島の未来を紡ぐためにーー
写真家・在本彌生さんと式根島で
ワーケーションの“その後”を考えた

海に湧く天然温泉、煌めく星々と静かな夜。
海は、いつだって美しい

東京・竹芝桟橋から南へ160キロほど離れた式根島へは、高速ジェット船で約3時間。
調布飛行場から新島行きの飛行機に乗れば、連絡船に乗り継いだ隣島になる。

東京都新島村にある式根島は、徒歩で散策すると
半日ほどで島のスケールを体感できる、面積3.7平方キロメートルの小さな島だ。
周囲を囲む切り立ったリアス式海岸では
黒潮の影響で年中集まってくる多様な魚種を目当てに、釣り人が集う。

そうかと思えば、島の南側の海辺には天然温泉が湧き、
毎夜の如く星を眺めながらの野天湯という楽しみも。
地球の胎動がつくり上げた地形と
それに寄り添う人の暮らしが息づいている。

まずは、〈足付(あしつき)温泉〉に足を浸ける。足に傷を負ったアシカが温泉に入っていたことに由来し、島では外傷にいいと言われているとか。

まずは、〈足付(あしつき)温泉〉に足を浸ける。足に傷を負ったアシカが温泉に入っていたことに由来し、島では外傷にいいと言われているとか。

information

map

足付温泉 
あしつきおんせん

住所:東京都新島村式根島1006

Web:新島村観光情報サイト

夏は溢れんばかりの海水浴客で賑わう式根島だが、
シーズンオフは、観光地然とした表情はまったくない。
冬は、海岸線に髙波が打ちつける険しい風景もあれば
島の人たちとのたおやかな交流を持てる時間もあり、
どこか温かなムードがある。

そんな冬の式根島を訪ねたのは、写真家の在本彌生さん。
欧州と日本を往来する国際線の客室乗務員から写真家へ転身、
旅先でインスピレーションを得たものを作品にすることの多い在本さんは
カメラを持って旅することが日常の、いわば旅の達人だ。

夏場は家族連れなど海水浴客で賑わう式根島だが、
シーズンオフともいえる冬場のタイミングはカメラを持って歩くのにいい。
ゆっくりとした速度で在本さんと一緒に歩けば、
写真家がどんな風に一瞬の魅力を切り取っていくのかが見えてくる。

今回は、1泊2日の滞在で在本さんが抱いた式根島の印象に加え、
来訪者の長期滞在を可能にするコワーキングスペース、
〈式根島コワーキングスペース〉を運営する下井勝博さんと
旅先での仕事を可能にする“ワーケーション”について語ってもらった。

高知・ひろめ市場の
極厚ねっとりな「塩カツオ」
あなたのまちの商店街へ。
焼酎ハイボールのアテ探し旅

全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
今回は、高知県高知市のひろめ市場です。

岩瀬さん

〈ひろめ市場〉で好きなものを好きなだけ選ぶ楽しみ

商店街を歩く。
焼酎ハイボールのアテを求めて。
美味だけではない出会いがそこにはある。

酒飲みなら一度は体感したい場所が高知には存在する。
「まずはここ」、「もう1回ここ」、「やっぱりここ」となってしまう場所。
それが高知市の〈ひろめ市場〉だ。

高知市の中心街、帯屋町アーケードから高知城のほうに抜けたところにあるひろめ市場。活気ある楽しい場所という雰囲気が伝わってくる。

高知市の中心街、帯屋町アーケードから高知城のほうに抜けたところにあるひろめ市場。活気ある楽しい場所という雰囲気が伝わってくる。

赤ちょうちん感とフードコート感。居心地のよさと開放感の両立。購入したものを飲食できる広々スペースが2か所あり、それを路地裏のような狭いスペースがつなぐ。

赤ちょうちん感とフードコート感。居心地のよさと開放感の両立。購入したものを飲食できる広々スペースが2か所あり、それを路地裏のような狭いスペースがつなぐ。

高知の酒とアテのショーケースでもあり、
ガイドブックにも特集されているぐらい観光的でもあるのだけれど、
ネクタイをゆるめる人、明るい笑い声の女性グループと、地元感も溢れる。

酒とは関係なく、修学旅行の中学生たちがカツオのタタキを頬張り、
高知名物であるビスケットのお土産を買う姿も微笑ましい。
テーマパークとフードコートと赤提灯がぐっと身近に感じられる。
混沌というかあけっぴろげというか、
屋内施設ではあるけれど、誰に対しても飾らないし、放っておいてくれるし、
でも、いつでもいらっしゃいという温かさがある。

観光客、地元、常連、どれも関係ない。
そうだ、商店街の良さってこれじゃないか。
長く続く道ではなく、ひとつ屋根の下にあるけれど、
ここも間違いなく、商店街なのだ。

今回も目的はもちろん焼酎ハイボールとともに楽しむアテ探し。
高知らしさは当然の条件。まずはカツオのタタキ。当然の選択だ。
もちろんひろめ市場の中でもいろいろな店がその味を競っている。
〈やいろ亭〉もそのひとつ。

こだわりの生カツオを贅沢に厚切りで

生まれ育ちが昭和の関東で、親も、その親も関東の僕は、
タタキといえばしょうゆかポン酢、添えるのはショウガというイメージで育ったので、
本場の高知に来ていろいろ驚いた。
高知の王道は、塩。
添えるのはたっぷりのスライスしたニンニク。しかも厚切り。
カツオもボリュームたっぷりの厚切り。
自分が食べていたのはなんだったんだろうと、
驚きとともに答えの出ない疑問を浮かべる。

最近は高知でもいろいろなバリエーションもあるようだし、
全国で高知スタイルのカツオのタタキが食べられるようにもなった。
だからこそ、あらためて高知で王道を味わいたい。
やいろ亭は、生のカツオにこだわる。
「カツオを10キロ仕入れて気に入らないものを5キロ返品することもあります」
というのは女将の島崎恭子さん。

板長がこだわって仕入れた魚を、板長自ら火を入れる。素材の良さとこの技術が揃ってこそ高知のタタキ。

板長がこだわって仕入れた魚を、板長自ら火を入れる。素材の良さとこの技術が揃ってこそ高知のタタキ。

カツオのタタキとニンニクはワンセット。食べてみればこの意味がよくわかる。

カツオのタタキとニンニクはワンセット。食べてみればこの意味がよくわかる。「塩タタキ」1300円。

「もとのカツオがよくなければ、塩では食べられませんから」
ひろめ市場がオープンした時から出店したが、もともとは地元の著名ホテルの和食の店。
「ホテルの店もひろめの店も、こだわりは何も変えません」
女将と板長はその覚悟でひろめ市場にやってきた。
「観光だけのところで働きたかったわよ。それなら料理はそれなりでいいし、
気楽じゃないですか」と笑う島崎さん。すぐにキリっとした表情で続ける。
「でも、ひろめ市場は違うんです」

どういうことか?
「もともと帯屋町、地元の活性化のために生まれた場所なんです。
だから地元の良いモノをもっと“ひろめ”よう。それが目的ですから」

はりまや橋のあたりからひろめ市場までを結ぶ帯屋町のアーケード。
高知の中心街ではあるが、どのまちにもあるように、
昔のような賑わいではなく、次第にどのまちにもある店が増えていく。
便利さはもちろん大切なことだけれど、
そのまちらしさ、その商店街らしさを失わずに両立し、
時代に合った楽しさ、喜びがある商店街であってほしい。

思いは利用者側だけではなく、商店街で生きていく人たちも同じなのだろう。
思いを「ひろめる」。
生のカツオにこだわり、仕事にもこだわる。
訪れる人に味を通して喜んでいただくことと同時に
自分たちがその「ひろめる」という目的を果たすためにも。
ボリュームたっぷりのカツオのタタキに思いが詰まる。
もちろんテイクアウト決定。後ほどゆっくり噛みしめよう。

やいろ亭の名物はタタキだけにあらず。「お客さんに喜んでいただきたい」という気持ちが生んだ豊富なアテもうれしい。

やいろ亭の名物はタタキだけにあらず。「お客さんに喜んでいただきたい」という気持ちが生んだ豊富なアテもうれしい。

やいろ亭の女将、島崎恭子さん。ざっくばらんな雰囲気ときっちりした料理の両方を提供したいと言う。

やいろ亭の女将、島崎恭子さん。ざっくばらんな雰囲気ときっちりした料理の両方を提供したいと言う。

ハレの日もケの日も
願い事をこめて
「わたしのまちの開運祈願」

今月のテーマ 「わたしのまちの開運祈願」

初詣や特別な日、普段の日に訪れて
神仏へ願掛けを行う人も多いはず。
全国にはさまざまなお寺や神社があり、
多種多様な参拝、祈願方法が行われています。

今回は全国にお住まいのみなさんに
近所にあるお寺・神社の祈願方法について教えてもらいました。

そのまちに住む人や参拝者を見守っているわたしたちの身近なスポット。
その数は、全国のコンビニよりも多く、
お寺は約7万、神社は約8万社もあるのだそうです。
地域のお寺や神社へ今年の開運を願いに訪れてみてはいかがでしょうか。

【岩手県奥州市】
海外からも見物人が訪れる日本3大裸祭が行われる〈妙見山黒石寺〉

〈妙見山黒石寺〉は岩手県奥州市の山間に位置し、
静寂で厳かな雰囲気に包まれた天台宗の寺院です。
ご本尊である薬師如来坐像は日本最古の在銘木彫仏として
国の重要文化財に指定され、厄除けパワースポットとも言われています。

初夏の黒石寺本堂。

初夏の黒石寺本堂。

このお寺では毎年旧正月7日夜から翌日早朝にかけて、
五穀豊穣と厄払いを祈願する「黒石寺蘇民祭」というお祭りが開催されています。

当日の行事内容。

当日の行事内容。

この「黒石寺蘇民祭」は1000年以上の歴史を誇っているお祭りで
東北中心に全国各地にある「蘇民祭」のなかでも
日本3大裸祭りのひとつに数えられる有名なもの。

「裸の男と炎の祭り」という異名の通り、雪が降りしきる極寒のなか、
ふんどし姿の男性陣が氷点下の川の水を浴びて体を清め、
交互に組まれた木の上で立ち込める火と煙のなかでお祓いをしてから行われます。
勝ち取った人に福をもたらす「蘇民袋争奪戦」など、
なんともワイルドでエネルギッシュな行事が
夜通し繰り広げられるんです。

見ているだけでも凍えてしまいそう……!

見ているだけでも凍えてしまいそう……!

