮詰めなければいけませんので、
たくさんのカエデの樹液が必要になります。
この事実を知ると、メープルシロップが高価なのを納得してもらえるでしょう。

メ―プルシロップをつくるのは本当に大変! 貴重な自然の甘さがより深く体に染み入ります。

現在の日本を代表する 木製家具を選出! 〈ウッド ファーニチャー ジャパン アワード2016〉

2016年3月4日(金)、5日(土)、
表参道のスパイラルホールにて
〈WOOD FURNITURE JAPAN AWARD 2016〉が開催されます。
これは、「Harmonia 共鳴するものづくり」をテーマに、
現在の日本を代表する木製家具を公募・選出すると共に、
木製家具デザイナーとメーカーとのマッチングを支援するイベント。
選出した家具は2016年1月にパリで展示され、
知られざる日本の木製家具のイメージを一新してきたのだそう。

WFJA2016ヨーロッパ展⽰ 会場⾵風景

エマニュエル・ムホー(建築家・デザイナー)さんがデザインを手がけた
会場で展示されるのは、
誠実な木材を使い、日本の技術で丹念に作り上げた
家具を選ぶ〈セレクション部⾨〉に選出された20点。
株式会社天童木工の〈ヘロンロッキングチェア〉や、
檜創建株式会社の〈Deck Chair fiume〉や
飛騨産業株式会社の〈KISARAGI〉など、
美しい日本のデザインが並びます。
展示作品は公式サイトで発表されていますので、
是非チェックを。

ほか、新たな出会いを求める木製家具デザイナーと、
新しいデザインを求めるメーカーが組んだ〈マッチング部⾨〉から
誕⽣した⽇本の⽊製家具2点の試作品。
そしてイル・ド・フランス⼿⼯業業者・⼯芸会議所の
⽊製家具協⼒展⽰もあります。

知られざる愛媛県の銘産 中山栗のおいしさを生かした 〈アステリスク〉のモンブラン

中山栗のおいしさを活かす〈モンブラン・クレメ〉の秘密

柑橘類、柿、イチゴ、キウイ……さまざまな愛媛の銘産をこれまで紹介してきましたが、
実は栗も愛媛の銘産のひとつ。愛媛県ならではの日照時間の長さと水はけの良い土壌は、
上質な栗を育てるのにも適しているのです。
今回は愛媛県の山間部、伊予市中山町で育てられた
中山栗のおいしさを楽しめるスイーツをご紹介。

2年に1度アメリカで開催されている製菓の国際コンクール〈WPTC〉をはじめ、
数々の世界大会での受賞歴を持つ和泉光一さん。
そんな彼がオーナーシェフを務めるのが東京・代々木上原に店舗を構える〈アステリスク〉。
中山栗が使われているのは2012年の開店以来、
お店の人気商品であり続けている〈モンブラン・クレメ〉です。

まず目を引かれるのが、この〈モンブラン・クレメ〉の高さ。
「9センチくらいあるんじゃないかな? お店の箱の高さのマックスが9センチなので、
これ以上高くすると箱の天井に当たってしまうんですよ」と和泉さん。
「かなりの量の栗を使っていますね。
つくるときは“(栗の)グラムは計るな”って言っています(笑)。
個人店では都内で一番、栗のペーストを使っているでしょうね」

ほかの生洋菓子と並ぶと、その高さが一層際立ちます。

抹茶や餡など、安易に和の素材を使わないというポリシーを持つ和泉さん。
和栗を使った〈モンブラン・クレメ〉のレシピの研究と開発には
相当な時間をかけたのだそう。

「モンブランのフランスのスタイルは確立されたもので、
甘いメレンゲにちょっとバニラの効いたマロンペーストをしぼって……と、
すごく一個で完成されているんです。
海外の栗と和栗とでは香りも違うので、
それをそっくり和栗に置き換えるのは“ちょっと違うな”と僕は思って。
メレンゲベースにする方は、
お砂糖をあまり入れない軽いシャンティ(甘みを加えた生クリーム)をしぼって、
上に濃い味を持ってくるんですけど、和栗だとどうしても風味のパンチが弱いんですよ」
と和泉さん。
「そこで脂肪分の軽い生クリームをあえて使わず、
脂肪分38%くらいの生クリームにお砂糖と、
もともとちょっと甘みのあるマスカルポーネチーズを加えたんです。
このシャンティをしぼることによってクリーミーさをアップさせたので、
“クリーミーな”という意味の〈クレメ〉を名前につけました」

生洋菓子だけでなく焼菓子、チョコレート、コンフィチュールなども並ぶ店内。そのどれもが芸術品のような美しさ……!

