連載
posted:2016.3.1 from:長崎県 genre:暮らしと移住 / 旅行
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〈 この連載・企画は… 〉
ローカルで暮らすことや移住することを選択し、独自のライフスタイルを切り開いている人がいます。
地域で暮らすことで見えてくる、日本のローカルのおもしろさと上質な生活について。
photo&text
Tetsuka Tsurusaki
津留崎徹花
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。『コロカル』のほか『anan』など女性誌を中心に活躍。週末は自然豊かな暮らしを求めて、郊外の古民家を探訪中。
credit
Supported by 長崎県
家族との移住を本気で考えて、日本全国あちこちを旅するフォトグラファーのテツカ
(彼女のコロカルでの連載「美味しいアルバム」はこちら)。
そんなテツカがキャンピングカーで平戸市・波佐見町・雲仙市を4歳の娘と巡ってきました。
長崎って移住先としてどうだろう? という彼女なりの目線をお楽しみください。
4回シリーズの第1回は「キャンピングカーを借りてみる」。
【その1:キャンピングカーを借りてみる】
【その2:平戸市のレムコーさんに聞く人づき合いのヒント】はこちら
【その3:移住者は“タンポポ”!? 波佐見町・岡田浩典さんの移住体験話を聞く】はこちら
【その4:波佐見で感じた“もの力”と“ひと力” 陶芸家 長瀬 渉さん】はこちら
東京で生まれ育った私と夫と、4歳になる娘の3人で暮らす我が家。
長年暮らしてきた東京を離れ、自然豊かな環境に身を置きたいと、
数年前から移住を意識するようになった。
ひとつのきっかけは、旅先で出会った人たちの暮らしを目の当たりにしたこと。
自分たちで土を耕し、自分たちが食べるものを自分たちでつくり、
それを瑞々しいうちに食卓で味わっていたり、
とてつもなくおいしい山の水を、自由に使える環境もある。
そうした生活を見ていたら、わくわくと心が騒いで仕方がなかった。
いつかは自分たちも土を耕し、
自ら育てた米や野菜を食べながら生活していきたい。
その目標に向かい、休日には家族でいろんな地域をリサーチしに出かけている。
そんな我が家の動向を知るコロカルの編集者から
「こんな企画があるんですけど、行きませんか?」と資料を差し出された。
それが、長崎県の「キャンピングカーによるラクラク移住先探し」というもの。
長崎県への移住に関心がある県外在住者を対象に、
キャンピングカーを低料金で貸し出しているという。
長崎県は移住先としても興味があった。
以前コロカルで五島列島の新上五島町を訪れたとき、
燃えるような赤い夕陽が、海に沈んでいくのを見た。
その光景はあまりにも美しく、その場に立ち尽くしてしまった。
今思えば、あの夕陽を目にしたことも
移住を考えるようになった理由のひとつだと思う。
マンションの隙間に見え隠れする東京の夕焼けを見るたびに、あの夕陽を思い出す。
長崎では今日もあの美しい光景が広がっているのに、
自分はそれを毎日見逃している。
そう思ったら泣けてきた。
もしあの土地で暮らすことができたらと、自分の生活を重ねてみたりしていたところに、
願ったり叶ったりな企画が舞い込んできたのだ。
「行きます!」と、その場で答えていた。
というわけで今回は、仕事を休めない夫を東京に残し、
移住先候補を探しに、4歳の娘と長崎を訪ねてきました。
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2015年8月から、長崎県による新たな移住促進の取り組み
「キャンピングカーによるラクラク移住先探し」が行われています。
電車やバスの本数が限られているため、
車がないとどうしてもまわりづらい長崎県。
そこで、キャンピングカーを低料金で貸し出し、
手軽に移住先を探してもらおうというのがこの企画。
移住先探しにキャンピングカーを貸し出すというのは、全国初の試みなのだそう。
ここで、今回利用した「ラクラク移住先探し」の簡単な説明を。
・キャンピングカーの基本レンタル料は1日8,000円で、
各市町で用意された「移住先探しメニュー」を利用すると、
その回数に応じて最大3,000円になるまで値引きが受けられます。
・移住先探しメニューの一例としては、先輩移住者や地域住民などへの移住相談、
空き家の見学、求人を行っている企業の見学、スーパー、市場などの品揃えや
価格のチェックなど。
・そのほか、産業体験として漁業や農業、窯業なども有料で体験することもできます。
・この「移住先探しメニュー」の中から、「移住相談」の項目を1回以上、
「現地案内」の項目を1か所以上利用することが、
キャンピングカーを借りるうえでの条件となっています
(詳しくはこちらから)。
キャンピングカーの利用希望者は、
まず長崎県企画振興部地域づくり推進課に連絡をして、
希望のメニューや訪ねたい地域を伝えるます。
それを受けて、長崎県の担当者の方と各市町の方が行程案を作成し、
こちらに提案してくれます。
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今回、私がリクエストしたメニューは、まず「先輩移住者への移住相談」。
実際に住んでみてどんな印象を持っているのか、
どのような暮らし方をしているのか、まずはそこが知りたい!