参加者はそれぞれの願いを書いた角灯を手に。「ジャッソー!ジャッソー!」「ジョヤサ!ジョヤサ!」という呪文のような掛け声が飛び交います。

参加者はそれぞれの願いを書いた角灯を手に。「ジャッソー!ジャッソー!」「ジョヤサ!ジョヤサ!」という呪文のような掛け声が飛び交います。

黒石寺蘇民祭

その奇祭っぷりに地元の人に混じって都心や海外から
わざわざ参加しにくるお祭りマニアも少なくないそうです。

この夜限定の〈蘇民食堂〉という藁づくりの休憩所を兼ねた食堂の雰囲気もたまりません。

この夜限定の〈蘇民食堂〉という藁づくりの休憩所を兼ねた食堂の雰囲気もたまりません。

蘇民食堂の中

蘇民食堂の中。おでんや地元のどぶろく「とらまづ」など体を温めてくれるメニューが楽しめます。

蘇民食堂の中。おでんや地元のどぶろく「とらまづ」など体を温めてくれるメニューが楽しめます。

昨年に引き続き今年も感染防止のため、中止が決定。
来年こそは世界中の災厄消除が叶って
無事開催できることを心より願っています。

information

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天台宗 妙見山黒石寺

住所:岩手県奥州市水沢黒石町字山内17

Web:妙見山黒石

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小川ちひろ おがわ・ちひろ

遊軍スタイルフリーコーディネーター。東京出身。オーストラリアや台湾での海外生活も経験する放浪人間。異なる文化や感覚を持つ「人」に興味を抱く。 転職を機に〈地域おこし協力隊〉の制度を活用して岩手へ移住。現在は遊軍スタイルのフリーコーディネーターとして、旅するように東北の暮らしを堪能中。フットワークの軽さとコミュニティの広さをいかして、人をつなげてケミカルな反応が起こる「場」や「間」を創り出すことを楽しんでいる。

好きなことを軸に、
暮らす・働くを変えていく。
自転車の聖地・伊豆大島を舞台にした
スポーツ×ワーケーション

スポーツに特化したワーケーションサービス「WithWork」とは

11月のある日、伊豆大島は澄み切った空が広がる快晴だったが、
かなり強い風が吹いていた。
その風を受けながら、右手に海、左手には約2万年もの大地の記憶が刻まれた
〈地層大切断面〉が続く景色を、複数の自転車が駆け抜けていく。

〈地層大切断面〉の前を通過する参加者。

〈地層大切断面〉の前を通過する参加者。

スポーツ庁が行う「スポーツによるグローバルコンテンツ創出事業」として
新たに立ち上げられた「WithWork」。
そのサービス内容のひとつであるサイクリングの参加者たちは、
すでに20日間近くこの島に滞在していて、みんなで走るのは今日が2回目。
同じ趣味を持つ人同士、仲良くなるのは早いようで、
休憩ポイントでも和気あいあいとした雰囲気が漂っていた。

この日は休日とあって、同サイクリングには多くの人が参加。

この日は休日とあって、同サイクリングには多くの人が参加。

サイクリングイベントの途中で、島の南にある、ノスタルジックな風情の波浮(はぶ)港のまちを訪れた参加者たち。

サイクリングイベントの途中で、島の南にある、ノスタルジックな風情の波浮(はぶ)港のまちを訪れた参加者たち。

新しい暮らし方、新しい働き方が社会に定着しつつあるなか、
頻繁に聞くようになった言葉が、ワーケーション。
“Work”と“Vacation”の造語で、観光地やリゾート地など
非日常的な環境でリモートワークを行いながら、余暇も満喫する過ごし方だ。

ワーケーションにおける余暇の部分の楽しみ方は、もちろん人それぞれだが、
WithWorkは多様化する趣味のなかでも、不動の人気を持つスポーツに特化。
好きなスポーツを存分に楽しめる地域に長期的な滞在をしながら、仕事を行い、
地域ともつながることができる会員制のサービスだ。

WithWorkの特筆すべきメリットは、
ワーケーションを実践するユーザーと受け入れ側となる地域の双方にとって、
プラスの効果が期待できる点だ。
たとえば受け入れ側は、主に観光地やリゾート地が想定されるが、
オフシーズンや平日はどうしても来訪者が少なくなってしまう。

一方、ユーザーのメインは都市部のテレワーカーが想定されるが、
観光のオフシーズンを有効に活用する。
つまり、従来型のワーケーションがレジャー、
観光の途中に働くものであるケースが多いのに比べて、
WithWorkは観光の一環ではなく、より日常的な利用を促進することができる。
そしてユーザーとしては趣味のスポーツを
贅沢な環境で毎日楽しめることが最大のメリットだ。

そのモニターツアーの舞台として選ばれたのが、伊豆大島。
伊豆諸島のなかで最も北に位置し、竹芝客船ターミナルから高速ジェット船だと、
約1時間45分でアクセスできる東京の離島だ。

世界遺産と同様に、ユネスコが推し進めているジオパークに認定されていて、
ダイナミックな地形や自然環境は、サイクリストの間でも聖地とみなされている。
事実、2016年には「アジア選手権ロードレース」と
「全日本選手権ロードレース」が開催され、
2017年からは「全日本マスターズ選手権」の舞台にもなっているのだ。

空き施設に壊さず、
新たな付加価値をつけて
「Re活用」!

今月のテーマ 「Re活用」

空き家や廃校などを「Re活用(利活用)」し、
新たな施設へと生まれ変わらせる活動は近年増えています。

今回は全国にお住まいのみなさんに
「Re活用」され、生まれ変わった施設・スポットを教えてもらいました。

学校、お寺、元スナックだった場所......
以前とは異なるかたちとなった今でも
まちの人々の拠点として愛され続けています。

【北海道斜里郡清里町】
100年近い歴史を持つお寺が、アウトドアやカルチャーの情報拠点に!

知床半島の付け根辺り。
日本百名山・斜里岳の麓のまち・清里町に、
お寺を再利用した宿〈マンディル〉がオープンしました。

〈マンディル〉の目の前に、標高1547メートルの斜里岳がそびえる。オーナー・嶋田武志さんは、登山やトレイルランニングの愛好者。

〈マンディル〉の目の前に、標高1547メートルの斜里岳がそびえる。オーナー・嶋田武志さんは、登山やトレイルランニングの愛好者。

オーナーの嶋田武志さんは
「景色も環境もすばらしいこの場所に、滞在できる施設をつくろう」
と探していたところ、
築41年、総面積436平方メートルの物件に出会ったそうです。

本堂、休憩室、炊事場、廊下続きの庫裡(くり)※を改装し、
宿だけでなく、アウトドア用品のショップや
イベントスペースとしても活用しています。
※住職の住む場所のこと。

オープンして間もない頃、本堂でワーケーションの実証実験が行われました。〈マンディル〉は、温泉を併設した道の駅〈パパスランドさっつる〉から徒歩約5分。

オープンして間もない頃、本堂でワーケーションの実証実験が行われました。〈マンディル〉は、温泉を併設した道の駅〈パパスランドさっつる〉から徒歩約5分。

本堂だった広い和室の中央には、
インパクトのある金色の仏具が吊り下がったまま。
「賽銭箱、扉、建具など、歴史を感じる希少なものばかり。
究極のジャパニーズスタイルは、海外のゲストにも好評です」

本堂では、北見市のインストラクターによるヨガ教室が定期的に開催されています。静寂な空間、畳の心地よさ、お寺とヨガは相性もよし。2022年1月8日(土)には〈新春初ヨガ〉も開催予定です。

本堂では、北見市のインストラクターによるヨガ教室が定期的に開催されています。静寂な空間、畳の心地よさ、お寺とヨガは相性もよし。2022年1月8日(土)には〈新春初ヨガ〉も開催予定です。

「元・お寺」が話題にもなって、
ヨガ教室やクラフト作家のワークショップを開催したり、
近隣の町村からクリエイターや飲食店が集まってイベントを行ったり。
半年間で、さまざまなジャンルの人が行き交う拠点へと成長しました。

ウェアやシューズから、行動食やコーヒーまで。独自のセレクトが楽しいショップには、クライミングウォールも設置されています。

ウェアやシューズから、行動食やコーヒーまで。独自のセレクトが楽しいショップには、クライミングウォールも設置されています。

「道東の最果て。
この界隈でユニークな活動をする人たちをつなげて、エリアの認知度を高めていきたいですね」
と、嶋田さんは語ります。

2022年1月15日には、音楽と飲食のイベント
「ご自由にどうぞ」の開催が予定されています。
詳細はfacebook(@S.SHOUKAI.MANDIR)、
Instagram(@s.shoukai.mandir)、Twitter(@tsnumber1919_s)を
チェックしてみてください。

information

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マンディル

住所:北海道斜里郡清里町札弦14

TEL:090-8425-0936

営業時間:宿 チェックイン16:00〜21:00

     ショップ 金曜13:00〜19:00 土・日・祝日11:00〜19:00 

Web:マンディル

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井出千種 いで・ちぐさ

横浜市出身。大雪山登山で雄大な自然に感動、北海道のファンになる。2018年、帯広市に移住。2021年5月、弟子屈町地域おこし協力隊着任。摩周湖観光協会に籍を置きながら、弟子屈町、道東、北海道の魅力を発信するべく努力中。

まちの魅力をお礼に込めて
「わたしのまちのふるさと納税返礼品」

今月のテーマ 「ふるさと納税返礼品」

生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる「ふるさと納税制度」。
税金の控除や寄付金の使い道を指定でき、
さらには地域の名産品などの
お礼の品ももらえる魅力的な仕組みが人気の制度を
利用しているという人も少なくありません。

今回は全国にお住まいのみなさんから
自分のまち自慢のおすすめ「ふるさと納税返礼品」を教えてもらいました。

本年度分の申し込みは12月末まで。
名産品からまちの特色や魅力を再発見してみてください。

【秋田県秋田市】
みんなが知っている名産から珍品までラインナップ!

秋田市にもたくさんの返礼品の用意がありますが、
今回は私が思わず二度見した返礼品を紹介したいと思います。

数ある秋田市返礼品のなかでも堂々1位はこちら!

〈牛タンスライス(贅沢に丸ごとどーんと約1本分)1キロ〉寄付金額:22000円

〈牛タンスライス(贅沢に丸ごとどーんと約1本分)1キロ〉寄付金額:22000円

この牛タンスライスは、厳選した良質な部分だけを使用していて、
タン先の硬い部分を取り除いた約1本分がどーんと入っています。
その長さは20センチ前後という大きさ。

さて、牛タンを食べるときは「のど越しがいい飲み物」が
つきものだと思いませんか?
そこで、おいしい秋田のお酒のご紹介です。

〈白神・森岳かわい農場ソーセージ&秋田あくらビール国際審査会受賞4種セット〉寄付金額:16000円

〈白神・森岳かわい農場ソーセージ&秋田あくらビール国際審査会受賞4種セット〉寄付金額:16000円

秋田の味がぎゅっと詰まったセットはいかがですか?
4種類のクラフトビールを飲み比べながら、
世界遺産の白神山地の麓にある
秋田県三種町のソーセージも一緒にぜひ!
おうちで秋田を訪れた気分を存分に楽しめます。

〈高清水純米大吟醸・大吟醸セット720ml×2本〉寄付金額:13000円

〈高清水純米大吟醸・大吟醸セット720ml×2本〉寄付金額:13000円

そして「米どころ秋田」といえば、やはり日本酒ですよね!
全国新酒鑑評会で20年連続金賞を受賞している〈高清水〉は、
キレのある飲み口なのに軽やかな口当たりで多くの人に親しまれています。
大吟醸のセットをこの価格でいただけるとはうれしい限りです。

さて、続いては珍しい返礼品を紹介します。

〈工藤胃腸内科クリニック 胃・大腸内視鏡ドック受診券〉寄付金額:16万円

〈工藤胃腸内科クリニック 胃・大腸内視鏡ドック受診券〉寄付金額:16万円

2日間に分けて世界でも先端技術の拡大内視鏡による診断が可能です!
有効期限も発行日から3か月と余裕があっていいですね。
帰省や旅行のタイミングなどで受けてみてはいかがでしょう?

