神戸の色を文にする 〈ナガサワ文具センター〉の 神戸INK物語

神戸の風景を表現したオリジナルインク

このまちを訪れた人がよく口にするのは
「神戸の風景は忘れられないほど印象的」ということ。
もちろんこれは、神戸の人の自慢でもあります。
単に美しいまち並みがある、というのではなく、印象的に思えるのは、
「神戸の風景には色がある」からではないでしょうか。
例えばポートタワーの目の冴えるような赤、
神戸港のどこまでも続く蒼、六甲山の深い緑……。

万年筆で知られる〈ナガサワ文具センター〉のオリジナルインク
〈KobeINK物語〉は、神戸の美しい風景を色鮮やかに表現してくれている
「神戸が感じられる文具」です。
2007年に第一段として発表された“六甲グリーン”を皮切りに、
現在は54色で神戸の風物がインクとしてラインナップしていて、
いまやナガサワ文具センターのロングセラー商品。

煉瓦倉庫店がオープンした記念として、赤レンガの美しさを表現した“神戸レンガ”色のインクも登場。レンガのあたたかみ溢れる赤の色合いがキレイ。

〈KobeINK物語〉が開発されたきっかけは、阪神大震災にありました。
大好きな神戸のキレイなまち並みが見られなくなったことに
悲しみを覚えた開発担当者が、色でまちの美しさを表現して
発信しようと考えたのが始まり。

先述したように、神戸を表す色はたくさんあります。
そのなかでもインクの人気色は青系と緑系だそう。
神戸と言えば海と山に囲まれたまちのイメージが強いからかでしょうか。
シリーズ一番人気の“北野坂ナイトブルー“は、紙に落とすと黒に限りなく近く、
時間が経つにつれ、深みある蒼が濃く現れます。
それはまるで異人館からあふれるあたたかい灯りと、
夜がふけ始めた空の青さが混じり合った北野坂の光景が思い浮かぶよう。

〈KobeINK物語〉とセットで好評なのが、インクにペン先を直接浸して書いていく、ガラスペン(5940円~)なのだとか。

こんな神戸の色で、神戸の思い出を書き、
神戸のまちから手紙を出せば、本当にステキだと思いませんか?
文を綴りながら神戸のまちを思い描く、そして書く時間さえ愛おしくなる。
そんな文具があれば、神戸といつもつながっている感じがしますね。

2012年12月にオープンした、ハーバーランドにある煉瓦倉庫店。緑のドアと赤いレンガが印象的な店舗です。

information

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NAGASAWA 
神戸煉瓦倉庫店

住所:兵庫県神戸市中央区東川崎町1-5-5 ハーバーランド煉瓦倉庫南棟

TEL:078-371-8130

営業時間:11:00~20:00

定休日:不定休

https://kobe-nagasawa.co.jp/

ひそやかな愉しみ

3月に入って俄然春めいてきたと思ったら、うぐいすが鳴き始めた。
最初にそれと聞き分けたのはタカコさんだった。
週末の午後、子どもたちと一緒に庭にいたときのこと。
さっき、うぐいすが鳴いた、と。
「ほんと? 違う鳥じゃない?」
最初に聞いたのがぼくじゃないという悔しさもあって。
「いや、うぐいすだった」
しばしふたりで耳をすませる。らしき鳴き声はついぞ聞こえない。
「絶対うぐいすだって!」
結果から言って、それはうぐいすに違いなかった。
翌朝、サブとハティの散歩の最中何度も聞いた。
日中にも我が家の庭先で幾度となく。
初めて知ったが、彼らはいっせいに鳴き始めるのだ。
それこそ春を待ち構えていたかのように。
ちなみに、うぐいすは一般に春の鳥というイメージがあるけど、
去年は夏の間もずっと鳴いていた。秋になっても鳴き声を聞いた。
そのわりに姿はほとんど見ることがないのがうぐいすという鳥である。

さて、春とともにやってきた回覧板は、
浅口市役所の非常勤職員・臨時職員募集のお知らせだった。
全部で12の職種があり、それぞれの業務内容や
勤務時間帯、賃金、などを記したプリントがバインダーに挟んであった。
やたら漢字が多いそのリストを漫然と眺めていると、あった。
ぐいと心をもっていかれるようなのが。

文化振興課
職種/学芸員
主な業務内容/天文博物館学芸員として業務および一般事務職業務
(プラネタリウム・展示物の解説、
企画物や発行物の立案・実施、講座・出前授業等の講師)
勤務時間帯/8:30〜16:45(月〜金曜日)
賃金/月額18万円
募集人員/1名

わが町には、遙照山という山の頂に〈岡山天文博物館〉なる施設がある。
敷地内には日本最大級の口径を誇る反射望遠鏡を備えた
国立天文台岡山天体物理観測所もある。
つまりは、星がきれいに見えるところなのだ。
しかも瀬戸内特有の気候で晴天が多いものだから天体観測にはもってこい。
ぼくも昨夏ここ鴨方町に移住してから、よく夜の空を見上げるようになった。
ここで見つけたひそかな愉しみと言っていい。
空気が澄んだ夜は、それこそ見とれるくらいに星々が美しい。
いまから星のことを勉強して、子どもたちに星のことを教えてあげる。
こんな近所にそんなすばらしい仕事があるなんて。
しかも、「発行物の立案、実施」、即戦力だ。
回覧板にこんなに心躍らせるのは初めてのことだった。
が、心が躍ったのもほんの一瞬。以下、リストの資格欄にあった内容。

大学等において天文学、自然科学を専攻した者で、
次の1)2)3)のいずれかに該当するもの。
1)学芸員 2)博物館等での2年以上の実務経験をもつ者 
3)天文学の専門家と判断できる経歴を有する者

大谷のストレートを打席で見た中学生の心境だ。
かするどころか、バットも出やしない。浅口市の人口が約3万5000人。
3つの条件のひとつでも該当する人が何人いるのやら。

ここ鴨方町に移ってきて、タカコさんは新たな愉しみを見つけた。
家の庭や近所の山で花や草木を摘み、家のあちこちに飾るのだ。
だいたいが週末だ。しばらく顔を見ないと思ったら、剪定ばさみを片手に、
もう片方の手にはその日の収穫物を手にして戻って来る。
満たされた顔をして。「楽しい?」と聞くと、「楽しい」と答える。
日頃から目をつけているものを採りに行くこともあるが、
あてもなく山に入ることのほうが多いらしい。
「そっちのほうが楽しいんだよね」
華道の経験は皆無、完全な自己流である。
生けた花に彼女の人間性がよく出ている。羨ましいくらいに、彼女は自由だ。

長女のチコリは目下『サザエさん』のかるたに夢中だ。
ひと月ほど前、隣町の矢掛町にあるごくごく普通の文具店で買った。
絵札のヴィジュアルはアニメではなく、
長谷川町子さんの描いた絵だから味わいがあってレトロ感もたっぷり。
文字札のオリジナルの文章もおもしろい。

「みっかぼうずが ことしも日記」
「しょうじのあなから おきゃくのていさつ」
「うまもおめかし はつにがとおる」

チコリにしつこくせがまれ、平日にも日に一度は家族で札を囲む。
あんまり頻繁にやるものだから、彼女は文章を完全にまる暗記してしまった。
あろうことか、2歳のツツまでが文字札の半分ぐらいを言えるようになった。
「子どもの記憶力って、そらおそろしいね」とタカコさんとよく言うのだが、
そんなことを言っている間にほかのかるたを買えという話だ。
というのも、この「サザエさんかるた」の読み句を記憶しても
なんの役にも立たない。
「しょうじのあなから……はい、ツツ!」
「おきゃくのてーしゃつ!」
これ、親には相当おもしろいのだが、第三者にはまったく無意味、
おもしろくもなんともない。
やっぱり、ここは小倉百人一首のかるたとかを買い与えるべきか。
アマゾンで見てみたら3000円も出せば買えそうだった。
でも、相手は5歳、わがままが服を着て歩いているような、そんな女の子。
絵づらが楽しくないと言ってまったく手を出さない可能性が五分だ。
春の訪れのわりに懐も寒いとあって、まだ購入には踏み切れていない。

