神戸のシンボルがデザイン土産で 登場!シンプルで美しい 「ポートタワーの和ろうそく」

日本伝統の「和ろうそく」とは、
ハゼの実を主原料とし、和紙の芯を持つ、
西洋ろうそくよりも、大きく揺れ動く炎が美しい癒しのあかり。
ご先祖様へのお供えだけでなく、インテリアや
ギフトにも喜ばれる逸品です。

この伝統の「和ろうそく」が、
デザイナーとのコラボレーションで新しく生まれ変わりました。
兵庫県西宮市で明治10年からろうそく店を営む松本商店が、
プロダクトデザインを中心に活動する神戸のデザイナー、
橋本崇秀さんとコラボレーション。
神戸のシンボル「ポートタワー」を形どった「ポートタワーの和ろうそく」
としてお目見えしたのです。

ポートタワーの絡み合った鉄骨のフォルムも再現されています!
シンプルでとってもオシャレですね。

松本商店では、この「ポートタワーの和ろうそく」に
自由に絵付けしてオリジナルの「ポートタ和-ろうそく
を作れる体験コース(1,785円)もご用意されています。

ポートタワーの和ろうそく

ポートタ和ーろうそく体験

地球の引力を感じる!日本の木で 作られたキュートすぎる 「りんごのけん玉」

人間の目を描いた葉っぱが舞い落ちる「まばたきの葉」や、
海にジッパーが引かれているように見える「ファスナーの船」など、
チャーミングなアート作品を数々手がけるアーティスト、鈴木康弘さん。
このキュートな「りんごのけん玉」は、もともとは鈴木さんのアート作品でした。
ニュートンがリンゴを見て万有引力の法則を発見したことから、
鈴木さん自身が得意なけん玉が引力を用いていることに発想が結びつき、
地球の引力を感じるための遊び道具として作られたのです。

このキュートなアート作品が、「もっと木を」というコンセプトのもと、
音楽家の坂本龍一氏の呼びかけによって設立された
森林保全団体「more trees」により、オリジナルプロダクトとして、
気軽に買えるようになりました!

日本の森林保全を目的とする「more trees」のプロジェクトですので、
使われているのは国産の木だけ。
りんごの部分は北海道のカバ、取っ手は青森県・岩手県のヤマザクラ、
台座は岐阜県のひのきを使い、
小田原の職人さんが手作りで仕上げています。

「ピカピカのまま飾るのもありですが、使い込んで塗料がすり減ると
リアルなりんごになっていきます」と鈴木さん。
鈴木さんが考案した、「灯台」(りんごの上に取っ手を立たせる)や
「すべり止め極意」(取っ手のすべり止めにりんごを乗っける)
など、取り扱い説明書に書いてあるのも購入した人の特典。
見た目もかわいらしく、楽しみながら、バランス感覚を
養うことができそうです。お値段は6,825円となっております。

more trees「りんごのけん玉」

TESニューエナジー Part1: たき火で携帯を充電!? 熱を電気に変える発電鍋。

たき火の熱を電気に変える技術。

いま「発電鍋」が、話題になっている。
鍋を火にかけることで発電でき、
煮炊きしながら携帯電話の充電ができるなど、電源として使えるのだ。

この熱を直接電気に変える発電鍋を開発したのは、
ベンチャー企業のTESニューエナジーだ。
藤田和博社長に話を聞いてみた。

藤田和博社長

TESニューエナジーの藤田和博社長

きっかけは東日本大震災。

2011年3月11日。
その日の朝、つくば市に行っていた藤田さん。
飛行機で羽田から大阪へ向かう帰路で東日本大震災が起きた。
大阪空港に近づくも上空を3周して着陸した。
空港のモニターでは東北の震災の様子が伝えられていた。

夜になってから被災地の映像が伝わってきた。
被災者の方がドラム缶に木材をいれて火を起こし、暖をとっている。
まだ寒い東北。雪も降っている。

その映像を観た時に「この火でなにかできないか」と藤田さんは考えた。
被災者は安否情報を携帯電話で確認している。
電気が来ていない地域では携帯電話のバッテリーはすぐになくなっていた。

藤田さんの会社は「熱を電気に変える技術」を持っていた。
主に産業界からの受注で工場の廃熱を電気に変える仕事を請け負っていた。

寒い東北に温かい食べものをつくれる「鍋」を送りたい。
それに自社の熱電技術を取り入れたら、
被災地の電力供給に役立てるのではないかと藤田さんは思いついたのだ。

鍋底に熱発電板を組み込み、たき火などの炎で熱すると、水との温度差で電圧が生じる。
これにより発電できれば、携帯電話などが充電できるというしくみだ。

その決断は早かった。
夕方思いついて、その夜の10時には開発を始めた。
鍋を30個近く買ってきて、使えるものを試した。
鍋底の外側に熱発電板を取りつけ、鉄のカバーで覆った。
鍋の内側と外側の温度差が電気に変換される。
3か月ほど試行を繰り返し、ついに完成した。

発電中

約10秒後に青いランプが点灯し発電が始まる。約1時間で充電できる。

青森南部地方の郷土玩具が たまらなくポップに! カネイリミュージアムショップの 「八幡馬」

まるで童話から飛び出して来たかのような、
メルヘンチックなお馬さん!!
これは青森県八戸市を中心とする南部地方に、
古くからある郷土玩具「八幡馬」をポップなカラーリングに
仕立てあげたもの。カネイリミュージアムショップ
オリジナルカラーなんです。

八戸出身のデザイナー田名部敏文さんがデザインし、
地元の職人、「株式会社八幡馬」の高橋利典さんが作っています。

お人形のほかにも、ストラップもあります。
こちらも油断した表情がたまらなく可愛らしい。

八幡馬はもともと農民達が、農閑期の副業として作っていたおもちゃ。
約700年前に京都の方面から1人の木工師が流れ流れて南部地方に
落ち着き、木工および塗装業を営みながら馬の玩具を作ったのが
ルーツと言われています。
福を呼ぶ馬として結婚、新築などのお祝いや
記念品としていまも広く使われており、青森県を代表する郷土玩具です。
こんなかわいいお馬さんをもらったらうれしくなっちゃいますね。

八幡馬

岡山・勝山の絶品ベーカリー、 タルマーリーの本が出た! 出版記念トークイベント開催!

以前コロカル「ローカルデザイン・スタディ」でも登場した、
岡山・勝山にある、素朴な天然酵母のパンを丁寧につくりあげるベーカリー
パン屋タルマーリー」。
もともと店主の渡邉格さんは千葉でベーカリーを営んでいたのですが、
水のすばらしさとまち並みに心惹かれて岡山に移転。
遠方から足を運ぶファンも多いベーカリーになったんです。

そんな渡邉格さんが、本をだしました。
タイトルは「田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」」!
不思議なタイトルですが、その意味はお金中心の「腐らない」経済から、
発酵と循環で成り立つ「腐る」経済へ、というメッセージ。
渡邉さんたちがパンづくりに込める思い、
パン屋を営む実践の日々、そして半生を綴った一冊なのです。

この出版を記念し、10月6日(日)の13時~14時半、
パン屋タルマーリーにてトークイベントが開催されます。
題して、「美作の“これから”を考える
~過疎のイメージを覆す「小商い」の担い手たち~」!

過疎に苦しむ岡山県北一帯の自然と歴史に魅せられ、移住してきた渡邉さん。
それは地域の可能性を信じ、地域の資源を活かして自分の手でものをつくる、
「小商い」の担い手たちがいたからでした。
トークイベントには、下記の担い手たちが登場します。
地元に根付いて生きていく方法を模索する
とても有意義な機会になることでしょう。

~美作の〝これから〟を考える~トークイベント『過疎のイメージを覆す「小商い」の担い手たち』

【出演者】

■ひのき草木染織工房・加納容子さん:美しい町並みを守る元祖・勝山の魅力発掘人

■辻本店 杜氏・辻麻衣子さん:勝山で200年以上続く酒蔵「辻本店」初の女性杜氏

■平松竹細工店・平松幸夫さん:勝山伝統の竹細工を受け継ぐ若き担い手

■蒜山耕藝・高谷絵里香さん:震災を機に蒜山に移住した自然栽培農家

■スペシャルゲスト:難波邸・山田哲也さん、鈴木宏平さん

難波邸は、岡山県美作市で築100年の古民家をリノベーションし、
食堂やセレクトショップ、アトリエなどを運営する4人組のユニット。

多鹿治夫鋏製作所

四代にわたり続く丁寧な鋏づくり。

兵庫県小野市。神戸から車で約1時間ほどのところにある
住宅街の一角に「多鹿治夫鋏製作所」はある。
昭和13年から続くこの鋏製作所では、
現在は三代目の多鹿竹夫さんと四代目の大輔さんが、
手づくりで一丁一丁、丁寧に鋏づくりをしている。
もともと問屋だった竹夫さんの祖父にあたる初代が製造もするようになり、
竹夫さんの父の二代目が職人として働いていた。
竹夫さんが三代目を継ぎ、大輔さんも働くようになって2年半ほどで、
二代目は亡くなってしまった。
現在は、国内だけでなく、海外からの注文もふたりでこなしている。

