デザイン事例集『地域の魅力を伝えるデザイン』。効果的にローカルの情報を発信するツールづくり

BNN出版から、書籍「地域の魅力を伝えるデザイン」が発売されました。
これは、地方で発行された、魅力的なデザインの紙メディアを紹介する
デザイン事例集。
「飛騨」(岐阜県)、「鶴と亀」(長野県)、「Judd.」(鹿児島県)、
「雲のうえ」(福岡県)、「おきなわいちば」(沖縄県)、
「暖暖松山」(愛媛県)、「SOCIAL TOWER PAPER」(愛知県)
などなど、趣向を凝らして作られた
地域広報誌、フリーペーパー、ミニコミ誌、観光情報誌、
フライヤー、マップなどの紙メディアが並びます。

人口の流出、地域高齢化、文化の衰退、伝統ある街並の画一的な開発など、
各地域で抱える問題はさまざま。
ですが、残すべきものを残し、大切なものを未来へと繋げていくためには
どうすればいいのか?優れたデザインを用いて、確実に“伝わる力"を持った
グラフィック事例を約60点紹介しています。
デザインだけでなく、「どうしてこのメディアを作ったのか、
またどうやって作ったのか」という作りての思いやスタッフリストも掲載。

通常、デザイン事例集はターゲットをグラフィックデザイナー
だけに絞るのですが、この本では地域を盛り上げたいと思っている人、
また、そのためにメディアを作りたい人のために情報を詰め込みました。
「文化の発信や歴史の継承」、「観光情報」、
「魅力の再発見」、「地域ブランディング」のジャンルごとに
分かれているので、伝えたい情報別に閲覧できます。

福島市発の小冊子「板木(バンギ)」

岡山県津山市阿波地区の住民たちによる村づくりプロジェクト「あば村宣言」

熱海市と旅行会社による観光プロモーション「意外と熱海」

デザイン・クリエイティブセンター神戸のPRツール「KIITO」

また、実際にローカルのひとの想いをかたちにする
デザイナーへのインタビュー記事も掲載。
大阪で活動する「UMA / design farm + MUESUM」、
「飛騨」を手がける東京の「ONE Inc.」富田光浩さんに
お話を伺っています。

書籍のデザインは岡本健さん。
表紙にはかえる先生こと長場雄さんによる、
かえるたちが情報ツールを作っている
描きおろしのイラストをあしらいました。
編集は宮城県出身の齋藤あきこさんこと私です。
コロカルで編集した冊子「和食」や、
コロカル上で紹介された紙メディアも多数掲載されております!

地域の魅力を伝えるデザイン
BNN新社
定価:本体3,900円+税
編集:齋藤 あきこ
仕様:A4判変型/192ページ

築106年以上の 古民家をゲストハウスに。 「マスヤゲストハウス」前編 medicala vol.3

medicala vol.3
初めての古民家リノベは、下諏訪の「ますや旅館」

前回は山口県萩市のゲストハウスrucoについて書きました(vol.2参照)。
rucoを施工していたのが2013年の6月〜10月の4か月間。

11月以降はしばらく現場に入らないデザインの仕事をやっていました。
同時進行していたプロジェクトはどれもリノベーションの仕事で、

名古屋のシェアハウス「KOMA-PORT tukijiguchi

共有のリビングスペースに小屋のあるシェアハウスにしました。
小屋の制作は名古屋の友人がやっているアンティークショップstore in factoryに依頼。

京都のシェアアトリエ兼カフェの「SOLUM

京都のつくるビルの石川さんプロデュース。オフィススペースには京都カラスマ大学の事務局などが入居しています。1階のカフェのドーナツやカレーも絶品。

箱根のゲストハウス「HAKONE TENT

鎌倉ゲストハウスで修行した本庄さんが独立して開業したゲストハウス。1階のリビング&バースペースのデザインを担当しました。天然温泉付き。

がありました。
図面を描いて、デザインをして、
月に2〜3回現場に足を運んで現場の職人さんやオーナーさんたちと
コミュニケーションをとって……というやり方で空間をつくっていく大変さを改めて学びました。
Nui.(vol.1参照)からrucoまでは基本的には現場にずっといて、
毎日オーナーや大工さんたちと顔を合わせていたので、
わざわざ意識しなくても、空気を共有や意思の疎通が出来ていました。それがなくなり、
コミュニケーションが減ることで出る影響に、自分の未熟さを痛感……
それでも、できあがった3つの空間は、
どれもオーナーさんが頑張ってくれているので素晴らしい空間になっています。

このように現場に入らないで空間づくりをしている時に、
友人に長野県・下諏訪町で開業するゲストハウスのデザインと施工を頼まれました。

彼女の名前は斉藤希生子さん(通称キョン)。施工当時25歳の女性です。
出会いは、最初の仕事だった、蔵前のゲストハウスNui.がきっかけです。
キョンはNui.のオープニングスタッフとして働いていて、
その後、ゲストハウス運営のノウハウを学ぶために、
当時medicalaのカナコが女将を務めていた、姉妹店toco.に異動してきました。

そのときに、toco.のバーで彼女が将来ゲストハウスをやりたい!という話を聞いて、「そのデザインやりたいー!」という話もしたりしていました。
彼女が2013年末にtoco.を辞めて、地元である長野県諏訪地方に戻って
2014年初めから物件探しをスタート。
強運の持ち主(!?)なので、ほどなくして理想的な物件を見つけて
2月頃に正式にデザインの依頼をもらい、3月にその物件を見に諏訪へ行きました。

冬の諏訪湖は空気も水もきれいで気持ちがいいです。

少し下諏訪の説明をします。
長野県諏訪郡下諏訪町は、諏訪湖で有名な諏訪地域にある人口約2万人のまちです。
諏訪湖周辺で観光のメインとなるのは「上諏訪」と呼ばれる諏訪市エリアで、
そこから電車で1駅、車で10分程の距離にあるのに、
下諏訪町はこじんまりしていて、あまり観光地化されていません。
それでも諏訪湖にも近く、諏訪大社の下社である「春宮」と「秋宮」や、
温泉もたくさんあって、のんびりしたりお散歩したりするには丁度いいサイズ感のまち。
諏訪市の観光客数は年間600万人、そのうち宿泊客は年間55万人程度。
(都心からのアクセスが良いのに観光客数に対しての宿泊客の割合は少なめ)
ちなみに長距離バスは東京、京都、大阪、名古屋などから出ていて
東京からは片道3時間、往復6000円以下でアクセスできます。

上記のように諏訪地域は観光客数も多く、都心からのアクセスも抜群。
そしてまだゲストハウスもまだ無かったため、環境としても悪くありませんでした。

そんな状況の中、キョンが見つけた物件が写真の物件です。

下諏訪の「ますや旅館」として20年前まで営業していて、
3年前まで大家さんの親族の方が住んでいた築106年以上の古民家です。
(正式な築年数はわからないのですが、
106年前の地図に既に名前があったので106年以上としています)
2014年の3月までに借り手が見つからなかったら解体して駐車場になる予定でした。
が、ちょうどその頃物件さがしをしていたキョンに、
まちの人がこのますや旅館をめぐりあわせてくれました。

延べ床面積約300平米、もともとの用途旅館。建物の状態も良好。
駅からは徒歩約5分。高速バスのバス停からは徒歩2分。
温泉まで徒歩2分と、ゲストハウスには理想的な環境!
3月に無事契約をし、現場が始まりました。

「マスヤゲストハウス」はカナコがtoco.を退職したタイミングでの着工だったので、
medicalaとしてカナコとふたりで取り組んだ最初のプロジェクトです。
カナコは初めてプロジェクトの最初から最後まで現場に入り、『現場めし!』もスタート。
「現場めし!」はmedicalaの工事中にカナコがつくるごはんのこと。
その土地の食材を使って、その時のメンバーの好きな食べ物、嫌いな食べ物を考慮して、
みんなの健康を気遣ったお腹いっぱいになって肉体労働のエネルギー源になるためのご飯。
facebookで写真をUPするにつれてファンが増えていって、
いつしか現場めし目当てに手伝いにきてくれる人も現れました。

そして、大工さんや手伝いにきてくれる方々、
みんなでおいしいごはんを食べながら生まれるのは、いいコミュニケーション。
みんながそれぞれやっていた作業の大変だったことや楽しかったことを話すと、
なんとなく全体を把握できたり、こんな風にしたいねとアイデアが生まれたり……。
現場めしから、現場をよりいいものにするベースがつくられていたように思います。

そして僕としては初めての“古民家”リノベーション。
rucoやNui.とは違った空間のつくり方を試みる良い機会でした。
古民家だからできることを模索していきます。

施工メンバーの紹介

今回の施工メンバーはこちら。

左からアズノ、カナコ、キョン、手伝いにきたデザイナーの友人、キョウちゃん、リエちゃん、タカミー

medicalaのふたりと、オーナーのキョン、
そしてキョンの友達で大工の長久保恭平(以下キョウちゃん)、
途中から工事に住み込みで参加してくれた大桃理絵(以下リエちゃん)、
同じく途中参加の鷹見秀嗣(以下タカミー)。

キョウちゃんは舞台の大道具をしていたので
大工仕事の経験はあっても、古民家をきちんと触るのは初めて。
構造や床の下地をいじったりとマスヤは初めてのことだらけの現場でしたが、
奮闘して頑張ってくれました。

リエちゃんとタカミーは普通に社会人していた現場経験も全くないふたり。
ふたりとも、たまたまこのタイミングで仕事をやめていて、
ちょっと手伝いにきてくれた……つもりが、
すっかり現場を気に入ってくれて、がっつり2か月以上参加してくれました。
未経験の人にここまでがっつり参加してもらったのは初めてのことでした。
それでも工事後半には、例えば「あそこ漆喰塗れてなかったから塗っといたから!」と、
指示がなくても、考えて動けるくらいに成長していました。大活躍です。
これはもう少しあとの話ですが、ふたりは現場を経て、
でき上がったマスヤゲストハウスのこともすっかり気に入ってくれて、
オープン後そのままスタッフとして働くことになります。

このメンバーをコアに、
あとは適宜地元の大工さんや職人さんに入ってもらうことで
なんとか工事を進めていきます。

どんな空間にしたいかを考える

イメージの共有のためにキョンと最初にしたのが、キョンの好きなお店に一緒にいくこと。
実際にそのお店に行って「なんでこのお店が好きなのか?」を一緒に考えること。
キョンの表現の意図するところやイメージを正しく理解できるようになるので、
お互いのイメージをしっかりすり合わせをしていきます。
行った場所は埼玉県川口市にある「senkiya」さんという
カフェや雑貨屋、ギャラリーなどが併設された元植木屋さんをリノベーションした複合施設。

senkiyaさん。

ここでキョンが『好き!』という部分について掘り下げていきます。
話しながら徐々にわかってきたのは、太陽の光が入って
明るいことや窓を開けると外とつながっていることやソファがあってのんびりできること。
senkiyaさんでのイメージの共有を経て、デザインコンセプトは

「明るい! 風が通る! 暖かい!」

の3つ。
これをベースに解体工事からイメージを膨らませることにして、
敢えてデザインは決めきらずに着工することにしました。
余談ですが、「おしりに根っこがはえちゃうような……」
「朝お日さまにあたりながらコーヒーが飲めたり……」
といった具体的なような抽象的なような、何気ないコメントでも、
何度もキョンから出てくるフレーズは、大切なイメージの要素。
これを、拾ったり投げたり掘り下げたりしながら、デザインに落とし込んでいきます。

大家さんと大掃除

2014年4月19日〜21日。
まだまだ諏訪は東京の真冬並みに寒い日に大家さんとキョンと施工チームで大掃除をしました。

3日間の大掃除、300平米あり、蔵もあり、
しかも人がしっかりと生活してきた建物にはたくさんの“もの”で溢れていました。
碁盤、炭、鏡台、土器のかけら……
珍しいものだと、下駄のスケートやちょんまげ用の枕なども出てきました。
僕らにとってはよくわからないものでも大家さんたちには懐かしいものや大切なものの数々。
まず大家さんたちが必要なものとそうじゃないものを分別して、
大家さんがいらないと判断したものの中から工事で使えそうなもの、
友人が欲しがりそうなものなど分別していきます。

意図したところではなかったけれど、
とってもよかったのがこの大家さんと過ごした日々。
大家さんたちと一緒に作業することで、いろんな昔話を聞く機会がありました。
この部屋には福沢諭吉が泊まったんだとか、
この部屋は家族でコタツに入っていた部屋でお父さんがいつもこの席に座ってたとか、
この天井は紅葉の木で、これは桜の木で……
前述の106年前の地図もこのとき見つけました。
この建物を一緒に掃除することで、ここの歴史を知ることができるよい機会でした。

みんなで大掃除。

大掃除に入る前に、なんとなくイメージしていた部屋割りやデザインはあったのですが、
実際にこの場所に愛情を注いで、たくさんの思い出を持っている大家さんの話を聞くことで、
「できるだけこの空間の思い出を残したい」
という想いがキョンとの間で自然と生まれてきました。
そして、大家さんに
「ますや旅館はこうなりました!」って胸を張って言えて、
大家さんたちもまた遊びにきたくなる、そんな空間にしたい。
大家さんとの大掃除を経てそんな想いが新たに目標に加わりました。
ここからマスヤゲストハウスの改修工事が始まります。

解体工事スタート

大掃除で新たな目標が加わりデザインのイメージが変わったので、
それに伴い間取りなどの平面プランを変更。解体しながら現場に寝泊まりしていたことで
肌で感じられた光の入り方、風の入り方などを加味していく。
そうやって考えを重ねながら慎重に実現したい空間のイメージとの擦り合わせを行って、
変更を加えながらデザインを決めていきます。
最終的に解体する部分を決定して、いよいよ本格的な工事が始まりました。

解体の様子。

土壁や小舞でつくられた古民家の解体は
新建材(ベニヤとか石膏ボードとか)でつくられた空間の解体より、
何倍も大変ですですが、そんな苦労も吹き飛ばすくらいメリットがあることがわかりました。
それは、解体素材の再利用ができるということ。
まず、代表的なものが古材。柱や梁、畳み下の板から床の間の板など使える材料はさまざま。
それぞれ、樹種や厚み、傷の具合など個性があるので
その個性に合わせて使用できるようにデザインに取り入れていきます。
これら古材を使用することでコストを下げられるだけではなく、
デザイン的にも年代の同じ材料を使用することで空間の調和が図れたり、
大家さんの思い出を内包することができます。
特に前述の通りますや旅館の大家さんは木に詳しいので、
この古材をできるだけ活用することにしました。

当然、古材を使用するデメリットもいくつかあって、
例えば大工さんが使うのを嫌がることもそうだし、
材料の選別と保管にも、大きさもかたちもバラバラなので手間がかかりします。

古材を選別します。

次にマスヤで大活躍したのは土壁の土。
土壁は解体した後、もう一度水と混ぜると再利用できる昔ながらのエコな建材です。
ただ、土壁の再利用方法の情報は少なく、知り合いの職人さんに相談したり、
サンプルをつくったりして使い方を決めました。
バリエーションは土を水で練っただけのものから、漆喰と混ぜ合わせたもの、
漆喰と色粉と混ぜたものなどなど。
身の回りの材料でいろんな表情をつくってみました。

解体した土壁。

サンプルをつくっている様子。

今回は予算が面積の割に少なかったので、左官は自分たちで全部やることに。
(ちなみにrucoと比べると、面積は1.5倍だけど予算は同じくらいでした)
Nui.の大工チームの渡部屋と、萩の左官屋さんの福田さんとの経験をフル活用して
自分たちで調合から下塗り、仕上げまで進めていくことでコスト削減を狙います。
(左官材料は実は安くて、漆喰だと材料費だけで1平方メートルあたり200円~300円程度)

自分たちで左官している様子。

あとは家具や照明、ガラス、建具、ドアなどなど。
古民家は(状態にもよりますが)本当に使える材料の宝庫で、
その材料からアイデアが出ることもしばしば。
できるだけたくさんの素材を活かして再利用していく方針なので、
これらの素材もデザインに取り入れていきます。

こういうガラスはもう製造されていないのでとても貴重。

これは後に共有キッチンの窓になります。

解体期間は3週間!
ひたすら壁を壊し天井を落とし床をはがし、掃除して、古材を整理して……
と後に控える施工工程のための大切な準備期間です。

コンセプトの「明るい!」を実現するために吹き抜けもつくりました。
古民家は軒がせり出しているので直射日光が入りにくくなっています。
(その分夏は涼しく、冬は日光が入るのですが)
2階の光を1階に届けるための吹き抜け。
明るくなるし広くなりますが、部屋数が1部屋減るので宿の事業計画には大きく関わってきます。
それでもキョンの「泊まりにきてくれた人に気持ちよく過ごしてほしい!」
強かったので、そちらを尊重して吹き抜けをつくることにしました。

吹き抜けの様子。

いつも通り工事には大勢の友人が参加してくれて、現場はいつもにぎやか。
遠くは台湾やオーストラリアや熊本県から手伝いにきてくれました。

手伝いの様子。

こんな感じでわいわいしながら、日中がガッツリ解体工事をして、
工事が終わると近くの温泉に入って、ご飯を食べるという生活が3か月続きました。
現場が休みの日は布団を屋根の上に干してのんびりしたり。
オンオフ切り替えながら解体工事は終わり、いよいよつくり込みが始まります。

布団干しの様子。気持ちいい!

そろそろ長くなってきたので、それはまた次回の記事で。
後編では、実際どのように古材が活用されていったのかとか、
寒い地方ならではのストーブの話や、
タカミーとリエちゃんが頑張ったタイルの話などを書いていきます。

information


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マスヤゲストハウス

住所:長野県諏訪郡下諏訪町平沢町314
TEL:0266−55−4716 (9:00〜12:00,16:00〜22:00)
http://masuya-gh.com

アーティスト、地域の人と共に 更新され続ける空間 「HAGI ART」 HAGI STUDIO vol.4

HAGI STUDIO vol.4
オルタナティヴ・スペースとして

みなさんこんにちは!
vol.1vol.2vol.3に続き、東京谷中の最小文化複合施設
「HAGISO」について書いていきます。

解体予定から一転、改修利用の道が開け、工事中イベントや
クラウドファンディングでの資金調達などのプロセスを経て、
ついに2013年3月、木造アパート萩荘が
「最小文化複合施設」HAGISOへと生まれ変わりました。

HAGISOのなかでも、1階の吹き抜けある空間をギャラリーとして使用し、
これをHAGI ARTと呼ぶことにしました。
もともとの木造の雰囲気を残したカフェは、
これからの時間を蓄積していくような空間であるのに対し、
こちらは真っ白な壁で覆い、いつも更新され、変化していく空間としました。

高さ7mの吹き抜けをもつギャラリー“HAGI ART”。写真は伊東宣明個展「芸術家と預言者」。

カフェ同様、ギャラリーの運営ということも僕らにとってはまったく初めての試みです。
ギャラリーとひと言で言っても、いくつかの種類に分けることができます。
ひとつは公益目的のギャラリー。
その中でも、企業や財団が文化事業として運営するものと、
自治体が運営する美術館などの公共的なものがあります。
一方、民間運営のギャラリーとしては、
作品の売買を行うことで運営するコマーシャルギャラリー(企画画廊)と、
日本独特のものですが場所を提供することで運営する
レンタル・ギャラリー(貸画廊)とがあります。
HAGI ARTは民間の施設になりますので、
当然上述のどちらかということになるのですが、
まずコマーシャルギャラリーを運営するには作品売買のための有力な顧客や、
美術事情に精通した知識が必要です。これは持ち合わせていません。
一方レンタルギャラリーは、場所貸という性格上、ともすれば一貫性のない
ただの箱ということになりがち、という難しさがあります。
これは僕らのやりたいこととはちょっと違うようです。

ギャラリー分類図。私の解釈によるものです。

しかし、展示できる場所が必要なのは確かで、
なかなかコマーシャルのマーケットにのることができない若い作家や、
売買を目的としないけれども公的な意義のある企画を実現するためには、
上記ふたつの形式では難しいところがあります。
そこでHAGI ARTは第三の形式としての
「オルタナティヴ・スペース」として運営することにしました。
とはいえ、「オルタナティヴ・スペース」自体は
まだ明確に分類される形式とはなっていません。
あくまで上述の形式「以外の」ものを指し、その運営の方法はさまざまです。
東京では代表的な場所としては、「Live Space plan B」(1982~)や
「佐賀町エキジビット・スペース」(1983~2000)などが挙げられます。
なかでも吉祥寺の「Art Center Ongoing」は、
HAGI ARTを構想するうえでも参考にし、代表の小川希さんにもご相談に伺いました。

Art Center Ongoing

HAGI ARTの場合は、HAGISOが地域の核となるための
開かれた空間として、以下のように定義しています。

HAGI ARTはHAGISOの空間をアーティストと一緒に
再発見、再更新していくための展示空間です。
閉じたギャラリーというよりも、開かれたホテルのロビーのような空間です。
アーティストが『展示することができる場所』ではありますが、
『展示するための場所』ではありません。
一方的な自己顕示の場としてではなく、アーティストが作品を用いて
日常空間に驚きと気づきをもたらし、ここにしかない体験を来場者に与える場です」

このような場所を実現するために、HAGI ART企画の展示に関しては
アーティストや展示者から会場費を一切とっていません。
作品を売ることはありますが、その際も手数料を低く設定しています。
その代わり、HAGI ARTの空間で展示することの意義を重視し、
作家には展示プランのプレゼンテーションを要求しています。

とはいえ、いくら理想を掲げたとしても、場所として運営するためには、
家賃・光熱費・人件費・維持費などの経費が必要となります。
HAGISOの場合はこの経費をHAGI ARTに併設する
HAGI CAFÉの売り上げによって相殺させています。
こうした活動を補助金などに頼ることもできますが、
そうなると補助金ありきの運営になってしまい、
いざ補助金がなくなったときに自立できず持続できない場所になってしまいます。
えてしてそういった場所は企画内容にも緊張感がなくなっていき、
魅力のない場所になりがちです。
そういった意味でHAGI ARTは危機感をもって、地域の人やHAGISOを訪れる人にとって
「必要とされる場所」になっていかなくてはならないと思っています。
ですので、皆さんもHAGISOにお越しの際はぜひCAFÉをご利用ください(笑)。

実際にHAGI ARTでどのような試みが行われているのか、
いくつかご紹介したいと思います。

多様な現代アートや建物、さらには谷中文化発信の場

HAGI ARTは、上述のように作品の売買を目的としているわけではないので、
特定の趣味のクライアントを意識して作品を扱う必要はありません。
とはいえ、最終的には僕たち運営者にとって
魅力的な作品であるというバイアスはかかっています。
通常の現代アートギャラリーは基本的に愛好家か、
それを目的に来た人が観に来るというのが普通ですが、
HAGI ARTの場合はカフェが併設されていることで、
作品との予期せぬ出会いが生まれやすくなっています。
ケーキを食べに来た近所のおばあちゃんが若いアーティストと作品について
「これはなに?」と話している光景が生まれています。

「囚人口 Chop Chop Logic」ミルク倉庫 + 高嶋晋一
何かの道具のようにも見える電気仕掛けの作品がインスタレーションとして配置されています。これらの作品を舞台装置として用いて、会期中の数日間、高嶋晋一とミルク倉庫の共作によるパフォーマンスが行われました。

池田拓馬個展「主観的な経験にもとづく独特の質感/解体」
ギャラリーの空間にあえて壁をつくり、穴を開ける映像と、開けた穴によるインスタレーション。

「東京アカイツリー」宮崎晃吉 + 池田拓馬
吹き抜けの柱を1200本の毛糸と共に大きなクリスマスツリーの幹に見立て、床に池田拓馬による映像を投影したインスタレーション。

「PanoraMarket -books around photograph-」
「写真にまつわる本」というテーマをもとに、アーティストが自費出版する写真集や、海外の出版社によるアートフォトブック、谷中の数軒の古本屋さんのチョイスによる書籍などを一堂に集め、購入できる展覧会として展示しました。

「ご近所のぜいたく空間 “銭湯”」展
HAGISOのような地域遺産としての建築をテーマにした展示も行いました。いまや全国で一日一軒、都内でも一週間に一軒のペースで廃業しているという銭湯。文京区の若い建築家の文京建築会ユースによる文京区の銭湯の調査記録プロジェクトの展示。富士山のペンキ絵のライブペインティングも。

「復活に向けて 谷中のこ屋根展」
2013年まで現存し、谷中で「のこぎり屋根工場」と呼ばれ、親しまれた工場群の建物の記録と、保存された建築部材の活用を考える展覧会。

また、谷根千(谷中・根津・千駄木)エリアで
一箱古本市や、不忍ブックストリートMAPを制作する
不忍ブックストリートの10周年展も行われました。
谷中における文化活動の層の厚さを実感することができました。

「『本と街と人』をつなぐ 不忍ブックストリートの10年展」

展示ではありませんが、HAGI ARTで毎月催される展示と展示の間の期間を利用して、
「やなかこども文庫」と題して小さな子どものための、
絵本を読むスペースとして開放しています。
施設の工事に伴い谷中地区で一時的に図書館がない状態になっており、
「谷中ベビマム安心ネット」主宰の石田桃子さんが絵本を寄付で集め、
不定期の移動図書館として開催しています。

「やなかこども文庫」

まちづくりを世代を超えて考える

また、単なる展示の枠を超えて、何かが生まれる場としても活用されています。
谷中という地域は、古いまち並みを残しているところではありますが、
そうしたまち並みや人と人のつながりを保つためにも、
まちづくりの活動が活発に行われてきました。
しかし、「谷中をもっと良くしたい」という共通の目的を持ちながら、
町会などの組織と、若い人たちによる子育てやまちづくりのNPOなどの活動は
多くの活動があるだけに、なかなか接点が生まれづらい側面があります。
「谷中地区まちづくり交流会」では、谷中地区まちづくり協議会と
特定非営利活動法人たいとう歴史都市研究会の共催によって、
谷中では初めての代表者サミットのような会を催しました。
お茶を飲みながら、フランクな雰囲気で谷中のことを
皆さんで熱く語る機会となりました。

「谷中地区まちづくり交流会」

生活の延長線上にある、文化施設として

このように、「最小文化複合施設」と銘打っていろいろな企画や活動に携わってくると、
公共空間のあり方について考えさせられるところがあります。
普段の日常生活を送る生活空間と、文化的な営みが行われる公共空間。
いつの間にかそのふたつの空間は現代の日本においては
随分遠いものになってしまったなと思います。
美術館や劇場などの「ハレ」の場と、日常的な「ケ」の場が、
空間的・地域的に分けられている。
もちろんこうした大規模な施設もある程度必要だとは思いますが、
これらはもっと混ざり合っていていいのではないでしょうか? 
大げさな公共空間でなくても多様な文化活動は可能です。
空間的に分けるのではなく、時間的に入れ替われば、もっと身近になると思います。
日常空間、生活空間にもっと公共性、文化性を取り戻したい、という気持ちは
HAGISOを始めてからもますます強くなっています。

次回は、まさにこのように、「日常と劇場」を結び付けようとする試みである
「居間theater」や、「谷中音楽室」などについてご紹介したいと思います!

information


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HAGISO

住所:東京都台東区谷中3-10-25
TEL:03-5832-9808
営業時間:カフェ12:00~21:00 (L.O. 20:30)
http://hagiso.jp/

かばん工場を セルフリノベーション。 共同スタジオが完成! HAPS vol.4

HAPS vol.4
ビルの空き室から若手アーティストの共同スタジオへ

JR京都駅の南側。八条口を出て6, 7分も歩くと
新旧の商店や住宅が並ぶ、東九条のまちが現れる。
新幹線を降りた人々で混雑する北口の喧噪とは対照的ですが、
アーティストのスタジオなどが少しずつ増えてきているエリアでもあります。
以前はかばん工場として使われていた築40年程の4階建てのビル。
ここのワンフロアが、今年の春、若手アーティストたちの手によって
共同スタジオ「punto」に生まれ変わりました。

ビル入り口に掲げられたpuntoの看板。

スタジオ風景。左は岡本里栄さん、右は嶋春香さんの制作スペース。

2013年10月。ペインターの嶋春香さんと長谷川由貴さんを中心に、
京都市立芸術大学の大学院生数名が
修了後の共同の制作場所を探しているとの相談がHAPSに寄せられました。

左より長谷川由貴さん、岡本里栄さん、嶋春香さん。この他に現在のメンバーは、松平莉奈さん、山西杏奈さん。12月から新たにもう1名が加わる予定。

一方、それより遡ること3か月ほど。
ビルの所有者である、隣接する大西商店の大西康之さん。
大西さんからこのビルの使っていないフロアを活用したいという相談をいただいていました。
これまでに塾や事務所などに使いたいという問い合わせもあったけれど、
なかなか接点を見いだせなかったそうです。

何か活用したいという気持ちでいたところ、
新聞でHAPSの活動を紹介する記事を目にしました。
中高生の頃は美術部に所属するなど美術が好きだった大西さんは、
アーティストに活用してもらう方が面白そうと感じ、
早速連絡いただいたのでした。

大西さんご夫妻。改修は完全におまかせで、一からつくり出していく力がすごいと感心していた。「ここから世界に羽ばたいてほしい」と応援。

HAPSでは、制作場所を探していた嶋さんたちに物件を紹介する中で、
大西商店のビルも案内。
ワンフロアと増築部分あわせて200㎡近い広さ、駅からのアクセスのよさ、
大家さんのアーティストへの理解と、三拍子揃った好条件にピンときたそうです。
実際、これだけの広さと交通アクセスや家賃が兼ね合うのは
京都市内でもなかなかないと言えます。
相談の結果、2階のワンフロアに加え、1階の一部のスペースも作品を保管し、
工具を設置して作業空間に使用することになりました。

大家さんである大西商店(左側)と、puntoが入っているビル。puntoは2階ワンフロアと、1階の一部を利用。

嶋さんたちは当初考えていたよりはスペースも広かったため、
同じ大学の同級生を中心に、さらにメンバーを募り、
6人で2014年1月に契約。
HAPSにとっても初めての共同スタジオのマッチングとなりましたが、
契約や改修、運営などについてアドバイスを行い、
双方にメリットがあるよう調整しました。
物件は、床や壁に経年の傷みや汚れがあるままの状態で、
アーティストたちが自ら必要な改修を全て行うという条件で、
家賃も通常の相場より低く抑えられました。

大学院修了とほぼ時を同じくして、3月末より改修をスタート。
とは言っても、みなセルフリノベーションなど初めて。
不安な部分もあるなか、改修を進めたきっかけがありました。
嶋さんたちの先輩が企画するグループ展、
「egØ-「主体」を問い直す-」展の会場を探しており、
4月末よりシェアスタジオのオープンに先立つプレイベントとして場所を提供することに。

これは急がねばなりません。しかも会場提供の代わりに、
改修作業にも参加してもらったり、
資材を運んでもらうなどの協力が得られることになりました。
強力な助っ人と、オープン日が決まったことで、
結果的に正味1か月ほどのスピードで、
展示できるホワイトキューブの空間に仕上げることができました。

改修時、床の傷んでいる部分をコンクリートと板で補強していく。北側は全面窓で、自然光が多く入る。

まず、床板の抜けをチェックし、
抜けている部分はコンクリートで支柱をつくり、床材を追加。
全体に長年のタバコのヤニの付着により激しく変色していたため、
窓ガラスなどの汚れは丁寧に落とし、
天井は油性のシーラーで白く塗り直しました。
この作業はにおいがきつくふらふらになるほど。
しかしその甲斐もあって、ひときわ明るく、
クリーンで居心地のよいスタジオ空間が実現しています。

180㎡ほどの天井を全て白くペイント。

そして一番大変だったのは、壁面の設置です。
元の壁は全てコンクリートだったので、
壁面に絵画作品をかけることができるよう、全面に木の壁を新たに制作。
その際、費用削減のため、木の桟を組むのではなく、
コンクリートの壁面に穴を開けて、ポイント毎にコンパネを取り付け、
その上に新たな壁面を設置するという方法をとりました。
コンクリートに穴を開けるのには、電動ドライバーを使い、
3人がかりで押えながら作業。
専用の工具でないため、強い力が必要となり、
これまで筋肉を意識したことのない胸部まで筋肉痛になりました。

「egØ-「主体」を問い直す-」展示風景より 彦坂敏昭《目地(タイル)》2014

4月末から5月上旬までegØ展開催後、
それぞれ個人の制作スペースを区切る壁面を設置。
1階は床を半分撤去し、土間部分に工具を設置して、木工などの作業スペースに。
5月下旬に、お披露目を兼ねたオープンスタジオの日を迎えることができました。
余計な要素がなく、
制作に集中できるニュートラルな空間が完成しました。

日本画を座って描くため畳を敷いた松平莉奈さんの制作スペース。現在、松平さんと長谷川さんは「VOCA展」に出展準備中。

このスタジオの改修を通し、メンバーたちはDIYの工法を学んで、
「家くらいのサイズのものでも何でもつくれる!」
という自信がついたと言います。
ちょうど同時期、向かいの家も改修工事をしていたため、
大工さんのスピードに感心しながら、作り方を観察していたそうです。
DIY熱が高まり、作品制作のための作業テーブルや、
画材や作品を収める棚など、必要なものをそれぞれ自作。
その後、網戸や出入り口の扉もつくっています。

作品収蔵スペースにも、強度を考えて棚をDIY。

各自の友人や先輩などのネットワークを生かし、
構造や強度など不安な部分はわかる人に教えてもらいながら、
確実に技術を自分のものとしていった姿はとても頼もしいです。
大西さん夫妻も「1からつくり出す力がすごい」とただただ感心して見ていました。

年明けの展覧会に向け、立体作品を制作中の嶋春香さん。正面に並んでいるのは、資料写真をモチーフとした絵画作品のシリーズ。

京都にはアーティストの共同スタジオが多く、
市内に20~30あるともいわれます。
「punto」始動時には「凸倉庫」の安藤隆一郎さんの呼びかけで、
京都の南側に点在する近隣シェアスタジオで
制作するアーティストたちが集まり、盛大なバーベキューが催されました。
情報交換や、近くのスタジオからコンクリート用工具を借りることもでき、
これを機にさらなる横の繋がりができています。

山西杏奈さんの制作スペース。主に木を素材として立体作品を制作。ビルの増築部分にあたり、平面作品の制作スペースと区切られたつくりになっているのも好都合に。

工具を使う作業室としている1階の土間スペース。現在は主に山西さんが活用。

さらに、プレオープニングのegØ展や、オープンスタジオなどを通し、
新しいスタジオとして認知されるのも思ったより早かったとのこと。
共同でスタジオを構えることがさまざまな面で効果的に作用しています。

現在は、各自が仕事をしながら作品制作を行っています。
常に全員で顔を合わせるわけではありませんが、
他の人の制作過程や作品を目にすることで刺激を受けることができ、
また異素材への関心も高まったそうです。
「このスタジオがスタートしてから色々な機会をいただき、
幸運の場所のように感じている」と語る長谷川さん。

長谷川由貴さんが現在取り組む大画面の新作。日本各地の聖地を訪れ、その体験から絵画を描くことを続けている。

“punto”はラテン語で「点」を意味します。
“点から線や面が生まれるように、
ここを拠点にさまざまな活動形態へと繋がっていく――”
そんな思いが込められた命名を文字通り体現しているようです。
切磋琢磨しながらここで制作される作品や彼女たちの活動がこれからどう変化していくのか、
ますます楽しみです。

本や好きなものを持ち寄った共用スペース。バリ島の傘状の祭壇も。

information


map

punto

住所:京都市南区東九条南山王町6-3
http://punto-studio.net
※通常は公開していませんが、年に一度はオープンスタジオを行いたいと計画中。

勝手に作る商店街サンド: 静岡県・浅間(せんげん)通り編

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。

以前東京の3つの商店街(戸越銀座、麻布十番、巣鴨)で試してみたところ
どれも個性的なサンドイッチができあがり、感動するほど美味しいものができたので
それを日本各地の商店街でもやってみよう、というのがこの連載の趣旨である。
また、美味しいものが食べられるだけでなく
同時にまちの様子を知ることができるという一挙両得の旅でもあるのだ。

こちらは戸越銀座サンドイッチ。「商店街で勝手にサンドイッチ作っていくと美味しい」-デイリーポータルZより。

徳川家康が25年を過ごしたまちでつくる。

今回やってきたのは静岡県静岡市葵区にある浅間(せんげん)通り商店街。
静岡駅から歩いて15分ほどの所にあり
手前の大きい鳥居から「静岡浅間神社」まで
南北600メートルほど続く商店街だ。

大鳥居から始まる商店街。お祭りのとき以外は割と落ち着いた雰囲気らしい。

その先には、26もの社殿をかまえる静岡浅間神社。とても広い。なかには写真撮影不可の神聖な場所もあるので、静岡にいったらぜひ立ち寄って欲しい。地元の人たちは愛情をもって「おせんげんさん」と呼ぶ。

浅間神社には1000年から2000年以上の歴史をもつ社があり
「東海の日光」と呼ばれるほどの漆塗り極彩色の美しい建築が見られる。
歴代幕府の崇敬を受けているが、
竹千代(家康の子どものころの名前)が元服を行ったことから
特に徳川家に厚く保護されたのだとか。

駅前にある家康の子どものころの像。美少年だ!

2015年は家康の没後400年。

家康は住処を移しながらも、
幼少期、壮年期、大御所時代、とあわせて25年間をこの静岡市で過ごしたそうだ。
駅前や、すぐ近くの駿府城では家康の像が置かれていたり
毎年4月には有名人が家康に扮し、御台所や大名たち総勢400名を引き連れて
この浅間通りを含むまちを練り歩く大イベントも行われている。
来年の2015年は没後400年とあって、
家康にちなんだいろいろなイベントが催される予定のホットな地域なのである。

〈Rhythm of athletics〉義肢装具士の第一人者、臼井二美男さんの義足を身につけたファッションショー

事故や病気で、手足を失った人のために
義手や義足を作る義肢装具士の第一人者、臼井二美男さん。

来る12月7日(日)、東京都江東区のお台場にある「日本科学未来館」にて、
臼井さんの義足を着用したアスリートら15名による
ファッションショー「義足のファッションショー "Rhythm of athletics"」が行われます。
アスリートは、ファッションブランド「シアタープロダクツ」と
「プーマ」のアイテムを身にまとい、
ファッションショー形式のウォーキングを披露。
それぞれの個性や身体能力を活かしたプレゼンテーションを行います。
冒頭の写真は、義足でサッカーをする阿部未佳さん(撮影:越智貴雄)。
阿部さんも今回のショーに登場します。
イベントでは、観客たちが自分自身の身体のリズムにも
耳を澄ますような時間が作られるそう。

シアタープロダクツ2012SSコレクション 「海のバレエ」(2011年)

ショーの後には臼井さんと出演者によるトークおよび交流イベントを開催するほか、
1階 コミュニケーションロビーでは、国内外の障害者スポーツの撮影に携わる
越智貴雄さんの写真展「障害者アスリート」と「切断ヴィーナス」が行われています。
こちらも合わせてぜひ!

義足のファッションショー "Rhythm of athletics"
日時:2014年12月7日(日)
第一部(ショー)13:30~13:50
第二部(トーク&交流イベント)14:00~15:00
会場:日本科学未来館
定員:100名(ショー)、50名(交流イベント)
参加費:無料
参加方法:当日受付(先着順)
主催:日本科学未来館、中外製薬株式会社
ディレクション:シアタープロダクツ
スタイリング:伏見京子
音楽出演:AFRA
進行:bon
衣装協力:プーマジャパン株式会社
ヘアメイク協力:株式会社資生堂
企画協力:臼井二美男、越智貴雄
問い合わせ先:日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)

施主それぞれの思いが リノベのスパイスに! シーンデザイン一級建築士事務所 vol.04

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.04 
施主それぞれのスタイルをリノベーションに反映する

ひと口にリノベーションといっても、アプローチの仕方はさまざまです。
たとえば、
私自身が営む「シーンデザイン一級建築士事務所」として関わるリノベーションと、
空き家の未来をデザインする不動産屋マイルームの倉石さんらとともに進めている、
「CAMP不動産」として関わるリノベーション。
このふたつをとっても、アプローチの仕方は異なります。

前回、前々回の藤田九衛門商店(vol.02)、アソビズム長野ブランチ(vol.3)は、
「CAMP不動産」の事例として紹介しました。

一般的な建築工事にくらべ「CAMP不動産」的なリノベ工事のスタイルは、
かなり特殊であると思います。
それは、施主、施工者、設計者、はたまた地域に住む人にいたるまで、
関わる人の相互理解とコミュニケーション能力に委ねる部分が数多くあるためです。

何がよくて、何がよくないのか。そこで、どんなストーリーを持った空間がほしいのか。
その共通の認識を持って、みんなが各々自分の頭を使いながら、工事を進めていく。
だから、なんとなく方向性と期日は決まっているけれど、
詳細をあえて決めずに施工が進んでいくのがCAMP不動産的リノベです。

たくさんの人を巻き込みながら、みんなが当事者として関わり、
ダイナミックに物事が動いて、
結果、まちに対する影響力も大きいリノベになることが多いと感じています。

一方、普段のシーンデザインの仕事として行うリノベーションは、図面があります。
設計事務所ですので、ちゃんと図面も書いています(笑)。
図面のありなしという物理的な違いがわかりやすいので、
そんな説明をすることが多いのですが、
今回はシーンデザインが手がけたリノベ案件を紹介しながら、
CAMP不動産とはまた違うリノベの魅力について、お話しできたらと思います。

CASE.01 世界を知るための人文書の森「遊歴書房」

現在シーンデザインも入居しているシェアオフィスKANEMATSU。
2011年春、KANEMATSUに古書店を開きたいと宮島悠太さんが訪ねてきました。

バックパッカーで、世界中を旅してきたという店主の宮島さん。
何の因果か善光寺門前のKANEMATSUに流れ着き、
「世界各国を知るために、人文書の森をつくりたい」と語る宮島さんのお話は、
とても興味深いものでした。

リノベ前の様子。スペースを貸し出すために掃除をするボンクラメンバーの羽鳥さん。

宮島さんが古書店を開きたいと考えた空間は、
元ビニールの加工工場だったKANEMATSUのなかでも、
床、壁、天井すべてが亜鉛鉄板で覆われた部屋。
ビニールの加工機械の中には、電磁波を出す機械があったため、
ご近所に電波障害を出さないための処置だったそうです。

ということは、室内からは電波が外に出ない、
内向きで閉じた空間とも言えるわけで、
そんな特異な場所に“世界”を詰め込んでみたらどうなるか。

“世界”と“KANEMATSU”。
その対比がたまらなく面白いと感じて、
古書店のデザインというよりは、宮島さんという人間をこの場所で表現してみたくて、
そんな妄想を抱きながら計画が進み、
2011年6月、古書店「遊歴書房」がOPENしました。

完成した遊歴書房。とても小さい空間に地球上のあらゆる“世界”があります。

天井中央には羅針盤をイメージしてデザインされた照明を配し、
360度ぐるりと天井まで届く本棚には、
左回りに日本→アジア→ヨーロッパ→アメリカといった順に
地球儀を裏返したように関連付けられた本が約一万冊収められています。

集められた古本は歴史・哲学・宗教・政治・社会の硬い本から、
文学・小説・紀行、さらにはマンガまで。
宮島さんが、世界中を知るために必要だと思う本が、
従来のジャンルを横断して地域ごとに並べられています。
店内に一歩踏み入れると、まるで地球儀の内側にいるような、
不思議な感覚を体験できます。

元ビニール加工工場だったKANEMATSUの中に誕生した「遊歴書房」は、
日頃見慣れた風景の中に差し込まれた別世界のようで、日常と非日常が同居しています。
さまざまな文化やたくさんの人が行き交う門前に相応しい場所ができました。

本との偶然の出会いとは、実は気づいていない自分に出会うことなのかも。

一万冊の人文書の森に囲まれると、偶然、目にとまる本があったりします。
その時、この出会いは本当に偶然だったのだろうか? と思える瞬間があります。
自分の中にある世界の端っこに触れる瞬間。
そして、その本と世界が繋がっている感覚。

宮島さんの話す、「人文書の森で世界を知る」とは、
きっと自分の中にある世界を知り、
さらに広大な世界に押し広げる事なのでしょう。

まちを、世界を変えるには、新しい個人、新しい世界観で、まちを、世界を見ればいい。

なんだか、リノベに一番大事な考え方を、遊歴書房に教えられた気がします。

CASE.02 住宅をリノベしたクラフトギャラリー「Galle_f」

リノベーションというと、築何十年も経過した建物が対象になることが多いと思います。

それは、建物がある目的のために建築されて、その目的をある程度果たした後に、
新築時の目論見とは違う次元に改修することを
リノベーションと呼んでいるので当然のことかもしれません。

ただ、何らかの事情で、比較的新しい物件でもリノベーションの対象になることもあります。

2012年の10月、家具工房StyleGalle(長野県朝日村)の藤牧敬三さんから、
相談を受けた建物は、そんな比較的新しい建物でした。

藤牧さんとは、それ以前から仕事やプライベートでもお付き合いがありました。
いつも控えめで物腰のやわらかい藤牧さん。
例えば、椅子の制作をお願いしたときは、
家族の体格に合わせて微妙に大きさや座面の高を変えていました。
そんな依頼主への思いやりが詰まった作品をつくる木工作家さんです。

リノベ前の室内の様子。ここがゆくゆくギャラリーになります。右側の窓の外が風除室。

早速、対象物件を見に行きました。
築8年ほどしか経過していない別荘地に建つ住宅は、古さを全く感じません。
この住宅をギャラリー併設のカフェにリノベーションしたいとのこと。

古さを味とするようなデザインでもなく、スケルトンにして全て変えてしまうこともなく、
必要最低限の工事で、どこまで魅力的な空間に生まれ変わらせることができるのか。
シーンデザインとしても新しい試みでした。

建物を観察してみると、天窓がある風除室(玄関)はとても明るい。
でも、それは風除室だけで、壁の配置が悪く、周りの諸室はちょっと暗い雰囲気でした。

壁の向こうの風除室の光が、周りの部屋にあまり届きません。

今回のリノベでは、明るい風除室の光が、
周りのギャラリーに柔らかく届くような計画にして、
シークエンスや視覚的な操作で、
小さいながらも広がりを感じるギャラリーを提案しました。

提案したイメージスケッチ。

計画図面とイメージスケッチをもとに工事が進み、
2013年の5月に家具工房StyleGalleの、
クラフトギャラリー「Galle_f(ガレ・エフ)」としてOPENしました。

壁を抜き、風除室をサンルームへと変えました。

工事は木工作家である藤牧さん自ら施工しました。
インテリアの細部には藤牧さんらしい柔らかさとおおらかさが出ていて、
優しい雰囲気に仕上がっています。

サンルームからの光が柔らかくギャラリー内に広がります。

こうした比較的新しい建物のリノベは、“古さ”をデザインの要素にできない分、
空間構成の面白さが際立つように思います。

空間を既存の用途要求から、まず自由にしてあげて、素直にその特徴を認めてあげた後、
そこに相応しい役割を与えていくことが、うまくできた事例だと思います。

CASE.03 空き家を“今”のライフスタイルに合わせてリノベする

2013年の2月、郊外に建つ空き家をリノベしたいという依頼を受けました。
どこの都市でも同じような事が起こっていると思いますが、
まち中だけでなく郊外にも、空き家がどんどん増えてきています。
施主である中川さんのご実家の敷地内にも、長い間、使われなくなった住宅がありました。

リノベ前の室内。南北に和室が連なる長方形の建物。

まだ小さいふたりのお子さんがいる中川さんご家族は、
この空き家を今後10年間だけ生活する住居として
リノベしたいというご希望をお持ちでした。
つまり、お子さんの成長に合わせて
今後ライフスタイルが、どう変化していくのか想像がつかないから、
“今”を十分に楽しんで生活できるようなリノベ住宅がほしいという、
今までにないパターンの依頼で、とても先進的な考え方だなと思いました。

確かに、30年以上将来に続くローンを組んで新築住宅を取得するより、
ライフスタイルの変化に合わせて、
少ない費用で10年毎に3回リノベ住宅を住み代えるほうが、
リスクも少なく賢い方法だと思います。

中川さんの場合、例えば10年後、その時の家族のライフスタイルに合わせて、
別棟の母屋をリノベして引っ越し、この住宅は他人に貸して、
家賃収入を得ることもできます。
もちろん、この家に住み続けることも可能ですが、
10年後の将来に、そんな選択肢もあると思うと、日々の暮らしに余裕が生まれてきます。

そんな考え方の人が、これからは多くなっていくのかもしれません。

加えて、癖のある古い建物をリノベしていくことは設計者にとっては(施工者にとっても)、
骨の折れる作業ですが、リノベによってできた空間の面白さや豊かさは
新築では得られないものがあります。

古くて一昔前の間取りが、みるみるうちに魅力的な空間に変わっていくライブ感は、
建築を専門としない一般の施主にとっても、ワクワクするもののようです。

築約20〜50年ほどの、増改築を繰り返して、つぎはぎだらけのやっかいな建物でしたが、
2013年12月、工事が無事完了し、お引渡しできました。

床の間や柱、天井はクリーニングしてそのまま再利用しました。

床柱や建具、天井板など、使えるものはできるだけ残しながら、
防湿、断熱、構造補強などを適宜施しながら、
「甘すぎずスタイリッシュにまとめたい」という中川さんのイメージに合うように
全体のデザインを整えました。

10年間だけ暮らすためのリノベ住宅。
クールでかっこよく“今”を楽しんで暮らす
中川さんらしいリノベ住宅になったと思います。

今回は、シーンデザインが携わった3つのリノベを紹介してきました。

リノベの場合、新築と違って、お施主さんの人となりがより出てくるように思います。
たとえば、野菜を販売するときに「どこどこのだれだれさんがつくった野菜です」
といった「人の顔が見える」という感じとは少し違って、
そこを使う人の、人柄だとか性格が、その場所や空間ににじみでてくるというか。

宮島さんの、ひたすら内向きだけど自分の世界がある感じだとか、
藤牧さんの、おおらかだけど粗がない感じだとか、
中川さんの、かしこく暮らしをデザインする感じだとか。

なぜ、そうなるのかうまく説明できないのですが、
リノベ物件には建物をお施主さんと重ねて擬人化して眺めるような、
そんな距離感があるのです。

それがどんな距離感なのか、自分自身のなかでわかりつつある部分と、
一方ではかりつつある部分もあるのが正直なところです。
でも、手探りではあるけれど、それがリノベーションの魅力のひとつだと感じています。

information

遊歴書房

住所:長野県長野市東町207-1 KANEMATSU
TEL:026-217-5559
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜・火曜
http://www.yureki-shobo.com/

information


map

クラフトギャラリー Galle_f

住所:長野県塩尻市北小野4133-130
TEL:0263-55-7471
営業時間:10:00〜18:00
定休日:木曜(不定休あり)
http://www.stylegalle.com/gallef.html

萩の素材を散りばめ、 地元の職人さんと一緒につくった ゲストハウス「ruco」 medicala vol.2

medicala vol.2
素材選びから、オーナー、職人とともにつくりあげた空間

前回は東京の蔵前のホステルNui.について書きました。
今回は、山口県萩市につくったゲストハウスrucoの話をしようと思います。

Nui.をつくってからは、Nui.で棟梁を務めてくれたナベさん率いる、
大工チーム渡部屋と、東京は茗荷谷のcafe & bar totoru
愛知県豊田市の手打ち蕎麦くくりをつくりました。

totoruの店内。

くくりの店内。

3つの現場を渡部屋とつくることで、
それまで「施工」のことをほとんど知らなかったんだなと実感しました。
逆に言うと、本当にたくさんのことを学びました。
大きなところでは大工の世界のこと、左官のこと。

例えば、
2本の角材を直角につなぎ合わせる部分を意味する「トメ」や、
木材の一番上の面のことを意味する「ツラ」などの、
大工が使う専門用語の意味がわかると、
職人や業者との会話が成り立ちやすく、スムーズに話が進みます
また、製材所で木目を見ただけでその木の種類が判断できたりすると、
若いからといって舐められることも少なくなるかな……と思います。

木材の仕上げ方もいろいろあります。
ヤスリをかけて綺麗にするだけ、
それにオイルを塗る、ウレタンを塗る、ペンキ塗る、傷をつける、
焼く、焼いてブラシで磨く、粗い表情を残すなどなど。
どの材料にどういう加工を施すか、
それがどこに使われるのか(水場か? 人が触るか? など)、
そういったことを考えながらひとつひとつ仕上げ方を決定して、
わからなかったら相談したりお任せしたり。
ちょっとずつ学んでいきました。

totoruでカウンター材の仕上げ。

そして、左官もそれぞれの現場で
職人さんが新しい技をどんどん出してくれていたので、
たくさん見ることができました。
材料は土、セメント、漆喰系、石膏系。
仕上げ方は普通にコテで塗ることから、
搔き落とし、版築、ひきずり、磨きなど。
少しざらざらさせたり、ぴかぴかにしたり、
混ぜた小石を表に出すようにしたり……技法と材料で表情がぐんと変わります。
それぞれの素材の特徴のこと、
下地によって変わる配合のことや混ぜ方のことを、
お手伝いしながら観察しながら、時には質問もしながら、勉強しました。

手伝いにきてくれたみんなと左官の磨き作業の様子。

Nui.、totoru、くくりの3現場では大工さんが同じでも、
みんな同じ技を使うことが少なかったことも学べることが多かった要因です。

さて、そうやって渡部屋と一緒に仕事をすることで培った経験をベースに
初めての地方都市で、
初めて渡部屋以外の大工さんとつくったのが
山口県の萩市にあるゲストハウス rucoです。
今回はそんなゲストハウスruco.のご紹介。

ゲストハウスrucoを僕が手がけるきっかけをくれたシオくん。

rucoのオーナーのひとり、萩市出身の塩満直弘さん(以下シオくん)。

僕と同い年で、僕も彼も東京で仕事をしていた当時、
東京のゲストハウスtoco.で出会いました。
2011年、当時の僕はまだNui.も手がけていないし、
店舗の実績もない、ましてや僕のデザインを
ひとつもまともに見たことがない状況で、シオ君は初対面の僕に、
「将来、地元の萩市に帰ってゲストハウスをつくりたいから、そこのデザインをしてほしい」
と依頼してくれました。

実績もない僕に依頼してくれたのが本当に嬉しくて、
“それまでに期待に応えられるようにレベルアップしよう!”
と心に誓ったのを覚えています。
シオくんはその後すぐに萩にUターン。萩でのベースをつくるために、
バーの居抜き物件を借りて、「coen」というバーの運営を、
ゲストハウス開業の第一歩として始めました。

それから2年後、Nui.やtotoru、くくりを経てレベルアップした後に
タイミングよく萩市で物件を見つけたシオ君から連絡をもらって、
2013年6月に萩市に入り工事を開始します。

今回、改装することになった物件。

物件は萩市のバスセンターから
徒歩1分という好立地にある鉄骨4階建てのビル。
1階と2階が元楽器屋さん、3階と4階が住居スペースだったのですが、
しばらく空き家になっていたビルです。

空きビルのなかはこんな感じです。

前述のシオくんが運営していたバーcoenはここから徒歩5分のところ。
お酒を飲みたい人の受け皿にはcoenがあるので、
ゲストハウスにはのんびりしてもらえる空間をつくろう、ということで

1階と2階をゆっくりできる簡単なカフェ&バー、
3階と4階をゲストハウスにすることにしました。

そして、今回の施工チームはこちら。

右から大工のマコさん、オーナーのひとり、シオくん、家具職人のチューゲンさん、オーナーのひとり、アッキー。

改装前にみんなで建物をチェック。写真真ん中の青いチェックのシャツの男性は、左官屋さんの福田さん。

大工さんは入江 真さん(通称マコさん)。
山口県の大工さんで、シオくんが依頼してくれました。
若いけどしっかり修業していたので腕は確か。
センスもある優しい大工さんです。

萩市の家具職人の中原忠弦さん(通称チュウゲンさん)は、
ずっと萩市で活動している職人さん。
木・革・鉄を扱えて実家である製材所に家具工房を併設しています。
優しくて謙虚でいろんなことでお世話になりました。

マコさんが連れてきてくれた萩の隣町を拠点にしている、
左官屋さんの福田靖さん。
現場が終わったあとに、左官業界では有名な人だったと知りました。
現場に入るときも打ち合わせのときも、
いつもパリっとシャツを着ていて格好いいです。
最近扱う人が減った、土や漆喰なども
きちんと扱える信頼できる左官屋さんです。

この職人メンバーに加え、rucoオーナー全員が毎日工事に参加してくれました。

オーナー陣は、
シオくんに加え、秋本崇仁さん(通称アッキー)と原田 敦さん(通称アッくん)。
ちなみに、アッくんはruco立ち上げのために
東京から萩へUターンしてきてくれました。
アッくんは工事後半からの参加になりましたが、
みんな朝から晩まで、毎日工事に参加してくれました。

電気・ガス・水道・空調・防災工事は地元の業者さんにお願いしました。

以上のように、僕以外は萩周辺で集まった「地元の職人さん」でrucoの工事は始まりました。

今回は、僕にとって初めての「土地感がないところでゲストハウスをつくる」
というプロジェクトでした。
「どういうゲストハウスにするかを考える」こと、
「どういう素材を集めるか」ということを大切に進めました。

萩市の夜景(完成したrucoの4階より撮影)。

どういうゲストハウスにするかを考える

萩というまちを案内してもらい話を聞きながら、
「萩というまちにはどういうゲストハウスが必要か?」
という部分をシオくんと一緒に考えていきました。

正直僕はシオくんに会うまで
「萩」というまちを知りませんでした
(恥ずかしい話、歴史も詳しくないですし)。
きっと僕みたいな人って日本にいっぱいいると思います。

現在萩で観光資源として代表的に謳われているものは、
「萩焼、歴史、綺麗な海、おいしい魚、萩野菜」です。
これらはすごくいいものです。
でも、客観的に見たとき「これらを目的に人は来るだろうか?」という疑問が残ります。
焼物だって日本中にいろんな種類のすばらしいものがあります。
歴史あるまちだって京都、倉敷、奈良、鎌倉、宮島などたくさんあります。
海がきれいで魚がおいしいまちも日本にはたくさんあります。
もちろん上記に並べた以外に萩に来たいという理由を持った人はいるけど、
そこまで理由を持っている人は、こっちが何か仕掛けなくても萩に来てくれると思います。

いままで萩に興味を持たなかった人が萩に来たくなるように、
そして萩の魅力を知ってもらうために……。

今回のrucoの素材をたくさん焼いていただいた、萩焼の窯元「大屋窯」へ訪ねたときのひとこま。

そのために、僕は
『rucoが旅の目的になる』
というところを目指しました。
萩に来るからゲストハウスに泊まるんじゃなくて、
まずはrucoに来たくて来る、
それをきっかけに萩を知る。

そのために「かっこいい宿をつくること」を目指すのではなく、
かっこいいことはもちろん、
宿を構成するものひとつひとつに意味があって、
オーナーや関わってくれた人への萩への愛で溢れていることが、
来てくれた人に伝わって、萩にまた来たくなるような空間。
訪れた人がなんとなくわかる「普通じゃない」感じ。
そんな空間を目指します。

どういう素材を集めるか

空間を萩への愛で満たすためには「何をどう使うか?」が大事です。
逆に考えると、どこにでもある材料を適当に使って、
ただかっこよく仕上げただけの空間では
どこにでもある場所になってしまいます。

どういう素材を選び、何をつくるのか?
それらをどういう風に、空間に取り入れるのか?
そこをどれだけ考えて落とし込めたかで、
素材にもたせられる意味が変わってきます。

工事に入り前に、萩で、もの集めと素材集めから。
ここでシオくんが地元に戻ってから
つくってきたつながりを全力で生かしていきます。

まず、宿のなかで使うものを、できるだけ萩の作家さんたちにつくってもらいたい!
ということで、

1.萩焼の窯元「大屋窯」
2.地元で大漁旗などを染めている染め物屋「岩川旗店」
3.前述した家具職人のチュウゲンさんの「中原木材工業」

に協力していただきました。

まず、大屋窯に制作をお願いしたものは、
オリジナルの磁器のランプシェード、オリジナルの磁器の洗面ボウル、
オリジナルの磁器と陶器のタイルの3つ。それぞれ紹介していきます。

ランプシェードは、大屋窯の職人さん指導のもと、
rucoの3人のオーナーと僕の4人でひとつずつ
それぞれ好きなデザインを考えて、それぞれの手を使って制作しました。
つくった人の個性が見事に反映されていて、それがまたすごく面白い。

ランプシェードの制作風景(※大屋窯は普段陶芸体験などは行っていません)。

オリジナルの洗面ボウルはサイズを伝え、釉薬の相談をして制作をお任せしました。
大きな洗面ボウルは初の試みで、排水金具取り付け部分の加工など難しい内容でしたが
なんとかオープンにギリギリ間に合いました!

洗面ボウル。

タイルを陶器と磁器でそれぞれ依頼したのは、
古くから「萩焼」で知られる、焼きもののまちだけど、
普通に生活している人や旅行者は
そもそも「陶器と磁器の違いってわかるのかな?」という素朴な疑問から。
だから陶器と磁器のタイルが並ぶようにデザインしました。

陶器のタイル。

磁器のタイル。

次に岩川旗店さんには、
ドミトリーのベッドのカーテンのデザインと染めを依頼しました。
そこで実際に担当してくれたのは、
跡取り息子で当時若干25歳だった岩川大空(そら)君。
当時の大空くんは、まだまだデザインや染めは勉強中でした。
仕事として一からデザインを起こせる機会というのは、
萩という小さなまちにいるとなかなかないもの。だからこそ、
「この仕事を、大空くんの最初の仕事としてデザインから加工まで依頼したい」
そう思いました。
シオくんと僕の気持ちを受け取って、
苦戦しながらも素敵なカーテンを制作してくれました。

染めの作業をしているところ。

染め上がったカーテン!

最後に中原木材工業のチュウゲンさんには、
1階の手洗いのオリジナルのベース(脚)と
ハイテーブル用のスツールの制作をお願いしました。

チュウゲンさんにはほかでもものすごくお世話になって、
例えば2階の床材を製材する時に工房を借りたり、
1階の壁に使う木材を製材する時に製材所を借りたり
1階と2階のテーブルを制作する時に助けてもらったり……

チュウゲンさん制作の洗面台。ボウルは大屋窯。

チュウゲンさんの工房を借りての作業風景。

こうやって、萩の職人さん・作家さんの全面的な協力をいただいて、
rucoのピースは集まっていきました。
こういう動き方ができたのも
シオくんが時間をかけて地元の人たちとの信頼を築いてきたからだと思います。

次は『素材』です。
1階と2階のカフェ&バースペースには
本当にたくさんの想いのつまった素材が使われています。

1階と2階の床材は、「パレット」という、
フォークリフトの荷役台に使われていた木材を使用しました。
このパレット、実は施工期間中に事情により廃業してしまった
萩市の酒屋さんが使っていたものを譲っていただきました。
通常だと単なるゴミになってしまう木材ですが、
その酒屋さんの記憶をrucoにつなぐために、
床材として再利用しました。
何よりも古材が持つ独特の風合いも魅力的です。
残っていた50台ほどのパレットを全て譲ってもらい、
チュウゲンさんの工房に運びました。

酒屋からパレットを運び出すところ。

パッレットを切り分ける。

実はこの床材、700枚ほどを全て長さと幅を揃えるために手作業で加工しました。
この作業だけで2週間ほどかかりました。
二度とやりたくないほど大変だった記憶が……。

みんなで、ヘリンボーン貼りしているところ。

バーカウンターには、イチョウの木を使いました。
しかし、これはただのイチョウの木ではありません。
なんと、coen.で使われているカウンターと同じで、
元々は同じ1本の木だった木材。こういう木は俗に「親子」と呼ばれます。
coen.の内装ができたのはかなり前の話ですが、
それでも当時買ったのと同じイチョウが、
たまたま萩の製材所に残っていることが判明して
「このイチョウの木以外考えられない」
という話になり、即決。

カウンターを製材している様子。

カウンター材を搬入し、お清め。

製材して反りを調整してもらい、
搬入して飛騨の友人からいただいた日本酒でお清めをしました。
設置して丁寧にヤスリをかけてオイルを塗って完成です。

カウンター設置!

萩の自然の色やかたちを生かした、ふたつのシンボル

楽器店時代の「防音室」として使われていた部屋を
rucoの印象的なスペースのひとつとするために、
ツリーハウスっぽく仕上げるデザインにしました。

施工前はこのような空間でした。

ツリーハウスを下から支える木は、
オーナーのひとりである、アッキーの萩の知り合いの方の山から
大きさや枝振りが良さそうな1本を選んで伐採。
少し乾燥させた後、設置しました。

伐採のときの様子。

流木を下地として、部屋のまわりにつなぎあわせていく。

左官で仕上げ。

凸凹している壁の下地材は萩の海で拾い集めた流木です。
軽トラ2杯分もの流木をオーナーたちが集めて、
それを使って大工のマコさんが下地を組みました。

ツリーハウス完成! 中央の部屋は、スタッフの宿直室に。

全ての曲線は流木の曲線ということで、
このツリーハウスには人為的な曲線がほとんどなく
絶妙なバランスのツリーハウスが完成しました。

萩でつくられたり、拾ってきたりしたたくさんのピースを埋めこんでつくった階段の壁。

そしてこちらは、1階と2階をつなぐ階段の大きな壁。
rucoの1階と2階は吹き抜けはあるもの
空間の連続性が薄かったので、
ここの壁で空間の一体感を持たせました。

チェックインを済ませ、お部屋へと向かう時にのぼるこの階段。
ゲストは階段を上がりながら、
さまざまな萩の素材のパッチワークを楽しく見ることができます。
この壁に埋め込まれた『萩』の要素は10種類以上。

大屋窯の陶器と磁器のタイル、
岩川旗店の端切れのパッチワーク、
質の高いことで評判の萩ガラス、
萩の名産の夏みかんと椿の葉、
最初に解体した時に出た廃材、
萩焼の窯をイメージしたレンガ、
地元の竹、
萩の夜の沖に浮かぶイカ釣り漁船の廃電球、
割れた萩焼、
地元の海岸、菊が浜の貝殻、
山口の地酒の瓶に拾ってきた同じく菊ヶ浜の砂を詰めたもの、

ひとつひとつを探して集めました。
かっこよさのためだけではなくて、
萩のどこにあったものなのかを説明することでrucoを訪れる人に
萩のことを少し知ってもらえるような、
そんなデザインの壁に仕上げました。

今回も手伝いにたくさんの人が来てくれました。
rucoもNui.の時と同様、本当にたくさんの人が手伝いに来てくれました。
萩の人はもちろん、大阪や東京から、
または近くのゲストハウスから工事の噂を聞きつけてきた大学生などなど。

みんなとの記念写真と作業風景。

ruco.の工事を通じて知り合った美容師さん。後に独立して萩に美容院を開くことになりますが、その話は後日詳しく。

手伝いにきてくれる人がいるから、できるデザインがありました。
一番大変だったのは手すりに革を巻いたこと。
20cm幅の革をたくさん縫いつなげて、
それを手すりにぐるっと巻いて縫いあげました。
延々と続く地味でしんどい体勢での作業でしたが、
東京のゲストハウス「レトロメトロバックパッカーズ」のオーナーであり、
友人の山崎早苗さんが2泊3日で東京から来て、
夜なべして仕上げていってくれました。
rucoに来ると必ず触る場所のひとつです。

革巻きはこんなかんじで。

こうしてrucoはオーナーたちの夢と、
関わってくれたたくさんの人の想いと、
萩へのたくさんの愛情で、
萩にしかない、シオくんたちとしかつくれない空間ができました。

初めての地方都市での物件で
初めて渡部屋以外の人との空間づくりを経験することができて、
もの凄く大変だった分、一段と経験値が増えてレベルアップできた仕事でした。

information


map

ruco

住所:山口県萩市唐樋町92
TEL:0838-21-7435
http://guesthouse-ruco.com/

「NNNNYのひとこと多いフリーマーケット」ワークショップ&フリマ開催

東京を拠点に活動する「NNNNY(えぬえぬえぬえぬわい)」。
伊藤ガビン、いすたえこ、たなか保留ともみなど、
グラフィックデザイナーやイラストレーター、プログラマー、編集者からなる集団で、
パルコやレッドブル・ミュージックアカデミーの広告制作、
ケツメイシなどのCDジャケットデザイン、
書籍やミュージックビデオ、ウェブサイトの制作等、数多くの作品を手がけています。

今週末、彼らが仙台に上陸!
写真事務所、ゆかいの助手であるユニット「やっかい」と共に、
11月22日(土)から24日(月・祝)のまるまる3日間かけて、
密度の濃いワークショップ「NNNNYのひとこと多いフリーマーケットワークショップ」を開催します。
このワークショップは高校生以上であれば誰でも参加OK、しかも無料!
ただいま、参加者を大大募集中です。

NNNNYがプロデュースする「PHYSICAL TEMPO」。ネットを中心に評判の商品や、まだ商品になっていなかったグッズを販売している。

このワークショップの最終目的は、24日に開催される
フリーマーケットで実際に商品を売ること。
気に入って着ていた服、夢中になって読んだ本、
自分で買ったけれどわけのわからない置物、
そしてもちろん自分で作ったものなど、
あなた自身に関わり合いのあるものを10品以上売るのです。
それに向けて、商品を売るための作業(POPの文言づくり、店(屋台)のデザイン、
ブランドロゴのデザイン、ラッピングの方法、宣伝の方法など)を、
講師のサポートのもとおこなっていきます。
「発見」「発明」「実践」の過程は、モノづくりのすべてに共通するプロセス。
将来おもしろいもの、うつくしいものを作りたい、集めたい、
売りたいと思っている人はぜひ体験してはいかがでしょう?

■フリーマーケットを実際に開催

そしてワークショップ最終日の24日には、成果発表の場として
「ひとこと多いフリーマーケット」を開催。
ワークショップ参加者が持参した品々を、過剰な想いを込めて販売・接客いたします。
こちらはどなたでも参加可能。
ご来場の方には、石巻産無農薬ササニシキの塩むすびと芋煮汁を
無料でご提供します。※先着80名

ワークショップお申込みなど、詳細はとうほくあきんどでざいん塾Webサイトにて。

NNNNYのひとこと多いフリーマーケットワークショップ
日時:2014年11月22日[土]〜24日[月・祝]
開始・終了時間は日によってことなります
会場:TRUNK | CREATIVE OFFICE SHARING(仙台市若林区卸町2-15-2 卸町会館5階)
講師:NNNNY(伊藤ガビン、いすたえこ、たなかともみ)
補佐:やっかい(池ノ谷侑花、山根諒子)
定員:20組(2人1組推奨)、要申込(応募者多数の場合、抽選)
申込締め切り:2014年11月19日(水)17:00 *締切日を延長いたしました
参加費:無料
主催:とうほくあきんどでざいん塾

■ひとこと多いフリーマーケット
日 時:2014年11月24日(月・祝)11:00-16:00
会 場:イベント倉庫「ハトの家」
    宮城県仙台市若林区卸町2丁目15-6(能-BOX隣)
対象:どなたでもご参加いただけます
申込方法:予約不要、直接会場にお越しください。

改修中のイベント、 クラウドファンディング。 それぞれが発信力のベースに! HAGISO vol.3

HAGISO vol.3
改修中の空間をお客さんと共有すること

みなさんこんにちは!
vol.1vol.2に続き、東京谷中の最小文化複合施設「HAGISO」について書いていきます。

木造アパート「萩荘」解体危機からのまさかの逆転、
海外滞在での経験をもとに新しい施設としてのHAGISOを構想し、
改修工事が行われるまでの流れをご紹介してきました。

塗装工事を残し、HAGISOの内部空間がある程度できてきたところで、
工事中にイベントをいくつか行いました。
改装中の現場ならではのライブ感だけがつくり得る体験が
あるのではないかと思ったことと、工事に一般の方を巻き込んだのと同様、
プロセスをできるだけ多くの人と共有したいと思ったためです。

仮囲いのかかった状態の萩荘。

1つ目の企画は、
身体パフォーマンス「描くとは、触れるに近く 踊るとは、今くり返される呼吸」です。
HAGISOの運営にも関わっているpinpin coと、
ダンサーの板垣あすか、暁月によるパフォーマンスでした。
冬の夕暮れから夜にかけて、緊張感のある空間(寒さのせいもありますがw)で
多くの方が鑑賞しました。
映像と身体パフォーマンスとライブドローイングが一体となった作品で、
かたちづくられていく空間を身体で確かめていくようでした。

映像による演出。

仮囲いのかかった建物に入っていくと、工事用の材木を積んだ客席があり、
まだ塗装されていない壁の墨付け跡をダンサーが手でなぞりながら舞台が始まります。
床板を張る前の2階で足音をたて、
建物を楽器のように扱った演出なども試みられました。

3人のパフォーマーによる舞台。

ギャラリー部分を舞台に

ふたつ目の企画は、海外留学している日本人建築学生による成果展、
Japanese Junction」です。
吹き抜けや階段、HAGISOの空間すべてを使って、約20組の展示が行われました。
豪華ゲストを招いた公開講評会も行われ、100名以上(!)の聴講がありました。
実際に会場で毎日出展者の方と来場者を待っていると、
近所のマラソン帰りのおじさんが毎日通ってくれて一緒に話をしたり、
近所の方と大雪の日に雪かきをしたり、
HAGISOオープン前ながら、出展者とHAGISOと地域と不思議な連帯感が生まれます。
今でもたびたびHAGISOを訪れてくれる彼らとこのような時間を過ごせたのは貴重でした。

「Japanese Junction」のポスター。

「 Kinetic Tensegrity Roof – The Roof of Modality」SHARISHARISHARI

階段室を利用した展示/武藤 夏香

公開講評会の様子。

工事期間にこのようなイベントを挟むことで、
当然工期は延びてしまうし、工務店さんにも気を遣わせてしまうのですが、
大家さんのご理解もあって、
プロセスを大切にする私たちのメッセージを表現することができたと思います。

資金面だけじゃない、クラウドファウンディングの面白さ

また、「プロセスを共有し仲間を増やす」ためのもうひとつの試みとして、
クラウドファンディング「CAMPFIRE」を利用しました。
「クラウドファンディング」とは、
インターネットを通してクリエイターや起業家が
不特定多数の人から少額多数の資金を募ることです。
日本において先駆的にサービスを開始していたのがCAMPFIREでした。
僕らに先駆けて場所のプロデュースではco-ba shibuya(コーバ 渋谷)
CAMPFIREを用いて成功しており、
運営会社である株式会社ツクルバの中村真広くんに相談していました。
彼には、ティザーサイトやクラウドファンディングを用いた、
場を完成させるまでのプロジェクトの育て方を教わりました。
CAMPFIREだけを用いて改修費用全体をまかなうのは、金額的に難しいと考えましたが、
より多様な活動をするために、
映像・音響設備を購入するための費用として出資を募りました。
結果、なんとか目標額に達することができたわけですが、
クラウドファンディングの意義は金額だけでなく、
むしろ出資者との交流のほうにこそあると思います。
オープンに先立ち関係者のみを集めたプレオープンパーティーでの出会いや、
普段の活動を口コミで広げてくれる彼らの支えによって、
HAGISOの発信力のベースが築かれました。
出資をきっかけに家族ぐるみでHAGISOに訪れてくれる出資者の方もいらっしゃいます。
このような縁でHAGISOのスタートに参加してくれた出資者のみなさんとは、
今後も長く付き合っていければと思っています。

CAMPFIREでのパトロン(出資者)募集。

HAGISOの基盤になった「カフェ」運営のコンセプトづくり

さて、その後消防検査、保健所の検査と無事にクリアし、
ハードの準備は着々と進んできていたのですが、
肝心のカフェの開業にてこずっていました。
なにせ僕は設計やデザインしかやってこなかった人間で、
飲食店での経験といえば高校生の時の焼肉屋のアルバイトのみ。
ましてや経営となると全くの素人でした(今もですが)。
それでもカフェがHAGISOに必要であると感じたのは、
飲む、食べる、話すという行為は
いかなる属性や趣味も越えて共通の楽しみであるからです。
だからこそ、HAGISOの活動の基礎はカフェでなくてはなりませんでした。

テナントとしてカフェを誘致するという方法もあったかもしれませんが、
自ら経営することで、ギャラリーでのイベントや展示の内容とリンクさせ、
カフェとしての場の使い方を更新することができるのではないかと思いました。

とにかく一緒にお店をつくってくれる店長さんを探さなければなりません。
しかしまだ見ぬカフェの募集に
本当に応募してくれる人なんているのだろうかと不安でした。
お金もないので、基本的にFacebookとTwitter、さらにカフェ情報サイトさんで呼びかけ、
ご応募下さったかたとは寒空の工事現場という厳しい状況での面接。
なぜか多くの方にご応募いただき、
なんとか「この人は」という方と出会うことができました。
ところがこの方も飲食店での経験のない方だったのです!
それにもかかわらず、僕らは彼女が
HAGISOのCAFEに立っている姿がピンときてしまったのです。
今考えてみても、この選択は間違いではなかったと思えます。
一緒に試行錯誤しながらの準備、決して効率は良くはないのですが、
HAGISOがどうあるべきかを一歩一歩確認しながらお店づくりをすることができました。

メニュー構成はどうするのか、材料はどこから仕入れるのか、
価格はどうするのか……など基本的なことから決めていかなければなりません。
たとえばコーