「グッドデザインエキシビション2014」。“小さな町が輝くためのデザイン”をキーパーソンが語る

ただいま東京・六本木の「東京ミッドタウン」にて、
「 グッドデザインエキシビション2014(G展)」開催中。
東京ミッドタウン内各所にて、「心地の質」という視点を
もって選ばれた、本年度グッドデザイン賞1,258点が展示されています。

コロカル読者におすすめしたいのは、
11月3日(月・祝)15時から、「東京ミッドタウン・ホールB」にて
開催されるトーク「小さな町が輝くためのデザイン」。
本年度グッドデザイン賞を受賞した各地での取り組みの中から、
地域に潜在している魅力と人間力を引き出し、関係性をつくり、
発信するプロジェクトを紹介。
実際に、現場で活躍している「地元のキーパーソン」が集い、
日本各地の市町村がそれぞれに光り輝いていくための仕組みづくりについて
意見交換します。

プレゼンターは、北は青森から、南は熊本まで!
青森県大間町より、「あおぞら組のまちおこしゲリラ活動
の古川デザイン室 バグダン地デザイナー 古川たらこさん。
青森県十和田市の「ウマジン
を手がける安斉研究所 安斉将さん。
新潟県三条市・燕市の、「燕三条 工場の祭典」を手がける、
三条市役所経済部商工課、澁谷一真さんほか、
地域活性化の活動、社会システムやビジネスモデルなど、
モノではない“コト”のデザインのデザインについて語られる
機会になります。

グッドデザインエキシビション2014(G展)特別ステージ
「小さな町が輝くためのデザイン」

日時:11月3日(月・祝)15:00~16:00
会場:東京ミッドタウン・ホールB グッドデザインエキシビション2014(G展)会場内ステージ
※参加申込不要
※グッドデザインエキシビション2014(G展)イベントに入場した方はどなたでもお聞きいただけます。
(G展 入場料 1,000円(税込/5日間共通、中学生以下は入場無料)

これからのオハナシ。 ビルススタジオ vol.10

ビルススタジオ vol.10
観光地、日光に「HOTEL NIKKO」を計画中

この連載も最後なのでこれからのお話をしたいと思います。
世界遺産があるまち、栃木県の「日光」にホテルをつくりたいんです。

世界遺産「日光の社寺」の象徴、陽明門。

国内外から年間約1,000万人の観光客が来るにも関わらず、そのほとんどが日帰り。
かく言う私自身も県外からの友人が来る時は連れては行くものの、
食事もせずに宇都宮市へ戻ってきます。
そう、気軽に泊まれる、居心地のよいホテルが少ないんです。
あるのは激安の素泊まり宿、または一泊ひとり3万円以上のホテルか旅館。
それだったら都内からでも日帰りも無理はない距離だし、
飲食店やコストパフォーマンスの良い宿が集まるまちへ戻るでしょう。
いやしかしそれじゃあもったいない。
せっかくはるばる違うまちに来たのに泊まらずに、
つまりは土地の体験をせずに帰してしまうなんて、
日光に栃木に来たことがある、と言えるのでしょうか。
そう、やはり、旨い食事が食べられ、なんだか居心地のいいホテルが必要。
そこで目をつけたのが、「日光の社寺」エリアのほんの150m手前にある、
鉄筋コンクリート造の廃ホテル。

ここをこんな風にしたい。

ACE HOTEL PORTLAND(http://www.acehotel.com/)。

ひと言で言えば「ロビー活動が充実したホテル」。
宿泊客、観光客、更にはまちの内外の人が自由に出入りできるロビーをまず設けます。
ここにはもちろんコーヒースタンドを併設します。
偶然の同席での出会いのみならず、
定期的に勉強会や交流会を開催し、能動的に内外の人や情報を繋げることもしていきます。
日光のまちはもちろん、栃木県内の人や情報にも触れてもらう。
そうすることでまちの体験をしてもらいたい。
そんなホテルです。

まず大切なのは人。誰と一緒にやるのか、です。
おいしい料理とドリンク、グラフィックデザイン、そしてホテル経営と、
さまざまなジャンルのプロが必要です。
そこで、
「栃木をフィールドに発進力の高い実践を行なっている」メンバーを勝手に設定しました。

カフェ、料理、グラフィック、それぞれの分野をクオリティ高く、
しかも横断しながら地域価値創造を実践している20〜30代のメンバーです。
そこに建築設計として当社もこっそり参加させてもらっちゃいます。
なんか、楽しくなってきました。
そこで周辺調査、建物調査などをし、収支含めた企画書をつくってみました。
うん、いけるんじゃないか。よしっ。

これで県外から友人が遊びに来た時に一緒に泊まれるホテルができます。
これがあれば自宅でおもてなしをしなくても済む。
尚よしっ、ですね。

「もみじセントラルビル」古いビルの活用法を模索中

で、近所のハナシ。
ビルススタジオがあり、私自身の住まいもある宇都宮市にあるもみじ通り(vol.1
その真ん中辺りにある3階建ての建物が売りにでました。

オーナーさんの高齢化に伴い、引越しを考えているとのこと。
実は購入を検討している知人がいまして、
現在オーナーさんの自宅部分である2、3階の生かし方を考えています。
そのまま貸家? いや、広すぎる空間と
家賃的にも、それだけ払えれば宇都宮だったら家を買えてしまう。
無いか。テナントとして? いや事務所ニーズはそもそもないし、
店舗だとしたら、入り口が2階という点をどう生かすか。
美容室やマッサージ系のニーズはありそうだけど、
その業の方たちにヒアリングしたところ、広さ、家賃などからしてもバランスが悪いらしい。
これも無いか。

じゃあいつもの考えに戻ろう。
目の前の風景に何が足りないか?
目の前の風景でおかしなトコロはないか?

まず、周辺の新規店舗を振り返ってみると、
子ども服も扱うファッション雑貨店など、
小さい子連れの世代が好きそうな感じの店が集まっているのに、
不動産物件(売/貸とも)がほとんど出ないので、近くに住むという選択肢が取れない。
でも好きなので郊外からも車でお店へ通ってくる。近くに住めれば歩いて通えるのに。

そして周辺の住宅。
ゆったりした敷地に高齢の夫婦またはひとり暮らしが目立つ。
聞くと広さを持て余しているのだが、慣れ親しんだこの土地と近所付き合い、
年1回帰って来る子ども家族などの理由から動くに動けない。
そもそもこの古い家を使いたい人はいないだろう、と思っている。

さらにじぶんち。
小さい子連れ世代。ママ友と遊ぶのに、誰かの家を順番に巡っている。
人の家は子どもが汚すとかで気が引けるし、
自分の家はその前の片付けやお茶お菓子の気遣いで疲れる。
かと言ってお店に行くのはもっと疲れる。近くに同じ世代の住民も非常に少ないので、
会場になる人以外は結局車で移動する。なんか、遊ぶのも大変。
その日は母親も疲れて夕飯づくりもサボりたい。

うん、こんな場所。
http://kazoku-no-atelier.com/

子連れのお母さんたちが遊びに来てゆっくりできる場所。
それをもみじ通りという狭いエリアの利用者を対象にやってみよう。
もちろん飲食の持込みもOK。
十中八九、通りにあるドーナツ屋やお惣菜屋を使ってくれるだろう。
カフェやお蕎麦屋さんからの出前もアリだろう。
もともと住宅だったこのビルにはキッチンもあるし、セルフで料理してもいいだろう。
近所の高齢者さんたちの趣味の集まり所としても機能しそうだ。
そしたら子どもと高齢者の接点もしかけられるかもしれない。
近所の商店主や住民さんを先生に招き、
ワークショップなんか開催してみてもいいかもしれない。

並行して自分の土地建物を持て余している住民の方々へ近隣移住のしかけをしてみよう。
そうしないと新たな移住のニーズをしかけても無駄になってしまう。

よし、なんか見えてきたぞ。
これでママ友と遊んでいたらしい日に家に帰っても疲れた顔で迎えられなくて済む。
つまり家庭円満に日々を過ごすことができる。
先には、目を付けていた近所のいい感じの家に引っ越すことも叶うかもしれない。

これまで目を付けていたのに、解体されてしまった住宅がありました。

妄想中のあれこれ

他にも、あれやこれや考えていることはたくさんあります。

たとえば、もみじ通りから歩いて10分くらいの所に、
奥州街道と日光街道の追分だった場所があります。
そこに築数十年くらいの店、蔵を含めたお屋敷があります。

ここ、ずっと使っていないんです。
こんな良い場所に格式ある建物群があって、それが遊んでいる。
うちの企画を待っているんじゃないか。と勝手に思ったので
近々、ここを活かす企画を立ててみようと思っています。
ゆっくり友人と飯の食べられる場所。
じっくり仕事のお客さんと話せる場所。
かつ、偶然の出会いも時折起きる場所。
そんなんがいいです。

さらに、うちのオフィスの話です。
わがビルススタジオの事務所はもみじ通りに面しています。

でも業種上、通りに面している必要はほぼないんです。
それはここに移転してきた時から思っていることで、
次にここにオフィスを動かしたいな、と考えています。

現オフィスから徒歩15秒にある、元診療所2棟。

今のオフィスよりもだいぶ広いです。
とはいえ、スタッフ数を何倍にもしたい訳ではなく、
複合した場所にしたいんです。
モデルはロンドン留学時に通ったICA

ひとつの施設内にギャラリー、ライブハウス、映画館、本屋、CD屋、カフェが入っています。
ここに来ると何かしら見るべきものがあるし、
特段イベントがなくても本とコーヒーで何時間でも過ごせる。
ロンドンみたいな大都市だけではなく、
イギリスの中規模都市にはだいたいこんな施設がひとつはありました。
栃木だとどうかな、成り立つかな。来る人いるかな。
でも収支がトントンだったら自分で設ける価値はありそうだな。
なによりも出入りする人々が面白そうだな。
その人たちと友だちになりたいな。
そうすればここでの生活がもっと楽しくなりそうだな。
もうオフィスは2階で引っ込んでもいい。
余ったスペースにカフェ、本屋、多用途なシアターあたりをつくろう。
うん、そうしよう。

こうなればいいなというスケッチ。

仕事でやっている「場所づくりのお手伝い」だけではなく、
自分で自分が楽しむための場所をつくってみよう。
そこで得られることは必ずお客さんのメリットとして還元できるハズなんです。

結局、こういう言い訳を入れないと始められないんです。
そして公に言ってしまわないと先に進まないんです。

これらは今、全て妄想です。
でも、妄想で終わらせたくない。
だって自分のためですから。

リノベーションって、ただ古い建物を見た感じかっこ良くすることではありません。
空いている、遊んでしまっている建物を利用して
新たにその建物がある界隈の価値をつくり出すこと。
それはただきれいになればいいのではなく、
そこに入るコンテンツが重要だと思っています。
既存の建物の魅力、界隈の魅力、コンテンツの魅力、そこに居る人々の魅力、、。
それらの相乗のからみ合いをもつれさせること。
そこにはもちろん自分も入り込みつつ、でないと楽しくないですよね。

P.S.
そんな(?)株式会社ビルススタジオ、現在「設計メインのスタッフ募集中」です。
興味ある方は連絡下さい。

information


map

ビルススタジオ

住所 栃木県宇都宮市西2-2-24
電話 028-636-5136

東京にいながら地域と深くつながる!土日を使って地域活性に参加する「地域イノベーター留学」

人口減少・高齢化が止まらない地域。
素晴らしい資源や観光地があるのにも関わらず、うまく活かせていない地域。
それぞれの課題を抱えた地域が多くあります。
その一方で、いずれは地域に移住したいと考える人や、
移住ではなくとも繋がりながら仕事をしたい人も多くいるはず。

NPO法人ETICが主催の「地域イノベーター留学」は
課題を抱えた地域の「なんとかしたい、新しいことをしたい」という地元の人たちと、
外側からだからこそ新しい気づき・見方ができる「よそ者」をひきあわせ、
新しい仕事を作り出すきっかけとなるプログラム。
平日働いている人でも参加できるようにと
週末を使ったフィールドワーク(体験や交流を通した現状把握)と
課題分析・アイデア・計画を考えるワークショップを組み合わせ
最終的には地域が元気になり可能性を広げるような、
具体的な方法を地元の人たちに提案します。

地域イノベーター留学は今年で5年目。このプログラムをきっかけとして、なんと15%もの人が移住をしているのだとか!

地域の再出発への糸口を見つける

「地域で働くこと」
「本当の地域課題」
「地域のために自分ができること」とは何かを本気で考える4ヶ月間。
関わっていくことでまた何度も行きたくなる
「第二のふるさと作り」でもあります。

将来は自分の地元に戻りたい人や地域で仕事をする際の具体的なスキルや仕事像をつかみたい人などが参加

10月26日(日)に行われるキックオフイベントでは
受け入れ先の地域コーディネーターが
地域の魅力や現在の取り組みを語り、地域と参加者をマッチング。
また、地域活動に関心のある参加者同士が想いを話す場にもなります。

地域に貢献したいけど何から始めたらいいのか悩んでいる方、
まずは一歩、話を聞きにいくところから
参加してみてはいかがでしょうか。

【地域イノベーター留学キックオフイベント】
■ 日時:2014年10月26日(日)11:00~19:30(1部11:00~14:30、2部15:00~19:30)
*10:30開場/10:45までに受付をおすませください。
*2部制となっております。
1部はコーディネーターの方と直接お話し出来る機会となっておりますので
こちらは特にご参加いただけますようお願い致します。
■ 会場
日本財団ビル(港区赤坂1-2-2)[地図]
*東京メトロ銀座線/南北線・溜池山王駅9番出口 徒歩5分
*地図を持参の上、時間に余裕を持ってお越しください。
■ 参加費 無料
■ 定員 200名
詳細は下記サイトより

地域イノベーター留学 キックオフイベント

職人集団、友人、 スタッフ、みなの力を結集! デザイン溢れるゲストハウスへ medicala vol.1

medicala vol.1
住みながら、その土地でリノベーションする。

はじめまして。
僕らは「medicala(メヂカラ)」の屋号で活動している、
主に空間のデザイン(ハード)を担当している、アズノタダフミ(以下アズノ)と
空間の運営やごはん(ソフト)を担当しているアズノカナコ(以下カナコ)の夫婦です。

アズノは1984年生まれの今年30歳。
カナコは1986年生まれの今年28歳。
目がほかの人たちよりちょっと大きなふたりが活動しています。

空間をプロデュースするmedicalaとしての働き方は、
お呼びがかかれば地方都市でもどこでも出向き、
その土地に住みながらひとつのお店を地元の職人さんや仲間とともに、
つくり上げていくというスタイル。
これまでに東京都蔵前、愛知県豊田市、山口県萩市、
長野県下諏訪町と住みながら空間をつくってきました。
現在は夫婦ふたりで大分県の竹田市に住みながらレストランつくっています。

住みながら空間づくりをしているのには理由が3つあります。

まず、空間づくりはデザインだけで完成するわけではなく、
図面があっても実際につくる職人さんたちとの意思の疎通がとれていないと
イメージ通りの空間に仕上がりません。そして、地方の職人さんほど
「一般的な住宅づくり(例えば、伝統的な在来工法の家など)」に慣れていて、
古材を使うことやエイジング加工などは
「やり方がわからない」もしくは「やりたくない」
と思っている人が多いかもしれません。
だから、デザインも兼ね備えた空間を実現するためには
「最悪の場合、仕上げの作業は自分で施工する」という覚悟が必要になってきます。

次に、その土地が持つ風土や気候、素材、風や光の具合などを
できるだけデザインに反映していきたいと思っています。
一度や二度現場に行って調査してもわからないことはたくさんあります。
その場所のまわりに住んでいる人の声から風の通り方など、
住みながらつくることでそういったことに敏感になりながら
工事を進めることができます。

最後に、オーナーや大工さんとみんなで一緒になって
つくっていくことで生まれる空気を大切にしているから。
住みながら空間をつくることは大変です。
慣れ親しんだ自分の家には帰れず、工事中他の仕事はほとんど受けられず、
初めての場所で不便なこともたくさんあります。
それでもやっぱり住みながらつくるということは
オーナーや大工さんと過ごす時間が限りなく長くなり、
普通の打ち合わせではわからないことまでわかるようになってきます。
お店をつくるというしんどいタイミングに、オーナーと共にいることで、
困っていたら助けられるし、オーナーががんばっている姿を見ると
こっちも「いい空間つくるぞー!」という気持ちになり、
お互いが高め合って、結果よい空間につながっていくと思っています。

もちろん、かっこいいだけの空間をつくればよいわけでもなく、
過程が楽しいだけでよいわけでもなく、その両方を大切にしてつくっています。

僕らやオーナーはもちろん、大工さんや職人さん、
手伝いに来てくれた友人たちや地元の人と一緒にごはんを食べて作業して、
好きな音楽を流して、休憩時間はお菓子を食べて、
夜はお酒が好きな人は飲んで、ときには人生の話とかをしちゃったりして、
そうやって空間をつくっています。

その空間と向き合った時間が長いほど、関わった人の想いが強いほど、
よりいい空間ができる。そう信じています。

施行中の休憩写真。

この連載は、基本的には僕アズノが書いていきますが、
物件よってにはカナコも登場しますのでお楽しみに。
まずは、僕アズノが結婚前に関わった物件から紹介します。
東京の東側、浅草の近くの「蔵前」というエリアにある
ゲストハウス「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」(以下Nui)です。

2012年。いまから2年ちょっと前の話。
鉄筋コンクリート造6階建ての元おもちゃ屋さんの倉庫を
1棟まるまる改装して
1階をバーラウンジ、2階以上を主にホステルの宿泊機能に充てる、
というプロジェクト。延べ床面積約960平米です。