そして最後に紹介するのは……マンホール!

〈秋田市竿燈柄入マンホール鉄蓋〉寄付金額:31万7500円

〈秋田市竿燈柄入マンホール鉄蓋〉寄付金額:31万7500円

秋田を代表するお祭り「燈灯」がなんとマンホールで楽しめます。
本物なのでしっかり12キロありますよ!
観賞用架台も付いています。
マンホールカード※と一緒に集めてみませんか?

※マンホールカードとは、〈下水道広報プラットホーム〉が企画・監修しているコレクションカードのことです。

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重久 愛 しげひさ・いつみ

「死ぬまでには一度は行きたい場所」で知られる鹿児島県与論島出身。2019年に縁あって秋田県秋田市にIターン。よそ者から見た秋田市の魅力や移住に至る経験を生かして、秋田市の地域おこし協力隊に着任。YOGAを生かした地域交流を図る事業や、移住者を受け入れる市民団体事業をプロデュース中。山菜採りにすっかり夢中に。自称「立てばタラの芽、座ればバッケ、歩く姿はコシアブラ」。

東京・十条銀座の1個10円
「チキンボール」
あなたのまちの商店街へ。
焼酎ハイボールのアテ探し旅

全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
そこでしかお目にかかれないおいしいものとの出合いも楽しみのひとつです。
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
これぞ! というアテをテイクアウトして、焼酎ハイボールとの相性をレポート。
思わず喉が鳴る至極の組み合わせをご覧あれ!
今回は、東京都北区の十条銀座商店街です。

十条銀座入口

十条銀座商店街の人気モノは、焼酎ハイボールにも合うか!?

商店街を歩く。
焼酎ハイボールのアテを求めて。
美味だけではない出合いがそこにはある。

今回訪れる十条銀座商店街は、
戸越、砂町と並ぶ「東京三大銀座(商店街)」と称されている。
規模、活気に加え、多くの人々に愛され、
創意工夫を受け継いできた伝統が認められてきたからこその称号か。
そして、人気の商店街は、たくさんの店がひしめくというだけではなく、
なかでも「これを求めにきた」というアイコン的な逸品がある。

十条銀座商店街で言えば、そのひとつが〈鳥大〉の「チキンボール」だろう。
しかも間違いなく焼酎ハイボールに合うはずという予感へ、
長年の「酒場感」「酒嗅覚」が導いてくれる。

平日の午後1時、
最寄り駅であるJR埼京線十条駅北口改札を出る。
右手に30秒ほど歩けばもうアーケードの入口だ。
JR埼京線というと東京と埼玉のベッドタウンを結ぶ通勤電車で、
高架が続く高速鉄道のイメージもあるが、
池袋から赤羽の間は、東京ながらどこかのんびりとしたローカル駅の風情があり、
周辺は昭和と下町の名残もある。

その中にあって十条銀座商店街のアーケードの入口も慎ましやか。
雑居ビルに挟まれた入口はそれほど間口も広くなく、
ここが「三大」と言われている場所とは思えない。

だが、いざ入口に立てば、驚きの光景が広がる。
駅側からは見えず、感じなかった商店街の活気が一気に押し寄せてきたのだ。
アーケードはこういう時に劇場感もある。
平日の昼だが、学校が多いという土地柄か、中・高校生たちから、
人生のベテラン勢まで、多くの人が行き交う。
地元のスーパー的な役割を担っていそうな八百屋、魚屋など日常を支える店が多く、
また惣菜店の多さも印象的だ。

まっすぐではなく緩やかに曲がっている十条銀座。先の先までは見通せないという、あけっぴろげではないところが、昼から酒のアテを探している身としては、なんだか心地いい。

まっすぐではなく緩やかに曲がっている十条銀座。先の先までは見通せないという、あけっぴろげではないところが、昼から酒のアテを探している身としては、なんだか心地いい。

加えて飲食店や和菓子店も店先にテーブルを出し
ずらりと商品を並べているから余計に活気を感じる。
どうにもたまらなくなって途中で寄り道。

おおつや外観

煮物や和え物などの手づくり総菜が揃う〈おおつや〉さんにふらりと入れば、
アテにも白飯のお供にも垂涎のラインアップ。

ほっこり感があるお惣菜の数々。煮物も揚げ物もやさしいお味。焼酎ハイボールと合わせると焼酎のまろやかさをより感じられる。

ほっこり感があるお惣菜の数々。煮物も揚げ物もやさしいお味。焼酎ハイボールと合わせると焼酎のまろやかさをより感じられる。

「味噌なす」と「生姜なす」。悩みに悩んで両方購入。あるあるだ。

「味噌なす」と「生姜なす」。悩みに悩んで両方購入。あるあるだ。

うれしいタイムロスだが行列必至と言われるチキンボール。
ちゃんと向かわなくては。

鳥大外観

十条商店街の中ほどまで歩むと、右手に開けた道がある。
そこを曲がると10人ほどの行列ができている。そこが鳥大。
もともと鶏肉の専門店。その技術と徹底した品質管理が認められ、
店で鳥をさばいて売ることができる免許を持つプロフェッショナルの店だ。

朝4時まで生きていた鳥をさばいて店頭に並べるという「朝びき」こそ鳥大の誇り。鶏肉そのものに自信アリ。

朝4時まで生きていた鳥をさばいて店頭に並べるという「朝びき」こそ鳥大の誇り。鶏肉そのものに自信アリ。

それがチキンボールをきっかけに、
鶏肉を使った総菜の人気店としても知られるようになった。
行列に並ぶ人たちもチキンボールだけではなくそれぞれのお目当ての総菜があって、
「チューリップ」「チキンしゅうまい」「ねぎま串」「手羽中」と次々に注文の声が飛ぶ。

多彩な総菜は約70種類。不動の定番がチキンボールなら、最近のヒット作は「ヤンニョムチキン」。店主の大杉雄造さんは「レシピサイトを見ているといろんなアイデアが浮かんじゃって。つい試しちゃうんですよね」と笑顔。

多彩な総菜は約70種類。不動の定番がチキンボールなら、最近のヒット作は「ヤンニョムチキン」。店主の大杉雄造さんは「レシピサイトを見ているといろんなアイデアが浮かんじゃって。つい試しちゃうんですよね」と笑顔。

さて、お目当てのチキンボールだ。
ざっくりいえば鶏ミンチにおからをまぜ、衣をまとわせ揚げたもの。
さくっとした嚙み心地、中はふわふわ、あつあつ。
旨みはしっかりあるけれど後味はあっさり。ソース不要。いくらでも食べられそう。
驚くのはそのお値段。1個10円。しかも税込み。

チキンボール

サイズは小さいけれど食べてみればそんな値段をつけていいわけがない、と思う。
鳥大の2代目、大杉雄造さんによれば多い時には1日1万個平均で売れていたのだという。
「一度に500個とかの注文もありました」(大杉さん)と言うから驚き。

それだけ売れているのなら、当然機械でつくっているのだろうと思ったら、
なんと、練りこむ工程から揚げるまですべてが手づくり。
それも1日何度も店の厨房でつくられるという。

信じられない気持ちで工程を見せていただくと、
「目にもとまらぬ」ってこういうことを言うのかという速さで、
どんどんボールの原型がフライヤーに投げ込まれていく。
もうひとつフレーズを重ねれば「ちぎっては投げ、ちぎっては投げ」。
その様子にただただ感心。

カメラも追いつけない早業でチキンボールを次々とフライヤーへ投入。「実は抜刀道を教えているのですが、その動きに似てるんじゃないかって言われたんですけど、どうですかね?」細かい動きはわからないが、どちらも間違いなく真剣勝負。

カメラも追いつけない早業でチキンボールを次々とフライヤーへ投入。「実は抜刀道を教えているのですが、その動きに似てるんじゃないかって言われたんですけど、どうですかね?」細かい動きはわからないが、どちらも間違いなく真剣勝負。

10時の開店から20時の閉店まで常に10人ほどの行列ができるという。その間つくり続けるというのだからすごい。

10時の開店から20時の閉店まで常に10人ほどの行列ができるという。その間つくり続けるというのだからすごい。

「ただ、ぶっちゃけ儲からないんですよ」と大杉さんは屈託なく笑う。
チキンボールが生まれて30年ほど。
原価も高騰するなか、ずーっと変わらぬ10円を守るために四苦八苦。
現在は1日5000個限定、ひとり30個まで、ほかの商品も併せて購入
といった制限を設けながらも、それでもつくり続けるのはお店の事情だけではないらしい。

「商店街の会長さんとも話していたんですが、
チキンボールがきっかけでここに来た人も多い。
メディアで取り上げてくださる際も商店街の代表的なものとして紹介してもらえる。
だから、うちの店のものというより、商店街のためにも続けていこうと思うんです」

2代目の大杉さんは婿養子。実は生家は同じ十条銀座の飲食店。「実家の店でこちらの卵を買っていたんですよ」との縁。商店街に生きて50年以上。苦境も発展も体感してきた。

2代目の大杉さんは婿養子。実は生家は同じ十条銀座の飲食店。「実家の店でこちらの卵を買っていたんですよ」との縁。商店街に生きて50年以上。苦境も発展も体感してきた。

「十条銀座は味の目利きも多く、惣菜店も高いレベルで競争してます」と大杉さん。
「でも、気取ったまちじゃないので、気軽に来ていただきたいです」
チキンボールを頬張って、レベルの高い惣菜店を巡る。
アテ探し中に満腹にならないように。

今これにハマってます!
わたしのまちで「流行っている
モノ・コト」


今月のテーマ 「まちで流行っているモノ・コト」

あなたの周囲で今、流行っているものはどんなものですか?
地元の人に愛されるお店だったり、
大人も夢中になる遊びだったり、そのかたちはさまざまです。

今回は北海道と岩手にお住まいのみなさんから
地域で流行っているモノやコトについて紹介してもらいました。

好奇心をくすぐるまちのトレンドを覗いてみましょう。

【岩手県花巻市】
まちの人が「乾杯」を楽しみに集まる酒場〈ちゃんぷ〉

夕日が沈むと喉を潤したいのか、お腹を満たしたいのか、
〈ちゃんぷ〉というのれんを見ると、お店に吸い込まれていきます。
まちの人たちが集い、ここで「乾杯」を楽しみます。

筆者がお店に入り、席につくとさっそく生ビールを頼み、
あとはマスターにお任せで、適当に焼き鳥を焼いてもらいます。
味つけは決まって塩で頼むのが定番。

外観

生ビールの次には、絶妙な濃さのハイボールがクセになる。

生ビールの次には、絶妙な濃さのハイボールがクセになる。

マスターがつくる料理は絶品。

マスターがつくる料理は絶品。

しょうが焼きを頼み、
しめには特製冷麺を食べてお店を後にします。

しょうが焼き

ラーメン

ひとりで来ても、誰かしら常連さんがいて
楽しくお酒をついつい飲んでしまう、
そんな地元の人たちに愛されるオアシス的なお店なのです!