とにかく、鋏づくりは工程が複雑で手数が多い。
昔は分業制だったそうだが、現在では外に出せる業者も少ないので、
もととなる材料を仕入れる以外は、ひと通りの作業をすべて多鹿さんの工場で行っている。
そのため工場には大きな機械やいくつもの道具が所狭しと並び、
さまざまな種類の鋏の型が置いてある。

鋏の鋼は、炭素量が多いほど焼き入れをしたときに硬度が高くなる。
よくコンビニやスーパーでも売っている、プラスティックの柄がついているような
安価な鋏は、刃がステンレス材のローカーボンだが、
多鹿治夫鋏製作所では、ハイカーボンの良質な素材を使う。
刃物材と柄の部分を溶接したあと、
炉の火で刃物の部分を熱くし成型する「鍛造」と呼ばれる作業を経て、
さらに鋼を強くする焼き入れ、焼き戻しと続く。
ここまでが材料となる部分をつくる工程で、
これらが終わった「中間在庫」が大量に保管されており、
そのあと磨きや研ぎなどの作業が続いていく。
後半の、主に仕上げにあたる部分は、父の竹夫さんが担当している。

刃物材をよく見ると、鋼と地金に分かれている。3分の1ほどの黒い部分が刃になる鋼の部分。

刃物材と柄の鋳物の部分を溶接する。

轟々と火が燃えさかる炉。約900度の温度で鉄を熱する。

まだ熱い鉄を成形。一発勝負の緊張が張りつめる作業。

鍛造は主に大輔さんの仕事。かなり熟練してきた。

多鹿治夫鋏製作所では、一般的に売っている鋏ではなく、
専門職に就く人が使う裁ち鋏をつくっている。
それらは少しずつ形が異なるため、得意先の数だけたくさんの型がある。
裁ち鋏のほかにも、各地からさまざまな用途の鋏の注文がくる。
たとえば、肉まんや饅頭などをふかす際に底に敷いたり、おにぎりを包むときに使う、
紙のように薄い木材、経木(きょうぎ)を切るための鋏をつくってほしい、という注文。
幅のある経木を何回かで切るのではなく、一度に切れるように
できるだけ長い鋏にしてほしいという依頼で、
日頃つくっていない長さにもかかわらず、挑戦したそうだ。
焼き入れで失敗することもあるそうだが
「難しい注文がくると、やってやろう、という気になります。
なんでも懲りずにチャレンジしますよ」と竹夫さん。

四代にわたり鋏をつくってきたが、ただ漠然と現在に至ったわけではない。
当然のことながら、そこにはものづくりの世界で残っていくための努力がある。
分業にしてほかの業者に頼っていては、いつ続けられなくなるかわからない。
そのため工程に必要な大型の機械を工場に入れた。
磨きに必要な機械は、新潟の洋食器製造に使う機械を改良したものもある。
どの機械が欠けても鋏づくりはできないが、
竹夫さんは大輔さんの代も続けていけるよう環境を整えた。
それは、同業者が減っていくなか、「継いでほしい」とは言葉に出さないものの、
父から息子への決意表明のようなものだった。

竹夫さんは大輔さんが大学に進学するときに、
家業も「選択肢のひとつに入れてほしい」とだけ告げたが、
大輔さんの気持ちは決まっていたようだ。
「代々やってきたことを継がない人もいると思いますが、
こういう環境にいられるのも、誰もが選べるわけじゃないですし。
自分のやり方で、できることはあるんじゃないかと思っていました」と大輔さん。

中間在庫と呼ばれる、仕上げ前のものが大量に保管されている。

さまざまな注文に対応してきた。その数だけ型がある。

研ぎにも熟練の技がいる。「ひずみ」と呼ばれるひねりが入っていることにより、よく切れ長く使える鋏になる。

刃と刃がどのようにすれ合って、切れていくかを説明する竹夫さん。

幅広く、より多くの人に使ってもらうために。

裁ち鋏を中心に製造してきたが、不況で縫製工場が海外に移転してしまったり、
これまでの得意先や注文だけでは、先細りしてしまう。
もっと広く一般の人にも使ってもらえるように、と
立ち上げたオリジナルブランドが「TAjiKA」だ。
あるとき大輔さんが、見た目はいいが切れにくい鋏を見つけて、
見た目もよく切れ味もいい鋏をつくれないかと思い立った。

ヨーロッパのアンティークの鋏を連想させる優美なデザインの「iron」は、
味を出すために金槌や古い型を使って仕上げていく。
銅メッキを施して味わい深い雰囲気を出した「copper」は、
竹夫さんがふとしたことから考えついた。
どちらも、ものすごく切れるようには見えないが、実際に切ってみると、
突っかかることなくスッとよく切れて、その切れ味に驚く。
美しいデザインの裏に、長年培ってきた
裁ち鋏の細やかな技術がとり入れられているのだ。
また、東京を中心にガーデニング活動をしている
「VALLICANS」とのコラボレーションから生まれた「garden cripper」は、
バリカンにも似た、ちょっと変わった剪定鋏。
機能性だけでなく、遊び心があって楽しい鋏だ。
どれも、これまで使っていた型を利用しながら、
ひと工夫、ふた工夫加えてつくっている。

TAjiKAの鋏をつくるのは通常の裁ち鋏より手間がかかる。「iron」シリーズの持ち手は古い型を使って鍛造するので、できあがりはひとつひとつ違う。右は「garden cripper」。

「TAjiKAは新しいことがやりたくてやっている、という感じではないです。これからも鋏をつくり続けていくために、いまは必要なこと」と大輔さん。

TAjiKAの鋏をつくり始めてから、使い手との距離が近くなった、と竹夫さん。
「それまでは誰が使っているかわからなかったけど、
いまは使う側の気持ちになって製品づくりをしたいと思うようになりました。
使い手に親切な鋏をつくらなければと」

大輔さんには、鋏づくりとは別の苦労もあった。
竹夫さんは鋏づくりのプロではあっても、ブランドづくりとなると話は別。
最初はなかなか理解が得られない部分もあり、父子でケンカになることも。
大輔さんは結果を出すことで認めてもらうしかないと思い、
さまざまなことに取り組むなかで、少しずつセレクトショップで扱ってもらえたり、
海外でも売れるように。そうした活動を見て、竹夫さんも少しずつ認めているようだ。
「いまでもよくケンカしますけど(笑)、でもまたすぐに話すようになります。
見せ方の部分では、僕がやりたいようにやらせてもらっています。
親子でないとできないですね」と大輔さんは笑う。
いいバランスで仕事が成り立っているようだ。

鍛造の作業をしているときに、竹夫さんが話してくれた。
「鉄は熱いうちに打て、という言葉があるでしょう。
あれは人間のことを言ってるんでしょうね。
人間冷めてしまったらあかんで、というような意味だと思う。
冷めたらかたちにならんですよ」
これからも、熱い親子の挑戦は続いていく。

information


map

多鹿治夫鋏製作所

住所 兵庫県小野市上本町131-1
http://www.takeji-hasami.com
http://www.tajikahasami.com

>>多鹿大輔さんとも親交があり、TAjiKAの鋏を取り扱う丹波篠山のショップ「プラグ」を訪ねました。「別冊コロカル」でご覧ください。

高田製作所

ユーザーに寄り添った伝統産業プロダクト。

ものづくりのまちと呼ばれている富山県高岡市。
特に鋳物は有名で、鋳物工場だらけの一帯があるほど。
周りはライバルでもあるが、高岡のものづくりを盛り上げる同志でもある。

江戸時代初期から伝わる高岡の鋳造業が担ってきた製品は、仏具、花瓶、茶道具だ。
ところが、毎年数パーセントずつ売り上げが落ち込んでいった。
「悪くなる一方の状況を、肌で感じました」と
1997年の入社当時の空気を語ってくれたのは高田製作所の高田晃一さんだ。

高田製作所 常務取締役 高田晃一さん。

そこで、それまでの真鍮製品に加えて、2000年にはアルミの鋳造を始めた。
自分でデザインしたソープディッシュが
〈富山県デザインウェーブ〉というデザインコンペで優勝するなど、
少しずつ高田製作所のアルミ製品は広まっていった。

