前橋市議会議員 岡 正己さん スタイリストから市議会議員へ。 前橋を芽吹かせる“B面”の活動

ジンズホールディングス代表取締役CEOの田中仁さんが推薦するのは、
ファッションスタイリストやFMラジオ局を経て、
地元で前橋市議会議員として活動している岡 正己さんです。

推薦人

田中仁さん

田中 仁

株式会社ジンズホールディングス
代表取締役CEO

Q. その方を知ったきっかけは?

私が主宰する群馬イノベーションスクールに3期生として入学したことで知り合いました。

Q. 推薦の理由は?

もともとは東京でスタイリストをしていたのですが、地元に帰郷しFM局で働いているときに群馬イノベーションスクールに入学し今後の人生を考えるキッカケが生まれ、前橋市をカッコ良くしたいという思いが強くなり一念発起し、市議会議員選挙に立候補し当選。そして前橋市をカッコ良くするため現在もさまざまな活動をしていることから推薦します。

地元の衰退に責任を感じていた

「東京は狭くて、苦しい」

ファッション雑誌や広告など、
東京でさまざまな媒体でスタイリストとして活躍していた岡正己(まさみ)さんが
地元の前橋に戻ろうと決めたのは、
ふたり目のお子さんが生まれるタイミングで奥さまが発した
そんな言葉がきっかけだった。

30歳になる手前で前橋市にUターン移住。
高校卒業以来、約10年ぶりの前橋での生活が始まった。
岡さん自身、帰省するたびに感じる地元の衰退をなんとかしたいという思いが、
年々強くなっていたという。

「高校生の頃、スタイリストになろうと思って前橋を出ていったときは、
まさか戻ってくるとは思っていませんでした。
むしろ『こんなところ出ていってやる!』みたいな感じでした(笑)。
でも正月やお休みで帰省するたびに、まちが廃れていくのが目に見えてわかって。
自分もこのまちを出ていったひとりとして責任を感じてたんですよね。
それからだんだん地元に興味を持つようになったんです」

前橋市議会議員 岡正己さん

前橋に戻ってからしばらくは東京に車で通いながらスタイリストの仕事を続けていたが、
同時に寂れた地元を活性化させるために何をすればいいかとずっと考えていたという。
銀座にある群馬県のアンテナショップ〈ぐんまちゃん家〉に
自分のアイデアをいきなりプレゼンしに行くなど、破天荒な行動にも出た。

ある日、前橋にラジオ局〈まえばしCITYエフエム〉が開局するという
知らせを聞いた岡さん。
「これだ!」と思い、すぐにラジオ局へ応募し、入社が決まった。
ラジオ局では営業として、スポンサー集めから番組制作までさまざまな業務をこなした。
そうしてラジオ局の仕事に勤しむと同時に、
岡さんは仕事を通じて培った自身のネットワークを活かして
まちを盛り上げるためのイベントを企画するようになっていた。

「ラジオ局ってすごく便利。
メディアだから取材と称して誰にでも会いに行けちゃうんです。
それでいろいろな前橋のおもしろい人に会って、
どんどん自分のコミュニティを広げていきました。
そういうネットワークも使って、自分なりのまちおこしをやり始めました。
潰れたスナックやビリヤード場を貸し切って音楽イベントをやったり、
市民参加型の部活動『前橋〇〇部』の共同発起人として立ち上げるなど、
とにかくいろんなことをやりましたね」

撮影中、岡さんの姿を見かけたまちの人たちが声をかけている。

撮影中も岡さんの姿を見かけたまちの人たちが声をかけ楽しそうに喋っていた。

岡さんの精力的な活動の裏には、
スタイリスト時代の経験が大いに活きていると岡さんは語る。

「自分のスタイリストの師匠は岡部文彦さん。
当時、アシスタントの自分が
スタイリングのプレゼンテーションをすることがザラにあったんです(笑)。
今では考えられないですけど、『この服の組み合わせが絶対合います!』って
20歳そこそこの奴がCMの衣装合わせとかで説明してるんですよ。
でもその経験がラジオ局の営業としてもそうだし、
まちおこしのイベントを考える際にも相当活きたと思います。

スタイリストは服を扱いますけど、
前橋に帰ってからはまちを洋服に見立てて考えるようになりました。
前橋にはどんな機能が必要なのか、どこを見せたほうがいいのか、
そういう考え方ができるようになったのも
アシスタント時代を含めてスタイリストの経験があったからこそです」

スイーツやおつまみにも!? 高栄養価、低カロリーの サボテングルメが食べられる、 愛知県春日井市の飲食店3選

輸入植物としてのイメージが強いサボテンなどの多肉植物ですが、
愛知県春日井市では、古くからサボテンの栽培を行っています。
全国有数の実生サボテン生産地である同市では、鑑賞用のサボテンはもちろん、
現在、食用サボテンにも着目し、〈サボテングルメプロジェクト〉を実施。

市役所内には、食用サボテンのPRを行う〈観光・サボテン担当〉という部署も
2022年から設置されており、さまざまな取り組みを行っています。

市内で栽培されている実生サボテン。

市内で栽培されている実生サボテン。

サボテンの一大生産地、春日井サボテン

春日井市がサボテンの栽培を始めたのは、1953(昭和28)年ごろと、
歴史も古く、果樹栽培の副業として始めたのがきっかけでした。
1959(昭和34)年には、一帯の果樹が被害を受けたことから、サボテン栽培へと
移行する農家が増え、市内に広く普及。
春日井市のサボテン栽培の大きな特徴は、種から育てる「実生栽培」。
温室の構造を工夫するなど独自の栽培方法を生み出し、実生サボテンの
大量生産を可能にするとともに、一帯の農家が連携して分業体制を
とることで、安定した栽培を確立させました。

昭和のサボテン栽培の様子。

昭和のサボテン栽培の様子。

春日井の特産品、サボテンでまちおこしを

春日井市役所で、観光・サボテン担当として活躍する産業部経済振興課の
柴田知宏さんは、食用サボテンの魅力をこう語ってくれます。

「過酷な状況でも育つサボテンは、食糧危機にも強いといわれ、
SDGsの一貫として、世界的にも注目が集まっています。
サボテンは、栄養価も高く、β-カロテンなどの抗酸化成分やカルシウムや
マグネシウムといった野菜と果物が持つ両方の栄養素が含まれているので、
万能食材といわれているんです。また、豊富な食物繊維は整腸作用や
ダイエット効果が期待されます」

〈サボテングルメプロジェクト〉で市民にとっても身近なサボテン

今年の夏には市内のサボテンを扱うお店を巡る
〈春日井サボテンスタンプラリー〉を開催し、市内41の飲食店と小売店が参加。
多くの市民がサボテングルメを楽しみました。
そのメニューも、スイーツにラーメン、パンやピザなど、
幅広いサボテングルメが登場しています。
また、春日井市では、2007年から、年に3回程度、小中学校の給食にも登場し、
子どもたちにも、「サボテンを食べる文化」が広がっています。

サボテンのイメージキャラクターをはじめ、絵本やマンガ、レシピカードに、「育てる春日井サボテン」キットも登場。

サボテンのイメージキャラクターをはじめ、絵本やマンガ、レシピカードに、「育てる春日井サボテン」キットも登場。

池袋駅周辺に 「循環&ネイバーフッド」を テーマにした魅力的なブースが集結! 〈IKEBUKURO LIVING LOOP〉 スペシャルマーケットが開催

池袋を歩いて楽しむ4日間

11月1日から4日までの4日間、池袋駅周辺で
〈IKEBUKURO LIVING LOOP〉スペシャルマーケットが開催されます。

〈IKEBUKURO LIVING LOOP〉はnest、グリップセカンド、
サンシャインシティ、良品計画の4社によるプロジェクト。

「まちなかリビングのある日常」をコンセプトに、豊島区や池袋を拠点とする
企業や店舗と連携し、マーケットの開催やストリートファニチャーの常設化に
向けた社会実験などの取り組みを行っています。

目指すのは、リビングのように居心地よく、歩きたくなるまち。

IKEBUKURO LIVING LOOP

IKEBUKURO LIVING LOOPは、2024年グッドデザイン賞で「グッドデザイン・ベスト100」と「グッドフォーカス賞 [地域社会デザイン](日本商工会議所会頭賞)」をW受賞。

そんな池袋で、この度開催される「スペシャルマーケット」は
年に1度の特別な4日間として、グリーン大通りや南池袋公園に
池袋文化圏をはじめ、全国のつくり手・生産者が一堂に会します。

