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posted:2017.6.3 from:北海道中川郡美深町 genre:活性化と創生
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
北海道に、村上春樹さんの長編小説『羊をめぐる冒険』の
舞台になったのではといわれている場所があります。
『羊をめぐる冒険』は、友人の「鼠」から送られてきた
羊の写真から始まる物語。
主人公はその写真に写っていた星模様のある羊を探して、
美しい耳をもつガールフレンドとともに北海道へ向かいます。
上の写真は、北海道中川郡美深町の仁宇布(にうぶ)地区にある
唯一の宿泊施設〈ファームイントント〉の写真。
『羊をめぐる冒険』を読んだ方なら、羊が群れをなす光景に
どきっとしてしまうかもしれません。
札幌から列車に乗り、北へ3時間。美深という終着駅で降り、
30年以上昔に廃線になった線路跡に沿って車を走らせると、
白樺の林や牧場が広がる仁宇布(にうぶ)という地区に着きます。
この辺りが小説の舞台になったといわれている場所。
ここ、仁宇布と小説に出てくる「十二滝町」にはさまざまな共通点があるというのです。
たとえば十二滝町は札幌から260kmのところにあるまちですが、
札幌から仁宇布までの距離も、約260km。
また『羊をめぐる冒険』第八章の「十二滝町の誕生と発展と転落」には、
札幌から仁宇布までの道のりを彷彿とさせるようなところがあるのだとか。
ファームイントントのオーナー、柳生佳樹さんは
こうした十二滝町と仁宇布の共通点に気づき、
ネットで仁宇布が小説の舞台なのではという説を発信してきました。
するとその話が広がり、ファンがまちを訪れるように。
実際に訪れた人たちは、静けさに包まれた林や牧場を歩き、
小説のなかを旅しているような感覚に陥ったといいます。
2008年には、イギリスのBBC放送が取材に訪れたことも。
現在では美深町観光協会がまちおこしを兼ね、イベントを開催するまでになりました。
6月17日(土)、ファームイントントの牧草地にて
毎年恒例の朗読会が開催されます。
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〈草原朗読会〉は、小説の世界観を感じながら
朗読やトーク、音楽を楽しむ朗読会。
今年は〈台湾淡江大学村上春樹研究センター〉のセンター長、曾秋桂さんと
〈kotarobooks〉主宰の中川紘司さんによるトーク、
〈Clark Quartet〉によるクラシックの弦楽四重奏、
Miwoさん、外谷東さん、辻充浩さんによるジャズの演奏が行われます。
また、オプション企画として〈天塩川1DAYカヌートリップ〉も開催。
仁宇布には広大な湿原や滝、白樺の林など、
道北の自然を満喫できる場所がいっぱいあります。
こうした豊かな自然も、ファンを惹きつけてやまない理由のひとつです。
村上文学の聖地についてもっと知りたいという方には、
『風の歌を聴け』から『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』まで
聖地を写真とともに紹介している
書籍『さんぽで感じる村上春樹』もおすすめ。
物語の世界観を壊さずに実在のまちへと誘ってくれる、不思議な一冊です。
札幌や美深町のことも載っており、
『羊をめぐる冒険』に登場する「羊博士」のモデルになった方や
「やれやれと言いながらかじった玉蜀黍(とうもろこし)」などが紹介されています。
物語の世界は、想像する人のなかにあるもの。
十二滝町にモデルが存在したのかどうかも、ほんとうのところは定かではありません。
でも、物語の世界とリンクするまちが存在して、
そこから派生していろんなことが起きているなんて
事実は小説より奇なり、ですね!
information
第6回草原朗読会〜北海道で聴く村上春樹〜
開催日:2017年6月17日(土)
時間:11:00〜16:30
会場:ファームイントント前
住所:北海道中川郡美深町字仁宇布660
アクセス:電車でお出かけの場合はJR「美深」駅下車、予約制のバスにて30分(朗読会当日は無料シャトルバスによる送迎あり 11:00/12:30)。車でお出かけの場合は札幌から約3時間半、旭川から約2時間。
入場料:500円 ※小学生以下無料
ランチボックス:1,500円 ※美深町観光協会までご予約ください。
電話:01656-9-2470(美深町観光協会)
メール:s.oguri@bifuka-kankou.com(美深町観光協会)
Web:第6回草原朗読会
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