昔の佇まいに戻すだけ? 古民家改修のすすめ。 一般社団法人ノオト vol.10

一般社団法人ノオト vol.10

第10回目となる今回は、〈篠山城下町ホテルNIPPONIA〉をはじめ、
ノオトの古民家再生物件のほとんどに建築家として関わっていただいている、
才本謙二さんに執筆をお願いしました。

才本さんは、一般社団法人ノオトのメンバーであるとともに、
篠山を本拠とする才本建築事務所の代表として、
兵庫県をはじめ数多くの古民家再生を実施してきた、古民家再生の第一人者です。

今回は、実際の古民家再生物件を数多く手がける建築家からみた、
古民家再生に対する考え方をお聞きできればと思っています。
以下、才本謙二さんにバトンタッチします。

一般社団法人ノオト 区切りのvol.10に登場しました才本です。
vol.9までの執筆者とともに古民家に関わって12年、約200件のリノベを計画し、
100棟近く触ってきました。
話のネタは、みなさまに書き尽くされてしまいました。
コーディネーターの星野さんから、
建築家の立場から古民家改修について書いてほしいと
リクエストをもらっていましたが、
あまり面白くないので、日頃思っていることを、したためることにしました。

リノベのススメタクナイ

リノベーションとは、
『家とインテリアの用語がわかる辞典』によると、

建築物の修理、改造のこと。耐震性や省エネ性などの機能を高める、
事務所用ビルを居住用マンションに変更するなど、
既存の建物を大規模改装し新しい価値を加えることをいう。
用途変更や時代の変化に合わせた機能向上を伴う点でリフォームと区別することが多い。

と定義付けられています。

私がやっていることは、機能向上もしていないし、
まして大規模に改造もしていないのです。
今は、「快適でおしゃれな住空間なんてまっぴらごめんだ」と思っています。
しかし最初は、みなさんがやられているような真っ白な漆喰壁に間接照明と
ピカピカの無垢の床で仕上げたおしゃれなものにあこがれていました。
またそれが常道だと思っていたので、薄汚れた壁を全面塗り替えるなど、
できる限り汚いものを排除していました。
でも排除すればするほど、古民家らしさが消え去り、
いやらしい作家性が表へ出てきてしまって、とても居心地の悪いものに感じました。
ただ、私がやる物件は予算工期がないのがほとんどで、
「お金ないから」「平成の修理とわかるように……」と言い訳しながらやっていました。

現在の趣を残す改修方法を「これでいいやん」と自分の中で確信に変わったのは、
ささらい〉(篠山市日置 中西家)からだったように思います。
ささらいは、古民家レストランとショップからなる複合施設ですので、
それなりに改修費がかかっていますが、どこを直したかわからなく仕上がりました。
気の毒なのは工務店さんで、
「何もしてないやないか、ぼろ儲けやな」と言われてしまいましたが、
それも、
昔の佇まいのように趣のあるかたちで直せる技術があり、手間と時間をかけている証拠。
私としては、「しめしめ」と心のうちで思ったりするのです。

ささらい改修中の様子。

ささらいの改修後。趣をできるだけ残し、昔からそこにあるような佇まいに。

「建物が最も輝いた時代(=創建当時)に戻す」
と声高らかに、仕事をしてきました。
ボードに合板、床板を剥ぐと創建当時のすばらしい部材が顔を出します。
黒光りする梁に、1尺(約30センチ)近くある大黒柱の力強さに圧倒されます。

でも最近、直近のこの家の人々にとって、
都会に一歩近づいた昭和の改造こそ、
最も輝いた瞬間であったのではないだろうかと考えるようになりました。
「産まれてずっと、すすけた天井を見て育ったんだ」
「風呂炊きが一番いやだった」
「個室が欲しかった、プライバシーなんてなかったから」……
だから、すすけた天井に白いボードを張って、ガスを引いていつでも風呂に入れる。
襖を取っ払って壁をつくったから、音楽だって大きな音で聴けるんだ。
「昔の状態に戻す? 何を言っているんだ。バカじゃなかろうか!」

昭和の改造の例。合板やボードで床・天井・壁をつくる。

そうなんです、創建当時に戻すことは、家人からすればきっとバカなんです。
性能は確実に低下しています。
すすけた真っ黒な天井に払っても払っても取れない壁の汚れ、キズだらけの柱、
家全体は昼間でも暗いし、隙間風も入ってきて寒い。
ガスを止めて囲炉裏に五右衛門風呂とおくどさん(かまど)、
炭や薪を熱源にするなんて呆れていることでしょう。
よくするのがリノベでしょ、全然よくなっていないじゃないか。

大規模な工事かというとそうでもありません。
家人からバカにされつつ、昭和を取り去り現れた梁と柱を何回も雑巾で拭き取る。
壁は全面修理することなく、
欠け落ちた部分をまったく違った色の地元の土でちょこっと手直しするだけ。
我々のやっていることは、どうも一般的に定義づけられたリノベでは、ないようですね。

ただ言えることは、
時空に振れ、機能を超えるもっと大事なものが潜んでいることに気づき、
価値観を司る部分を刺激していることは確かなようです。
人の営みをむやみに取り去ることは、昭和の改造と何ら変わりませんね。
リノベとは、新しい価値を加えることだけで十分なような気がします。

天井を剥ぐと現れる創建当時の部材(集落丸山)。

才本建築事務所内のおくどさん(かまど)。

見る洋館から使う洋館へ。 神戸・塩屋の美しく楽しい場所 〈旧グッゲンハイム邸〉

神戸・垂水区のJR塩屋駅近く。海と山が近く、潮の香りが漂う塩屋に、
〈旧グッゲンハイム邸〉があります。
ここは、1909年にドイツ系の貿易商が建てた、
コロニアル様式の大きな洋館。

海を前にした開放的な立地に、広い庭の灯籠や松の木による
エキゾチックな趣きが特別な雰囲気を醸し出しています。
いまは多目的スペースとして活用されていて、
コンサートや展覧会、ワークショップ、講演、教室などの
文化的行事のほか、結婚披露宴や同窓会などの会場になることもあるんです。

美しいコロニアル様式。

2階から海を望む。

塩屋は、海の向こうに淡路島を望む、温暖で風光明媚な土地。
かつて貿易商の別荘地として愛され、瀟洒な異人館がいくつも建てられました。
その歴史と魅力は、コロカルの連載『グレアムさんの神戸日記』
ご紹介してますので是非ご覧ください!

いまも魅力的な姿を残す塩屋の洋館たちですが、
〈旧ジョネス邸〉など、すばらしい建物も
時代の流れには逆らえずさまざまな理由から
取り壊されてしまう洋館も数多くありました。
〈旧グッゲンハイム邸〉も長年空き家になっており、
保存が心配されていた建物でした。

そこで、現在〈旧グッゲンハイム邸〉の管理人を務める、
音楽家の森本アリさんの家族が心配し、オーナーに手紙を書き、
オーナーの深い理解を得て家族で〈旧グッゲンハイム邸〉を取得。
修繕を行い、その美しい姿の保存を成し遂げ、
いまでは地元の人たちで賑わう多目的スペースになっています。

たくさんの音楽イベント

森本さんが音楽家なだけあって、〈旧グッゲンハイム邸〉では、
音楽やアートの催しもたくさん行われます。
その特別な雰囲気に惹かれ、是非グッゲンハイム邸でライブをしたい! 
と依頼するアーティストが国内外からやってくるのだとか。

映像で人を動かす。 秋田県の映像プロジェクト 『True North, Akita.』後編

前編はこちら

小さな集落の手づくりのお祭り

〈augment5 Inc.〉が手がける秋田県の映像プロジェクト『True North, Akita.』。
Vol.1に続き、Vol.2が公開された。

True North, Akita. Vol.2

Vol.1は、ディレクターの印藤麻記さんの出身地でもある五城目町で撮影されたが、
Vol.2は仙北市の上桧木内(かみひのきない)という地域で撮影された。
田沢湖にほど近い内陸に位置し、秋田内陸縦貫鉄道が走る、秋田でも特に雪深い地域だ。

映像でも印象深いのが、旧正月の時期に気球のように大きな紙風船を上げるお祭り。
〈上桧木内の紙風船上げ〉と呼ばれる伝統行事で、100年以上の歴史がある。
江戸時代に平賀源内がこの地を訪れたときに、余った障子紙で風船をつくり、
熱気球と同じ原理で飛ばして遊ぶことを地元の人に教えたという由来があるそうだ。
いまでは、12メートル近い巨大な紙風船にさまざまな武者絵や美人画を描いたり、
商売繁盛などの願いを込めて紙風船を上げる、地域を代表するお祭りになっている。