「循環」をテーマにしたブース

なかでも、見どころは「循環」をテーマにしたブース。

リユースカップやコンポスト、洋服の回収、ウォータースタンドなどのブースが並び、
消費し続けるマーケットではなく、循環するマーケットを目指します。

リサイクルボックス

また、昨年の開催時に集めた生ごみを堆肥にして育てた野菜でつくるパエリアも販売。

マーケットのなかで生まれている「循環」もアピールしていきます。

昨年の開催時に集めた生ごみを堆肥にして育てた野菜でつくるパエリア

もうひとつの見どころは、“健全な猥雑性”をキーワードに
個性豊かな飲食店やDJブースなど、池袋とその周辺に拠点を持つ
ネイバーフッドな人々が集結する「池袋人人横丁」。

“人と人の交差点”になるような場を目指し、まちなかやストリートでの
新たな過ごし方を実験しながら提案していくと言います。

ネイバーフッドな人々が集結する「池袋人人横丁」

そのほか、パンや焼き菓子、ランチボックスといったフードメニューをはじめ、
コーヒー、ワイン、クラフトビールなどのドリンク類、さらには手づくり雑貨や洋服、
こだわりの本やアンティーク家具などの出店ブースも目白押し。

手づくり雑貨出店ブース

ワークショップやパフォーマンス、トークセッションも多数企画されており、
盛りだくさんの4日間となりそうです。

パフォーマンスの様子

これまでの旅とは異なる。 何度も地域に通う旅、帰る旅。 「第2のふるさとづくりプロジェクト」

コロナ禍を経て、旅のスタイルに変化が起きました。
長期的に地域との交流を育み、「何度も地域に通う旅、帰る旅」。
1度きりの旅行では味わうことができない、豊かで新しい旅体験を、
求めている人も増えています。

現在、観光庁が取り組んでいる「第2のふるさとづくりプロジェクト」では、
新たなコンセプトとして『まちが わたしが 育つ旅。「いくたび」』を掲げ、
2024年9月26~29日の4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた
『ツーリズムEXPOジャパン2024』にも参加。
この「第2のふるさとづくり」とは、一体どんな取り組みなのでしょうか?

『観光庁「いくたび」のブース。

『ツーリズムEXPOジャパン2024』に出展した観光庁「いくたび」のブース。

10 回目の開催となった今回のテーマは、「旅、それは新たな価値との遭遇」。
国内外から1384 もの企業や団体が参加し、会場には外国や日本の自治体、
観光にまつわる事業者によるブースが並び、
多数の来場者が訪れて賑やかに開催されました。

観光庁のコーナーでは、新たな旅のスタイルを普及、定着させることを推進する
プロジェクト「第2のふるさとづくり」に関するブースも。

人口減少や高齢化が進む地方で、
各地域が抱える課題への取り組みにも関わりながら、
その土地を繰り返し訪れ、地域との関係性の構築につなげる
このプロジェクトは、令和4(2022)年度から始動し、
令和6(2024)年6月時点で、
北海道から沖縄まで36の地域が参加しました。

いつか「森の番人」になる
〈トーヤの森〉プロジェクト

北海道の南西部に位置する洞爺湖に面する〈トーヤの森〉も
「第2のふるさとづくりプロジェクト」に参加しています。
ユネスコ世界ジオパークにも指定されている洞爺湖周辺の
美しい景観は多くの人を魅了してきました。

トーヤの森から一望できる洞爺湖。

トーヤの森から一望できる洞爺湖。

一方で、そのカルデラの湖と周辺の森を維持していくために、
必要な担い手不足が地域の課題になっています。

トーヤの森は、洞爺湖に面した約72ヘクタール、
東京ドーム15個よりも広い森です。
森を舞台に、人をつなぎ未来を創造する「トーヤの森プロジェクト」として、
令和6(2024)年度に大きく4つのイベントを企画し、
第1回では森林作業道づくりをテーマにした1泊2日のイベント
「森と街のがっこうinトーヤの森2024」を7月に実施しました。
ほかにも山主の渡辺大悟さんが森をガイドする企画も。

第2回「もりであそぼうinトーヤの森」サップ体験

9月に行われた第2回「もりであそぼうinトーヤの森」では、森歩きやバーベキュー、サップ体験などを通して、環境に与えるインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむ、「LEAVE NO TRACE(リーブ ノー トレース)」の考えを共有。

第3回は10月に木こり、家具職人、木工作家といった、
木材で仕事をする人たちと一緒に森を巡り、
第4回は雪が積もる12月以降にスキーやスノーシューを履いて行う
森遊びと山の観察を予定しています。

トーヤの森がある洞爺湖は、新千歳空港から車で1時間半ほど。
札幌からは車で2時間強の距離です。
北海道在住者を中心に何度も通っているファンもいます。

「もりであそぼうinトーヤの森」

「もりであそぼうinトーヤの森」では、参加者が洞爺の自然を感じながら、トーヤの森でのさまざまな体験を通じて、森との結びつきを強化。

山主である渡辺大悟さん自身も、
洞爺湖から車で1時間半ほど離れた北広島市に住んでいます。
渡辺さん一家にとって洞爺湖は、
家族で休暇を過ごすたびに訪れる、まさに“第2のふるさと”のような場所です。

渡辺さんは、精密機械や美術品など貴重な品物を木材で梱包する会社を経営し、
この事業で扱う木材は、輸送が完了すると廃棄されることに課題を感じていました。
そのため、若い頃から山を買って林業も行いたいという目標を持ち、
2019年にトーヤの森となる山を購入して夢を実現。

所有している森が健全に保たれるためにはどうしたらいいかと、
林業の専門家からアドバイスを受けたことが、
今回のプロジェクトの一環でもある森林作業道づくりにつながっています。

トーヤの森の伐採の様子。

トーヤの森の伐採の様子。

トーヤの森 道づくり

森が健やかに育つように手入れを行い、機材や人が入るための道が必要。北海道で林業に従事する人のなかでも経験者が少ない道づくりは、トーヤの森でもまだ始まったばかり。

今回のプロジェクトは、トーヤの森での道づくりを
本気で学びたい人がメインターゲットとされ、
今後イベント企画や案内ができる
「森の番人」が生まれることも期待されています。

今回『ツーリズムEXPOジャパン2024』に参加した渡辺さんの妻であり、事業の事務局を務める紗智子さん。

今回『ツーリズムEXPOジャパン2024』に参加した渡辺さんの妻であり、事業の事務局を務める紗智子さん。森のなかには道だけでなく、トイレなど水回りも整備されていないことが課題のひとつだとか。

プロジェクトを通して、旅行だけでは味わえないトーヤの森の魅力に触れ、
森への理解が深まり、何度も通いたくなる場所に育っていくことを目指しています。

人口約1万人の新潟県田上町で 竹を使う驚きのイベント 〈たがみバンブーブー〉

田上町のまちの宝は竹

新潟県の田上町は、板橋区よりもほんの少し狭い面積31.7平方キロメートルで、
約1万人が住んでいます。
小さなまちには竹林がたくさんあり、
その面積はなんと約17ヘクタール、東京ドーム3.6個分!
春になると町外から多くの人がたけのこを買いにやってくるので、
地元のみなさんは、竹こそがまちの宝、名物だと思ってきました。
一方で、高齢化に伴って手入れされない竹林が増えていることも地域の課題です。

田上町マップ

稲作のほか、ル・レクチェや梅などの農業や工業が田上町の主な産業です。

まちの人たちの宝であると同時に課題でもある竹を使って盛り上げようと
2022年に始まったイベントが〈たがみバンブーブー〉です。
1か月のイベント期間中、人口1万人の町に、約2万人が訪れるという人気ぶり。
3回目となる〈たがみバンブーブー2024〉は
9月14日から10月14日まで開催され、
竹を使ったさまざまな演出に来場者が驚かされました。

荒れかけた竹林が会場に。竹を使った屋外インスタレーション

〈たがみバンブーブ-竹林〉の入り口。

〈たがみバンブーブ-竹林〉の入り口。トンネルで気分が盛り上がります。

〈たがみバンブーブー2024〉は、
2か所の有料会場と1か所の無料会場の合計3か所で構成。
有料会場は、手入れが行き届いていなかった竹林を整備した〈たがみバンブーブ-竹林〉と
大正時代に地元の豪農が建てた館の〈椿寿荘〉で、
無料会場は2020年にオープンした〈道の駅たがみ〉です。