そのうえで選んだ地域は、平戸市、波佐見町、雲仙市の3か所。3日間の旅。
平戸市でお会いした先輩移住者は、
松浦博物館や平戸オランダ商館で仕事をしながら
ゲストハウスの開業準備をしている、オランダ人のフロライク・レムコーさん。
実は我が家も、移住後はゲストハウスか民宿を開業したいと思っており、
その参考になるようなお話を移住者の先輩に聞きたかった。
明治後期に建てられたと言われている古い家屋を購入し、
ご自身や友人の力を借りながらこつこつと修繕を進めているレムコーさん。
「まぁ、ぼちぼち」という彼の言葉に、コミュニケーションのヒントをいただだきました。
波佐見町では、波佐見焼の陶芸家・長瀬 渉さんと、
カフェ〈monne legui mooks〉を営む岡田浩典さんを訪ねました。
長瀬さんは山形県出身で、波佐見町へと移住したのが13年前。
西の原という地区で使われなくなっていた製陶所を借り受けてご自身で改装し、
工房を構えた。その後、同じ敷地内につくられたのが〈monne legui mooks〉で、
今では12時の開店と同時にお客さんが店内になだれ込む人気店に。
そのお店のオーナーが岡田浩典さん。
岡田さんはもともと東京のレストランで仕事をしていて、
バイクで旅しているときに波佐見で長瀬さんと出会い、
それからいろんな縁がつながって移住を決意するに至ったのだそう。
地域の潤滑油となっているおふたりに、地域との関わり方を教えてもらいました。
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雲仙市でお話をうかがったのは、
オーガニックベースの奥津 爾(ちかし)さん典子さんご夫婦。
奥津さんご夫婦は、東京・吉祥寺を中心に
マクロビオティックのほか、食、 身体感覚などの教室や、
〈ヒトト〉というカフェ、コンテンツやイベント、書籍などを幅広く企画されています
(ビルの取り壊しに伴い〈ヒトト〉は2016年1月31日に閉店。
現在、福島への移転準備中)。
典子さんはマクロビオティックの講師として長年活動をし、
第3子の妊娠以来、雲仙をベースとしてネットを使ったライブクラスを行うなど、
新たな試みをされています。
この1月からは、『ながさきプレス』という地元のタウン誌で連載がスタート。
「おくつ家の台所じかん」と題して、レシピやコラムを発信中です。
奥津さんご家族が東京を離れ、雲仙へと移住したのは3年前のこと。
その後も、爾さんは東京と雲仙を行き来しながらの生活を続けています。
日本の在来野菜に焦点をあてたイベント〈種市〉の
東京での開催は、昨年で5回目となり、
今年の1月にはその種市を〈種市大学〉という名で、雲仙で初めて開催。
長崎と東京、両方で活動するという生活が実際にはどのようなものなのか。
そして、食の世界に深く携わっている奥津家が、
なぜ雲仙という土地を選んだのか。
柔軟に、ゆっくりと雲仙に根づいていく奥津さんにその思いをうかがいました。
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この企画では第2回で平戸を、第3回で波佐見を、第4回で雲仙と
全4回で「ラクラク移住先探し」体験の様子をお届けします。
移住メニューのうち「空き家の見学」や「空き製陶工房」も体験してきました。
そしてこれもまた欠かせない、「スーパーや市場の見学」も。
海に囲まれた長崎県、とれたてピチピチの魚が安くて大興奮!
その様子も併せてお伝えします。
余談ですが、長崎といえばちゃんぽん。
レンタカーを借りたあと、まずは腹ごしらえと、
行き当たりばったりのドライブインでちゃんぽんを注文。
すると、大当たり! おいしい〜
「いいわ〜、長崎……!」
information
長崎県企画振興部地域づくり推進課「キャンピングカーによるラクラク移住先探し」
TEL:095-895-2241
E-mail:iju@pref.nagasaki.lg.jp
ホームページ:http://nagasaki-iju.jp/support/camper
ながさき移住者倶楽部
長崎県への移住に関心がある県外に在住の方が、各種割引や特典サービスを受けることができる、無料の会員制度です。
http://nagasaki-iju.jp/support/club
ワンストップ窓口
移住相談窓口が長崎県と県内21市町に設けられているので、気軽に移住の相談ができます。
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