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posted:2024.8.22 from:石川県羽咋市 genre:活性化と創生
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writer profile
Naomi Kuroda
黒田 直美
くろだ・なおみ●愛知県生まれ。東京で長年、編集ライターの仕事をしていたが、親の介護を機に愛知県へUターン。現在は東海圏を中心とした伝統工芸や食文化など、地方ならではの取り組みを取材している。食べること、つくることが好きで、現在は陶芸にもはまっている。
能登半島のつけ根にあり、日本で唯一、砂浜を走行できる
〈千里浜なぎさドライブウェイ〉で有名な石川県羽咋市。
羽咋という名前は、日本神話に由来するほど歴史も古く、
市内には古墳群もあり、弥生時代の土器なども多数発掘されています。
また、美しい棚田が広がる田園風景など、自然豊かで風光明媚なまち。
農業も農薬や化学肥料、除草剤を一切使用しない自然栽培で作られるお米
〈羽咋米〉をはじめ、まち全体で自然環境を大切にしているのが羽咋の魅力です。
そんな羽咋市の駅すぐそばに、新たな市民の憩いの場として
7月1日に〈LAKUNAはくい〉がオープン。
外観は、羽咋市を象徴する棚田と千里浜から見る水平線を組み合わせた
近代的なデザインとなっています。
羽咋市まちづくり課の松岡正樹(まつおかなおき)さんは、
〈LAKUNA はくい〉のコンセプトについてこう話します。
「『羽咋の未来をともす、集い、ふれあう、賑わう拠点づくり』です。
第1が自宅、第2が職場や学校、そして第3となる癒しの場、
サードプレイスとなるような、オープンな雰囲気を大切にしています。
すでに1日1000~2000人もの人が訪れてくれていて、
自発的に親子グループのコミュニティができたり、
中高生が友だちと勉強スペースとして通ってきてくれたりと、賑わいを見せています」
1階はドトールコーヒーが入った図書カフェとなっており、
ワークスペースには、フリーWi-Fiのほか、すべての机に電源を完備しており、
学生やリモートワークの社会人にも人気。
完全個室も3つあり、これが無料で利用できるのは公共施設ならでは。
また、夜は22時まで開館していることから、会社勤めの人も
仕事帰りにふらりと立ち寄ることもできます。
2階には広々とした屋内公園〈LAKUNA こうえん〉があり、
ネット遊具や木をふんだんに使ったバンク遊具など、
子どもたちがのびのびと遊べるスペースとなっています。
企画段階で子育て世代にアンケート調査を行ったところ、
北陸は1年間の半分ぐらいが、雨や雪となるため、
「子どもたちを安全に遊ばせられる場所がほしい」という意見がダントツだったそうです。
3階、4階は有料の貸しスペースなっていて、キッチンスタジオや
パソコンを12台そろえたeスポーツスタジオ、モノづくりが楽しめるアートスタジオなど、
公共施設とは思えない最新設備を投入した複合施設となっています。
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2024年1月1日に起きた能登半島地震で、羽咋市も大きな被害を受けました。
自宅が全壊、半壊、一部損壊を含めると3700戸ぐらいが被害にあったそうです。
仮設住宅も67戸、みなし仮設としたアパートもすべて満室で、
千里浜に新たに宅地造成も行っているのだとか。
「幸いなことに〈LAKUNA はくい〉には損傷がありませんでしたが、
同時に整備していた目の前の護岸工事と川と隣接する道路はズレが生じてしまい、
完成が先延ばしになっています。そんな状況ですので、この場所が
市民の心を癒すまちづくりのシンボルになっていってほしいと思っています」と松岡さん。
現在は、オープン記念で、10週連続でさまざまなイベントを企画。
8月は、タレントのジローラモ氏によるキッチンスタジオでの
『ジローラモ流 イタリアン交流会』や人気YouTuberのカモミールさんのトークライブ、
9月にはマギー審司氏によるマジックショーなど、家族で訪れ、
楽しいひとときを過ごしてもらえるイベントが盛りだくさんです。
また、8月31日には、能登復興祈願として各地域の青年団や保存会による
獅子舞が一堂に会し、演舞が行われる『羽咋獅子舞フェスティバル』も開催。
「現在、人口約2万人の羽咋市ですが、若い世代の移住を積極的に受け入れ、
家賃補助や空き家バンクの紹介なども行っています。また、2024年度から、
保育園全児童無料、小中学校の給食無料、高校生までの医療費無料と、
子育て応援施策も充実。子育てにやさしいまちとしての魅力をぜひ、
知ってもらいたいです」と松岡さん。
能登半島地震は、各地にまだまだ深い傷を残していますが、
豊かな自然があるからこそ、また人を育んでいける。
子育てにも最適な自然環境を大切に、震災に負けないまちづくりを目指し、
未来に向かって歩み始めた〈LAKUNA はくい〉には、
たくさんの笑顔が集っているようです。
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