メイン会場といえるたがみバンブーブ-竹林では、
3人のアーティストがそれぞれに制作した竹と光を使ったインスターレションを巡ります。

『たがみの輪』

『たがみの輪』周辺は、竹が雪の重みでしなってドーム状になっています。

第1エリアにあるのは、
熊本を拠点に竹あかり演出を行うユニット、CHIKAKENによる作品『たがみの輪』です。
竹を組み合わせて空間にたくさんの竹まりが吊るされていて、幻想的な雰囲気が漂います。

『星空のドーム』

『星空のドーム』周辺は、非日常感を演出。

第2エリアは、新潟市出身の空間デザイナー小出真吾さんによる『星空のドーム』。
よく見ると五角形と三角形が繋がって、たくさんの星がドームに散りばめられています。
児童公園の遊具のようなドーム型のオブジェと、星の形と光が組み合わせられて、
幼い頃に見た景色が思い起こされるような夢のあるエリアでした。

『まきまき竹あんどん』

『まきまき竹あんどん』は光の色が赤や緑に変わります。

第3エリアは美術家の髙橋匡太さんが
地元の小学生たちと一緒に制作した『まきまき竹あんどん』。
布をつくる過程で出た切れ端を新潟県内の企業から譲り受け、
小学生たちがその場所に生えている竹に巻きつけました。

フィリックス・コンランさん、 東吉野での暮らしはいかがですか?

「都会が恋しくなることはないですか?」

そんな少し意地悪な質問をすると、
「絶対にそれはないですね」とフィリックス・コンランさんは笑う。
そして、都会暮らしから田舎暮らしへの移行をこう表現する。

「これまで、都会暮らしにストレスや疲れを感じていました。
平和な村の暮らしのほうがずっと好きなんです。
それでもこの小さな村では毎日膨大なやるべきことがあって、
『あぁやらなきゃ』と焦燥感を抱くこともあります。
そんなときこそ、愛犬と散歩にでかけるのですが、突然、
別の“肺”がそこにあるかのように深呼吸ができて、
より頭がクリアになるのを感じるのです。常にリセットされているようなものですね」

〈SUZUKI〉ジムニーとフィリックス・コンランさん。

愛車は〈SUZUKI〉ジムニーのフィリックス・コンランさん。

憧れだった日本での暮らしは築150年の古民家とともに

〈ザ・コンランショップ〉の創設者で実業家の、テレンス・コンラン卿の孫として生を受け、
ロンドン、シドニー、ニューヨーク、ロサンゼルスといった
経済の中心地での活動を経て、
フィリックスさんは、幼少期からの憧れだった日本の田舎暮らしを手に入れた。
場所は、山々と3本の川に囲まれた自然豊かな立地で、
ノスタルジックなまち並みを残す奈良県東吉野村だ。

ここでフィリックスさんは、デザインスタジオ〈HA PARTNERS〉を立ち上げ、
建築とプロダクトのデザイナーとして、
古民家のリノベーションなどを手がけていく。

一緒に来日したフィリックスさんのパートナー、エミリー・スミスさんは、
東吉野の中心人物になりつつある。
彼女の母は日本で生まれ育ったこともあり、
自身のルーツである日本への興味と理解を深めていったことも、
フィリックスさんの背中を押した。

イギリスでドキュメンタリー映像制作の仕事をしていたエミリーさんは、
東吉野で地域おこし協力隊に就任。
東吉野の野山に自生する山菜やきのこの種類の多さやおいしさに魅了され、
豊かな自然とその産物をInstagram(@down2forage)で県内外や海外へ発信していたが、
ついに移住半年で〈東吉野きのこ協会〉を立ち上げたのだ。

11月1日から開催される、村在住の36組のクリエイターによる
オープンアトリエと作品展示、『はじまりの東吉野オープンアトリエ』にも参加予定。
活動の幅を徐々に広げている。

地元のお祭りのステージで日本語の歌謡曲を披露するエミリーさん。

地域のコーラス隊に参加し、地元のお祭りのステージで日本語の歌謡曲を披露するエミリーさん(左)。

そんなフィリックスさんとエミリーさんが暮らすのは、
村の中心部である小川から車で15分ほどの集落にある築150年の古民家だ。

招かれて入った先にはまず広い土間。前の住民が煮炊きをしていたかまども残されていた。
そして、和室には、フィリックスさんがデザインした照明とソファが鎮座する。

床の間にはフィリックスさんの父親の古い友人だというアーティスト、
デビッド・バンドの絵が飾られている。
「私がオーストラリアで生まれたときから、いつもデビッドのアートが家にありました。
だから私にとって、この絵は故郷のようなもの」とフィリックスさん。
この絵は、フェリックスさんが以前経営していたデザイン・スタジオのロゴに
インスピレーションを得たもので、フィリックスさんの原点を表した場所だ。

料理が好きだというふたりのこだわりのキッチンは、クリエーションの舞台であり、
実験室でもある。畑で採れた野菜や、
エミリーさんが採ってきた山菜やきのこをふたりで調理しては舌鼓を打つ毎日。
調理道具も調味料も和洋さまざまなものを取り揃えている。

「山菜やきのこを文化や食の伝統のなかで
長い間大切にしてきた日本人が好きなんです」とエミリーさん。

フィリックスさんは和食も好きで、とりわけ蕎麦がお気に入り。
すでにいきつけのお店もあるそうだ。

〈Forest house〉外観

彼らは、もともと家だった敷地の最も古い部分で、
85年前に牛舎に改築された場所のリノベーションに着手している。
東吉野や日本の伝統的な素材を使った新居、通称〈Forest house〉を建築中だ。
旧家の梁を残して新しく生まれ変わろうとしているが、
「忘れ去られた古い建物を現代的で魅力的な家に生まれ変わらせる」のだと、
フィリックスさんは改修の目的を話す。

コンラン家のDNAともいえる目利きの技。
それが生きたフィリックスさんのプランはこのとおりだ。

① 玄関からシンボルツリーである柿の木が見えるように窓を配置する。いわゆる借景の考え方。

② 床材は部屋ごとに吉野桧と吉野杉の木製ブロックを使い分け、バスルームは緑色のタイルを敷き詰める。また、屋根には金属を用いている。

③ ごくプライベートな空間以外ドアをつくらず、フローリングの種類や段差でゆるく部屋を区切る。

④ 自分たちで裁断した巨大な岩をテーブルにする。

⑤ キッチンとは別にアウトドアキッチンを設ける。日本の土間に着想を得たアウトドアキッチンで、料理好きで人を招くのが好きなふたりが和気あいあいと料理できる環境に。

⑥ リビングスペースの中心に現代的な囲炉裏をデザインする。

ご近所の方々や友人を招いて、ホームパーティーをすることも。〈丹生川上神社〉の鳥居からインスピレーションを得た東屋は、フィリックスさんが友人の手を借りて、地元の木材を使用し建てたもの。「日本の美しい建物、美しい木材への愛と感謝、敬意を示しています」とフィリックスさん。

ご近所の方々や友人を招いて、ホームパーティーをすることも。〈丹生川上神社〉の鳥居からインスピレーションを得た東屋は、フィリックスさんが友人の手を借りて、地元の木材を使用し建てたもの。「日本の美しい建物、美しい木材への愛と感謝、敬意を示しています」とフィリックスさん。

三重県松阪市の里山で、 新たなまちづくりを展開する 古民家カフェ〈奥松阪〉が、 宿泊施設をオープン

松阪の中山間地域に位置

三重県松阪市の南西部に位置する、飯高町(いいたかちょう)。
豊かな自然が残る一方で、道の駅や、大型商業リゾート〈VISON〉も近く、
のどかな空気とにぎわいが共存するエリアです。

そしてこの地域で人気を集める飲食店が、〈奥松阪〉。

〈奥松阪〉では「何気ない日常に幸せを」をコンセプトに、
地元の食材をふんだんに使った料理やデザートを多数提供。
開業以来、多くの人々が訪れています。

店主は、デザイナーとしても活動する高杉亮さん。

店主の高杉さん。

店主の高杉さん。

もともとは名古屋市内に事務所を構えていましたが、
数年前に松阪市の地域おこし協力隊へ就任し、家族とともに移住。
その活動の一環で訪れた古民家にひと目惚れし、
大家から譲り受けて2023年1月に〈奥松阪〉を開店しました。

