ドクダミ、ヨモギ、センブリ…… 飛騨地方で伝わる薬草生活を体験! 岐阜県飛騨市で9月7日(土)に 薬草フェスティバルを開催

岐阜県飛騨市にて、2024年9月7日(土)に
〈全国薬草フェスティバル in ひだ〉が開催されます。
毎年開催している〈飛騨市薬草フェスティバル〉から名称変更し、
今回が第1回の開催となります。

飛騨地方で昔から伝わる“薬草生活”で地域の活性化

飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課 今村彰伸さん。

飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課 今村彰伸さん。

イベントを担当する今村彰伸さんは、飛騨市出身で、
高校卒業後に地元を離れたのちに、7年前Uターン。
以前は自然に関わる仕事をしていたこともあり、
自然資源である薬草にも興味をもち、
飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課として、
薬草活用のプロジェクトに参画しています。

薬草を採取する様子

「飛騨市では、昔から身近にある薬草を生活に取り入れてきました。
地元でくらす高齢者の話の中にもドクダミ、ヨモギ、ゲンノショウコ、
センブリ、ナツメ、エゴマなどの薬草の話がよく出てきます」

薬草の活用法

「家族により活用頻度などは異なりますが、
薬草を使用したお茶や料理などは地域全体で伝わっています。

しかし、西洋医学の普及に伴い、飛騨でも
民間薬的なものは使われなくなっているのが実情です」

集合写真

「今回のイベントは、昔の知恵を残すことも目的のひとつですが、
地域資源を掘り起こし、その価値を見直すことが、
地域住民のシビックプライド醸成につながり、
地域の活性化に寄与するという考えのもと活動しています」と今村さん。
薬草を柱に地域交流やまちおこしなどに注力しています。

フェスティバルの名を変更して新たなる薬草普及を目指す

薬草フェスティバルの様子

これまでの薬草フェスティバルは地域住民への薬草普及を大きな目的としていましたが、
イベント名を〈全国薬草フェスティバル〉に改名したのは、
飛騨市が全国の薬草関係者の受け皿となり、
薬草好きが交流する場を提供したいという思いからです。

薬草を選ぶ

この交流が地域の健康意識向上にもつながることを信じ、
地元の老舗料理旅館、全国と交流を深める薬草絵手紙メンバー、
飛騨市に移住してきた若者たちなど、官民が一体となってイベントを盛り上げていきます。

「本のまち」青森県八戸市に 新たなカルチャーの拠点となる 古本屋〈ジェロニモ〉がオープン

本屋が減少している時代に、果敢な戦士のように

青森県八戸市の中心街に古本屋〈ジェロニモ〉がオープンしました。
八戸市は2014年から「本のまち八戸」をスローガンに、
公共施設として〈八戸ブックセンター〉を運営するなど、
市民が暮らしのなかで本に触れる機会を増やしてきました。
本を扱う〈ジェロニモ〉は、八戸市らしい店といえるでしょう。

古本屋〈ジェロニモ〉店内

お客さんには役場の職員など自治体関係者も多い。

ジェロニモというのは、実在したネイティブアメリカンの戦士の呼び名です。
彼はアメリカ大陸に進出する白人に抵抗し、最後まで勇敢に戦ったことで知られています。

全国の本屋の数は、ここ20年間で20880店舗から10918店舗と
およそ半数に減っています(出版科学研究所調べ)。
そうしたなか、古本とはいえあえて本屋を始めるには、ジェロニモのような勇気が必要。
そう感じた店主の本村春介さんが、自らを鼓舞する意味もこめて店名にしたといいます。

古本屋〈ジェロニモ〉ディスプレイ

カウンターの反対側の壁には、印象的な表紙の本がディスプレイされている。

お酒も飲める、居心地のいい店内

「たくさんの人に来てほしいから」と、本のジャンルは幅広く揃えており、
カウンターでドリンクも提供しています。うれしいことにお酒も飲めます。
ドリンク片手に店内をブラブラし、椅子に座って試し読みもできるため、
居心地よくて長居してしまいそう。

椅子と本とドリンク

店内の至るところにあるドリンク置き場

店内の至るところにドリンクを置ける場所がある。

立地は、八戸市の中心街の真ん中にあるビルの3階です。
「いい場所にあるでしょ。1本隣の道は飲み屋街だし、横丁も近い。
だから、0次会にも使ってほしいですね。『飲み会までまだ時間あるな』ってときに、
ここで1杯飲んだり本を読んだりして、時間をつぶすとちょうどいいと思います」
〈ジェロニモ〉の営業時間は13:00から19:00と、店が閉まる頃には
飲み会もスタートするタイミング。待ち合わせ場所にもぴったりです。

古本屋〈ジェロニモ〉看板

店を目がけて訪れる人を優先するため、看板はあえて控えめ。

震災に負けず、やさしいまちづくりを! 屋内公園やeスポーツスタジオも完備の サードプレイス〈LAKUNAはくい〉が 石川県羽咋市にオープン

能登半島のつけ根にあり、日本で唯一、砂浜を走行できる
〈千里浜なぎさドライブウェイ〉で有名な石川県羽咋市。
羽咋という名前は、日本神話に由来するほど歴史も古く、
市内には古墳群もあり、弥生時代の土器なども多数発掘されています。
また、美しい棚田が広がる田園風景など、自然豊かで風光明媚なまち。
農業も農薬や化学肥料、除草剤を一切使用しない自然栽培で作られるお米
〈羽咋米〉をはじめ、まち全体で自然環境を大切にしているのが羽咋の魅力です。

「奇跡のリンゴ」を生んだ青森県の木村秋則さん指導のもと、全国でも珍しい自然栽培で作られたお米はふるさと納税でも人気!

「奇跡のリンゴ」を生んだ青森県の木村秋則さん指導のもと、全国でも珍しい自然栽培で作られたお米はふるさと納税でも人気!

遊びも勉強も仕事もできるコミュニティスペースの誕生

そんな羽咋市の駅すぐそばに、新たな市民の憩いの場として
7月1日に〈LAKUNAはくい〉がオープン。
外観は、羽咋市を象徴する棚田と千里浜から見る水平線を組み合わせた
近代的なデザインとなっています。

羽咋市まちづくり課の松岡正樹(まつおかなおき)さんは、
〈LAKUNA はくい〉のコンセプトについてこう話します。
「『羽咋の未来をともす、集い、ふれあう、賑わう拠点づくり』です。
第1が自宅、第2が職場や学校、そして第3となる癒しの場、
サードプレイスとなるような、オープンな雰囲気を大切にしています。
すでに1日1000~2000人もの人が訪れてくれていて、
自発的に親子グループのコミュニティができたり、
中高生が友だちと勉強スペースとして通ってきてくれたりと、賑わいを見せています」

能登初出店となるドトールコーヒー。ビールも扱っている。 

能登初出店となるドトールコーヒー。ビールも扱っている。 

1階はドトールコーヒーが入った図書カフェとなっており、
ワークスペースには、フリーWi-Fiのほか、すべての机に電源を完備しており、
学生やリモートワークの社会人にも人気。
完全個室も3つあり、これが無料で利用できるのは公共施設ならでは。
また、夜は22時まで開館していることから、会社勤めの人も
仕事帰りにふらりと立ち寄ることもできます。

市立の図書カフェとは思えないデザイン性と機能性にあふれたワークスペース。

市立の図書カフェとは思えないデザイン性と機能性にあふれたワークスペース。

雨天の多い北陸だから屋内で体を使って遊ぶ施設は親子に大人気!