information

map

ちゃんぶ

住所:岩手県花巻市大迫町大迫第3地割114

TEL:0198-48-4178

定休日:月~木曜

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業日・営業時間に変更がある場合があります。

photo & text

鈴木寛太 すずき・かんた

1991年東京都出身。2011年に発生した東日本大震災以降、大学のボランティアプログラムで、繰り返し岩手県を訪れるようになる。一度は就職するも、2015年8月、地域おこし協力隊として花巻市に移住。大迫(おおはさま)地区で、減少が続くぶどう農家の支援やイベントの企画・調整を行っており、2018年5月にぶどう農家となる。2021年4月から独立して、本格的にぶどうを生業として活動している。

酎ハイの歴史はここから始まった!
〈三祐酒場 八広店〉で
絶品つまみと
元祖焼酎ハイボールに出合う

酎ハイ街道。
その名がつけられているのは、
東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅と京成線八広駅を結ぶ、鐘ヶ淵通りを中心に広がる一帯。
そこにはなぜか酎ハイの名店が揃い、酎ハイを愛する人々が集まり、
歴史を重ね、酒場文化を育んできました。
今回はなぜここが聖地になり、愛され続けているのかを探ります。
もちろん、焼酎ハイボール片手に、ほろ酔いで。

●東京下町でいただく今宵の酎ハイは……
戦後日本のがんばる親父にエールを送った琥珀色の焼酎ハイボール

案内人は居酒屋ライターの藤原法仁(のりひと)さん。
大衆酒場の聖地のひとつ葛飾は立石生まれ。
大衆酒場にまつわる著作や文化を広げる担い手であり、
なんといっても「酎ハイ街道」の名づけ親。

東京の大衆酒場の文化を愛情と探求心をもって伝える藤原さん。店内を見ながら「私が考えるいい酒場の条件は、居心地、食べ物、お酒の三位一体。ここは揃っているんです」とセレクトの理由を語ります。

東京の大衆酒場の文化を愛情と探求心をもって伝える藤原さん。店内を見ながら「私が考えるいい酒場の条件は、居心地、食べ物、お酒の三位一体。ここは揃っているんです」とセレクトの理由を語ります。

それでは酒場へ。
藤原さんがこの話にふさわしいと選んだ場所は、〈三祐酒場 八広店〉。
「焼酎ハイボールを生み出したと言われる店なんです」と藤原さん。
マスターの奥野木晋助さんによれば、
焼酎ハイボールの誕生は1951(昭和26)年。
まだ第二次世界大戦の痛みを心にも風景にも深く残しながら、
それでも、明るい明日へと踏み出そうとしていた頃。

「当時、本店を営んでいた元店主の叔父、奥野木祐治が進駐軍の駐屯地内で、
ウィスキーハイボールに出合って感銘を受け、
焼酎を使って店で出せないかと試行錯誤したのが始まりです」

当時の焼酎は、材料は粗悪、技術も設備も足りないという状況で、
それゆえのきついニオイもありました。
でも、このウィスキーハイボールのように炭酸で割れば、
飲みやすく、みなさんに喜んでもらえるのではないか。
「ウィスキーハイボールを意識したから、うちのは琥珀色なんです」
というマスターの言葉と、注がれた酎ハイの色を見ると、
単純な酒の足し算によって生まれたわけではなく、
戦後の東京という背景のなかで、
もっといいもの、もっと幸せなものを求めてきた人々の姿が浮かぶようです。

藤原さん

藤原さんが「早く飲みたいでしょう?」と誘ってくれます。
では遠慮なく、乾杯。
「うまいなぁ……」
藤原さんが幸せそうに目を細めます。
「バランスがいい。とにかく飽きないんですよ。
無理にフレーバーをつけて、焼酎が本来持つ魅力を封じ込めてしまうものがあるなかで、
こちらはバランスよく、焼酎の魅力も広げてくれます」

藤原さん酎ハイ飲む

酎ハイと言えば炭酸も大切な要素。
“炭酸ソムリエ”として人気テレビ番組の出演歴もある藤原さん。
「こちらの炭酸はお店のサーバーで注入されますが、
これは導入当時の昭和30年代では画期的でした」
ほかの店ではコストなどの観点から導入が進まず、
それゆえ、“瓶入り”、“どぶづけ”といった方法が始まったとのこと。
氷も同様に、大きい、高いという理由から冷凍庫の導入が進まず、
そのため酎ハイ=氷なしのスタイルが生まれたというエピソードも。
三祐酒場は、冷凍庫を導入し氷入りを提供。
「氷が入っていても最後までバランスが崩れず、最後までおいしく飲める。
これも三祐酒場さんの酎ハイの魅力です」

昭和30年代に導入した炭酸サーバーは、いかに良質に提供できるのかを考えたうえでの結論。ここからも酎ハイのルーツが「単なる安価な代用品ではない」ということが見えます。

昭和30年代に導入した炭酸サーバーは、いかに良質に提供できるのかを考えたうえでの結論。ここからも酎ハイのルーツが「単なる安価な代用品ではない」ということが見えます。

「元祖焼酎ハイボール」(330円 金額は税別、以下同)。氷、炭酸、なぜ焼酎だったのか? このタンブラーの中にも戦後の東京の歴史と文化があります。

「元祖焼酎ハイボール」(330円 金額は税別、以下同)。氷、炭酸、なぜ焼酎だったのか? このタンブラーの中にも戦後の東京の歴史と文化があります。

自前の炭酸サーバー、冷凍庫、琥珀色、最後まで続くうまさ。
進駐軍の駐屯地で出合った感動を伝えたい。代用品、安価なだけの酒ではないのです。

自治体だけの仕事じゃない
「わたしのまちのPR」

今月のテーマ 「わたしのまちのPR」

今や、まちの特色をアピールするのは
自治体だけにとどまりません。
そのまちに住む個人や有志のグループが集まり、
イベント開催、動画配信などを行っていることが増えてきました。

今回はそんなまちのPRについて
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに教えてもらいました。

オンライン、オフライン、さまざまなかたちでPRされる
まちの特色をぜひご覧ください。

【秋田県にかほ市】
まちの特産物と文化をモチーフにしたMV

秋田県にかほ市には、
地元の人たちでつくり上げたミュージックビデオがあります。

数年前、にかほの風景を描いた楽曲を
つくってくれたミュージシャンがいました。
その曲のタイトルは『いちじく忘れない』。

にかほ市の特産物であるいちじくと、
それを甘露煮という保存食にして贈り合うという
まちの文化がモチーフになった曲。
歌詞にはにかほの美しい風景や日常が描かれていて、
にかほの魅力が詰まったすてきな歌です。

その曲のミュージックビデオがつくれないか? という
地元から生まれたアイデアがかたちになった動画です。
プロの振付家、カメラマンと地域の人たちが協力し合い、
半年ほどの月日をかけて完成しました。

「地元があらためて好きになった」などと涙を流すがいるほど、
思いの込もったミュージックビデオになりました。
地域を楽しい場所にするには、地域を誇りに思うことが不可欠。
その力強い一歩になった動画です。

photo & text

國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

東京・谷中銀座の人情に満ちた
「いか焼」
あなたのまちの商店街へ。
焼酎ハイボールのアテ探し旅

全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
そこでしかお目にかかれないおいしいものとの出合いも楽しみのひとつです。
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
これぞ! というアテをテイクアウトして、焼酎ハイボールとの相性をレポート。
思わず喉が鳴る至極の組み合わせをご覧あれ!
今回は、東京都台東区の谷中(やなか)銀座商店街です。

岩瀬さん

谷中銀座商店街で、これぞ下町! なアテは見つけられるか?

谷中銀座商店街。
JR山手線の日暮里駅西口から歩けば、
昭和の郷愁に、どこか文化的な香りもする場所。
下町の中の山の手といった、どこか凛とした空気は、
寺町と職人たちの歴史、明治、大正、昭和の風流人たちが
長年かけて醸しだしたもの。
徳川慶喜公をはじめ多くの著名人が眠る〈谷中霊園〉を過ぎ、
歩いていくと、〈夕やけだんだん〉とよばれる夕日の名所が現れる。
そこまでくれば眼下に広がるのが谷中銀座だ。

谷中銀座商店街は、昭和20年頃、戦災を受けてこの地に移ってきた商店や職人により自然発生的に誕生。平成に入って、「谷根千(やねせん)」(谷中・根津・千駄木)に注目が集まると、東京の散策スポットとしても人気に。全国、海外からも風情を求める人が訪れる。

谷中銀座商店街は、昭和20年頃、戦災を受けてこの地に移ってきた商店や職人により自然発生的に誕生。平成に入って、「谷根千(やねせん)」(谷中・根津・千駄木)に注目が集まると、東京の散策スポットとしても人気に。全国、海外からも風情を求める人が訪れる。

活気はあるけれど、情緒もある小路。
夕やけだんだんからは端から端までその全容が見えるが、
一歩入ってみると、まっすぐな道だけれど心地よい迷宮。

そう感じさせるのはなんだろうと谷中銀座商店街の公式サイトを見れば、
「商店街には昔ながらの個人商店を中心に、
さまざまな業種約60店舗が全長170メートルほどの短い通りに立ち並びます」
「肉、野菜、魚、酒、洋服、着物、陶器、お茶など、
店主は皆さまざまなジャンルのプロです」とある。

なるほど、それぞれの店の個性と誇りが狭い通りに溢れている。
画一的なものではない混沌が、逆に谷中銀座としての統一感になっている不思議。
日常の買い物の場でもあるし、日常にはない場所でもある。
デートのために和装をしてみたという感じの初々しいカップルや、
散策を楽しむカメラを持った人生のベテランが歩いている。
もちろん、酒のアテを求める私たちも。

JR日暮里駅から、というのが散策の王道かもしれないが、今日は逆回り。
東京メトロ千代田線の千駄木駅から歩いてみた。
最初は普通にマンションが並んでいる東京の風景で、
少しずつ、昭和の名残の住宅地に入り、5分もすれば谷中銀座にたどり着く。
ここからでも迷宮感がにじみ出てくる。
その入口にある店〈手づくりおかず トーホー〉でアテを探すのが最初の目的。

トーホーの店頭

店頭には揚げもの、煮ものが並び、奥のショーケースには冷菜系もずらり。
基本、この店で手づくりしていて、家庭の味を提供したいという店だ。
お店の人に聞けば「谷中は高齢者と単身者が多いんです。
そのご要望を聞いていたらいつのまにか増えちゃって(笑)」
たった3人で毎日この量を仕込むという大変なチャレンジ。
「要望に応えすぎですよ」と私は笑って返しつつ、
焼酎ハイボールの味わいを思い出していると、
直感が働いて「さば味噌」をチョイス。

「さば味噌」は270円。開店以来継ぎ足してきた味噌、サバの絶妙な煮加減でこの価格は破格。

「さば味噌」は270円。開店以来継ぎ足してきた味噌、サバの絶妙な煮加減でこの価格は破格。

「サバやアジはおススメなんですよ。いいいところに目をつけられましたね」
というお店の人のひと言を、お世辞ととらずに勝手に自慢げな顔になる単純さ。

ずらりと並んだ総菜。お店の人に聞けば「50種類ぐらいです」。左側にはワンコインでボリュームたっぷりの日替わり弁当が並ぶが「定番もありますけど……これも50種類ぐらいですかねえ」。すごい。