改装前の写真。

Nui.を運営する株式会社バックパッカーズジャパン(以下BJ)
のみんなとは2010年に世界一周していたときに
トルコのイスタンブールで会ったのがきっかけで友だちになりました。
当時彼らは、ゲストハウス1号店となる「toco.」をつくるために、
世界中、日本中の宿を見る旅をしていました。
僕はその「世界中の宿を見て回るチーム」と会ったのです。

彼らはtoco.をつくる際にはデザイナーを入れていなくて
大工さんたちと話し合ってつくりあげていました。
しかし今回のNui.はtoco.の5倍程度の規模だったので、
さすがにデザイナーが必要だと思ったのかわかりませんが
とにかく彼らの一番身近にいた空間デザイナーの僕に話がきた、というわけです。

実はこの仕事、独立してから初めてつくる店舗の仕事であり、僕は当時27歳。

ずっと店舗デザインの仕事がしたいと思っていたので、
「ここで全力を出してよい空間がつくれなかったら自分の実力はそれまで。
言い訳はできない」と、プレッシャーはありましたが、楽しさのほうが勝っていたと思います。



Nui.の棟梁は大工チーム「渡部屋」代表の渡部雅寛さん、通称ナベさん。
渡部屋とは、大工衆の集まりです。

しかも、設計士がいなくても、
彼らのつくりあげる空間はとてもかっこいいのです。


大工チーム。

そんな大工さんたちの仕事に「デザイナー」として関わるとなると、
できるだけきちんと信頼関係を築きたいと思い、
「毎日現場に行って、図面も現場で描いて、施工もやる」
という働き方になりました。
これが今の仕事の進め方の原点になります。

最初に施主であるBJ代表の本間貴裕さんと
完成イメージを共有するため、

青山にある「嶋田洋書」という洋書屋さんに行きました。
いろんな海外のデザインの本を見る中で一目見て、
「これだ!」とふたりの意見が一致したのが
『ROUGH LUXE DESIGN』という当時発売されたばかりの本。
(ちょっと高くて15000円くらい)
これを軸にイメージを固めていきました。

参考にした『ROUGH LUXE DESIGN』の表紙。

イメージビジュアルを集めてスケッチを重ねて、
大工さんや会社のみんなとの話し合いを重ねてぼんやりを見えてきたかたちを
スケッチに落とし込みました。

ピアノが置いてある場所を屋内的な静的な空間、そのほかのスペースを屋外的な動的な空間としました。

Nui.のコンセプトは「あらゆる境界線を越えて人々が集える場所を」。
このコンセプトを実現するために気をつけていたことは“ゾーニング”。
1階を平面で見た時に真ん中の柱を中心に4つのゾーンに分けて考えました。

1.立ち飲みする動きのある場所(スケッチ左)。
2.テーブル席のある少しゆっくり話せる場所(スケッチ下)。
3.ソファ席のある長時間ゆっくり話せる場所(スケッチ右)。
4.エレベーター前の人が行き交う交差点のような場所(スケッチ上)。

ゾーンを分けて席を配置することで、
ゲストは気分によって席を選ぶことができ、
幅広いジャンルの人たちがNui.を楽しむことができます。
また、注文を「キャッシュオン」方式にすることで、
空間自体にも動きが生まれて、
「注文のために立った人が、偶然隣り合わせた待ち人と話して仲良くなる」
と、コミュニケーションが生まれやすい空間を意識しました。

空間を自由に使ってくれているお客さん。オープン後のある日の営業風景。

技術もセンスも持ち備えた、大工集団

ここからは実際の施工風景を紹介します。

施工にあたって、大きく分けてふたつの方法がありました。
ひとつは『プロの大工チームの本気でしっかり施工』
そして、もうひとつは『手伝いにきてくれた友人との参加型の施工』。
前者は主に1階のバーラウンジ、後者は2階以上の客室部分の担当です。

まず、『しっかり施工』のバーラウンジ。
大工チームは先ほどご紹介した『渡部屋』を中心に
日本中から10名以上が集まりました。
大工、ログビルダー(ログハウスをつくる大工)、
ツリーハウスビルダー、金属造形職人、左官職人など、
このメンバー、いま思い出してもスゴ過ぎる職人たちです。

1階のシンボルとなる木材を施工しているところ。

とにかく全てに対して真剣で、
そこには「デザイナーだから偉い」「大工だから偉い」など
そういった関係はなく、
お互いがよりよい空間デザインになるために意見を言って、
つくれる人はデザイナーであろうと施主であろうと手を動かす。
そんな気持ちのよい信頼関係ができていました。

毎晩行われていた深夜のスタッフミーティング。

例えば、木材に関して、
Nui.に来たら真っ先に目に入るシンボルツリーや
空間のポイントとなる丸太のカウンターができたのもお互いの理解があってこそ。

使われている木の多くは北海道のニセコで大工さんが選んできていて、
樹種はイシナラ、タモ、キハダ、トドマツ、イタヤカエデなど、
北海道ならではの木材です。
それらは、乾燥しきってなかったり、曲がっていたりして、
普通の職人さんだと敬遠されがちな木材です。
(それゆえ、市場価値が低く、安く手に入ります)
でも、曲がっていることも木は生きているんだから自然なこと、
乾燥しきっていないと、後で反ったり割れたりすることもあるが、
それも木が生きている証拠。
むしろそういった経年変化を「いいよねー!」って言い合える関係性が、
施主、大工、デザイナーの三方で育まれていたからこそ、
この木材の良さを生かせて、実現した空間です。

木材が北海道からやってきた時の様子。

そういった特殊な木材は、やっぱり
現場で判断しながら、生かしていきます。
「現場の空気をかたちにする」という、
手仕事じゃないとできないことや表現できないニュアンスもあり、
もしかしたらデザイナーはデザインを決めすぎず、
職人さんを信頼して任せるという方法もあるのかもしれません。

ただ、Nui.の場合、僕が未熟だったこともあり、
大工さんお任せデザインの部分がたくさんあります。
例えばゲストハウスの受付となる「レセプション」部分。
ここは寸法やサイズ感だけ図面におとして、
あとの細かいおさまり方や素材はお任せ。
本当にかっこいいレセプションができました。
僕自身、ここから学べる技がたくさんありました!

レセプション。カウンター下の木のデザインは大工さんが考えたもの!

施工中、大工さんと話していて印象に残っている言葉があります。
「あいつがそうやってつくるんやったら、俺はこうやってつくろうか!」
「作業しながらも後ろでつくってる仲間のエネルギー感じる!」
大工さんたちはつくりながらも考えて、
そういった現場の空気が、建物に宿っていく気がしました。
職人さんたちはみんながみんな個性的で、
お互いを尊重して高め合っていく現場の空気は、
それはまるでJAZZのセッションをしているかのようでした。

現場でカウンター材を加工。

鉄の加工も現場で行った。

こうして、Nui.の1階のバーラウンジは、
大勢のプロの技術と経験が詰まって完成しました。

素人、プロ、みんなと共有する空間づくりの面白さ

参加型施工部分は、主に2階以上のフロアの左官仕事、
ドアのエイジング塗装、二段ベッドの制作です。
手伝ってくれたのは施主であるBJの社員とその友人たち、
toco.のお客さん、僕の友だち、そして噂を聞きつけてきたはじめましての人など、
本当にたくさんの人に手伝ってもらいました。
募集は主にfacebookで行い、
延べ300人以上の人が手伝いにきてくれたと思います。
これも1店舗目のtoco.があって、生まれたつながりが大きいと思います。

手伝い風景。

お手伝いしてくれる人への、作業内容はとても配慮しました。
ざっくりと作業はこの3つに分けて、お願いしました。

①がんばれば誰でもできる。
②安全。怪我のリスクが少ない。
③大工さんの手を煩わせなくても教えることができる。

地味なことでは掃除、塗装や左官する場所にマスキングテープで養生、
材料運びなど楽しくて人気がある作業では左官、塗装、革縫いなどがあります。

左官作業をしているところ。

なかでも、Nui.の左官は量が多くて大変でした(2階~5階の廊下、客室の壁全て)。
オープン日が迫ってくると、
朝4時まで作業、その後9時から再開! というハードさ。
それでも実際に手を動かす作業の気持ちよさや、
次第に上手になっていくことの嬉しさ、
みんなで同じ作業をしてゴールに向かう楽しさなどがあり、
しんどかったこともひっくるめて全てよい思い出です。

左官仕事のさなかの休憩風景。

素人でもがんばって左官した壁は下手さ具合が絶妙な「味」になっていて
柔らかい印象の壁に仕上がりました。
塗装技術でわざとヒビ割れた仕上がりにした、
ドアのエイジング塗装もいい感じです。
これは専門性が求められそうな分野だけど、
実はやり方さえわかれば初めてでも意外とできるもの。
もちろんプロがやる場合に比べてクオリティは落ちますが、
それでもみんなでやると楽しくて、上手にひび割れした時は嬉しいものです。

ドアエイジング風景。

エイジング塗装を施した廊下。

みんなで一緒になって空間をつくり上げていくということは、
単純に施工費を抑えられるということではなくて、
お店をオープンさせるまでに「ファン」をつくることができます。
例えば左官を手伝ってくれた友人が、オープン後、
友だちを連れてきて「ここ俺が左官したんだよー」
という話をしているのを見ると、嬉しくなります。

そして、オープン後の愛着が一層わきます。
例えば、掃除中に壁を見ては「ここはあの人がつくってくれたなぁ」
と思い出すと、掃除にも熱が入りがんばれるそうです。

Nui.は、プロの職人だけでつくったカッコいいだけの空間でもなく
素人だけでつくったヘタウマなだけの空間でもなく
たくさんの人の手助けがあり、たくさんの人の想いが詰まった空間になりました。

Nui.の完成!

オープニングパーティーの様子。

information


map

Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE

住所:東京都台東区蔵前2-14-13
TEL:03-6240-9854
http://backpackersjapan.co.jp/nui/

高齢過疎も引きこもりもなんのその。 おいしいキッシュの持つ力。

秋田県藤里町の社会福祉法人藤里町社会福祉協議会が製造・販売している
「白神まいたけキッシュ」は“まいたけ”という響きからか、
1年中販売しているにもかかわらず
毎年秋には注文が殺到する人気商品だという。

確かに、秋になるとキノコ類とバターや卵の組み合わせは食欲をそそる。
白神山地の麓で育ったまいたけと、比内地鶏の卵、
ヒマラヤの岩塩、北海道十勝の生クリームを贅沢に使ったキッシュと聞けば、
ごくりと喉がなる。
口コミで徐々に広がった白神まいたけキッシュは、
2011年3月に販売を始めてから今年で4年目を迎えた。
実はこのキッシュ、社会が抱える大きな問題に
希望の光を射す、ある挑戦が背景にある。
町に住む「引きこもり」とされていたみなさんがつくっているのだ。

平成18年度に藤里町社会福祉協議会(以下、社協)で行った
町内の引きこもり者・長期不就労者等数把握調査によると、
藤里町民約4000人のうち113人もの人たちが
何らかの事情で就労せず、自宅に引きこもっていることが判明した。
世界遺産白神山地の麓に位置する自然豊かなまち。
それゆえに高齢者の多い過疎である藤里町につきつけられた現実だった。
これは町の将来にかかわること。見過ごすわけにいかない。

白神まいたけキッシュの生みの親、藤里町社会福祉協議会 常務理事兼上席事務局長の菊池まゆみさん。現在は講演会などで全国各地にひっぱりだこだとか。

当時、事務局長を務めていた菊池まゆみさんは
相談員として高齢者の家庭訪問をしていたことから
この町には引きこもりの人たちが多いのではないかと気づいていた。

高齢者の家に、都会から子どもがUターンして帰ってくる。
仕事が見つからないまま、そのうちに介護をすることになって
結婚をしないまま年を重ねてしまっている。
働くことも、他人とコミュニケーションをとることも
難しくなってしまった人たち……。
家にばかりいては体の健康、特に精神衛生上よろしくない。
彼らが重い腰をあげて外に出かけられる場所を、と
お茶会などのイベントなどを考えていたが
そんなときに社協の職員採用試験に顔見知りの引きこもり者が現れた。
「あ、働きたいんだ。そうだよね」
がつんと頭を殴られたような衝撃を覚えたという。

彼らは、問題を抱えた“助けてあげないといけない人たち”ではなく
社会復帰に一歩踏み出すために
“社会支援を必要としている人”たちなのだ。
菊池さんはそのときに自分の考えが根本的に間違っていたことに気づき、
引きこもり者対策事業を見直すことにした。
同時に、秋田県の社協が各市町村の社協と一緒に行う
「地域福祉トータルケア推進事業」が平成17年から始まった。
「福祉でまちづくり」を合い言葉に、
助成金申請などいろんなタイミングがバタバタと符合していき、
福祉の拠点施設として「こみっと」がスタート。
そこで、社協の職員たちによる引きこもり実態調査が行われたのだ。

こみっとは社協のすぐそばにある県の発電事務所の跡地と建物を再利用。土地や建物は町が買い取り、社協に貸与。改修費などは日本財団の助成金制度を利用し、運営費は自立支援法制度に則って捻出している。

「みなさん、家庭の問題は隠したがるでしょう?
小さな町だからこそ、ちゃんと出てきた数だったかもしれませんね」
と菊池さんはいう。
これまで足しげく各家庭を訪問し、その内情を知っていたからこそ
実際のところを把握できたのであり、現実の数字は想像以上のものだった。

社会復帰支援の場所としてのこみっとには、
登録生(引きこもり者等)たちが
その症状によって、給仕したり、調理したりと
働くことができるお食事処をつくった。
町には外食する場所が少ないから、町民が訪れるようになる。
そこには、同じ地域の住人が共存できる居場所があるのではないかと。

そこで、キッシュの登場だ。
「町の特産品を自分たちの手でつくろう。
おやつに食べられるもので、気に入ったら誰かに贈りたくなるような、
おしゃれなお土産にできる何かをつくろう!」
菊池さんはひらめいた。

一見使えなさそうなものに、光を宿す。

「自分でいうのも何ですが、おいしいですよ」
25年前から藤里町マイタケセンターで菌床マイタケを栽培している
藤里町振興協会の土佐吉二郎さんは、
藤里の周辺にあるコナラなどの材木をオガクズにし、
トウモロコシやフスマに水を加えた物を袋詰めして菌床をつくっている。

菌床にマイタケ菌を植菌し、培養するとマイタケが発生する。培養室の温度、湿度、Phなどに配慮し、植菌して70日くらいで市場に出回る。

左からマイタケセンターの山田千幸さん、小山牧子さん、土佐吉二郎さん。

ボリュームのある生き生きとした白神まいたけは
ブランドきのことして関東のホテルやスーパーにも
仕入れられている藤里町の名産品だ。
きれいにブロック状にして出荷されるのだが、
その際に、ぽろぽろと崩れたり、カットしたりしたバラの部分が出てくる。
そこを安く買い上げて利用することにした。

「いきなり、事務局長からキッシュ担当を任されて、
キッシュ? って、ぽかんとしました」
というのは、社協の櫻田康子さん。
菊池さんは、既に町の特産品だった白神まいたけを使ったものを
と考えており、キッシュと中華まん、どちらにするか
相当迷ったらしいのだが、最後は町民みんなが営業マンになって
外に売り出せるものを、ということでおしゃれ度数の高めな
キッシュに決定したという。

「ほら、自分も食べてもいいけど、よそ様に持っていきやすいでしょう?」
と菊池さん。でも、櫻田さんの苦労は相当なものだったようだ。
「マイタケをキッシュの中に入れこむのは大変なんです。
たっぷり入れ込むと黒くて見た目が悪いし、
はてはマイタケに含まれるタンパク質分解酵素のせいで
卵液がうまく固まらなくて、困りました。
こみっと登録生全員がつくりやすいものを目指しましたが
キッシュは手間もかかるし、根気もいります。
パイ生地にしてしまうと、とても扱いが難しいので
スコーン生地に変えて、つくりやすくしました。
それでも、やはりキッシュづくりに参加できる人は限られますね」
食べ物に妥協しないことにおいては、社協内で定評のあった菊池さんいわく、櫻田さんはきっちりと物事を進めていくタイプで
おいしくしたいと最後までこだわる人とわかって、試作を頼んだのだとか。

櫻田さんの編み出した秘策により、きれいに固まるようになったキッシュ。ブロック状のショルダーベーコンや岩塩を使うのも彼女のこだわりのひとつ。

こみっと登録生のこださんは44歳。1996年に東京で就職し、藤里にUターンしてから引きこもるようになったそう。でも、今では大切な戦力。商品PRのために、テレビ出演も果たした。

厨房をのぞいてみると、キッシュが焼けたばかりのタイミングだった。
バターの香ばしいにおいがたちこめた室内は
マイタケから醸し出された秋の香りが充満している。
急速冷凍して固まったキッシュをきれいに切り分ける係、
密封作業をする係など、分業している様子。
みな、丁寧に自分の作業を行っている。

「キッシュづくりは週に2回、毎日3回焼き上げるんだけどね。
ほかの日は高齢者の生活支援ハウスの宿直をやっているから忙しい、忙しい」

と洗いものをしていたこみっと登録生のこださんがいう。
「キッシュとか知らなくて、最初は意味がわからなかったよな。
ここに来て初めて食べておいしいと思った」
こださんは、こみっとに通ってくるうちに生活のリズムが整っていったという。
ちなみに、パッケージのかわいらしい“くまげら”のデザインは
いくつか候補のある中から、登録生らが選んだ。

