焼酎ハイボールとともにどこまでも。
今回訪れたのは千葉県佐倉市。
東京方面から京成本線に乗車して約1時間。
もうすぐ成田というあたりに広がる佐倉の地は、
都心のベッドタウンでありながら、田舎の田園風景と、印旛沼の自然に、
江戸の面影が残る武家屋敷に城址公園と、
東京からの日帰りスポットとして昔からよく聞く地名。
昭和でいえばミスターこと長嶋茂雄さんの出身地としても知られた場所だ。

きのこの前にたまには花でもと訪れたのは、印旛沼のそばにある〈佐倉ふるさと広場〉。1992年の開設以来、市民の憩いの場として、また佐倉の立ち寄りスポットとして多くの方に利用されている。シンボルは本格的オランダ風車「リーフデ」。その周囲には、オランダの花や植物を通年で楽しめるオランダ庭園があり、四季折々の表情を楽しめる。他にも地産アイテムを扱う売店、レンタサイクルや観光船の案内などもある。
とはいえ、赤提灯、酒場で知られた場所でもないし、
活気づく商店街として有名なところでもない。
では焼酎ハイボールのアテのねらい目は?
それは“きのこ”。
前回の呑み鉄・天浜線編で食べたお弁当。
大ぶりのしいたけである“どんこ”との相性が忘れられず、
だったら、素材そのものを入手して、いろいろな相性を試してみるのはどうか?
という欲が高まってしまったのだ。
タイミングよく、秋の行楽シーズン。
訪れたのは〈佐倉 きのこ園〉。
きのこ狩り体験ができるうえ、その場で炭火バーベキューができる……
と、ここまではありそうなのだけれど、
うれしいのがお酒など飲み物の持ち込みが可能なプランがあること。
もちろん冷やした焼酎ハイボールを、
いつもの小さなクーラーバックに入れて向かう。
きのこ狩り&その場で即、セルフ酒場を楽しむとしよう。

里山の奥、山の中、というイメージで向かったけれど、住宅地でアクセスのしやすい場所にあった〈佐倉 きのこ園〉。エントランスの受付・ショップ棟を抜けるときのこ狩り体験ができるハウス、バーベキューガーデンがある。
佐倉 きのこ園に到着。きのこの狩場はふたつの大きなハウス。
これらは菌床(きんしょう)という方法で栽培されている。
ブナ、ナラ、クヌギなどの広葉樹の木材チップをおがくず状にして、
米ぬか、フスマ、コーンブランを栄養として加えたものに、
きのこの菌を植菌して栽培するのだという。
きのこ栽培は湿度や気温といった栽培環境の性質上、
「害虫やカビとの戦い」の側面がある。
つい農薬に頼りたくなってしまいそうだが、
“安心・安全でおいしいきのこ”づくりのために、
害虫やカビも手作業で取り除いているとのこと。
今日、狩れるのはお目当てのしいたけに加えてきくらげ。
シーズンによって狩れるきのこの種類は変わる。
きのこ園2代目で園長代理の齋藤大地さんの案内で、
いざひとつ目のハウスの中へ。まずはしいいたけから。
想像していたより清潔感があり、なにやらSF映画のセットのようで、
でも、ちゃんと土と水ときのこの混じったような、
野生の匂いも感じられる。思ったより明るい雰囲気もいい。
「今日はあのあたりに大ぶりのいいものがありますよ」
という齋藤さんのありがたい案内で奥のほうへ。


菌床栽培で育つしいたけ、きくらげ。じめじめと暗い雰囲気を想像していたけれど、意外にも明るく、またじめじめというよりはみずみずしい。空気の入れ替えやおいしい水の供給などを丁寧に行っていることが伝わってくる。
確かに、素人目線でも大ぶりの立派なしいたけがニョキニョキと。
きのこは人間と同様、酸素を吸い二酸化炭素を吐いて生育する。
ハウスの中の環境でも、淀んだ空気を吸わせないように、
定期的に換気を行い、新鮮な空気を取り入れる。
ハウスも入り口側と奥では湿度が異なるので、
きのこの状態を見ながら、水やりの頻度などを調整している。
この丁寧さがあって、健やかなきのこたちは育つのだ。
はさみを握っていざカット。
ずっしりとした重量感。思いのほか大物感あり。
「結構、しっかり重く感じられるでしょう?
実はしいたけの8割から9割は水分なんですよ」と
笑顔の齋藤さんに、思わず「えっ⁉」と反応。
「ですから、良質な水はきのこづくりには必須。
この水があるから、この場所を選んだんです」と齋藤さん。
こちらでは地下50メートルからくみ上げる、水質検査済みの天然水を使用。
研究室のようなハウスがあれば、場所はどこでもいいのかな?
と思っていたのだけれど、“ここであること”の理由があった。


先端が外側に少しカーブする独特のはさみを使ってカット。齋藤さんが丁寧にカットの仕方を教えてくれたが、やはり最初にはさみを入れるときはドキドキ感がある。これも楽しい体験。

きのこ狩り体験は入場無料で、採れた分だけ量り売り。100グラム270円(税込)。バーベキューガーデンですぐに食べるも良し、持ち帰りももちろんOK。