ずらりと並んだ総菜。お店の人に聞けば「50種類ぐらいです」。左側にはワンコインでボリュームたっぷりの日替わり弁当が並ぶが「定番もありますけど……これも50種類ぐらいですかねえ」。すごい。

冷菜は定番や懐かしものだけではなくアイデアメニューも。最近の人気は「花椒エリンギ」(180円)なるピリ辛総菜。単身、高齢者も多い場所柄、少量のおひとり様サイズがあるのもうれしい。

冷菜は定番や懐かしものだけではなくアイデアメニューも。最近の人気は「花椒エリンギ」(180円)なるピリ辛総菜。単身、高齢者も多い場所柄、少量のおひとり様サイズがあるのもうれしい。

つくり置きも地産地消!
「まちの食材を使った常備菜」

今月のテーマ 「まちの食材を使った常備菜」

まちの名産を使った郷土料理は地元の人はもちろん、
訪れた旅行者の楽しみのひとつ。

その土地の名産を使ったご当地グルメは
昔ながらの郷土料理からB級グルメと呼ばれるものまで多種多様。
ネットショップでも手軽に購入できますが、
せっかくなら産地ならではの調理法や食べ方をしたいもの。

そこで今回は地域の食材を生かした常備菜を
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに教えてもらいました。

日持ちもして調理法も簡単。
つくり置きして保存できる常備菜はまちの「家庭の味」といえます。
たくさんつくってそのまま食べてもよし、
アレンジしてもよしの便利な料理ばかりなので
食材をお取り寄せしてお試しあれ。

【秋田県にかほ市】
和のスーパーフードを使った贅沢メニュー

秋田県にかほ市はそばの産地。
夏には、あたりにそばの白くて可憐な花が咲き誇ります。

そばの花

そばの実

そば粉はこの「そばごめ」と呼ばれる
「タネ」の部分を挽いて製粉しますが、
「タネ」をまるごと食べるのがこの地域の文化。
殻をとってゆでで、麺つゆや出汁をかけて食べるのは
「むきそば」という郷土料理です。

それ以外にも、ゆでたそばごめを冷凍保存し、
味噌汁に入れたり、和え物にしたり、煮物に添えたりと、
何にでも万能に使える常備菜です。

こちらは、麺つゆで和えたなめことそばごめを混ぜたもの。

こちらは、麺つゆで和えたなめことそばごめを混ぜたもの。

つぶつぶとした食感がとてもおいしく、
また栄養たっぷりなスーパーフードなんですよ。

そばの産地ならではの贅沢な常備菜です。

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國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

知れば暮らしが見えてくる
「わたしのまちの習慣&ご当地ルール」


今月のテーマ 「わたしのまちの習慣&ご当地ルール」

全国にはさまざまな習慣やルールがあり、
まちの文化として代々受け継がれています。

今回は地元の人には当たり前となっている
習慣やご当地に伝わるルールについて
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに教えてもらいました。

何気ない暮らしの一部から
その地域の暮らしを覗いてみましょう。

【岡山県浅口市】
伝統の手延べ麺づくり「かどぼし」を守る地域のルールとは

私が暮らす岡山県浅口市鴨方町は手延べ麺のまち。
手打ち麺は生地を麺状に切っていきますが、
手延べ麺は包丁を使わずにだんご状の生地をひたすら延ばしてつくられます。
屋外で麺を干す仕上げの作業「かどぼし」が昔はそこここで見られたそう。

そうめんの手延べ

現在は機械化が進み、
麺づくりの全工程を屋内で行う麺工場がほとんどですが、
今でも晴れた日は季節を問わずかどぼしを行っているのが〈河田賢一製麺工場〉です。
12時頃、白い糸のような麺が軒先でリズミカルに舞います。

かどぼし

かどぼしは空気がきれいでないとできません。
そのため、地区内では午前中の野焼きは禁止。
細かい灰が手延べ麺に付着してしまうのを防ぐためです。
地元の伝統産業を守る、地域のルールの紹介でした。

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こばん

大阪府出身。〈カブ〉で旅するフォトライター。全国各地を愛車と旅する様子をインスタグラムに投稿するのが趣味。フォトジェニックな「星と海のまちあさくち」に一目惚れし、2017年5月、岡山県浅口市地域おこし協力隊に着任。浅口の魅力を取材し、紙面やWEB、SNSで発信中。

東京・戸越銀座の「おでんコロッケ」が
“サクッ・ホロッ・うまっ!”
あなたのまちの商店街へ。
焼酎ハイボールのアテ探し旅

全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
そこでしかお目にかかれないおいしいものとの出合いも楽しみのひとつです。
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
これぞ! というアテをテイクアウトして、焼酎ハイボールとの相性をレポート。
思わず喉が鳴る至極の組み合わせをご覧あれ!

岩瀬大二さん

戸越銀座商店街で見つけた、新しさとノスタルジーが入り混じるアテ

商店街。
そうだ、こんな身近に、「食の宝庫」「肴の楽園」があるじゃないか。
歩いて、人の情に触れて帰ってくる。
買ってきたアテを並べ、焼酎ハイボール缶を開ければ、飾らないのに極上の時間が始まる。
きっとあなたの近くにも、そんな商店街がある。

戸越銀座。
テレビでもよく登場する関東でも著名な商店街。
実はここ、僕が通った中学校の近所。
生まれ育ったのは、もう少し先の武蔵小山のアーケード街のほう。
こちらは部活の帰りや放課後の遊びのあとに遠回り、
小腹を満たし、たわいもない会話をしたという思い出。

戸越銀座の正式名称は「戸越銀座商店街連合会」。3つの商店街振興組合からなり、全長約1.3キロにわたる関東有数の長さを誇る。大正12年の関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京の下町や横浜方面の商業者たちが集まったことから始まった。現在約400軒の店舗が軒を連ねる。最寄り駅は東急池上線「戸越銀座」駅、都営地下鉄浅草線「戸越」駅など。

戸越銀座の正式名称は「戸越銀座商店街連合会」。3つの商店街振興組合からなり、全長約1.3キロにわたる関東有数の長さを誇る。大正12年の関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京の下町や横浜方面の商業者たちが集まったことから始まった。現在約400軒の店舗が軒を連ねる。最寄り駅は東急池上線「戸越銀座」駅、都営地下鉄浅草線「戸越」駅など。

それはもう30年以上前のことになるけれど、
あのころは、地元の人たちが集い、地元の人のために営む、
ごくごく当たり前の日常があった場所だった。
ここまでメディアに取り上げられるような、
そして休日にはB級グルメの食べ歩きや、
テレビのロケ場所巡り、東京の南側の下町情緒を求めて、
この商店街自体を目当てに、全国からたくさんの人が往来するような時代が来るなんて、
想像できるはずもなかった。

あの頃の懐かしい店を訪ねてみた。
まずは浅草線・戸越駅から徒歩6分の〈後藤蒲鉾店〉。
遠回りして小腹を満たした店だ。
店頭でおでんを買ってつまむ。
もちろん手元にあったのは酒ではなく炭酸飲料だったけれど。
きっとあのころ、全国どこの商店街でもあったありふれた光景。
後藤蒲鉾店は創業50年を超え、戸越銀座とともに歩んできた。

おでんのシーズンにはかまぼこをはじめとするおでんだねが並ぶ。この日は3代目となる息子さんの友人がおでん番をしていた。この光景にもグッとくる。

おでんのシーズンにはかまぼこをはじめとするおでんだねが並ぶ。この日は3代目となる息子さんの友人がおでん番をしていた。この光景にもグッとくる。

店頭にずらりと並ぶおでんの材料は定番から変わりだねまで多彩。にぎやかな雰囲気で、すっと入りやすいのもうれしい。

店頭にずらりと並ぶおでんの材料は定番から変わりだねまで多彩。にぎやかな雰囲気で、すっと入りやすいのもうれしい。

「もともと肉屋と総菜屋が多くて、生活に密着した商店街でした」
と2代目の後藤学(まなぶ)さん。
1990年、バブル崩壊。踊った業界だけではなく、
普通の暮らしも元気をなくしてしまった出来事で、そこからのトンネルも長かった。
戸越銀座も例外ではなかった。でも負けなかった。

2代目の後藤学さん。「食べ歩きの活気も戻ってきてほしいですね」

2代目の後藤学さん。「食べ歩きの活気も戻ってきてほしいですね」

「相当な落ち込みでした。
そこから生まれたのがコロッケによるまちおこしです。
私たちも『おでんコロッケ』を発案して参加しました」
丸い食べやすいサイズのコロッケの中身は、
なるとや大根といったおでんの材料を細かく刻んだものと、じゃがいも。

「せっかくつくるなら、普通のじゃ、おもしろくない。
あまりものを入れれば、というのは違うと思ったんです」
その日の残ったおでんをコロッケに回すのではなく、
そのための材料。レシピはしっかり決まっている。

「おでんの材料として人気の大根は入れたかったですし、
断面でも、おでんらしい色合いになるような材料を選びました」

他店も個性的なコロッケを次々と発案。
戸越銀座商店街には肉屋、総菜屋が多かったという背景があって、
そしてスペシャリティを生かす専門店のこだわりがあって、
それは芯の通ったキャンペーンになった。

各店のコロッケとともにおでんコロッケも評判を呼び、
これをきっかけに、食べ歩きが楽しい商店街として、
多くのメディア、テレビ番組にも取り上げられた。
「土日で1000個以上売れたときもありましたね」というからすごい。
もちろんその裏にはおでん、かまぼこのプロの創意工夫。
そんな物語のあるつまみを入手。
頭に浮かべた焼酎ハイボールとの相性に思わず笑みがこぼれる。

フライものを入れる袋に描かれているのは戸越銀座のマスコット、銀ちゃんこと戸越銀次郎。名前は硬派でもかわいらしい。「おでんコロッケ」1個108円。

フライものを入れる袋に描かれているのは戸越銀座のマスコット、銀ちゃんこと戸越銀次郎。名前は硬派でもかわいらしい。「おでんコロッケ」1個108円。

地元の人がリコメンド!
「わたしのまちの案内したい
場所・施設」


今月のテーマ 「案内したい場所・施設」

気兼ねなく旅や帰省ができるようになるまで
あともう少し。
次の旅行を考えたり、ガイドブックを見て
旅気分を味わう人もいるのではないでしょうか。

今回は、地元の人がおすすめの場所や施設を紹介。
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに、まちを訪れた
旅行者を案内したいスポットについて教えてもらいました。

知る人ぞ知る場所や施設、必見です。

【秋田県にかほ市】おいしい天然水の給水スポット

鳥海山

にかほ市のシンボルともいえる鳥海山。
山に降り注いだ雨雪は長い時間かけてろ過され、
それが地下から湧き出したものは伏流水と呼ばれています。

市内の至るところに湧水地があり、
どこを歩いていても水の音がするような水に恵まれたまち。
それを見せつけるかのように、
にかほにはこんな場所があるんです。

鳥海山の湧水地

道端に突如として現れる「水」と書かれた看板。
ここでは伏流水が勢いよく流れています。
象潟町の本郷という集落にあり、
とくに案内などはありません。

伏流水の様子

知る人ぞ知る場所ですが、地元からも遠方からも、
空いたボトルを持って水を汲みに来る人がよく見られます。
暮らしに欠かせない水。
その豊かさが、ここの暮らしの豊かさをも
物語っているような気がします。

