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writer profile
Mayo Hayashi
林 真世
はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。
福岡県との県境、熊本県の北部に位置する南関町。
竹箸メーカーの〈株式会社ヤマチク〉は「竹の、箸だけ。」をモットーに、
南関町で竹の箸をつくり続けています。
今年で創業60周年の“還暦”を迎えたヤマチクは、2023年11月11日の「箸の日」に
初のファクトリーショップ〈拝啓〉をオープンします。
店舗前の芝生には人の背丈ほどもある箸のモニュメントが設置され、
訪れる人たちを出迎えてくれます。
さらに目を引くのは外壁に施された「拝啓」のサイン。
小代焼(しょうだいやき)と呼ばれる、南関町の南方に位置する
小岱山の麓で焼き続けられる陶器がその装飾に使われています。
店内に入ると、ヤマチク特製の竹箸はもちろんのこと、
ヤマチクが催事などで日本全国を回るなかで出合った
各地のものづくりの仲間たちが手掛けるブランドの商品が並んでいます。
自然光が入る明るい雰囲気で、ゆっくりと吟味しながらお買い物を楽しめそうです。
拝啓のコンセプトは、“手紙”。
「作り手の思いや、生産背景を直接伝える、
手紙のような場所にしたい。
お客さまが大切な人を思い、
手紙を綴るように贈り物を選んでほしい」
そんな思いが込められ、
地域の人たちが楽しみながら買い物ができる場所として拝啓は誕生しました。
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「オープンまでの4か月間でいろいろなことに挑戦できました。
まずは地元の南関町の人たち、そして南関町以外からもたくさんの方に
来ていただきたいです」と話す山田さん。
なかでも山田さんが力を入れたのはカフェメニューの開発です。
監修に熊本在住の料理研究家・高山由佳さんを迎え、
南関町の名物である「南関そうめん」や
熊本名物「黒棒」を使ったスイーツが完成しました。
南関そうめんの製造時に出てしまう「ふし」を使ったスイーツは、
南関町内で製造するそうめんメーカーの家庭で
子どもたちが食べるおやつがヒントになっているのだとか。
また同じく南関町の菓子メーカーの〈橋本製菓〉の黒棒を
下地にしたティラミスは、そうめん屋さんのおやつと同様に、
“箸で食べられるスイーツ”です。
拝啓のカフェメニューは全て「お箸でいただける」ということで、
お客さんがお箸のラインナップから気になるものを選んで、
実際に試してみることができるのです。
箸を口に運んで口当たりを確認できるので、
自分用にも贈り物にも安心して購入できますね。
掴む、切る、つまむ。
普段何気なく使っている箸ですが、
さまざまな機能や相性があることに改めて気付かされます。
拝啓スタッフのおすすめや提案を参考に、
竹箸ならではのしなりや天然素材の使い心地のよさを
存分に体験してみてはいかがでしょう?
ヤマチクは創業以来、年間約500万膳の竹箸を生産しているのだそう。
安定供給ができるのは、
竹を切り出す切子さんや竹材屋さんの存在があるからこそ。
ヤマチクが海外産の材料に頼らず、
地元の九州産地の竹材を使い続けている理由はまさにそういったところにあるのです。
ヤマチクを担う三代目の山﨑さんは、
「僕らが責任を持って切子さんや職人さんの仕事を守り、
地域の循環が途絶えないものづくりを持続していくことが重要です」と話します。
もともとOEM(受託生産)が主だったヤマチクの方向性を見直し、
これまで自社ブレンド〈okaeri〉のリリースや〈大日本工芸市at 熊本〉を主催するなど
さまざまな取り組みを行ってきた山﨑さん。
人口減少が進む南関町で新たに店舗を開業することに決めた背景には、
地元の若者がまちを出て行くことへの危機感が大きいと話します。
「もっと南関町を盛り上げたい、景色を変えたい。
地元の人たちが誇れる場所にしたい」という思いで、
自社のものづくりにとどまらず、まち全体の未来を見据えています。
ものづくりから、まちづくりへ。
拝啓という場所から、南関町の景色はどう変化していくのか今後がたのしみです。
現在、ヤマチクではクラウドファウンディングを実施中。
詳しくはこちらをご覧ください。
「ファクトリーショップ「拝啓」で、地元の若者の自慢になりたい!」
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拝啓
*価格はすべて税込です。
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