2階には広々とした屋内公園〈LAKUNA こうえん〉があり、
ネット遊具や木をふんだんに使ったバンク遊具など、
子どもたちがのびのびと遊べるスペースとなっています。
企画段階で子育て世代にアンケート調査を行ったところ、
北陸は1年間の半分ぐらいが、雨や雪となるため、
「子どもたちを安全に遊ばせられる場所がほしい」という意見がダントツだったそうです。

3階、4階は有料の貸しスペースなっていて、キッチンスタジオや
パソコンを12台そろえたeスポーツスタジオ、モノづくりが楽しめるアートスタジオなど、
公共施設とは思えない最新設備を投入した複合施設となっています。

貸し切り1時間1100円、個人利用の場合は、高校生以下なら1時間150円というリーズナブルな価格で利用できる。

貸し切り1時間1100円、個人利用の場合は、高校生以下なら1時間150円というリーズナブルな価格で利用できる。

ローカルの“地元自慢”を体験しよう! ニューオープンから“特化型”店舗まで 注目のアンテナショップ7選

2023〜24年にかけてアンテナショップは注目の年を迎えている。
ニューオープンやリニューアルを果たした店舗が次々と登場し、
ローカルの魅力を打ち出した多彩なコンテンツが盛りだくさんだ。

行ったことない地域でも、縁もゆかりもない県でも、
そこを訪れればきっと何か新しい発見があるはず。

今回は、そんなニューオープン・リニューアルしたアンテナショップと、
独自の進化を遂げた“特化型”アンテナショップを取り上げた。

ニューオープン・リニューアルした
注目のアンテナショップ

まずは2023年、2024年にニューオープン・リニューアルした
アンテナショップのなかから注目の店舗をピックアップ。

新規オープンのショップでは、陳列されている商品だけでなく、
県産材を使っていたり、伝統技術で手がけた什器を設置していたり、
意匠を凝らした内装も見どころのひとつだ。

また、お酒の試飲コーナーやギャラリースペース、レストランを併設する店舗など、
ローカルを「体験」できるからくりが盛り込まれているので、
そんなところに注目しながらアンテナショップめぐりを楽しんでほしい。

新潟県|THE NIIGATA@銀座

2024年8月8日、銀座5丁目のすずらん通りにグランドオープンしたのが
〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉。

9階建てのビルのうち、地下1階と地上1〜3階と8階の全5フロアからなり、
店内で握った魚沼産コシヒカリのおにぎりを提供する〈THE ONIGIRI・Ya〉や、
30種類以上の日本酒を試飲できる(1500円で5杯)
〈新潟清酒・THE SAKE Stand〉を展開している。

8階には、ものづくりのまち・新潟県燕三条を本拠地とするイタリア料理店
〈Tsubamesanjo Bit〉が〈THE NIIGATA Bit GINZA〉として出店している。

米どころ・新潟なのにイタリアン?
と思うかもしれないが、お米はしっかりと新潟産を使用。
イタリアンのコースのなかで際立つ新潟米を楽しめるでしょう。
そして、食材だけではなく、お酒やカトラリー、うつわにいたるまで
新潟の商品で統一するというこだわりも。

ここまで「新潟一色」に統一された空間は、現地でも体験できない、
〈THE NIIGATA〉だからこそ実現できた空間なのかもしれない。

関連記事:〈THE NIIGATA〉がグランドオープン!進化した新潟の玄関口が銀座にやってきた(新潟のつかいかた)

information

map

【銀座・新潟情報館 THE NIIGATA】

住所:東京都中央区銀座5-6-7 SANWAすずらんBldg. B1〜3階・8階

TEL:

ショップ 03-6280-6551

にいがた暮らし・しごと支援センター 03-6281-9256

営業時間:

ショップ 10:30〜19:30 ※新潟清酒・THE SAKE Standは12:00~19:00

にいがた暮らし・しごと支援センター 10:30〜18:30

定休日:

ショップ 年始

にいがた暮らし・しごと支援センター 火曜・祝日、年末年始

WEB:THE NIIGATA

Instagram:@the_niigata

information

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【THE NIIGATA Bit GINZA】

TEL:03-6228-5636

営業時間:ランチ11:30〜14:00(L.O.13:30) ※土・日曜、祝日は〜15:00(L.O.14:30)

ディナー18:00〜22:00(L.O.21:00)

定休日:月曜、不定休

座席数:46

WEB:THE NIIGATA Bit GINZA

Instagram:@bit_ginza

時代とともに「進化するローカル」。 変遷をたどって見えてきた アンテナショップの次なる役目とは?

東京にいながらにして、地域の特産品や食材を手に入れることができ、
ローカルの雰囲気を楽しむことができる「アンテナショップ」。

現在、自治体のアンテナショップは
銀座、有楽町、日本橋エリアに約30の店舗が点在している。
その歴史は古く、昭和初期から東京駅近辺に集まりだし
バブル崩壊や東京駅の再開発など紆余曲折を経て、
現在のような「アンテナショップ特区」が広がっている。

そんなアンテナショップの動向をつぶさに見てきた、
〈地域活性化センター〉のメディアマーケティングマネージャーの畠田千鶴さんに
アンテナショップの変遷についてうかがった。

アンテナショップの先駆け!
東京未上陸の味で躍進した沖縄と鹿児島

〈かごしま遊楽館〉は1995年の開業当時の場所・日比谷で現在も営業。

〈かごしま遊楽館〉は1995年の開業当時の場所・日比谷で現在も営業中。

「1990年代、東京駅の八重洲口にあった鉄道会館と国際観光会館のふたつのビル
(現在のグラントウキョウ ノースタワー付近)には、
都道府県や市町村など約30の自治体の観光案内所が入居しており、
地域の玄関口として機能していました。

それが東京駅八重洲口の再開発による同ビルからの立ち退きと、
バブルの崩壊による銀座周辺の地価の下落によって、
それまでビル内に入居していた自治体の観光案内所が
銀座の一等地に個別の路面店型アンテナショップとしてオープンしたのです」

このときに現在のアンテナショップの原型となった
沖縄県の〈銀座わしたショップ本店〉(1994年)と
鹿児島県の〈かごしま遊楽館〉(1995年)が登場。
第1次アンテナショップブームへとつながっていく。

首都圏でPRに成功したうちなーごはんと芋焼酎

1994年に銀座一丁目でオープンした〈銀座わしたショップ本店〉は2023年に東京交通会館1階に移転。

1994年に銀座一丁目でオープンした〈銀座わしたショップ本店〉は2023年に東京交通会館1階に移転。

〈銀座わしたショップ本店〉と〈かごしま遊楽館〉は、
それまで現地を訪れなければ味わうことのできないローカルの味を
首都圏でPRすることに成功し、多くの顧客を獲得している。

「〈銀座わしたショップ〉さんは、それまであまり馴染みのなかった
泡盛の古酒や、ジーマーミ豆腐、海ぶどうなどの沖縄の食材を取り扱い、
イートインスペースでは本場・沖縄の味を提供するなど、
現在でもアンテナショップのなかで全国トップクラスの売上を誇ります」

その後、「わしたショップ」の名で
北は〈札幌わしたショップ〉から、南は地元〈那覇空港わしたショップ〉まで
計11店舗を展開しており、アンテナショップの成功例として各自治体から注目されている。

〈かごしま遊楽館〉とともに展開をする飲食店〈いちにぃさん〉。

〈かごしま遊楽館〉とともに展開をする飲食店〈いちにぃさん〉。

同様に、鹿児島県〈かごしま遊楽館〉もローカルの味をフックに、
東京でのプロモーションに成功している。

「〈かごしま遊楽館〉さんは、鹿児島の民間の飲食店〈いちにぃさん〉と共同で
レストランを併設した店舗を日比谷でオープンしました。
当時、東京には流通していなかった芋焼酎や黒豚、柚子胡椒などの
ローカル特産品を積極的にPRし、多店舗展開を実現します。

首都圏では、焼酎といえば甲類・乙類という分類が主流だった時代に
いまや全国区の知名度を誇る鹿児島の〈森伊蔵〉〈魔王〉などを取りそろえ、東京で受け入れられたのです。

これまで地域でしか消費されていなかったものが、
首都圏でも支持されるという『ローカルの可能性』を見出した事例といえます」

沖縄県や鹿児島県のように、路面店型のアンテナショップが登場する一方で、
立ち退きを余儀なくされたそのほかの自治体の観光案内所が、
東京交通会館にアンテナショップとして転換していったのもこの時期。

現在、交通会館には12店舗が入居しファンにとって
「アンテナショップの聖地」として連日多くの客でにぎわっている。

まるで本屋の商店街! 京都・一乗寺に誕生した “シェア型書店” 〈一乗寺BOOK APARTMENT〉

個々人のおすすめ本が並ぶユニークな書店

書店の数が減り続け、1軒も書店がない市町村もある現代。
そんななか、2024年7月に新たな書店がオープンしました。
場所は古書店やカフェなどが立ち並び、文化の香り漂う京都・一乗寺エリア。
書店名は、〈一乗寺BOOK APARTMENT〉です。