現在は〈奥松阪〉の経営のほか、
松阪市の特定地域づくり事業協同組合の理事長兼事務局長など、
いくつもの活動を行っています。

地産の食材を使ったランチとスイーツを提供

日替わりランチ(1350円)に登場する「松阪極豚のトンカツ&とっとき味噌ダレ」。

日替わりランチ(1350円)に登場する「松阪極豚のトンカツ&とっとき味噌ダレ」。

〈奥松阪〉で味わえるのは、県産ブランド鶏「みえ錦爽とり」や
松阪市産の野菜など、地元の食材をたっぷり使ったランチ。
日替わりランチをはじめ、毎日3種類ほどの料理を用意しています。

「ケーキプレート」850円。

「ケーキプレート」850円。

カフェタイムには、デザートやドリンク類を提供中。
コーヒに合うケーキや焼き菓子、豆花(トウファ)や愛玉子(オーギョーチイ)といった
台湾系のスイーツなどを、ゆっくり楽しめます。
一度に数種類の食べ比べをしたいなら、「ケーキプレート」もおすすめです。

さらに、デッドストックの食器や雑貨、焼き菓子やコーヒーなども。
古き良き、日本の暮らしまわりの道具を手頃な価格で販売しています。

地域発信の本がおもしろい! それぞれの編集長が推す ローカルブックス7選

ローカル情報一辺倒ではない、誌面づくり

出版への物理的・経済的なハードルが下がったこともあり、
ローカルにおいても、
個人や小さな会社からたくさんの雑誌や書籍が発売されている。
そしてそのクオリティはどんどん高まっている。

そこでローカルをベースにしながら出版されている本を紹介したい。
ひとつ共通しているのは、距離の近さだ。
物理的な近さはもちろん、人と人との心理的な近さも内容に大いに影響しているようだ。
その「距離感」をどう捉えて誌面にしているのだろうか。

本の紹介文は、それぞれの編集長が自ら、思いを込めて書いてくれた。

世界遺産のあるまちで、 “アートの秋”を楽しむ。 「宗像みあれ芸術祭」10月から開催

篠田ゆき「雲プロジェクト ‒ 宗像大社に雲を浮かせる」

世界遺産のあるまちとして有名な宗像市で、芸術祭が開催されます。
メイン会場は、まさにその世界遺産の一部である宗像大社辺津宮。
宗像で生まれ育った新進気鋭のアーティストから、
脳科学者として活躍している中野信子さん(招待作家)まで、
個性豊かなアーティストによる作品が展示されます。

「神宿る島」として世界遺産に登録

世界遺産のあるまちとして有名な宗像市

古代の国際交流の拠点であり、大陸から伝わる
最先端の技術・文化が交差する地域であった宗像。
宗像大社は日本最古の神社のひとつとして知られており、
国の安寧を祈願する宗像三女神の信仰については
「古事記」や「日本書紀」にも記されています。

そんな宗像の歴史を背景にはじまったのが「宗像みあれ芸術祭」です。
「宗像の魅力、再発見」「子どもたちに開かれた美術体験」をテーマに、
地域の未来につながる祭典を目指し、作品の展示をはじめ、
さまざまなワークショップやイベントを開催。
アートを通して、宗像の新しい文化を紡いでいきます。

「みあれ祭」とは?

「みあれ祭」

宗像みあれ芸術祭は、宗像大社の「みあれ祭」と同時期に開催されます。
みあれ祭は、秋季大祭の最初に行われる大切な祭事。
沖ノ島にある「沖津宮」と大島にある「中津宮」の御神璽(みしるし)を、
本土にある「辺津宮(へつぐう)」にお迎えする神事で、
10月1日には約100隻の漁船が集まり、海上神幸を行います。
船に掲げられた大漁旗が海上にはためく様子は、華やかで壮観!

10月1日に行われる海上神幸

旅に行ったら、 まずは本屋さんに行きたい! 地域に愛される、全国の本屋さん12選

全国の旅先で、本屋さんに行きたい

全国にはたくさんの本屋さんがあり、多様化している。
大型書店とはまた違うセレクトだったり、何かのジャンルに特化していたり、
立地が独特だったり、店構えが本屋さんの域を超えていたり。

実際に足を運べば何かに出合える、それは本だけでないかもしれない。
知れば行ってみたくなる、そんな本屋さんたち。

そこで北は北海道から南は沖縄まで、
ローカルにあり、特徴のある本屋12店をお届けする。

〈小鳩書房〉(長沼町)
「岩波少年文庫」のみを取り扱う本屋

2023年に北海道・夕張郡長沼町の農場にオープンした
「岩波少年文庫」のみを取り扱う本屋。
世界の古典文学シリーズが古本、新刊問わず並ぶ古民家は、
北海道の雄大な山々と夕張川を背にして、
見渡す限りなにもない土地に建つ。

小鳩書房の鍵がかかった扉を開けるには、まず農場内にひっそりと佇むこの小さな小屋で鍵を受け取ろう。

小鳩書房の鍵がかかった扉を開けるには、まず農場内にひっそりと佇むこの小さな小屋で鍵を受け取ろう。

敷地内でハーブ農家を営む店主の柴田翔太さんが本屋を始めたのは、
数年前に祖父の本棚から見つけた古い岩波少年文庫の巻末にあった
「岩波少年文庫発刊に際して(1950年)」という文章に感銘を受けたことが
きっかけだった。

「世界でいちばん岩波少年文庫が揃う書店」を標榜する同店だが、コロカルで連載を持つ來嶋路子さんの『家の庭』など、地元作家のリトルプレスの取り扱いも。

「世界でいちばん岩波少年文庫が揃う書店」を標榜する同店だが、コロカルで連載を持つ來嶋路子さんの『家の庭』など、地元作家のリトルプレスの取り扱いも。

小鳩書房に入るには、まず農場内にある小屋で鍵を受け取る。
来店者が自身で鍵を開け、誰にも干渉されずひとりで本を選ぶ、
自分だけの時間を過ごすことができるようになっているのだ。
ここへ来てから帰路に着くまでのすべてが
「1冊の本を買った体験」として来店者に刻まれそうだ。

information

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小鳩書房

住所:北海道夕張郡長沼町東5線北18 白銀荘農場内

営業時間:13:00〜17:00

営業日:土・日・月曜(白銀荘の営業日と連動)

Instagram:@kobato_shobou

ブックコーディネーター・ 内沼晋太郎さんに聞く 「世界をより良くしていくための」 本と本屋

大型書店が姿を消し、増える独立系書店

「本が売れない時代」だといわれて久しい。
本の売り上げは1996年をピークに右肩下がりを続け、
日本出版インフラセンターの統計によると、
この10年で全国の書店数は3分の2に減少。
全国の市町村の4分の1以上が「書店ゼロ」のまちになっているという。

一方で、個人オーナーによる独自セレクトの小規模な独立系書店は
全国各地で次々と開店しているという驚きの事実もある。
たとえば2023年には全国で80店以上が新規開業しているというデータも。
つまり独立系書店は、
新しいかたちの「まちの本屋」として、着実にその存在感を発揮しているのだ。

こうしたムーブメントの背景にあるものはなんだろうか。
そして、その流れやスタイルは、都会とローカルとで違いがあるのだろうか。

そんな問いを抱いて訪ねたのが、現在、東京と長野県御代田町で
二拠点生活を送るブックコーディネーターの内沼晋太郎さんだ。

大開口から注ぐ光が心地よい内沼さんの御代田町の住まい。

大開口から注ぐ光が心地よい内沼さんの御代田町の住まい。

ドクダミ、ヨモギ、センブリ…… 飛騨地方で伝わる薬草生活を体験! 岐阜県飛騨市で9月7日(土)に 薬草フェスティバルを開催

岐阜県飛騨市にて、2024年9月7日(土)に
〈全国薬草フェスティバル in ひだ〉が開催されます。
毎年開催している〈飛騨市薬草フェスティバル〉から名称変更し、
今回が第1回の開催となります。

飛騨地方で昔から伝わる“薬草生活”で地域の活性化

飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課 今村彰伸さん。

飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課 今村彰伸さん。

イベントを担当する今村彰伸さんは、飛騨市出身で、
高校卒業後に地元を離れたのちに、7年前Uターン。
以前は自然に関わる仕事をしていたこともあり、
自然資源である薬草にも興味をもち、
飛騨市役所 商工観光部 まちづくり観光課として、
薬草活用のプロジェクトに参画しています。