近所の人からもらった梅にネコヤナギっぽい枝を添えて。陶器の壺の中を見てみたら瓶が立ててあり、枝の根元のところを差し込んであった。

我が家の庭で調達した梅。1本の樹に紅白の花がつく梅の老木で、村で咲いている梅よりも1か月ほど開花が遅い。

「自然のアイビーを見つけた」と言って生けていた山の蔦。こういうのを“野趣あふれる”と表現すればよいのだろうか。

我が家の床の間にも。が、こちらはハンティングしたものでなく、どこかのJAで買い求めたものらしい。

野草を活用して甲州市に移住。 〈摘み草のお店 つちころび〉 鶴岡舞子さん

農家を目指して甲州市に移住

山梨県甲州市。塩山駅から山手方面に向けてグングンと北上した
見晴らしのいい斜面の一角に、木造の小さな小屋〈摘み草のお店 つちころび〉はある。
野草の活用や“摘み草”の実践をコンセプトとするこの店では、
手摘みの野草を使った商品の販売や、〈摘み草実践スクール〉、
料理教室や各種イベントも開催している。
最近では、東京のフランス料理店〈レフェルヴェソンス〉の生江史伸さんなど、
第一線で活躍する一流シェフに食材として卸してもいるそうだ。

営むのは、生まれ育った東京からこの地に移住した鶴岡舞子さん。
屈託のない笑顔で周囲を明るい雰囲気に包む空気感を持った女性だ。

山梨県北東部に位置する甲州市。武田信玄ゆかりの地であり、神社仏閣が多く歴史が感じられるまち。都心から車や電車で1時間半ほどで着く。(写真提供:甲州市)

甲州市は甲州種をはじめとするブドウの一大産地。ブドウづくりには1300年の歴史があるという。(写真提供:甲州市)

鶴岡さんが甲州市に最初に移住したのは、2006年。
就農を目指してのことだった。東京で中高一貫の女子校に通い、
日本列島総不況といわれた時代を15歳で迎えた鶴岡さんは、将来を鋭く見据えていた。

「東京は何をするにもお金が必要で、
大人たちがお金に対して不信感を抱き始めている時代に、
私はどういう大人になったらいいのかと考えたんです。
毎日満員電車で通学しながら、ここ東京で未来をつくりたくないとも思いました」

そして「食べることには苦労をしたくない」という思いに至り、
「お金に左右されないで食べ物に安心を得て生きていける道」として
農家になることを決意。高校卒業後は東京農業大学に入学した。

大学卒業後は、甲州市の野外教育施設への就職を経て、
やはり農業の世界をしっかりと知りたいという気持ちから農業生産法人に再就職。
サクランボ、モモ、ブドウの果樹栽培において一連の勉強をした。

しかし、苗木が育って収穫できるようになるまでに数年かかる果樹栽培には
潤沢な資金が必要。野菜よりも収益単価が高いものの、
農家として新規参入が難しい分野だ。
独立するためには資金的にも体力的にも大きな壁があり、農家への道を断念し、
一時帰京した。そんなときに浮上したのが〈地域おこし協力隊〉の話だった。

鶴岡さん特製のナズナ(ぺんぺん草)のお茶。塩を入れるとスープとしても使えるそうだ。

英国王室御用達! H.R.ヒギンスの紅茶を味わう 〈BASK神戸〉

イギリスの紅茶文化が根づく神戸

「神戸の朝は紅茶から始まる」
そう評されるほど、神戸の暮らしに紅茶は欠かせません。
よく知られている話ですが、神戸は紅茶の消費量が日本一。
総務省統計局による「家計調査結果」によると、
2012年~14年の平均で、神戸市はひとり当たりの紅茶の消費量が459グラム。
全国平均は233グラムですから、倍近い量を神戸の人は消費していることになります。
スイーツ(洋生菓子)の消費量も神戸市が日本一ですから、
そこにもどうやら、深~い関係がありそうですね。

港町である神戸は、明治の開国からイギリスとの貿易が日本で最も盛んだったため、
1日に何杯も紅茶を嗜むイギリスの文化が浸透したのだとか。
喫茶店のまちとも言われた神戸では、そんな時代背景からか、
おいしい紅茶をいただけるお店も少なくありません。
そして、そんなまちで暮らしているからこそ、おいしい紅茶を買って帰る習慣も、
暮らしのなかにしっかり息づいています。

そんな神戸の人に愛されているのは、英国王室御用達の
コーヒー・紅茶ブランド〈H.R.ヒギンス〉の紅茶。
元町のトアロードにある〈BASK神戸〉は、
2000年から日本で初めてH.R.ヒギンスの紅茶を扱っているお店。
イギリスで認められた高級な味わいがすぐそばにある、これも神戸の暮らし。

〈BASK神戸 H.R.ヒギンス神戸店〉。現在はオフィス兼店舗として、元町のトアロードにあるビルの一室で販売しています。

ちなみにBASK神戸では、40種以上の紅茶と
ショーケースに飾られた美しいティーセットが出迎えてくれ、
気になるフレーバーをテイスティングすることもできるんですよ。

テイスティング用の紅茶を淹れてくれている、スタッフの藤原志保子さん。

「マロウとマリーゴールドの花にグレープフルーツを香りづけた
人気のフレーバー〈ブルーレディ〉は香り高くすっきりとした味わいなんです」
とスタッフの藤原志保子さんが茶葉にお湯を注いでくれると、
色鮮やかな花々が開き、甘く透き通った柑橘系の香りが店内いっぱいに広がりました。

ブルーレディは、渋みやえぐみがまったくない澄み切った爽やかな味わいで、とっても飲みやすいのが人気の秘密。

白く輝くH.R.ヒギンス限定のティーカップに注いでもらえば、
店頭での試飲が優雅なティータイムに早変わり。
イギリスで愛されるクリアで上品な味わいは、神戸にもお似合いです。

〈ブルーレディ〉24g 1080円(右)、80g 2376円(左)。欧米では結婚式に、何かひとつ青いものを身につければ幸せになれる、との言い伝えが。ブルーマロウの花が青く美しいことから、結婚式ギフトなどにも人気です。

information

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BASK神戸 H.R.ヒギンス神戸店

住所:兵庫県神戸市中央区北長狭通2-6-2 トアロード華蘭ビル602

TEL:078-335-5633

営業時間:10:00~15:30、土日祝 11:00~16:00

定休日:木曜

http://www.bask-kobe.com/

地元の人々をハッピーな気持ちに。 画家MAYA MAXXの ふたつの子どもワークショップ

MAYA MAXXを北海道に呼びたい! 2年越しの思い

北海道に移住して4年半のあいだに、
多くの友人たちが岩見沢へと遊びに来てくれている。
わたしの本業である編集の仕事のつながりから、
アーティストやデザイナー、カメラマンなどクリエイティブな職業の面々が多い。
ただ冬になると友人たちの足が遠のくのだが、そんななか、雪におおわれた岩見沢に、
はるばる京都からやってきてくれたのがMAYA MAXXだった。

MAYA MAXXは1993年からこの名前で活動を始め、
2008年からは活動の拠点を東京から京都へ移し、
〈何必館・京都現代美術館〉で毎年のように個展の開催を続けている画家だ。
また、『らっこちゃん』や『ちゅっちゅっ』などの絵本の刊行でも知られている。

MAYA MAXXと出会ったのは、わたしが編集長を務めていた
絵とものづくりの雑誌『みづゑ』の新装刊第1号で、
表紙絵を提供してもらったことがきっかけだ。
以後、15年ほどのつき合いになり、わたしの人生に重要な局面が訪れるたびに
指針となるようなアドバイスをしてくれた。

実は、いま計画中のエコビレッジづくりについても、
MAYA MAXXが2年ほど前に語った言葉がすべての始まりとなっている。
北海道に自分がいる意味とは何か、そんな話をしていたときに、
「みっちゃん、北海道にエコビレッジをつくったらいいんじゃないの?」
とMAYA MAXXが提案してくれたことがあった。
なぜエコビレッジなのか、MAYA MAXXはこのとき多くを語らなかったけれど、
わたしの中にはパッと先が開けるような感覚があった。

にわかには信じられないかもしれないが、MAYA MAXXには未来を見通す力、
あるいは未来を切り拓く力のようなものが宿っているように思う。
以前に〈キミのコトバを描いてみようか?〉というプロジェクトでは、
若者の悩みや不安を聞きながら絵を描き、
彼ら彼女らが自ら一歩を踏み出す力を与えてきたこともある。
また、こうしたプロジェクト以外にも、MAYA MAXXに出会ったことで
自分の進むべき道を見つけたという人は数えきれないほど存在する。
わたしもMAYA MAXXの言葉によって、背中を押されることになったひとりなのだ。