「一乗寺駅」で下車し、歩くこと5分ほど。
原稿用紙を思わせる格子柄が目を引く、「本」の看板が目印です。

大きな本棚は、東京にある〈西日暮里BOOK APARTMENT〉のスタッフに協力してもらいながらDIYでつくったもの。

大きな本棚は、東京にある〈西日暮里BOOK APARTMENT〉のスタッフに協力してもらいながらDIYでつくったもの。

店の扉を開けると目に入ってくるのは、大人の背丈よりも大きな本棚。
実はこの本棚は、“棚貸し”がされています。

棚貸しとは、四角く区切られた本棚の一画一画を
希望者(棚主)に貸し出し、
好きな本を並べて販売してもらうシステム。

そして、こういったシステムを取り入れている書店を
「シェア型書店」と言います。

並べる本の種類や棚の中のレイアウト、
入れ替えのタイミングなどは基本的に棚主の自由。

「棚主のお気に入りの本を並べる」という人もいれば、
「歌人が自身の関連書を置く」「メンタルヘルスに関する本がメイン」
という人もおり、どの棚も個性豊かです。

多くの人に読んでほしい本を自費で購入し、オリジナルの帯をつけて並べる棚主も。

多くの人に読んでほしい本を自費で購入し、オリジナルの帯をつけて並べる棚主も。

現在は付近の大学に通う学生や元書店員、海外在住の日本人に、
脳科学者・茂木健一郎さんなど、さまざまな人が棚主となっています。

主にジャーナリズムや社会問題、生き方・働き方に関する本が並ぶ。

主にジャーナリズムや社会問題、生き方・働き方に関する本が並ぶ。

店内にはこのほかふたつの本棚があり、いずれも新刊図書コーナーとなっています。
新刊図書コーナーには、店主が「今の時代に読みたい」と思っている
書籍をはじめ、約250冊を用意。
ラインナップは不定期で変わるため、訪れる度に新しい発見がありそうです。

アイスコーヒー500円。豆は、同じく左京区・北白川の〈ワールドコーヒー〉のもの。

アイスコーヒー500円。豆は、同じく左京区・北白川の〈ワールドコーヒー〉のもの。

店内には喫茶スペースも併設。
店から徒歩10分ほどの場所にある
〈焙煎処 桃栗〉の豆を使ったホットコーヒー(500円)や、
ジュース、ビールなどのドリンクを取りそろえています。

本を買うついでにお茶をするのはもちろん、
ブックカフェ感覚での利用も可能です。

人間国宝や気鋭作家の工芸作品が集結! 能登半島地震チャリティイベントが 都内で開催

桐本滉平が手がけた器。

3日間のスペシャルイベント

2024年の年明け1月1日に起きた能登半島地震。
7か月経った現在も、未だ手が行き届いていないところがあり、
復興活動が続いています。

そんな能登の伝統や魅力を知ってもらい、復興につなげようと、
「能登からの風」と題して、7月26日(金)〜28日(日)の期間、
東京・代官山で復興支援イベントが開催。

同地の文化を現代的に昇華した気鋭のアーティストから、
重要無形文化財保持者の漆芸家まで、豪華な作家の工芸品が登場します。

漆芸家 桐本晃平

漆芸家 桐本滉平

1992年に石川県輪島市で生まれ、
漆、麻、米、珪藻土を素材とした乾漆技法を用いて
「生命の尊重」を軸に創作を行う漆芸家の桐本滉平。
共同創作にも意欲的で、工芸の領域を超えた作品を生み出しています。

抒情書家 室谷文音

抒情書家 室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

抒情書家の室谷文音。
抒情書家の両親のもとに生まれ、箸を持つより先に筆を持っていたという彼女。
ロンドンへ留学後、両親の移住をきっかけに訪れた能登町に惚れ込み、
以来そこにアトリエを能登町に構え、国内外で精力的に活動しています。
能登町ふるさと大使、いしかわ観光特使も務めています。

〈第7回世界えだまめ早食い選手権〉 新潟県長岡市で 2024年7月21日に開催

東京予選を兼ねた〈新潟えだまめ盛フェス〉を渋谷で開催

全国随一の枝豆王国の新潟県。その中でも枝豆の生産が盛んな長岡市で
〈第7回世界えだまめ早食い選手権〉が2024年7月21日に開催されます。
本戦開催を1週間後に控えた7月14日、東京・渋谷で東京予選が開かれました。

振る舞われた「おつな姫」「味風香」「陽恵」「新潟系14号」

振る舞われた「おつな姫」「味風香」「陽恵」「新潟系14号」。

新潟県は枝豆の作付面積が全国1位。一方で出荷量は全国7位です。
なぜ作付面積と出荷量で差があるかというと
新潟の人たちが大の枝豆好きだから。
とある新潟県民は
「新潟県民は、他県の人が想像する以上に枝豆を食べる」と言います。
おつまみだけでなく、おやつにも枝豆を食べています。

新潟県内で栽培される枝豆は40種類以上あり、いくつもの品種がリレー形式で栽培。
6月から9月にかけて途切れることなく収穫されます。

「新潟えだまめ盛」

その採れたての枝豆をゆでて、ザルいっぱいに盛るのが新潟では夏の風物詩です。
その枝豆が盛られた様子を「新潟えだまめ盛」と命名して
2023年8月からPRも開始されました。

『世界えだまめ早食い選手権』は枝豆の名産地、長岡市で開催されます。
この選手権は、100秒間でいかにたくさんの枝豆を食べられるかを競うもので、
個人戦と3人1チームの団体戦が行われます。

選手権ではいくつかのルールがあります。
食べるときは必ず豆の鞘(さや)を口の近くまで運ばなくてはならず、
枝豆を鞘(さや)ごと全部食べることは禁止といったもの。
また枝豆の粒が落ちたら、ペナルティとして1粒あたり5グラムが差し引かれます。
生産者への敬意を込めて、きれいに食べることも求められます。

今回渋谷で開催された東京予選は個人戦で、昨年に続き2回目。
2部にわたって行われた予選には、100人以上が出場して
上位15名ほどの本戦出場枠を目指して熱い戦いを繰り広げました。
今回の参加者には昨年東京予選を勝ち抜き、
本選で準優勝を勝ち取った強者も含まれています。

出場者が早食いに挑む姿

出場者が早食いに挑む姿は真剣そのもの

参加者は6人ずつに分かれてステージ上で枝豆の早食いを競います。
「えだまめファイッ!」の掛け声のあと、
顔をテーブルの上の枝豆に近づけて、一心不乱に枝豆の早食いに挑む出場者たち。

枝豆の計量

食べ終わった枝豆の重さを計量して、配布した量と差し引き。

100秒後、残った枝豆の量が計量されます。
計測結果が発表されるごとに会場のオーディエンスから
どよめきが上がったり、拍手が鳴り響いたりと大盛り上がり!

今回の出場者の中で、トップで予選を通過したのは、
100秒で100グラムもの枝豆を食べた2名。
上位入賞者のうち15名が、長岡市で開かれる本選への参加枠を勝ち取りました。

なお、本戦が“世界大会”と称するのは大袈裟ではありません。
すでに締め切られた本戦の参加申し込みは、
アメリカなど海外、そして全国各地から
枝豆の早食いに闘志を燃やす参加者が出場予定です。

映画監督・松本花奈の旅コラム 「出会いを大切に。 友人との絆が深まった宮城夏旅」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第40回は、映画監督の松本花奈さん。
東日本大震災の復興支援にまつわるツアーへ。
仙台〜南三陸町〜亘理町〜塩釜市へと、
知っていたようで知らないことを目の当たりにし
風化させないように心に留めておく体験になった。

ツアーへは、中学校の同級生たちと一緒に行った。
このメンバーとは“小さなすれ違い”があったというが、
はたして旅はどうなったのだろうか?

中学時代の親友と行く、復興支援ツアー

2年前の夏、友人と宮城県へ旅に出た。
友人の名前は、“きなり”と“かめあり”。
中学の同級生で、中3のときにクラスが同じになり、仲良くなった。
きなりは面倒見が良く、姉御肌。それでいてとても繊細で、唯一無二の感性を持っている。
ちなみに、きなりは漢字で“生也”と書く。生きる也。なんていい名前なのだろう。

かめありは飄々としていて、とても知的。
穏やかなように見えて、たまに斜め上の角度から毒を吐いてくるところがまたおもしろい。
私は、きなりとかめありのことが大好きだ。
10年前から変わらずずっと、会うたびにお腹がよじれるほど大爆笑できるのは
このふたりしかいない。
ふたりに出会えたことで、 私の人生はとても豊かになっている。

“きなり”と“かめあり”と自分。

“きなり”と“かめあり”と3人で。

個性豊かなイベントで 新しいお寺のかたちを追求する 岐阜県山県市〈東光寺〉

岐阜県の郊外に位置する禅寺

「お寺」と聞いて、何が思い浮かびますか? 
住んでいる地域にもよりますが、
「法事をする場所」「お墓参りに、年に1~2回行く場所」、
あるいは「通りすがりでよく見ているけど、どんなところかは知らない」など、
あまり馴染みのないところだというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかしそうした状況に危機感を持ち、お寺を観光資源・文化財として残そうと、
ユニークな取り組みを多々行っているお寺があります。
岐阜県山県市にある〈東光寺〉です。

〈東光寺〉

〈東光寺〉は約520年の歴史を持ち、
敷地面積3000坪を誇る山県市最大の禅寺です。
美しいドウダンツツジと苔庭でも知られ、
最近は成人式や結婚式の前撮りスポットとしても人気を集めています。

