連載
posted:2023.10.26 from:福岡県糸島市 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。
writer profile
CHIHARU HATAKEYAMA
畠山千春
はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森
こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
新米の季節がやってきましたね!
私たちは今、耕作放棄地となるはずだった糸島の棚田を約20枚借りて、
棚田のオーナーさんたちと一緒に、
農薬や肥料を使わずにお米づくりをしています。
(棚田オーナー制度の取り組みについての過去記事はこちら)
1年間がんばってお米を育ててきた自分たちにとって
甘くてツヤツヤの新米を口いっぱいに頬張るのは、なによりのご褒美。
おかずがなくても、お米の旨みだけでどんどん箸が進みます。
さて、新しいお米の収穫の時期になると考えなければいけないのが、
去年収穫した「古米(こまい)」をどう食べ切るか問題。
今しか味わえない新米も食べたいけれど、
残っている去年のお米もおいしく食べきりたい。
でも、正直にいうと……
風味たっぷりの新米を一度食べてしまうと、
古いお米になかなか箸が伸びないのも事実。
お米づくりを始めて10年で、ずいぶんと舌が肥えてしまったようです。
皆さんのおうちにも、「いただいたけれど、食べきれなかったお米」や
「忘れていて残ってしまった古いお米」はありませんか?
古いお米は乾燥が進んでいるため、舌触りが少しパサっとしていて
独特の香りがすることがあります。
そこで、古いお米ならではの「臭い」「乾燥」「食感」を改善しつつ、
古米の特性を生かしておいしく食べる
お米農家直伝の裏技をお伝えします!
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(1)みりん、料理酒などのアルコールを少量入れて炊く
いつもの「炊飯」にちょっとひと手間。
みりんや料理酒などを大さじ1〜2杯ほど入れて炊くと
古米臭が気にならなくなり、おいしく仕上がります。
甘みとコクがプラスされて、風味が出ます。艶出しにも◎。
個人的には、さらに塩をひと振り入れて炊くのが好きです。
ゴマを振りかけるとさらにおいしい!
(2)炊き込みご飯にする
思い切って味つきご飯にして、具材の香りを立たせるのもひとつの手です。
古米は水分をよく吸うので、お米にしっかり味が染み込みます。
王道ですが、古米だからこそおいしくなる調理法。
試してみる価値ありです。
(3)昆布などの出汁を入れて炊く
味つきご飯よりも「もう少しシンプルな味つけのものが食べたい」
という方は、出汁で炊くのがおすすめ。
出汁パックや出汁のもとになる昆布や鰹節、いりこなどを
炊飯のときにさっと入れるだけで旨みが格段にアップ。
出汁の香りで古米の独特な臭いをカバーします。
出汁で炊いたご飯に梅干しや海苔などの具材を混ぜ込むと、
さらにおいしくなります。
おにぎりにも◎。
(4)竹炭を入れて炊く
竹には「気孔」と呼ばれるたくさんの穴が開いており、
臭いのもととなる物質を吸着、分解してくれます。
それが、古いお米の独特の臭いを解消してくれるのです。
さらに、竹炭に含まれるミネラル成分が水に溶けて、
ふっくらおいしく炊き上がるといわれています。
せっかくだから竹炭も自作しようと試してみましたが、うまくいかず失敗……!
早く試したかったので、インターネットで購入しました(笑)。
1000円以下で売っています。繰り返し使えるので経済的。
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(5)浸水を長めにして水分を行きわたらせる
古米は水分が少ないので、ほんの少し水を多めに入れて
長めに浸水するとふっくら仕上がります。
浸水時間は、夏は30分、冬は1〜2時間くらいが目安。
乾燥した古米は水をよく吸うので、
おいしい水を使うと、炊き上がりがワンランクアップします。
(6)お餅を入れる
「浸水する時間がない」という方には、超簡単なこちらの方法がおすすめ。
おうちにある切り餅をスライスして炊飯し、炊き上がったら熱いうちに混ぜるだけ。
パサッとしたお米がもちもちになり、艶も出てまるで新米のようでした。
友人に聞いたレシピなのですが、効果抜群!
我が家で「ありゃ、これ結構古いお米だな」と思ったときはこれを試しています。
もちろん餅米を少量入れて一緒に炊いてもおいしく仕上がります。
その際は少し長めに浸水してくださいね。
(7)氷を入れて炊飯
いつもの炊飯に、氷をふたかけらほど入れてみてください。
甘みが出て、ふっくらとした炊き上がりになります。
お米は、沸騰するまでの時間が長いほど甘みが出やすいといわれており、
すぐに沸騰しないように、氷を入れて水温を下げます。
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(8)チャーハン、パエリアをつくる
古いお米は水分量が少ないため、
その特徴を生かした料理に使うとおいしくなります。
料理人の夫がおすすめする古米レシピは、チャーハンとパエリア。
ベタつきにくく、さらっと仕上がるそうです。
(9)麹(こうじ)をつくる
酒蔵の蔵人をしていた夫曰く、麹づくりには
新米よりも水分量の少ない古いお米のほうが向いているのだそう。
米農家でもある我が家の古米は、数10キロ単位で余ることがあるので、
そういったお米は麹づくりに活用しています。
その麹で味噌を仕込んだり、
以前紹介した、棚田米でお酒をつくる「BATON TOUCHプロジェクト」などの
原料に使ったり、余すところなく活用しています。
「古いお米は、新米に比べると食味は落ちているかもしれないけれど、
加工にはすごく向いている素材なんだよ」と、夫。
おうちで麹をつくりたいと思っている方がいたら、ぜひ古米で試してみてください。
(10)甘酒をつくる
それでも食べきれない古米は、甘酒の材料に。
やわらかめに炊飯した古米のご飯に水を入れ、60度まで下がったら米麹を投入。
炊飯器の蓋は開けたまま、濡れ布巾をかけて
温度をキープしながら10~12時間ほど発酵させると、
「飲む点滴」といわれる栄養満点の甘酒が完成です。
そのまま飲むだけでなく、スイーツづくりのお砂糖の代わりとしても活躍。
冷凍保存すれば1か月ほどおいしくいただけるので、
まとめてつくっておくと良いかもしれません。
古いお米といっても、新米が登場するまでは毎日食べていたお米。
まだまだおいしく食べられるものばかりです。
今回のレシピを活用して、楽しく食べてもらえたらうれしいです!
また、「自分がつくったおいしい新米を食べてみたい!」という方は
いつでも、誰でも、参加できる
棚田オーナー制度も、ぜひ覗いてみてくださいね。
美しい糸島でお待ちしています!
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