薬草を採取する様子

「飛騨市では、昔から身近にある薬草を生活に取り入れてきました。
地元でくらす高齢者の話の中にもドクダミ、ヨモギ、ゲンノショウコ、
センブリ、ナツメ、エゴマなどの薬草の話がよく出てきます」

薬草の活用法

「家族により活用頻度などは異なりますが、
薬草を使用したお茶や料理などは地域全体で伝わっています。

しかし、西洋医学の普及に伴い、飛騨でも
民間薬的なものは使われなくなっているのが実情です」

集合写真

「今回のイベントは、昔の知恵を残すことも目的のひとつですが、
地域資源を掘り起こし、その価値を見直すことが、
地域住民のシビックプライド醸成につながり、
地域の活性化に寄与するという考えのもと活動しています」と今村さん。
薬草を柱に地域交流やまちおこしなどに注力しています。

フェスティバルの名を変更して新たなる薬草普及を目指す

薬草フェスティバルの様子

これまでの薬草フェスティバルは地域住民への薬草普及を大きな目的としていましたが、
イベント名を〈全国薬草フェスティバル〉に改名したのは、
飛騨市が全国の薬草関係者の受け皿となり、
薬草好きが交流する場を提供したいという思いからです。

薬草を選ぶ

この交流が地域の健康意識向上にもつながることを信じ、
地元の老舗料理旅館、全国と交流を深める薬草絵手紙メンバー、
飛騨市に移住してきた若者たちなど、官民が一体となってイベントを盛り上げていきます。

「本のまち」青森県八戸市に 新たなカルチャーの拠点となる 古本屋〈ジェロニモ〉がオープン

本屋が減少している時代に、果敢な戦士のように

青森県八戸市の中心街に古本屋〈ジェロニモ〉がオープンしました。
八戸市は2014年から「本のまち八戸」をスローガンに、
公共施設として〈八戸ブックセンター〉を運営するなど、
市民が暮らしのなかで本に触れる機会を増やしてきました。
本を扱う〈ジェロニモ〉は、八戸市らしい店といえるでしょう。

古本屋〈ジェロニモ〉店内

お客さんには役場の職員など自治体関係者も多い。

ジェロニモというのは、実在したネイティブアメリカンの戦士の呼び名です。
彼はアメリカ大陸に進出する白人に抵抗し、最後まで勇敢に戦ったことで知られています。

全国の本屋の数は、ここ20年間で20880店舗から10918店舗と
およそ半数に減っています(出版科学研究所調べ)。
そうしたなか、古本とはいえあえて本屋を始めるには、ジェロニモのような勇気が必要。
そう感じた店主の本村春介さんが、自らを鼓舞する意味もこめて店名にしたといいます。

古本屋〈ジェロニモ〉ディスプレイ

カウンターの反対側の壁には、印象的な表紙の本がディスプレイされている。

お酒も飲める、居心地のいい店内

「たくさんの人に来てほしいから」と、本のジャンルは幅広く揃えており、
カウンターでドリンクも提供しています。うれしいことにお酒も飲めます。
ドリンク片手に店内をブラブラし、椅子に座って試し読みもできるため、
居心地よくて長居してしまいそう。

椅子と本とドリンク

店内の至るところにあるドリンク置き場

店内の至るところにドリンクを置ける場所がある。

立地は、八戸市の中心街の真ん中にあるビルの3階です。
「いい場所にあるでしょ。1本隣の道は飲み屋街だし、横丁も近い。
だから、0次会にも使ってほしいですね。『飲み会までまだ時間あるな』ってときに、
ここで1杯飲んだり本を読んだりして、時間をつぶすとちょうどいいと思います」
〈ジェロニモ〉の営業時間は13:00から19:00と、店が閉まる頃には
飲み会もスタートするタイミング。待ち合わせ場所にもぴったりです。

古本屋〈ジェロニモ〉看板

店を目がけて訪れる人を優先するため、看板はあえて控えめ。

震災に負けず、やさしいまちづくりを! 屋内公園やeスポーツスタジオも完備の サードプレイス〈LAKUNAはくい〉が 石川県羽咋市にオープン

能登半島のつけ根にあり、日本で唯一、砂浜を走行できる
〈千里浜なぎさドライブウェイ〉で有名な石川県羽咋市。
羽咋という名前は、日本神話に由来するほど歴史も古く、
市内には古墳群もあり、弥生時代の土器なども多数発掘されています。
また、美しい棚田が広がる田園風景など、自然豊かで風光明媚なまち。
農業も農薬や化学肥料、除草剤を一切使用しない自然栽培で作られるお米
〈羽咋米〉をはじめ、まち全体で自然環境を大切にしているのが羽咋の魅力です。

「奇跡のリンゴ」を生んだ青森県の木村秋則さん指導のもと、全国でも珍しい自然栽培で作られたお米はふるさと納税でも人気!

「奇跡のリンゴ」を生んだ青森県の木村秋則さん指導のもと、全国でも珍しい自然栽培で作られたお米はふるさと納税でも人気!

遊びも勉強も仕事もできるコミュニティスペースの誕生

そんな羽咋市の駅すぐそばに、新たな市民の憩いの場として
7月1日に〈LAKUNAはくい〉がオープン。
外観は、羽咋市を象徴する棚田と千里浜から見る水平線を組み合わせた
近代的なデザインとなっています。

羽咋市まちづくり課の松岡正樹(まつおかなおき)さんは、
〈LAKUNA はくい〉のコンセプトについてこう話します。
「『羽咋の未来をともす、集い、ふれあう、賑わう拠点づくり』です。
第1が自宅、第2が職場や学校、そして第3となる癒しの場、
サードプレイスとなるような、オープンな雰囲気を大切にしています。
すでに1日1000~2000人もの人が訪れてくれていて、
自発的に親子グループのコミュニティができたり、
中高生が友だちと勉強スペースとして通ってきてくれたりと、賑わいを見せています」

能登初出店となるドトールコーヒー。ビールも扱っている。 

能登初出店となるドトールコーヒー。ビールも扱っている。 

1階はドトールコーヒーが入った図書カフェとなっており、
ワークスペースには、フリーWi-Fiのほか、すべての机に電源を完備しており、
学生やリモートワークの社会人にも人気。
完全個室も3つあり、これが無料で利用できるのは公共施設ならでは。
また、夜は22時まで開館していることから、会社勤めの人も
仕事帰りにふらりと立ち寄ることもできます。

市立の図書カフェとは思えないデザイン性と機能性にあふれたワークスペース。

市立の図書カフェとは思えないデザイン性と機能性にあふれたワークスペース。

雨天の多い北陸だから屋内で体を使って遊ぶ施設は親子に大人気!

2階には広々とした屋内公園〈LAKUNA こうえん〉があり、
ネット遊具や木をふんだんに使ったバンク遊具など、
子どもたちがのびのびと遊べるスペースとなっています。
企画段階で子育て世代にアンケート調査を行ったところ、
北陸は1年間の半分ぐらいが、雨や雪となるため、
「子どもたちを安全に遊ばせられる場所がほしい」という意見がダントツだったそうです。

3階、4階は有料の貸しスペースなっていて、キッチンスタジオや
パソコンを12台そろえたeスポーツスタジオ、モノづくりが楽しめるアートスタジオなど、
公共施設とは思えない最新設備を投入した複合施設となっています。

貸し切り1時間1100円、個人利用の場合は、高校生以下なら1時間150円というリーズナブルな価格で利用できる。

貸し切り1時間1100円、個人利用の場合は、高校生以下なら1時間150円というリーズナブルな価格で利用できる。

ローカルの“地元自慢”を体験しよう! ニューオープンから“特化型”店舗まで 注目のアンテナショップ7選

2023〜24年にかけてアンテナショップは注目の年を迎えている。
ニューオープンやリニューアルを果たした店舗が次々と登場し、
ローカルの魅力を打ち出した多彩なコンテンツが盛りだくさんだ。

行ったことない地域でも、縁もゆかりもない県でも、
そこを訪れればきっと何か新しい発見があるはず。

今回は、そんなニューオープン・リニューアルしたアンテナショップと、
独自の進化を遂げた“特化型”アンテナショップを取り上げた。

ニューオープン・リニューアルした
注目のアンテナショップ

まずは2023年、2024年にニューオープン・リニューアルした
アンテナショップのなかから注目の店舗をピックアップ。

新規オープンのショップでは、陳列されている商品だけでなく、
県産材を使っていたり、伝統技術で手がけた什器を設置していたり、
意匠を凝らした内装も見どころのひとつだ。

