村から出たことがない女将による、
地域を知り尽くした宿
高台から神恵内村(かもえないむら)の漁港や集落を眺め、
海に沈む美しい夕陽を堪能できる。そんな場所に〈民宿きのえ荘〉はある。
女将の池本美紀さんは、神恵内生まれ、神恵内育ち。
なんと出産で10日ほど入院したのが、神恵内を離れた最長記録だという。
民宿を営む前は、銀行に勤めていた。しかし結婚と同時に民宿を始めた。

海を見下ろす場所に建つ〈民宿きのえ荘〉。
かつて積丹半島の海岸線を走る国道は、南の岩内方面から北上してきて、
神恵内で行き止まりであった。
現在のように積丹半島を東側までぐるっと1周することはできないから、
神恵内に泊まる宿泊客もいたという。
しかし平成16年に国道が開通し、積丹半島を1周することが可能に。
すると、神恵内に留まることなく通過するまちになってしまった。
「私は神恵内を出たことがありません。
高校を卒業して専門学校に進むと村から出る必要がありましたが、
村を出たくなかったので地元で就職しました。
結局、神恵内が好きなんですよね。だから人を呼びたいと思って宿を始めたんです」
昭和40年代に、池本さんの祖母が神恵内で民宿をやっていたことがあった。
その祖母の名前である「きのえ」をもらった。

漁港から宿まで、〈村田漁業〉がその日とれた魚を届けてくれるので鮮度はお墨付き。池本さんが着ているのは神恵内の岡田商店が発信する〈神恵内アンダーグラウンド〉のTシャツ。

夏になるとウニが有名な積丹半島。もちろんほかにもおいしい海の幸がたくさんある。
〈民宿きのえ荘〉の食事も季節ごとの旬の海の幸が満載。
池本さんの父親が漁師でもあるし、毎日、神恵内漁港にあがる魚が届けられる。
「神恵内のものを食べてもらいたいです。
このあたりでは子どもたちは、『今日もウニか〜、飽きたなぁ』なんて、
都会の人が聞いたら贅沢な愚痴を言ったりしてますよ」

きのえ荘の名物、とれたての豪華お刺身の数々。取材に訪れた5月中旬はヒラメがシーズンだった。

漁港にあがったヒラメ。これを食事として朝に夜にいただいた。
地域の魅力を発信していく
〈神恵内村魅力創造研究会〉
神恵内が好きで、人を呼びこみたい。
宿は始めたけれども、そもそも宿泊したいまちだと思われなければ泊まってはくれない。
そこで地元の仲間と始めたのが〈神恵内村魅力創造研究会〉だ。
まずはSNSでの発信から始めた。
「一緒に始めたのはUターンの若手が中心でした。
彼らは神恵内に帰ってきたときに、
かつてのようなにぎわいがないことを寂しく思っていたようです。
ずっと神恵内にいた私は、そんなこと感じていませんでした」















































































































