2004年に、ミラノサローネに単独出展したことも大きな転機だった。
「商品を送って、届かなかったりしたらイヤなので、
自分たちでトランクケースに入れて運びました。ひとりが持ち込める重量には
制限があるので、職人なども連れて7人で乗り込みましたね」と苦労もあったが、
そこでイタリアの世界的なインテリアメーカー〈モルテーニ〉に認められ、
そのセレクトショップに2種類のフラワーベースを置いてもらうことになった。
その後、逆輸入的に日本の百貨店やインテリアショップでも販売される。
このフラワーベースはデザインの評判もよく、販売も好調。
しかしあるとき、高田さんが敬愛する建築家、清家清さんにいわれたひと言。
「シャープですごく美しいデザインだけど、
子どもがケガしたり、病気になってしまうものと紙一重だ」
たしかにこのフラワーベースの魅力は、直線が組み合わされた鋭利なデザイン。
使いようによっては危ない側面もある。

「うちのおじいさんが、“もう武器はつくらない”といった話にも
反していると思ったんです」という高田製作所設立のストーリーは印象的だ。
高田製作所の創業者である高田さんの祖父は、
日露戦争後、大日本帝国の兵器をつくる工場で働いていた。いわゆる鋳造業だ。
しかし“もう武器はつくらない。死んでいった者のために仏具をつくりたい”
と思い立つ。
そして仏具の産地であった高岡に移り住み、高田製作所が設立される。

清家さんからの言葉と祖父の理念もあり、
フラワーベースの製造はやめ、テーブルウェアをつくり始めることになる。
〈SHIROKANE〉は錫製品のブランドで、
ビアカップや箸置き、アクセサリースタンドなどを展開している。
そのアイデアソースを「妻や友だちなど、まずは身近なひとを思い浮かべて、
彼らが喜んでくれそうなものをつくりたい。
みんないつ笑っているんだろう、といつも考えています」と語る。

「自由なかたちや曲線が生みだせることです」
鋳物の魅力は? と訊ねると、こう答えた。
つまり、ある特定のひとだけに合わせたものもつくっていけるのだ。
「お客さまに寄り添ったかたちで、本当の答えを知りたい」という
ユーザーフレンドリーな商品は、こうした感覚から生まれている。

砂で固められた型に、溶かされた金属が流し込まれる仕組み。高田製作所では山砂を使ってカスタマイズ(企業秘密)。型製作は手作業なので、1日の生産量は限定的だ。

黄色い炎をあげる約1100℃の真鍮を流し込む。流し込む速さによって仕上がりも変わってくる。

流し込まれた金属(錫)が固まったあと、取り出される。まだ熱い。砂でつくった型を用いることで、“鋳肌”と呼ばれる表面が生まれる。独特のざらっとした質感が美しい。

高岡の“ものづくりDNA”を後世へ。

高岡は、ひとつの企業だけが活発なわけではなく、
地域全体として盛り上がっている。
その中心となっているのが高岡伝統産業青年会。
40歳までの職人、メーカー、問屋など、
50人ほどのメンバーがさまざまな立場から、
伝統産業を外に発信したり、商品開発や展示会を手がけている。
メンバーみんなが新しいものに目を向け、お互いにいい刺激を与えあっている。

高田さんは今年で卒業だが、実は取材を申し込んだ際、
「ほかにもおもしろい職人や企業がたくさんあるので会ってほしい」と
何人もの仲間を紹介してもらった。
それぞれが積極的に行う地域活性やローカリズムが、
有機的なかたちで構築されているのが高岡なのだ。

そういった地域活動の一環として、高田さんは小学校で授業をしている。
これまで、ものづくりのまちであることを謳いながら、
教育の現場ではまったくものづくりについて語られてこなかったという。
そこで前市長が考案したのが、ものづくりデザイン科という授業。
高岡のものづくり人が、
図工の時間に伝統的なものづくりを教えるというものだ。

高田さんはデザインの授業を受け持った。
「授業を通して思ったのが、
顔の見えないものづくりばかりだったということなんです。
男の子は刃物だったり、
女の子はお花モチーフなんだけど角が尖った携帯スタンドとか。
誰のためのデザインか、何のためのデザインか、見えていないんですね。
そこで、お母さんの好きな色は? においは? など、
つくる相手を想像できるようなブレストをしました。
それらを組み合わせて
“お母さんが好きな、くさいにおいの、ピンク色の、携帯スタンド(笑)”
とかいうと、みんな想像力豊かだから笑うんです」と、
ここまでが高田さんの授業。
デザインがコミュニケーションであることを、身近な対象を使って考えてもらう。
その後、実際に職人さんと一緒につくった作品を見ると、
使うひとのことが考えられたデザインが多数あったという。

繊細なタッチが必要とされる研磨の工程。

「製造能力だけではなく、
企画や販売、発信する側も育てていかなければなりません」
子どもたちに伝統産業に目を向けてもらうことで、
少しでも衰退をとめていかなければならない。
ユーザーが伝統工芸品を使わなくなったことが衰退の原因であり、
その背景としては、
現代に合うものづくりに改良してこれなかったことも一因としてあるだろう。
いくら技術があっても、製品として世の中に広まっていかなければ、
技術自体も衰退してしまう。
その進化を推し進めるのは、これからものづくりを担うであろう子どもたち。

「伝統産業のDNAや記憶を未来に運ばなければなりません。
それがぼくたちの仕事です。
そのためにぼくは、お茶の間のシーンを想定しています。
親から子へ、そして孫へと受け継がれていくプロダクトをつくることで、
孫の代まで“メシを喰っていける”産業になるわけです」

高田さんの名刺には「モノをつくることは、人を愛すること」と書いてある。
「まだ喜ばせていないひとたちがたくさんいます。
最近では農家さんと話していて、何を思い、何をつくり、どう食べていくのか。
それらを知っていくことが自分の目標です。
出会い、話し、知っていくこと。“ひと探し”から始めています」

使うひとを愛しているから、使い勝手のよいデザインが生まれる。
ひととプロダクトを切り離さないから、使ったひとが喜んでくれるのだろう。

〈15.0%〉というアイスクリームスプーンブランドの商品。大きめのアイスクリームスクープは、アイスを球状にすくうことができる。素材はアルミニウムの無垢材。

新潟県燕三条の職人技を 間近で見るチャンス! 54の工場が参加する 「燕三条 工場の祭典」

新潟県のほぼ中央に位置する、燕三条地域。
ここは世界有数の高度な技術集積地として知られ、
初代iPodにも使われたステンレス加工技術など
高い技術を持つ職人さんがたくさんいるところ。

でも普段は皆さんすごく忙しく働いてらっしゃるので、
仕事ぶりを見学することはすごく難しいんです。
そんな職人さんたちの仕事を、間近で見られるチャンスが到来!

2013年10月2日(水)~10月6日(日)までの5日間、
新潟県燕三条地域の名だたる企業が一斉に工場を開放し、
ものづくりの現場を見学・体験することができる
イベント「燕三条 工場の祭典」が開催されます。

参加する工場の数はなんと54! 
開催されるワークショップの数は47!

コロカル記事も評判だった株式会社スノーピークさんや
庖丁工房タダフサさん、小林製鋏さんなどが参加。
工場の見学だけでなく、自分で研磨や彫金が体験できる
ワークショップもたくさん開催されます。

またナイフやフォーク、鍋や包丁など燕の
金属製品がお得なお値段で大盤振る舞いされる
「燕青空即売会」もあり、お買い物も楽しみ。

工場を見学してみたい方、ものづくりに興味のある方、
職人と話してみたい方、そして、職人になりたい方、みんな大歓迎。
日本のものづくりの真髄に触れるイベント、ぜひチェックしてみてください。

燕三条 工場の祭典

アウトドアでも人気! 震災の経験から生まれたおいしい 非常食「みやぎのもちっ粉」

東日本大震災においては、電気や水道などのライフラインが絶たれ、
食料品があっても加熱調理ができないことがありました。

そんな経験から生まれたのが、「みやぎのもちっ粉」。
加熱調理や熱湯などは不要。常温の水を加えてこねるだけで、
簡単にお餅が作れるキットです。たった5分で、
おいしいお餅を作ることができるのがすごいですね。

できあがるお餅は、ほんのりとした甘さ。
海苔を巻いたり、きな粉などをかけてもおいしく食べられます。
また水の代わりに牛乳などでも作ることができるので、
ゴマやココアと混ぜてもおいしいおやつになります。