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國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

人と地域をつないでくれる
「わたしが好きなまちの方言」

今月のテーマ 「わたしが好きなまちの方言」

日本には、その土地それぞれで発展した言葉・方言があり、
挨拶や日常的に使う言葉も、まちが違えば言い回しも異なります。

今回は〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいのまちで話される方言のなかでも
特に好きな言葉を教えてもらいました。

相手への思いやりやあたたかい気持ちが
ひとつの言葉のなかに込められたものばかり。
みなさんが住んでいるまちでは、どんな言い回しをしていますか?
ぜひ比べてみてください。

【秋田県にかほ市】
地元の輪に入るきっかけをくれた魔法の言葉

まんず、かだれ

「まんず、かだれ」

にかほ市で暮らすようになった頃に
地元の方からかけられた言葉でした。
「かだる」というのは
「仲間になる、参加する」という意味の方言。
秋田県のほか、山形県や岩手県でも使われることがあるそうです。

地元の方が集まる場にお邪魔した際、
輪に入れず側で立っていた私に、
「まんずかだれ」と声をかけてくれました。

「仲間に入りなよ!」なんて、
大人が口に出すのはなかなか気恥ずかしいような気がしますが、
「かだれ」は「こっち来なよ」というくらいの
気軽な感じで使うことができるうえ、
相手に「仲間になってもいいんだ」と、
安心感を与えられる言葉です。

よそ者の私にとっては、魔法のように心温まる言葉でした。

photo & text

國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

熊本地震を伝える
ミュージアム〈記憶の廻廊〉
旧東海大学阿蘇キャンパスを訪れて

熊本県の阿蘇地方は、カルデラや草千里といった自然豊かな大地が広がる。

2016年の4月14日と16日に発生した熊本地震。

28時間以内に2度も震度7を記録する大地震は観測史上初めてのことだった。
四季折々の美しい姿を見せてくれる阿蘇も、
地震により甚大な被害を受けた地域のひとつだ。

震災から5年。
熊本地震の記憶を伝える場所があるということで、南阿蘇村を訪れた。

熊本地震の記憶を未来へつなぐ

熊本市内から車で約1時間、2020年10月に開通した
国道57号を北上すると阿蘇の玄関口に差し掛かる。

ここは、「数鹿流(すがる)崩れ」と呼ばれる
大規模山腹崩壊や、阿蘇大橋の崩落が起きた場所だ。
黒川を挟んだ対岸に残された橋の一部が見える。
その生々しい光景に、思わず足がすくんでしまう。

地震によって崩れ落ちた阿蘇大橋。

地震によって崩れ落ちた阿蘇大橋。

未だ災害の爪痕が残るその場に立つと、被害の大きさが肌で伝わってくる。

熊本地震の経験から得られた教訓を後世に伝えるために、
熊本県と関係市町村は、さまざまな地域に点在する
「震災遺構」と情報発信の「拠点」を広域的に巡る、
フィールドミュージアムの取り組みを進めている。

それが、熊本地震 震災ミュージアム〈記憶の廻廊〉だ。

この震災ミュージアムは回廊型である。
県内8市町村(熊本市、宇城市、益城町、南阿蘇村、宇土市、
御船町、西原村、大津町)が連携し、震災遺構や防災拠点センター、
役場庁舎、熊本城などの拠点を広く巡ってもらおうという取り組みである。

この日訪れたのは、その震災ミュージアムの
拠点のひとつである〈旧東海大学阿蘇キャンパス〉だ。

南阿蘇村に位置する旧東海大学阿蘇キャンパスは、
「地表地震断層」と「1号館建物」が震災遺構として
保存されており、県防災センターと並ぶ
震災ミュージアムの中核拠点として機能する。

旧東海大学阿蘇キャンパスへ

高台にある白い建物

高台にある白い建物が旧東海大学阿蘇キャンパスの校舎だ。
以前はここで農学部の学生たちが集い学んでいた。

実習フィールドを残してキャンパスはすでに移転してしまったが、
旧校舎は取り壊されることなく、震災遺構として
2020年8月1日から一般公開されている。

「震災遺構」というと重々しく感じてしまうが、
校舎の周りののどかな風景は、開放的で清々しい。

「もし自分がこの場所に通えるなら居心地がいいだろうな」と、
そんなイメージを膨らませてしまうほど、気分がいい。

この日の案内人である鉄村拓郎さん。

この日の案内人である鉄村拓郎さん。

笑顔で出迎えてくれたガイドの鉄村さんにさっそく案内をしていただく。
ガイドは30名ほど在籍しているそう。
団体を除いて、多い時に1日で100名前後を案内するという。

時間は30〜40分程度、阿蘇独特の地形から、震災遺構である地表地震断層、
1号館建物や地域のことについて丁寧に解説してもらえる。
阿蘇は隆起の激しい珍しい地形だとあらためて驚く。

断層が校舎を貫く凄まじさ

地表地震断層と呼ばれる地割れは、校舎裏の広場に当時のままの状態で保存されている。
断層は一直線に校舎へ向かっている。

断層の種類や性質など図解でわかりやすい。右横ずれ断層の特徴である雁行(がんこう)についての説明を聞く。

断層の種類や性質など図解でわかりやすい。右横ずれ断層の特徴である雁行(がんこう)についての説明を聞く。

本来一体である校舎の倒壊を防ぐために、1号館建物は4分割にされていた。
窓ガラスが割れ、階段や壁に大きく亀裂が伸びている。
断ち切られた校舎や波のように割れた地面が痛々しい。

「中央の校舎の被害が左右に比べて大きいのはなぜでしょうか?」
と突然クイズが投げかけられた。

来場者が受け身になりすぎず、一緒になって考えることが必要なのだと気づかされる。
答えは、ぜひ訪れた際に確認してほしい。

壊れた柱や外壁もそのまま保存されている。

壊れた柱や外壁もそのまま保存されている。

外から見る事務室の中には、散乱した家具やバスの時刻表、
カレンダーが当時の日付のまま掲示されていた。

通常、損壊した建物は取り壊されて再建されるのが一般的だ。
さらに震度6強の揺れを受けながら倒壊しなかった
大規模な建物と断層が一体となって保存されている事例は、国内に例を見ないという。

解説パネルや写真、映像では伝えきれない現実。

リアルな環境だからこそ、目で見ること、声を聞くことで実感となり、
「自分にも関わること」として受け止めやすくなる。
現地に来なければわからないことだと感じた。

いいものを未来へ残す
「わたしのまちで受け継がれる技」


今月のテーマ 「わたしのまちで受け継がれる技」

高齢化が進み、日本で古くから伝わる
職人の技術の担い手が少なくなっているというニュースも耳にしますが
若い世代が引き継ぎ、現代的なアレンジを加えて
伝統に新しい息吹をもたらしている工房や工芸品は全国各地にあります。

今回は、〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいのまちで継承されている匠の技について紹介してもらいました。

師から弟子へと脈々と受け継がれている
その技術から生み出される品々は
伝統的でありながらもどこか新しさを感じます。
次世代の担い手たちの挑戦をぜひチェックしてみてください。

【秋田県秋田市】
繊細で優美な工芸品“秋田銀線細工”を守り抜く秋田美人3人衆

きっと多くの女性は「ひとつだけのアクセサリー」を
もらったらとても幸せな気持ちになりますよね。
それが数少ない職人さんが手がけた
工芸品だったとしたらどうでしょうか。
この上ない幸せを感じるのでは?

県内に7人しかいない秋田銀線細工の職人のなかで
3人の女性職人が運営している工房〈矢留彫金工房〉が秋田市にあります。

思わずうっとりしてしまう秋田銀線細工。

思わずうっとりしてしまう秋田銀線細工。

秋田ではその昔、大変良質な銀がとれる銀山があり、
当時その銀を使用した金属工芸が発展しました。
戦後、秋田銀線細工の技術が確立され、
その技術は現在も伝統工芸として残っています。

〈矢留彫金工房〉では秋田美人3人衆が
「現代に合った、若者にも手に取ってもらいやすいアクセサリー」として
銀線細工の技を引き継いでいます。

細いものでは0.2ミリの銀線素材を加工していきます。

細いものでは0.2ミリの銀線素材を加工していきます。

銀線細工の制作工程に惹かれ、つくり手不足に危機感を抱き、
繊細なこの技術を後世に残すべく2019年に工房を設立。
セミオーダーでのアクセサリーをはじめ、
金属工芸の基礎が学べる教室なども展開しています。
もちろん、既製品も購入することができますよ。

「若い方にも手にとっていただき
銀線細工のよさを知ってもらいたいし、
今まで見てきた銀線細工と違う新たなデザインも楽しんでほしいです」

クラウドファンディングで支援してくれた方への返礼品として制作した雛人形の持道具。

クラウドファンディングで支援してくれた方への返礼品として制作した雛人形の持道具。

「制作工程は、何度も線の太さなどの具合を見て、
時には互いの意見を聞いてみんな切磋琢磨して取り組んでいます」と、
話す3名の瞳も大変輝いていました。
あなたもひとつだけのアクセサリー、つくりませんか?

おだやかな雰囲気の職人さんが、ひとつひとつ心を込めて制作。内に秘めた情熱は思わず応援したくなります。

おだやかな雰囲気の職人さんが、ひとつひとつ心を込めて制作。内に秘めた情熱は思わず応援したくなります。

information

map

矢留彫金工房

住所:秋田県秋田市大町2-1-11 榮太【楼】ふるさと文化館1階

TEL:018-838-1714

矢留彫金工房ホームページ

Instagram

mail:yadome@asahinet.jp

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重久 愛 しげひさ・いつみ

「死ぬまでには一度は行きたい場所」で知られる鹿児島県与論島出身。2019年に縁あって秋田県秋田市にIターン。よそ者から見た秋田市の魅力や移住に至る経験を生かして、秋田市の地域おこし協力隊に着任。YOGAを生かした地域交流を図る事業や、移住者を受け入れる市民団体事業をプロデュース中。山菜採りにすっかり夢中に。自称「立てばタラの芽、座ればバッケ、歩く姿はコシアブラ」。

文学の聖地、愛媛県松山市。
まちなかに、ことばの泉あふれて

穏やかな瀬戸内海に面したまち、松山は、
各所にことばがあふれている。

大通りを行き交う路面電車に、
街灯に取りつけられたタペストリーに、心に投げかけてくるような
ことばのかけらたちが描かれている。

―この先、足元にことばの落としもの あります。
松山城に向かうリフトに乗ると、そんな案内が支柱に貼られていた。

「松山はお湯とことばが湧いています。」
「かしとおみ! 心のリュック半分持つけん。」
「かあさんの瀬戸内の小学校、尋ねあてましたよ。」

足元に次々と現れる、ことばのバナー。
旅先で、いつもよりも自由な気持ちでいるなかで
目に飛び込んできたことばについて思いを巡らすのは、
旅行者にとっては有意義な時間の過ごし方でもある。