こう聞くと、食べ終えた後に胃が重くならいかと心配になる人もいるかもしれませんが、
その心配はまったくもってご無用。ほくほくとした和栗のペーストとクリーム、
そして土台のサクサクした香ばしいメレンゲがあわさった瞬間、
口の中に広がるのは実に程よい甘さ。クリームの口溶けの良さも手伝って、
食べる手がついついとまらなくなるおいしさなのです。

「メレンゲも普通は乾燥焼きさせるんですけど、
日本人はメレンゲの甘さが得意じゃないと思うんですよ。
なので高温の120℃でメレンゲを焼ききって、
中のお砂糖をキャラメリゼ(カラメル化)するんです。だからあまり甘みがない。
あと、ヨーロッパの栗が持つスモーキーな香りが、
メレンゲの中から出てくるようなバランスにしました」

外からも厨房の中がうかがえるスタイルに、お店としての誠実さを感じます。

ただおいしいものを組み合わせるのではなく、
口にしたときの味わいを徹底的に考えて誕生した和泉さんの〈モンブラン・クレメ〉。
開店まもないころに、新聞社で行われたモンブラン調査では見事一位を獲得し、
瞬く間に話題の存在に。
そして今でも〈アステリスク〉のトップセールスをほこる存在なのだそう。

モンブラン好きのみならず、スイーツ好きの心もわしづかみにする
〈モンブラン・クレメ〉。
その素材に愛媛県産の中山栗が使われるようになったのは、
レシピとの相性の良さだけではなく、ひとつのストーリーがありました。

富山の選りすぐりが 代官山T‐SITEに集結! 〈富山マーケット in 代官山2016 〉

富山の名物といえばなんでしょう?
ます寿しに地酒、高岡漆器などの伝統工芸品や
お土産ブランドなどなど、厳選した富山コンテンツを紹介するイベント
〈富山マーケットin代官山2016 ~大人の遊び、33の富山旅。~〉が
2016年2月20日(土)と21日(日)の2日間、
東京・代官山T‐SITE GARDEN GALLERYにて開催されます。

富山県観光連盟と県内14市町が参加する、
春の旅行シーズンに向けての観光PRイベントです。

生産者、卸売・小売業者が直接販売

まずはおいしいもの。
富山名物の〈ます寿司〉は、大正12年創業の老舗ます寿し店、川上鱒寿し店より。
肉厚でふんわりジューシーな仕上げ、柔らかな食感とさっぱりした味に定評ありです。
ます寿し1段は1,400円 。

そして富山の地酒は、〈北陸酒販〉から。
全国平均2割という酒造好適米の使用割合が、北陸酒販ではなんと8割。
立山連峰の恵み名水で醸す自慢の地酒です。
200~300円で有料試飲が出来るほか、ボトル販売も行います。

そして全国から集まる良質の牡蠣を
富山湾・入善町の沖合より取水する海洋深層水で浄化し、
安全性を高め栄養価を保持した〈深層水仕立て牡蠣〉。
それにマリアージュするのは、セイズファームの希少な氷見産ワインです。

続いては富山のいいものセレクト。
ブランディングされた伝統工芸品やお土産ブランドなど。
2頭の蚕が1つの繭玉をつくり出す“しけ絹”から考案された
〈ヨナハスストール〉や、
世界遺産〈五箇山〉で作られる強靭な和紙で作られた
〈FIVEカードケース〉。

ガラスのまち、富山市の〈富山ガラス工房〉で作られた
手のひらサイズの蕎麦猪口〈CHOCO(ちょこ)〉、
富山のあたらしいお土産シリーズ〈幸の小分け〉や
〈べつばら富山〉など、経済産業省が全国47都道府県より認定した〈The Wonder 500™〉
にも選ばれた商品が数多くならびます。

藍杉のフローリングも! 徳島産の阿波藍マッチング プラットフォーム〈寄り藍〉

日本における“藍”の一大産地、徳島。
徳島の藍、〈阿波藍〉から伝統技法を用いて生産される
染料〈すくも(=タデ藍を発酵させたもの)〉は、
藍染めの原料として世界的にも高い評価を受けている素材。
かつての徳島市は川沿いに藍蔵がならび、
藍商人が商いを行っていたのですが、近年では
年々生産者が減少しているんです。

マッチングプラットフォーム〈寄り藍〉

そんな徳島の藍を知ってもらいたいと、
このたびマッチングプラットフォーム〈寄り藍〉が
スタートしました。
これは、藍の加工技術を持った徳島県内のものづくり企業と、
藍を素材とした商品開発を検討している県内外の
異業種とのコラボレーションを応援するもの。

徳島の藍農家が提携し、品質の高い原料調達を、
参加企業から、染料や塗料の調達を行います。
ここに、藍を使った食品やインテリアなどを考える企業がマッチングすることで、
加盟企業の技術力を活用することができるというもの。