また、お酒の試飲コーナーやギャラリースペース、レストランを併設する店舗など、
ローカルを「体験」できるからくりが盛り込まれているので、
そんなところに注目しながらアンテナショップめぐりを楽しんでほしい。

新潟県|THE NIIGATA@銀座

2024年8月8日、銀座5丁目のすずらん通りにグランドオープンしたのが
〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉。

9階建てのビルのうち、地下1階と地上1〜3階と8階の全5フロアからなり、
店内で握った魚沼産コシヒカリのおにぎりを提供する〈THE ONIGIRI・Ya〉や、
30種類以上の日本酒を試飲できる(1500円で5杯)
〈新潟清酒・THE SAKE Stand〉を展開している。

8階には、ものづくりのまち・新潟県燕三条を本拠地とするイタリア料理店
〈Tsubamesanjo Bit〉が〈THE NIIGATA Bit GINZA〉として出店している。

米どころ・新潟なのにイタリアン?
と思うかもしれないが、お米はしっかりと新潟産を使用。
イタリアンのコースのなかで際立つ新潟米を楽しめるでしょう。
そして、食材だけではなく、お酒やカトラリー、うつわにいたるまで
新潟の商品で統一するというこだわりも。

ここまで「新潟一色」に統一された空間は、現地でも体験できない、
〈THE NIIGATA〉だからこそ実現できた空間なのかもしれない。

関連記事:〈THE NIIGATA〉がグランドオープン!進化した新潟の玄関口が銀座にやってきた(新潟のつかいかた)

information

map

【銀座・新潟情報館 THE NIIGATA】

住所:東京都中央区銀座5-6-7 SANWAすずらんBldg. B1〜3階・8階

TEL:

ショップ 03-6280-6551

にいがた暮らし・しごと支援センター 03-6281-9256

営業時間:

ショップ 10:30〜19:30 ※新潟清酒・THE SAKE Standは12:00~19:00

にいがた暮らし・しごと支援センター 10:30〜18:30

定休日:

ショップ 年始

にいがた暮らし・しごと支援センター 火曜・祝日、年末年始

WEB:THE NIIGATA

Instagram:@the_niigata

information

map

【THE NIIGATA Bit GINZA】

TEL:03-6228-5636

営業時間:ランチ11:30〜14:00(L.O.13:30) ※土・日曜、祝日は〜15:00(L.O.14:30)

ディナー18:00〜22:00(L.O.21:00)

定休日:月曜、不定休

座席数:46

WEB:THE NIIGATA Bit GINZA

Instagram:@bit_ginza

時代とともに「進化するローカル」。 変遷をたどって見えてきた アンテナショップの次なる役目とは?

東京にいながらにして、地域の特産品や食材を手に入れることができ、
ローカルの雰囲気を楽しむことができる「アンテナショップ」。

現在、自治体のアンテナショップは
銀座、有楽町、日本橋エリアに約30の店舗が点在している。
その歴史は古く、昭和初期から東京駅近辺に集まりだし
バブル崩壊や東京駅の再開発など紆余曲折を経て、
現在のような「アンテナショップ特区」が広がっている。

そんなアンテナショップの動向をつぶさに見てきた、
〈地域活性化センター〉のメディアマーケティングマネージャーの畠田千鶴さんに
アンテナショップの変遷についてうかがった。

アンテナショップの先駆け!
東京未上陸の味で躍進した沖縄と鹿児島

〈かごしま遊楽館〉は1995年の開業当時の場所・日比谷で現在も営業。

〈かごしま遊楽館〉は1995年の開業当時の場所・日比谷で現在も営業中。

「1990年代、東京駅の八重洲口にあった鉄道会館と国際観光会館のふたつのビル
(現在のグラントウキョウ ノースタワー付近)には、
都道府県や市町村など約30の自治体の観光案内所が入居しており、
地域の玄関口として機能していました。

それが東京駅八重洲口の再開発による同ビルからの立ち退きと、
バブルの崩壊による銀座周辺の地価の下落によって、
それまでビル内に入居していた自治体の観光案内所が
銀座の一等地に個別の路面店型アンテナショップとしてオープンしたのです」

このときに現在のアンテナショップの原型となった
沖縄県の〈銀座わしたショップ本店〉(1994年)と
鹿児島県の〈かごしま遊楽館〉(1995年)が登場。
第1次アンテナショップブームへとつながっていく。

首都圏でPRに成功したうちなーごはんと芋焼酎

1994年に銀座一丁目でオープンした〈銀座わしたショップ本店〉は2023年に東京交通会館1階に移転。

1994年に銀座一丁目でオープンした〈銀座わしたショップ本店〉は2023年に東京交通会館1階に移転。

〈銀座わしたショップ本店〉と〈かごしま遊楽館〉は、
それまで現地を訪れなければ味わうことのできないローカルの味を
首都圏でPRすることに成功し、多くの顧客を獲得している。

「〈銀座わしたショップ〉さんは、それまであまり馴染みのなかった
泡盛の古酒や、ジーマーミ豆腐、海ぶどうなどの沖縄の食材を取り扱い、
イートインスペースでは本場・沖縄の味を提供するなど、
現在でもアンテナショップのなかで全国トップクラスの売上を誇ります」

その後、「わしたショップ」の名で
北は〈札幌わしたショップ〉から、南は地元〈那覇空港わしたショップ〉まで
計11店舗を展開しており、アンテナショップの成功例として各自治体から注目されている。

〈かごしま遊楽館〉とともに展開をする飲食店〈いちにぃさん〉。

〈かごしま遊楽館〉とともに展開をする飲食店〈いちにぃさん〉。

同様に、鹿児島県〈かごしま遊楽館〉もローカルの味をフックに、
東京でのプロモーションに成功している。

「〈かごしま遊楽館〉さんは、鹿児島の民間の飲食店〈いちにぃさん〉と共同で
レストランを併設した店舗を日比谷でオープンしました。
当時、東京には流通していなかった芋焼酎や黒豚、柚子胡椒などの
ローカル特産品を積極的にPRし、多店舗展開を実現します。

首都圏では、焼酎といえば甲類・乙類という分類が主流だった時代に
いまや全国区の知名度を誇る鹿児島の〈森伊蔵〉〈魔王〉などを取りそろえ、東京で受け入れられたのです。

これまで地域でしか消費されていなかったものが、
首都圏でも支持されるという『ローカルの可能性』を見出した事例といえます」

沖縄県や鹿児島県のように、路面店型のアンテナショップが登場する一方で、
立ち退きを余儀なくされたそのほかの自治体の観光案内所が、
東京交通会館にアンテナショップとして転換していったのもこの時期。

現在、交通会館には12店舗が入居しファンにとって
「アンテナショップの聖地」として連日多くの客でにぎわっている。

まるで本屋の商店街! 京都・一乗寺に誕生した “シェア型書店” 〈一乗寺BOOK APARTMENT〉

個々人のおすすめ本が並ぶユニークな書店

書店の数が減り続け、1軒も書店がない市町村もある現代。
そんななか、2024年7月に新たな書店がオープンしました。
場所は古書店やカフェなどが立ち並び、文化の香り漂う京都・一乗寺エリア。
書店名は、〈一乗寺BOOK APARTMENT〉です。

「一乗寺駅」で下車し、歩くこと5分ほど。
原稿用紙を思わせる格子柄が目を引く、「本」の看板が目印です。

大きな本棚は、東京にある〈西日暮里BOOK APARTMENT〉のスタッフに協力してもらいながらDIYでつくったもの。

大きな本棚は、東京にある〈西日暮里BOOK APARTMENT〉のスタッフに協力してもらいながらDIYでつくったもの。

店の扉を開けると目に入ってくるのは、大人の背丈よりも大きな本棚。
実はこの本棚は、“棚貸し”がされています。

棚貸しとは、四角く区切られた本棚の一画一画を
希望者(棚主)に貸し出し、
好きな本を並べて販売してもらうシステム。

そして、こういったシステムを取り入れている書店を
「シェア型書店」と言います。

並べる本の種類や棚の中のレイアウト、
入れ替えのタイミングなどは基本的に棚主の自由。

「棚主のお気に入りの本を並べる」という人もいれば、
「歌人が自身の関連書を置く」「メンタルヘルスに関する本がメイン」
という人もおり、どの棚も個性豊かです。

多くの人に読んでほしい本を自費で購入し、オリジナルの帯をつけて並べる棚主も。

多くの人に読んでほしい本を自費で購入し、オリジナルの帯をつけて並べる棚主も。

現在は付近の大学に通う学生や元書店員、海外在住の日本人に、
脳科学者・茂木健一郎さんなど、さまざまな人が棚主となっています。

主にジャーナリズムや社会問題、生き方・働き方に関する本が並ぶ。

主にジャーナリズムや社会問題、生き方・働き方に関する本が並ぶ。

店内にはこのほかふたつの本棚があり、いずれも新刊図書コーナーとなっています。
新刊図書コーナーには、店主が「今の時代に読みたい」と思っている
書籍をはじめ、約250冊を用意。
ラインナップは不定期で変わるため、訪れる度に新しい発見がありそうです。

