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スノーピーク
Part2:企業とユーザーの
垣根を越えて、スノーピークが
実践していること。

貝印 × colocal
ものづくりビジネスの
未来モデルを訪ねて。
vol.020

posted:2013.9.24  from:新潟県三条市  genre:ものづくり

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  「貝印 × colocal ものづくりビジネスの未来モデルを訪ねて。」は、
伊勢谷友介さんがパーソナリティをつとめ、谷崎テトラさんが構成作家をつとめる「KAI presents EARTH RADIO」と連携して、
日本国内、あるいはときに海外の、ものづくりに関わる未来型ビジネスモデルを展開する現場を訪ねていきます。

editor profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Suzu(Fresco)

スズ

フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。
http://fresco-style.com/blog/

アウトドアで社会を良くしていくスノーピークの道。

スノーピークは、先代の社長である山井幸雄前社長が、
自分が使う山登りの道具を
鍛冶屋にオーダーしていたところから始まった会社だ。
つまり自分もユーザーであるという精神。
これは現在のスノーピークにいたるまで、
会社の柱となる哲学として脈々と受け継がれている。

山井太(とおる)社長ももちろんアウトドア愛好家で、
特にキャンプとフライフィッシングを好んでいる。

「キャンプは少なくても年間30泊、多ければ60泊くらいしています」

自身もそれだけのユーザーでもあり、絶対にその目線を失うことはしない。
「見た目では、僕が筆頭株主に見えるかもしれないけど、
名義を貸しているようなもの。
本当のうちのオーナーはユーザーのみなさんなんです」

山井太社長と、写真に写っているのは父親でもある先代の山井幸雄社長。

そのように思える環境を、みずから作り出す努力をしている。
スノーピークのイベントにはほとんど顔を出し、
ユーザーからの声を直接聞き、製品や経営などにフィードバックさせる。

「イベントではいちゃもんつけられますし(笑)、
1日に何通も僕のところに要望などのメールが直接届きます。
ユーザーからも“トオルちゃん”なんて呼ばれたりしていますから。
ブランドの社長というよりも、
“キャンプ仲間の山井ってやつがたまたまスノーピークの社長だった”
というような関係性を保ちたいです」

その結果、ユーザーは製品だけの愛好家ではなく、
スノーピークというブランド自体のファンとなってくれる。
「愛好家のみなさんとのコミュニティがブランドなんです。
ユーザーのみなさんに経営に参加してもらっている感覚です」

社員とユーザー、ガラス張りの関係性。

2年半前に広大な土地の一角に現在の社屋を建て、引っ越してきた。
それからというもの、社長のキャンプ泊数が年間15泊ほど増えたそうだ。
この本社=ヘッドクウォーターでは、50名ほどの社員が働いているという。

メーカーとは思えないオフィス空間。事務機能はすべてこの一部屋にまとまっている。

来客時の打ち合わせスペースは2階にあり、
社員が働いている1階スペース全体を見下ろせる。
それどころか、一般ユーザーも2階を歩いて見学することができる。
メーカーとユーザー、お互いが近い存在である会社の姿勢が
ヘッドクウォーターに感じることができる。

もちろん社屋は、ユーザーだけでなく、
働く社員にとっても良い環境になるように目指している。
広い吹き抜けの社内で、大きな窓からたっぷりの自然光が注ぐ。
フリーアドレスなので、毎日違う席に座ることになる。
しかもイスの種類などもところどころで変えており、
気分一新、次なるアイデアを生み出しやすい環境づくりにつとめているのだ。

「普通、社長室は最上階だと思いますが、うちは1階にあって、
上をユーザーさんが通ります。
社員の席からは、ユーザーがキャンプしている姿が見渡せます。
それをさらに両方見ることができるのが社長室。
社員を見つつ、彼らのベクトルをユーザーに向かわせる。
そういう配置にしています」

アウトドアのメーカーの本社が、自然豊かなキャンプ場に併設されていることは、
嘘がないように思う。
オフィスで開発や営業し、工場でつくり、ショップで売り、
そして、キャンプ場で使ってもらう。
実際にユーザーが使っているフィールドまでもすぐ目の前にある環境が、
好循環を生んでいることは間違いない。

そもそも何のためにキャンプするのか?

山井社長は、前述のとおり、年間で60泊もするキャンプの強者だ。
その楽しさをこう語る。

「できれば2泊、3泊と連泊したいです。3日目の朝くらいになると、
あきらかにそれまでの自分とは変わってくるんです。
日が暮れる18時過ぎにはすごく眠くなってきて、
日が昇るころになると自然と目が覚める。
自分の普段の生活リズムと自然のリズムがずれていることに気がつくんです」

世界を見渡すと、アウトドアのマーケットがある国は100程度。
そのほとんどは先進国であり、
人々はキャンプによって自然からパワーをもらうことを必要としている。
そういう意味でキャンプメーカーは、
生活のリズムを正しい方向へと導いてくれる存在なのかもしれない。

本社工場でつくっているのは、人気商品の「焚火台」。キャンプ場でも、地表にダメージを与えないような配慮が必要だ。

ここ数年は、自然指向のひとも増え、環境負荷の少ない製品を選んだり、
みずからのライフスタイルを見直すひとも多い。
アウトドアブランドと親和性の高いひとたちが増えていて、
業界としては堅調に見える。

「本物って、ひとからひとへと伝わっていくんだと思っています。
しかも大事なひとから大事なひとへ。それは親子関係に顕著です。
90年代前半はキャンプ全盛期で、最大2000万人のマーケットがありました。
その全盛期に育った子どもたちが、
いまは小さな子どもを抱える親となっています。
そういう世代が、子どものころの楽しかった思い出を持って、
今度は親としてファミリーでキャンプに行く。
こうして、キャンプ体験という本物がつながっていくのだと思います」

団塊ジュニア世代は、
日本で初めて子どもの頃にキャンプの洗礼を浴びた世代なのだ。
彼らは、自然のなかで家族と過ごす幸せな時間を肌で知っている。

社会に良い影響をあたえる企業へ。

社内に掲示してある「Snow Peak Way」。

社の理念として「Snow Peak Way」というミッションステートメントがある。
自分で唱和しながら、ジ〜ンとすることもあるという、素晴らしい内容だ。

「僕のために働いている社員はひとりもいません。
このミッションステートメントにあるように、社員全員が、
自分が関わることで世の中に良い影響を与えていくということを
信じて働いています」

そこには“自然指向のライフスタイルを提案し実現する
リーディングカンパニーをつくり上げよう”とある。
アウトドアメーカーという言葉が入ってこない。

「自然指向のライフスタイルという言葉を使い、より広い領域でひとと自然を、
そしてひととひとをつないでいきたいと思っています」と山井社長は言う。
アウトドアというツールを使えば、さまざまなことが実現できる。
そしてユーザー目線で本物をつくり続ければ、
それは必ずひとへと伝わり、社会に良い影響を与えていく。
「Snow Peak Way」というミッションステートメントは、
スノーピークの社訓でありながら、
現代のライフスタイルにおける人生訓ともなる素晴らしいものだ。

information

map

snow peak Headquarters natural life store

住所:新潟県三条市中野原456
TEL:0256-41-2500
営業時間:9:00 〜 19:00
定休日:無休
http://www.snowpeak.co.jp/

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