MAYA MAXX《未来はもう来ている》2014
何必館・京都現代美術館で開催された『文字と形象』展出品作より

北海道でエコビレッジをつくるという目標をくれたMAYA MAXXには、
いずれ岩見沢に来てもらいたいと思っていた。
また地元の人たちに、MAYA MAXXというすばらしい画家がいることを
知ってもらいたいという気持ちもあり、ここ2年ほど
ワークショップやトーク開催の可能性を探っていた。
岩見沢の知人たちにMAYA MAXXを呼べる機会はないだろうかと、
ことあるごとにたずねていたところ、あるとき地元の北海道教育大学岩見沢校で
年に2回開催されるイベント〈あそびプロジェクト〉のゲストとして
招待してはどうかという話が持ち上がった。

このイベントは、大学と地域が一体となり、音楽や芸術、スポーツ活動の原点である
“あそび”をテーマにした学べる場をつくろうというもので、
開催日には多数の体験コーナーやワークショップなどが開催される。
あそびプロジェクトの関係者の方と話を進めるなかで、
ゲストを招いて開催される〈ピックアッププログラム〉で
MAYA MAXXを迎え入れることが決まった。
こうして、あそびプロジェクトが開催される2月20日、
MAYA MAXXが岩見沢にやってくることになったのだ。

北海道教育大学岩見沢校で開催された〈あそびプロジェクト〉のプログラムのひとつとして、MAYA MAXXの子どものためのワークショップ〈思いっきり、絵を描こう!〉が開催された。5〜11歳の20人の子どもたちが集まった。

フォトグラファーの店主が まちへの思いを天ぷらで綴る 〈天ぷら・立ち呑み 國(こく)〉

神戸の風景写真を見ながら旬の食材を堪能

JR神戸駅から徒歩5分ほど。
湊川神社のほど近くに、青の外観が目を引く天ぷら屋があります。
といっても高級なイメージではなく、立ち呑みの気楽なスタイル。
開店するやいなや、常連と思われる女性ひとり客やサラリーマンのグループ、
カップルなどが次々とのれんをくぐっていく姿が見られます。
店主は、神戸の風景を切り取るのがライフワークでもある、
フォトグラファーの國米恒吉さん。幼なじみの和食料理人と
タッグを組んで、かねてより思い描いていた店を構えました。

お店の壁には、國米さんの作品も飾られています。

東山商店街で毎朝仕入れる新鮮な素材を使った天ぷらは、
独自のパリッとした衣から弾けるように広がる素材の旨みが印象深く感じられます。
海老入りのおまかせ4品から始まり、
明石蛸、豚角煮、半熟玉子、紅しょうがと、どんどん食べ進め……。

おまかせ4品は、やはりまず海老から。旬の素材はもちろん、無菌の芳寿豚など日替わりの天ぷらもそろい、卓上にある4種の塩との相性を探りながら口に運ぶのも楽しい。

主役の天ぷらだけではなく、ショーケースにはナムルや煮物が数種並び、
一品料理には神戸の地ソースが添えられるメニューまで。
立ち呑みとはいえ、2軒目としてさくっと立ち寄るよりも、
お腹いっぱい食事を楽しんでいく人が多いというのにも納得のラインナップです。

一品料理が充実しているのも、こちらの魅力です。

うれしいのは、奥にはテーブル席があり、5名以上なら3日前までの予約で
ゆったりとコース料理を堪能することもできること。
仕事帰りには立ち呑み、週末の集まりにはテーブルでと
使い分けられる勝手のよさなど、オープンからまだ1年そこそこというのに、
地元の人に愛されている理由がいくつもあるようです。
今日も地酒を片手にお客さんが堪能しているのは
神戸の食材と、そしてまちへの深い思いです。

天ぷらのみならず、パンのまち神戸とあって、土曜日にはご近所パン屋さんとのコラボサンドイッチまで登場する意外性がニクいですね。

information

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天ぷら・立ち呑み 國(こく)

住所:兵庫県神戸市中央区多聞通4-1-4

TEL:078-341-6426

営業時間:17:00~23:00(LO22:30)、土曜 16:00~22:00(LO 21:30)

定休日:日曜、祝日

神戸の魅力を紹介する 『CLASS KOBE』 発行記念イベント 〈CLASS KOBE CAFE〉開催!

神戸で暮らしたくなる、神戸を旅したくなる。
そんなさまざまな神戸の魅力を紹介するフリーマガジン『CLASS KOBE』と連動して、
現在コロカルでも「CLASS KOBE〜CLASSな神戸の物語」を毎日更新中です。

この『CLASS KOBE』の発行記念イベント〈CLASS KOBE CAFE〉が、
3月20日(日)に東京・原宿の〈café STUDIO〉で開催されます!
このイベントにペア15組(30名)様をご招待。

イベントでは、神戸のおいしいものやおいしいお酒、
そして神戸の人気パティシエによるスイーツも味わえます。
またコロカルで「たびのみ散歩」を連載中のイラストレーター平尾香さんも登場。
神戸出身の平尾さんによる、神戸のお酒にまつわるトークも楽しみです。

そのほかにも神戸旅行などが当たるアンケート抽選会など、盛りだくさん。
応募締め切りは3月15日(火)まで。
「CLASS KOBE」で神戸に興味を持った方は、ぜひご応募ください!
応募はこちらからどうぞ。

information

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CLASS KOBE CAFE 

日時:2016年3月20日(日)13:30開場 14時開演(16時終了予定)

会場:café STUDIO(東京都渋谷区神宮前4-31-10 YM Square HARAJUKU1F)

TOYOOCOME! 豊岡に来て、暮らして。 その1:豊岡市ってどんなまち?

コロカルでも大きなテーマのひとつである、「移住」。
都市部で暮らす人が、ローカルでの暮らしを選択する理由や、
実際に暮らし始めた人がどういう実感を持っているか、
考えてみたけど実現できなかった人の障害になったものは何? 
など移住をめぐるあれこれを探っていきます。
今回は兵庫県の豊岡市。
ここでは、いまコロカルも加わって移住戦略プロジェクト、
〈TOYOOCOME(トヨオカム)!〉を2015年からスタートさせました。
まずは、3回にわたって豊岡のまちの魅力や、
先輩移住者の仕事や暮らしぶり、気になる行政の取り組み、
市長の考える“移住”についてお伝えします。その第1弾は、豊岡市ってどんなまち?

豊岡市・徹底解剖!

兵庫県の北東部に位置し、面積が県で一番大きな豊岡市。
日本海と中国山地の山々、壮大な自然に囲まれたダイナミックな地形に、
夏は海水浴、冬は神鍋高原でのスキーやスノーボードを楽しむ観光客が多く訪れます。
都市部でもそのおいしさに評価が高い但馬牛や、
キング・オブ・冬の味覚の松葉ガニ、
米(特に、減農薬・無農薬の〈コウノトリ育むお米〉はブランド米として有名!)
など豊かな食に恵まれています。
あちこちに田んぼや畑が広がり、コウノトリが舞う。
そんな情緒ある光景に、日本の古き良き田園風景を重ねる人も多いでしょう。

そんな豊岡市は、2005年に1市5町
(旧豊岡市・城崎町・但東町・出石町・日高町・竹野町)が合併。
観光業、農業や漁業、鞄産業が市の基幹産業となっています。

あなたのその鞄もMade In TOYOOKAかもしれません

まちの中心である豊岡地域は、日本一の鞄の産地。
そのルーツを調べると、なんと神話の時代に遡ることに。
新羅王子とされる天日槍命(アメノヒボコ)によって、
柳細工の技術が伝えられたとの伝承が、712年の『古事記』にあります。
豊岡鞄のルーツは、その柳細工でつくられたカゴだと言われており、
奈良時代には、奈良の正倉院に上納された記録もあります。
柳細工でつくられたカゴは柳行李(やなぎごうり)と呼ばれ、
やがて把手がついて、鞄に進化。
素材の多様化とともに豊岡の地場産業として大きく成長しました。

市役所のすぐ近くにあるカバンストリートには、
豊岡鞄のショップや修理屋さんや鞄のクリーニング専門店など
関連のお店が軒を連ねます。代々続く鞄の聖地ならではの充実度です。
また、鞄のパーツショップや職人を育成するスクールを併設した、
〈Toyooka KABAN Artisan Avenue〉など、生産地ならではの拠点もあるのです。

修理専門店には、持ち込まれた鞄が山のように待機しています。

連載2回目では、豊岡移住後に鞄職人として働き始め、
いよいよこの春自らの店と工房をオープンさせるという
中野ヨシタカさんにお話をうかがいます。
中野さんの目に、豊岡というまちはどう写っているのでしょうか。

