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posted:2024.8.14 from:京都府京都市 genre:活性化と創生
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Hiroko Shimokawa
シモカワヒロコ
しもかわ・ひろこ●岐阜県岐阜市出身。タウン誌の編集者を経て、現在は名古屋を拠点に活動するフリーランスライター・編集者。幼少期から「ローカル」を感じる店や人が好きで、大学ではまちづくり・都市政策を研究していた。
書店の数が減り続け、1軒も書店がない市町村もある現代。
そんななか、2024年7月に新たな書店がオープンしました。
場所は古書店やカフェなどが立ち並び、文化の香り漂う京都・一乗寺エリア。
書店名は、〈一乗寺BOOK APARTMENT〉です。
「一乗寺駅」で下車し、歩くこと5分ほど。
原稿用紙を思わせる格子柄が目を引く、「本」の看板が目印です。
店の扉を開けると目に入ってくるのは、大人の背丈よりも大きな本棚。
実はこの本棚は、“棚貸し”がされています。
棚貸しとは、四角く区切られた本棚の一画一画を
希望者(棚主)に貸し出し、
好きな本を並べて販売してもらうシステム。
そして、こういったシステムを取り入れている書店を
「シェア型書店」と言います。
並べる本の種類や棚の中のレイアウト、
入れ替えのタイミングなどは基本的に棚主の自由。
「棚主のお気に入りの本を並べる」という人もいれば、
「歌人が自身の関連書を置く」「メンタルヘルスに関する本がメイン」
という人もおり、どの棚も個性豊かです。
現在は付近の大学に通う学生や元書店員、海外在住の日本人に、
脳科学者・茂木健一郎さんなど、さまざまな人が棚主となっています。
店内にはこのほかふたつの本棚があり、いずれも新刊図書コーナーとなっています。
新刊図書コーナーには、店主が「今の時代に読みたい」と思っている
書籍をはじめ、約250冊を用意。
ラインナップは不定期で変わるため、訪れる度に新しい発見がありそうです。
店内には喫茶スペースも併設。
店から徒歩10分ほどの場所にある
〈焙煎処 桃栗〉の豆を使ったホットコーヒー(500円)や、
ジュース、ビールなどのドリンクを取りそろえています。
本を買うついでにお茶をするのはもちろん、
ブックカフェ感覚での利用も可能です。
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〈一乗寺BOOK APARTMENT〉を営むのは、北本一郎さんです。
約30年間、通信社の記者を務めたのち2023年末に早期退職。
長く住んだ東京都を離れ、京都に移住しました。
もともと本や本屋、本棚のある空間が好きだったという北本さん。
近年、増加してきている“独立系書店”の様子を見て、
「自分もいつか開いてみたい」と思っていたそうです。
そして2年ほど前に書店の開店と早期退職を考えはじめ、
2023年末から京都市内で物件探しをスタート。
左京区内で偶然見つけた古いスナックをリノベーションし、開店に至りました。
「『店を開くなら左京区がいいな』と漠然と考えていました。
私は福岡出身で、記者になってからは全国を転々としましたが、
左京区は学生時代に住んでいて、とても思い出深いまちだったんです。
それに、この一乗寺エリアには素敵な本屋さんがたくさんあります。
私が新たに書店を開店することで本好きをさらに増やして、
本屋を中心とした新たなまちづくりのお役に立てないかなとも思いました」
加えて、在京中に〈西日暮里BOOK APARTMENT〉と
吉祥寺にある〈ブックマンション〉で自身も棚主をしていたことや、
同じく記者を辞めて書店を開店した
田原町の書店〈Readin’ Writin’ BOOKSTORE〉の
店主・落合博さんと出会ったことも、開店の後押しとなったそうです。
7月の開店早々から本好きの間で話題になり、毎日のように訪れる人も。
店主の北本さんと同じく太宰治が好きな人が訪れ、
ふたりで数時間語らった日もあるそうです。
そんな〈一乗寺BOOK APARTMENT〉の今後の展望を聞くと、
次のように返ってきました。
「もともと『本好きが集まって、本を通して交流できる空間にしたい』
と思っていたのですが、
ありがたいことに、既にそれに近い状態になれた印象なので……
あとは、この店を長く続けていけたらと。
利益を追求せずゆったりと、持続可能な経営をしていきたいですね。
そして、まだ読んだことのない本にも挑戦していただけるきっかけが
つくれたらうれしいです」
本を読みたい人にも、読んでもらいたい人にも
ぴったりな環境が整っている〈一乗寺BOOK APARTMENT〉。
読書会や棚主の交流会など、本にまつわるイベントも開催予定です。
棚主も随時募集中なので、興味がある人は
WebサイトやXから問い合わせてみてください。
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一乗寺BOOK APARTMENT
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