そのほか、商品開発にあたって、藍に関する共同研究を大学等の機関と実施したり、
独自の消費者調査を実施するといったマーケティング面での
サポート業務まで包括的に提供するのだそう。
住宅建材を販売する〈大利木材株式会社〉や
衣料品を扱う〈株式会社絹や〉、
食用藍普及事業を行う〈株式会社ボン・アーム〉、
和洋菓子を製造する〈株式会社岡萬商店〉といった企業が加盟します。

藍染杉フローリング〈凛〉 イベント〈うだつの町並み〉(徳島県美馬市脇町)で行われた、藍商佐直 吉田家住宅でのイベント「阿波藍×未来形プロジェクト展」に藍染杉を敷設

大利木材株式会社が作る藍染杉フローリング〈凛〉は、
徳島杉と藍染料のコラボレーションにより生まれた建築材料シリーズ。

染料を塗料に置き換えることにより、藍色の杉材が実現しました。 
塗装加工を工夫したことにより、藍が手やくつしたに付くこともなく、
屋内であれば藍の色の退色はほとんどないのだそう。

水の都大阪、 ミズベリングシティへの道 ミズベリング前編

大阪のまちを真の“水の都”に。ミズベリングの挑戦

全国に広がる水辺のソーシャルアクション〈ミズベリング〉。
〈ミズベリング(MIZBERING)〉とは、“水辺+RING”の造語。
水辺の豊かな時間を見直し、
水辺好きの輪を広げて、水辺のムーブメントを創造していく活動だ。

そのトップランナーといわれるのが、“水都大阪”といわれる大阪。
昨年10月には〈ミズベリング世界会議〉が大阪で開催された。
大阪では官民連携で10年かけて水辺を生かしたブランディングを進めてきた。
今、2020年に向けて〈水と光のまちづくり〉として都市再生を目指し、
①シビックプライドの向上、②滞在型観光集客、③経済活性化という将来像が設定され、
大阪が誇るべき資産である水の回廊
(土佐堀川・堂島川、木津川、東横堀川、道頓堀川)を活用して、
都心を再生するまちづくりが進められている。

そのキーパーソンが大阪府立大学 観光産業戦略研究所長の橋爪紳也さん。
大阪府・大阪市の特別顧問として“水際の賑わいづくり”の
中心的な役割を担ってきた橋爪さんに、
お話をうかがった。

“水都”といわれる大阪。巨大なアヒルのパブリックアートがシンボル。提供・水と光のまちづくり推進会議

「大阪はかつては“水の都”として栄えてきました。
明治の後半にはパリやヴェネチアと比較され、“東洋の水の都”と呼ばれました。
大正時代になると近代的な産業都市として発展します。
人口も世界で5位、6位を争い、“大大阪”の異名を持ちます。
海に近い川沿いには紡績や造船など各種の工場が展開し、
“東洋のマンチェスター”と讃えられました。
対して都心の水際には、美しい美観が誕生します。
行政はパリを意識した水上公園を整備、
民間は米国の大都市にあるようなビル群を川沿いに建設していきます。
ところが戦後、高度成長の時期にその評価が衰えてきたんです。
もともと大阪にはまち中に運河が張り巡らされていて、
掘り割りも縦横にありました。“水網都市”と呼んでいいと思います。
しかし治水のことがあったんでしょう。
川には高い堤防がつくられて、まちから川は見えなくなったんです。
川の上に高速道路をつくり、
また工場排水で汚れた掘り割りは順次埋め立てられていきました。
従来は都市のにぎわいの中心であったはずの川筋から、
人の心もライフスタイルも離れていったんです」
それを「元に戻すのではなく、今日の生活様式に応じた
魅力的な都市空間として再生したい」と橋爪さんは言う。

大阪府立大学 観光産業戦略研究所長の橋爪紳也さん。水都大阪のキーパーソン。

今橋爪さんは海外のさまざまな水辺の先進事例を調査したうえで、
大阪の現場でかたちにしている。

「川筋に人々の暮らしがにじみ出るんです。
海外に行くと夕方になると川に面したテラスのレストランにに人が出てきて
食事やナイトライフを楽しんでいる。
セーヌ河もテムズ河も産業用に開発した川沿いのエリアを、
この10年ほど手を入れて魅力的な観光地にしているんです。
都市の暮らしが川筋で展開される。
ミラノやバーミンガムなどの産業都市でも、水辺の都市再生が注目されました。
都心再生の重要な機能が水際の再生なんです」

そのためにはどんなことが必要なのか?