コウノトリと人々がともに生きるまち

そして豊岡といえば、国の特別天然記念物のコウノトリの里としても有名です。
中心地から少し足をのばせば、
悠々と空を飛ぶ白く美しいコウノトリに道ばたでも出会えるような環境。
豊岡の人々にとって、今では“当たり前”の光景ですが、
この光景が見られるようになったのも、実は最近のこと。
一度は絶滅したコウノトリでしたが、
1989年に飼育下繁殖(人工繁殖)に成功して以来、
毎年増殖に成功し、2005年にはコウノトリ野生復帰計画における
最初の5羽の自然放鳥を実施。その後自然下での繁殖も順調に進み、
現在78羽のコウノトリが豊岡の空を舞っています。
それでもなお絶滅の危機にあるコウノトリの野生復帰の拠点であり、
保護・繁殖活動を行う〈兵庫県立コウノトリの郷公園〉では、
その美しい姿を間近で楽しむことができます。

繁殖に成功してからというものの、
コウノトリを一度絶滅させた過去を繰り返さぬよう、
コウノトリと共生できる環境づくりを、市民が率先して行っています。
例えば、コウノトリに害を及ぼさないよう、
農薬を極力用いない農法を使ってお米をつくったり、
コウノトリが道を歩いていたら、そっと道を譲ったり、
冬場でも田んぼに水を張って餌となる小動物がいる環境を保ったり。
そんなコウノトリへの気遣いは、小学生からの環境教育のたまもの。
各小学校にあるビオトープやコウノトリの郷公園での課外授業で、
生態系やコウノトリと人の共生に関して、全員が学びます。
「コウノトリにやさしい地域は、ここで暮らす人に対してもやさしい」
そう思いませんか?

〈兵庫県立コウノトリの郷公園〉では間近でコウノトリを見学できます。両翼を広げると2メートルにもなります。

城崎温泉のもうひとつの顔

『城の崎にて』で志賀直哉によって描かれた城崎は、
どこか静かでもの哀しい雰囲気がありましたが、
現代の城崎温泉は活気に満ちた西日本有数の温泉観光地です。
昨年は海外からの観光客が増加し、
21か国以上から、3万1400人もの外国人旅行者が訪れたそう。
「日本の文化を体験しに城崎に来ている」。そんな旅行客が増えています。
コウノトリ但馬空港からバスが運行、京都や大阪から電車で2時間強。
このショートトリップ感も人気の秘密です。
旅館などでは、後継者問題や従業員不足問題など課題は抱えているものの、
結婚を機に東京からIターンして奥様の実家の旅館を継ぎつつ、
新規事業として飲食店と、さらに地ビールの開発・販売まで始めた人がいたり、
豊岡市で暮らしたい人、働きたい人を受け入れる場所でもあります。

城崎温泉の中心を流れる大谿川と柳並木。雨の中のそぞろ歩きも風情があります。

電車を待つわずかな時間でも浸かれる温泉。城崎駅前の誰もが利用できる足湯です。

また、2014年にオープンした〈城崎国際アートセンター〉は、
アーティスト・イン・レジデンスとして舞台美術の創作の拠点となっています。
国内外からコンテンポラリーダンスをはじめとする
さまざまなアーティストが訪れ、滞在しつつ制作に励みます。
その成果発表のひとつとして、アートセンター内のホールや
まちなかでインスタレーションを行うなど
地元の人にも楽しい、国際的な活動が行われています。
豊岡市は、小中学生を対象にコミュニケーション教育にも力を入れており、
性別や年代を超えて、対等な関係の中で自分を主張し、
他者を理解できるコミュニケーション能力の育成を図ることを目的に、
演劇的手法を用いた先進的な授業が行われています。

城崎国際アートセンター(KIAC)。photo by 西山円茄

2018年からは英語教育を幼稚園から開始するようにし、
市内の全小学1、2年生にもALT
(Assistant Language Teacher:外国人による英語授業の補佐)の授業を行う計画です。
“海外からの観光客やアーティストと英語でコミュニケーションできる”
小学生や中学生が、豊岡市で育つという将来はもうすぐです。

この豊岡教育改革に関しては、中貝宗治市長に詳しくお話をうかがいました。
連載3回目でご紹介します。

明石海峡大橋のそばで味わう ビオワインレストラン 〈N’OCEAN〉〈Sante!〉

サンセットを眺めるレストランとカウンターの姉妹店

到着するやいなや、目の前に広がる明石海峡大橋の雄大さに目を奪われてしまう。
そんな海峡の潮風を体いっぱいに感じられるロケーションに、
かつてビオワインとスモーク料理を出す屋台がありました。
それを出発点に誕生したのが、同じグッドロケーションの
オーガニックレストラン〈N’OCEAN(ノーシャン)〉。
木の温もりを感じるナチュラルな内装で、大きくとられた窓から
明石海峡大橋が眺められるのがこの店の醍醐味。
ディナーのオープンが、サンセットの30分前という設定も
なかなかにニクいところですね。

ここで楽しめるのは、ウォークインのセラーにストックするフランスのビオワインと、
明石浦漁港のせりで仕入れる魚介類を盛り込んだ数々の欧州料理。
おすすめメニューでもある鯛のアクアパッツァや
旬の魚介を贅沢に使ったパスタパエリアを誰かとシェアしながらのひとときは、
絶景も相まって最高の気分に浸れます。

初めて訪れてもくつろげる、温かみある空間で迎える夕暮れの瞬間は感動を覚えるほど。そんな〈N’OCEAN〉では、音楽に精通する辰畑さんセレクトのチルアウトが流れています。年に数回、イベントにかつての屋台で出店することもあるそうです。

そして、この余韻を引きずりつつ向かいたいのは、
徒歩10分ほどの住宅街にある姉妹店の〈Sante!〉。
飲食店のほとんどない通りにポツンと灯る
“ビオワイン”の文字が揺れるちょうちんについほっこりさせられます。

シェフがひとりで切り盛りする9席の小さなカウンターには
グラス500円からの価格が記されたビオワインの瓶がずらり。
日替わりのSanteプレートやアラカルト料理とともに、気取らず楽しみましょう。

3坪の小バコ感が居心地いい〈Sante!〉では、隠れ家でビオワインを楽しむような感覚に浸れます。

ビオワインと明石海峡大橋、ふたつのキーワードを覚えていえれば、
西舞子での夜はご機嫌そのものだと思いませんか?

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N’OCEAN 

住所:兵庫県神戸市垂水区狩口台7-15-40

TEL:078-783-0111

営業時間:11:30~15:00、サンセットの30分前~23:00(土日・祝日~24:00)

定休日:火曜

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Sante! 

住所:兵庫県神戸市垂水区西舞子3-1-28

営業時間:18:00~25:00

定休日:日曜

〈灘五郷〉の地酒を味わう、 御影市場の立ち呑み屋〈銀狐〉

地元のお酒と和洋の料理を楽しむ

御影市場〈旨水館〉の中にある立ち呑み屋〈銀狐(ぎんぎつね)〉。
〈灘五郷(なだごごう)〉とは、神戸市東灘区、灘区、西宮市を合わせた日本酒の郷。
「地元のお酒をもっと知ってほしい」と店を立ち上げた寺島信子さんが選んだのは、
灘五郷のなかでもさらに地元、御影郷・魚崎郷を中心とした酒蔵でした。

「灘五郷の酒は辛口だけどコクと旨みがあっておいしいんです」と寺島さん。
この地域の酒は「男酒」と呼ばれるどっしりとした味が特長だそうです。
日本酒は仕込みに時間をかけたものやスパークリングタイプまであり、
灘五郷の酒の奥深さをあれこれと楽しんでいたら、
あっという間に時間がたってしまいますね。
ちなみに季節によってはしぼりたての生酒や
8年寝かせて旨みを増した古酒などの秘蔵酒が、酒好きを唸らせているそうですよ。

まずは“生一本”の飲み比べから始めましょうか。

ところで。うまい酒にはおいしい料理がつきもの。
ここには、和食料理人とフレンチを得意とする洋食のシェフがいて、
鮮魚や旬の野菜などを使った料理を小気味よく出してくれます。
造りとおまかせ2品に酒がついた「寄り道ワンコインセット」で、
ぶらりと立ち寄って、ちょっと一杯を叶える男性客や、
昼網鮮魚の和洋食とともに“酒と料理のマリアージュ”を楽しむ
女性ひとり客が多いのもうなずけます。
楽しめる裾野の広さも懐の深さもとびきり、それが神戸のお酒なのです。

各酒蔵が手塩にかけて造り出す酒はどれも個性的。鯛と生ハムのカルパッチョ490円から「寄り道ワンコインセット」500円(平日16:30~18:00、日曜15:00~16:30限定)まで料理が豊富なのもうれしい。

〈銀狐〉という名は御影市場にあるお稲荷さんから。すぐ近所には神功皇后ゆかりの湧き水〈沢の井〉もあり、豊穣の神様と水の伝説に見守られながら今日も店は人で賑わいます。

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御影旨水館 立呑み処 
銀狐(ぎんぎつね)

住所:兵庫県神戸市東灘区御影本町4-12-17(御影市場 旨水館内)

TEL:078-855-7727

営業時間:16:30~23:30(LO 23:00)、日曜15:00~22:00(LO 21:30)

定休日:なし

〈京都タワー〉が LED化でフルカラーに輝く! 点灯式を開催

古都・京都の玄関口に佇む〈京都タワー〉。
海のない京都を照らす灯台をイメージした、
ほっそりとしたフォルムで、1964年(昭和39年)の誕生以来、
京都に住む人や訪れる人を見守っています。

そんな京都タワーが、このたび
夜間の塔体照明を従来のマルチハロゲン灯から
LEDへと変えることになりました。

リニューアルを手がけたのはパナソニック。
これにより、これまでは白色が主だったライトアップに
バリエーションや点灯パターンが増えるだけでなく、
消費電力が最大約70%削減! 大幅な省エネになりました。
また、専用設計の小径レンズによって
ムラのない美しい混色のライトアップが実現しているのだそう。

青やピンクなどフルカラーに変化

あまり知られていませんが、建築家の山田守が
手がけた〈京都タワー〉は、鉄骨を使っていない、革新的な設計なんです。
地下3階・地上9階のビルの屋上がタワーの土台となっており、
約800tもの重さがビルにかかりますが、構造の工夫で建物の機能を損ねることなく、
また台風や地震といった災害にも強いんです。
ちなみに地下3階には朝7時から営業している広々とした大浴場があり、
夜行バスで到着した方の旅の疲れを癒すスポットとなっています。

〈京都タワー〉のゆるキャラ、たわわちゃん

LED化を記念した〈京都タワーLEDライトアップ点灯式〉は
2016年3月14日(月)、18:45より開催。
詳細は京都タワーWebサイトにて。

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京都タワー

住所:〒600-8216 京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町721-1

TEL:075-361-3215

営業時間:9:00〜21:00 最終入場20:40 ※変更になることがあります

京都タワーLEDライトアップ点灯式

日程:2016年3月14日(月)

時間:18:45~19:15

場所:京都駅前広場(JR京都駅中央口前)特設ステージ

Web:イベントWebサイト

小豆島のおいしいつながり 瀬戸内の食材を使ったごはん屋 〈セトノウチ 島メシ家〉

小豆島や瀬戸内の食材を使ったデリスタイルのごはん屋さん

ここ2、3年の間に、小豆島ではおいしいごはんを食べられるお店が
次々とオープンしています。
その新しくできたお店を訪ねてみようという
私の個人的な企画「小豆島のおいしいつながり」。
1回目は、小豆島の池田地区にある、海の見えるカフェ〈タコのまくら〉さんでした。
あれから早半年! わわっ(汗)。

というわけで今回は「小豆島のおいしいつながり」企画2回目です。
2016年2月27日にオープンしたばかりの〈セトノウチ 島メシ家〉さんを訪ねました。

島メシ家は、土庄町の“迷路のまち”というエリアにあります。
お店をつくられたのは、〈MeiPAM(メイパム)〉さん。
オリーブを使ったさまざまな商品を展開する地元の企業
〈小豆島ヘルシーランド〉が中心となって運営するアートプロジェクトチーム。
いままでもこのエリアにある古民家などを改修して、
ギャラリーやカフェを運営し、迷路のまちを盛り上げています。
今回は元庄屋さんの屋敷を新たに改修して、
ギャラリーとセトノウチをオープンされました。
そのセトノウチという施設の中に、ごはん屋〈島メシ家〉、
瀬戸内のおみやげ屋〈島モノ家〉、旅の案内屋〈島タビ家〉があります。

元庄屋さんの屋敷を改修。1階に〈島メシ家〉と〈島タビ家〉、2階にギャラリー〈MeiPAM5〉があります。

〈島モノ家〉のスタッフ、牧浦知子さん。彼女も含めたスタッフみんなで情報を集め、瀬戸内のおいしいもの、おもしろいものをセレクト。

小豆島のどこをめぐったらいいんだろう? に答えてくれる島タビ家。

島タビ家の中では、小豆島カメラが撮影した写真も展示されています。

島メシ家は小豆島や瀬戸内の食材を使ったデリ(お惣菜)スタイルのごはん屋さん。
日替わりのお惣菜から好きなもの3〜4種類のおかずを選ぶことができます。
それにいりこだしのお汁と小豆島・肥土山産のご飯がつきます。
このデリランチのほかにもいりこだしを使った素麺やカレーもあります。

日替わりで6品のお惣菜が用意されています。選ぶの迷う〜。

料理をつくってくれるのは藤田幸司さんと塩井真理子さん。

いりこのふりかけと小豆島のお塩〈御塩(ごえん)〉。こういうの何気にうれしい。

瀬戸内の旬魚を買う、味わう。 〈東山商店街〉で魚三昧

神戸の台所、神戸新鮮市場の古き良き商店街

おいしい魚が食べたい。そう思ったときに神戸で向かうのは、
鮮魚店が多く集まる〈東山商店街〉が正解です。
1日のなかで一番活気がある午後2時ごろは、
明石の昼網であがった鮮魚が続々と並び始める時間。
「うまい! とりたて昼網」の文字が踊る店先は、
むろん旬の鮮魚を求める人々ですでに大賑わいになっています。
「黒鯛は刺身がうまいよ」「タコの試食していって」など
活気にあふれる声が飛び交うなかを進むと、ワクワクしてきますね。

東山商店街は、神戸市営地下鉄〈湊川公園駅〉のすぐそばに広がる神戸の台所〈神戸新鮮市場〉のうちのひとつ。鮮魚店のほか、精肉店や豆腐店、青果店などが細い道の両脇にぎっしりと並んでいます。

商店街でのもうひとつの悦楽は、昼のみ味わえる海鮮丼です。
鮮魚店〈魚盛〉では、店内のイートインスペースで
エビや鯛、マグロ、ホタテ、サーモンなどの海鮮を
たっぷりのせた魚盛丼が味わえると評判です。
大ぶりのエビは舌の上でとろけるように甘く、
プリプリとした食感のホタテやマグロ、サーモンといった鮮魚は、
そのまったりとした旨み、歯ごたえがすし飯の酸味と口の中で一体に。
特別にオーダーされた米は、魚に合うように少しかために炊きあげて酢飯に。
醤油やみりん、ゴマ油などを合わせた特製タレも、
身のしまった鮮魚の旨みと弾力をより際立たせ、
活きのいい魚のおいしさを大胆に満喫できます。

またこの魚盛丼、魚ではなく“すし飯”がなくなれば終わりというのも、
ごはん処ではなく、魚処だからこそのこだわりです。

〈魚盛〉の魚盛丼はランチメニュー(11:00~14:00)。

旬の鮮魚を買う、味わう。その両方を楽しみながら、古き良き商店街をそぞろ歩き。
そういう和やかな1日を満喫できるのも、神戸が見せてくれるもうひとつの顔なのです。

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神戸新鮮市場 
東山商店街

贅沢にキャンプを楽しむ “グランピング”の聖地 淡路島〈FBI Awaji〉

日本屈指のグランピング・アイランド、淡路島で楽しむ滞在

“グランピング”という言葉がいま、情報に敏感な人たちの胸を騒がせています。
2015年くらいからテレビや雑誌で見聞きするグランピング、
グラマラスなキャンピングという意味のスタイルなのですが、
実は神戸では、真新しい言葉ではありません。

神戸に最も近いリゾートと呼ばれる淡路島の北西部、五色にある〈FBI Awaji〉は、
グランピングを楽しむ人=グランパーに“聖地”とされているフィールドです。
ここでは砂地、ビーチフロント、海を見下ろす高台と、
自然そのままに数タイプ用意された場所を選び、自由に楽しむのが流儀。
インテリアつきのテント、アーティスティックなロッジもあるので、
もちろん道具を持っていなくても、世界観が十分に満喫できます。

カフェ&バーにはソファ、ハンモックなど誰もが思い思いに、どれだけでも過ごせる場所が用意されています。限られた時間の中でも自在に楽しめる空間は、自然に抱かれた最上のリビングと言えます。

瀬戸内の穏やかさに身を委ねたいなら、レセプション併設のカフェ&バーで
最高のロケーションを眺めるデッキチェアに腰を下ろし、波の音を聞きましょう。
たったこれだけで、日常から一気に解放されるのです。
ゆるりとした時の流れで心身をリセットする、
淡路島の極上グランピングがここにはあります。

会話を楽しむなら、バーへ足を運べばOK。こんなスタイルを気どらずに楽しめるのも、グランピングの魅力です。

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FBI Awaji 

住所:兵庫県洲本市五色町鳥飼浦2359

TEL:0799-34-0900(2016年の営業は4月23日から)

www.fbi-camping.com

神戸インターナショナルを育てる 100年前から続く学校 〈カネディアン・アカデミィ〉

海を感じるインターナショナルスクール

神戸はよく国際都市だと言われます。
これ、古くから海外に開かれていたから、だけではありません。
1913(大正2)年という、およそ100年も前に
キリスト教宣教師の子弟教育のために設立されたのが、
学校法人〈カネディアン・アカデミィ〉。
当時外国人が多く暮らしていた神戸市灘区青谷で発足し、
1952年神戸市灘区長峰台に移転。
1990年に現在の六甲アイランドに校舎を移しました。
海上都市である六甲アイランドならでは、
海風を感じるロケーションが心地いい場所です。
六甲ライナーに乗って、車窓から山と海を感じながら神戸港を渡る通学路も、
神戸らしい爽やかさにあふれています。

長峰台にあったころのカネディアン・アカデミィ。

ここでは、世界30数か国から約600名の生徒が集まって、
国籍や宗教の枠を超え、お互いの文化的背景を尊重し合って学校生活を送っています。
まるで外国の文化を柔軟に受け入れながらまちの歴史が発展してきた、
神戸の風土そのままといった感じです。
小・中・高一貫校なので低学年と高学年の縦のつながりがあり、
コミュニケーションの幅が広がるところも魅力。
勉強だけではなく、スポーツ、ボランティア活動にもいい影響が生まれている様子。

海外の文化だけではなく、日本の季節ごとの行事にも触れられるのが魅力です。

親子3世代にわたって通う生徒もみられ、
卒業生にはカナダの大使や、オリンピック出場選手もいるそう。
このように、幼い頃からインターナショナルな感性を育む環境があるのも、
港町神戸の風土ならではではないでしょうか。

大劇場や蔵書が豊富な図書館、レコーディングスタジオ、人工芝の運動場など、学び舎として充実の施設を所有しています。

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カネディアン・アカデミィ

住所:兵庫県神戸市東灘区向洋町中4-1

http://www.canacad.ac.jp/

夜はきらめく夜景、 昼はノマド的に山を愉しむ 摩耶山〈掬星台(きくせいだい)〉

ロープウェーの山頂〈星の駅〉で過ごす1日

神戸で道をたずねると、海側、山側という言葉によく出くわします。
それほど自然は身近な存在で、しかも、豊かな自然が近くにあることは神戸の人の誇り。
なかでも摩耶山(まやさん)は六甲と共に特別な存在ではないでしょうか。

標高698.6メートル、山頂にある〈星の駅〉までは
摩耶ロープウェーで一気に上りましょう。
展望広場〈掬星台(きくせいだい)〉は、星空があまりにも美しく、
手を伸ばせばまるで星が掬えるようだ、と先人がロマンチックな名をつけた場所です。
現代ではまちのきらめきが多くの人をウットリさせ……。
と、摩耶山は函館・長崎とともに
日本三大夜景のひとつとされる夜景の名所なのですが、
最近は昼に訪れる人も増加中だそうですよ。しかも働きに。

星の駅2階のアウトドア用品店〈monte 702〉では、
WiFiやPC用電源タップにドリンクバーもつく「ノマドワーキングセット」があり、
これが人気なのです。

窓の外の景色が絶景!な〈monte702〉。〈星の駅〉の2階にあります。

ほかにも、掬星台で景色を眺めながら自分でお湯を沸かして
野点コーヒーを楽しむための「ソトカフェセット」や、
ごろごろと昼寝だってできる「ピクニックセット」など、
山を楽しむためのプラスアルファが存分にスタンバイ。
なんとハンモックの貸し出しまであるのですから、
仕事で疲れた頭をクールダウンさせる、息抜きモードの準備も万端です。

ノマド×神戸=摩耶山。
新鮮な山の空気を胸いっぱい吸い込みながら、
市街地から海まで一望できる絶景の中で仕事に打ち込めば、
アイデアも泉のように次から次へと湧き出てきそうですね。

摩耶山のロープウェーを日々使う神戸ネイティブがこっそり教えてくれたのは、山頂からの帰りに下りのロープウェー車内から見る、夜の神戸。まちの夜景がぐんぐんと迫る“下り”ならではの景色は何回見ても、本当にダイナミックなのだと。

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摩耶山

住所:兵庫県神戸市灘区摩耶山

http://www.mayasan.jp/

六甲山の間伐材が 神戸らしい家具&雑貨に 〈HASE65〉

六甲山の木に触れられるカフェ&ショップ

神戸の人なら、一度は登ったことがある六甲山は、
まちから出てすぐにハイキングができる身近な存在。
山であるがゆえに当然、木があり、ご多分に漏れず間伐が必要となります。
そんな六甲山の間伐材を活用したのが、
一枚板に鉄を組み合わせるだけでできるテーブルやスツール、
鯖江の職人の技術でつくるティンバーポット、
子どもが握りやすいサイズの木のたまごなど……。

手ざわりも気持ちいいウッドクラフト。

これらは、もともとドイツの木材メーカーの代理店で働いていた山崎正夫さんが
その経験を生かし、木の活用法を周知してもらうためのツールとして手がけたものです。
「六甲山は、もともと林業としての山ではないので、
建築用材として流通してこなかったんです。
しかし、そんな木を別の用途で使えるようにブランディングして、
山とまちをつなげられたら」と山崎さん。

表六甲の山林の手入れで発生する木材の活用法を考える、神戸市の〈もりの木プロジェクト〉に山崎さんも関わっています。

ひと口に六甲山と言っても、表六甲と裏六甲があります。
楠、樫、桜などの広葉樹が中心の表六甲は神戸市の管轄。
そしてヒノキや松の多い裏六甲は民間所有となり、
山崎さんは所有者と直接契約してプロジェクト単位で商品開発を進めています。

これまでもイベントなどで六甲山の木に触れられる機会をつくり出してきたのですが、
さらなる境地を求めて、この春に、誰もがふらりと立ち寄れる
カフェ併設のショップをオープンすることになりました。
それが自然派カフェ〈ミドリカフェ〉と組んで2016年3月20日から
王子公園に構える新拠点〈HASE65(ハーゼロコ)〉。
DIYパーツも扱う予定で、神戸らしい家具と雑貨がまちに広まっていく日も近そうです。
六甲山生まれの家具や雑貨がこれから、もっと身近な存在になりそうですね。

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HASE65 

住所:兵庫県神戸市灘区王子町1-4-1

TEL:0120-492-690

営業時間:11:00~18:00

定休日:水曜、不定休

中華だけじゃない中華街。 多文化がクロスする〈南京町〉

インド料理に和食、多国籍の食が広がるまち

明治元年に誕生した日本三大中華街のひとつ神戸〈南京町〉。
屋台や中華風の建物が並ぶリトルチャイナとして観光名所になっていますが、
路地に目を向けると、そこにはインド料理や和食店の看板がちらほら。
実はこのまち、中華料理だけを目的に訪れる場所ではないのです。

南京町はJR・阪神元町駅南側の東西約270メートル、南北約110メートルの商店街。

例えば南京町広場の北東角には、
昭和22年創業の老舗うなぎ店〈うなぎ横丁〉があります。
うなぎは背開きの江戸前。蒸しを入れ、甘さ控えめで
飽きのこないタレをつけては焼き上げるという2代目店主の熟練の妙技で、
創業以来の味を守っています。

2代目の細見進一さんが切り盛りする〈うなぎ横丁〉のうな重も、このまちの味として親しまれています。

また、本格カレーがカジュアルに味わえる
〈ALOK(アロック)〉も地元ではなじみの店。
チキンや野菜、魚介など30種以上のカレーを筆頭に多彩なインド料理が楽しめ、
さらにはネパール料理までそろうという幅の広さが愛される理由です。
タンドール窯で焼き上げた大きなナンは、ほんのり甘く、ふっくらむっちり。
本格カレーとともに気軽にほおばれる楽しみが待っています。

そんな多国籍なまちで、最も多く軒を連ねている中華料理店では
最近、中華カフェレストラン〈群愛茶餐廳(ぐんあいツァツァンティン〉が、
老舗店の復活と話題を集めています。
一から手づくりした数々の点心や魅惑の香港スタイルスイーツが
スタイリッシュな店内で楽しめるとあって、オープン以来注目の的です。

〈群愛茶餐廳〉の広東焼売(エビシュウマイ)と水晶蝦餃(エビ入蒸し餃子)は、アツアツ、ジューシーなおいしさがすでに評判です。

それにしても。この中華街のなかにいくつの文化が共存しているのでしょう。
古くから異文化を快く受け入れて来た神戸の懐の広さは、食でもしっかり感じられます。

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うなぎ横丁

住所:兵庫県神戸市中央区元町通1-6-17

TEL:078-331-0054

営業時間:11:00~21:30(LO 21:00)

定休日:日曜

http://www.geocities.co.jp/unagiyoko/

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ALOK 

住所:兵庫県神戸市中央区栄町通1-2-15

TEL:078-321-3044

営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00

information

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群愛茶餐廳

住所:兵庫県神戸市中央区栄町通2-6-6

TEL:078-381-8675

営業時間:11:30~22:00(LO 21:00)

定休日:火曜

http://www.gunai-tea.com/

喫茶店のまち神戸の老舗。 〈エビアンコーヒー〉と ジャズ文化を支える〈JAVA〉

神戸の人々に愛されるふたつの老舗喫茶

神戸は昔から、「喫茶店のまち」と言われてきました。
まちにはたくさんの喫茶店があったのですが、なかでもかつて港町で働く船員たちが、
サイフォンで淹れるコーヒーを求めて訪れていたのが
元町の〈エビアンコーヒー〉と三宮の〈JAVA(ジャヴァ)〉。
ともに1950年代に創業し、現在は2代目が切り盛りしています。
ブレンドコーヒーの香り漂う店の中は、まるで時間がとまっているかのよう。
まだコーヒーの珍しかった当時から、ブレンドコーヒーの風味しかり、
調度品やその空気感までもが昔のままだというから、
初めて訪れてもどこかほっとする感覚になるのでしょう。

〈エビアンコーヒー〉では、毎朝ほぼ同じ時間に
日参する常連客が見られるのが馴染みの光景。
ウエイトレスと談笑しながら過ごしたり、
新聞を広げながらサンドイッチで朝食をとったり、
すっかりくつろいでいる姿が居心地のよさを物語っています。
コーヒーと相性がいいデザート類も評判で、
3代目・鎌田高廣さんの手がける濃厚なチーズケーキやシフォンケーキなどは、
店内でコーヒーと一緒に楽しむのはもちろん、手土産にする人も多いんです。

5種の新鮮な豆をブレンドした珈琲は、1日に300杯ほどが出るそう。

時間を忘れてしまう、ゆったりとしたリズムが店の中にはあふれています。

一方、貴重な音響機器がいまも現役で活躍し、
神戸のジャズ文化を支えてきた〈JAVA〉には、
ジャズを愛する数々の著名人も訪れてきました。
昔の面影を色濃く残す南国風の店内の落ち着いた照明の下にいると、
タイムスリップした気分にさえなるほど。
甘い香りがたまらないモカジャヴァを口に運びながら、
名盤に酔いしれるひとときは格別です。
訪れる客もいまや3世代。神戸の人々が愛してきたコーヒーは、
物言わずとも神戸の空気を香りで届け続けています。

モカジャヴァを飲みながら、セレクトされたジャズの名盤に耳を傾ける。壁には〈JAVA〉が撮影場所になった映画のポスターや懐かしい名スターのサインがあり、60年余の店の歴史を感じさせてくれます。

コーヒーの上でゆっくりと溶けていく、生クリームとチョコレートの甘い香りがたまらない。まちの喧騒をしばし離れて、心穏やかなひとときを。

information

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エビアンコーヒー

住所:兵庫県神戸市中央区元町通1-7-2

TEL:078-331-3265

営業時間:8:30~18:30(LO)

定休日:第1、第3水曜

http://www.evian-coffee.com/

information

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JAVA(ジャヴァ)

住所:兵庫県神戸市中央区北長狭通1-31-13

TEL:078-331-1019

営業時間:12:00~21:30

定休日:木曜不定休

キャンピングカーでラクラク! 長崎・移住先探しの旅 その1: キャンピングカーを借りてみる

家族との移住を本気で考えて、日本全国あちこちを旅するフォトグラファーのテツカ
(彼女のコロカルでの連載「美味しいアルバム」はこちら)。
そんなテツカがキャンピングカーで平戸市・波佐見町・雲仙市を4歳の娘と巡ってきました。
長崎って移住先としてどうだろう? という彼女なりの目線をお楽しみください。
4回シリーズの第1回は「キャンピングカーを借りてみる」。

【その1:キャンピングカーを借りてみる】

【その2:平戸市のレムコーさんに聞く人づき合いのヒント】はこちら

【その3:移住者は“タンポポ”!? 波佐見町・岡田浩典さんの移住体験話を聞く】はこちら

【その4:波佐見で感じた“もの力”と“ひと力” 陶芸家 長瀬 渉さん】はこちら

【その5:奥津家の3拠点生活】はこちら

我が家が移住を意識するようになったワケ

東京で生まれ育った私と夫と、4歳になる娘の3人で暮らす我が家。
長年暮らしてきた東京を離れ、自然豊かな環境に身を置きたいと、
数年前から移住を意識するようになった。
ひとつのきっかけは、旅先で出会った人たちの暮らしを目の当たりにしたこと。
自分たちで土を耕し、自分たちが食べるものを自分たちでつくり、
それを瑞々しいうちに食卓で味わっていたり、
とてつもなくおいしい山の水を、自由に使える環境もある。
そうした生活を見ていたら、わくわくと心が騒いで仕方がなかった。
いつかは自分たちも土を耕し、
自ら育てた米や野菜を食べながら生活していきたい。
その目標に向かい、休日には家族でいろんな地域をリサーチしに出かけている。

そんな我が家の動向を知るコロカルの編集者から
「こんな企画があるんですけど、行きませんか?」と資料を差し出された。
それが、長崎県の「キャンピングカーによるラクラク移住先探し」というもの。
長崎県への移住に関心がある県外在住者を対象に、
キャンピングカーを低料金で貸し出しているという。

長崎県は移住先としても興味があった。
以前コロカルで五島列島の新上五島町を訪れたとき、
燃えるような赤い夕陽が、海に沈んでいくのを見た。
その光景はあまりにも美しく、その場に立ち尽くしてしまった。
今思えば、あの夕陽を目にしたことも
移住を考えるようになった理由のひとつだと思う。
マンションの隙間に見え隠れする東京の夕焼けを見るたびに、あの夕陽を思い出す。
長崎では今日もあの美しい光景が広がっているのに、
自分はそれを毎日見逃している。
そう思ったら泣けてきた。
もしあの土地で暮らすことができたらと、自分の生活を重ねてみたりしていたところに、
願ったり叶ったりな企画が舞い込んできたのだ。
「行きます!」と、その場で答えていた。

というわけで今回は、仕事を休めない夫を東京に残し、
移住先候補を探しに、4歳の娘と長崎を訪ねてきました。

和歌山県に 移住するってどんな感じ? 〈わかやま!移住体験してみた〉 CM&ムービー公開中

和歌山県に移住してみたらどんな生活になるんだろう...?
ただいま和歌山県による、首都圏から移住を考える人に向けた
わかやま移住体験ムービーが公開中です。
その名も「わかやま!移住体験してみた」。
東京都練馬区に暮らす柘植ファミリーが
和歌山の暮らし体験ツアーに参加したドキュメンタリーです。

柘植ファミリーのお父さんは、電器設備の職人。
お母さんはピアノの先生。お子さんは二人で、
小学校一年生の女の子と幼稚園児の男の子。
いつかは田舎で暮らしたいと夢をもっているご家族です。

そんな彼らが、和歌山の暮らし体験ツアーに参加しました。
カフェを経営している先輩移住者と話したり、
鹿肉で作った田舎料理でもてなされたり、
ほかにも地元の小学校や企業オフィスを訪ねたり。

「人が素晴らしい。話すほど和歌山が好きになる」
と語った柘植さん。いったいどんな体験をしたのでしょうか。

ちなみに“田舎暮らし応援県わかやま”を掲げる和歌山では、
現地体験会や山村留学、農家民泊、田舎暮らしワークステイなどの
プログラムを行っています。ご興味が湧いた方はこちらをチェック!

あえて不便な暮らしがいい。 北海道の森で始めたパン屋さん

美流渡にひと目惚れして移住した中川さんの話

岩見沢の市街地から30分ほど車を走らせると、
山や森がすぐ近くに迫る美しい風景が広がる。
ここは東部丘陵地域と呼ばれ、その中の美流渡(みると)という地区で、
いまわたしはゲストハウスのような場所をつくろうとしている。
この連載で何度か書いたように、美流渡はかつて炭鉱街として栄えたが、
現在では人口が1000人を切り、過疎化が問題になっている。
人口減少は、この地域を維持していくにあたって深刻な問題ではあるが、
そこに住む人たちに目を向けると、都会の便利さとは異なる価値観をもって、
この地域を愛している姿が見えてくる。

そんな地域を愛する人として紹介したいのが、
18年前、美流渡にひと目惚れをして移住してきた中川文江さんとそのご一家だ。

中川さんは、東京で6年ほど看護師をしていたが、
夫の達也さんの転勤で札幌へと移り住んだ。
やがて中川さん夫婦は、自然の中で子どもを育てたい、
森でパン屋さんをやってみたいという想いを抱き、達也さんが脱サラを決心。
札幌から近すぎず遠すぎない場所をと車で土地を探すなかで、
美流渡に出会い、引きつけられるような魅力を感じた。
北海道には珍しい里山のような、心休まる風景を見たことき、
ここに住んでみたいと強く思ったという。
さっそく町内会にかけあったところ、集会所となっていた
炭鉱長屋を使わせてもらえることになった。
かなり傷みが激しい部分もあったが、中川さんの父と達也さんが修繕をし、
パン工房のスペースもつくっていった。

中川文江さんは北海道生まれ。東京で看護師として働き、その後美流渡に移住。パン屋〈ミルトコッペ〉の女将であり、現在はリンパ・ドレナージュ・セラピストとして、美流渡と東京でサロンを開く。

開いたパン屋の名前は〈ミルトコッペ〉。
まわりにはいっさいお店などなく、丘の中腹にポツンと建っており、
お店の立地条件としては、かなり不利な場所のように思う。
しかし、達也さんがつくるパンのファンは日増しに増え、
北海道内はもちろん、道外からも買いにくる人が後を絶たない。
午前中には売り切れてしまうこともしばしばだ。

ミルトコッペのパンは、口に入れた瞬間に香ばしい小麦の香りが口いっぱいに広がり、
さらに噛めば噛むほどに深い味わいを感じるのが特徴だ。
熟成させた天然酵母と小麦に少量の砂糖と塩を加え、12時間かけてじっくり発酵させ、
それを手ごねで生地に仕上げ、レンガの薪釜で焼き上げる。
薪にもこだわりがあり、ナラ材を主に使っているという。

コッペパン、あんぱん、食パンなど素朴なパンが並ぶ。

パンを並べる店舗スペースはそれほど広くなく、玄関口を利用して販売している。

パン屋を開店した当初、経営が軌道にのるまでのあいだ、
中川さんは札幌にOLとして働きに出ることにした。
看護師時代の給料からすると収入は3分の1以下の月10~15万円。
家族4人暮らしていくには心細い金額だが、
「この暮らしがとにかく楽しかった」と当時を振り返る。
中川さんはこのとき37歳。息子さんは10歳と7歳という食べ盛り。
ときには農家の友人から、精米時に出る割れ米を分けてもらったこともあったというが、
それを文化鍋で炊いたおこげご飯は、感動するほどおいしかったという。

また、不要となった家具をもらったり、
古家にもともとあった石炭ストーブを復活させたりと、
一見すると不便な暮らしのいたるところに、新鮮な発見があった。
「日頃、あまりにも恵まれて、それが当たり前となると、
チョッとでも不足したときに不満が生まれる……そんな暮らしとはここは、別世界です。
最初から不足しているから、多少ものがなくたって、不満などなく、
あるものに対しての価値がよりありがたく感じられます。
こうして、暮らしを通して喜びが感じられることはうれしいものです」
これは中川さんがミルトコッペで配布したお便りに書いた言葉だ。
美流渡の暮らしのすばらしさを中川さんはお便りに残し、
やがて『北海道新聞』でも日々の想いを8年にわたって連載したという。

秋に撮影したミルトコッペ。ミントが一面に生え、さわやかな香りがあたりを包む。

第25話・雪山に備えよ! グレアムさんのお買い物

第25話
雪山に備えよ!
グレアムさんのお買い物

神戸の異人館を使ったカフェで
お茶するグレアムさん。
これから旅行の準備で走り回る前に、英気を養っているようです。
アウトドア用品に弟さんへのおみやげ、
グレアムさんはどんなものを選んだんでしょう?

三陸から始まる 1000人の“フィッシャーマン” をつくるプロジェクト。 フィッシャーマン・ジャパン前編

フィッシャーマン1000人できるかな

日本は海に囲まれているから、昔から水産文化が豊かに根づいている。
いろいろな地域に行くと、各地に名産の海鮮料理があり、
新鮮な魚をおいしくいただける。
しかしその魚を獲る漁師は、
20年前の約32万人から減り続け、現在では約17万人。半減に近い。
特に、20〜30代の漁師は2割にも満たない。
国内の水産物の生産額も半減している。
日本人は魚が好きという定説からすると不思議に聞こえるかもしれないが、
このような現実があるのだ。

そんな現状を打破したいと動き出した団体がいる。
世界三大漁場ともいわれ、漁業が盛んな三陸エリアで、
2014年に立ち上がった〈フィッシャーマン・ジャパン〉である。
現在、事務局を務める長谷川琢也さんは、
東日本大震災後にヤフーの復興支援室勤務として石巻に移住し、
〈復興デパートメント〉や
水産物を取り扱う〈三陸フィッシャーマンズプロジェクト〉などを立ち上げた。
そんな長谷川さんと、石巻の漁師、阿部勝太さんの出会いがきっかけだった。

フィッシャーマン・ジャパンのメンバー。(右から)発起人の長谷川琢也さん、アートディレクターの安達日向子さん、プロジェクトマネージャーの島本幸奈さん、写真家の平井慶祐さん。

「僕が、ヤフーの復興関係の仕事で石巻に来たのが2012年。
その直前に(阿部)勝太に会いました。
初めて会ったときから、震災からの復興だけでなく、その先を見据えていましたね。
彼から“これをきっかけに漁業に変化を起こすような挑戦をしていきたい”
という話を聞いたんです。
でも、いきなり東京から来たよそ者と、20代の若い漁師で始めるのは簡単ではなくて、
ゆっくりと仲間を増やしてやっていこうと思いました」と、
出会いを話してくれた長谷川さん。

「僕は漁師だし、長谷川さんも水産物の取り扱いに力を入れていたので、
自分たちの仕事を通して、いろいろな水産系の仲間に出会うことができたんです。
彼らと話すと、みんな同じような問題意識を持っていたり、
やりたいことが似ていることがわかりました」と言うのは、
一般社団法人〈フィッシャーマン・ジャパン〉の代表理事を務める阿部勝太さん。

石巻市の十三浜でワカメ漁師をしている阿部勝太さん。漁業生産組合〈浜人(はまんと)〉を立ち上げる。(写真提供:フィッシャーマン・ジャパン)

ふたりの思いに共鳴して、若い仲間が集まっていき、
長い構想期間と地ならしを経て、フィッシャーマン・ジャパンが立ち上げられた。
その原点には、ふたりの漁師の言葉が強く残っていると長谷川さんは言う。

「勝太と、もうひとり理事を務める漁師の鈴木真悟。
彼らの言葉がすごく心に響いています。
震災をきっかけに、漁ができなくなって、土地から出ていってしまったり、
漁師を辞めてほかの仕事をしている仲間がたくさんいて寂しいと言うんです。
そんな人たちも、自分たちががんばっている姿を見れば、
戻ってきてくれるのではないか、と。
そこなんです。みんな地域に根を張っているんですよ。
代々続く太い根があって、1回離れても戻ってこられる。
よそ者にとって、うらやましくて、すごく惹かれる話でした」(長谷川さん)

カキ剥きの実習なども行われている漁師学校。詳細は後編にて。

石巻の美しい漁場。