秋田県には、男鹿のなまはげや横手のかまくらのほかにも、
冬には変わったお祭りが多い。
そのなかで県外にはあまり知られていないこの紙風船上げを撮影したのは、
小さな集落が寄り添い、地域一体となって生み出す手づくり感に惹かれたからだと、
プロデューサーの井野英隆さんは話す。

「このお祭りは地域の住民が総出でつくり上げているんです。
上桧木内には8つの集落があるんですが、それぞれ競い合うように絵を描いたり、
準備のために何度も寄り合いを持って、議論を積み重ねて進めていく。
当日の運営事務局も、消防や警備や屋台の出店も、
地元の子どもから学校の先生、おじいちゃんおばあちゃんまでみんなでやっている。
お祭りの直前になれば、過疎化や人口問題を忘れてしまうくらい、
おじいちゃんたちが集まって、夜中まで本当に楽しそうにワイワイやっている。
純粋に集落の遊びから始まったような、本当に手づくりのお祭りなんです」

また、桧木内の小学校のようすも映し出される。
秋田県は教育先進県としても知られているが、
成績優秀な先進校を撮影するよりも、全校生徒が60人にも満たない
小さな学校の日常を切り取ることを、井野さんたちは選んだ。
子どもたちがのびのびと絵を描いている姿も映し出されるが、
この小学校の校長先生は美術教師で、自分でも絵画をたしなむ
とてもクリエイティビティにあふれた方なのだそう。

来年はこのお祭りに、海外のアーティストを連れて
また参加したいと井野さんは考えている。
海外から来たアーティストが地元の子どもたちと一緒に紙風船に絵を描いて飛ばしたら。
そんな体験は両者にとって忘れられないものになるに違いない。

〈食べる溶岩ジオロック〉 溶岩そっくり! 伊豆半島ジオパーク生まれ

静岡県の伊豆半島は、本州で唯一フィリピン海プレートの上にあり、
かつては南洋にあった火山島や海底火山の集まり。
その火山活動や地殻変動によって出来た大地を楽しむことができる
〈伊豆半島ジオパーク〉は、日本ジオパークのひとつに数えられる名所。

これまで世界ジオパークネットワークへの加盟に向けて頑張っていたのですが、
4年に1回行われる認定では、惜しくも認定ならず...!
実は地元は溶岩そっくりの砂糖菓子〈食べる溶岩 ジオロック〉が
おみやげ品として販売されているのですが、、、

これが〈食べる溶岩 ジオロック〉!お値段は350円(税込)

〈食べる溶岩 ジオロック〉パッケージ

認定ならずだった今回の結果にめげずに、
ジオパークを更に盛り上げようと、
富士宮東高の生徒たちが〈食べる溶岩 ジオロック〉を使って
〈破壊怪獣ジオロック〉を作りました。

芸術コースの生徒達というだけあって、かなりリアルな出来です。
2016年4月2日(土)に伊豆半島ジオパークの中央拠点となる
〈伊豆半島ジオパークミュージアム ジオリア〉がオープンするのにあわせ、
〈長泉町 ジオパークビジターセンター〉等にて順次展示されます。

破壊怪獣ジオロック

六甲山の魅力を生かした作品求む! 現代アートの祭典 〈六甲ミーツ・アート 芸術散歩〉

明治時代、居留外国人によってレジャーの山として開発された神戸の山、六甲山。
ここで、現代アートの祭典〈六甲ミーツ・アート 芸術散歩〉が
2016年9月14日(水)から11月23日(水・祝)まで開催されます。

これは六甲山上に設置されたアート作品をピクニック気分で周遊し、
その自然や眺め、歩いて知る歴史などとともに、
六甲山本来の魅力を楽しむ展覧会。
木々の間を散策したり、お弁当を広げたり、
昼寝をしたり、楽しみ方は自由!
山の上で、リラックスしたひとときを過ごすことができます。

森太三 関係のベンチ 2015年 六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015 公募大賞グランプリ受賞作品

ただいま〈六甲ミーツ・アート 芸術散歩〉では、
招待アーティストによる出展に加え、
公募部門を設けて広く一般から作品を募集中!

作品を展示する会場は、六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、
六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、
六甲ケーブル、天覧台、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)
の六甲山上施設です。屋外展示が基本となります。
入選者には制作補助金として25万円が授与されるそう。

進藤篤 小さな塔 2015年 六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015 公募大賞準グランプリ受賞作品

齋藤隆太郎(DOG)+東大計画系研究室 0.90nのゆらぎ 六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015 公募大賞奨励賞作品

求められているのは、六甲山の特性を生かした魅力的な作品プラン。
応募は5月9日(月)まで、詳細は公式サイトにて。

information

map

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016

住所: 〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町五介山1877−9(六甲ガーデンテラス)

営業時間:10:00~17:00 ※受付終了時間は各施設により異なります

定休日:会期中無休

会期:2016年9月14日(水)~11月23日(水・祝) 

時間:10時~17時 ※受付終了時間は各施設により異なります

※会場により17時以降も鑑賞できる作品があります

会場:六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲ケーブル、天覧台、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)、プラス会場:TENRAN CAFE(カフェの利用が必要)

Web:公式サイト

京の伝統工芸が、食が、芸能が、 次々とつながるおもしろさ。 GO ON 後編

[ff_titlelink_by_slug prepend="前編【" append="】はこちら" slug="tpc-thi-journal-044"]

世界から京都に来てもらう〈Beyond Kyoto〉

京都の伝統工芸や伝統芸能に光を当て、新たな動きを起こしている〈GO ON(ゴオン)〉。
まずは〈Japan Handmade〉というプロジェクトを起こし、
西陣織の〈細尾〉、竹工芸の〈公長齋小菅〉、木工芸の〈中川木工芸〉、
茶筒の〈開化堂〉、金網工芸の〈金網つじ〉、茶陶の〈朝日焼〉の、
若手後継者たちで海外向けに商品開発し、成功を収めた。
それでもプロデューサーの各務(かがみ)亮さんは、まだまだ先を見据える。

「確かな手応えは感じていますが、それで50年後、100年後、
京都に伝統工芸がきちんと残るのに十分かといえば、そうとも言えません。
そこで〈Beyond KYOTO〉というサービスも開始しました。
さきほどの6社は、毎年のようにミラノに行ったり、パリに行っています。
しかし、行くよりも来てもらったほうが、
もっと踏み込んだ京都や、いろいろな京都に巻き込めるのではないかと思ったんです」

簡単に言うと、観光コンシェルジュ。
京都には約3,600社の工芸会社があるというが、「見学できる工房が少ない」というのだ。
Beyond KYOTOでは、
GO ONメンバー自らの工房を見てもらうことはもちろん、
京都で活動している人たちだからこそできるおもてなしで迎える。

「工房などを見てもらいながら、文化的背景もお伝えしたいと思っています。
たとえば西陣織も、お茶やお花、そしてお寺などの文化と連携して案内すれば、
西陣織がどう使われ、育まれたのかなど、より深い魅力を感じていただけると思います」

これまで海外の文化人やセレブリティなども訪れているという。
彼らに工房を案内すると「道具の使い方が美しい」など、
自分たちでは気がつかないような視点も教えてくれて勉強になることもある。
しかしもっとも重要なのは、やはり人間関係だ。

「彼らにとって、京都人とつながりができることが一番ではないかと思います。
京都で何百年と築かれてきた伝統文化の後継者たちと、友だちになれるんですから」

そこで得たものや築いた関係性は、“京都を越えて”いく。
これは京都を踏み台にしているということではなく、
革新こそが伝統を守るとGO ONは信じているのだ。こうして京都の文化が拡張していく。

GO ONのほか、京都でさまざまな仕掛けを試みる各務 亮さん。

華やかなりし京文化、太秦江戸酒場

GO ONでは、さまざまな取り組みをしながら、
伝統をどう未来へつなげるかということに挑戦している。
その思いを理解してもらって、同じ未来を見据える仲間を増やすことが、
これからのGO ONのミッションといえる。
そこで〈Beyond KYOTO〉体験版として、
各務さんに京都の若手の仲間たちを紹介してもらった。