こみっとカフェでは、こんな風に提供されている。コーヒーと白神まいたけキッシュがセットで200円。誕生のバックストーリーはおいしさのスパイスにはなっているが、あくまでも商品そのもので勝負できるのが白神まいたけキッシュの強み。

藤里町で引きこもりと定義される人たちは、
18歳から55歳で2年以上定職についていない、両親以外と交流のない人たち。
社協は、彼らを外に引っ張りだす意識はないと菊池さんはいう。
「まずは、こみっとのパンフレットをつくり、
家庭訪問をした際に情報提供を続けていきたいので、と
伝えることにしました。
精神科のお医者さんや薬とはまた違うところで
福祉という手法でできることはあるはず、という考え方です。
一歩でも出たいとき、福祉を使ってもらえれば支えることはできます。
地域で少しでも快適に暮らしたいという人たちに向けた
お手伝いができたらという気持ちで取り組んできました」
菊池さんは彼らと協働するために、下記を職員に意識してもらうようにした。
相談支援や指示、助言を行わない。
登録生との個人的な関わりは持たない。
悩み相談など必要があればカウンセラーを呼ぶ。
そこに一般的に“やさしい”とされる感情が入ってしまうと
途端に依存につながり、自立から遠のいてしまう。
ひとつのミスがそれこそ本当の命取りになってしまうかもしれないから
自分たちは治療者でもカウンセラーでもないことを自覚する。
“支援する側もされる側も一緒に働ける環境づくり”
それがこみっとの使命なのだ。

こみっと内にあるお食事処。ランチタイムはたくさんの町民がやってくる。登録生が働くことで町民の引きこもりへの理解も生まれてきた。

菊池さんは、「藤里方式」と呼ばれるようになった
引きこもりとの協働に成功したわけだが、
もともと、福祉をやりたくて社協に入ったわけではなかった。
東京で専業主婦をやっていたのが30代前半に秋田に戻ってきてから
社協に入り、福祉がなんなのかがわからないまま
お金をいただく以上はきっちり仕事をしようという気持ちでやってきたという。
父親は倫理社会の先生で、「自分の心のために完成せよ」といわれ、育ってきた。
そんなこともあり、誰かのためにやってあげているというような
これまでの福祉をとりまく目線には違和感があったという。
「地域のなかで弱者を決めるのは好きではないですし。
弱者を決めるという時点で上から目線ですよね。
世の中は、さまざまな人がいて成り立っています。
ついつい忘れて自分視点になりがちですが、
行き詰まったらいろんな視点に立って取り組めばいいのだと思います」

今後のビジョンは? と聞くと、
この事業を独立化させて彼らの収入源としていくこと、と菊池さんは言い切った。
そのためには、人手の確保も必要になる。
そこに、「いきがい」を求める高齢者たちも巻き込んで
協働していける体制をつくっていくこと。
社協はその存在の性格上、利益をあげられない仕組みになっているが
それではいくら作っても張り合いがないとするのではなく、
ひと手間ふた手間かけないとできないようなキッシュをつくろうと、
現在は取り組んでいる。

そこに、注文が殺到するとどうなるか。
ちょっといじわるかもしれないが、その壁を乗り越える
菊池さんたちをはじめ、社協、登録生たちの姿を見てみたい気がする。
きっとまた新たな「藤里方式」をつくり出し、乗り越えていくのだろう。
しっかりとはまる場所さえあれば、
存在そのものの持つ資質は存分に発揮される。
キッシュを「おいしいね」と食べ続ける側にもまた、
その役割はあるのではないかと思った。

社協のこみっと立ち上げから今までの取り組みは一冊の本になっている。登録生手書きの年表なども入った細やかに書かれたドキュメントだ。  
「ひきこもり 町おこしに発つ」(秋田魁新報社)藤里町社会福祉協議会 秋田魁新報社共同編集 1,080円

Information

藤里町社会福祉協議会 秋田県の名産品を使った
「白神まいたけキッシュ」

「コロカル商店」で、「白神まいたけキッシュ」が発売中。舞茸たっぷりの優しい味わいをご賞味ください。1,400 円(税込)
https://ringbell.colocal.jp/products/detail.php?product_id=6022

千葉県のMAD Cityにて「DIYリノベ」体験ツアーを開催!手づくりのプランターでボタニカルライフをはじめよう。

千葉県松戸市のMAD Cityにて、
DIYリノベ見学会と
プランターづくりのワークショップが開催されます。

MAD Cityとは、千葉県の松戸駅西口駅前で展開している
まちづくりプロジェクト。
アーティストやクリエイターが集まり、
魅力的なコミュニティづくりを進めています。
そんなMAD Cityには、
DIYされたすてきな部屋がたくさんあるそう。
次回のワークショップでは
MAD CityのDIY事例を見て歩き、
セメントのプランターづくりに挑戦します。

西尾健史さん

先生は、コロカルの「リノベのススメ」にもご登場頂いた
建築家・デザイナーの西尾健史さん。
森アーツセンターギャラリー「スヌーピー展」の物販スペースの設計や
ポップアップショップ「POPMOTTO du CAT LOVER」の設計などを手がけ、
MAD Cityでは「知恵袋的存在」として頼りにされています。
ユニークなアイデアが教われそうですね!
西尾さんの「リノベのススメ」記事はこちら

前回のワークショップでは、
2×(ツーバイ)材を使用したスツールをつくりました。

ワークショップで制作したスツール。次回は好きな多肉植物とプランターの型枠を選んでプランターをつくり、つくったものは持ち帰れます。

前回のワークショップが好評だったため、
次回は少し定員を増やして開催されます。
定員15名となっていますので、お申し込みはお早めに!
ご予約は、下記サイトからお申し込みください。

MAD City「DIYリノベ」体験ツアー
開催日:2014年10月19日(日)13:00~19:00(※予定時間のため、定刻に終了しない可能性があります。)
講師:西尾健史(DAYS.主宰、DIYアドバイザー)
定員:15名
参加費:2,500円(材料費、多肉植物、指導料込)
会場:FANCLUB
アクセス:千葉県松戸市本町20-10 ルシーナビル7F(JR常磐線/新京成線松戸駅から徒歩2分)
主催:MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

解体決定の建物が一転、 最小文化施設に! HAGISTUDIO vol.2

HAGISTUDIO vol.2
萩荘の解体がなくなったわけ

みなさんこんにちは!
vol.1に続き、東京谷中の最小文化複合施設「HAGISO」について書いていきます。
HAGISOの前身である木造アパート「萩荘」は解体することとなり、
僕らは最期の晴れ姿としてアートイベント「ハギエンナーレ2012」を開催(vol.1参照)。
このアートイベントが、予想以上の盛り上がりを見せたのです。
イベントと並行して、萩荘の大家さんは解体・駐車場化の段取りを進めていました。

萩荘の大家さんは、隣接する寺院、「宗林寺」さんです。
住職は常々、地域に対する、現代的な寺の文化的貢献に対して考えていらしたそうで、
萩荘を舞台にしたアートイベント、ハギエンナーレには大変共感していただきました。

宗林寺。通称萩寺。萩の花が境内に咲く。

私は展示の片付けをしつつ、大家さんと後始末について話していると、
大家さんの奥さまがぽつり、とつぶやきました。
「ちょっともったいないかしらね〜」
おや? と。これはもしかすると少し風向きが変わってきたのかな?
と思い、よくよくお話を伺ってみると、
「ハギエンナーレ2012」を通して、大家さんたちご自身も、
ただのボロアパートだと思っていた建物に多くの若者が集まった光景を目にして、
場所のポテンシャルに気が付いたとのことでした。
「これは萩荘にとって最後のチャンスかもしれない」
僕は早速リノベーションのアイデアを提案しました。
デザインをずっと学んできた僕にとっては、提案書をつくるなど全く素人でしたが、
簡単な事業計画と、経済的なリノベーションのメリットに関しても説明しました。
「駐車場として運用する場合」「新築の集合住宅を作る場合」「リノベーションする場合」、
と3つのシミュレーションを仮定して、それぞれの事業を比較します。
このとき役に立ったのは、
広瀬郁著『建築学入門-おカネの仕組みとヒトを動かす』(彰国社)という本で、
実際の事業を動かしていく上でも非常に重要な基礎知識を学ぶことができました。

一生懸命考えたものの、独立したてで何の実績もない僕のような若造の提案ですから、
事業の採算性というよりは、ほとんど情熱を買っていただいたようで、
最終的にリノベーションという選択肢を選んでいただけました。
後から大家さんに聞いた話によると、展示をある程度無事に成功させたことで、
大家さんから一定の信頼を置いていただけるようになっていたようです。

大家さんにプレゼンした際の萩荘の模型。

さて、とはいえ萩荘で一体何を始めるのか。
最初は設計だけして、誰か外からテナントを募集しようと思っていたのですが、
それだけではなにかが失われてしまうような気がしました。
継続的な思いというか、熱量の持続性のようなものかもしれません。
場所のポテンシャルを最大化する試みを、
建物のデザインだけではなくて運営することも含めてデザインしたいと思い、
全体を丸ごとお借りして、自ら施設の運営にチャレンジすることにしました。

ヒントは、上海のまちでの経験から

ところで、私はこの萩荘の改修にとりかかる前、
2011年までは設計事務所に勤めていました。
主に海外の大規模施設の設計がほとんどで、まだ何も知らない僕らのようなスタッフに、
ありえないくらい大規模の設計をチャレンジさせてくれました。
設計者として、そのような大規模な施設の設計に携わることができるのは
貴重な経験ですが、一方で、
どうしても自分が携わる建築の必然性のようなものが掴めないまま、仕事をしていました。
日本における公共建築は、本来的な意味で公共空間として使いこなされず、
「箱もの」としてお荷物になっている建物が多い状況を目の当たりにしてきた世代として、
一体誰のために、何のためにつくっているのか、
ということをリアルに実感したいと感じていました。

出張で中国の上海に半年ほど滞在していたのですが、
当時、上海なんかはそれはそれはもう開発がまっさかりで、
新しい高層マンションが次々と建ち並んでいくわけです。
しかし、上海のまちの中には、
取り残されたように「里弄(リーロン)」と呼ばれる古い路地に
住居がひしめき、いまだに多くの人が住んでいました。
どうしても僕にとってはそちらのほうが100倍魅力的に見えていました。

新しくそびえる高層マンションと取り残された住居。

滞在先がこのような古い住宅を意味する「老房子(ラオファンズ)」と呼ばれる
共同住宅だったこともあり、そこでの日常を目にする機会が多かったのです。
例えば、もうこっちは寝てる時間なのに廊下で炒め物を始める住人がいたり、
向かいの家で夫婦喧嘩を始めたりと、むちゃくちゃなわけです。
でも毎朝路地のおばあちゃんは親しげに挨拶してくれたり、
バルコニーで一斉に干された洗濯物を目にする日々は、
なにか自分が古くから脈々と続くまちの一員になった気がしました。

何故スラムのような古い路地のほうが最高に魅力的で、
清潔で経済的価値の高い高層マンションが絶望的につまらなく見えてしまったのか。
単なるノスタルジーや雰囲気によるものなのか。
ずっと考えてきましたが、最近になってだんだんわかってきたことがあります。
新しくつくられるまちは、人が建物に収納されているように見えるのと対照的に、
老房子などが残るまちは、
人が自分の生活空間を獲得しようとする意志と自由をもっているということです。
まず生活があり、それに合わせて必要な空間につくり替えていくたくましさが
生き生きと見えたのでした。

路地と少女。

老房子のように上海には意図的に古い建物を利用した場所が多くあります。
経済成長のまっただ中にありますので、一見乱開発のみが行われるように見えますが、
昔からの路地を利用した街区や工場をリノベーションした商業施設、
地下防空壕や租借地時代の洋館を利用したナイトクラブなど、
古い建物をコンバージョン(用途変更)した場所が実はいたるところにあります。
多くの中国人は新しいもの好きなのですが、
こうした古い建物が持つ価値を利用することで、
エリア価値が高まることを彼らは知っています。
それがたとえ商業的な目的を意図するものだとしても、
もともとのポテンシャルを生かしきっていこうとするしたたかさをもって
新たな魅力的な場所として生まれ変わっているのは、全然アリだと思えました。

田子坊。古い路地にアーティスト「陳逸飛」がスタジオを構えたことをきっかけに小規模な店舗やギャラリーが徐々に増え、路地空間を残した非常に魅力的な街区をつくっている。

1933老場坊。1933年に竣工した屠殺場を改修した複合施設。屠殺場という機能に忠実な建築で、かつて加工された家畜の通路が現在は人のための通路となっている。

翻って東京のことを考えてみますと、
そもそも震災や戦災の影響で、残っている古い建物自体少ないという一面もありますが、
戦後に建てられた建物に関しても基本的には価値を見出さず、
新しく管理のしやすい建物を好む傾向が強いと僕には思えます。
このまま東京が時間的な奥行のないつまらない都市に向かってしまうのではないかと、
危機感を感じるのです。

萩荘からHAGISOへ

少し脱線しすぎました。しかしこのような経験を経て、
萩荘を新しくどのような場所としていくかを考えたとき、
最初に描いたイメージが以下のものです。

萩荘はHAGISOと名前を変え、「最小文化複合施設」として生まれ変わります。
東京には多くの公的な公共施設や、巨大資本による複合施設が存在しますが、
その末席に肩をならべるパブリックな空間を、
「私営の公共施設として運営したい」と思ったのです。
上の図は、そんな思いから若干の自虐的なヤケクソ感とともに描いてみました。
小さいかわりに、東京ならではの、「ここにしかない場所にしたい」と心に決めました。
正直、大規模な複合施設は世界のどの都市にも似たようなものがあります(ボソッ)。
しかし萩荘のように、近年どんどん空き家化している、
戦後の典型的な木造アパートだからこそできるスケール感で、
東京というコンテクストの中での存在感を示せるのではないかと思いました。

具体的には、人が集まるための場として1階にカフェとギャラリー、
2階にはヘアサロンとアトリエ、事務所を計画しました。
カフェとギャラリーは一体の空間として、
イベント時などに複合的な使い方ができるようにします。
ギャラリーという空間は、機能的にはただの空間でしかありませんが、
さまざまな活動を受け止める「あそび」をもたらしてくれるので、
ステージになったりロビーになったりと、新たな使い方を誘発します。
ギャラリー上部は「ハギエンナーレ2012」時に鳥小屋にするために、
二階床をぶちぬいていましたので、そのまま吹き抜けとすることにしました。

Before-Afterの図。

工事費用は、建物の構造やインフラに関わるところは大家さんにご負担いただき、
内装や設備は私が負担しました。
どちらの費用も5年で回収できるよう、家賃設定を定めます。

工事開始!

改修計画をまとめ、見積りをとり、いよいよ工事が始まりました。
工事は、リノベーションの工事を多く手がけている、
「工務店ROOVICE」さんに協力をお願いしました。私たちはできるだけ自分たちや、
協力してくれる人たちの手もお借りしてつくりたかったということもあり、
大工さんや職人さんたちと一緒に、
自分たちができるところは自分たちでつくる方法をお願いしました。
工務店にとっては全体の作業量が把握しづらかったり、
工期が読みづらかったりという手間をかけさせてしまいましたが、
おかげで多くの人に工事プロセスにも参加していただくことができました。

まず築60年の古い家ですので、とにかくたまりにたまったものの廃棄と、
不要な部分の解体が大変です。この部分には、お手伝いいただける一般の方を公募。
アーティストや、ギャラリスト、雑貨屋さん、フォトグラファー、学生など、
HAGISOに興味をもってくれた方々が参加してくれ、
大工さんに解体の仕方を教えてもらいながら、一緒に作業しました。
約1週間かけて部分解体・廃棄を完了できました。

宗林寺住職による工事安全祈願のお祓い。

廃棄物。これの3倍くらいの廃棄物がでました。

解体の結果を受けて、現場でイメージしながら図面を引きました。

ひととおりの部分解体・掃除が終わると、本工事に入ります。
もともと竹木舞にしゅろ縄がはられた土壁ですので、
全体的に構造用合板で耐力壁をつくり、金物で補強していきます。
1階の天井はすべて剥がして、
もともとの2階床根太(床の補強となる部分)が見えるようにしました。

一階天井はすべて剥がして根太が現しになるように。

吹き抜け部分。

リノベーションの場合、開けてみないと土台の腐れなどがわからない部分が多いのですが、
今回は湿気のたまりやすい北側以外の構造部分はほぼ無事でした。
腐れのひどいところは、
大工さんが仕口(2種類の木材を継ぐための加工)をつくって差し替えてくれました。

腐食部分にぴったりと差し替えた柱。

コンクリート土間の左官仕上げ。

柱のやすりがけや壁の塗装は、自分たちや、アーティスト、
建築学生サークルのみなさんの手を借りてゆっくりと進めました。

色選びを失敗して塗り直し。

こうして徐々に萩荘はHAGISOへと生まれ変わっていきます。

うーん、予想以上に長くなってしまいました。
予定ではもうHAGISOオープンのところまでいくはずだったのですが、
あまり長くなってもアレなので今回はここまでにします!