製作者は、宮城県の北部、加美郡加美町の米粉屋さん「菅原商店」。
「広がれ、米粉の輪!」をスローガンに、
ゆべし、落雁、だんごなどの伝統和菓子の原料や、
パンやケーキ用にも使える米粉を販売しておられます。

すぐれたアイデアの「みやぎのもちっ粉」は話題を呼び、
非常食として常備されるのはもちろん、
最近ではハイキングや登山をされる方の間で、
手軽でおいしい行動食としても人気になりました。
お値段は1袋350円。通信販売で購入することができます。

菅原商店「みやぎのもちっ粉」

写真:TOHOKU FOOD EXPO 2012より

スノーピーク Part2: 企業とユーザーの垣根を越えて、 スノーピークが実践していること。

アウトドアで社会を良くしていくスノーピークの道。

スノーピークは、先代の社長である山井幸雄前社長が、
自分が使う山登りの道具を
鍛冶屋にオーダーしていたところから始まった会社だ。
つまり自分もユーザーであるという精神。
これは現在のスノーピークにいたるまで、
会社の柱となる哲学として脈々と受け継がれている。

山井太(とおる)社長ももちろんアウトドア愛好家で、
特にキャンプとフライフィッシングを好んでいる。

「キャンプは少なくても年間30泊、多ければ60泊くらいしています」

自身もそれだけのユーザーでもあり、絶対にその目線を失うことはしない。
「見た目では、僕が筆頭株主に見えるかもしれないけど、
名義を貸しているようなもの。
本当のうちのオーナーはユーザーのみなさんなんです」

山井太社長

山井太社長と、写真に写っているのは父親でもある先代の山井幸雄社長。

そのように思える環境を、みずから作り出す努力をしている。
スノーピークのイベントにはほとんど顔を出し、
ユーザーからの声を直接聞き、製品や経営などにフィードバックさせる。

「イベントではいちゃもんつけられますし(笑)、
1日に何通も僕のところに要望などのメールが直接届きます。
ユーザーからも“トオルちゃん”なんて呼ばれたりしていますから。
ブランドの社長というよりも、
“キャンプ仲間の山井ってやつがたまたまスノーピークの社長だった”
というような関係性を保ちたいです」

その結果、ユーザーは製品だけの愛好家ではなく、
スノーピークというブランド自体のファンとなってくれる。
「愛好家のみなさんとのコミュニティがブランドなんです。
ユーザーのみなさんに経営に参加してもらっている感覚です」

社員とユーザー、ガラス張りの関係性。

2年半前に広大な土地の一角に現在の社屋を建て、引っ越してきた。
それからというもの、社長のキャンプ泊数が年間15泊ほど増えたそうだ。
この本社=ヘッドクウォーターでは、50名ほどの社員が働いているという。

メーカーとは思えないオフィス空間

メーカーとは思えないオフィス空間。事務機能はすべてこの一部屋にまとまっている。

来客時の打ち合わせスペースは2階にあり、
社員が働いている1階スペース全体を見下ろせる。
それどころか、一般ユーザーも2階を歩いて見学することができる。
メーカーとユーザー、お互いが近い存在である会社の姿勢が
ヘッドクウォーターに感じることができる。

もちろん社屋は、ユーザーだけでなく、
働く社員にとっても良い環境になるように目指している。
広い吹き抜けの社内で、大きな窓からたっぷりの自然光が注ぐ。
フリーアドレスなので、毎日違う席に座ることになる。
しかもイスの種類などもところどころで変えており、
気分一新、次なるアイデアを生み出しやすい環境づくりにつとめているのだ。

「普通、社長室は最上階だと思いますが、うちは1階にあって、
上をユーザーさんが通ります。
社員の席からは、ユーザーがキャンプしている姿が見渡せます。
それをさらに両方見ることができるのが社長室。
社員を見つつ、彼らのベクトルをユーザーに向かわせる。
そういう配置にしています」

アウトドアのメーカーの本社が、自然豊かなキャンプ場に併設されていることは、
嘘がないように思う。
オフィスで開発や営業し、工場でつくり、ショップで売り、
そして、キャンプ場で使ってもらう。
実際にユーザーが使っているフィールドまでもすぐ目の前にある環境が、
好循環を生んでいることは間違いない。

益子と笠間、19人の作家展。 クラフトマンシップに触れる 「Trace of Hand」

栃木県芳賀郡益子町と、茨城県笠間市。
民藝運動において中心的な役割を担った陶芸家・濱田庄司が、
理想とする風景とコミュニティを求めてたどり着いた益子と、
その隣町で益子と同様に陶芸の産地として知られている笠間。

現在、二つの町は「クラフトの理想郷」として知られ、
多くの工芸家や芸術家が移住しています。
震災時には多くの作家が震災を被りましたが、
今ではモノ作りに携わる人たちの連帯感が強まっているのだそうです。

この益子と笠間で活動する、
19人の作家の作品を展示する展覧会「Trace of Hand」が
「Playmountain」(千駄ヶ谷)、「SHIZEN」(千駄ヶ谷)、「うつわ楓」(南青山)
の三会場で開催されます。展示されるのは、
益子産の陶土を使ったうつわや木工の家具など、
笠間と益子ならではのクラフトたち。ぜひこの機会に、
豊かな環境が育んだ作品たちに触れてみてください。

Trace of Hands -笠間と益子の19人の作家-

雨の休日に。 京都・伏見の風龍窯さん作、 猫が読書している 「猫の染付そばちょこ」

今日は大型の台風18号が関東に接近中ということで、
お家で過ごされる方も多いかもしれませんね。

そんな休日、ゆっくりおうちで食べるご飯やおやつのお供に、
京都・風龍窯の「猫の染付そばちょこ」がステキです。
のんびりと本を読む猫がなんとも愛らしい。
おそばだけでなく、デザートカップや小鉢としても、
お酒やお茶をいただく器としても使えます。

こちらの作者は、京都の伏見で「風龍窯」を主宰する
見谷佳則さん。猫をモチーフにした
伝統柄と染付けや色絵の陶磁器を作ってらっしゃいます。
お値段は1,995円(税込)となっております。

猫の染付そばちょこ

北の大地の 自然から生まれたテキスタイル。 北海道の「点と線 模様製作所」

本日は、北海道を拠点に活動されているテキスタイルブランド
「点と線 模様製作所」のすてきな世界をご紹介。
北海道生まれのデザイナー、岡理恵子さんが主宰するブランドです。

岡さんが北海道の景色や自然から
インスピレーションを受けてデザインした、
オーガニックなモチーフのテキスタイルや
グラフィックたちはとても魅力的。

こちらは広い大地に一面に咲くタンポポを描いたもの。
このほかにも、針葉樹や鳥達の庭など、情景が
浮かび上がってくるような、乙女心をくすぐるデザインの
テキスタイルを作られています。

「点と線 模様製作所」の生地やハンカチ、バッグなどは、
各地のセレクトショップのほかオンラインショップ
倉敷意匠のWebサイトから通信販売が可能。

なお、岡理恵子さんはただいま伊勢丹新宿店で開催されている
「トーキョーガール手作り荘」にも出展されています。
こちらもぜひチェックしてみたいところです。

点と線 模様製作所

倉敷意匠計画室 岡理恵子さん

トウキョウガール手作り荘

三陸の海の女たちが作る 復興ミサンガ、ほんとにあります。 浜のミサンガ「環」

岩手県を舞台にした、朝の連続ドラマ「あまちゃん」。
最終回まであと2週間あまり、舞台が北三陸に戻って
なんだか見ているほうまで故郷に帰ってきたような
気持ちになりました。

さて、今日ご紹介するのは、
「あまちゃん」にも登場する、北の海の女たちが作るミサンガ。
このミサンガ、ほんとにあるんです。
その名も、"浜のミサンガ「環」"。

震災後、漁業の仕事がなくなって途方にくれた
働き者の女性たちに仕事を生み出すために始まった、
三陸の漁網でオリジナルのミサンガを編む
「三陸に仕事を!プロジェクト」の一環です。
手先が器用な人は網のミサンガを、初心者だからは細いミサンガを、
という風にワイワイ作っておられるのだそうです。

ミサンガの販売代金は1セット1,100円。
そのうち、材料費や販売経費、諸経費を除いた、
1セットあたり約500円以上(現状)が浜の女性たちに支払われます。

全国のふるさとショップで販売されているほか、
Web通販も行っておられます。

浜のミサンガ「環」

神戸「フクギドウ」 で鳥取のいいもの展覧会。 「オトナの鳥取 ゆかいな手仕事展」

神戸の六甲にある、築50年のアパートに開店した
民藝の器などを集めた器屋さん、「フクギドウ」。
こちらのフクギドウ201号室にて、
9月6日(金)~9月21日(土)にわたって
オーナーが鳥取を旅して出会った
陶器や和紙、染織などの手仕事の品々を紹介するイベント
「オトナの鳥取 ゆかいな手仕事展」が開催されます。