より大きな枠組みでとらえたイベントが〈太秦江戸酒場〉。
太秦映画村のセットで時代劇のなかに迷い込み、京都の伝統工芸・芸能を体感できる催し。
昨年秋に3回目が開催された。
〈いづう〉や〈中村楼〉といった老舗食事処のほか、
京都の24の酒蔵の日本酒が楽しめたり、
東映の役者が営む浪人BAR、新選組BAR、丁半BARなどもある。
もちろん伝統工芸の職人たちが教えてくれるワークショップや展示も。
京都のさまざまな伝統文化を、
タイムスリップして楽しめるエンターテイメントパークとなっている。

時代劇が、目の前で、ライヴで行われる。写真提供:太秦江戸酒場

お寺で行われた京焼インスタレーション

〈太秦江戸酒場〉内では、
〈京・焼・今・展2015〉と〈RIMPA400 Project〉の展示も行われた。
このふたつも、各務さんがプロデュースを手がけた。

〈京・焼・今・展2015〉は、毎年異なるテーマで、京焼の“いま”を伝えていくものだ。
昨年のテーマは“琳派”。ユニークなのはその会場で、〈建仁寺山内 両足院〉で行われた。
6人の作家が両足院のひと部屋ずつを使って、
自らの世界をつくっていくインスタレーションだ。
副住職の伊藤東凌さんもキュレーターのひとりとして名を連ねている。

「かつてお寺も一緒に“その当時の現代アート”に取り組んできたら、
それがいま、伝統と呼ばれるものになっているのです。当時は挑戦だったわけです。
千利休にしても、世阿弥にしても、アバンギャルドですよね。
きっと批判も大きかったことでしょう。
いまというものの捉え方によって、表現方法や伝え方は変わっていかないといけませんね。
昔からの伝統行事をそのまま引き継ぐだけではなく、
いまから新しい行事が生まれていって、
それが未来には伝統になっているとすごくすてきなことだと思います」と言う伊藤東凌さん。

“いまは”伝統であっても、“かつては”伝統ではない。
だから結局、いまを一生懸命やる以外にない。

「これは目新しいことではありません。
本来、お寺は、学校や美術館のような、学びの場としても機能していたのです。
いまそれらはほかで満たされているので、
それならばお寺ならではの学び方もできるのではないかと考えています。
それは、はっきりとした答えを出すことではなく、“良質な問い”を出し続けること。
京焼とは何か? 琳派とは何か? 答えは出ないわけです。
ただし、そこに問いがあることによって、自分たちの才能がぶつかり、発揮できる。
お寺はその受け皿としてもあるべきです」(伊藤東凌さん)

〈両足院〉副住職の伊藤東凌さん。

凛とした空気のなかで、坐禅体験も行っている。

神戸の人たちを“友だちの友だち”に! まちがキャンパスの学校 〈神戸モトマチ大学〉

神戸に元町〜三宮間をキャンパスとした、
誰でも参加できる大学があります。
その名も〈神戸モトマチ大学〉。

これは、2011年に始まったプロジェクト。
神戸のまちや世界で活躍する人が先生となり、
まちづくりやビジネス、ライフスタイルなどについてレクチャーします。

モデルとなったのは、神戸と同じ150万人規模のまちでありながら、
ユニークな個性を放つポートランドやストックホルム。

ポートランドやストックホルムなどの都市に共通しているのは、
おもしろい人同士がすぐに“友だちの友だち”でつながり、
親密なネットワークが築かれていること。
小さな都市では、そうしたつながりの強さが
まちの持つ力を最大限に引き出しているのだそうです。
この大学では、神戸の人たちを“友だちの友だち”の距離につなぎ、
お互いの発想が新しいアイデアを
生みだすまちにしたい——そんなつながりをつくっていくことを目的としています。

ちちぶメープルプロジェクト vol.6 シュガーハウスってどんなとこ?

そうだ、カナダへ行こう!

いよいよ秩父も春本番! 木が芽吹いてきています。
今回は、このコラムを書くきっかけになった“シュガーハウス”と、
シュガーハウスを秩父につくろうと思ったきっかけ、
その後の思わぬ進展までお話できたらと思います。

早くも6回目を迎えたこの連載ですが、実はこれまでの内容は
すべてこれからのテーマの前置きなのでした……。
とても長い前置きになったのは、秩父で行われているメープルの活動の背景や目的を
きちんと知ってもらいたかったからなのです。

いまから2年前、秩父でメープルの活動をしたいと思った私。
会社に退職を告げ、最初にしたことは有給休暇をとってカナダに行くことでした。
メープルのことは何ひとつ知識のなかった私でしたから、
やはり本場のカナダでメープルがどうつくられているのか、
秩父のやり方とどう違うのか? など、たくさんの疑問がいっぱいで、
自分の目で見てみたいと思ったのでした。インターネットを駆使して、
いくつかのおもしろそうな活動をしているメープル農家をピックアップし、
会ってもらえないかとメールでコンタクトをとったりもしました。

今回訪れたのは、カナダの第2のメープル生産地であるオンタリオ州。州都はトロント。

カナダのメープルシーズンは、秩父よりも遅い3月から4月にかけてが最盛期。
レンタカーを借りて、観光客は絶対行かないであろう田舎道を進みます。
着いた先は、広大なカエデの森!

びっしりと植えられたカエデの木々、さすがメープルの本場!

秩父と違って平らな土地にびっしりカエデが生えている様子に衝撃を受けます。
そして、パイプラインが張り巡らされていて、
ポンプに樹液が流れる音が静かな空間に響きます。
遠くには、煙突から煙がモクモクとのぼっている建物が。

シュガーハウスはメープル農家によって、掘っ建て小屋から立派な建物までさまざま。いろいろなシュガーハウスがあっておもしろい。

これがシュガーハウスか!
カナダでは、採取した樹液はすべてその日のうちに
メープルシロップに加工してしまいます。
寒い外と違って、シュガーハウスの中は樹液を煮詰める蒸気と
甘いメープルシロップの香りで満たされているのでした。
なんて幸せな空間……。

メープルシロップを煮詰める機械はエバポレーター(蒸発機)といって、
樹液を煮詰める専用のもの。
熱源はなんと薪をくべるというちょっとアナログな感じで、
とても温かみがあってすてきです。

メープルシロップの製造過程をこんなに間近で見られるなんてびっくり!

ほとんどのシュガーハウスでは、地元の人から観光客、小学生などの社会科見学まで、
見学を受け入れていて、カエデの森をガイドしてくれたり、
メープルシロップのつくり方を教えてくれるのでした。
そして、できたてのメープルシロップを販売していたり、
季節限定でパンケーキショップもオープンしていたりして、
この時期しか見ることのできない風景を五感で堪能できるのです。

カナダの人たちは、毎年この時期にお気に入りのメープル農家からできたてのメープルシロップを大量に購入するそう。

ちょうどカナダに滞在しているときに、
各地でメープルの収穫を祝うメープルフェスティバルが開催されていたので、
そのうちのひとつであるエルマイラメープルフェスティバルに参加してきました。
人口1万人くらいの小さなまちに、1日のお祭りのために
国内外より5万人以上の人が集まるそう。
メープルシロップを売る屋台やできたてパンケーキを売っている巨大テントまで、
お祭りらしいワクワク感でいっぱいです。

寒空のなか、メープルの甘い香りが立ち込めます。

衝撃的だったのは、パンケーキ投げ大会なるものがあり、
バケツリレーのようにチームでパンケーキをパスしていくゲームに
大人も子どもも夢中になっていました。
メープルを楽しむ方法はまだまだいろいろあるのだなと、
刺激をたくさんもらった旅になりました。

〈水道筋商店街〉 アメフトとえびすさんで まちを盛り上げる 神戸随一のユニークな商店街

神戸市灘区の水道筋は、8つの商店街と4つの市場が東西に連なるまち。
長さ450メートルものアーケードの下には昔ながらのお店が連なり、
今日も活気づいています。

こちらでは、商店街のみなさんがあの手この手でまちを盛り上げているのだそう。
そのひとつが、水道筋のテーマソング『汗かきえびす音頭』。
この歌には、振付まであるんです。

振付けビデオのなかで踊っているのは、松本亜実さん。
松本さんは高校のダンス部に所属しており、
この振付を踊れるのは松本さんしかいない、と抜擢されたそうです。

汗かきえびす音頭をお披露目した時の様子。子供たちも楽しそう!