次回は、工事中開催してしまったイベントやカフェの開店準備や
そして、僕らが利用したクラウドファンディングのことについてもお話します。
みなさん、お楽しみに!

information


map

HAGISO

住所:東京都台東区谷中3-10-25
TEL:03-5832-9808
営業時間:カフェ12:00〜21:00 (L.O. 20:30)
http://hagiso.jp/

『みつばち鈴木先生 - ローカルデザインと人のつながり』。全国各地を飛び回り、地域とクリエイターを結ぶ一冊

日本の地域において、ネットワークをつくりだす達人の
鈴木輝隆さんは、著名デザイナーや建築家から
「みつばち先生」と親しまれる存在。
以前コロカルでもご紹介しました。

みつばちと呼ばれる理由は、全国各地を飛び回り、
地域とクリエイターを結びつける活動をしているから。
デザイナーの原研哉さん、梅原真さんやナガオカケンメイさんと
いくつものローカルデザインのプロジェクトを成功させてきたんです。

そんなみつばち先生の「教科書」がただいま発売中。
タイトルは「みつばち鈴木先生――ローカルデザインと人のつながり」。
みつばち先生がこれまでに手がけた北海道、秋田県、
東京都、新潟県、富山県、長野県などのプロジェクトが紹介されています。

タンポポの群落日本一 北海道むかわ町

「たんぽぽのお酒」 デザイン:原 研哉

鶴の湯(秋田県仙北市田沢湖乳頭温泉)

「鶴の湯」ポスター デザイン:梅原 真

長野県小布施町の桝一市村酒造場と小布施堂を、
デザイナーの原研哉や梅原真とリブランディングしたり、
国土交通省半島振興室の、日本の半島21島のプロジェクトを
デザイナーの大黒大悟とつくりあげたり。
10の事例とともに、地域づくりの牽引者たちと、
梅原真、隈研吾、大黒大悟、原研哉ら、関わったクリエイターたち
とのトークを収録しています。

みつばち先生の「受粉」

「地域には独自の個性や文化があり、理想を持つ土地の人がいますが、
思いはあってもカタチにすることができません。土地の人の思いや個性を
カタチにできる優れたデザイナーが必要です」とみつばち先生は言います。

はたしてみつばち先生がどんなやりかたで花粉を運び、デザインを生むのか。
土地の営みとデザインが触発しあって融合するとき、何が起こるのか?
この本で読んでみてください。

書名:みつばち鈴木先生――ローカルデザインと人のつながり
定価:3,456円
編者:原研哉

イベント「いばらき来た! きた!CAMP」開催。 茨城県北でめいっぱい 秋のキャンプを楽しむ!

秋の行楽シーズンまっさかり。そんなアウトドアシーズンのおでかけに
ピッタリなイベント「いばらき来た!きた!CAMP」が、
2014年10月18日(土)と19日(日)の二日間にわたり、
茨城県北部の久慈郡大子町「大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ」で
開催されます。
茨城県北エリアは、自然豊かでアクセスも便利なところ。
キャンプにまつわる遊びや食が盛りだくさんな催しです。

イベントの内容はバラエティ豊か。
ボルダリング、スラックライン、トレイルランニング基礎講座などのアウトドア体験。
アウトドアメーカーブースでは、様々なメーカーがアウトドアの楽しみかたを教えます。
そして「奥久慈しゃも」や「大子ブルワリー」のビールなど、
茨城県北エリアの食を楽しむフードブース。
さらにはアコースティックライブまで!
盛りだくさんの楽しみに出会える二日間になりそう。

10月18日(土)、19日(日)のグリンヴィラにはボルダリングウォールが登場。

お買い物コーナーより。19日(日)に出店する、無農薬野菜の「さより農園」。

こちらは「きたきたフードコート」のメニュー。日立市「セカンドアースダイナー」が19日(日)に出店。しらすをごま油とニンニクで煮込んだ”やみつきしらす”を、ご飯&アボカドと混ぜ込んで食べる「ぴた丼」。

車にキャンプ道具を積みこみ、家族や仲間や大切な人と一緒に、
緑と山に囲まれた素敵な空間の中で週末を過ごしてみてはいかがでしょう!
ご来場のお申込みは不要ですが、体験イベントは事前にお申込みを。
詳細はこちらをご参照ください。

■「いばらき来た!きた!CAMP
日時:2014年10月18日(土)11:00 OPEN
   2014年10月19日(日)15:00 CLOSE
※雨天決行、荒天時は中止。中止の場合は、
10月17日(金)15:00までに
WEBにて告知します。
会場:大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ
住所:茨城県久慈郡大子町矢田15-1
主催:茨城県
問合せ:お電話:080-5973-7883、メール:info[at]ibaraki-outdoor.jp

古き良きものが集う一大マーケット「関西蚤の市」兵庫県宝塚市にて初開催!

10月18日(土)・19日(日)、兵庫県宝塚市の
JRA阪神競馬場内・セントウルガーデンにて「関西蚤の市」を開催。
噴水や花壇、温室のある広大なガーデンに
古道具屋さんや古本屋さん、カフェなどが並びます。

主催は、東京で「東京蚤の市」や「もみじ市」などの
イベントを開催してきた手紙社さん。
東京で大人気の蚤の市を
関西で行うのは、今回がはじめてだそう。

参加店数は130店以上。
愛知県瀬戸市で生まれた食器ブランド「studio m’」さん、
アクセサリー職人さんがいとなむ雑貨屋「ちせ」さん、
民藝の器を中心とした手仕事のもののお店「FRANK 暮らしの道具」さんなど、
すてきなお店がそろいました!

暮らしの中に溶け込む食器のお店「studio m’」さん

生活の道具や、贈り物にもぴったりなジャムなどをお届けしてくれる「ちせ」さん。店名には、アイヌ語で「家」という意味があるそう

コンフィチュールとマフィンのお店「美味しい時間」さん、
季節の野菜をふんだんに使用した料理「シチニア食堂」さん、
京都のベジタリアン料理店「PLANT LAB.」さんなど、
ごはんのお店も充実しています。

「美味しい時間」さんの自家製コンフィチュールがたっぷり入ったマフィン。焼き立てはもちろん、時間がたってもしっとりしておいしい

秋の野菜をふんだんに使用した「シチニア食堂」さんの料理は、体に染みわたる美味しさ

当日は音楽ライブやトークイベント、
「アルフェテ工作室」さんによる
羊毛や木、針金などを使用する3つのワークショップ「魔女の工作室」も開催!
最新の出店者情報は、FACEBOOKにくわしく載っています。
そちらもぜひチェックしてみてください。
関西蚤の市
FACEBOOK

木造旅館が、 ゲーム制作会社の社屋へ大変身! シーンデザイン一級建築士事務所 vol.03

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.03 
アソビズム長野ブランチプロジェクト

今回は、東京に本社を置く会社「株式会社アソビズム」の
長野支社にまつわるリノベーションのお話です。
このプロジェクトでは、リノベという“つくりかた”をより意識したものになりました。

株式会社アソビズムは「ドラゴンポーカー」「ドラゴンリーグ」といった
スマホ向けのアプリを手掛ける、秋葉原に本社を構えるゲーム制作会社です。

2012年、代表の大手智之さんは、理想の子育てを求め、
ご家族そろって長野に移住してきました。
お子さんと一緒に参加した体験キャンプで触れた自然体験から、
「長野こそ“未来の教育”へ向けたチャレンジに向いている地である」
との思いが強くなったそうです。

さらに大手さんは、秋葉原にある本社はそのままに、
アソビズム長野支社(通称:長野ブランチ)の設立準備をはじめました。
最初は、駅前の貸事務所ビルといった物件を見ていたそうですが、
せっかく長野に来るのに東京と変わらない環境ではつまらないと、
善光寺門前界隈の空き家物件に興味を持つようになり、
マイルームの倉石智典さんと出会いました。

大手さんから聞く、アソビズム長野ブランチの構想は、
これまで門前界隈で行ってきたリノベ物件より規模が大きく、
建築や設備に対しても、より専門的な分野の経験が必要であることが予想されました。
そうしたことから、2013年、物件探しの段階からシーンデザインも加わり、
CAMP不動産としてプロジェクトを進めることになりました。

早速、大手さんと善光寺門前界隈のいくつかの物件を一緒に見てまわった末、
善光寺の西に位置する桜枝町に建つ元旅館「飯田館」を
アソビズム長野ブランチとしてリノベーションすることが決まりました。

長い間、放置されてきた空き家たちは、よほど想像力を豊かにそのまなざしを
向けない限り魅力的には見えないと思います。
ましてや建築を専門としていない方にとっては、なおさらだと思いますので、
大手さんには、よくご決断して下さったと感謝しています。

リノベ前の元旅館「飯田館」の外観。

現場に何度も足を運んでは、どのように使えるか想像します。

先ずは実測調査。既存平面図を作成します。
それをもとに大手さんからの要望を整理し、
場所の使い方の簡単なスケッチを数枚描いてイメージの共有を図ります。

あくまでイメージ。状況に合わせて現場はどんどん変わっていきます。

そのほか、建物のスペックについて打ち合わせを重ね、
ある程度内容が見えてきたところで、概算を提示して工事を始めちゃいます。

相変わらず、この時点で詳細図面がありません(汗)。

CAMP不動産的工事スタイル

前回で紹介した、「藤田九衛門商店」の“つくりかた”は、いろいろなことが手探りでした。

こうした工事の進め方は、マイルームの倉石さんがそのベースをつくってきました。
図面がほとんどない状態で工事が始まるスタイルはドキドキですが、
一方では、より自由度が増し、リノベ工事には合っていると思います。

考えてみれば、かつて大工の棟梁は、必要最低限の図面だけで、
旦那との信頼関係のもと、職人を束ねて建物を建てて、
その仕事に見合う報酬を得ていたのですから、
工事の進め方として全く新しいわけではないのかもしれません。

しかしながら現代では、細切れになった工業部品を、
設計図をもとに、これまた細部に分業化された専門職によって
順序良く組みあげていく“つくりかた”が大半を占めています。
建築工事の場合、“もの”ができる前に工事費を決めて契約をするので、
できるだけ予定通りに進んでもらわなくては大変です。

現場では、事前に描かれた図面に即した施工がされているか、
チェックすることに力点が置かれ、工事の責任の分界点もはっきりしています。
それは、とても合理的な“つくりかた”ではあるのだけれど、実は、こうした“つくりかた”が、
現場から想像力を奪っているのではないだろうかと思うことがあります。
指示された通りにきれいにつくることはできても、
細かい部分で判断を迫られたとき、手が止まってしまいます。
つくり手が現場の状況や施主の要望などから、
なにをどうつくるべきかを「想像する」ことに慣れていないのです。

そういうこれまでの“つくりかた”に対して、CAMP不動産的なリノベ工事のスタイルは、
工事費も、工期も、内容もすべてがあいまいなまま工事がすすんでいくので、
これまでの感覚でいると、施主にも設計者にも施工者にも理解され難いスタイルだと思います。

そんななか、自分たちの仕事場は自分たちでつくっちゃおうという、
アソビズムの真にクリエイティブな思想とCAMP不動産との相性が合ったのだと思います。

工事を振り返り、アソビズムの大手さんはこんな風に話していました。

「今回、本当に設計図も完成予想図もなしでのスタート。
共有したのは軽いラフスケッチと、コンセプトだけ。
これまでのオフィスづくりではあり得ないやり方で、正直不安の方が大きかったですが、
考えてみれば、僕らのゲーム制作も、コンセプトを決めたら後は
ひたすらビルド&クラッシュで、仕様書などつくらずに進めていきます。
その方が観念や余計な重力に引っ張られずに、
素直に核の面白さだけを考えて進める事ができるからです。
そう考えれば、リノベーションのようなアドリブが入り込む余地のある建築スタイルでは、
この方法がむしろ適しているのかもしれませんね」

大手さんにおいては、さぞかし不安であったろうなと思います。
しかし最終的には、分野は違えど、クリエイティブな仕事をされている方に、
ものづくりという点で共感していただけたのならうれしい限りです。

壊しながら考え、つくりながら考える

さて、いよいよ工事が始まります。
先ずは、解体工事から。

設計者は、解体業者に、どこを解体してどこを残すか図面で指示することが一般的ですが、CAMP不動産では、現場で要るものと要らないものを判断して、
どんどんしるしを付けていきます。

壁や長押(なげし)に貼られた〇×△テープ(ちょっとわかりづらいですが・・・・・・)。

〇は残す。×は壊す。△はそっと外して再利用。
至る所にしるしが描かれたテープが貼られていきます。

おぼろげな平面プランはありますが、そもそも詳細な図面がないのですから、
現場で思考が止まることがありません。

壊しながら考え、つくりながら考えます。
その都度、クライアントの用途要求に対して最適最善と思われる方針を見つけ出し、
どんどん施工していきます。

解体工事が一通り済むと、空間のボリュームが見えてくるので、
よりその先をイメージしやすくなります。

飯田館の2階、客室押入れの天井の一部から天井裏を覗くと、そこには、
トラス構造の小屋組み(三角形をつくるように部材を連結して構成された構造形式)が
ありました。

門前界隈の旅館や倉庫建築によく見かけるこの構造は、
内部に柱がない大きな空間をつくることができます。

解体工事前の飯田館の2階は多くの小さな部屋に小分けにされていましたが、
この洋小屋組みを確認できたので、壁を取り払い、
執務室を大きな一つの空間にすることが可能だと判断できました。

あわせて、このトラス構造も空間を特徴付ける要素として是非見せたい!
ということで、天井を取り払い洋小屋組を現すことにしました。

飯田館の天井裏から現れた洋小屋構造。

そこには何ともダイナミックな空間が出現。
空間の変容ぶりに、関係者一同一気にテンションが上がります。

現場を見ながら、
トップライトやサイクルファンの最適な位置を検討できるのもリノベならでは。

光の入り方や、空気の流れなども、机の上で考えるのではなく、
現物を見ながらだから間違いがありません。

屋根断熱と天井板を張って、部屋の奥まで陽が入り込む、
とっても気持ちのいい天井のできあがり!

新しい天井のかたちが見えてきました。

木製OAフロア

“OAフロア”っていう言葉。
聞いたことがある方は多いのではないかと思います。
フリーアクセスフロアなんて言い方もします。
オフィスにおいて、パソコンなど多くの配線を必要とする場所に設置される床のことで、
これを使えば机や家具類の配置に影響されずに配線ができて足元がすっきりします。

一般的なオフィスビルに施工されるOAフロア。

当然アソビズムも、ゲーム制作会社ですからパソコンをたくさん使います。
なので、長野ブランチにもこのOAフロアをご希望されていました。

ただ、上記のような既製品のOAフロアを使うとなると、
床仕上げはタイルカーペットかビニルタイルになってしまいます。

床がタイルカーペットでは、せっかくの木造老舗旅館リノベなのに面白くない。
まるでオフィスになっちゃう(いや、オフィスなのですが・・・…)。

ということで、アソビズム長野ブランチでは、
根太(床下地)で配線ピットをつくって板で蓋をしてOAフロアの代わりとしました。

真ん中が配線ピットになります。
そして、ピットの壁際の下階は押入れを改造したサーバールーム。

仕上げはフローリングの巾と合わせた板で蓋をしました。

根太方向を工夫して配線を通すスペースを確保。

手掛け(板を外すために指を入れる穴)兼配線出しのための穴を等間隔に開ければ、
立派なOAフロアになりました。機能的にはこれで十分。

古くて新しいオフィス

そんなこんなで、ローテク満載でハイテクIT企業のオフィスを考え、工事が進みました。
見た目は古いけど、実は近代的な、ここにしかないオフィスの完成です。

基本的には外観を変えることなく再塗装のみを施しました。

輻射冷暖房と真空ガラスの採用で、快適な執務空間。

一階はスタッフのサロンであったり、応接や地域交流の場として活用されています。

根太表しの天井は、旅館だった頃の天井そのまま。

お風呂と洗面所だったスペースはバーカウンターになりました。

014年2月14日、記録的な大雪の中、
アソビズム長野ブランチはようやくオープニングを迎えることができました。
当日は県内外から、交通機関の乱れにも関わらず、
たくさんの方がお祝いに駆けつけてくださり、
アソビズムという魅力的な企業が長野に支社をつくったというインパクトと、
そんな企業が木造旅館をリノベした建物をオフィスにしたことが
地元メディアにも大きく取り扱われたりもしました。

リノベ工事の様子は、シーンデザインのブログでも紹介していたこともあり、
うわさを聞きつけて、かつての飯田館の所有者から
以下のようなコメントをいただきました。

「飯田館は私の実家でした。数年前ある住宅会社に売却しました。
買主は解体して駐車場にすると言っていたのですが、
さっぱりその様子がなく近年は放置されているような感じで、とても心配しておりました。
少し前に地元在住の同級生から、NHKや信濃毎日新聞で
お前の実家のことが出たと知らせを受けており、
このたび貴社のHPで懐かしい飯田館の改修工事の様子を拝見し、
とても嬉しくまた安心いたしました。
いつか兄弟で生まれ変わった飯田館を見に行けることを願っています」

とてもうれしいコメントでした。

まちには、合理的でわかりやすいことだけではなく、
さまざまな割り切れない気持ちがたくさん潜んでいるのだと思います。
私たちは、そのことを、まるでなかったことのように消してしまうのではなく、
いったん引き受けてみる態度をとることは、
実はとても大切なことなのではないでしょうか。

積み重ねてきた記憶を受け継ぎながら活用していくことが、
まちの“奥行”をつくっていくのだと信じています。

information


map

株式会社アソビズム 長野ブランチ

http://www.asobism.co.jp/nagano/

大館市の秋田犬 「ののちゃん」日記 第5回 。 大館・北秋田芸術祭2014 『里に犬、山に熊。』 直前レポートですのん。

朝晩、めっきり寒くなってきましたのん。
みなさんお元気にお過ごしですか?のん。
ののはいつも事務所の、のののテラスで街の様子を
伺いながら広報戦略を考えてますのん。

秋田市のガラス工房 「ヴェトロ」の看板娘さん ムーコちゃんせんぱいとおさんぽ!

いよいよ10月4日(土)から開催される
大館・北秋田芸術祭2014 『里に犬、山に熊。』」!
ののも毎日多忙に広報戦略室のお仕事頑張ってますのん。
青森県八戸市や秋田市のラジオ(犬初!)に出演したり、
芸術祭のテレビCMにも主演で張り切りましたのん♪

八戸でラジオ出演!