イベント期間中は、岩井窯、因州中井窯などの
鳥取の窯でつくった器や因州和紙や弓浜絣などを展示販売。
おでかけコロカル鳥取編でも紹介した延興寺窯もあります!
このほか、鳥取の器を使ったランチやコーヒー、特産品の生姜を
使ったお菓子などのご紹介も。
鳥取の旬の食材を使ったお料理と鳥取の器がコラボレートします。

また、同時期にフクギドウ本店では岩美町の牧谷窯、
杉本義訓さんの個展を開催。練り上げの器がずらりと並びます。
各イベントの開催日程など、詳細は下記Webサイトにて。

オトナの鳥取 ゆかいな手仕事展

もうヒラヒラしない! 石川県輪島市の 朴木地屋さんが作った 「蓋付きティッシュケース」

ボックスティッシュから覗いている、
ヒラヒラとしたティッシュペーパー。
これがどうしても気になる、ということで
普段はティッシュが見えない「蓋付きティッシュケース」が作られました。
片手でどちらからも開閉可能。あすなろの木で作られているので、
ティッシュにあすなろの芳香が移る効果もあります。

この蓋付きティッシュケースを作ったのは、
埼玉県川越市在住の手工業デザイナーOji & Design(大治将典)さんと、
石川県輪島市の創業80年を超える朴(ほお)生地屋さん「輪島キリモト」。
朴木地とは漆が塗られる前の木地のことで、普段は
漆の器、小物、家具、建築内装材などを手がけておられるメーカーです。

ティッシュケースは日本橋三越で発売中。
キリモトさんのWebサイトでは漆のコーヒーカップや名刺入れなど
珍しい製品が販売されているので是非チェックしてみてください。

輪島キリモト

Oji & Design(大治将典)

家族のようなソファが 見つかるかも。広島県福山市 「心石工芸」が代官山に 期間限定ショップ

広島県福山市の「心石工芸」さんは、
ヌメ革・オイルレザーを張ったソファなど、
使い込むほどに味わいの増す良質な本革のソファを
オーダーメイドで作っておられる国産ソファメーカー。
人気のインテリアショップのOEM製品も手がけており、
クオリティの高い国産ソファで名高いブランドなのです。

そんな心石工芸さんが、多くのファンの声に応えて
ソファ専門ショップ「KOKOROISHI」を
9月13日(金)~24日(火)の期間限定で
東京・代官山にオープンします。

「もっと楽しむ、ソファのある毎日」をテーマに、平日は21時まで営業。
これは、実際にソファを使う夕方からの時間帯に、
照明を活かした心地良い空間提案をするため。

これまでは工場の近くにあるショップで、予約のみの受付でしたが、
遂に東京での期間限定ショップが実現しました。
会場では、さまざまな掛け心地のソファ15モデル、
張り地の色やサイズは豊富なバリエーションからお好みを
選ぶことができます。家族のように愛することができるソファが、
ここで見つかるかもしれません

心石工芸

moconoco(モコノコ)

いわき発、木工のプロがつくる新しい神棚のかたち。

細かい彫りと木目が美しいこちらのプロダクトは、
神社のお札が入るようにデザインされた神棚「Kamidana」。
デザインは、mizmiz designの水野憲司さんが手がけ、
福島県いわき市の木工集団「moconoco(モコノコ)」がかたちにした。
「しろ」だと高さ28センチ、「むく」は高さ32センチと、
どちらもとてもコンパクト。
それにしても神棚って、こんな斬新なものでもよいんですね(!)。
「最初、デザイン案を見たとき、私たちもそう思いました(笑)」と話すのは、
このKamidanaをプロデュースした、大平宏之さんと祐子さん夫妻。
夫妻は、福島県いわき市で100年以上続く老舗の正木屋材木店を営む一方で、
木工集団「moconoco(モコノコ)」を束ね、
いわき市から、木工で何か発信できることはないかと模索している。
「きっかけとなったのは、仮設住宅に住む方から、
手軽な神棚はつくれないかと相談されたことです。
確かに、最近の新築住宅で神棚をつくるところは少ないですし、
それなら、今のライフスタイルにも合うような、
新しいスタイルの神棚をつくれないかなと思ったんです」(祐子さん)

正木屋材木店の大平宏之さん(上)と祐子さん(下)。

そこで、大平さん夫妻はデザイナーの水野さんに神棚の相談をもちかけた。
当時水野さんは、自らデザインした
“kotori chair”をつくってもらえる木工所を探しているところで、
大平さんたちにコンタクトをとったところだった。
「本当は、自分の相談をしにいくつもりが、
代わりに神棚のデザインの宿題をもらってきてしまったんです。
神棚なんて、どうデザインしようかかなり迷いましたが、
まずは、神棚の歴史から勉強して、コンセプトを絞っていきました」
と水野さんは、当時のことを教えてくれた。

お神札を家の中で祀る風習が一般に広まったのは、
伊勢信仰が流行った江戸中期と言われている。
以来、広く使われている神棚は、伊勢神宮に代表される「神明造」という
建築様式を模し、小さな神社のかたちをした「宮形」にお神札を祀るものだ。
ただ、そのような宮型は無くとも、
板にお神札を祀るだけでもで神棚としての機能は持ちうるのだそう。

ここから、水野さんは、コンセプトを3つのポイントに絞った。
まず、お神札を祀るという用途はコンパクトにまとめ、シンプルなデザインに。
ふたつ目は、伊勢神宮のシルエットを刻印として残すこと。
3つ目は、木、本来の素材感だ。
「日本には、古くから“木に神が宿る”というような考え方があります。
木の素材感を生かしたかたちにすることで、
木がもっている神聖な雰囲気を保てないかと考えました」

「完成までは、何度もいわきに通いました。いつも終バスギリギリまで職人さんたちと打ち合わせしていましたね」とデザイナーの水野さん。

しかし、そんな水野さんのデザイン案には賛否両論だった。
寺社建築を手がけてきた経験のある職人からは、
やはり、斬新過ぎるかたちなのではという意見も出た。
念のため、祐子さんは地元の神社、数社へ相談しに行くと、
そういった新しいかたちの神棚の提案を快く喜んでくれた。
最近はある神社庁が新しいデザインの神棚を募集していたこともあったという。
地元の神社の太鼓判ももらったことだし、
「だったら、一度デザイナーズウィークに出して反応をみよう」
と、まずかたちにしてみることになったのだ。

頭を悩ませたのはmoconocoのメンバーだ。
「僕たちの想像を超えるものだったので、どうつくっていいか考えましたね」
実制作の担当となった作田木工所の作田貴光さんは話す。
moconocoは、個人や木工所など10数名で構成され、
毎回のミーティングには、仕事状況に合わせて、みながフレキシブルに参加。
基本的には、ミーティングで制作の方向性を決め、
各々が得意とする技術を生かしながら実制作の担当を決めていく。
「頼まれると“ノー”と言えない人と、“できますか?”と聞かれたら、
“できない”とは言えない人たちの集まりかもしれませんね」
と、宏之さんは微笑む。

佐藤木工所の佐藤さんは、つくり付けの家具などを手がける。今回は水野さんデザインのkotori chairを担当しながら、いつも作田さんの相談相手だったそう。

最初のサンプルが完成するも、水野さんからは即座にNGが!
moconocoは、利便性とかたちを最優先に考え、
木を貼り合わせたものをサンプルとして作成。
すると、「木」本来の質感がうすまってしまったのだ。
従来の神棚と同様に、使った木材はヒノキ。
ヒノキは水分の吸放出性が高いため、くるいが出やすい木材だ。
このヒノキを使いこなすためには、
切ったり貼ったり加工を増やすほうが、はめ合わせのくるいが少ない。
しかも日本には四季があり、季節によって木のくるい方が変わってくる。
試作品のなかでも、次第にあかなくなってしまったサンプルもあったという。
それでも、「木のなかに神が宿るような、
自然のままのかたちというコンセプトは、絶対保ちたい」と水野さん。
ここは、職人の腕の見せどころ。
ヒノキのひとつひとつの性質を見極めながら、
乾燥の方法や加工など、作田さんは、佐藤木工所の佐藤 武さんや
他のメンバーにも相談しながら試作を重ねた。