「お寺=おかたい場所」のイメージを変える催しを実施

〈東光寺〉縁側

〈東光寺〉では、毎月さまざまなイベントを開催しています。

例えば、お寺が保有する文化財に親しんでもらう「月見茶会」。
〈東光寺〉は長い歴史の中で数々の名僧を輩出したことから、
お茶道具や伝統工芸品、美術品などが数多くあります。
そうしたものに触れてもらおうと、数々の伝統工芸品を鑑賞しながら
お茶も楽しめる会を開いています。

ほかにも、ユニークなイベントを随時開催中。
保護猫や保護猫活動をしている人々のことを知ってもらうことを目的に、
猫にまつわるクイズやスタンプラリー、マルシェを実施する「東光寺ねこ日和」に、
地元の菓子店とコラボした和菓子づくりのワークショップなど、
バラエティ豊かです。

猫モチーフのお菓子

「東光寺ねこ日和」では、猫モチーフのお菓子や雑貨などを販売するマルシェも開催

また、地域の子供たち向けの体験教室「てらこやぁ」も行っています。

栃木県の古道具店〈pejite〉が リノベーションした古民家の 貸し出し事業を開始

地域に眠る物件に命を吹き込む

栃木県を中心に店を構える、古家具と生活雑貨のセレクトショップ
〈pejite〉と〈仁平古家具店〉。そのオーナーである仁平透さんが、
2024年6月から新たな事業を開始しました。
その名も、〈place〉。
栃木県内の古民家を始めとした古い建物を、
店として使えるように改修して貸し出す事業です。

最初に募集するのは、栃木県鹿沼市の、とある山のふもとにある古民家。
明治14年に建てられたもので、母屋と石蔵からなります。

木々に囲まれた母屋は、約1年かけて改修工事を実施。
屋根の張り替えや壁の塗り替えなども行って、ふたつの部屋をつくりました。
広さはどちらも12坪ほどです。

母屋の中の様子。柱や梁がぐっと空間を引き締めている。

母屋の中の様子。柱や梁がぐっと空間を引き締めている。

母屋に入ると目を引くのは、柱や梁。
長くこの建物を支えてきたものだけあって、存在感があります。
壁には石膏ボードを貼って、入居者が自由に手を加えられる仕様に。
入居者の好みに合わせて、土壁や漆喰、モルタルなどを塗ってもいいそうです。

石蔵は、鹿沼市内で採集できる「深岩石」でできているもの。
深岩石の壁ならではのあたたかみや質感を残しつつ、6坪の空間に仕上げています。

「石蔵は今でも田舎に行けば点在はしていますが、
今からつくられることはきっとありません。
今後はもっと貴重なものになっていくと思います」と仁平さん。
歴史ある蔵の雰囲気を生かして、絵画やアンティーク、
茶器などを並べるのもいいかもしれません。

どちらの建物も、入居者の業種は不問。
ひとりで1スペース借りるのはもちろん、
「母屋も石蔵も両方借ります!」なんて方法も可能です。
入居者のアイデア次第で、無限の広がりを見せる空間なのではないでしょうか。

伝統芸能を未来につなぐ。 岐阜市で芸舞妓を養成するスクール開校

三味線や長唄に合わせ、美しい着物に身を包んだ芸舞妓の姿は、
日本の伝統芸能のきらびやかな美しさを表現し、見るものを惹きつけてやみません。
しかし、こうした伝統芸能を受け継ぐ人たちは、減少の一途をたどり、
風前の灯火となっています。

岐阜県岐阜市の芸舞妓が所属する団体、鳳川伎連(ほうせんぎれん)が
母体となり、新たな人材育成の取り組みとして、
2024年4月、遊宴文化の担い手を育てる岐阜伎芸学院を開校しました。

開校式の様子

2024年4月、開校式の様子。

おもてなしの心を育て、日本文化を学び伝える

岐阜県長良川流域は、古くから美濃和紙、和傘、岐阜提灯といった
伝統工芸の盛んな地域でした。古式ゆかしい1300年の歴史を持つ
「長良川鵜飼」でも有名な場所です。
日本文化を通しておもてなしを伝える花柳界も、江戸、明治の頃から、
町衆・旦那衆に支えられ、発展してきました。ここ岐阜では、
昭和の初めには、500名もの芸舞妓が活躍していたのだとか。

しかし、時代の変遷とともに伝統工芸品の生産量が減少し、
町の活気も失われていきました。
そして、それは遊宴、伎芸文化の世界にも波及し、
現在では14名の芸妓で、お座敷や宴席を支えるほどとなっています。
しかし、その一方で、映画やドラマで取り上げられる舞妓の姿に関心を持つ
若い世代や外国の観光客は年々増加。「舞妓さんのような着物を着てみたい」
「踊りを習ってみたい」「所作を知りたい」といった憧れの声が
高まってきているのです。

長良川での船遊びの様子

岐阜・長良川での船遊び。

専科だけでなく、幅広いニーズに応えるカリキュラムを提供

「本来、芸舞妓の育成は、町ぐるみで歴史や文化を伝え、
作法や精神性を女将さんたちとの生活の中で受け継がれてきたのです。
しかし、時代の変化、ライフスタイルの変化で、そういった徒弟制度が難しく、
体系的に教えていくための学校の必要性を感じ、スタートしました」と
語ってくれたのは、岐阜伎芸学院の代表理事である
小野崎隆賢(おのざき りゅうけん)さん。

小野崎隆賢さん

岐阜舞妓の育成、長良川船遊びなど遊宴文化の研究・再生に取り組む。小野崎隆賢さん。

岐阜伎芸学院では、今まで18歳以上しか受け入れていなかった
お茶屋での舞妓修行を、中学卒業と同時に学べる高等科を設置。
芸舞妓への稽古に取り組みながら、中京高校の通信制と提携し、
サポート校として高校卒業資格を取得できる独自のカリキュラムをつくりました。

「3年間で芸舞妓の基礎の部分を習得してもらい、その後は専科へ進み、
本格的な芸舞妓の養成を行っていきます。
また、今後は裏方を育てるコースも設けていく予定です」と理事の芳川辰次(よしかわたつじ)さん。

高校を卒業して、舞妓としての技能、訓練を学ぶための予科や
芸妓を目指す専科、さらには、小中学生が習い事の一貫で通い学べる中等科や、
社会人が三味線や日舞を学べる別科といったそれぞれのニーズに沿った
専攻課程を設けています。

通信課程で勉強中の生徒

通信課程での勉強も並行して学ぶ。

「おいしいビールを届ける」まちづくり 和歌山県有田川町にある 国際色豊かな〈Nomcraft Brewing〉

300種類以上のビールをつくりだしてきた

海が近く、年中温かくて雨が少ない和歌山県有田川町は古くから続くみかんの名産地。
見渡す限りのみかん畑の中に佇む〈Nomcraft Brewing〉は
2019年に誕生したクラフトビールの醸造所だ。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

メンバーは「シセロン」というビールソムリエの国際認定資格を持つ
シカゴ出身の醸造長アダムさん、
有田川に移住して18年のイギリス人ギャレスさん、
ドイツの醸造・精麦マイスターの資格を持つドイツ人のマークさん、
イギリスで研鑽を積んだジュンヤさん、
そして海外生活のなかでクラフトビールに出合い
〈Nomcraft Brewing〉の創設に関わることになった金子巧さん。
実に国際色豊かな顔ぶれであることに加えて、全員が移住者だ。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

〈Nomcraft Brewing〉のクラフトビールは
ホップにフォーカスしたアロマ豊かなアメリカンスタイルの味わいが特徴。
また、和歌山県が都道府県別・国内生産量1位を誇る有田みかんや、
同じく国内生産量1位を誇るぶどう山椒といった
和歌山・有田川町ならではの農作物を使用した香り高いビールなど、
創業以来300種類のビールを生み出してきた。

 (写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

(写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

醸造に欠かせない水は、世界遺産高野山と同じ水系に属す伏流水を使用。
「プレーンな水は、あらゆるスタイルのビールの可能性を
最大限に引き出す麦汁へとデザインすることができます。
それに和歌山のいろんなフルーツやスパイスの風味をきれいに
引き出すことができるんです」と金子さんは言う。

“食”で団地の可能性を拓く 〈「団地キッチン」田島〉。 団地管理会社によるコミュニティ施設

この連載は、日本デザイン振興会でグッドデザイン賞などの事業や
地域デザイン支援などを手がける矢島進二が、
全国各地で蠢き始めた「準公共」といえるプロジェクトの現場を訪ね、
その当事者へのインタビューを通して、準公共がどのようにデザインされたかを探り、
まだ曖昧模糊とした準公共の輪郭を徐々に描く企画。