CMでは、サイトウタクヤさんに作ってもらった「のののうた」をバックに
根子-ねっこ-トンネルをぴょんこぴょんこと走ってますのん。

オープニングイベントは「根子フェス2014+DOMMUNE」。
会場をいっぱい走って、オレンジ色の異次元の雰囲気を
お伝えしましたのん。ここでしか味わえない空間、
ぜひご自分の目と耳と肌で感じてください!
イベントの詳細は→こちら

会期1週間前の各展示会場では、作家さん、スタッフさん達の
設営と搬入、制作ラッシュですのん!
朝から深夜までお疲れ様ですのんのん。ののも応援でお水の
差し入れ持って行ったり、会場周辺を巡回したりしてますのん。
室長として責任意識も強くなってきましたのん。

大館エリア:「栗真由美×街の記憶「builds crowd」」ごくろうさまです!お水をどうぞ~!

大館エリア:ののパパの展示会場、正札竹村前ここでは10/4にどなたでも参加できるストリートスナップの撮影イベントもやりますよ!

大館エリア:「藤浩志×秋田犬×こどもの遊び場」 ののも遊びたい!

【ののからのお知らせ】
大館・北秋田芸術祭 全国公募展では、
「のの」をテーマにした作品展も開催します。締切は10月7日(火)まで!
みなさん、ののの作品~絵、ぬいぐるみ、お菓子、お洋服、写真~なんでも
お待ちしておりますのん。全国公募展以外の作品展もあるので、
いっしょに楽しんで欲しいですのん。

■芸術祭全国公募展 公開講評会
ゲスト講師があなたの表現に向き合い対話する公開講評会!
日時:10月13日(月・祝)11:00-
会場:大館市樹海体育館
講師:藤浩志(美術家・十和田市現代美術館 館長)
中村政人(アーティスト・東京藝術大学准教授)

■ポコラートシンポジウム
日時:10月13日(月・祝)14:00-
会場:大館市樹海体育館
同時開催:生(き)の芸術・展
同時開催:ポコラート宣言2014/大館展

こちらは、先日の東京出張でパトリシア・ピッチニーニさんの
作品「Skywhale」と記念撮影パシャリしましたのん。でっかいのん!
左がパトリシア・ピッチニーニさん。
秋田でもおっきなクジラさんが飛ぶの!楽しみですのん。

「パトリシア・ピッチニーニ×環境」 巨大なクジラが景色とコラボ。
会場:北秋田市 阿仁合/阿仁河川公園
時間:10月4日(土)/10:00〜14:00 16:30〜20:00
   10月5日(日)/10:00〜17:00
会場:大館市 桂城小学校グラウンド
時間:10月11日(土)、12日(日)/10:00〜14:00 16:30〜20:00
   10月13日(月・祝)/10:00〜17:00

まだまだ、みなさんにお伝えしきれないイベント・展示がありますのん。
次回は、会期中の様子をののがしっかりと報告いたしますのん。
お楽しみに~ののん。

大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」
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ゲストハウスに長屋、 緑豊かな庭に交差する それぞれのストーリー。 HAPS vol.2

HAPS vol.2
空き家だったお屋敷が、ゲストハウスとアーティストのアトリエへ

京都市東山区、HAPSのオフィスからも徒歩10分くらい。
清水寺や三十三間堂にも近く、五条通りと東大路という
観光客の行き交う大きな交差点から路地を少し入ると、
「常松庵」という看板がかかった日本家屋が見えてきます。
敷地の中に入ると、目に飛び込んでくるのは中心にある緑濃い庭です。
約400坪という、常松庵の広い敷地には池泉庭園を囲むように、
母屋であるおよそ築100年ほどの日本家屋や、
さらに、築100年ほどの長屋5軒も並んでいます。
庭の一角には小さなお稲荷さんも祀られています。
入り組んだ路地に沿って細長い町家が並ぶこのエリアで、
池を伴う広い庭園があるのもなかなかない物件です。

これらの建物が10年以上ほぼ手つかずのまま空き家となっていたところを、
昨年末にこの物件に出会った女性が、今年に入ってから改修に取りかかり、
母屋は2014年8月にゲストハウスとしてオープン。
長屋には、HAPSのマッチングで、春から夏にかけて、
この場所に惹かれたアーティスト2名が入居しました。
自分たちでリノベーションをしつつ、暮らしています。
ちなみに、そのうちのひとりは、
前回紹介したHAPSの壁づくりワークショップをはじめ、
脚本執筆から映像・舞台制作、アート媒体の編集など、
多方面で活動しているアーティスト、山田毅さんです。

常松庵を運営する大門さん。この日は庭の池近くに、ススキを植えたばかり。

常松庵全体の借り主となり、賃貸や宿泊施設の運営を行うのは、
HAPSのオフィスのご近所、松原通りで
おばんざい屋「ゆたか屋」を営む大門美鈴さん。

大門さんは、もともと賃貸業を手がけていましたが、
ご家族や生活の変化を経て夢を追いかけていこうと考えていたころ、
この場所に出会いました。
それが、ちょうど1年前の2013年夏。
最初に常松庵を見たとき、ジャングルのように生い茂った庭と、
古い家財やごみ一杯のお屋敷の中で、光が見えたそうです。
「夢がここにあった」と。
古いものが好きで、ガーデニングの資格も持つ大門さんにとって、
古い家がそのまま残され緑豊かな日本庭園がある常松庵は理想的な物件でした。

年明けて2014年1月から、庭や建物の片付けを開始。
母屋を宿泊施設として稼働すべく、
春から工務店による改修工事が始まりました。
自身も、それまで住んでいた高雄の古民家から、常松庵の住居に移りました。

部屋を仕切る襖を壁に作り替え、客室を確保。
浴室や洗面所を新設して宿泊施設として改修していきました。
バリアフリーに対応するよう手すりも設置。
5月頃からは、草取りにはじまり、
毎日庭の植物に手を入れ、石を並べ玉砂利を敷き、整えていきました。
約半年の改修期間を経て、ゲストハウス「常松庵」として無事オープン。

改修中、近くに住む大家さんが見にいらして、
「こんなにきれいにしてもろて」とおっしゃったり、
ご近所の方々からも「是非中を見せてほしい」
と言われているところだそうです。

当初の状態からは見違えるような、
しかしおそらくは、建物や庭が本来持っていた力が見事蘇り、
新しい住人たちとともに新たなサイクルが始まっているようです。

かなりの大事業となった改修ですが、
「私たちが楽しんでいればそういう場所になっていくと思うし、
縁があって集まった方を大事にしたい」と語る大門さん。
実際に、緑豊かな庭を眺めながらお話していると、
時を忘れてしまうような独特の空気に満ちた空間です。

一方、長屋の一角に住みながら、現在も改修を自らの手で継続中の山田毅さん。
東京都出身で、京都に移り住んでからはまだ1年半ほど。
常松庵以前は二条城近く、京都タワーと大文字山も見通せる、
眺めのよいマンションに住んでいました。
2014年の年明け頃、心境の変化もあって環境をがらっと変えてみたいと、
HAPSにご相談いただきました。

現在の山田さんの住居部分。前に広い屋根付きスペース、奥に工房スペースがある。

実は、山田さんから相談を受けた時期に、
HAPSでもちょうど大門さんから「面白い場所を見つけたの」
と、常松庵のお話をいただいた頃。母屋はゲストハウスへの改修を考えていて、
同じ敷地にある長屋は活用方法を検討中でした。
5軒ある長屋のうち東側2軒は、
倉庫として使われていた土間のスペースが隣接。
「生活とともに手を動かせる場所、作品をつくれる工房を探している山田さんに、
うってつけなのでは」と、早速紹介しました。
最初の見学で、山田さんも「ここだ!」と直感的に感じたということで、
トントンとお話が進みました。
HAPSにとっても、ご近所にまたひとつ面白い場ができていく、
嬉しいマッチングとなりました。

改修前の台所の様子。

床の表面を剥がしてやすりがけし、明るくなったキッチン。業務用冷蔵庫も導入(2014年7月)。

京都ではまだ寒い春、4月を待って山田さんは引越し。
その前に、まずは寝室となる和室の床から、リノベーションを始動。
前回の記事にも登場いただいた、建築士の木村慎弥さんとともに、
作業を進めていきます。
改修にあたっては、「作品としての家づくり」ということを考えたそうです。

普通にしない。世界観のカタチ化。

住まいとしての構造はしっかり保ちつつ、意匠の部分は、
不便だったり時間がかかったりしても、面白いことをしてみようと。
そこで、本来ならば新しい床板を張ってしまうような台所も、
元の駆体を生かしつつ、
床をディスクグラインダーで丁寧に剥がして、
ガラスショーケースの業務用冷蔵庫を設置しました。

和室の床の構造をつくり直す。

和室の畳を上げると、床がシロアリに食われて、
ダメになっていたので、床下から手を加えました。
壁には作品を掛けられるよう、板を貼り重ね、壁を厚くして白く塗装しました。
電気工事も入れて、エアコンを取り付けました。
この工事は結構大変で、業者に依頼しました。

続いて、もともとは陶芸職人の倉庫として使われていたという、
隣接する土間スペースも、不要物は取り除き、徐々に工具などを導入して、
工房として機能し始めています。
このあたりから、つくりながら生活するカタチがなんとなく見えてきたようです。

寝室の壁面を新たにつくり、ペンキを塗る山田さん。(2014年7月)

最初に整った寝室部分。周りにはものづくりをする人たちが多いので、新たにつくった白い壁は作品展示スペースに。

住居に隣接する土間スペースは工房へと改修。

山田さんに今後のリノベーション計画を尋ねると、こんな答えが。
「今は自分が生活する最低限のスペースが完成しただけなので、
自分の周りにいる好きな作家さんの作品などをきちんと飾ったりして、
もう少し手を入れてお客さんを招ける家にしたいです。
この空間を生かして展示や、ワークショップなども開催したいし、
もっとこの場所を知ってもらいたいですね」

さらに、常松庵に住み始めてからの変化として、
家づくりを一緒に行った建築家の木村さんと、
同じ景色を見ている」というユニットでも動き始めました。
何かを「つくること」が身近になり、
個人での制作だけでなくワークショプなど活動の幅が広がったと言います。
山田さんは、実家は材木屋さんで幼い頃から工作に親しみ、
長じては映像や舞台の制作を手がけ、進学した美術大学では、
物語を空間に落とし込んで表現する作品制作をしていた山田さん。
「古いものに宿るストーリー性をカタチにしたい」
と最近は考えているそうで、
これにもまた常松庵での暮らしも少なからず寄与しているようです。
母屋の改修時に出た廃材や敷地内にあった古い家具などを貰い受け、
それらに手を加えて、新たな「もの」として活用することも計画中。

敷地内で見つけた古い階段を利用し、育てているハーブをディスプレイ。

山田さんは、ここに移り住んでから、
大門さんの「ゆたか屋」によくご飯を食べに行くようになりました。
そこで、私たちHAPSスタッフとばったり顔を合わせることも。
また、大門さんから家庭菜園の野菜をいただいたり、
庭木の剪定をお願いされたり、
先日も常松庵ウェブサイト用の写真を撮影したり。
敷地内にいる人々と日常的に会話があり、交流があるというのは、
今までの生活にはなかったことで、それが刺激的であり、
この場所の魅力なのだそうです。
さらにはゲストハウスもあるので住人以外にも、
たった数日だけここに滞在する人や、ロングステイで長く滞在する人もいます。
7月に来日したグアドループのアーティストも1か月滞在していました。
生まれた国もここにいる目的も違う人々がすれ違う、
交差点に立っているような感覚もまた面白いと、
常松庵での暮らしを楽しんでいます。

ウェブサイト用に写真撮影中の山田さんと常松庵マネージャー・水野さん。

庭木の葉が色づく頃、観光シーズンの京都で、
常松庵もこれからまた多くのゲストを迎えるはずです。
蚊が少なくなったら、庭でハンモックを吊るしたいと、
大門さんは計画しています。山田さんの住まいはどう変化していくのでしょう。
この豊かな場所から生まれるものや出会いを、
私たちもこれからも見守っていきたいと思います。

information


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常松庵

住所:京都市東山区慈法院庵町594-1
TEL:075-525-0811

http://joshoan.com

料理も家も、生活まるごとDIY! みんなの食堂のような空間です。 MAD City vol.12

MAD City vol.12
マンションのなかに「食堂」を作りたい!

大がかりな工事ではなくとも、ほんのちょっとの工夫で部屋の雰囲気をガラっと変える。
それが、DIYの特徴でもあります。
MAD City最終回となる今回は、
「まったく変哲のない部屋も、DIY次第で部屋の雰囲気だけでなく、
その部屋の持つ役割も大きく変えてしまう」という事例をご紹介したいと思います。

今回登場するのは、フードユニット・Teshigotoの古平賢志さん。
古平さんは、コロカルでもご紹介した「MAD マンション」の住人です。

彼はもともと彼はもともと飲食業界のサービスマンで、
現在はフードコンサルタント、プロデューサーとして、
飲食店のコンサルタントやケータリングのお仕事をしています。

MAD Cityでは、「食」のプロフェッショナルである古平さんと、
さまざまなイベントを開催しています。
たとえば、今年3月に開催したのは、発酵食品を自ら作るイベント「MISO WORKSHOP」。
これは、古平さん(Teshigoto)たちと一緒に、
味噌をはじめとした発酵食品を作るというワークショップでした。

MISO WORKSHOPの最後には、お弁当を持って、参加者みんなでお花見にいきました。

「食べものを作ることも、DIYのひとつだと思うんです。
だから、日頃はお店から買ってきてしまいがちな味噌などの発酵食品を、
自分で作る……という体験をしてもらいたいな、と。
味噌のほかに、キムチやベーコンなんかも作りました。
添加物たっぷりだけれども安価に売られているものを買うのと、
昔みたいに全部自分たちで手作りしてみるのは全然ちがう。
もちろん毎回やるのは大変だけれども、
たまにこういうワークショップを通じて、
かつて料理をなんでもDIYしていた時代のことを、
ほんの少し思い出してみるのもいいんじゃないかなって思ったんですよ」

そして、こちらはMAD Cityの物件のひとつである「FANCLUB」にて。
ビルのオーナーさんがおこなったパーティーでも、
Teshigotoさんがお料理を作ってくれました。

当日の様子。

ほかにも、同じくイベントスペース「FANCLUB」を使って、
MAD Cityが定期的に行っている「MAD Cinema」でも、
Teshigotoさんに映画をイメージするお料理を作ってもらっています。

5月にバンクシーの『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を上映したときは、特製スパイシーチリドックとピクルス、オリジナルのコールスローを作っていただきました。絶品!

群馬県出身だという古平さんが松戸に住み始めたのは、2012年12月頃。

「松戸に住み始めたのは、友達が住んでいたというのがひとつ。
あと、もうひとつはMAD Cityのように、
『地元民じゃないけれども、そのまちを使って面白いことをやりたい』
という人たちが集まっている場所だな、と思ったんですよ」

MAD Cityが運営する「MAD マンション」は、DIYがOKな物件なので、
住民それぞれの個性が非常に部屋に反映されます。
そんななか、食のプロフェッショナルである古平さんの部屋は、
まさに「バー」のような空間にリノベーションされました。

古平さんの住まいは、もともとはこんな感じのお部屋でした。

真っ白なシンプル空間には、いつしか木製のカウンターが!
これは、以前ご紹介した建築家の西尾さんが作ったカウンターバーです。

実はこれ、屋外のイベントで使用していたものですが、
組み立て式なので、簡単に移動できるカウンターなのです。
「イベントだけで使うのはもったいないので、そのまま部屋に再利用しました」

使用したイベントでの設営時の様子。

台所には所狭しと食器や調味料が並び、
洗面所への入り口となるドアは、黒板になっていて看板のような印象も!

もはや、完全にお店にしか見えないこの部屋。
それゆえ、仕事帰りや土日などには、このバーカウンターの周辺に、
MADマンションの住人たちが集まってくるそうです。
MAD Cityのメンバーも時々お邪魔しています!

そして、奥の部屋はたくさんの観葉植物にソファと、まるでカフェのような佇まい。

「この部屋には本当にいろんな人が来るので、
部屋のなかはできるだけ生活感を排除しているんです。
テレビもないし、無駄な雑貨もおきません」
また、アウトドア好きな古平さんの趣味が高じて、なぜか壁にはボルダリングが!

山登りが趣味だという古平さん。それゆえ、部屋のテイストは「山小屋風」。

「これはベニヤ板を貼った上に、ボルダリングのネジを打ち込んでいます。
そして、友達を呼んで、一緒にのぼってみたり(笑)。
ベニヤを壁の上から貼っただけではありますが、
意外と頑丈で耐久性があるので、全然問題ないですよ」

癒され空間+エンタメ要素抜群なこの古平さんの部屋は、
実はMADマンションの住人にとって「食堂」的な機能も兼ね備えているんです。

「ひとり暮らしだと、あまり料理しませんよね。
だから、みんな、実家から野菜なんかの食べ物が送られてくると、
僕の部屋に持ってきて『なにか作ってくれ』というんです。
そういうときは、メーリングリストを回して、
『週末に○○さんのところからもらった野菜を使って料理をするので、
良かったら来ませんか?』と食事会のお誘いをしています」

誰かが来たら、いつでも快く迎えてくれる古平さんの部屋。
あまりの居心地の良さに、ついつい長居してしまう人が多いのも頷けます。
でも、本来、部屋というのはプライベートなもの。
それをいつもほかの人に開放するのに、抵抗感をもったりしないのでしょうか?