完成までにつくられたサンプルは、50個以上。すべて天然乾燥した無垢のヒノキが使われた。

もうひとつ、メンバーを悩ませたのは、伊勢神宮のかたちを模した刻印。
焼き印では均等に刻印することは難しい。
モチーフとして切り取ったものを貼ってもなんだか安っぽい。
だったら、彫るのか。ひとつひとつ、手彫りなんて、商品化できない……
と、メンバーが頭をかかえるところへ、救世主の一声が。
「新しく入れたうちの機械で彫れると思いますよ」
と、口を開いたのは遠藤建具店の遠藤さとしさんだった。

家業の建具店を継いだ遠藤さんは、
ひとつひとつ、建具をつくる職人技術を大切に考える一方で、
「ライフスタイルも変わってきていますし、従来の技術に加えて、
何か自分のなかでも新しいチャレンジができないか。
新しい加工をお客さんに喜んでもらえないか。
そこで、最新の機材を導入しました」

かくして、Kamidanaの最終形が、ようやく見えてきたのだ。

遠藤建具店の遠藤さん。もともとの工房は津波で流されてしまい、いまは仮設の工場団地に工房を構える。

図面データを読み込むと自動で、レーザーで彫られるため、細かいデザインでも実現可能。遠藤さんは通常の業務が終わってからいくつも試作を重ねたという。

「みんな、うまくいった試作品を持ってくるときは、
ミーティングに少し遅れて登場するんですよ。
でも、こっちはドキドキですよ! 遅れてくるから、
“やっぱり、できませんでした”って言われるんじゃないかって」
と水野さんは当時を振り返る。
サンプルをもって遅れて登場した作田さんが持っていたのは、完成品。
無事に、デザイナーズウィークへ出品することができた。
すると、評判は自分たちの想像以上を上回る好反応だった!
いくつかの雑誌で紹介が決まっていく。なかには、海外雑誌もあった。
みんなの思いと努力が、かたちになった瞬間だった。

Kamidana「しろ」。サンプル制作の途中でサイズ変更が出て、木組みの部分が細かくなり、かなり苦労したそう。

「最初の試作品を見たときの水野さんは、
ものすっごい怒っていましたからね。あの時はこちらも焦りましたよね」
と佐藤さんや遠藤さんは冗談を言うも、
「でも、今までやってきたこととは全く違うことだったから、
違う視点から、木工を捉え直す新鮮さはありましたね。
既存の考え方をとっぱらって、水野さんの視点に立ってみることができたから、
いろいろ検討することができたんだと思います。
曲がっている木もあれば、まっすぐな木もある。
やわらかい木もあれば固い木もある。
この特性をどうやって生かしていこうかなって思うと、
次の楽しみができました」と遠藤さん。
そして、何十個もサンプルをつくった一番の立役者・作田さんは、
「みんなの力があってできたものです。
いろいろな意見を交わしながら一緒にできたことで、
絆も生まれたのかなと思います。いいものをつくることは、
職人にとって、当たり前のことですからね」と、思いを語ってくれた。

Kamidana「むく」。お神札は3枚重ねて納められる。順番は、上から、伊勢神宮、氏神様となる神社、その他崇拝する神社。

「東日本大震災がおこり、福島では、原発事故がおこりました。
でも、いわきも福島も無くなったわけじゃなくて、普通に生きて、
頑張ってやってるんですよ! というものづくりを発信したかった。
世界で、ものづくりが認められるような団体になりたいですね。
いろんなエキスパートが集まることによって、
新しいものが生まれていくような、
moconocoに育っていければいいかなと思っています」と祐子さん。
「めざすは、ミラノサローネですよね?」と言う水野さんに、
みなが笑うも、祐子さんは本気だ。
しかし、このメンバーなら、実現する日も近いのかもしれない。
日本の木を想う職人とデザイナーの心が通じた、
あたたかくもまっすぐなものづくりが、そう思わせるのだろう。

Kamidanaのスタッフ。左からプレス担当の宮本英実さん、デザイナー水野さん、正木屋材木店の祐子さと宏之さん、遠藤さん、佐藤さん。

profile

moconoco

2010年、福島県いわき市内の木工業者と材木屋が集い木工技術の継承、共有、情報発信を目的とした木工職人集団が結成され、2012年震災後の活動を機に「moconoco(モコノコ)」として活動の場を広げる。木のクリエーターとしてさまざまな製品開発、各業種とのプロジェクト、コラボレーション等を行っている。
http://i-moconoco.com(購入&お問い合わせはこちらからどうぞ)

profile

KENJI MIZUNO
水野憲司

1979年東京都生まれ。一級建築士、デザイナー。工学院大学大学院を卒業後、設計事務所勤務を経て、2011年mizmiz design設立。デザインを通して、人の気持ちや想い、願いやその先の風景をシンプルなカタチに落し込み、デザインで心が繋がっていくような空間やモノづくりを行っている。
http://www.mizmizdesign.com/menu.html#id109

有田焼とオランダデザインの 幸福な出会い。佐賀県発 「1616 / Arita Japan」

「有田焼」で知られる佐賀県有田町は、日本磁器発祥の地。
なんと1616年から400年もの歴史があるんです。

この有田において、従来とは異なるデザインアプローチを
試みている「百田陶園」が、伝統を踏襲しながら、有田焼に
新しい価値観をあたえるブランド「1616 / Arita Japan」を
2012年に立ち上げました。

このブランドにおいてクリエイティブディレクターをつとめるのは、
京都を拠点に活動し、KARIMOKU NEW STANDARDやSERGIO ROSSI (イタリア)
等のプロジェクトを手がけるデザイナーの柳原照弘さん。

「1616 / Arita Japan」のうつわはどれもモダンで
美しいものですが、なかでも惹きつけられるのは、
オランダのデザイナー「ショルテン&バーイングス」による
日本の伝統色を再解釈したシリーズの「カラーポーセリン」。
なんともいえない淡い色合いが、生活にやわらかい彩りを与えてくれそうです。

1616 / Arita Japan

世界のEAST・大阪から 国際水準のデザインを— 今年も「DESIGNEAST04」開催

来たる9月14 日(土)、15(日)、16 日(月・祝)の三日間に渡って、
大阪・名村造船跡地にてクリエイティブ・カンファレンス
「DESIGNEAST04」が開催されます。これは建築、プロダクト、音楽など
幅広いジャンルのゲストを招聘し、トークセッションやワークショップ、
マーケットから映像上映などまでを行う、イベントでありシンポジウムでもある
クリエイティブの祭典です。

「DESIGNEAST」は2009年にスタートしたイベント。
発起人は、世界を視界に入れながら、大阪を拠点に活動する
若手デザイナーたちです。
世界の“EAST(東)”に位置する大阪を
“国際水準のデザイン/思考の発信場”とし、
大阪の新たな可能性を見いだそうとしています。

5年目となる今年のテーマは「場への愛」。
従来のカンファレンスのような、プレゼンテーターが一方的に喋る
プレゼンテーションではなく、来場者間の双方向の
コミュニケーションに重きを置いた構成になるのだそうです。

それでは、豪華な出演者の一部をご紹介しましょう。
建築家の藤村龍至コーディネートによる議論の場には
なんと磯崎新、貝島桃代が登場!
最新オランダデザインでは何が起きているのかを語る
Anne Mieke Eggenkamp × Kirstie van Noort × C-Fabriekや、
高度情報化社会における建築についての対談 Kunlé Adeyemi ×南後由和にも注目。

またグラフィックデザイナー・大原大次郎ディレクションの企画
「発声と音声のタイポグラフィーパフォーマンス「TypogRAPy」」では、
3組のラッパーを招聘し、書き文字だけではないタイポグラフィの在り方を
彼らの音楽から掘り起こします。出演はイルリメ、蓮沼執太+大原大次郎、
DJみそしるとMCごはん、徳利ら!
他にもヌケメのショップからgrafと料理研究家の堀田裕介による
3日間限定のフードコートなどなど、数えきれないほどの催し物が行われます。
ぜひ大阪でお会いしましょう!