もし、胸がキュンとするような、もしくはずっしりと重く響くような、
そんなことばに出会えたなら、
土地の記憶も伴って、忘れられないことばになるに違いない。

松山市の中心部、海抜132メートルの勝山山頂に本丸にある松山城へリフトに乗って向かえば、足元にことばのバナーが登場する。

松山市の中心部、海抜132メートルの勝山山頂に本丸にある松山城へリフトに乗って向かえば、足元にことばのバナーが登場する。「松山はお湯とことばが湧いています。」

姫路城と並ぶ、連立式天守をもつ松山城。美しい城郭建築は慶長期の様式を保っており、重要文化財に指定されている。瀬戸内海、松山市街を望む天守からの眺望は壮観だ。 「松山や 秋より高き 天守閣」(正岡子規)

姫路城と並ぶ、連立式天守をもつ松山城。美しい城郭建築は慶長期の様式を保っており、重要文化財に指定されている。瀬戸内海、松山市街を望む天守からの眺望は壮観だ。 「松山や 秋より高き 天守閣」(正岡子規)

松山市内90か所以上に置かれている俳句ポストは松山城にも。年間で1万通くらい投句されている。3か月に1度回収し、俳人によって選句されている。

松山市内90か所以上に置かれている俳句ポストは松山城にも。年間で1万通くらい投句されている。3か月に1度回収し、俳人によって選句されている。

ことばは、リフト横を通っているロープウェーにも。「退職し 帰りました 松山に 還暦すぎて マドンナと」。 作者の故郷に戻った心境をしみじみと想像したりして。

ことばは、リフト横を通っているロープウェーにも。「退職し 帰りました 松山に 還暦すぎて マドンナと」。 作者の故郷に戻った心境をしみじみと想像したりして。

ふたりの好きなことを
移住で、かたちに。
丘の上の一軒家レストラン
〈Garden Restaurant Fathers〉

内閣府が昨年5〜6月にかけて実施した
「新型コロナウイルス感染症の影響下における
生活意識・行動 の変化に関する調査」によると、
首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏居住者のうち、
これまでに比べて15.0%ほど地方移住への
関心が高まったという結果が出ているという。
この先何を大切にして生きていくかという指標をある程度決めたなら、
住む場所、働くフィールドは環境によって柔軟に変化する、
そんな時代が到来している。

2018年、島根県浜田市にレストラン
〈Fathers my first hero〉をオープンし、昨秋にはナチュラルワイン専門店を新設した
岡本皓資(こうすけ)さん、誉至子(よしこ)さん夫妻も、
そんなふうに人生を歩んでいるふたりだ。
木の茂る丘を開墾した、まるで隠れ家のような佇まいの一軒家レストランは、
コロナ禍にあっても、地元の人たちにとっては非日常の体験ができる場所と評判だ。

丘の上にある雑木林を紹介され、ピンときたという皓資さん。すでにあった空き家を解体するところから工事は始まり、幹線道路から丘の上につながる坂道もつくった。

丘の上にある雑木林を紹介され、ピンときたという皓資さん。すでにあった空き家を解体するところから工事は始まり、幹線道路から丘の上につながる坂道もつくった。

心地の良い空間を目指して

浜田で不動産業を営む義父の紹介で、
まったく手のつけられていなかった雑木林のような場所を見つけた皓資さんは、
すぐに森や自然の中にポツンとある一軒家レストランのイメージが沸いたという。

「モダンでクリーン、清潔感のある場所にしたかったんです」

開放的な大きな窓から庭を楽しむというコンセプトを据え、
北欧など海外の若いシェフが働いているようなレストランを参考に資料を集めた。
心地よい空間の指標は、自分のポリシーでもある
「目障りなものは置かない」ということ。
デザイン事務所に勤務していた皓資さんは、店のイメージを自分で考えた。

2階分の高さを吹き抜ける天井部分も含めて
無垢材を使用した温かみのある空間だが、
特注の家具とコンクリートの床は硬質なものを選んでスタイリッシュに。
壁にかかったポップなアートや観葉植物のほか
視界に入るものは、庭の眺望以外は必要最低限。
シンプルな空間の中にゆとりが生まれ、
窓の外から差し込む太陽の光の移ろい、
風のゆらめき、星の瞬きなどが彩りを添える。

皓資さん自ら設計案を出し、建築家や大工である義弟と一緒につくった空間。写真は、皓資さんのこだわりをかたちにした、浜田市内を見下ろす開放的な大きな窓や特注の大きなモルタル材のテーブル。庭はまだ発展途上にあり、少しずつ手を入れて育てていく予定。

皓資さん自ら設計案を出し、建築家や大工である義弟と一緒につくった空間。写真は、皓資さんのこだわりをかたちにした、浜田市内を見下ろす開放的な大きな窓や特注の大きなモルタル材のテーブル。庭はまだ発展途上にあり、少しずつ手を入れて育てていく予定。

昼はジビエを使ったハンバーガー(写真は猪のハンバーガー)、夜はコース料理を提供。いずれも併設のワインショップで選ぶ自然派ワインとのマリアージュが楽しい。魚や野菜はおもに地元浜田から旬のものを仕入れるようにしており、バーガーのバンズはお隣の江津市にある、国産小麦、天然酵母を使用した無添加パンのベーカリー〈紬麦〉のものを使用。肉は産地にこだわらず、味やルートに信頼のおけるものを選んでいる。

昼はジビエを使ったハンバーガー(写真は猪のハンバーガー)、夜はコース料理を提供。いずれも併設のワインショップで選ぶ自然派ワインとのマリアージュが楽しい。魚や野菜はおもに地元浜田から旬のものを仕入れるようにしており、バーガーのバンズはお隣の江津市にある、国産小麦、天然酵母を使用した無添加パンのベーカリー〈紬麦〉のものを使用。肉は産地にこだわらず、味やルートに信頼のおけるものを選んでいる。

お魚天国、島根県浜田市で
朝どれノドグロを食べ尽くせ!

高級魚で知られるノドグロ。
喉の奥が黒いことから、主に日本海沿岸地域でノドグロと言われているが、
正式名称はアカムツである。
「日本海の赤い宝石」と言われ、食通の間で好まれてきた白身魚だが、
全国的に知られるようになったのは2014年のこと。
その理由は、テニスの全米オープンで準優勝した錦織圭選手が帰国後に
「ノドグロが食べたい」と発言したからだ。
以来、価格は高騰。故郷・島根の味を懐かしんだ錦織選手の素直なひと言が、
ノドグロを高値のつくブランド魚へとのし上げた。

それから6年。依然として高級魚としての人気は保ったままだ。
ノドグロは、舌の上でとろけるような豊富な脂が特徴であるとともに、酸化しやすく、
鮮度が勝負の魚である。
ならば、新鮮であればあるほど魚本来の味わいが楽しめるに違いない。
全国屈指のノドグロの水揚げ量を誇る、島根県の浜田港を目指した。

平成17年に5市町村が合併してできた新しい浜田市。高台にある浜田城跡では、リアス式海岸の風光明媚な景色が見られる。

平成17年に5市町村が合併してできた新しい浜田市。高台にある浜田城跡では、リアス式海岸の風光明媚な景色が見られる。

浜田港のある浜田市へは、萩・石見空港から車で約1時間。
公共交通機関を使うならば、バスで空港最寄りのJR益田駅まで出て、
そこからJR浜田駅まで35分ほどの距離にある。
平成17年に5市町村が合併したため、市の面積は約69平方キロと
東京23区よりも広く、地形は山から海までとバラエティに富む。
今回、日本海に面した浜田港周辺と市街地のあたりを訪れ、
その日に水揚げされたばかりのノドグロを味わった。

浜田に着いたら、なにはなくともまずはノドグロ!

はまだお魚市場 商業棟2階にある〈めし処 ぐっさん〉は、
海鮮目当てに全国から浜田を訪れる人たちがこぞって目指す、
港のランドマークのような店である。

ノドグロや旬の魚がたっぷりとのった丼を目指し、
週末は朝から行列ができるほどだ。
まずは名物「のどぐろ炙り丼」を食べてみる。
ノドグロの身を3枚おろしにしたものを
下のご飯が見えなくなるくらいのせてから炙った、産地ならではの贅沢な丼だ。

さすが白身のトロと呼ばれるだけあり、
ノリにのった脂が白身の表面で艶やかに光っている。
口の中に入れた瞬間に舌の上でほろり崩れていくやわらかな身は、
ご飯とともにすいすいと口の中に収まっていく。
残ったノドグロもご飯もあとわずか、となったところで温めただしをかけ、
わさびを利かせて食べるのがぐっさん流のノドグロの食べ方だ。
うまい、もう一杯! とおかわりしたくなる、余韻の強さ。
それが食べる人を惹きつけてやまないノドグロ丼の魅力なのである。

浜田の弥栄米を使用。ノドグロの脂がご飯に移り、香ばしさを醸し出している。

浜田の弥栄米を使用。ノドグロの脂がご飯に移り、香ばしさを醸し出している。「ノドグロ丼」1850円(税込)

今回丼をつくるのに捌いたノドグロは、一匹2500円の立派なもの。〈めし処ぐっさん〉は、ぐっさんこと代表の山口隆さんが、港や市場で働く人がひと仕事終えた後に立ち寄れる店を、と2014年にオープンした。

今回丼をつくるのに捌いたノドグロは、一匹2500円の立派なもの。〈めし処ぐっさん〉は、ぐっさんこと代表の山口隆さんが、港や市場で働く人がひと仕事終えた後に立ち寄れる店を、と2014年にオープンした。

information

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めし処 ぐっさん

住所:島根県浜田市原井町3050-46 はまだお魚市場 商業棟2階

TEL:070-5301-3893

営業時間:10:00~15:00

定休日:火曜・水曜

Web:めし処 ぐっさんホームページ

できることからアクションを!
「わたしのまちのSDGsの取り組み」

今月のテーマ 「わたしのまちのSDGsの取り組み」

最近耳にすることの多くなったSDGs。
持続可能な世界を実現するために
貧困や教育、資源、気候変動など
17のゴールから構成された取り組みのことです。

企業や団体が取り組んでるもの、と思っている人もいるのでは?
実は、私たちひとりひとりが行動・意識を持つことで
目標を達成する一助となることができます。

そこで今回は〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
まちで行われているSDGsアクションについて紹介してもらいました。

大きな目標ですが自分の身近なところから始めるられる
SDGsの取り組みについて考えるヒントを探ってみてください。

※SDGsについての詳しく知りたい人は、
こちらをチェックしてみて。

【岩手県奥州市】
人×モノ×コト。SDGsを身近なものへと変える掛け算

奥州市環境市民会議〈奥州めぐみネット〉は2010年に発足。
奥州市環境基本計画である
「未来を見つめる100年循環都市 地球と共存する奥州(まち)」の
実現に向けて現在約90名の会員が
さまざまな取り組みを実施しています。

代表の若生和江さんは
「SDGsという言葉ができる前から環境問題に意識を向けていました。
自分がしていることはなんとなく大事と思っていましたが、
SDGsという目標が国連で掲げられたことをきっかけに
これまでの活動の意義が明確になった。
背中を押されたと感じました」と話してくれました。

若生さんは岩手県環境アドバイザーとして「エコクッキング」などの講座もされています。

若生さんは岩手県環境アドバイザーとして「エコクッキング」などの講座もされています。

これまでの米・野菜づくりも
やり方次第で環境に負荷をかけていることにも気づけたそう。
岩手は自然が豊かな分、環境やリサイクルなどの
SDGsの目標を都市部より身近に感じられるので、
ひとつのことが多方面へ影響することを痛感するそうです。