「このマンションに住む人は、デザインができる人、イラストが描ける人、
美術家、家具をDIYする人それぞれにさまざまなスキルを持っている人が多いんです。
だから、ちょっとなにか困った時には僕もそれぞれの専門家に相談しにいきます。
住む人それぞれで役割分担ができているなかで、僕の担当は『食堂』だと思っている。
だから、ほかの住民に自分の部屋をシェアするのは、全然問題ないんですよ」

そして、先日このMADマンションを使って行われたのが、
「SUNDAY BEER GARDEN」。
日頃、使われずに放置されてしまっているマンションの屋上。

“このスペースはもったいない! それをなんとか有効活用できないか”
と考えた末、我らがMADマンションの屋上を使って、
ビアガーデンを開催することになりました。
MAD Cityが屋上使用のルールを作成。
ビルのオーナーさんと近隣住民の方に許可を取り、
Teshigotoさんが主催者となって作るオリジナル料理とビールを楽しみました。

当日のビアガーデンへの入り口はこんな感じで。

「実際に住んでみて思いましたが、松戸の地元民や行政の人たちは、
本当に僕らの活動に寛容なんですよ。
ほかの地域だったら断られそうなことも、OKしてくれることがある。
『まちを使ってこんなに遊ぶことができるんだ!』と、驚くことも多いです。
現在、MAD Cityに関わっている人の半数以上が、地元民以外の人々だと思うんです。
ひとりではなにもできないかもしれないけれども、
みんながそれぞれ役割分担することで、
大きななにかを作っていくことができる。
地元民の方、MAD Cityの人たち、そして松戸に興味を持ってくれる人たち。
みんなの工夫でもって、まちを作っていけたらすごく楽しいですよね」

今回で最終回となる本連載ですが、Teshigotoの古平さんをはじめ、
この連載に登場してきてくださったクリエイターの方々と一緒に、
MAD Cityではさまざまな取組を考えています。
「DIYをしたいけれども、どうすればいいのかわからない」
という人のお手伝いをしてみたり、
ほかのまちではできないような面白いことを松戸でたくさんやっていきたい。

そんな僕らの様子をみて、ちょっとでも松戸やDIYに興味を持ってくださる方がいたら、
ぜひいつでも松戸に遊びに来てくれたら嬉しいです。

なお9月末からMAD Cityではこれまでの連載に登場した入居者たちが参加する、
DIYでのリノベを広めたり施工を請け負ったりするプロジェクトを開始します。
9月28日(日)には物件ツアー&ワークショップを予定しています。
次回は、10月19日(日)。今後の活動もどうぞお楽しみに。

高知大学に新学部「地域協働学部」開設。日本が抱える地域課題を解決する担い手を育成。

日本全国で課題となっている、少子化による大学改革。
このたび高知大学では、平成27年4月1日より38年ぶりとなる
新学部「地域協働学部」を開設することを発表しました。
この学部は、少子高齢化、産業の脆弱化、中山間地域の疲弊など、
高知県が抱える「地域課題」を解決する担い手の育成が目的です。

育て上げるのは、下記のような人材。

・生産、加工、流通販売を一体化させた新ビジネスを起業して活躍する人材
・住民と一緒に地域の暮らしと文化を支える担い手となる人材
・産官及び官民の協働をコーディネートして行政施策を推進する人材
・住民と一緒に地域の暮らしと文化を支える担い手となる人材

これは頼もしいですね!

大学の学部のロゴを新たに制作するなど、デザインに力を入れています。ブランドブックの制作を手がけるのは「トレードマーク高知」。

このような複合的な能力を持つ人材の育成のため、
経済学・経営学分野、社会学分野、教育学分野、農学分野など
多彩な分野をカバー。またカリキュラムは講義科目、演習科目、実習科目で構成。
県内各地でフィールドワークも実施します。
地域課題解決の現場を直接体験し、
地域への愛着や誇りを育てる教育を実践するんだそう。
そして、地域コミュニティの再生、商店街の活性化、地場産品を生かした
商品開発など、学生自らが企画を練り上げ、地域住民と協働しながら、
組織・人を動かす力を身につけていく...とのこと。
どんな人材が生まれるのか、いまから楽しみです。
地域協働学部のブランドブックはこちら

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新学部『地域協働学部』(平成27年度設置認可申請中)について

「旭川食べマルシェ」が東新宿ローソン内に本日オープン! 北海道旭川市のアンテナショップ

各都道府県や地方自治体の選りすぐり商品が並ぶアンテナショップ。
実はコンビニ「ローソン」内にも
いくつか併設されている所があるのをご存知でしょうか?
参考:「24時間あいてるアンテナショップがある」-デイリーポータルZより-
そして本日、東新宿駅直結のローソン新宿イーストサイドスクエア店に
北海道旭川市のアンテナショップ「旭川食べマルシェ」がオープン!
アンテナショップを併設しているローソンはこれで8店舗めになります。

お店のディスプレーは旭山動物園をイメージ。白くまやゴリラが迎えてくれます。

旭川市とローソンの方々による除幕式がおこなわれました。旭川のキャラクター「あさっぴー」と、ローソンのキャラクター「ポンタ」もかけつけました。服の模様がそろってますね!

店内入ってすぐのところに、80品目ほどの商品が並びます

もちろん旭川ラーメンも!

大人気の旭山動物園の関連グッズも!

場所は外国の方も多いというオフィスビルや飲食店が並ぶ駅直結の好立地。

店内には地元でも人気の商品が並び、
また旭川市やその周辺の情報が得られるようにと
観光情報ラックが設置されています。
今後商品は随時かわっていく予定で、
品揃えによって旭川の四季を感じたり
より多くの人に旭川の美味しいものを広めていきたいとのことでした。
地元でしか味わえないものが手軽に、
しかも24時間楽しめるのは嬉しいですね。
新宿に行った際はぜひ寄ってみてください!

おすすめは旭川の人は必ず食べたことがあるという「カステーラ」(税抜80円)。開店記念にいただいちゃいました。

柔らかくて甘くて素朴な味。牛乳と一緒に食べたい!

■店舗概要
店舗名 :ローソン新宿イーストサイドスクエア店
店舗住所:東京都新宿区新宿6-27-30 B1F

ローソン アンテナショップ一覧

番外編: 大館市の秋田犬「ののちゃん」が 秋葉原にやってくる! のの2回目の東京出張。

こんにちのん!大館は朝晩10度を切ることもあり秋の訪れを実感しておりますのん~

さて突然ですが、のの2回目の東京出張決定!
9/21(日)19時~の「いぬくまナイト」に登場のん!
場所は秋葉原と上野の間にある3331 Arts Chiyoda。
秋田の美味しいお酒とののも大好きなきりたんぽを
ご用意しておりますのんでお越しくださいのん♪
「いぬくまナイト」の前には大館を舞台とした映画「断層紀」
上映もありますよ!こちらにものの行くかも~

編集部より:
ののちゃんが出演するイベントは、
大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」開催の プレイベント。
芸術祭参加アーティスト佐藤直樹さんと、統括ディレクター中村政人さんのトーク。
大自然に囲まれた北秋田会場でのリサーチや、
そこから生まれた作品についてなど、その土地ならではの表現に挑む
アーティストの姿も明らかに!
さらに!最近発表となった「のののうた」も東京初披露!
すくすく大きくなった“のの”ちゃんは早くも生まれて8ヶ月。
みなさまに会えるのを楽しみにしています!
それでは、秋田でのののちゃんの生活をお写真でお楽しみください。

芸術祭参加アーティスト、日比野克彦さんの魚座造船所制作をみてきたのん!
おっきなおふねができてきてましたよ!

芸術祭のオープニングをかざるDOMMUNE会場を視察! このトンネルの中で..?!

芸術祭のテーマである「正札竹村デパート」をバックに。

芸術祭の会場を見学のん

東京に行く前におめかし

大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」 プレイベント

映画「断層紀」上映+秋田犬ののと触れあう「いぬくまナイト」

日程:2014年09月21日(日)

時間:19:00-21:00

料金:参加無料/飲食代別途

会場:東京3331 Arts Chiyoda 1F ラウンジ

内容:中村政人×佐藤直樹 アーティストトーク/秋田犬ののとのふれあい/
ののソング「のののうた」発表などなど盛り沢山

Web:http://www.3331.jp/schedule/002580.html

ゼロダテ秋田犬「のの」

青森発・農業活性化アイドル「りんご娘」。身長シャキーン!津軽弁でりんごの魅力を伝える

本州最北の県、青森県の津軽に、
個性的なローカルアイドルユニットがいます。
その名も農業活性化アイドル「りんご娘」。
まずはこちらの動画をご覧ください。



身長シャキーン!といっているのは、
身長170cm、股下85cmの長身ユニットだからだそう。
りんご娘は2000年に結成。
その後何度か代替わりをへて、
2013年4月から現在のメンバー、ときさん(16)と王林さん(16)に。
NHK「恋する地元」キャンペーンの青森県代表や、
FM青森の「ラジmott!」、
FMアップルウェーブの「なんぼめじゃ!アポーパイ」
などで活躍しています。

彼女たちの津軽弁にとっても癒されてしまうのですが、
こちらのビデオでは、さらに本気の津軽弁を披露!

津軽弁はフランス語に似ているといわれていますが
たしかに外国語のよう。
地元愛も伝わってきます!

左からりんご娘のときさん、王林さん 撮影: 藤代雄一朗

お二人は、ほとんどの活動を地元で行っており、
市町村のイベントに出演することが多いせいか、
おじいちゃんやおばあちゃん、農家の皆さん、
小さなお子さんからも人気があるそう。
ほんとうに青森を元気にするために活動している、
正真正銘の農業活性化アイドルなんです。

さらには、妹分ユニット「アルプスおとめ」も!

アルプスおとめ 撮影: 藤代雄一朗

彼女たちは、りんご娘さんが行っている地元施設へのボランティア慰問や
イベントステージなどでバックダンスをこなしています。

ぜひ青森で会ってみたいアイドルたちですね。
りんご娘とアルプスおとめを応援したい!という方は
オフィシャルサイトをチェックしてみてください。
りんご娘オフィシャルサイト
FACEBOOK

写真提供:藤代雄一朗(ringo-a.me

勝手に作る商店街サンド: 島根県・浜田駅前編

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。

以前東京の3つの商店街(戸越銀座、麻布十番、巣鴨)で試してみたところ
どれも個性的なサンドイッチができあがり、感動するほど美味しいものができたので
それを日本各地の商店街でもやってみよう、というのがこの連載の趣旨である。
また、美味しいものが食べられるだけでなく
同時にまちの様子を知ることができるという一挙両得の旅でもあるのだ。

こちらは戸越銀座サンドイッチ。「商店街で勝手にサンドイッチ作っていくと美味しい」-デイリーポータルZより。

石見神楽がさかんな浜田で作る。

記念すべき第一回目は、島根県の浜田駅にやってきた。
アンパンマンに匹敵するほど子どもが夢中になるという
珍しい伝統舞踊「石見神楽(いわみかぐら)」がさかんな地だ。

石見神楽は古事記や日本書紀を原典とした舞で、
ストーリーを知らずとも、そのきらびやかな衣装(全てがオリジナルの特注品)、
テンポの速いお囃子、舞子の激しい動きにどんどん引き込まれる。
神社の祭壇やイベントホールなどで毎週のように行われるので
石見地方に行ったら必見の催し物だ。
ちなみに演者はみな別の仕事を持っていることもあり、
夜8時以降に行われることが多いのも特徴。

写真を撮っていたらちょうど手前にある仕掛け時計が動きだした。

子どもからおとなまで夢中になる「石見神楽」のミニチュア。かわいい。

本物はすごい迫力! こちらの演目は「大蛇(おろち)」。広い会場では大蛇がもっと増える。

笑いと拍手が絶えない演目「恵比寿さん」。伝統芸能でこんなに笑いがおこるのは珍しいのでは!?

「ニンジャファンプロジェクト」始動! 忍者の里、滋賀から始まるローカル・カルチャー発信企画

ただいま、滋賀の琵琶湖のほとり、大津市の「大津パルコ」にて、「大津パルコに忍者参上!」
という“忍者”をキーワードにしたイベントが開催中。
パルコを舞台に、忍者にちなんだマルシェや謎解きゲーム、
トリックアート、忍者メシの提供などが行なわれるバラエティに富んだ催しです。

甲賀(滋賀県)・伊賀(三重県)で誕生し、
映画やアニメなど様々なカタチで世界から注目される忍者。
でもこれまで、地元では忍者が注目されることは少なかったんです。
これじゃもったいない、盛り上げていこう!ということで今年、
滋賀のローカルメディア「しがトコ」が主体となり、
忍者を発信していく「NINJA FUN PROJECT」が始動。
このイベントは活動における初のイベントなんです。

トリックアートで記念撮影!

「大津パルコに忍者参上!」では、
隠された文字を集めて秘密の暗号を完成させる「忍者ナゾ解きゲーム」や、
JR甲賀駅の「忍者だまし絵」を再現した「忍者トリックアート」のほか
館内にあるレストラン・カフェでは「忍者メシ」と題し、
8店舗にて趣向をこらしたメニューが登場します。

巨大忍者バナーがお出迎え。

ナゾ解きゲームをクリアするともらえる「忍者てぬぐい」。先着順です。

忍者が好んで食べたとされる「黒胡麻」など黒い食物を使ったグルメや、忍者にちなんだメニューが、大津パルコのレストラン&カフェに登場。

さらに9月20日(土)、21日(日)の2日間は、大津パルコ円形広場にて
「忍者マルシェ」を開催。甲賀市観光協会の協力のもと、日本酒「特別純米 忍者」や
甲南PAで人気の「黒影米」など、忍者にちなんだアイテムや、
甲賀ならではの物産が勢揃いします。
開催は23日まで!

大津パルコに忍者参上!
期間:2014年9月13日(土)~23日(火・祝)
時間:10:00~20:30
場所:大津パルコ 館内

木造の学生アパート 「萩荘」で始まったこと。 HAGISTUDIO vol.1

HAGISTUDIO vol.1
学生時代に住んだ木造アパートをリノベーション

みなさんはじめまして! 私は東京の「谷中」という地域で、
「HAGISO(ハギソウ)」という施設を運営しています、宮崎晃吉(みつよし)と申します。
HAGISOは、私がもともと住人として住んでいた木造アパート「萩荘」を改修し、
「最小文化複合施設」としてリノベーションした場所です。
小さな木造アパートながら、ギャラリー、カフェ、レンタルスペース、
美容室、アトリエ、設計事務所が複合した施設になっています。
HAGISOを始めたことによって、日々さまざま人たちとの出会いがあり、
実に賑やかな(ハプニングも含めて)毎日を過ごしています。

今回の連載では、この施設を中心に私が今感じていることをゆるーく、
またできるだけ脱線しながらご紹介できればと思っています。
第1回の今回は、萩荘時代から、HAGISOへと生まれ変わるきっかけとなったイベント、
「ハギエンナーレ2012」までの経緯をご紹介します。

はじめに簡単に自己紹介しますと、私は1982年群馬県前橋市生まれ、
大学進学のために上京して以来東京には14年間住んでいます。
大学は東京藝術大学建築科に一浪して入学し、大学院修了後、
アトリエ系設計事務所に勤めました。
大学院から社会人として働いていた間、住居として住んでいたのが「萩荘」です。

昭和の空気が流れる下町・谷中

まず、萩荘のある「谷中」という地域についてご説明しなければなりません。
谷中は東京の東側、上野の少し北にある地域です。
江戸時代、上野には江戸の鬼門の方角を守るために置かれた寛永寺がありました。
この巨大な寺の子院が点在する地域として、谷中には今も多くの寺が残っています。
また、震災、戦災を逃れ多くの古い建物や路地が残る東京でも貴重な地域です。
大きな街道などはかたちを変えてしまった今でも、
江戸時代の地図にぴったり合うような路地が多くあるそうです。
商店街が未だに元気で、特に「谷中銀座商店街」には多くの小売店が残っており、
地元の人に愛されています。
また、東京藝術大学(以下芸大)や東京大学から近く、学生も多く住んでいます。

谷中とその周辺。

住み継いできた、約築60年の「萩荘」

萩荘は谷中銀座商店街から一本路地を入った静かな住宅地にあります。
1955年、物資も少なかった戦後まもない時期に竣工した、
木造2階建ての賃貸アパートです。
典型的な中廊下型の共同住宅で、各部屋が六畳の単位で構成され、
それぞれ四畳半の畳部屋と半畳ずつの玄関、収納、手洗いを持っていました。
当初は1階7部屋、2階も7部屋の計14部屋に分かれていたそうで、
そのころの鍵束は、今でも残っています。

芸大の建築科の学生連中がここに住み始めたのは2004年の春ごろで、
空き家として誰も住んでいない状態だったところを、
大家さんに交渉してお借りすることになったそうです。
私は2006年頃から合流しました。
家は人が住んでいないと、それだけで劣化が進みます。
日々のメンテナンスがなされないことや、
室内の湿度調整がされないことで内装から徐々に構造まで蝕まれます。
そんな状況よりはマシだろうということで、
学生連中に破格の家賃で貸していただけることになったわけです。

改修前の萩荘の外観。

私たちが使い始めた時、萩荘にはすでにいくつかのリフォームが施されていました。
学生たちが住み始めた2004年以降、床の仕上げや間仕切壁に手を入れ、
自分たちなりに改修を施して使っていました。
近くの芸大の学生を中心に5〜6名が多少の入れ替わりを経つつ住み継ぎました。
共用のアトリエ、食堂、座敷が一階に設けられ、
その他の部屋は各住人の個室として1階2部屋、2階に4部屋用意されました。