「基本的には規制緩和です。
水辺は、河川空間であり、公園であり、使い方のルールが限定的に決まっていました。
日本の各都市は水害と闘ってきた歴史があります。
まずは治水、防災が優先されるのは当然でしょう。
しかし発想が変わりました。
治水を整えたうえで、河川法が緩和されて河川空間を
民間のレストランや物販の店やイベント空間として使えるようになったんですね。
大阪はそれにいち早く手をあげて、事業を始めたんです。
河川空間を民間が飲食店や物販が使う方向で規制を緩和、
3年〜5年など期間を定めた指定管理で事業者を公募しています」

大阪の水辺の魅力を使いこなし、まちで楽しみをわかち合う、〈水都大阪フェス〉を2011年、2012年に行った。 提供:水都大阪パートナーズ

1998年の大阪と2005年以降の道頓堀。川に向かってまちは開き、ウッドデッキで歩けるようになった。提供・水都大阪パートナーズ

1998年の大阪と2005年以降の湊町リバープレイス。夕暮れになると人々が水辺に集まるまちとなった。提供・水都大阪パートナーズ

地方創生を 未来につなぐ可能性をさぐる 〈豊岡エキシビション2016〉

2016年2月19日(金)、
兵庫県の北部に位置する豊岡市の魅力を発信する
イベント〈豊岡エキシビション〉が開催されます。
会場は、東京・丸の内の〈大手門タワー・JXビル〉
にオープンするスペース〈3×3 Lab Future〉。
「地方創生、その先」をテーマにした、授業形式のイベントです。

豊岡市において、人と自然の共生の象徴となっているコウノトリ。現在80羽近くが放鳥され、いたるところで見ることが。

〈豊岡エキシビション〉は、東京を舞台に7年前から毎年開催されている
情報発信のイベント。
豊岡市といえば、日本の空からその姿を50年以上にわたって
消していたコウノトリを、もう一度人里に帰す取り組みで知られるところ。
その試みは見事成功し、現在では約80羽が豊岡の大空を自由に飛んでいます。

このことを筆頭に、“ローカルであることを突き詰めることでグローバルに通用する地域を作る”
ということに積極的に取り組み、人口規模は小さくても、世界の人々から尊敬されて
尊重されるまち〈小さな世界都市〉の実現を目指しているんです。
さて、今年の〈豊岡エキシビション〉の内容は……

新鮮なザーサイの美味しさを知る! 珍しい国内産の ザーサイ浅漬け、発売

“ザーサイ”といえば、キムチとともに、
日本国内で人気のある漬物ですが、
“ザーサイ”とは野菜の名前だということをご存知でしょうか…!

新鮮なザーサイは黄緑色でわさびのような辛みや風味があり、
カリカリとしたと食感が特徴の野菜。
ですが、現在日本で食べられているザーサイのほぼ100%が中国産。
日本に輸入されるザーサイは、ほとんどが古漬けにされているため、
素材本来の味はあまり知られていません。

そんなザーサイの、本当の美味しさを知ってもらいたい!
日本の漬物業界の需要を喚起したい! 
ということで、1986年生まれの東京農大OBが集まり、
生産者支援として商品開発や販促支援を行う〈株式会社みんなの農業〉が立ち上がりました。
福島県の農家が作るザーサイを福島県伊達市の浅漬け製造会社〈八島食品〉が
浅漬けにした〈国産ザーサイの浅漬け〉を開発。
このたび通信販売を開始しました。

現在は福島県と千葉県だけで生産されているザーサイですが、
夏場の栽培を踏まえ、標高1300mの八ヶ岳野辺山高原で
ザーサイを作ることも考えているのだそう。

八ヶ岳はレタス・白菜の供給量90%を誇る一大産地ですが、
作りすぎで野菜の廃棄問題が問題となっており、
新しい野菜を作ることで農家の経営安定化にも繋げたいとの思いもあるそう。
〈国産ザーサイの浅漬け〉のご購入はこちらから。

information

国産ザーサイの浅漬けセット

Webサイト:詳細はこちら

郊外と都心を間伐材でつなぐ、 シェアオフィス。 かながわの森と林業の現在。 Ivolli architecture vol.4

Ivolli architecture vol.4

アイボリィアーキテクチュアの原崎です。
vol.1vol.2vol.3では、横浜中心部にある特徴あるまちのなかで、
それぞれのもつ歴史的背景、あるいは現状をベースにどのような空間のあり方があるか、
その実践をいくつかご紹介しました。
今回は、明治から官民のオフィス街として続く横浜・関内にある、
新しいビジネスとその起業家を支えるインキュベーションセンターで行った
オフィススペースの内装計画についてと、
そこにつながる神奈川の森のことを、お話したいと思います。