第5回は、2023年度グッドデザインを受賞した、
埼玉県のJR西浦和駅前にあるコミュニティ型複合施設
〈「団地キッチン」田島〉を訪ねた。

お話を聞いたのは、「“食”や“本”を通じたコミュニティ拠点の運営」でも
グッドデザイン・ベスト100を受賞した〈日本総合住生活(JS)〉の
住生活事業計画部の中野瑞子さんと、上野雅佐和さんのおふたり。

「団地キッチン」田島は、コミュニティ形成を目的として、
銀行の支店跡地を、カフェ・シェアキッチン・ブルワリーに改装し、
2022年8月にできた複合施設だ。テーマを「食」に絞ることで、
多様な属性を持つ市民の日常生活の延長線上にありながら、
サードプレイス的な場に育っている。

団地の存在価値が変わらざるを得ない状況のなか、その先行的な取り組みを通じて、
今後、団地及び地域社会に求められる「準公共」の役割を探る。

〈「団地キッチン」田島〉は、JR西浦和改札から徒歩2分、田島団地の入口に位置する。(写真提供:JS)

〈「団地キッチン」田島〉は、JR西浦和改札から徒歩2分、田島団地の入口に位置する。(写真提供:JS)

食のプロジェクトを田島団地からスタートした理由

矢島進二(以下、矢島): ここは、JR西浦和駅の近くの
「さいたま市桜区」ですが、なぜ食のプロジェクトを
この田島団地からスタートしたのですか?

中野瑞子(以下、中野): まずは立地です。
団地は駅に近いものは少なく、バスを使うところが多いのです。
飲食系の施設は、やはり駅から近くないと不利ですので。

そして、西浦和駅周辺のまちづくりに関する基本合意を
市とUR都市機構が結んでいることと、
UR田島団地にて団地再生事業が進められていること、
さらにURグループである当社の技術研究所が近くにあることもここに決まった要因です。

「浦和」の名がつく駅は全部で8つあるのですが、
ほかと比べ西浦和駅周辺は特徴があまりないといわれているなか、
“食”に着目すれば、魅力を出せると考えました。
食には地域の歴史が反映されるので、食材や料理の仕方なども
地域の魅力を伝える機会になると、コンセプトをまとめていくなかで見えてきました。

ここのステートメントは「いえの味をまちの味へ」です。
家の中で閉じられていたものをまちに開き、自分たちで育て、
結果まち自体を育てていくことを目指しています。

〈日本総合住生活〉住生活事業計画部の中野瑞子さん。建築系の出身で、都市計画やまちづくり、農村計画を学び、学び直しをした際はコミュニティを研究した。

〈日本総合住生活〉住生活事業計画部の中野瑞子さん。建築系の出身で、都市計画やまちづくり、農村計画を学び、学び直しをした際はコミュニティを研究した。

矢島: それで“住”の専門組織であるJSが、“食”にチャレンジしたのですね。

上野雅佐和(以下、上野): はい。まずは誰もが気軽に立ち寄れるカフェを
2022年8月末にオープンしました。
次はつくり手にフォーカスしたかったので、
はやり始めてきたシェアキッチンを検討しました。

シェアキッチンは、ルールづくりがかなり大変で、
厳密にしすぎてしまうとコミュニティ拠点としては機能しないという悩みを抱えながら、
年明けの2023年にオープンしました。正直、いまでも運用は試行錯誤の連続です。

さらに、自分たち自らがつくり、ここから発信する機能も必要だと考え、
ブルワリー(地ビール醸造所)も加えました。
こうして、シェアキッチン・カフェ・ブルワリーの3機能を融合した
ユニークな施設「団地キッチン」田島ができました。

上野雅佐和さん。サブゼネコンを経てJSに。「最初の仕事がキッチンカーの設計で驚きましたが、まさか私がビールをつくることになるとは、夢にも思いませんでした」と笑う。

上野雅佐和さん。サブゼネコンを経てJSに。「最初の仕事がキッチンカーの設計で驚きましたが、まさか私がビールをつくることになるとは、夢にも思いませんでした」と笑う。

『リノベのススメ』のその後の話。 まちづくりへの新たな視座と視点を。 富山・新湊内川沿いから広がる波と 〈マチザイノオト〉プロジェクト

2013年にスタートした、コロカルの人気連載『リノベのススメ』。
全国各地のリノベーション事例を、物件に携わった当事者が紹介する企画だ。
今回の月刊特集では『エリアリノベのススメ』と称して、
1軒の建物のリノベーションをきっかけに、
まちへ派生していく“エリアリノベーション”を掘り下げていく。

『リノベのススメ』担当編集の中島彩さんにインタビューしたvol.001では、
リノベーションの潮流を踏まえつつ、過去の連載を振り返ってきた。
そのなかで登場した過去の執筆陣に、「その後」を聞いてみることにした。
前々回vol.002は〈富樫雅行建築設計事務所〉の富樫雅行さん、
前回vol.003は〈ミユキデザイン〉末永三樹さんに
「その後」を執筆してもらった。

今回は、2018年から19年のあいだ、
計8回にわたり執筆していた
〈グリーンノートレーベル〉の代表、明石博之さんが手がける
富山県射水市の新湊内川地区を実際に訪れた。

連載当時のまちの変化をセカンドウェーブとするならば、
現在はサードウェーブの流れが生まれつつあるようだ。
連載から6年経った今、
新湊内川というまちにはどのようなエリアリノベーションが行われ、
これからどんなことが起ころうとしているのか。
川沿いを歩きながら、「その後」をうかがった。

自らが地域のプレイヤーになり、当事者になるということ

まちに貢献する場づくりを行う会社、
〈グリーンノートレーベル〉の代表を務める明石博之さんが
富山県に移住したのは14年前のこと。

移住という選択は、自身の暮らしを見つめるというだけでなく、
地域の社会課題に主体的にコミットしたいという気持ちが強かったからだ。
富山県内を車でひと通り見て回ったあとに辿り着いたのは、射水市の新湊内川地区。
妻・あおいさんの故郷という縁はあったものの、
当時はこのまちが自分たちの拠点になるとは考えもしなかったという。

「日本のベニス」といわれる新湊内川エリア。両岸には漁船が係留されている。まちの中心を流れる「内川」は全長約3.4キロ。

「日本のベニス」といわれる新湊内川エリア。まちの中心を流れる「内川」は全長約3.4キロ。両岸には漁船が係留され、港町の風情が漂う。

2010年に富山県に移住し、2018年より新湊内川地区に拠点を構える〈グリーンノートレーベル〉の明石博之さんのポートレート。5年前には長年広島でお好み焼き屋を営んでいた父・富男さんも内川エリアへ移住しお店を営んでいる。

2010年に富山県に移住し、2018年より新湊内川地区に拠点を構える〈グリーンノートレーベル〉の明石博之さん。5年前には長年広島でお好み焼き屋を営んでいた父・富男さんも内川エリアへ移住しお店を営んでいる。

広島県尾道市(旧因島市)出身の明石さんは、大学時代から計19年間を東京で過ごし、
卒業後はまちづくりのコンサルティング会社に就職。
東京から全国各地に赴くなか、いつしかある思いを抱くようになっていた。

「東京に拠点がある以上、
まちづくりのプロデューサーやコーディネーターといいながら
自分はそこにいないわけじゃないですか。
俯瞰視点だけじゃなくて、もっと自分が普段接している生活圏や文化圏で
主体的に関わっていきたいと思ったんです。
実際にそこに立ったときに見えてくるものを大切にしたかったというか」

ブドウの搾りかすからつくった 天然酵母で地元特産のパンを開発。 障がい者就労支援のワイナリーと 産官学福の連携プロジェクト

サステナブルな社会にとって、フードロスは重要なテーマです。
各自治体でも食材廃棄は、大きな課題となっています。

そんななか、愛知県小牧市が、地域資源を活用した産官学福連携の
トライアル事業として、〈フードロス開発プロジェクト〉を立ちあげました。

地元でワイン醸造を手がける〈小牧ワイナリー〉から廃棄される
ワインパミス(ブドウの搾りかす)に注目。
地元のパン店、近隣の大学の学生を巻き込んで、地元特産のパンづくりをスタートしています。