住人のひとり。

共用のアトリエ部分。

萩荘に実際に住んでいたのは5〜6名でしたが、
住んでいた連中のオープンな気質もあって、さまざまな人がここを訪れました。
なかには何日間も入り浸って住人然としている者もいましたし、
住人は基本的に鍵もかけず生活していたので、
帰ってくると誰かの知人の知人(つまり他人)が
宴会をしていたということもしょっちゅうでした。
実際、あまりに無防備すぎて空き巣が入ったことも何度かあったようでしたが、
誰も気づかず後で警察の方に教えられるといった始末でした。

個室はこんなかんじです。

2階廊下。

震災後に決まった、萩荘の解体

2011年3月11日、東日本大震災が起きました。
東京谷中のこの地区も大きな揺れを感じ、
まち中も道端の塀がくずれたり屋根の瓦が落ちたりといった被害がありました。
萩荘自体は目立った損傷はありませんでしたが、
以前からの設備関係の老朽化が限界に達しており、
今後のことを案じた大家さんより、解体の方針を伝えられました。
解体の後は、しばらくは駐車場として使用するとのことでした。

我々入居者はほとんどが大学を卒業して働いていましたし、
僕は既に萩荘に7年も住んでいましたので、解体には納得していましたが、
みな何か最後に記念となることをしたいということは共通で思っていました。

ところで、こう考えたのには先だってきっかけがありました。
それは、萩荘解体計画のちょうど1年前、近所の銭湯が解体され、
分譲住宅になってしまったことでした。
近所のひとたちからも、また我々萩荘の住民からも愛されていた銭湯でしたので、
それが突然なくなってしまったことに私たちは非常にショックを受けました。
建物の突然死です。

こんな経験を経たことで、愛着をもった場所に対して、
きちんと別れを告げるセレモニーの必要性を感じるようになったのです。
そんなことを住人でいつもの行きつけの居酒屋で話しているうちに、
酒の席のノリで開催することになったのが「ハギエンナーレ」でした。

共用で使っていたダイニング。

建物をまるごと、展示空間に。

ハギエンナーレは、名前はふざけていますが、
内容としては真剣に大家さんに対して最後のお願いとして申し出たイベントでした。
2012年の2月までに全員退去するという約束でしたので、
その後の2月25日から3月18日にかけて、
入居者や萩荘に入り浸っていた芸大生たちによって、
萩荘全体を使って展示をするというものでした。
建物の解体を前提とした展示でしたので、
基本的に復旧を考えず建物そのものに手を入れるという方法としました。
つまりなんでもアリです。

来場者にとっては建物や空間自体を記憶する機会となり、
この瞬間ここでしか体験できないものとなると考えたからです。
総勢20名以上の作家によって、建物のあちこちに作品が存在する、
もしくは建物が作品化している光景を目にすることができました。
柱を彫刻したり、壁に崩壊寸前までビスを打ち続けたり、
逆に壁の傷や穴をすべてカラー粘土でふさいだり、
床を壊して吹き抜けにして鳥小屋に改修したり、2階廊下に土を撒いて植木を植えたり、
といった作品は、平凡な木造アパートに最期の一瞬の華やかさを与えているように見えました。

「土壁x萩荘のビス」平川祐生 xヒラカワアツシ/もともとの土壁に何千本ものビスを円形状に打ち込んでいる。ビスによって壁が崩壊しつつ保持されている。ビス頭への光の反射が美しい作品。

上2点「最後の住人」宮崎晃吉/2階床を解体し吹き抜けとした空間に金網を張ることで、数匹の文鳥のための大きな鳥小屋とした作品。住人の使用していた家具の上に鳥の痕跡が蓄積されていく。

ハギエンナーレがスタートすると、毎日交代で受付をし、わざわざ来てくれた方や、
たまたま通りすがった方と話をしながら、この場所のいきさつや思い出を聞くことで、
地域の方とのコミュニケーションのきっかけともなりました。

「仕上」酒井真樹/棚を取り付けるビス跡や、エアコンのダクト穴など、居住している間に残った部屋の穴にカラー粘土を詰めてフラットな状態に補修していくことで、かえって痕跡が浮かび上がる作品。

「わっかっか☆」間宮洋一/実際に住人が住んでいたピンクの部屋に、さらに装飾を加え、部屋に化粧を施すことで祝祭的な空間に仕立てた。

「窓x不完全な模様」平川祐生 xヒラカワアツシ/古いアパートによく見られるくもりガラス表面に樹脂を水平に硬化させることで、透明度が変化し、窓の中の窓のように隣の公園の風景を取り入れる作品。

「Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs?」AKI INOMATA/ヤドカリが自分の殻から作家の制作した樹脂製の殻に「引っ越し」をする映像が、さまざまな住人を受け入れてきた萩荘の存在を連想させる作品。

facebookやTwitterでの必死の告知や、
いくつかのweb上のメディアにとりあげていただいたこともあって、
ハギエンナーレには私たちの予想よりも多くの方が来訪し、
結果的には3週間の展示期間で、
約1500人もの人が訪れることとなりました。
最終日のクロージングパーティーにも、
会場に入りきれないほどの人に来ていただくことができ、
壊れゆく建物を弔うお葬式のような、またお祭りのような、
妙な高揚感とともに「ハギエンナーレ2012」は終わりました。

クロージングパーティーの様子。

自分たちでケータリングを準備。

しかしこれでは終わらなかったのです。
クロージングパーティーには大家さんも参加され、
一緒になって楽しんでくださっていました。

これが萩荘を再び甦らせるきっかけになるとは、
つゆとも思っていませんでした(ほんとはちょっとだけ思ってましたが)。
それでは、続きはまた次回。

information


map

HAGISO

住所東京都台東区谷中3-10-25
カフェ営業時間:12:00〜21:00 (L.O. 20:30)
電話 03-5832-9808
http://hagiso.jp/

木造の空き家が、 可愛い和菓子のお店へ。 シーンデザイン一級建築士事務所 vol.02

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.02 
リノベが繋いだ縁

土屋ビル(vol.01参照参照)のあと、2009年11月から始まったのが
「KANEMATSU PROJECT」(山崎 亮ローカルデザイン・スタディ#052参照)でした。
明治、大正、昭和に建てられた3つの蔵と、
それをつなぐ平屋で構成される550㎡の空間を7人でリノベーションし、
シェアオフィスにしたり、カフェや古本屋に貸し出したり。
このプロジェクトでは本当にたくさんの人との出会いがあり、
同時に仕事ではリノベの依頼も増えていきました。

「KANEMATSU PROJECT」が始動してから半年ほどが過ぎた2010年5月、
「シェアオフィスであるKANEMATSUに不動産事務所を構えたい」と、
優しそうな容姿の男性がシーンデザインを訪ねてきました。
雰囲気も服装も全く不動産屋っぽくありません。
聞けば、遊休不動産をまちの有用なストックとして
リノベーションしていくことを事業としていきたいと言います。
わざわざ土屋ビルのリノベ設計者を探し、私のところを訪ねてきてくれたのです。
それが、(株)MYROOMの倉石智典さんとの出会いでした。
倉石さんがKANEMASTUで不動産事務所を開設してからしばらくは、
各々の立場でリノベに関わる仕事を続けていました。
そのうち、土地や中古物件探しを倉石さんに相談したり、
逆に、倉石さんが扱う物件の実測調査や古い建物の図面作成などを
私がお手伝いするというように、連携して仕事をする場面が徐々に多くなっていきました。

キャンプを楽しむように、みんなでリノベを楽しみたい

私も倉石さんも、従来の新築を建てる時と同じような建物の、
予定調和的な“つくりかた”がリノベには合わないのではないか、
また単一の業界の価値基準ではなく、
リノベとはもっと多角的な視点から取り組むべき課題であるのではないか、
とも感じていました。その思いが重なり、
2012年12月、それまで別々に携わってきたリノベに関わる一連の事業について、
各事務所のスキルを横断的に生かしながら取り組んでみようと
「CAMP不動産」という活動を始めました。

建築や不動産、まちのことは
“難しくて面倒”と思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。
野外での〝キャンプ〟もそういうところがあると思うんです。
やり方、楽しみ方を知らないと、
ただただ虫が多いとか夜寒いとかBBQのナスが真っ黒で炭みたいだとか、
そういうちょっと残念な思い出で終わってしまう。
でも、虫除けのキャンドルを灯せば雰囲気だってよくなるし、
たき火の付け方を知っていたら一緒に魚も焼けるかもしれない、
ナスはホイルやダッチオーブンで蒸し焼きにすればトロリとしておいしい。
楽しみ方がわかれば見方も変わると思います。
それはキャンプも、地域も一緒。
見方が変われば、不便だと思っていたことが楽しみに変わったり、
使えないと思っていたものが、案外役に立ったりするかも。
だから、「CAMP不動産」はリノベの楽しみ方をサポートしながら
地域(キャンプ場)を良くしていくことを仕事にできたら素晴らしいと考えました。

使う人と建物との相性

そんな「CAMP不動産」が考えるリノベのカタチ(つくりかた)
をおぼろげながらイメージした最初の物件は
2013年5月に完成した「藤田九衛門商店」でした。

善光寺からほど近く、東之門町という場所にある木造2階建ての小さな民家。
もう十年以上、空き家となっていた物件です。

リノベ前の藤田九衛門商店。

床は傾き、外壁や内壁の一部は崩れ落ち、もちろん設備は使えない状態。
あまりの状態の悪さに、これまでこの空き家を紹介しても
なかなか借り手が現れなかった物件です。

柱は傾き、床は今にも抜け落ちそう。

そんな、だれも見向きもしなかった古い建物を借り受けて、
リノベしてお店にしたいと依頼してきたのは、
長年日本料理の世界に携わってきた藤田 治さん。

藤田さんはここで“鯉焼き”(!?)を売る和菓子屋を営みたいという。
鯛(たい)焼きならぬ、“鯉(こい)焼き”のお店を始めたいと
熱く語る関西出身の藤田さんに、「なぜ鯉なんですか?」と聞くと、
「信州と言ったら鯉でしょ」という屈託ない答え。

どちらかというと、鯉と言ったら北信の門前ではなく、
東信の佐久鯉が有名なんだけどな……と、うっすら思いながらも、
そういうノリは嫌いじゃない。県外から見れば北信も東信も“信州”には変わりはないし、
地元民だから持ってしまっている固定概念を軽く壊してくれる藤田さんには、
むしろ好感を抱いてしまいました。

さらに、藤田さんからいただいたイメージスケッチがとてもいい。

最初に藤田さんから頂いたイメージスケッチ。

ボロボロの建物の状況から、ここまでイメージを膨らませた藤田さんの絵は、
よほどこの建物に想い入れがあるのだなと感じさせてくれました。
私には、藤田さんの建物へ向けたラブレターにすら見えたほどです。

使う人と建物との相性はぴったり。

きっと藤田さんなら、一緒にこの建物のリノベを楽しんでくれそう。
そして、藤田さんの思い描くイメージをこの建物で具現化してみたいと思ったのです。

すべてを決めずに始めてしまう思い切り

先ず、藤田さんの要望を聞きながらラフな図面とイメージスケッチを描きます。

簡単な平面図とイメージパースで工事を始めてしまいます。

イメージが了承されれば、この図面だけで概算見積もりを立てて、工事をスタート。

一般的な建築工事では、工事に入る前に詳細な既存調査と実施設計図面を描き、
工務店などに見積もりを取って、詳細な工事金額が確定してから、
ようやく着工となりますが、CAMP不動産ではその部分を大幅に省いています。

これは、設計サイドと施工サイドとの信頼関係(もちろん施主とも)と、
リノベ物件を多く扱ってきたこれまでの経験値によるところが大きいのですが、
そもそもリノベーション工事は予測不可能な部分が多く、
新築工事のような予定調和的な進め方は合わないのです。

“やってみなければわからないのだから、やってみちゃおう!”ということです。

最初にいろいろと決めすぎず、その場その場の状況に合わせて柔軟に、
そしてアドリブいっぱいに工事が進んでいきます。
もちろん、構造的な不具合が見つかればその場で対処していきます。

状況に合わせて考えながらつくっていく

早速、簡単リノベプランをもとに建物の解体工事が始まります。

傍目には、いよいよ駐車場にでもなるのかな・・・と見えたかもしれません。

この時点では、詳細な図面がないのですから、
職人さんは何をどう壊していいかわかりません。
私たちは工事を進めながら解体する部分を現場で即決していきます。

この、行き当たりばったり感(言葉は悪いですが)というか
ライブ感がCAMP不動産の面白いところ。施主はドキドキだと思いますが……。

特に木造一戸建てのリノベ工事は、
解体してみて、初めてわかることも多いので、
状況に応じて構造や工法、施主の要望や使い勝手、
デザインや工事費、時には大家さんやご近所との関係なども総合的に考慮して、
その都度、最適最善と思われる工事を行っていきます。

例えば、壁の足元の「土台」という構造部材が
傷んでいるだろうことは想像していましたが、
傷みの程度と範囲は解体してみなければわかりませんでした。

解体してみて初めて傷んだ部材の範囲が明確になります。

それを、「土台」の状況を確認しながら解体して、
補強が必要な部分を現場で確定していきます。

新しくなった「土台」。

そして本当に必要な部分の「土台」を入れ替えていきます。

一般的に“やってみなければわからない”ことが多いリノベ工事においては、
想定されるリスクを最大限に見積もってしまいがち。
しかし、CAMP不動産ではリスクの内容を現場で見極めてから、
その都度必要に応じた対処をしているので、無駄がありません。
ただし、予想以上の対処が必要な場合もありますので、施主の理解は第一条件です。

ちなみに、藤田九衛門商店の工事では、
解体工事と躯体補強工事などはCAMP不動産主体で進め、
仕上げ工事では施主の藤田さんが中心となって工事が進められました。

そんなこんなで、藤田九衛門商店の場合も、
建物が傾いていたり、土台が腐っていたり、あるはずの柱がなかったり、
木造一戸建ての“リノベあるある”な問題点はひと通り経験して、
ひとまず躯体を使用可能な状態にしていきます。

細かいことまで決まっていないからこそできる“遊び”

躯体の補強を終えて、次は店舗の土間床の仕上げをどうするのか頭を悩ませていました。
というのも、最初に考えていた「洗い出し」(モルタルに砕石や玉砂利などの骨材を
混ぜて塗り完全に乾かないうちに水で洗って表面に石の粒が浮き出るようにしたもの)
という仕上げは、予算的にかなり厳しかったからです。

コンクリート金ゴテで仕上げてしまうのもよいですが、
コストをかけずにひとひねりほしいところ。
そんな時に、CAMP不動産のメンバーでもある、
デザイナーの太田伸幸さんからよいアイデアが出てきました。

「土間床を川に見立てて鯉を泳がせましょう」

忘れていました。
藤田九衛門商店では、鯉のかたちをかたどった『鯉焼き』を看板菓子としていたのでした!
こういう発想は、建築的な仕上げばかり考えて凝り固まった頭をほぐしてくれます。
早速、その頃KANEMATSUに入居していた、
デザイナーの廣田義人くんにお願いして、鯉のデザインと型紙を作成してもらいました。

切り絵が得意な廣田くんにつくってもらった鯉の型紙。

その型紙を土間コンクリート打設時に配置して押さえ、全体に、
ほうき目をつけてでき上がった床がこれ。

店内の床のいたる所に、蓮の葉と鯉が型押しされています。

派手さこそありませんが、なんとも渋い意匠になりました。

きっと、土間床に鯉の型を見つけたお客さんは、ニヤリとするに違いない。
まるで隠れミッキーのようです。

こういう“遊び”をどんどん取り入れちゃうことができる機動力の高さも、
CAMP不動産の面白いところです。

つくることの楽しさを共有する

積極的にリノベという“つくりかた”を選択した施主が、
自ら施工も行いたいという考えに至るのは自然な流れだと思います。
善光寺門前界隈で多数行われているリノベも、
施主自ら施工に関わるケースも少なくありません。

単にコスト削減という理由から、しかたなくセルフリノベを行うのではなく、
むしろ楽しみながら地域のコミュニティに溶け込む手段として
セルフリノベを行おうとする人が増えているのではないかと思います。
これまで誰からも価値がないと思われていた建物が、
自分たちの手で甦る過程を経験することの魅力に多くの人が気づき始めています。

藤田九衛門商店の場合も、土壁や板張り、塗装、かまど制作などは
施主直営のかたちで工事が進められました。
特に土壁は、“土壁づくりを通じて、家や街づくりを自分サイズで考える
緩やかなネットワーク「塗り壁隊」の指揮のもと、
左官工事に関心がある人が自由に参加して仕上げていただきました。

ご近所の金属造形作家の角居康弘さんによる店舗の壁に埋め込まれたタグには、
左官工事に携わった方々の名前が刻まれていたり、
お店のロゴや暖簾は、これまたご近所のデザイナーの関谷まゆみさんがデザインしたりと、
地域に住むたくさんの人の関わりを経て、藤田九衛門商店はできました。

できたばかりなのに、すでに老舗の風格が漂う佇まい。

2013年5月5日、藤田九衛門商店はめでたくOPEN。
そして肝心の鯉焼きは、こんなに素敵な和菓子となりました。

長野県産の花豆を使った自家製餡、生地も長野県産小麦を使用。仏像彫刻家が手掛けた鯉のデザインは躍動感たっぷり。

藤田さん自身、1日50個売れればいいだろうと言っていましたが、
OPEN初日は、なんと10時で完売。
一度店を閉めてから新たに焼いて、12時に再開。
しかし、14時に完売してしまうという売れっぷり。
しかも、その状況が3か月間続いたというから驚きです。

開店時間は朝の6時30分。朝の空気感とお店の雰囲気がとてもよく似合っています。

鯉焼きは、今ではすっかり信州門前のお土産として定着しました。
あの、だれも見向きもしなかったボロボロの建物は、
藤田さんと出会うことで、こんなにもたくさんの方から愛されるお店へと変わったのです。

「土屋ビル」でも感じたことですが、リノベという“つくりかた”は、
今ここにある建物やまち、そして、ひとを“知る”機会をたくさん与えてくれます。

それが、建物やまちやひとに親しみを抱かせ、
つながりを生む要因でもあると強く感じた楽しいリノベとなりました。

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藤田九衛門商店

住所 長野県長野市東之門町400-2
電話 026-219-2293
営業時間 6:30~売切次第終了、月曜休
※駐車場はお店の向かい側に1台分あり

information


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シーンデザイン一級建築士事務所

住所 長野県長野市 東町207-1 KANEMATSU内
電話 026-262-1175
http://scenedesign.jp/

大工さん自ら設計! 大胆かつ洗練された空間。 MAD City vol.11

MAD City vol.11
設計から現場もこなす、MAD Cityの頼れるアニキ。

DIYの基本は、「自分でいいものをつくりたい」という気持ちが大事だと思うんです。
常にこの「Do It Yourself」の精神を忘れない大工さんがMAD Cityにはいます。
それが、千葉市稲毛区に事務所を構える昭和12年創業の工務店・木村建造の三代目として、
さまざまな物件の建築に携わってきた木村光行さんです。

まず、MAD Cityと木村さんの関係性について語る前に、
少しだけ「木村さんがどんな人なのか」について説明させてください! 
大工さんというと、どこか伝統的な職人気質なイメージがありますが、
木村さんはそんな「大工」の固定観念を覆す超アグレッシブな大工さんなのです。
まず、学校を出て、稼業の大工を継いだ後、当初は注文住宅などを建てる、
「受注仕事」をメインにおこなっていた木村さんですが、
仕事を重ねるごとに、個性が光る店舗リノベーションや、
家のリノベーションなどにも興味を抱くようになったのだとか。
(詳細はこちらhttp://kimurakenzo.com/

ちなみに、木村さんが「自分の好みをふんだんに盛り込んだ家」と自負する自邸がこちら。

外観からもその広さがうかがえます。

光がたっぷり入る広々リビング。まるでモデルハウスのよう!

清潔感のあるホワイトカラーの浴室。

何から何まで、オシャレすぎるご自宅。
「ウン千万のローンを組んでしまいましたが、おかげでいろいろと勉強になりました」
という木村さん。「自分でやってみたいから」という理由で、
そこまで大金を投じるスタンス。規模が違います!

いろいろ前置きが長くなりましたが、
MAD Cityが管理する物件のひとつである旧・原田米店のあるお部屋の改装時、
現場の作業を木村さんにお願いしたことがきっかけで、
MAD Cityと木村さんのお付き合いが始まりました。

「地域住民やクリエイターなど誰かと一緒に、まちづくりや物件づくりがしてみたい」
と考えていた木村さんは、MAD Cityと意気投合。そして、
かねてからマンションのリノベーションに興味を持っていた木村さんが、
MAD City運営の「いろどりマンション」にやってきてくれたのです。

「いろどりマンション」は、松戸にある大型分譲マンションの一部を
MAD Cityが借り上げ、リノベーション可能な賃貸物件。
住居者の方々の個性を反映して、自由にDIYしている個性豊かな物件です。
木村さんは、そのなかの一室を契約し、
木村スタイルのリノベーションをスタートさせました。

改装前のお部屋の様子。

まずは、壁や押入れ、床など、すべてを取り払って、部屋をワンルームに。

もともとの内装もとり、あらわれたコンクリートの壁。

壁も床も取り払ってすっきり、広々空間に!
むき出しの床に、少しずつフローリングを張っていきます。
もちろんこの作業は当然大工の木村さん自ら全部やられたそうですよ。

床材を貼っている様子。

最終的にはこんなにキレイになりました!

どんな物件を手がけるときも「常に“ハッ”とするポイントをつくりたい」
と語る木村さん。このいろどりマンションで言えば、
特に気を使ったのがブロックを積んだキッチンカウンターです。

カウンターキッチンの脇には、棚のような小さなスペースを設けるなど、
ちょっとひと味違ったカウンターづくりを目指したそうです。

作業としては、ブロックを床に積んで、接着剤とベニヤ板を重ねます。

積み上げていって、一部に「棚」の部分となる空間を作ります。

そして、カウンターとなる板を載せて完成!

実にいい感じです! 以前の畳張りの部屋が嘘のようです。

「ブロックを使用したカウンターって、たくさんあるんですけれども、
こうやってベニヤを積んだかたちでつくることはとても珍しいんです」と木村さん。
というのも、本職の大工さんだったら、「崩れないように」と安全性を重視して、
ぎっしりブロックを上から下までビッチリと積むため、
棚のような空間を作ることなどはまずないのだとか。
「たしかにブロックはきっちり積んだほうが安全ですが、
このくらいのスペースだったら問題ないのはわかっているし、
接着剤とベニヤ板で補強できているので、耐久性には問題ないんですけどね」とのこと。
本職の大工さんだからこそ、
「融通をきかせてもよい部分」が肌感覚でわかっているってことですね!
その他にも床の貼り方など、
同様の「大工ならでは」の工夫をたくさん凝らしているそうです。

一般人のリノベーションだとさじ加減がわからない水回りも
「少しでも広く使えるように」と、トイレの位置を動かしたり、
扉を取り払ったりしたそうです。
このあたりの思い切り具合、さすがプロです。

洗面台の土台。

大きな洗面ボールと鏡を採用し、より開放感のある洗面台に。この大きな洗面ボールはなんと、学校用の製品でお値段も手頃なんだとか。

現在、この部屋はモデルルームとして公開しており、
この部屋を見た同じマンションの住人の人々から、
「自分の部屋もやってほしい」「キッチンのリノベの相談にのってほしい」
などと声をかけられることが増えたそうです。

それにしても、なんでこんなに木村さんは
現状に満足することなく、いろんなことに果敢にチャレンジするのでしょうか?

「まず、ひとつには僕は自分がやったことがないことは、
お客さんに薦めたくないんですよ。たとえば、自宅をつくったときも
『ガラス張りのバスルームを勧めるデザイナーって多いけど、本当にいいのかな?』
『窓が大きくてたくさんあるように設計された家が増えているけど、
それって本当に便利なのかな?』といった疑問があったから。
実際、やってみたらガラス張りのバスルームはオシャレだけど、
すぐに水滴がつくので掃除が大変だし、
窓が多いと夏場は暑くて家のなかが蒸し風呂状態になってしまう(笑)。
こういうことは、自分で実践してみないと、絶対にわからないことだと思うんですよね」
成功と失敗が渾然一体のコメントです。

そして、もうひとつの理由が木村さんの「好奇心」。

「大工の世界は、伝統を重んじる傾向があって、
あまり新しいことにチャレンジしようとする人っていないんですよ。
でも、僕はすごく好奇心が強いほうなので、ほかの人と同じことじゃなくて、
ちょっと違ったことをしてみたい。
そして、誰も見たことがないような新しいものをつくってみたい。
だから、いろんなジャンルに手を出してしまうんでしょうね」

「デザイナーのほうが大工よりカッコイイ、イメージがありますが、『大工だってすごいんだぜ!』ってとこを、もっと見せつけたいですね」と木村さん。

その好奇心はとどまるところを知らず、
現在は、木材でビルをつくるという、
国土交通省の主導する国家事業のプロジェクトチームの一員として参加している木村さん。
そちらは耐震の問題をどうクリアするかという内容らしく、
今では耐震についても詳しくなっているとのこと。
「松戸のまちに木造のビルをバンバン建てたい!」
と目をキラキラと輝かせながら語る木村さんにますます目が離せません。

実はこれから、木村さんがMAD Cityの一員として、
ある企画のプロジェクトを進める計画がありますので、
注目いただけたらと思います! (詳しくはMAD City HPにて)

information


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MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

住所 千葉県松戸市本町6-8
電話 047-710-5861
http://madcity.jp/

京都の町家を インタラクティブな空間へ。 HAPS vol.1

HAPS vol.1
20年間空き家だった町家を、ワークショップリノベーション。

京都の祇園や清水寺といった名所にもほど近い東山区の静かな住宅地の一角、
大和大路沿いに、白く塗られた町家があります。
ここは、私たちHAPSが活動拠点とするオフィス。
小さいながらもギャラリースペースやイベントスペースを兼ね備えた複合的な空間です。
HAPSとは、「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス」の略で、
京都市の事業として市内の若手芸術家をサポートしています。
アーティストと彼らを支える人たちのよろず相談にのったり、
ネットワーク形成を目指し国内外のキュレーターを招聘して、
ワークショップやレクチャーを開催したりと、芸術家支援のために日々活動中です!

そんなHAPSの活動の大きな柱に、
アーティストに向けた京都市内の物件マッチングがあります。
なんと、京都市内には現在、約11万戸の空き家があり、
景観や防犯上、大きな問題となっているのです。
空き家の状態が続けば、家は荒廃します。
しかし、通常の不動産流通のためには
貸し主の側で大がかりな改修が必要で費用もかかります。

一方で、京都には4つの芸術大学がありますが、
卒業生たちの活動拠点となるスタジオに適した物件(広さ、予算、土間ありなどの条件)を
市内では自力で見つけることが難しいという状況があります。

そこで、アーティストが自身で手を動かし空き家をDIY。
大家さんの改修費は抑えられ、アーティストたちは、家賃コストを抑えられ、
双方にとってメリットとなるマッチングサービスが始まりました。

ここでは、そんなさまざまなマッチング事例を綴っていきますが、
まずは、HAPSのオフィスからです。

HAPSの2階のオフィススペース。

2階のミーティングルーム。ここで、アーティストなどの相談に応じています。

1階入り口部分はギャラリースペースとして、夜間展示「ALLNIGHT HAPS」を行っています。
写真は、向井麻理企画「ミッドナイトサマーシアター」での「最後の手段」による上映の様子。

HAPSのオフィスの建物自体も京町家を改修した空き家活用のモデルケースとなっています。

HAPSのオフィスが位置する六原学区は、京都市内でも早くから空き家活用に取り組み、
オフィスとなった空き物件も、地域の自治会から紹介していただきました。
およそ築100年、20年ほど空き家だったもので、長く借家として使われており、
中国地方にお住まいの大家さんは、相続して初めてこの家の存在を知ったそうです。
大家さんとしては、
相続時点で既に10年以上空き家で、床も一部腐っているような惨状だったので、
ご自身で手をかけて賃貸することは考えていなかったそうです。

全体に傾いてしまった物件の歪みを直すための土台からのジャッキアップ、
さらに屋根補修、電気・ガス、水回りの整備など全てを含めると、
設計事務所からの当初の改修見積りは2000万円くらいになりました。
しかし、大家さんとHAPS、どちらにもその予算はありません。
悩んだ結果、建築リサーチチーム「RAD」に相談したところ、
ワークショップ形式での改修をやってみようということになりました。
「RAD」は、Research for Architectural Domainの略で、
彼らは、「建てること」のみならず、
「現にあるものを、どう活かすのか」という視点から活動しています。

ワークショップなどで派生する改修費を全てHAPSで担う代わりに、
家賃は大家さんの固定資産税と火災保険料をまかなえる、
最低限に抑えていただくことになりました。

改修前の建物外観。

ワークショップの講師は、地元の大工さんや左官屋さん、そしてアーティスト。
参加者は、京都ならではの伝統技法や、アーティストの斬新なアイデアを体験でき、
さらに、自身で空き家を活用する際に必要な技術を習得できるので、
空き家活用促進にもつながります。

最初のワークショップの日、
空き家に入ると、床は両端で15cmほど傾き、屋根には大量のホコリが溜まっている状態。
まずは、ワークショップ参加者とともに、
床などの内装や造作家具など不要物の片付けからスタートしました。
2012年7月のことです。
水道・電気設備、コンクリート土間こそはプロの方に工事をお願いしたものの、
ほかは各分野のエキスパートやアーティスト指導のもと、
HAPSが募った一般の参加者とともに改修していきました。
解体や撤去の次は、床を水平にし、建物の骨組みや壁の補強、
棚階段やロフトづくり、壁の塗装や表面の加工、新たな壁や床づくり、
三和土工法での土間づくりなどを行っていきました。

解体・撤去作業1日目(2012年7月)。

アーティスト・市村恵介さんの指導のもと、1階ギャラリー部分の壁を制作(2012年11月)。

町家に用いられる伝統工法のひとつ、古い土壁に布海苔で和紙を貼っていくことで剥落を防止(2012年12月)。

毎回、ワークショップは、中心となるRADの木村慎弥さんによる朝礼からスタート。
グループワークで作業を進めるので、初対面同士でもすぐに打ち解けます。
最初は全くの初心者であっても、繰り返し参加していくことで、
スキルは目に見えて上がっていきました。
力仕事や暑い・寒い時期など、ハードな面もありましたが、常に和気あいあいとしたムード。
昼食や時には夕食もともにしたり、近くの銭湯、大黒湯で一日の作業を終えて汗を流したり。
特にリピーター同士は、その後もイベントに誘いあうなど、交流が続いています。

hyslomによる、アーティストならではの視点で改修を楽しむ塗装ワークショップ(2013年2月)。

ワークショップの合間には、炊き出しをしてともに食事を囲んだ。

RADの提案で、
単に解体したり改修したりするだけではなく、工程を全て記録に残していったのも、
一連のワークショップの特徴です。
今後空き家を活用したいアーティストがDIYで改修する際の参考にできるよう、
手順、作業にかかる人手、時間などをレシピとしてまとめています。
記録の一部は、写真を中心に、Facebook上でHAPS Office renovation projectのページで
見ることができます。

また、この物件の難点だった歪みは、
「歪んだまま見せる」というテーマのもとで改修を行い、
隠すのではなく、見せるための工夫が随所に施されています。
例えば、2階の床は板張りの周囲四辺をモルタルで囲まれています。
歪みによって、端まで板を張ることができない代わり、
歪みをポジティブに見せるデザインとして取り込んでいきました。

はなれの改修では、元の構造に波板をかぶせることで見せつつ補強(2012年12月)。

週末を中心に、数十回のワークショップを行い、
約100日の作業日数を経て、2013年8月にオフィスは開館しました。
京都内外(愛知、三重、なんと関東、九州からも!)からの参加者の中には、
リピーターとなってさらに友人を連れてきてくれる人もいて、
参加者登録は100人近くにのぼりました。
「建物を自力で解体するというのは、できると普段想像していなかったことだったけれど、
テレビ番組のような体験で印象深かった」とは、ある参加者の証言です。

現在もなお、さまざまな部分の手入れの目的で改修ワークショップは継続しています。
「オープン時点での完成度は80%で、
残りの20%を残したことで、他の人が遊びを加えていけたので、結果として面白くなった」と、改修ワークショップで現場監督を務めたRADの木村さんが、
当時を振り返り話してくれました。

壁づくりワークショップで参加者に説明する木村さん(中央)。

オープン後も意匠や装飾といった部分を改修し続けました。
例えば、オフィスに着くとまず目に付く「HAPS」の看板下部分は、
「都市表層研究所テグラ」によるワークショップででき上がったものです。

ワークショップで制作したタイルを入り口壁面に設置(2014年3月)。

集会スペースには黒板が設置され、改修で出た廃材を使用した本棚が設置されています。
この場所では現在、知識や経験、
技術を共有していく開放的なレクチャープログラム「OUR SCHOOL」が展開されています。

1階はレクチャーやワークショップ等に活用。

今年3月には1階の耐震補修を兼ねた土壁のワークショップを実施。
左官職人の萩野哲也さんをお招きし、
竹小舞(たけこまい/土壁の下地に使う細い竹)の編み方や
材料のつくり方から土壁の塗り方までを指導してもらいました。
素材として用いられる土は、練り直して繰り返し使われているため、
HAPSオフィスの土壁には、江戸時代からの土も混ざっているそうです。

また、この夏は新たに「同じ景色を見ている」
(建築家で一級建築士の木村慎弥さんと映像や舞台制作を行う山田毅さんによるプロジェクト)チームによるワークショップで中庭の壁が完成。
これまでは、お隣の壁面がむき出しで少し殺風景な庭でしたが、
縁あって、ある家から譲り受けてきた、
丹精込められた植木たちとあわせ、潤いある憩いの空間が出現しました。

壁づくりワークショップで、壁の構造につくった木のうろこを貼っていく(2014年6月)。

木村さんによる「土壁の中塗りのワークショップ」も今年の秋に控えています。
建物の歴史にも思いを馳せながら、今も続く改修ワークショップで、
HAPSオフィスは進化を続けています。
最近では親子向けのお話会が定期的に開催されていたり、
またご近所の方々が夜に足を止めて展示を眺めていたりも。
さらに、ご近所で不要品となった毛布やちゃぶ台など、
「誰か必要としている人いないかしら」といった、
ありがたいお話が舞い込んでくることも増えてきました。
一方で、京都のアーティストが日々相談に訪れ、
さらに、世界的なアーティストやキュレーター、美術やまちづくり、
建築などの関係者が国内外から視察に訪れるなど、
HAPSのミッションのひとつでもあるネットワーク形成を体現するような場所になっています。
地元に深く根差しながら、
同時に世界に向けて京都のアートについて発信していくような場でありたいと思います。

次回は、HAPSがコーディネートしたアーティストのスタジオなどを紹介します。