歌に出てくる“汗かきえびす”というのは、
水道筋3丁目の交番前にまつられているえびす神のこと。
商店街のみなさんからは親しみを込めて“えべっさん”と呼ばれています。

毎月10日に開催される水道筋十日えびす祭では、えびすさんの前に“福娘”が登場。お参りするとガチャポン抽選ができ、クーポンや汗かきえびすグッズなどが当たります。

こちらのえびすさま、なぜか汗をかきながらアメフトのユニフォームを着ているのですが、
日本三大えびす神社のひとつ、西宮神社から分祠された由緒正しいえびす神なのだそう。
2003年に、アメリカンフットボールの拠点が西宮から
灘区の王子スタジアムへ移転した際にまつられたのだとか。
同年からは、たくましいアメフト選手たちが屋台に立つ
〈春のアメフトまつり〉も始まりました。

ゆるキャラの汗かきえびす君

新政酒造の杜氏・古関弘と 発酵デザイナー・小倉ヒラクの 対談!〈なんも大学〉

2012年から続く、秋田の人気フリーマガジン『のんびり』が、
2016年3月22日発行の最新16号でいったんの区切りを迎えました。

今後は県の媒体としてではなく独立した雑誌としての発行を目指しているとのこと。
自治体の媒体ながらお固さはなく、地域の良いところをいきいきと描く
記事が魅力だった『のんびり』がなくなるのは寂しいですが、
なんと4月から、ABS秋田放送ラジオにて
ラジオ番組『のんびリズム』がスタートします!

のんびり編集長の藤本智士がメインパーソナリティとして出演し、
放送は毎週日曜の午後3時30分〜4時。県外の方もpodcastで聴けるんだそう。
これからの新しい展開が楽しみです。

そんな『のんびり』編集部が行っている、参加者交流型の勉強会〈なんも大学〉。
『のんびり』誌の講座版ともいえるこのイベント、
2016年4月5日に最新講座〈トージ・コージ!〉が開催されます。

こちらは2015年11月に開催した、のんびりでお馴染みの寒天使(寒天名人)照井律さんを講師にお招きした「りっちゃんの天使の寒天教室」

2015年9月に開催したミシマ社代表 三島邦弘さんをお迎えした「地方で本を生み出すチカラ」

今回お迎えするゲスト講師はお二人。
一人は、いまや全国でも知名度を誇る秋田の人気酒蔵、
〈新政(あらまさ)〉の酒造りの責任者、杜氏の古関弘(こせき ひろむ)さん。
新政といえば秋田の蔵元集団〈NEXT FIVE〉のうちのひとつ。
酒造りの鍵をにぎる杜氏さんのお話は貴重です。

そしてもう一人のゲストは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。
アートディレクターとして活動していた小倉さんは、
発酵好きが高じて独学で発酵を学び、
現在は “発酵デザイナー” の肩書で全国で活動されています。
コロカルでの記事はこちら

トークの進行役は、『のんびり』編集長の藤本智士さん。
全国でも随一の人気酒蔵の麹を操るスペシャリストの杜氏と、
発酵デザイナーという麹ワールドで活躍するデザイナーによる、
稀有でディープな時間は是非目撃したい!
お問い合わせ・お申し込みは、のんびり合同会社(info@non-biri-go-do.jp)まで。

information

map

のんびり presents「なんも大学」 『トージ・コージ!』(杜氏×麹)

日時:2016年4月5日(火)18:30〜20:00(※18時開場)

会場:秋田市民市場 2階 会議室

住所:秋田県秋田市中通4丁目4−7−35

参加費:1,000円/税込(※要事前申込)

定員:50名

出演:

古関 弘(新政酒造株式会社 製造部長)

www.aramasa.jp

小倉 ヒラク(発酵デザイナー)

hirakuogura.com

進行:藤本 智士(Re:S、のんびり編集長)

申し込み:info@non-biri-go-do.jpまでメール申し込み

TOYOOCOME! 豊岡に来て、暮らして。 その3:都市との“違い”こそが 豊岡市が持つ個性

これからの豊岡を一緒につくってくれるひと、集まれ!

豊岡市では、さまざまな移住推進の政策を打ち出しているが、
特徴的なのは、窓口が「大交流課」に一本化されていること。
特に2016年4月からは、住居、職、暮らしのことなど移住に関する
すべての情報が集約されるので、
気になるあれこれに応えてくれて、移住後のフォロー体制も万全だ。

豊岡市役所。手前のヨーロッパ風の建物は〈豊岡稽古堂〉という名で、市議会議場や市民交流センターがあり、市民に親しまれている。

豊岡市大交流課の宮垣均さん。

豊岡市大交流課。

移住にあたって気になるのは、やはり住まいのことだろう。
空き家バンクには、賃貸・売買を含め40軒以上の登録があり、
2015年からは問い合わせ件数も増加しつつある。
大交流課に相談すれば、ニーズにあわせた物件の紹介や、
リノベーションに関する相談、
耐震強度の検査の手続き方法など、細やかなフォローをしてくれる。

豊岡市内にある空き家の一例。写真提供:豊岡市

また、いなか暮らしを1日から気軽に体験できる「豊岡暮らし体験施設」も整備。
ここでは、日常生活に必要なものは揃えられていて、
担当者によると「身ひとつで来てもらえる」住居だ。
家族でも宿泊できる広さは、十分にあるので、一度トライしてみるといいかもしれない。

そして、移住の根幹となるのが仕事のこと。
豊岡市では、〈ジョブナビ豊岡〉という情報サイトを運営し、
最新の求人情報を調べられるほか、企業ガイドブックも発行し、
移住希望者と地元企業とのマッチングもしっかり行っている。

また、就農を希望している人におすすめなのが、〈豊岡農業スクール〉だ。
市が委託する米農家や野菜農家、畜産農家等で1年間本格的に“修行”し、
農業技術や経営のノウハウを学ぶことができる。
年間3名と競争率は高いが、市から月額10万円の給付金が支給されるほか、
4月からは、市外からのスクール生には家賃補助も行われる。

豊岡農業スクールの様子。写真提供:豊岡市

豊岡のまちづくりに“共感”するひとたちを待っている

移住者を迎え、地域で働き、暮らし、子育てをしてもらう。
全国の自治体で移住への取り組みが展開されているが、
豊岡市は多くの政策の中でも、移住を特に重要と考え、
総合戦略でも
「暮らすなら豊岡と考え、定住する若者が増えている」
という言葉を掲げている。
どういう思いで取り組んでいるのかを中貝宗治市長に聞いた。

目指すは生産量日本一! 愛媛県松山市ですくすく育つ 国産アボカドとライム

偶然の産物から始まったアボカドづくり

みかんをはじめとする柑橘類、イチゴ、柿、栗など
さまざまな愛媛の銘産をご紹介してきたこの連載。
キウイフルーツやグレープフルーツなど、“日本の気候でも育つんだ!”
と驚いてしまうものもありましたが、愛媛県で育つ意外な国産フルーツはまだあります。

そのフルーツとは、愛媛県松山市が生産量日本一を目指し、
産地づくりに取り組んでいるアボカド。
いまやすっかりなじみのある存在となったアボカドですが、
原産はメキシコや中央アメリカ。まだ日本ではほとんど生産されていないため、
市場に流通しているアボカドの99%が輸入されたものなのだそう。

そんな中、松山市では2008年からアボカドの産地づくりに取り組み始め、
苗木の供給や栽培指導などの支援を行ったり、
2015年11月には第1回「日本アボカドサミット」を市内で開催しました。
現在では市内で約70名の方がアボカドを栽培しており、
その栽培面積は3ヘクタールにまで拡大し、全国有数のアボカド産地となっています。

風光明媚な森さんの広大な園地。この写真はほんの一角。

県内外でも注目されている松山市のアボカド産地づくりですが、
実は取り組みへのきっかけを生んだのが、20年以上前に植えられたというアボカドの木。そのアボカドの木が育つ、森茂喜さんの園地を訪れました。

松山市のアボカド産地づくりのきっかけとなった木。この大きさ、伝わるでしょうか?

松山市高浜にある森さんの園地。
その地名からもわかるように、海に面した園地です。
この園地の中腹に近いところに育っているのが、ご覧の立派なアボカドの木。
取材に訪れた10月下旬、大きな実がいくつも生っていました。
「これは〈フェルテ〉という品種で、来月の収穫までにもう少し大きくなります」
と園地を案内してくれたのが、環境にやさしい農業生産の発展を目指し、
愛媛県の農家が集まってできた〈のうみん株式会社〉の原田博士さん。
「この品種に関しては油分も多くてトロッとしているだけでなく、
アボカド特有のえぐみや苦味が少ないんですよ」

立派に実ったアボカド。「虫除けとなる樟脳の原料であるクスノキ科に近いので、あんまり虫がつかないんですよ」と原田さん。

そんなおいしい実をつけるこのアボカドの木ですが、
実は栽培を目的に植えられたものではなかったのだそう。
「平成4年に台風がきたとき、海からの潮風の影響で園地の木が一面枯れてしまって。
その後、木を植え替えたときに、記念樹としてアボカドの木を植えたそうです。
それから20年ほどして実がなっているのを当時の松山市の農林水産課の方が見て、
アボカドの産地化に取り組もうということになったんです」と原田さん。

あけびを思わせる、小さな実。「小さいのは未熟で、種がないんですよ」と原田さん。

園主の森 茂喜さん。広大な園地を、ほぼひとりで管理されています。

「植えた当時は実がならないと思っていたんですよ、寒さで冬は朽ちてしまうかなって。
本当に手入れを何もしてないのに実がなりだしてのでビックリしましたね」と園主の森さん。
園地には〈フェルテ〉だけでなく〈ピンカートン〉という品種のアボカドの木もあり、
松山市ではこの2本の木から穂木をとり、苗木をつくったのだそう。
「でも今の品種は木が大きくなりすぎるし、寒さにも弱い。
あと結実性ももうちょっと安定しないと商業生産は
ちょっとしんどいやろうなというのがあって。
私は日本にあった品種をなんとかつくりたいなという想いでやっているんですよ」と森さん。
「研究者の方に聞いたらね、柑橘の新しい品種は
1,000〜10,000本にひとつしか出ないんだけど、
熱帯果樹は使える品種が出る確率が高いらしくて。
100〜1,000本で1系統は出ると思うし、日本でできた品種だと
日本の気候にやっぱり合うでしょうからね」

木の上のほうにも、いくつもの実が。

そんな森さんや、アボカドの産地づくりに参加している農家さんたちによって
生産量が少しずつ増えている松山市育ちのアボカド。
また、のうみんでは松山大学と共同開発した、
アボカドのエキスとオイルの無添加の美容石鹸〈媛肌せっけん・鰐梨〉も
製造販売しているのだそう。

実に広大な森さんの園地。取材中、まるでハイキングをしているような気分に。

今後さらなる注目を集めそうなアボカドですが、
松山市が産地づくりに力を入れているもう青果がもうひとつあります。
その青果も森さんの園地で育てられていたことがきっかけとなり、
産地づくりへの取り組みが始まったのです。

〈大野へかえろう 卒業式プロジェクト〉 これから旅立つ高校生たちへ 父母からサプライズ

美しい山々と水田にかこまれた、福井県立大野高等学校。
2016年3月3日、同校の卒業式から179人の生徒さんたちが巣立っていきました。

いつもなら、つつがなく式が終わるころ。
“いつかはふるさとへ帰ってきてほしい” そんな保護者のみなさんの思いが
『大野へかえろう』という歌になり、高校生たちに贈られました。

『大野へかえろう』
作詞:日下慶太 作曲:松司馬拓

山が世界を切り離し

世界はこの町だけのよう

自然にあわせて時は過ぎ

人はゆっくり生きている

夕日が田んぼを照らしてる

里芋の葉が揺れている

小さな町の子どもたち

夢を求めて旅立つよ

大野へかえろう

言い出せないから歌にする

大野へかえろう

広い世界に出るといい

いつでも大野は待っているから

『大野へかえろう』より一部抜粋

この卒業式プロジェクトは、
大野市の地方創生プロジェクトとして行われたもの。
コロカルでも以前大野市を訪ねました。
※記事はこちら

準備は生徒さんたちに内緒で行われ、
ほとんどの保護者の方が家や車の中などで
CDを聞きながら練習していたのだそうです。
当日はリハーサルをするわけにもいかず、ぶっつけ本番状態でした。

プロジェクトの企画者は、コピーライターの日下慶太さん。
『大野へかえろう』の作詞も手がけました。

事前に行われた合同練習の様子。一部の保護者30人が集まり、作曲家の松司馬拓さんが指導しました。

名所ではなく暮らしを撮る。 秋田県の映像プロジェクト 『True North, Akita.』前編

豊かな暮らしそのものを伝える

『True North, Akita.』という秋田県で撮影された1本の映像が
大きな感動を呼んでいる。この映像は、秋田県への
移住を促進するための取り組みの一環として制作されたものだが、
秋田の名物や名所が紹介されるわけでもなく、解説やナレーションもない。
そこで暮らす人たちと美しい自然、ありのままの光景が、
のびやかな歌声が印象的な曲とともに流れる。

True North, Akita. Vol.1

映像の撮影と編集をしたのは井野英隆さん率いる〈augment5 Inc〉。
井野さんについては以前コロカルでも紹介したが、
つくり手の思いが伝わるような豊かな表現による作品を多数手がけ、
グローバルに活躍する俊英だ。
これまでもさまざまな地域にまつわる映像を手がけてきたが、
これほど地域にコミットしてつくり上げたのは初めてだという。

2015年のある統計で「一度も訪れたことのない都道府県ランキング」1位の秋田県。
井野さんも秋田県についてはよく知らなかったが、
海外の映画祭に出品する映画をつくるために秋田に行くようになり、
それまでのイメージとのギャップに驚いたそうだ。
「とにかくすごい風景にばんばん出会うんです。
お酒もごはんもおいしいし、とても豊かだと思いました。
経済的にというより、風景、食べ物、文化も含めて、暮らしそのものが豊か。
その魅力が全然伝わっていないと感じました」

2014年頃から横手市にある酒蔵にまつわる映画の撮影を始め、
現在も今年のカンヌ映画祭に出品するために仕上げの作業が続いているが、
その映画のディレクターを務めているのが、秋田県出身の印藤麻記さん。
ご主人の印藤正人さんはカメラマンで、
麻記さんが里帰りするたびにホームビデオのような家族の記録映像を撮っていたそう。
秋田で映画を撮るには最適なパートナーだと思った井野さんは、
印藤さん夫妻に声をかけ、撮影がスタート。

ちょうどその頃、秋田の魅力をPRする事業を行っていた秋田県が、
秋田の豊かな暮らしを伝えられるような映像制作を、augment5 Inc.に依頼したのだ。
彼らのほかの作品も見て、これなら間違いないと思ってのことだろう。
こうして井野さんと印藤さん夫妻、それに夫妻の小さな息子さんも一緒に、
4人で秋田各地に出かけ、『True North, Akita.』のプロジェクトにも
取り組むことになった。

地元テレビ局の取材を受ける井野さん(左)と印藤さん夫妻。(撮影:蜂屋雄士)

会場は商店街。 参加型謎解きイベントで 福祉を考える 〈ART & WELFARE ALLEY(A.W.A)〉

2016年3月27日(日)、徳島市の商店街を舞台に開催する
参加型謎解きエンターテインメントイベント
〈ART & WELFARE ALLEY(A.W.A)〉が開催されます。

徳島市銀座付近

これは、参加者が徳島市銀座・籠屋町商店街周辺エリアをめぐり、
協力店舗や福祉施設を訪ねて謎解きに使う
〈福祉キーワード〉を集めるイベント。参加は無料。
参加者同士でチームを組んで謎解きにチャレンジします。
スタッフとトークをしたり、体験したりして、
制限時間の90分以内に謎解きをクリアすると、
ゴールのライブハウスではミュージシャン〈ケラケラ〉のライブが待っています!

2025年には1200人以上の介護人材が不足すると予測されており、
人材確保が課題となっている徳島県。本イベントの目的は、
福祉の世界に関わりの少ない方に対して、
福祉・介護職場のイメージアップや社会的評価の向上を図ること。

音楽やアートを取り入れた福祉イベントを開催することで、
福祉・介護職場に抱かれがちなネガティブなイメージを
払拭するのが目的なんだそう。車椅子での参加も大丈夫です。
参加の申し込みは公式サイトにて。

information

map

ART & WELFARE ALLEY 〜芸術と福祉が交錯する路地イベント〜

開催日:2016年3月27日(日)

時間:ステージ1 11:00〜(受付開始10:30)、ステージ2 13:00〜(受付開始12:30)、ステージ3 15:00〜(受付開始14:30)

会場:徳島市銀座・籠屋町商店街

参加費:無料(要事前予約)

主催:徳島県地域福祉課

後援:徳島県社会福祉協議会

企画制作:NPO 法人 Ubdobe

Web:公式サイト

リファインされた京都の伝統工芸が ヨーロッパで人気に。 GO ON 前編

ヨーロッパ目線のデントウコウゲイ

京都で伝統工芸や芸能に横串を通し、新しい動きを生み出している〈GO ON〉。
そのプロデューサーとして活動しているのは、各務(かがみ)亮さんだ。
広告代理店に勤務し、かつては海外に赴任。
日本の大手メーカーの商品をPRする役割を担っていた。

「10年間、海外、特にアジアで働いていました。
行った当初は、クルマが増えることで移動が自由になるとか、
冷蔵庫があることで食の安全が保たれるといった、
その国における日本のものづくりの意義を感じていました。
でもだんだんと国が発展してきて、状況が変わってきたんです。
これからの日本はクルマや家電を届けるだけはなく、
世界に対して新しい役割を果たすべきなのではないかと感じるようになりました」

そんなタイミングで日本に帰国することになった各務さん。
京都に赴任し、これまで海外で感じていたような、
これからの日本の役割を具現化する〈GO ON〉(ゴオン)というプロジェクトを
2012年に始める。それは日本、特に京都の伝統工芸に光をあてること。
京都であっても、日本全国と同様に、伝統工芸は衰退気味。
呉服などは、この20〜30年の間に10分の1規模まで落ち込んでいるような現状がある。

GO ONのプロデューサーである各務 亮さん。さまざまなプロジェクトを企画している。

〈Japan Handmade〉の商品。(写真提供:GO ON)

まずはGO ONのなかで、海外向けの商材をつくる
〈Japan Handmade〉というプロジェクトを、6社の職人たちへ提案した。
西陣織の〈細尾〉、竹工芸の〈公長齋小菅〉、木工芸の〈中川木工芸〉、茶筒の〈開化堂〉、
金網工芸の〈金網つじ〉、茶陶の〈朝日焼〉の6社で、
なかでも若手後継者で構成されている。
それぞれ個別には海外に打って出たり、現代的解釈の商品なども開発していた。
それでも、各務さんのような外部の存在には、構えてしまうのが京都人。

「金網つじの辻くんからは、“最初に話をもらったときは、あり得ないと思った”
と言われましたよ」

それでも地道に活動して、6社の気持ちを揃えていった。
つくられた商品は、たとえば中川木工芸のスツールや、公長齋小菅のiPhoneケース、
開化堂のティーポットやプレートなど。

「海外に持っていくときは、海外のライフスタイルに溶け込むように編集しないと」
と各務さんが言うように、
日本の技術を使い、ミニマルな美意識をうまく海外向けにアレンジしている。
プロダクトのデザインは、デンマークのデザインスタジオ〈OeO〉が参画している。
各務さんとOeO、そして職人さんと3者ですり合わせていった。

「最優先しているのは、職人や工芸会社が何をしたいのか、ということ。
本人がどうなったら一番ハッピーだと思っているのか。
5年後、10年後、100年後、どういう会社になっていきたいのかという挑戦への
第一歩になっていないと意味がないと思っています」

中川木工芸のスツールとシャンパンクーラー。(写真提供:GO ON)

まずは、当時勢いのあった上海に進出する。
ラグジュアリーなホテルに、部屋に6社のすべての商品を置き、
全部まとめて購入できるような仕掛けにした。

「でも、結果的に中国よりも、
そこに来るヨーロッパのバイヤーたちが興味を示してくれることが多かった。
そこで軸足をヨーロッパに移していきました」

現在ではミラノやパリなどに発表の場を移している。

開化堂のティーポットやウォーターピッチャー。(写真提供:GO ON)

〈第14回聞き書き甲子園 フォーラム〉 100人の高校生が 日本の生き様をレポート

日本全国から100人の高校生が
造林手、炭焼き職人、木地師、漁師、海女など、
多くは高齢となった、さまざまな職種の “名人” を訪ねて
一対一で聞き書きする取り組み〈聞き書き甲子園〉。

高校生が行った聞き書きは、
年度ごとに冊子にまとめられ購入することが出来るのですが、
カヤ葺き師、椎茸栽培、マタギ、船大工など、
様々な職種の名人の知恵や技が話し手の語り口でまとめられていて、
その人の生き様や人柄、自然との共生の厳しさや豊かさに
胸を打たれる本なのです。

そんな〈聞き書き甲子園〉の、毎年恒例のフォーラムが
2016年3月27日(日)に東京大学弥生講堂 一条ホールにて開催されます。
出演は、〈聞き書き甲子園〉に参加したことがきっかけで、
地域を良くするアクションを起こした谷端美紀さんと、山﨑紀奈里さん。
ゲストに秋田県のフリーマガジン『のんびり』編集長の藤本智士さんを迎え、
ローカルコミュニティをテーマにトークライブを行います。

谷端美紀さん

山﨑紀奈里さん

鳥取環境大学1年生の谷端美紀さんは、第12回に参加。
聞き書きをした福井県若狭のグジ漁師に後継者がいないだけでなく、
自分と同世代の若者がグジという魚の存在すら知らないことに衝撃を覚えました。
聞き書きを通じてグジ漁師の思いを感じた彼女は、
グジの美味しさ・魅力を伝えるべく絵はがきZINEを製作しています。

岡山一宮高校2年生の山﨑紀奈里さんは、第13回に参加。
数年後に向けて今できることに挑戦したいという気持ちから、
祖父母が暮らし、幼少期から現在までいつも遊びに行く
岡山県日生という漁師町で活動を始めました。

いまは、海草を肥料にした瀬戸内伝統の農法で野菜作りを行ったり、
地域の婦人会と収穫した野菜の加工を行っているのだそう。
様々な地域のローカルな魅力を編集し続ける藤本さんと、
今まさに動き始めた若者2人のトークにご期待ください。

イベントでは、今年度の聞き書き甲子園成果報告会も開催。
優秀賞を獲得した高校生とその話し手をしてくれた名人が登壇します。
作家の塩野米松さんと文筆家の阿川佐和子さんが、
高校生と名人にその経験を聞くのだそう。

聞くこと、ひとりの人と対峙することの大切さを忘れずに、
社会を良くしていく若者の挑戦を聞きに行ってみてはいかが?
詳細は公式サイトにて。

information

map

第14回 聞き書き甲子園フォーラム

住所:東京都文京区弥生1丁目1−1

日時:2016年3月27日(日)13:30~16:45

会場:東京大学弥生講堂 一条ホール

Web:公式サイト

無機質テナントがどう変わった? 間伐材を使って 森と都市をつなぐシェアオフィス。 IVolli architecture vol.5

IVolli architecture vol.5

アイボリィアーキテクチュアの原崎です。
前回に続き、ぼくたちがふだん活動している、
横浜で関わらせていただくことになったオフィス計画、
そして神奈川県西部の山北町に伺い、現地の林業についてお話させていただきます。

カーペットが敷かれた無機質なオフィステナントの改装のため、
材料に間伐材を活用することになり、
さらに山北町森林組合のみなさんのご協力のもと
実際に山へ入り、間伐作業を体験させていただいたのが前回までのお話
今度はその間伐した丸太をもって森林組合のご紹介で
近くにある製材所に持ち込み、製材をお願いすることになりました。

ぼくらの知っている“木材”のできるまで

ここは山北町の隣、南足柄市にある製材所〈木材工房あしがら〉。

この大きな木造の倉庫は、製材した木材を乾燥させるための乾燥機です。
その手前には、乾燥の終わったものとこれから乾燥させるものがあります。
丸太から四角に切り出したばかりの木材は
水分が多く強度が不十分でそのままでは使うことはできないので、
このなかで木を2週間ほど寝かせて、じっくりと乾燥させます。

乾燥機にて乾燥中の木材。

続いて木材の加工場へ。
大きな丸太をタテに転がして、大きな機械式のこぎりでカットしていく、
製材作業のメインといえます。こののこぎりは帯鋸といって、
丸太もズバズバ切れる機械なので、安全に、かつ慎重に作業が進められています。

丸太をかかえて帯鋸で切っているのは、〈木材工房あしがら〉の代表、小髙誠仁さん。

ぼくらもなにかお手伝いできることはないか、ということで、
機械を使うのではなく手作業の工程をやらせていただくことになりました。
それは“桟積み(さんづみ)”というもので、
のこぎりで切り出された木材を先ほどの乾燥機に入れて乾燥させるために、
木材1本1本の間隔を空けて桟と木材を交互に積み上げていきます。

桟と交互に木材を敷いていき、

まず一段できました。
これを繰り返して、最終的にはここまで積み上がりました。

この真ん中に積み上がった木材が、
このあとの乾燥と仕上げを経て横浜までやってきます。

「山北材」到着! 早速組み立て

そしてついに、横浜に木材が到着です!
こちらで指定した寸法通りの厚み、
長さに切り揃えられた木材が、オフィス内に積み上がりました。

間伐材が積まれたオフィス。

その名も〈ベリーマッチとちぎ〉 栃木県が発信する 移住・定住支援サイトがオープン!

定住先としてだけでなく、
「週末だけいなか暮らしで栃木へ」「広い庭つき一軒家を栃木に持ち、都内へ通勤」
というような、二拠点居住先としても人気の高い栃木県。
そんな栃木での多様な暮らし方を知ることができる、
移住・定住支援サイト〈ベリーマッチとちぎ〉がこのたびオープンしました。

東京から近く自然も豊かな栃木では、
いなか暮らし、二拠点居住、新幹線通勤など、
さまざまなライフスタイルが選べます。
ひとりひとりにぴったり(=ベリーマッチ)な
地域で、暮らし方で、関わり方で、自分らしい暮らしを実現している先輩移住者たち。
そんな先輩移住者の言葉から見えてくる、
栃木ならではのさまざまな魅力を紹介していきます。

〈ベリーマッチとちぎ〉では、
すでに、栃木県のU・Iターン先としての魅力を紹介するコンテンツや、
移り住み暮らす人々や、移住相談員のインタビュー記事などがぞくぞくアップ中。
今後は、栃木県内の空き家情報や、就職情報なども更新されるそうなので、
栃木暮らしを考える人は、ぜひこまめにチェックしてみてください。

下野市でいちご園を営む伊澤敦彦さんは、イタリアンカフェをオープンし、マルシェも成功。その体験談を3月24日(木)のオープニングイベントでうかがえます。伊澤さんの〈ベリーマッチとちぎ〉でのインタビューはこちら

また、この〈ベリーマッチとちぎ〉のオープニングイベント
3月24日(木)に東京・神田の〈theC〉で開催されます。
栃木にU・Iターンした3名によるトークセッションでは、
多様な選択肢と可能性にあふれた栃木の魅力と、
地域に根ざしたその暮らし方や働き方を存分に語ります。
さらに、栃木県の食材を使ったご飯と県内のお酒を味わえるということで、
まさに栃木づくしの夜になりそう。
栃木県出身の方やゆかりのある方はもちろん、
ローカルへの関わり方を模索している方や、
将来的な移住を検討している方は参加してみてはいかがでしょうか。

イベントにも参加される、ゲストハウス〈CICACU〉の辻井まゆ子さんはIターン移住者。辻井さんのインタビューはこちら

information

map

ベリーマッチとちぎオープニングイベント!
ローカルにある、これからの暮らし-ニア東京・とちぎの可能性-

日時:2016年3月24日(木)19:00~22:00

場所:theC C lounge

住所:東京都千代田区内神田1-15-10 theC B1F
http://www.the-c.tokyo/space/clounge.html

最寄駅:JR各線「神田」駅西口から徒歩7分、都営新宿線「小川町」駅B6出口から徒歩4分

定員:40名

参加費:2,000円(栃木県の食材を使った食事とドリンク付)

ゲスト:風間教司さん(日光珈琲・(有)風間総合サービス 代表取締役/鹿沼市)
辻井まゆ子さん(鹿沼宿旅館再生プロジェクト CICACU 女将/鹿沼市)
伊澤敦彦さん(伊澤いちご園 代表/下野市

主催:栃木県

応募方法:こちらの事前登録方法をご参照ください

http://www.tochigi-iju.jp/

supported by 栃木県

TOYOOCOME! 豊岡に来て、暮らして。 その2:豊岡移住のリアル 鞄職人・中野ヨシタカさんの場合

【その1:豊岡市ってどんなまち? はこちら】

いなか暮らしをしながら、手に職をつけたい

鞄職人の中野ヨシタカさんが、神戸市から豊岡市へ移住したのは、1996年のこと。
神戸で、奥様とのふたり暮らしでサラリーマンとして働いていた中野さんは、
「いなかでものづくりをしながら暮らし、自然が豊かな環境で子育てをしたい」
という漠然とした思いを持つようになっていったという。
「どうしようかと考えていた時期に、阪神・淡路大震災(1995年)が起きました。
震災が、移住しようという気持ちにスイッチを入れたんです」

では、なぜ豊岡だったのか?

「見知った土地であったことがまず大きかったですね。
学生時代、竹野海岸に海水浴に来たり、神鍋高原でスキーをしたり、
城崎温泉にも友だちと遊びに来ていました。
それと、実家のある神戸からの距離感。
ほどよく近くて、ほどよく遠い。
豊岡が持つ、まちとしてのイメージも、ちょうどいい“いなか感”でした」

中野さんが最初にしたことは、当然、仕事探し。
いずれ“職人”として生計を立てていきたいと思っていた中野さんが選んだ仕事は、
豊岡のとなり町、養父市八鹿町にある和菓子屋さんだった。
奥様とアパートに暮らし、見習いとして働き始めた。

和菓子職人の仕事は、充実はしていたが、
行事・祭事に繁忙期を迎える職業ゆえ、
世間が休みの時に忙しく、祝日・お盆・正月休みなどはもちろんない。

「子どもが生まれ、家族が増えていくなかで、
豊岡の豊かな自然の中で家族と暮らしを楽しみたいとか、
当然、休日の子どもの行事にも参加したいと思う。
でも、いまの仕事ではそれが難しいかもしれない。
家族のかたちに訪れた変化によって、
仕事、暮らし、子育てという、
移住を選んだ原点にもう一度立ち返るときが来たんです」

一念発起して飛び込んだ、鞄職人の世界

移住から5年が経った31歳、中野さんは転職を決意。
神戸に戻ることも一瞬頭をよぎったが、
豊岡での暮らしは捨てがたくなっていた。
次の仕事を選ぶ条件は、子育てのためにも休日がとれて、
そして、ものづくりができること。
家族を養うためには、事業の安定性や福利厚生も確かなところにしたかった。

仕事を探すなか、中野さんは
豊岡の地場産業である、鞄メーカーで働くことも選択肢のひとつと考えるようになる。
しかし、今から15年ほど前は、豊岡は鞄の産地であるものの、
ほとんどがOEM生産。いわば“黒子”として、鞄をつくるのが主流で、
〈豊岡鞄〉というブランドはまだない時代だった。

「あまり豊岡と鞄が結びついていなかったんです。
ところが、当時爆発的な人気ブランドの鞄が豊岡でつくられていた!
誰もが知っているブランドのものをつくれるのは、おもしろそうだなぁと」

そうして中野さんが門を叩いたのは、
1971年に創業し、業界では名の知れた〈株式会社 由利〉。
「当時社長だった由利総太郎さん(現会長)と由利昇三郎さん(現社長)にお会いしたら、
“君、おもしろいからおいで”と誘っていただいたんです」

鞄のエキスパートを養成する専門校〈Toyooka KABAN Artisan School〉。

こうして、中野さんの鞄職人としての歴史がスタート。
現在では〈豊岡鞄〉として全国区になり、
日本各地から職人を目指して豊岡へ移住してくることも少なくないが、
2000年当時は、移住して鞄の仕事につくという
中野さんのような存在は珍しかった。

妹島和世設計の西武鉄道、 新観光電車がすごい!

埼玉県所沢市に本社を置く、西武鉄道株式会社。
このたび、2018~2019年度に導入する新型特急車両の
デザインが公開され、話題になっています。
こちらがその、既存のイメージを覆す、大胆なデザインです!

車両のデザインを担当したのは、
世界で活躍する建築家・妹島和世さん。

金沢21世紀美術館などで知られる妹島さんにとって、
鉄道車両をデザインするのは初めてのこと。
今回はデザインコンセプトの策定、外観・内観のデザインを
手がけており、“風景に溶け込むようなやわらかいデザイン” を目指しているのだそう。
車両の姿を見るだけでも楽しくなるような特急ですね。

本プロジェクトにあたっては、
妹島さんがデザインイメージを具現化するためのサポートや、
ユーザー目線での情報提供などのために、西武鉄道やグループ会社から、
若手社員を中心にしたプロジェクトチームが構成されました。
そのチームから生まれた“いままでに見たことのない新しい特急車両”という想いが
この斬新なデザインとして生まれたのだそう。

いったいどんな発想から、この特急が生まれたのでしょうか。
妹島さんらのプロジェクトチームによって決められた
デザインコンセプトは、下記の3つ。

その1. 都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む特急
これまでの特急デザインのように、シャープさや格好良さより、
やさしさややわらかさを表現します。特急だけが風景の中で
目立つのではなく、風景と共にあるような特急を目指します。

その2. みんながくつろげるリビングのような特急
いろいろな人が一緒にいながら思い思いに自由な時間を
過ごせる空間を表現します。ゆったりくつろげるリビングのようでもあり、
みんなが集まる公園のようでもある、それぞれが自分の時間を持てる
新しいパブリックスペースの提供を目指します。

その3. 新しい価値を創造し、ただの移動手段ではなく、
目的地となる特急乗り物の姿・形をデザインするだけではなく、
みんなが参加することによって作り出されるような特急の新しい価値を表現します。
特急で過ごすことが目的となるような空間・雰囲気・たたずまいの
デザインを目指します。

ちちぶメープルプロジェクト vol.5 採れたての樹液を味わう 和メープルエコツアーレポート

秩父の森に触れてもらうエコツアー

樹液シーズン真っただ中の1か月間に、NPOや秩父樹液生産協同組合の協力を得て、
樹液採取の現場を訪れるエコツアーを企画しました。
コロカルニュースでも取り上げていただき、
平日2日間を含む全6日間の日程はほぼ定員が埋まり、
延べ120名以上の方に参加していただきました。

今年もたくさんの方がエコツアーに参加してくれました。

私が、このエコツアーの企画に力を入れているのには大きな理由があります。
もともと、自然や森に縁のない生活を送っていた私が、
一大決心をして秩父にUターンすることを決めた最初のきっかけが、
NPOが企画した森林観察会に参加したことだったからです。

このときの私は、秩父にUターンするなんて微塵にも考えていませんでした……。

木や山に関してまったく知識がない私に、
NPOのメンバーたちは丁寧に教えてくれました。
秩父の豊かな自然だけではなく、そこに関わる人たちにも感動したのでした。
だからこそ、知識のない人にも、NPOの活動や秩父の森に興味を持ってもらいたい、
私があのとき感じた感動をほかの人も感じてくれるのでは? と思ったのです。

カエデの森を散策する

和メープルエコツアーでガイドを務めるのが、以前のコラムにも登場した
秩父のカエデの仕掛け人、島崎武重郎さんです。
島崎さんの幅広く深い知識と、経験から語られる内容、
そして巧みな話術に、参加者たちは大変興味深そうに聞き入っていました。
何を隠そう、私自身が島崎さんのトークで
すっかりこの活動にのめりこんでしまったのです(笑)。

「このツアーで“春”を感じてほしい」と島崎さん。カエデの木は、いち早く春を感じて樹液を出すのです。

今回、ツアーで訪れたカエデの森は、
ほとんどの樹液を採取している大滝の槌打というエリアにあります。
森にはカエデだけではなく、栗や朴の木など
たくさんの広葉樹がある植生豊かな天然林です。
エコツアーの日にちによって、雪が残っていたり、
寒すぎて樹液が滴り落ちるのを見られなかったりしましたが、
皆さん樹液の出るメカニズムや採り方について、熱心に話を聞いていました。
そして、木ごとに味が違うという話を聞いて、
何種類かの木の樹液の味を確認している方も!

樹液がポタポタと出てくる様子に、参加者たちは大興奮!

そして、森の中で冷えた体を温めるべく、お楽しみのティータイム!
まずは採れたての樹液を味わいます。
そして、島崎さんが最初に感動したという、
カエデの樹液だけで淹れた紅茶が提供されます。
自然の甘さと温かさが染み入ります。
暖をとるために用意した焚き火で焼く焼きマシュマロは、
子どもだけでなく大人にも大人気でした。

アウトドアといえば、焼きマシュマロ!? 焚き火で焼いたマシュマロとメープルの相性は抜群。

〈としまミュージアム〉 クローズする豊島区旧庁舎で 現代アートを展示!

多くの芸術家が暮らしたアトリエ群〈池袋モンパルナス〉や、
漫画家たちが巣立っていった〈トキワ荘〉など、
古くから文化的な土壌が醸成されてきた、池袋。
現在では、演劇や映画、そしてアニメのまちとなり、
新しい文化を発信し続けているところ。

そんな豊島区の中心にある、豊島区旧庁舎と豊島公会堂、
2つの施設がその歴史に幕を閉じます。
その跡地には、8つの劇場、を含む国際的な“文化にぎわい拠点”が
2020年に誕生する予定です。

この大きな転換期を迎える豊島区にて、
旧庁舎と豊島公会堂にお別れを告げるべく、
アートに演劇、音楽ライブ、アニメ、食など様々な文化が
一同に会するイベント〈としまミュージアム〉が
2016年3月20日(日)と21日(月・振休)の二日間にわたり、開催されます。
としまミュージアムの館長は、豊島区長の高野之夫さん。
メインビジュアルイラスト制作はしりあがり寿さんです。

まずはメイン会場の豊島区庁舎。旧庁舎4フロアすべてを使って、
2日間だけのカルチャー・ミックスが展開されます。
1階は、旧庁舎跡地開発プロジェクトを紹介する
〈ウェルカム&プレゼンテーション・フロア〉と、
キッズやファミリーのためのワークショップとステージプログラム
〈としまチルドレンズミュージアム(Produced by フジテレビKIDS)〉。

2階は〈アニメ・フロア Produced by animate〉。
大人気TVアニメ『おそ松さん』の映像で、声優アフレコ体験を実施します。
そして3階は〈アート・フロア〉。
田原唯之、ミラーボーラー、山下拓也、泉太郎、宇治野宗輝ら
8組のアーティストが旧庁舎の空間を生かした作品を展開します。

田原唯之

ミラーボーラー

泉太郎

また、3階では、靴をテーマにユニークな作品を
作るアーティスト、靴郎堂本店によるワークショップも。

靴郎堂本店

東東京を“舞台”に変える 〈BLOOMING EAST〉 プロジェクト、第1回は 「八広、東墨田、初花」

東東京の魅力ある様々な “場” をリサーチして探し出し、
コンサートやパレードができる “舞台” へと変容させていこう!という
プロジェクト、〈BLOOMING EAST〉。

最初のターゲットは、質の高いものづくりのまちとして広く知られる墨田区。
2016年3月12日(土)、このまちの持つ魅力を、
ライブ・シンポジウム・トーク・ワークショップなどで表現するイベント
〈BLOOMING EAST 東東京プレイツアーvol.1「八広、東墨田、初花」〉が開催されます。

今回の舞台となる八広、東墨田は、
プロジェクトのリサーチツアーを重ねるなかで出会った場所。
ここは皮革・油脂・プラスチック・金属などを扱う工業地域であり、
清掃工場・リサイクル施設・廃棄処分場も日々稼働するエリアです。

東京のものづくりを支え続け、
ものの始まりから終わりまで全てを包括できる
このまちの持つ魅力を、1日がかりのイベントで表現します。

油田カフェ

第一の会場は、〈油田カフェ〉。
ここでは地元工場オーナーによる『ファクトリーオーナーズトーク』は、
廃食油リサイクルの〈株式会社ユーズ〉、金属加工の〈浜野製作所〉、
皮革製造の〈山口産業〉という、この地域に工場を構える異業種オーナーによるトークを開催。

異業種同士だから語れる、ここでしか聞けない「八広、東墨田」の歴史や魅力を紹介! 
トーク後には、これまで行ってきた墨田区総舞台化リサーチ報告会も。
会場の〈油田カフェ〉は、TOKYO中に眠っている食用油を回収し、
電気や車の燃料などを作って“資源循環型社会”を作るという目的のもと
運営されているユニークな施設です。

第二の会場〈吾嬬の里〉ではシンポジウム〈公共、音楽〉を開催。
音楽が公共の場で奏でられる機会が増えるいま、様々な立場で
音楽と公共に関わるゲストを迎え、その関係を見つめ直すためのシンポジウムです。

登壇者は岸野雄一さん(スタディスト/音楽家)、
熊倉純子さん(東京藝術大学音楽環境創造科教授)、
斎藤貴弘さん(弁護士/Let’s DANCE共同代表)、
蓮沼執太さん(音楽家)、
山川冬樹(アーティスト)さん。

またボストン出身の “割り箸ピアニスト” Sami Eluさんによる
ライブ&楽器づくり体験も。