地域とつながるシェアオフィスのつくりかた

まず、この施設〈mass×mass関内フューチャーセンター〉(以下マスマス)について
簡単に紹介します。
みなとみらい線・馬車道駅にもほど近い中心市街地のオフィスビル内に、
コワーキング、シェアオフィス、共用のワークショップスタジオをもつこのセンターは、
2011年春に開設。現在70社を超える企業やプロジェクトが入居するワークプレイスです。
こちらのクリエイティブディレクターである森川正信さんは、
以前から親しくさせていただいていて、お互いの職場を度々行き来していました。
そんななか2年前のある日、森川さんから、
「ビル内の空き室にマスマスのシェアオフィスを増床することになったので、
内装デザインを考えてほしい」とお誘いいただきました。
さっそくその空き室を調査のために見に行くと、
そこは、隣のビルが間近に迫り、
壁にはひとつだけしか窓がないため、時間感覚を取りづらく、
既存内装は賃貸オフィスの典型で、
壁天井は白塗装、床はタイルカーペットとちょっと退屈な空間。

終日、日光のほとんど入ってこない空き室。

シンプル、ではありますが、
いかんせん無機質で息苦しい空気感のこの部屋にどういったことができるのか……

ビルの規定上、内装施工に関しては
「基本現在の内装仕上げを維持したうえで、できるものでなければならない」という、
厳しいルールもありました。いわゆる通常の「原状回復義務」よりハードルの高いものです。

これらを勘案してぼくらは、
家具を並べるようにワークブースを組み上げて並べる、
もちろん既存の床壁天井にはビス止めなどの固定はしない方向性としました。
また、一般の貸オフィスと比べて短いスパンで入居者が入れ替わることを想像して、
状況に応じてワークブースはカスタマイズも可能ということを考えました。

初期の計画案の模型。

初期案は畳サイズのモジュールで木造架構を組み、
入居者の必要な面積に合わせて
柱と柱の合間に建具や間仕切りを入れて可変性をもたせる、というものでした。
しかし、設計検討を進める最中に、
事情により工事費を大きくカットすることになってしまったのです。

そのため、材料の造作や加工が多いものは省き、
できれば施工は僕らやマスマスのスタッフだけでもできそうなものを
再検討することになりました。

旬を迎えた愛媛県産フルーツが 見た目も美しいスイーツに。 〈パティスリー キハチ〉の レイヤーケーキ

〈紅い雫〉〈紅まどんな〉〈はれひめ〉が主役のえひめスイーツ

愛媛県産のフルーツを素材に取り入れたスイーツを
都内の飲食店約16店舗で楽しめるイベント〈えひめスイーツコレクション2015〉。
昨年11月にスタートしたイベントですが、
2月末までの期間中に味わえるえひめスイーツはまだまだあります。
今回は2月16日まで〈パティスリー キハチ〉にて発売中の、
愛媛県産フルーツを使ったレイヤーケーキをご紹介します。

今回取材で訪れた〈パティスリー キハチ 東大島〉。

路面店でもあり〈パティスリー キハチ〉のセントラルキッチンも併設されているここで、全店舗で販売される洋菓子が製造されています。

〈パティスリー キハチ〉を代表するスイーツのひとつが、
ふわふわのスポンジで5種類のフルーツを巻き込んだ〈キハチトライフルロール®〉。
このロールケーキをはじめ、さまざまな季節の果物を素材としたスイーツを
つくり続けてきた〈パティスリー キハチ〉によるえひめスイーツは、
〈紅い雫〉〈紅まどんな〉〈はれひめ〉などの愛媛県産フルーツやクリーム、
スポンジ生地などが層(レイヤー)を織りなす
美しさとおいしさを同時に楽しめる3種類のレイヤーケーキです。

パティシエの外薗栄敏さん。

このレイヤーケーキをつくるにあたり、愛媛県を実際に訪れて果物をセレクトしたのが
パティシエの外薗栄敏さん。
「以前から自分たちで産地を回り、生産者さんにお会いする機会はあったのですが、
2014年9月から後輩のパティシエと一緒に定期的に産地を回っています。
それこそ北は山形から、南は熊本まで」
〈紅い雫〉〈紅まどんな〉〈はれひめ〉をセレクトした理由を訊ねると
「それはおいしかったから、それだけです(笑)」と実に明快な答えが。

〈苺のティラミス 紅い雫〉(税込584円)。カップに入っていることにより、持ち運び中にかたちが崩れる心配もないので、手土産などに重宝しそう。

おいしい愛媛県フルーツとの出会いによって生まれた3種類のレイヤーケーキのうち、
一番人気があるというのが〈苺のティラミス 紅い雫〉。
この連載でもご紹介した愛媛県オリジナル品種のイチゴ〈紅い雫〉、
コーヒーを染み込ませたチョコレート生地、マスカルポーネムース、ビスコッティ、
生クリームを層にしてティラミス仕立てにしたスイーツです。

ひとくちいただくと、コーヒーとチョコレートの風味にベリーの味わいが負けておらず、
〈紅い雫〉のみずみずしさも楽しめるおいしさ。
「中に入っているイチゴとラズベリーのジュレも効いていますからね。
メインはフルーツなので、フルーツに合うように
生クリームは脂肪分が高いものを使っています。
大体7〜8種類の脂肪分のパーセンテージが異なる生クリームを
フルーツによって使い分けているんですよ」