多目的ホールやカフェ、貯蔵庫のあるメイン棟(右)と醸造棟(左)。

多目的ホールやカフェ、貯蔵庫のあるメイン棟(右)と醸造棟(左)。

ワインパミスから天然酵母を起こし、パンを発酵させるパン屋

「ワイン醸造の過程で、ブドウをしぼる際に発生する果皮や種を含んだ
ワインパミスは、年間で約1トン出ています。
一部は、畑に撒くなど肥料にしていますが、それ以外はすべて廃棄していました。
これを地域資源として捉え、地域経済の循環に活用できないかと、
小牧市の東部まちづくり推進室の担当者から提案をいただいたんです」
と語るのは、ワイナリーのスタッフで、このプロジェクトの中心メンバーである
芳賀俊(はがすぐる)さん。

もともと、〈小牧ワイナリー〉にパンを卸していた〈パンベル〉の店主である
森友也(もりともなり)さんが、ワインパミスから、
天然酵母を起してパンを製造していました。
このことを市に伝えると、地元特産のパンをつくろうと話が一気に進んだそうです。

さらに、次世代の若い人たちも巻き込みたいと市から提案があり、
近隣の名古屋経済大学の学生たちにも参加してもらい、栄養価に関する調査や、
パンに合うレシピ開発にも挑戦したとか。

小牧市は果樹栽培が盛んなことから、酵母には、地元産のハッサク、サクランボ、ブドウ、ウメなど季節の無農薬果実を使っているそう。

小牧市は果樹栽培が盛んなことから、酵母には、地元産のハッサク、サクランボ、ブドウ、ウメなど季節の無農薬果実を使っているそう。

名古屋の中心で、スタッフ総出で販売し、手ごたえをつかむ

こうして、地元産のワインパミスを酵母としたカンパーニュなどの
ハード系パン2種と食パン1種が完成しました。
初のお披露目として、名古屋市・栄のスペースで、スタッフ関係者総出で、パンを販売。
小麦の香りとほんのりブドウの酸味が感じられるパンは、大好評となり、完売したそうです。

「ワインパミスから蒸留酒ができることは知っていたので、ワインパミスで
発酵させた酵母なら、おいしいパンを作れるだろうと思っていました。
学生たちにも試食してもらい、若い人たちの意見を取り入れながら、
搾りかすの果皮も粉末にして加えるなどの工夫もしました。
いろいろな力を結集して、地元の特産品を使ったパンができたことは、
すごくうれしいですね」と森さんは語ります。

小麦の風味が引きたち、ブドウの酸味がほんのり香るハードパン。

小麦の風味が引きたち、ブドウの酸味がほんのり香るハードパン。

全国の地域材の情報が 一挙集結した〈地域材ポータル〉

各地域材の詳細な情報を掲載

県や市町村など特定の地域で生産される「地域材」。
利用することで地域の林業を活性化や、
持続可能な森林環境の維持につながるため、
建築内装業界やプロダクトデザイン業界では近年注目を集めています。

日本の森林イメージ

そんな各都道府県の地域材情報をまとめたWebサイト
地域材ポータル〉が、〈株式会社森未来〉より、2024年1月にリリースされました。

木材情報プラットフォーム〈eTREE〉の紹介

同サイトは、木材情報プラットフォーム〈eTREE〉内の
新たなWebコンテンツとして誕生したもの。

株式会社森未来には以前より、地域材に関するユーザーの相談や、
地方の木材事業者の「地域材の魅力を伝えたい」という声が届いていたそう。

もともと地域材の情報は、
各自治体や関連団体が昔から発信を行っているのですが、
それぞれが個々に行っているため、
情報にアクセスしづらいという課題がありました。
そんな課題を解決するためにリリースされたのが、〈地域材ポータル〉です。

〈SPOT(s)〉 東北の新たなライフスタイルを 特集するフリーマガジンが創刊!

福島県いわき市を拠点に、
東北各地をフューチャー 地域の活性化へ

この春、コロカル編集部に東北のカルチャーを紹介する
新たなフリーマガジン〈SPOT(s)(スポッツ)〉創刊のお知らせが届きました。

同フリーペーパーでは、東北に関わるさまざまな人に向け、
青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島と、
東北6県各地のユニークな人や場所、アイテムを紹介することで、
東北各地をマッピングしていくというコンセプトを掲げています。
刊行は春・夏・秋冬号の年3回予定。

また、東北各地に配布し地域内で情報発信することで、
情報の循環および、東北の活性化に貢献していくことを目指しています。

手がけているのは、福島県いわき市を拠点に活動する、
〈aawl〉、〈UCHU PHOTO〉、〈高木デザイン事務所〉の3人。

草野菜央(aawl)

草野菜央(aawl)

福島県いわき市出身。東京の総合PR会社で経験を積み、2021年春に独立。同時に地元へUターンし、フリーランスのPRプランナーとして福島県いわき市を拠点に全国で活動する。aawl

鈴木宇宙(UCHU PHOTO)

鈴木宇宙(UCHU PHOTO)

福島県いわき市出身。東北工業大学工学部デザイン工学科卒業。地元の映像制作会社にて経験を積み、2018年春に独立。いわき市のちいさな写真館として、人物や建築、商品など多岐にわたる撮影を行う。 Instagram:@uchuphoto

高木市之助(高木デザイン事務所)

高木市之助(高木デザイン事務所)

福島県いわき市出身。仙台デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒業。地元企業にて、「商品の魅力、地域の風土の伝え方」を模索しながら商品パッケージやウェブサイト、冊子などさまざまなデザインを担当。独立後、地域に根ざしたデザイナーとして活動する。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA) 会員。Takagi Ichinosuke Graphic & Design

30代のカヌーガイドふたり、 写真家で弟子屈町在住。 「自然の感じ方」と幸福感に惹かれて

(photo:Tomoki Kokubun)

國分さんが感じる13の瞬間

3月下旬、朝の気温は相変わらず氷点下だけど、
雪面を照らす春の光が、たまらなく美しい。

「雪が解けて、当たり前に春がやってくる」

2月に行われたイベント「ボクらの阿寒摩周国立公園」というトークショーで、
「季節が変わってただ過ぎていくのがとても美しい。
ここで暮らしていて本当に幸運だなって思うんです」
と語ってくれたカヌーガイドがいる。
弟子屈町・屈斜路湖畔に居を構える國分知貴さんだ。

「自分らしい写真を1枚!」とのリクエストに送られてきた、ナイスショット。愛犬・KAIと一緒に昼寝の図。(写真提供:Tomoki Kokubun)

「自分らしい写真を1枚!」とのリクエストに送られてきた、ナイスショット。愛犬・KAIと一緒に昼寝の図。(写真提供:Tomoki Kokubun)

トークショーのテーマは、今年指定90周年を迎える〈阿寒摩周国立公園〉。
その魅力を尋ねたら、國分さんは13枚の写真を用意してくれた。

「身の回りに起きた出来事をどんどん撮っている」

そんななかからセレクトされた、13回もの美しい瞬間。
そのうちの数枚を紹介させてもらおう。

凍った屈斜路湖の上で遊ぶ、放課後の子供たち。(写真提供:Tomoki Kokubun)

凍った屈斜路湖の上で遊ぶ、放課後の子供たち。(写真提供:Tomoki Kokubun)

まずは、イベント開催と同時期、2月に撮影された写真だった。

「先日友人から電話がかかってきて、『スケートしません?』って。
行ってみたら、近所の家族がスケート靴を履いて野球しているんです。
そこに夕日が沈んでいく感じとか、めちゃくちゃすてきで、
自然の中で幸せに暮らすってこういうことだよな、と思って撮りました」

國分さんはガイドのかたわら、写真家としても活躍している。

家の周りに自生する“食べ頃”のコゴミ。(写真提供:Tomoki Kokubun)

家の周りに自生する“食べ頃”のコゴミ。(写真提供:Tomoki Kokubun)

次の写真は春ならではのひとコマ。

「屈斜路に暮らしていると、市街地が離れているので、買い物が億劫なんです。
だからこの時期は、『野菜ないな』って思ったら、コゴミを探す。
雪が解けて春が来て、その辺に食べられるものがあるなんて、幸せです」

7月中旬に撮影された、ウグイの群れ。カヌーガイドの拠点である釧路川にて。(写真提供:Tomoki Kokubun)

7月中旬に撮影された、ウグイの群れ。カヌーガイドの拠点である釧路川にて。(写真提供:Tomoki Kokubun)

「夏になると、たくさんのウグイが遡上する。毎年、必ず来る! 
これってすごいと同時に、異変があったらこういうところから影響が出るのでは、
と気になるんです」

その後、夏と秋の風景が続き、季節外れのイソツツジの花の写真へ。

本来は6月中旬〜7月上旬に花を咲かせるイソツツジを、10月に撮影。(写真提供:Tomoki Kokubun)

本来は6月中旬〜7月上旬に花を咲かせるイソツツジを、10月に撮影。(写真提供:Tomoki Kokubun)