SDGs目標を体験できるよう開催された稲刈りイベント。飢餓や土地の豊かさを経験を通して考えるきっかけになりそうです。

SDGs目標を体験できるよう開催された稲刈りイベント。飢餓や土地の豊かさを経験を通して考えるきっかけになりそうです。

市営バスで巡る地元の歴史を辿るツアー。ツアーを通して「住み続けられるまちづくり」や、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」などのSDGs目標を実現する取り組み。

市営バスで巡る地元の歴史を辿るツアー。ツアーを通して「住み続けられるまちづくり」や、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」などのSDGs目標を実現する取り組み。

最近では地元の南部鉄器の会社が
他業種の企業とタッグを組んでイベントを開催。
お互いの持ち味を生かしながら
SDGsが掲げる目標への取り組みを
幅広い世代に伝えるきっかけづくりの場になっています。

南部鉄器の及源鋳造とコラボイベント。地元企業がつくる商品を使うことで「つくる責任 使う責任」、「質の高い教育教育をみんなに」などを体験を通して感じられます。

南部鉄器の及源鋳造とコラボイベント。地元企業がつくる商品を使うことで「つくる責任 使う責任」、「質の高い教育教育をみんなに」などを体験を通して感じられます。

「SDGsそのものは世の中を変える魔法の言葉ではなく、
各々が意識・行動を変えることで
初めて意味を成していくんです」と、話す若生さん。

〈奥州めぐみネット〉は豊かな暮らしのバトンをつなげられるよう
まずは自分ができることから始められるイベントや、
新たな地域交流の場を生み出す環境づくりを進めています。

information

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奥州めぐみネット事務局(奥州市役所市民環境部生活環境課内)

住所:岩手県奥州市水沢大手町1丁目 1 番地

TEL:0197-24-2111

FAX:0197-51-2374

Mail:seikatsu@city.oshu.iwate.jp

Web:奥州市めぐみネット

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小川ちひろ おがわ・ちひろ

東京都品川区出身。大学で移民を学び、言語や異文化に興味を抱く。オーストラリア留学、台湾ワーキングホリデーと海外生活を経験。着任前は都内ギャラリーカフェに勤務。2018年5月岩手県奥州市地域おこし協力隊着任。今年度は台湾向けに東北のリアルライフスタイルやカルチャーシーンを伝えるウェブメディア立ち上げを目指し、自身も旅するように東北でしか味わえない経験を堪能中。

地元で大ヒット!
知られざる「わたしのまちで
愛される調味料」


今月のテーマ 「わたしのまちで愛される調味料」

料理の味の決め手になる調味料。
全国的に有名なものも多いですが
地元企業がつくり、地元で大人気の知られざる商品も
全国各地に存在しています。

今回は、まちの人たちに愛される必需品的な調味料を
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに紹介してもらいました。

名産品を使ったもの、伝統的につくられ食べられているものなど、
さまざまな調味料がラインナップ。
気になるものがあればお取り寄せしてみてください。

【岩手県奥州市】
一度食べたら病みつきに! ネギ農家さんがつくるネギドレッシング

奥州市江刺のネギ農家高橋沙織さんがつくる
〈ネギ屋のドレッシング〉。

ネギ農家の高橋沙織さん。

ネギ農家の高橋沙織さん。

個人で製造しているため、
できる時に、できる量だけ、自分のペースでつくられているそうです。
リピーターからの口コミで広がり、
SNSで販売告知をするとすぐに完売してしまうほどの大人気商品なんです。

ネギ畑の様子。

ネギ畑の様子。

息子さんも時々お手伝いをしてくれるそうです。

息子さんも時々お手伝いをしてくれるそうです。

〈ネギ屋のドレッシング〉は、
ネギだけでなくにんじんも入っているので鮮やかなオレンジ色。
ネギ特有の辛みや匂いは感じず、
本来の甘みが凝縮されている濃厚なドレッシング。

ベースのレシピはあるけれど季節によって
異なるネギの甘みや水分量に合わせて、
高橋さんの舌で味のバランスを調整しています。

販売先である古道具や雑貨、野菜などを販売する
〈YOLISUL〉のオーナーおふたりも、
あまりのおいしさに1回にボトル半量を
サラダにかけてしまうというのも納得。
材料に動物性のものは一切使用していないので、
ビーガンの方にもおすすめです。

かわいいデザインのパッケージ。

かわいいデザインのパッケージ。

ネギ生産者である高橋さんが、
このドレッシングを販売するきっかけになったのは
岩手県奥州市江刺にあるヨガスタジオ
〈ヨガスペースコパン〉で開催されたマルシェ出店だったそうです。

それ以来、ネギを生産するだけではなく、
自分が育てた野菜そのもののおいしさを引きだす商品を開発し続けていて、
その商品をいろいろなかたちでお客さんに届けています。

マルシェの様子。

マルシェの様子。

自慢のネギはもちろん……。

自慢のネギはもちろん……。

さまざまな野菜を販売!

さまざまな野菜を販売!

また、〈ネギ屋のドレッシング〉だけではなく、
ビーガンスイーツづくりもされている高橋さんは
「つくることが好きなんです」と話してくれました。

イベント限定のスイーツやピクルスなども販売。

イベント限定のスイーツやピクルスなども販売。

キャロットケーキにはドライいちじくも入っています。

キャロットケーキにはドライいちじくも入っています。

購入方法は市内のお店で数量限定、不定期で販売。
ハンバーガー屋〈GROW〉には
ネギ屋さんオリジナルソースを使用したメニューがあるので、
気になる方は、お試しあれ!

information

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YOLISUL FUCHI″

住所:岩手県奥州市江刺川原町3-9

TEL:0197-34-0388

営業時間:11:00〜16:00

Instagram:@yolisul.fuchi

information

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GROW

住所:岩手県奥州市江刺六日町1-1

TEL:0197-47-6207

営業時間:11:00〜14:30(14:00L.O)、17:30〜22:00(21:00L.O)

日・祝日 11:00〜14:30(14:00L.O)

定休日:火曜

※ハンバーガー完売次第閉店。

Web:https://grow-funburger.com/

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小川ちひろ おがわ・ちひろ

東京都品川区出身。大学で移民を学び、言語や異文化に興味を抱く。オーストラリア留学、台湾ワーキングホリデーと海外生活を経験。着任前は都内ギャラリーカフェに勤務。2018年5月岩手県奥州市地域おこし協力隊着任。今年度は台湾向けに東北のリアルライフスタイルやカルチャーシーンを伝えるウェブメディア立ち上げを目指し、自身も旅するように東北でしか味わえない経験を堪能中。

東京下町・酎ハイ街道のれんめぐり
〈十一屋〉かじかむ心身が
ほどけるような、
マスターの気遣いとやさしい味わい

酎ハイ街道。
その名がつけられているのは、
東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅と京成線八広駅を結ぶ、鐘ヶ淵通りを中心に広がる一帯。
そこにはなぜか酎ハイの名店が揃い、酎ハイを愛する人々が集まってきます。
さあ、酎ハイの聖地へ、いざ。

●東京下町でいただく今宵の酎ハイは……
1杯で2度おいしい! 老舗大衆酒場の焼酎ハイボール

今回紹介するのは東京・墨田区の〈十一屋〉。
下町の風情が残る、昭和の思い出が残る、
というよりも、歴史の証人や文化財? とも感じる建物。
活気あふれるまちなかではなく、静かな住宅街の夜。
ほのかな明かりが中から漏れている風景だけで、
ちょっと幻想的な物語の登場人物になったよう。

古さとポップさが同居した不思議な外観。路地にほのかな明かりが漏れる姿はちょっと幻想的。

古さとポップさが同居した不思議な外観。路地にほのかな明かりが漏れる姿はちょっと幻想的。

大衆酒場や酎ハイという言葉が、ぱっと頭には浮かんでこないたたずまいですが、
中に入れば、もちろんそこは、私たちが愛する酒場の世界。
ただし、酒と肴を楽しんでいるうちに、
あれ? もしかしたらやはりなにかの物語の中にいるのかも……
なんていう心地よい迷宮にはまりこんでいきそうです。

映画のロケに使われそうな内観。古い建物ながら、その魅力を損なわないリフォームもありきれいに整っています。のれんの向こうに棟続きのお好み焼き・もんじゃ屋があります。

映画のロケに使われそうな内観。古い建物ながら、その魅力を損なわないリフォームもありきれいに整っています。のれんの向こうに棟続きのお好み焼き・もんじゃ屋があります。

バラバラに見えて不思議な統一感。メニュー札もなんだか作品のよう。

バラバラに見えて不思議な統一感。メニュー札もなんだか作品のよう。

まずは最初の一杯といきましょう。
もちろん酎ハイからですが、こちらの楽しみは、いわゆる「味変」。
通常の酎ハイと、あるものを加えるバージョンがあります。
まずは通常の酎ハイ〈焼酎ハイボール〉から。
コクのあるまろやかさで、飲んだ時に、冷涼感と飲みごたえのバランスがいい。
エキスはおそらくオーソドックスな梅系なのかと思うのですが、
カウンターに立つ3代目のマスターに聞けば、「それが、先代しか知らないんですよ」
と笑顔を浮かべながらの回答。

すっとしたたたずまいの〈焼酎ハイボール〉(310円)。レモンは少量ながら皮の苦みが心地よいアクセントに。

すっとしたたたずまいの〈焼酎ハイボール〉(310円)。レモンは少量ながら皮の苦みが心地よいアクセントに。

自慢の酎ハイはいわば変わらぬ伝統の象徴。
昔からこの店を愛してくださる常連客への贈り物であり、
はじめましてのお客様にも、この店が長く続いている理由を、
味わっていただくものでもあるのでしょうか。

もうひとつの酎ハイも、愛されてきた歴史の象徴。
各テーブルにひとつずつ置いてある白い粉に注目。
これを酎ハイに振り入れると……シャープな酸味で一気にリフレッシュ。
最後まで酸味が続き、酎ハイの味も締まる。
その日の疲れがすーっと抜けていくような感覚に。
実はこの粉は「クエン酸」。
疲労回復に良いと言われているクエン酸を、
酎ハイに入れるというアイデアも先代のもの。

クエン酸が始まったきっかけは先代の「お客様の健康のため」という気持ちから。酸味が最後まで続き、飲み味はさっぱり。

クエン酸が始まったきっかけは先代の「お客様の健康のため」という気持ちから。酸味が最後まで続き、飲み味はさっぱり。

さて、酎ハイを味わいながらメニューへと目を移すと、
居酒屋の定番にとどまらず、本格的な和洋中に加えてさらに家庭料理、
独身男子のアイデア料理かと思うもの、そして高級料理店のまかないというような、
とてもいい意味でつかみどころがないラインアップがずらり。
ならばそれにのっかり、こちらも好奇心の赴くままに、
〈刺盛り〉と〈カレー味マカロニサラダ〉という統一感のない注文。
でもこれを酎ハイ(まずはクエン酸なしバージョンで)が、
見事にまるっと取り持ってくれるのだから不思議です。