そして驚いたのがクリームやムースに負けていないイチゴの甘さ。
コンポートされているのかと思いきや
「乾燥しないように艶だしはしていますが、何もしてないんですよ。
他のふたつのレイヤーケーキに使っている柑橘もカットしたものを、
そのまま使っているだけです」
糖度が高いことで定評のある愛媛県産フルーツですが、
その甘い味わいをあらためて実感させられました。

〈ズッパイングレーゼ 紅まどんな〉(税込648円)。旬のおいしいフルーツを使うため、期間中に〈紅まどんな〉から〈甘平(かんぺい)〉へと種類が変わります。

続いていただいたのが〈紅まどんな〉、フロマージュブランのムース、
柑橘の果汁を染み込ませたスポンジ生地、生クリームを層にした
〈ズッパイングレーゼ 紅まどんな〉。
これまでさまざまなフルーツを取り扱ってきた外薗さんも
「本当にゼリーみたいですよね。この不思議な食感はすごいです」
と話す〈紅まどんな〉を使ったレイヤーケーキ。
ムースと一緒に果実が舌の上でとろける食感と甘い味わいに、
初めて〈紅まどんな〉を口にする人はきっと驚いてしまうはず。

「〈紅まどんな〉の旬が終わってからは〈甘平〉に変わるので、
レシピの配合もちょっと変えると思います。
最近の愛媛県の柑橘は糖度が高いのですが、この〈甘平〉もそうで、
全体のバランスを考えて、あえてフロマージュブランのムースで
酸味を足すくらいに甘いんですよ」と外薗さん。
プチプチとした大粒の果肉と強い甘みが特徴の〈甘平〉が使われるズッパイングレーゼは、
〈紅まどんな〉のものとはまた違ったおいしさになりそうなので、
こちらもあわせて楽しみたいところです。

モノづくりの町・すみだで 架空の商店街〈東東京モノヅクリ 商店街プロジェクト〉開始

東京の東エリア、墨田区はファッションや
ライフスタイルに携わる製造業が多数、制作の拠点を構え、
その集積から〈モノづくりの町すみだ〉と呼ばれるところ。
この東東京エリアに拠点を構えるものづくり企業を盛り上げていくという目的のもと、
ネット上の架空の商店街〈東東京モノヅクリ商店街プロジェクト〉が誕生しました。

〈東東京モノヅクリ商店街プロジェクト〉は、
東京周辺の中小企業を広く支援する第三セクター〈国際ファッションセンター(KFC)〉と、
ファッション・アート・テクノロジーを軸にさまざまなコンテンツを
創造するクリエイティブチーム〈SELF〉との協業プロジェクト。
東東京の職人さんやメーカーさんとコラボレーションし、
商品開発やイベントを行っています。

昨年は墨田区にある古民家の〈旧小山家住宅〉にて、
MOMAでも商品が取り扱いされている江戸切子の〈廣田硝子〉と
繊細なガラスの器と宝石のような和菓子を
組み合わせたイベント〈食と器×廣田ガラスと和菓子の宴〉が行われました。

イベント「食と器×廣田ガラスと和菓子の宴」より

〈東東京モノヅクリ商店街プロジェクト〉に参加するのは多彩なメンバー。
創業60年、動きやすくからだにやさしいニットシャツを国内工場でつくる
シャツ屋さん〈丸和繊維工業〉や、
パリコレに参加する人気ブランドのレザー制作を一手に引き受ける〈牧上商会〉、
今までにない形や色で新しい風船の可能性を探る〈マルサ斉藤ゴム〉。
ほかにも墨田区向島の〈井上鞄製作所〉や、
ノンシリコンタイプのフレグランスシャンプー〈TAMANOHADA SHAMPOO〉を
手がける〈玉の肌石鹸〉など
いずれは30社以上が参加予定なのだそう。

〈トロフィー佐藤〉の佐藤社長

玉の肌石鹸の〈TAMANOHADA SHAMPOO〉

全員昭和59年度生まれ! 酒蔵跡取り息子によるユニット 〈59醸〉

同じ時代を生きる仲間だからこそできること

世代交代が進む日本酒業界。歴代名杜氏の高齢化が進むなかで
意欲的な若手職人が続々と誕生し、代替わりを果たしている。
なかでも意気軒昂なのが、長野県内で2015年1月に結成した
昭和59(1984)年度生まれの酒蔵跡取り息子5人によるユニット
〈59醸(ごくじょう)〉だ。