DESIGNEAST04

写真:増田好郎

倉敷味工房と平翠軒

添加物を使わない、誠実なソースだれの商品づくり。

岡山県倉敷市。風情あるまち並みが残る美観地区を通り抜け、
歩いて15分ほどのところにある、倉敷鉱泉。
昔ながらのラムネを製造してきた創業103年の老舗だ。
なまこ壁が凛々しい蔵を改装したという工場の事務所には、
グリーンのラムネ瓶がたくさん並んでいた。
その隣にあったのは、数種類の調味料の瓶。
ポン酢やウスターソース、デミグラスソースなど商品が並ぶ。
実は、こちらの会社のもうひとつの顔が、
こだわりのソースやたれをつくる倉敷味工房という調味料メーカー。
数年前に爆発的ヒットとなった「塩ぽんず(630円)」の生みの親だ。
高知産のゆずと塩がベースのシンプルな味わいに今もリピーターは絶えない。

いつ見ても、懐かしい気持ちになるラムネ瓶。

塩の次は味噌というラーメンの発想で生まれた「味噌ぽんず(735円)」。地元ファンも多いという岡山県の「まるみ麹」の無添加の味噌を使った風味豊かな1本。

倉敷の美観地区に店を構える、食のセレクトショップ・平翠軒でも
倉敷味工房の商品を複数取り扱っている。
平翠軒は、全国から取り寄せたおいしいもの、ストーリー深い食品を扱う名店。
ちなみに、店主の森田昭一郎さん(メイン写真左端)は、
この倉敷味工房がこだわりのソースやたれをつくることになったきっかけの人。
「おいしい焼き肉のたれがほしいと言われたんですよ」
と言う倉敷味工房の石原信義さんに対して、
「うまい焼き肉を食べるには、うまいタレが必要です。
平翠軒で扱いたいと思っても、なかなかこれっ! というものが無かったんです」
と森田さん。ふたりは、同じ大学の先輩と後輩。
商品の相談は、いつも共通の趣味である海釣りへ向かう車中だったという。
「あーでもない、こーでもないと話していましたね」(信義さん)
「でもそんなときこそポッとヒントが浮かぶんだよ」(森田さん)

「いくら売れた商品があってもね、同じものをつくり続けるだけじゃなく、新しい商品を開発していくのは面白いですね」と倉敷味工房の石原信義さん。

もともと信義さんは、ジュースを瓶詰めする設備を生かして、
業務用のソースをつくったりしていたが、
「たいていのメーカーは、○○エキスっていうのを入れるんです。
成分表示にもよく書いてありますが、それが一体何かわからないですよね。
自分がつくるものは、ちゃんと説明できるものをつくりたかった」
そこで最初につくったのが、ウスターソースそして、焼肉のたれ。
それが売れたので、
ドレッシング、デミグラスソースなどをつくり始めたのだという。

料理人ではないから、商品開発は、いたってシンプル。
試作は家庭のお母さんがするのと同じように料理本を見ながら。
実際の商品でも大型の釜で1度に大量につくると、
味に深みがなくなってしまうから小さい72Lサイズの釜で、複数回くりかえす。
大量の野菜を刻み、手間を惜しまず、手順に忠実に手づくりする。
ときにはフライパンでつくることもあるという。

事務所の本棚には、家庭にありそうな料理本が並ぶ。

「例えば、ウスターソースの場合、新鮮な野菜に徹底してこだわります。
仕入れは、近くの市場でそのとき一番おいしいものを選ぶ。
その何十キロという量の野菜をひたすら刻み、
その野菜の煮汁に、香辛料を入れて炊く。
材料は野菜と香辛料の他にはくだもの、
砂糖、塩、酢、それに、色付けのためのカラメルだけです。
野菜本来のうまみをきちんと出せれば、旨味エキスはなくても大丈夫なんです」
と、息子の信太郎さんがつくり方を説明してくれた。
しかし、そのためには、手間と時間がかかる。
寝かせる期間も含め、
2週間くらいかけて倉敷味工房のウスターソースはでき上がるという。

「それがうまいんです。おれはあんたのところのウスターしか使わんからね。
ありとあらゆるウスターソースを使っても、結局これに戻ってくるんだよ」
と森田さんが話すように、倉敷味工房の調味料は、リピーターが多い。
毎日食べたい家庭料理のようなやさしい味わいがそうさせるのかもしれない。

冷蔵庫から出てきたのは、高知から直接取り寄せているという大きな生姜。

主な材料は トマト、りんご、玉ねぎ、人参、セロリ、にんにく、生姜。味付けには化学調味料、天然調味料、各種エキス類を一切使用していないウスターソース本来の豊かな味わいの「美和 ウスターソース(420円)」。

どれだけ商品が爆発的に売れようとも、素材を厳選し、
数を限定し、手づくりにこだわってきた信義さんと信太郎さん。
「原材料の仕入れを増やせられなかったということがひとつあげられるんです。
果樹であるゆず等は、年に一度の収穫ですから
年間のうちの仕入れる量を取り決めているんです。
特に塩ぽんずは、『高知のゆず』とラベルに産地を書いてしまいましたから、
足りないからといって他の産地のものを混ぜるようなインチキはしたくなかったですね。

それに、たくさんつくって、その販売経路を考えていくよりは、
うちの商品を好きなお客さんに届ける回数を増やしていくほうが、
全体的にはプラスになるんだろうなって思うんです。
たくさんつくってたくさん売ることを目的とするのではなく、
本当によいものだけをつくりながら、細々と続けていくほうが、
自分たちには合っているんですね」(信太郎さん)

信太郎さんが着ているTシャツは、倉敷鉱泉ラムネ製造100周年記念でつくったマチスタの赤星さんがプロデュースしたもの!

とくに倉敷鉱泉は、従業員の半分が家族。
家業にとっては、「続ける」ことのほうが大切なときがある。
「だから、今後の目標はと聞かれれば、
家族、社員みんなが健康であることですね」と信太郎さんは微笑む。
「それが、家業と企業の違いかもしれませんね」と森田さんも言葉を続けた。
森田さんもまた、平翠軒という店を切り盛りする一方で、
代々続く、森田酒造3代目という家業を担う立場のひとりでもあるのだ。

地元に根付いてきた家業を担うからこそ、理解できる関係。
そしてそれに甘えることなく、ふたりが目指したのは、「誠実なものづくり」。
いま、その思いは息子の信太郎さんにも受け継がれている。
倉敷という土地で、ゆるやかに、そして誠実に、
これからも倉敷味工房は続いていくのだろう。

倉敷味工房の作業の様子。

自家菜園をはじめた信義さんが、自分でつくった野菜をもっとおいしく食べたいとつくったという「味噌炒めの素(525円)」と、試食した人たちから絶大な人気を博した「炒飯の素(525円)」は最近の新商品。

information


map

倉敷味工房/倉敷鉱泉株式会社

住所 岡山県倉敷市美和2-7-17
電話 0120-21-6020
http://www.kurashikikousen.com

>>この記事に登場した「平翠軒」にもコロカルは訪ねました!
その様子は別冊コロカルでくわしくどうぞ!

田淵太郎さん

炎によって生まれる色が美しい、白磁の可能性。

高松市内から40 分ほど、山のほうへ車を走らせる。
陶芸家の田淵太郎さんは、徳島県との県境のまち、塩江(しおのえ)町に窯を構える。
小鳥の声や沢の音が聞こえる、
静かな山間の傾斜地に建てられた古い民家が田淵さんのアトリエだ。
改装したときにつくったという縦長の窓からは、向かいの山が見え、
木々のグリーンがとてもきれい。

ピンクのやわらかい独特の色合が美しい田淵さんの花器。

薪が比較的入手しやすく、山のなかに工房を構えた。
「やっぱり自分のふるさとの風景って好きなんですよね。
発表する場所は選んでいくべきだと思うけど、
制作する場所は、なるべくストレスのない、
自分の居心地のよい場所でやるほうがいいかなと思ったんです。
考えた結果、自分のいちばん好きな場所は香川でした」

家から見える山の風景に惹かれて、この場所に決めたという。

田淵さんの器は、白を基調に、淡い紫のようなピンクのような色がほんのりつく。
どこか、不思議な魅力を持っているその色は、
岐阜県から取り寄せる白磁の土で、薪窯でサヤを使わずに焼いているからだという。
本来、白を美とすることが多い白磁は、
窯の中で薪の灰がかからないように、サヤと呼ばれるもので守り焼く。
しかし、田淵さんの場合は、サヤで守らず、
陶器と同じように灰の影響だけで風合いをだしている。
「これ、加藤委(つぶさ)さんのところで焼かせてもらった、20 歳のときの作品です」
と田淵さんは奥から大きな焼き物を持ってきた。

こちらが、加藤さんのところで焼いたという田淵さんが20 歳のときの作品。

「本来白磁は繊細に、端正に焼くものなのに、
薪の窯で白磁を焼くと汚れたような雰囲気の景色が生まれるというのが
とても新鮮でした。 直感で、もうこれだって思ってしまったんです。
当時大学で陶芸を学びながらも自分のビジョンが全然見えていなくて。
これを続けた先に何かがあるような気がして、
それで、まずは、自分の薪窯をつくろうと思いました」