「去年は夏が暑くて、秋になってもまだ暑い日があって、
そしたら10月だというのにイソツツジの花が咲いて、そこに霜が降りていた。
こんなこと、今後も続いてしまうのか……、
わからないけど記録しておくべきだと思って」

そして季節は巡り、また冬へ。
最後の1枚は初雪の日。

奥さんと愛犬と家路につく。國分さんの幸せが詰まった一枚。(写真提供:Tomoki Kokubun)

奥さんと愛犬と家路につく。國分さんの幸せが詰まった一枚。(写真提供:Tomoki Kokubun)

「12月、初めて雪が降った日の帰り道。
初雪ってやっぱりうれしいし、幸せな気分になるし、
そんなときに家族が家に向かっていく姿が愛おしくて」

そう言って、「こういう1年間って、
なんてすばらしいんだろう、って感じているんです」と締め括った。

〈中川政七商店〉が工芸復興企画 「北陸のものづくり展」を開催  3週間で3100万円売上、 全額を輪島塗・珠洲焼などへ寄付

「北陸のものづくりを未来へ」と発災から1か月で実現した企画展

令和6年(2024年)1月1日に発生した令和6年能登半島地震。
石川県をはじめとした北陸では、工芸にまつわる企業や職人たちも
大きな被害を受けています。

特に震源となった石川県は伝統工芸が今に伝わる土地

特に震源となった石川県は、輪島塗、九谷焼、珠洲焼、加賀友禅、金箔工芸など
伝統工芸が今に伝わる土地です。
また明治時代に発達した繊維産業の技術が波及して、
多様な機械産業へと発展した歴史もあります。

北陸のものづくりを未来へつないでいくことを目的に、
工芸復興支援をいち早く始めたのが〈中川政七商店〉です。

中川政七商店は奈良の地で享保元年(1716年)に創業。
麻織物、奈良晒(さらし)の商いから始まって、
昭和の中頃には茶道具を手がけ、
現在では製造小売、コンサルティング、流通支援事業などを通して
全国にある工芸品の産地と取り組みを行なってきました。
企業のビジョンとして掲げているのが「日本の工芸を元気にする!」。

中川政七商店の代表取締役社長、千石あやさんのもとには
令和6年能登半島地震発生から数日の間に、
たくさんの「今私たちにできること」のアイデアが届いたといいます。

渋谷店での企画展の様子

渋谷店での企画展の様子

「たくさんのものづくりと豊かな地域文化が、
これをきっかけに失われることを少しでも食い止められたら…」と、
支援の第一歩として、1月31日から企画展「北陸のものづくり展」が実施されました。
石川県、新潟県、福井県、富山県の被災地4県で作られた商品を販売し、
その売上全額を工芸支援に繋がる窓口へ寄付する取り組みです。

開始直後から予想以上の支援があり、対象商品の在庫が僅かとなって
開始から約3週間後の2月20日に終了。
当初の予定よりも2週間も繰り上げられました。

“豊かな人間力が育まれる環境”で 子育てしてみませんか? 離島と親子をつなぐウェブメディア 『シマ育コミュニティ』へ

10年以上、離島を取材し続けてきた『ritokei』による姉妹メディア

1万4000以上の島からなる島国・日本。
そのうち、北海道・本州・四国・九州・沖縄本島のほか、
人が生活をしている「有人離島」が416島ある。

有人離島の魅力や情報を発信しようと2010年に、
編集長を務める鯨本(いさもと)あつこさんが仲間とともに立ち上げたのが
NPO法人離島経済新聞社が運営するウェブサイト『ritokei(リトケイ)』だ。

ウェブ上での情報発信のほか、年に4回、タブロイド紙『季刊ritokei』も発行しながら、
それぞれの島で受け継がれてきた固有の文化や自然、暮らしの情報などを紹介している。

タブロイド紙『季刊ritokei』。

タブロイド紙『季刊ritokei』。

そんな『ritokei』が、2023年9月30日に「子育て」をテーマに据えた
新しいメディア『シマ育コミュニティ(シマイクコミュニティ)』をオープン。
離島の子育て環境を紹介する記事や、島の人と直接交流できるオンライン勉強会により、
より良い子育て環境を探す親子と、日本の島々をつないでいる(※)。

※2023年度は子どもたちを取り巻く社会課題を解決することを目的とした
日本財団の「子どもサポートプロジェクト」の助成をもとに実施

シマ育コミュニティビジュアル

ではなぜ、『ritokei』は子育てに特化する取り組みを始めたのだろうか。
その背景には、子育てをとりまく日本社会の問題と離島ならではの問題がある。

近年、政府も子育て支援に積極的に取り組むなど、
人口減や少子高齢化対策は、喫緊の課題となっている。
それは離島にとってはより深刻なものだ。

戦後の日本が人口増加に向かう頃、
すでに人口減が始まっていた離島では、島の存続自体に直結する大問題となっている。

離島地域を10年以上見つめてきた鯨本さんは、
今回「子育て」に特化したメディアの立ち上げに込めた思いをこのように話す。

「島に住む人や関わる人が増えなければ、価値ある文化や営みは消えてしまいます。
そこで、どうすればいいかと考えたときに最も重要なのが子育てです。
リトケイでは医療や産業など、さまざまな課題にフォーカスしてきましたが、
島の未来にとって、最優先事項である子育て層の増加に貢献できるよう、
島と子育て層をつなぐメディアを立ち上げました」

シマ育コミュニティ

「人間本来の子育て」をシマで

メディア名でもある『シマ育』という言葉には、
住民同士互いに支え合う地域共生コミュニティを指す「シマ」のなかで、
多様な人と関わり、自然や文化に触れ、
そして人間力を「育む」という意味が込められている。

そのようなシマでの子育てを、鯨本さんは「人間本来の子育て」だと感じている。
かつては日本中に存在していたものだが、
現代では失われつつあることが「日本社会が抱える問題」だと鯨本さんはいう。

一方、海で隔てられる島々には「人間本来の子育てが残っている」と気づいた鯨本さん。
離島で子育てをする魅力について、大きくふたつ挙げている。
ひとつは、子育てが「親と子に閉じた1対1」にならないこと。

「2023年の冬に発行した『季刊ritokei vol.44』では、2020年発行の32号に続いて、
島の子育てを特集し、発達心理学者の根ヶ山光一(ねがやまこういち)先生に
お話をうかがいました。
根ヶ山先生は、子育てに親以外の人が積極的に関わることを意味する
『アロマザリング』を推奨している方です。

最近は、子育ては親だけが行うような風潮もありますが、
本来、子育ては子どもをとりまく地域社会の人々が多様に関わり行われるもの。
島の人々は、基本的に、
地域社会のなかで人と支えあう価値観を持っているため、
子どもを島(=社会)のまんなかに放ちやすい環境ともいえます。
もちろん、島によってもいろんな環境はありますが、
私が知る限り、島では『子育ては親だけが行うものだ』という空気に、
ふれたことがありません。

私自身、子どもを連れて離島を取材したこともありますが、
島の子どもではない我が子にも、島の方々は温かい目を向けてくださいます。
『子ども』という存在がものすごく尊ばれる世界なのです」

そして、もうひとつの魅力が
「生きる力が養われる環境がある」ことだと、鯨本さんは話す。

「こちらも『季刊ritokei vol.44』の取材で、〈家族・保育デザイン研究所〉の
代表理事を務める汐見稔幸(しおみとしゆき)先生と、
〈森のようちえん&冒険学校〉を立ち上げた中能孝則(なかよくたかのり)先生に、
島の子育て環境の何がいいのかをうかがいました。

おふたりから返ってきたのが、島には生きる力が養われる環境があるということ。
その生きる力というのは、非認知的能力とも言われています。
汐見先生いわく、チーム力やリーダーシップ力、人を励ますのが上手い、
上手に失敗する。そういった力が生きていくために必要です。

大手IT企業が、どのような能力を持った人が
いい仕事をしているのか研究したところ、
認知能力にあたる学力で得られる能力や数値化できる能力を持っている人よりも、
非認知的能力を持っている人が圧倒的に多かったという結果を発表していました。
島の場合は、その非認知的能力が養われやすい環境があるんです。

なぜかというと、単純に不便だから。
もともと、都市部のように何でも揃う環境ではなく、
大きい台風が来たら2週間ぐらい物流が止まることもあります。
『ない』という状況があるからこそ、
共助力を発揮して、周りの人と何かを貸し借りしたりと、
各々が工夫して、どうにかやっていく。
そのとき、その場にいる人たちと連携して何かをやり遂げる機会が多いため、
日常のなかで、リーダーシップ力やチーム力が養われるのです」