長野県には82の酒蔵があり、新潟県に次いで全国2位の多さを誇る。
しかし県内の日本酒の消費量は全盛期だった昭和50(1975)年の3分の1まで減少。
「造れば売れる時代」は終わり、ライフスタイルは多様化が進んだ。
そんななかで生まれ育った彼らは、時代の移り変わりを的確に読み取り、
市場ニーズに即したものだけが選ばれ生き残ることを自ずと感じていたのかもしれない。
それと同時に、それぞれが小さい蔵ながらも独特の持ち味を生かした酒造りをするなかで、
30代に突入したばかりの彼らは、ある程度の経験を備えつつ
新しいことへのチャレンジを恐れない若さもあった。
〈59醸〉は、そうした価値観を共有する仲間の集合体だ。

発起人は、長野県最北端の蔵元で、日本有数の豪雪地帯、
飯山市にある〈角口酒造店〉の専務・村松裕也さん。
”醸造学科”で知られる東京農業大学を卒業後すぐに家業に入り、
25歳にして杜氏に就任すると、さまざまな企画や商品展開で
蔵の酒質を向上させて県内外へと活動の幅を広げてきた。
そんな村松さんが全国の酒蔵を見渡して気づいたのが
「同世代の蔵元後継者が多い」ということだった。

「実は全国的に見ても、同学年の跡取り息子は多いんです。
そこで一堂に会して何かできたらおもしろいのではないかと、
他県の酒蔵にも呼びかけたら、それぞれの個性が強すぎて
まとまらないと気づきました(笑)。
でも、長野県内だけでも十分に人数が揃うので、
長野県でやってしまおうと思ったんです」

〈59醸〉の発起人であり、リーダー的存在でもある村松裕也さん。

こうした村松さんの呼びかけに集まったのが、
長野市〈西飯田酒造店〉9代目の飯田一基さんと
〈東飯田酒造店〉6代目の飯田淳さん、
中野市〈丸世酒造店〉5代目の関晋司さん、
上田市〈沓掛酒造〉18代目の沓掛正敏さんだ。
それは、ちょうど全員が30歳になる2014年の夏のことだった。

左から、〈丸世酒造店〉関晋司さん、〈沓掛酒造〉沓掛正敏さん、〈角口酒造店〉村松裕也さん、〈西飯田酒造店〉飯田一基さん、〈東飯田酒造店〉飯田淳さん。

そもそも、村松さんが同世代で集まろうと考えた目的のひとつは
「長年にわたり親しまれてきた日本酒を若者に普及させ、
ひとりでも多くの人に好きになってもらいたい」ということ。
同じ時代・境遇を生きる仲間でありライバルであるからこそ同じ思いを共有し、
企業の枠を超えて「この年代だからできるもの」があるのではないか。
そんな願いが込められていた。

“つくる人”を増やすための 発酵デザインワークショップ 小倉ヒラク 後編

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温度管理が重要な麹づくりワークショップ

東京・吉祥寺にある〈タイヒバン〉という飲食店に、エプロンをした人たちが集まっている。
そこに登場した発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。
いきなり「みなさんエプロンとかしてきてくれるんですけど、
ホントはいらないんですよね(笑)」と冗談を言って場を和ます。
ここはヒラクさんが定期的に開催している「こうじづくりワークショップ」。
各地で似たようなワークショップは開催されているが、
ヒラクさんのワークショップの特徴として、
都心向けで、座学がしっかりしていることが挙げられる。

「“中目黒あたりのひとり暮らしの人が、キッチンの冷蔵庫にしまえる”
というコンセプトでやっています。
この場でつくれたとしても、再現性がないと意味がないので、
“麹菌とは?” という座学もしっかりとやります。
あとは、味。味噌にしか使えないのではもったいない。
僕が教える麹は、甘みを引き出しているので
甘酒、パンなどにも使えるおいしくて万能な麹です」

発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。お酒はワインが好き。

ワークショップは、まずは『こうじのうた』のアニメーションを見て、
お勉強からスタート。
ヒラクさんがプロデュースした麹のことがわかる歌である。いわば麹のPV。

次に実際の麹づくりにとりかかる。まずはお米を蒸すところから。
木の蒸し器にお米を敷き詰めていきながら、
作業における具体的な細かい注意点なども教えてくれる。
40分後に蒸しあがる。失敗の原因は、この段階が多いという。

「お米は炊くのではなく、蒸しているのです。
一粒、食べてみてください。思ったよりかたいでしょ。
普段のお米を炊いたつもりでかたいと思ってしまって、
ここで蒸しを延長してしまう人が多いんです。
ベストは、芯が残っていないけど、最大にかたい状態です」

米を蒸し器に入れていく。端もきっちり入れ込むことが大切だ。写真:編集部

蒸し上がりまで40分、お待ちあれ。写真:編集部

これは「ひねりもち」と呼ばれる作業。
指先でお米をつぶして、おもちみたいにべたっと伸ばしてみる。
芯が残っていないことを確認。
その蒸したお米を、布巾の上にあけてお米をほぐしていく。
目指すのは、一粒一粒が切り離されている状態だ。
その上に種菌をヒラクさんがかけていく。