田淵さんのアトリエに飾られていたルーシーリーのポスター。

香川に戻ってきた田淵さんは、
ひとつひとつレンガを積み上げて薪窯をつくった。
「最初はものにならなかったですね。全然きれいに焼けない。
白磁を自分の薪窯で焼くためにいろいろ準備してきて、
あのときの作品に近いものは焼けるようになったんですが、
物足りなくなってしまった」
実際、薪窯ができたのは、田淵さんが30 歳になってから。改めて見ると、
もう20 歳のときに思い描いたものでは納得がいかなくなってしまった。

「白磁をわざわざ薪窯で焼く意味を痛感させられました。
ただ、白い粘土を薪窯で焼けばいいわけではない。
それって、白磁の原点みたいなところですよね。
昔の陶工たちは、そこから、より白くて美しいものをと追求してきた結果、
白磁は仕上がった。 ぼくはそれを逆行していたわけなんですが、
ただ、原点回帰をしたところで新しいものは生まれない」
釉薬の種類、配合の割合、なでさまざまな方法を試しては、
ノートに記入。そして、また試す。まさに、試行錯誤の3年間。

そして見つけた、田淵さんの色。

炎があたっているところに景色が生まれる。

「どの釉薬の調合が、土と火と相性がよいのか、
もうそのへんは化学なんですね。
調合のバランスが少しでも違うと色の出方が全然違う。
その時の薪によっても異なるし、窯のなかの置く場所によっても全然違う」
簡単にコントロールできない。
石の上にも3年と、ことわざが言うほど現実はやさしくない。
くじけそうになることは無かったのですかと伺うと、
「くじけますよ! でもくじけたときには、遊びに行って忘れるんです。
イカ釣りにいったり、食事にいったり。
でも、遊び続けると、“何やってるんやろ”って、結局ここに戻ってくる。
うまくいかなくても、いろいろ焼くなかで、
よさそうなものが何個か生まれてくるんですよ。
それを拾い集めていっただけな気がしますね」

6年ほど前に築いた田淵さんの薪窯。窯の奥には、作品のかけらがまだ残っていた。

「炎って一方通行なんです。
焚き口の奥に作品を並べて、その先に煙突がある。
焚き口から燃え上がった炎が器にあたったところは、
ピンクっぽくなって、炎があたらない裏側は色の変化がない。
炎の動きがそのまま器に表れるんです。この変化が薪窯独特の魅力ですね」
だからこそ、また何か新しいものが生まれてくるんじゃないかと
窯に火を入れるたびに思うのだという。
「今でもどういうものが焼けてくるのかわからない所は多いですよ。
焼き物って、経験値を必要とする一方で、
自分の手の届かないところ仕上がる。窯出しの時まではわからんのです」

ようやく自分の色が見えてきた田淵さんだが、
ひとつの方向性が見えてくれば、また新たな目標が生まれる。
「展覧会を重ねていくと、見る人は前のものと比べるでしょう。
毎回同じには焼けません。うまく焼けないってことが続いても、
見に来てくれる人は前以上にきれいなものを求めている。
今のほうがしんどいかもしれないですね(笑)」
と田淵さんは苦笑するも、インタビュー中、
「まだまだ何かできそうな気がするんですよ」
という言葉が何度も出てきた。
自分でコントロールできない難しさとその面白さ。
火と向き合いながら、生まれる淡い色の美しい焼き物の先には
何が待っているのか。
「焼き物って面白いんですよ。この魅力を伝えるのは、
器だけじゃないかたちもあるのかもしれないって思うときもあります。
器でしか表現できないこと、器では表現できないこと。
またいろいろな実験をしながら可能性を広げていきたいと思っています」

profile

TARO TABUCHI
田淵太郎

1977年香川県生まれ。2000年大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業、2003年第21回朝日現代クラフト展 優秀賞、2005年第7回国際陶磁器展美濃 入選、2007年高松市塩江町に穴窯築窯、2013年香川県文化芸術新人賞受賞。
個展では、2003年高松市塩江美術館(香川)、2004年INAXガレリアセラミカ(東京)、2005年灸まん美術館(香川)、2008年ギャラリー道(大阪)、高松市塩江美術館(香川)、2009年あーとらんどギャラリー(香川)、陶林春窯(岐阜)、2010年エポカ ザ ショップ銀座 日々(東京)、ギャラリー器館(京都)、2011年エポカ ザ ショップ銀座 日々(東京)、2012年エポカ ザ ショップ銀座 日々(東京)、灸まん美術館(香川)、2013年萩の庵(徳島)がある。パブリックコレクショに、高松市塩江美術館・世界のタイル博物館・Clark Center for Japanese Art & Cultureがある。

>>田淵さんの作品を扱っている、高松市のセレクトショップ「まちのシューレ963」にもお邪魔しました。その様子は別冊コロカルでどうぞ!

特別なおもてなしに! 富士市・大昭和ファーストの 虹色に輝く「七宝ティシュー」

日本の暮らしには欠かせないボックスティッシュ。
清潔さを重視する日本らしい文化を、さらに突き詰めたプロダクトが、
静岡県富士市の家庭紙メーカー「大昭和ファースト」で作られています。

それがこの、赤、橙、黄、緑、水色、青、紫の七色に輝く「七宝ティシュー」!
仏教の経典に解かれている七宝の美を
イメージしたというシブいコンセプトながら、
2012年10月の発売から、半年で1万箱を売り上げる大ヒット商品になりました。

水に濡れても色落ちせず、きめ細やかで柔らかい手触りを
実現しており、おもてなしに威力を発揮してくれるでしょう。

また同社では漆をイメージした「漆ティシュー」も販売中。
これは漆の美をイメージして作ったもので、赤漆と黒漆にちなみ、
赤と黒に染色し、それぞれ2枚づつ重ねているというもの。
どちらもお値段はひとつ1,050円(税込)。
外国の方に贈っても喜ばれそうです。

大昭和ファースト

FabCafe Part2: アイデアを“出力”する。 デジタル工作で切り開く 未来のクリエイティブ。

クリエイティブな制作環境とカフェをひとつにするFabCafe

世界に広がるデジタルファブリケーションのムーブメント。
その拠点のひとつが渋谷にあるFabCafeだ。
グローバルにコラボレーションしたものをローカルで製造する
そんな時代を象徴するカフェ空間となっている。

ネットワークでオープンソースのデータをシェアする文化がうまれ、
世界中のクリエイターが同じデータを共有することで
新しいものづくりの可能性が広がっている。

たとえば一枚の紙からレーザーカッターで
切り出されたペーパークラフト。
共有されたデータは世界のさまざまな場所で
同じ成形物を出力する環境が整いつつあり、
さらにその素材や加工に独自性を加えることで、
地域のカラーを生かす商品もつくることができる。

一枚の紙から切り出された素材でさまざまな商品が生まれていく

一枚の紙から切り出された素材でさまざまな商品が生まれていく。

店内のランプシェード

店内のランプシェードもFabCafeでつくられたもの。たとえばこの素材に地域性を生かしてみたらどんな商品が企画できる?

アイデアをかたちにするコンテスト、「You Fab」。

「レーザーカッターや3Dプリンタは“道具”でしかない。
どう使うか、というデザイナーの発想が面白い」と、
FabCafeのディレクター岩岡孝太郎さんは語る。

クリエイティブなアイデアをかたちにする企画として、
FabCafeでは昨年より、
レーザーカッターでつくるデザインコンテスト「You Fab」を開催している。

今年は生活に欠かせない必需品としての「紙」を素材にアイデアを募集。
「紙のおもちゃ」「紙のグリーティング・カード」
「紙でつくるパーティーウェアやアクセサリー」
の3部門のグローバルコンテストだ。

そして2012年の優勝者の作品はこの『360°Book』だった。

『360°Book』

レーザーカッターでつくるデザインアイデアを競うコンテスト「You Fab 2012」優秀賞を受賞した『360°Book』

レーザーカッターが切れるのは平面だが、
それを逆手にとって切り出した平面を円形上に配置した。
本を開くと360°にストーリーが展開する。
閉じると一冊の本になる。

FabCafeのオンラインストアで作品のデジタルデータの販売もしている。
購入者はクリエイティブコモンズ・ライセンズの
「表示・非営利・継承」扱いで自由に作品をアレンジして楽しむこともできる。

この作品は商品化のオーダーが世界中から来ていて
アメリカをはじめグローバルで、
照明器具バージョンも加えて発売することが決定している。

立体ジオラマが現れる新しい絵本

ページを一枚一枚レーザーカットし、360°開くと立体ジオラマが現れる新しい絵本。