離島留学のパンフレット

和歌山県紀の川市発、 生産者×クリエイターによる エシカルギフト6選

生産者×クリエイターが手がける、地域ブランド〈ISSEKI〉

「一次産業が盛んなフルーツのまち」として知られ、
ファーマーズマーケットの〈めっけもん広場〉には年間70万人が訪れる
和歌山県紀の川市。
現在、紀の川市では、地域の活性化・産品の生産・新しい品種の認知拡大など、
さまざまな想いを持って、挑戦に取り組む人々がいます。

そんな新しいチャレンジを、ブランドを通して広げていきたいという思いから
始まったのが紀の川市認定ブランド〈ISSEKI(いっせき)〉です。
和歌山県紀の川市の一次産業生産者とクリエイターがともに
新しい紀の川市の加工商品認定ブランドを生み出しています。

現在、紀の川市の加工商品認定ブランド創出を目指す共創プロジェクト、
「Local Co-Creation Project in 紀の川(以下、LCP)」(和歌山県紀の川市主催)
を経て、認定ブランドとして商品化が決まったものが順次販売されています。
今回は、節目を迎える季節に大切な人へ贈りたい
和歌山県紀の川市の畑から生まれた「エシカル」なギフトを
ピックアップしてご紹介します。

1.紀の川のパッションフルーツを使ったドリンク「PARI PORI TEA」

「PARI PORI TEA」

まずご紹介するのは、紀の川市唯一のパッションフルーツ生産者との
コラボレーションで誕生したドリンク「PARI PORI TEA」(6個入り3520円)です。
葉酸や食物繊維が豊富に摂れるので、妊娠中や妊活中の女性におすすめ。
紀の川市産の桃の果肉、ハチミツなどをふんだんに使用しています。
添加物不使用かつフリーズドライなので、栄養価もそのまま。
食物繊維を豊富に含んだ種の食感で満腹感もありつつ
1杯50キロカロリー弱のヘルシーなドリンクで
出産祝いにもぴったりです。

information

「PARI PORI TEA」 

2.紀の川の春夏秋冬の味を黒米で包んだしゅうまい「紀の川黒米包み」

「紀の川黒米包み」

自然栽培で育てた自社農園の黒米と、同じく自然の力を生かして野菜を育てる
農家仲間と手を取りあい完成したという「紀の川黒米包み」
(5個入り×3パック4860円)。
旬の紀の川野菜を餡に使い、春夏秋冬で異なる味わいを数量限定で
販売しています。

information

「紀の川黒米包み」

3.地域の課題に応えた新感覚キウイスナック「amaboshi」

「amaboshi」

サイズの問題から市場に出回ることがなかった規格外のキウイを原料に、
地域で製造が盛んな「あんぽ柿」の製法を元に開発された
「amaboshi(アマボシ)」(販売ページは準備中、100グラム1056円)。
果実をカットせずに、キウイ本来の美味しさと栄養がギュッと凝縮されています。
キウイフルーツの生産が盛んな地域が、フードロス問題の解決に取り組んだ逸品です。

information

「amaboshi(アマボシ)」

福岡で人気の生活雑貨店が 「本の灯りがひしめく」書店 〈本灯社〉をオープン

「わたし自身のものさし」をさがしに

たくさんの車が行き交う高宮通り沿い。
平尾1丁目の交差点近くに静かに佇むビルの2階にあるのは、
昨年6月にオープンした書店〈本灯社〉。
明るく陽がさす空間に、個性ゆたかな本たちが、にぎにぎしく並んでいます。

2022年、福岡で人気の生活雑貨店
〈ごはんとおやつ、雑貨の店 くらすこと〉の雑貨販売スペースが
フロアを移転することになり、空いた場所をいかに活用するか、
というタイミングで浮上したのが「書店をつくる」構想でした。

〈くらすこと〉はもともと、「わたし自身のものさしをみつける」をテーマに、
思いを共有する場所として生まれました。
本屋を開くことも、その活動のひとつとしてごく自然な流れだったと、
〈本灯社〉立ち上げから関わるスタッフの山川さんはいいます。

「誰かの書斎」を覗くように、ワクワクしながら本を選ぶ

〈本灯社〉の書棚は、「誰かの書斎」をイメージしてつくられているとのこと。
それゆえに、ここでは本の顔や背を眺めているだけで、ワクワクしてしまうのかもしれません。

店内の本たちは、「こころ・からだ」「自然・目に見えない世界」
「生き方・考え方」「子ども・家族」「暮らし」「文学」「絵本」という、
〈本灯社〉独自のテーマに添って、並べられています。

「各テーマ何冊ずつ、などはあまり考えずに、私たちスタッフが本当に
いいなと思ったものを選んでいるので、選書に偏りがあるんです。
でも『誰かの書斎』だから、それでいいのかなって」。
と笑うのは、山川さんとともに〈本灯社〉を支えるスタッフの見月さん。

また、山川さんは選書について、このように話を続けます。
「喜びも悩みも、自分たちにとって切実なものは、他の人たちにとっても
そうなんじゃないかと思っていて。だから、自分たちの等身大で、
いち生活者としての悩みや関心ごとに添ったものを選ぶようにしています」

見月さんは、朝のお掃除のときに「起きてー。みんな、がんばってー」と
本たちに声をかけているのだと教えてくれました。
本が1冊売れるたびに、心の中で大喜びしている、というお話も、
スタッフがそれぞれの本に「届けたい」という思いをこめているからこそ。

とはいえ、この〈本灯社〉は、本を売るためだけに存在している場所ではないと、山川さんと見月さんはいうのです。

「いま」を生きる人たちの足もとを、本の灯りでやさしく照らす

書店がオープンしてから、ご夫婦や男性ひとりで来店される方が増え、
より幅広い年齢層のお客さんに来てもらえるようになったことは、うれしい変化でした。
年配の方から、お孫さんに絵本をプレゼントしたい、と相談を受けたり、
カフェでお茶をしたあと、本棚を眺めている方を見かけたりすることも、
書店を営むなかでの大きな喜びなのだそう。

「ここに来たら、誰もがいろんなしがらみを一旦おろして、自分自身と対話できる、そんな場所になれたらいいなって。お仕事が終わって、お子さんを迎えに行くまでの30分だけ、ちょっと見に来てくださるとかでもいい。
気になる本を見つけてもらえたら、それが1番ですけど、見つからなくても
ふらっと立ち寄ってみる、みたいな。そんな本屋の使い方をしてもらえたらうれしいです」

そういう山川さんと、見月さんが、たがいに顔を見合わせ
「来てくれたお客さんたち、みんなに元気になってほしいよね」
と話していたのが印象的でした。

「1冊の本が宿す灯りを、読者の手元まで絶やさずに届けたい。
ひとつひとつ色もかたちも異なる本の灯りがひしめくような
本屋でありたい」

そう、〈本灯社〉という名前の由来にあるように。

さまざまな思いを抱えて、「いま」を生きる人たちの足もとを、本の灯りでやさしく照らす。
ここを訪れる人にとって、〈本灯社〉はきっとそんな場所になっているにちがいありません。

information

map

本灯社

住所:福岡県福岡市中央区平尾1-11-21 村田ビル2F

電話番号:092-401-1606

営業時間:11:30~19:00

定休日:水曜

Web:本灯社(「くらすこと」ウェブサイト内)

Instagram:@kurasukoto_tenpo

富山を離れる人々にエールを。 県外に進学・就職する若者を応援する 「I’m Your Home.」プロジェクト

「富山県が、いつでも帰れる場所」だと、 富山を離れる若者たちに伝えたい

春は旅立ちの季節。
富山県では県外に進学・就職する若者を応援する
「I'm Your Home.」プロジェクトが2023年から始まっています。

第2弾となった2024年は、
生活のさまざまなシーンで若者たちが関わってきた25組の人たちによる応援メッセージ
動画が公開されています。
名付けて「街角から“いってらっしゃい”スナップ動画」です。

生まれ育ったふるさと、または学生時代を過ごした思い出ある場所から、
新しい土地に旅立つ若者は夢と希望、不安が入り混じっていることでしょう。

現在約100万人の人口を抱える富山県は
「幸せ人口1000万人」というビジョンを掲げています。
この県民の10倍である「1000万人」という数字には、
富山に関わるすべての人が富山の仲間だという意味が込められています。
富山で生まれ育ったり、学生時代を過ごしたりしたけれど、
今春から別の土地に移る人たちだって、
これからもずっと富山の仲間で、いつでも歓迎するということです。

「I'm Your Home.」プロジェクトは、
新しい生活に夢と希望、不安が入りまじった気持ちをもつ若者たちを、
「大丈夫。」と気持ちよく背中を押すこと、
そして「富山県が、いつでも帰れる場所」だと感じてもらうことが大切だと
立ち上げられました。