蒸しあがったお米をほぐしていく。写真:編集部

種菌をかけるヒラクさん。写真:編集部

そしてお米は発泡スチロールの中へ。
一緒に70℃のお湯が入ったペットボトルを入れて、保温する。

「発泡スチロール内部の温度をデザインすることが重要です」

約48時間後に麹は完成する。
ヒラクさんがこれから48時間のうち、12時間ごとの目安の温度を教えてくれた。
だんだんと温度は上がっていくようだ。
最初の24時間が重要で、そこでうまく温度を保つことができれば、
後半は、麹が発酵していって自然に温度は上がっていくはずだという。

「旨みが出る温度と、甘みがでる温度は違うんです。
僕は両方を最大限に引き出すことができる温度をデザインしているので、
すごくおいしい麹ができますよ」

そのためには4〜5時間に一度、
ペットボトルのお湯を温かいものに交換する必要がある。

「麹は生き物だから、すべてが同じではなく、少しずつ違うんです。
それぞれ家などの麹を育てる環境も違うし、
今回も、失敗する人たちが数人は出てくると思います。でもしょうがない。
麹づくりとは、料理のワークショップではなく、
生き物を育てるワークショップですから」

麹は生きている。だから自分の目で見て、肌で感じて、手をかけるということ。
ポイントさえ押さえれば、難しいことは何もないように感じた。
むしろ、このワークショップを終えて、家に持ち帰ってからが本番。
忘れずに、面倒くさがらずに、きちんと麹に向き合うことができるか。
会社に持っていって机の下で育てている人もいれば、
たまたま旅行の予定があって、麹を持って旅立った人もいるという。
愛情をこめて、手をかけた分、“いい子”に成長するのだ。

「ヒモがついているのでハンドバッグのように持ち歩いて」とヒラクさん。

ひとりひとりの発泡スチロール箱にコメントを書きながら、当日の感想を聞く。

勝手に作る商店街サンド: 今回の舞台は幕末維新ゆかりの地、 山口県山口市!

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。
必ずといっていいほどおいしいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。

幕末維新ゆかりの地、山口市で作る!

今回は、山口県山口市にやってきた。
山口県と言えば、吉田松陰をはじめ木戸孝允、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文など
幕末期に活躍した志士たちを数多く輩出した地として知られている。
山口市には志士たちゆかりの場所も多く、
さらに遡って、室町時代に京都を真似て繁栄した大内文化や、
布教で訪れたザビエルが日本で初めてクリスマスを祝ったお寺があったり、と
見どころの多いまちである。

である、と書いたけど全然知らなかった!
はたしてどんなサンドができるのだろう。

歴史好きなら歩いておきたい〈萩往還(はぎおうかん)〉。日本海に面した萩市と瀬戸内海に面した防府市を縦につなぐ古道。幕末の志士たちも行き来した道。

吉田松陰のお兄さんが開いていた塾に隣接する十朋亭。長州藩の宿泊所として使われていた。高杉晋作や久坂玄瑞らも訪れている。自由にあがれるのがうれしい。

大内文化を代表する建築物のひとつである瑠璃光寺五重塔(国宝)。無料で見られる人気スポット。

漆塗りでつくられる〈大内人形〉の工房もまちにいくつか残っている。まん丸で可愛い。

人気のパン屋さんからスタート

さて今回のサンド作りは、
ザビエル死後400年を記念して建てられたという聖堂近くからスタートした。
聖堂のふもとにあるパン屋〈サビエル・カンパーナ〉のパンがお目当てなのである。

ザビエルの指の骨が納められている山口サビエル記念聖堂。ちなみにこの辺りでは「ザビエル」ではなく「サビエル」と呼ぶようだ。

そのふもとに昔からある人気のパン屋さん〈サビエル・カンパーナ〉。地元出身の宮野さんと。

今回ご縁があって一緒にサンド作りをしてくれるのは
商店街賑わい創出事業をしている宮野孝夫(みやのたかお)さん。山口市出身だ。
さっそく一緒にお店に入った。

山口に戻ってきたら食べ物とお酒がおいしくて体重が増えてしまった、という宮野さん。

サビエル・カンパーナでは、
地元の食材を使った調理パンやお菓子に加え、ザビエルの生まれた美食のまち、
スペイン・バスク地方のパンも並んでいる。
とにかく種類が豊富。なかには〈幕末維新パン〉と名づけられた変わり種があった。

それは、安政6年(1859年)に萩藩の中嶋治平という人が作ったパンを忠実に
再現したものらしい。
幕末に食べられていたパン、どんな味か気になる!

今回のサンドに使うパンは幕末維新パンに決まりでしょう!

うしろから「それ、おいしくないよ」と言いながら店長登場。耳を疑った。