アイスコーヒー500円。豆は、同じく左京区・北白川の〈ワールドコーヒー〉のもの。

アイスコーヒー500円。豆は、同じく左京区・北白川の〈ワールドコーヒー〉のもの。

店内には喫茶スペースも併設。
店から徒歩10分ほどの場所にある
〈焙煎処 桃栗〉の豆を使ったホットコーヒー(500円)や、
ジュース、ビールなどのドリンクを取りそろえています。

本を買うついでにお茶をするのはもちろん、
ブックカフェ感覚での利用も可能です。

人間国宝や気鋭作家の工芸作品が集結! 能登半島地震チャリティイベントが 都内で開催

桐本滉平が手がけた器。

3日間のスペシャルイベント

2024年の年明け1月1日に起きた能登半島地震。
7か月経った現在も、未だ手が行き届いていないところがあり、
復興活動が続いています。

そんな能登の伝統や魅力を知ってもらい、復興につなげようと、
「能登からの風」と題して、7月26日(金)〜28日(日)の期間、
東京・代官山で復興支援イベントが開催。

同地の文化を現代的に昇華した気鋭のアーティストから、
重要無形文化財保持者の漆芸家まで、豪華な作家の工芸品が登場します。

漆芸家 桐本晃平

漆芸家 桐本滉平

1992年に石川県輪島市で生まれ、
漆、麻、米、珪藻土を素材とした乾漆技法を用いて
「生命の尊重」を軸に創作を行う漆芸家の桐本滉平。
共同創作にも意欲的で、工芸の領域を超えた作品を生み出しています。

抒情書家 室谷文音

抒情書家 室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

抒情書家の室谷文音。
抒情書家の両親のもとに生まれ、箸を持つより先に筆を持っていたという彼女。
ロンドンへ留学後、両親の移住をきっかけに訪れた能登町に惚れ込み、
以来そこにアトリエを能登町に構え、国内外で精力的に活動しています。
能登町ふるさと大使、いしかわ観光特使も務めています。

〈第7回世界えだまめ早食い選手権〉 新潟県長岡市で 2024年7月21日に開催

東京予選を兼ねた〈新潟えだまめ盛フェス〉を渋谷で開催

全国随一の枝豆王国の新潟県。その中でも枝豆の生産が盛んな長岡市で
〈第7回世界えだまめ早食い選手権〉が2024年7月21日に開催されます。
本戦開催を1週間後に控えた7月14日、東京・渋谷で東京予選が開かれました。

振る舞われた「おつな姫」「味風香」「陽恵」「新潟系14号」

振る舞われた「おつな姫」「味風香」「陽恵」「新潟系14号」。

新潟県は枝豆の作付面積が全国1位。一方で出荷量は全国7位です。
なぜ作付面積と出荷量で差があるかというと
新潟の人たちが大の枝豆好きだから。
とある新潟県民は
「新潟県民は、他県の人が想像する以上に枝豆を食べる」と言います。
おつまみだけでなく、おやつにも枝豆を食べています。

新潟県内で栽培される枝豆は40種類以上あり、いくつもの品種がリレー形式で栽培。
6月から9月にかけて途切れることなく収穫されます。

「新潟えだまめ盛」

その採れたての枝豆をゆでて、ザルいっぱいに盛るのが新潟では夏の風物詩です。
その枝豆が盛られた様子を「新潟えだまめ盛」と命名して
2023年8月からPRも開始されました。

『世界えだまめ早食い選手権』は枝豆の名産地、長岡市で開催されます。
この選手権は、100秒間でいかにたくさんの枝豆を食べられるかを競うもので、
個人戦と3人1チームの団体戦が行われます。

選手権ではいくつかのルールがあります。
食べるときは必ず豆の鞘(さや)を口の近くまで運ばなくてはならず、
枝豆を鞘(さや)ごと全部食べることは禁止といったもの。
また枝豆の粒が落ちたら、ペナルティとして1粒あたり5グラムが差し引かれます。
生産者への敬意を込めて、きれいに食べることも求められます。

今回渋谷で開催された東京予選は個人戦で、昨年に続き2回目。
2部にわたって行われた予選には、100人以上が出場して
上位15名ほどの本戦出場枠を目指して熱い戦いを繰り広げました。
今回の参加者には昨年東京予選を勝ち抜き、
本選で準優勝を勝ち取った強者も含まれています。

出場者が早食いに挑む姿

出場者が早食いに挑む姿は真剣そのもの

参加者は6人ずつに分かれてステージ上で枝豆の早食いを競います。
「えだまめファイッ!」の掛け声のあと、
顔をテーブルの上の枝豆に近づけて、一心不乱に枝豆の早食いに挑む出場者たち。

枝豆の計量

食べ終わった枝豆の重さを計量して、配布した量と差し引き。

100秒後、残った枝豆の量が計量されます。
計測結果が発表されるごとに会場のオーディエンスから
どよめきが上がったり、拍手が鳴り響いたりと大盛り上がり!

今回の出場者の中で、トップで予選を通過したのは、
100秒で100グラムもの枝豆を食べた2名。
上位入賞者のうち15名が、長岡市で開かれる本選への参加枠を勝ち取りました。

なお、本戦が“世界大会”と称するのは大袈裟ではありません。
すでに締め切られた本戦の参加申し込みは、
アメリカなど海外、そして全国各地から
枝豆の早食いに闘志を燃やす参加者が出場予定です。

映画監督・松本花奈の旅コラム 「出会いを大切に。 友人との絆が深まった宮城夏旅」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第40回は、映画監督の松本花奈さん。
東日本大震災の復興支援にまつわるツアーへ。
仙台〜南三陸町〜亘理町〜塩釜市へと、
知っていたようで知らないことを目の当たりにし
風化させないように心に留めておく体験になった。

ツアーへは、中学校の同級生たちと一緒に行った。
このメンバーとは“小さなすれ違い”があったというが、
はたして旅はどうなったのだろうか?

中学時代の親友と行く、復興支援ツアー

2年前の夏、友人と宮城県へ旅に出た。
友人の名前は、“きなり”と“かめあり”。
中学の同級生で、中3のときにクラスが同じになり、仲良くなった。
きなりは面倒見が良く、姉御肌。それでいてとても繊細で、唯一無二の感性を持っている。
ちなみに、きなりは漢字で“生也”と書く。生きる也。なんていい名前なのだろう。

かめありは飄々としていて、とても知的。
穏やかなように見えて、たまに斜め上の角度から毒を吐いてくるところがまたおもしろい。
私は、きなりとかめありのことが大好きだ。
10年前から変わらずずっと、会うたびにお腹がよじれるほど大爆笑できるのは
このふたりしかいない。
ふたりに出会えたことで、 私の人生はとても豊かになっている。

“きなり”と“かめあり”と自分。

“きなり”と“かめあり”と3人で。

個性豊かなイベントで 新しいお寺のかたちを追求する 岐阜県山県市〈東光寺〉

岐阜県の郊外に位置する禅寺

「お寺」と聞いて、何が思い浮かびますか? 
住んでいる地域にもよりますが、
「法事をする場所」「お墓参りに、年に1~2回行く場所」、
あるいは「通りすがりでよく見ているけど、どんなところかは知らない」など、
あまり馴染みのないところだというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかしそうした状況に危機感を持ち、お寺を観光資源・文化財として残そうと、
ユニークな取り組みを多々行っているお寺があります。
岐阜県山県市にある〈東光寺〉です。

〈東光寺〉

〈東光寺〉は約520年の歴史を持ち、
敷地面積3000坪を誇る山県市最大の禅寺です。
美しいドウダンツツジと苔庭でも知られ、
最近は成人式や結婚式の前撮りスポットとしても人気を集めています。

「お寺=おかたい場所」のイメージを変える催しを実施

〈東光寺〉縁側

〈東光寺〉では、毎月さまざまなイベントを開催しています。

例えば、お寺が保有する文化財に親しんでもらう「月見茶会」。
〈東光寺〉は長い歴史の中で数々の名僧を輩出したことから、
お茶道具や伝統工芸品、美術品などが数多くあります。
そうしたものに触れてもらおうと、数々の伝統工芸品を鑑賞しながら
お茶も楽しめる会を開いています。

ほかにも、ユニークなイベントを随時開催中。
保護猫や保護猫活動をしている人々のことを知ってもらうことを目的に、
猫にまつわるクイズやスタンプラリー、マルシェを実施する「東光寺ねこ日和」に、
地元の菓子店とコラボした和菓子づくりのワークショップなど、
バラエティ豊かです。

猫モチーフのお菓子

「東光寺ねこ日和」では、猫モチーフのお菓子や雑貨などを販売するマルシェも開催

また、地域の子供たち向けの体験教室「てらこやぁ」も行っています。

栃木県の古道具店〈pejite〉が リノベーションした古民家の 貸し出し事業を開始

地域に眠る物件に命を吹き込む

栃木県を中心に店を構える、古家具と生活雑貨のセレクトショップ
〈pejite〉と〈仁平古家具店〉。そのオーナーである仁平透さんが、
2024年6月から新たな事業を開始しました。
その名も、〈place〉。
栃木県内の古民家を始めとした古い建物を、
店として使えるように改修して貸し出す事業です。

最初に募集するのは、栃木県鹿沼市の、とある山のふもとにある古民家。
明治14年に建てられたもので、母屋と石蔵からなります。

木々に囲まれた母屋は、約1年かけて改修工事を実施。
屋根の張り替えや壁の塗り替えなども行って、ふたつの部屋をつくりました。
広さはどちらも12坪ほどです。

母屋の中の様子。柱や梁がぐっと空間を引き締めている。

母屋の中の様子。柱や梁がぐっと空間を引き締めている。

母屋に入ると目を引くのは、柱や梁。
長くこの建物を支えてきたものだけあって、存在感があります。
壁には石膏ボードを貼って、入居者が自由に手を加えられる仕様に。
入居者の好みに合わせて、土壁や漆喰、モルタルなどを塗ってもいいそうです。

石蔵は、鹿沼市内で採集できる「深岩石」でできているもの。
深岩石の壁ならではのあたたかみや質感を残しつつ、6坪の空間に仕上げています。

「石蔵は今でも田舎に行けば点在はしていますが、
今からつくられることはきっとありません。
今後はもっと貴重なものになっていくと思います」と仁平さん。
歴史ある蔵の雰囲気を生かして、絵画やアンティーク、
茶器などを並べるのもいいかもしれません。

どちらの建物も、入居者の業種は不問。
ひとりで1スペース借りるのはもちろん、
「母屋も石蔵も両方借ります!」なんて方法も可能です。
入居者のアイデア次第で、無限の広がりを見せる空間なのではないでしょうか。

伝統芸能を未来につなぐ。 岐阜市で芸舞妓を養成するスクール開校

三味線や長唄に合わせ、美しい着物に身を包んだ芸舞妓の姿は、
日本の伝統芸能のきらびやかな美しさを表現し、見るものを惹きつけてやみません。
しかし、こうした伝統芸能を受け継ぐ人たちは、減少の一途をたどり、
風前の灯火となっています。

岐阜県岐阜市の芸舞妓が所属する団体、鳳川伎連(ほうせんぎれん)が
母体となり、新たな人材育成の取り組みとして、
2024年4月、遊宴文化の担い手を育てる岐阜伎芸学院を開校しました。

開校式の様子

2024年4月、開校式の様子。

おもてなしの心を育て、日本文化を学び伝える

岐阜県長良川流域は、古くから美濃和紙、和傘、岐阜提灯といった
伝統工芸の盛んな地域でした。古式ゆかしい1300年の歴史を持つ
「長良川鵜飼」でも有名な場所です。
日本文化を通しておもてなしを伝える花柳界も、江戸、明治の頃から、
町衆・旦那衆に支えられ、発展してきました。ここ岐阜では、
昭和の初めには、500名もの芸舞妓が活躍していたのだとか。

しかし、時代の変遷とともに伝統工芸品の生産量が減少し、
町の活気も失われていきました。
そして、それは遊宴、伎芸文化の世界にも波及し、
現在では14名の芸妓で、お座敷や宴席を支えるほどとなっています。
しかし、その一方で、映画やドラマで取り上げられる舞妓の姿に関心を持つ
若い世代や外国の観光客は年々増加。「舞妓さんのような着物を着てみたい」
「踊りを習ってみたい」「所作を知りたい」といった憧れの声が
高まってきているのです。

長良川での船遊びの様子

岐阜・長良川での船遊び。

専科だけでなく、幅広いニーズに応えるカリキュラムを提供

「本来、芸舞妓の育成は、町ぐるみで歴史や文化を伝え、
作法や精神性を女将さんたちとの生活の中で受け継がれてきたのです。
しかし、時代の変化、ライフスタイルの変化で、そういった徒弟制度が難しく、
体系的に教えていくための学校の必要性を感じ、スタートしました」と
語ってくれたのは、岐阜伎芸学院の代表理事である
小野崎隆賢(おのざき りゅうけん)さん。

小野崎隆賢さん

岐阜舞妓の育成、長良川船遊びなど遊宴文化の研究・再生に取り組む。小野崎隆賢さん。

岐阜伎芸学院では、今まで18歳以上しか受け入れていなかった
お茶屋での舞妓修行を、中学卒業と同時に学べる高等科を設置。
芸舞妓への稽古に取り組みながら、中京高校の通信制と提携し、
サポート校として高校卒業資格を取得できる独自のカリキュラムをつくりました。

「3年間で芸舞妓の基礎の部分を習得してもらい、その後は専科へ進み、
本格的な芸舞妓の養成を行っていきます。
また、今後は裏方を育てるコースも設けていく予定です」と理事の芳川辰次(よしかわたつじ)さん。

高校を卒業して、舞妓としての技能、訓練を学ぶための予科や
芸妓を目指す専科、さらには、小中学生が習い事の一貫で通い学べる中等科や、
社会人が三味線や日舞を学べる別科といったそれぞれのニーズに沿った
専攻課程を設けています。

通信課程で勉強中の生徒

通信課程での勉強も並行して学ぶ。

「おいしいビールを届ける」まちづくり 和歌山県有田川町にある 国際色豊かな〈Nomcraft Brewing〉

300種類以上のビールをつくりだしてきた

海が近く、年中温かくて雨が少ない和歌山県有田川町は古くから続くみかんの名産地。
見渡す限りのみかん畑の中に佇む〈Nomcraft Brewing〉は
2019年に誕生したクラフトビールの醸造所だ。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

メンバーは「シセロン」というビールソムリエの国際認定資格を持つ
シカゴ出身の醸造長アダムさん、
有田川に移住して18年のイギリス人ギャレスさん、
ドイツの醸造・精麦マイスターの資格を持つドイツ人のマークさん、
イギリスで研鑽を積んだジュンヤさん、
そして海外生活のなかでクラフトビールに出合い
〈Nomcraft Brewing〉の創設に関わることになった金子巧さん。
実に国際色豊かな顔ぶれであることに加えて、全員が移住者だ。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

〈Nomcraft Brewing〉のクラフトビールは
ホップにフォーカスしたアロマ豊かなアメリカンスタイルの味わいが特徴。
また、和歌山県が都道府県別・国内生産量1位を誇る有田みかんや、
同じく国内生産量1位を誇るぶどう山椒といった
和歌山・有田川町ならではの農作物を使用した香り高いビールなど、
創業以来300種類のビールを生み出してきた。

 (写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

(写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

醸造に欠かせない水は、世界遺産高野山と同じ水系に属す伏流水を使用。
「プレーンな水は、あらゆるスタイルのビールの可能性を
最大限に引き出す麦汁へとデザインすることができます。
それに和歌山のいろんなフルーツやスパイスの風味をきれいに
引き出すことができるんです」と金子さんは言う。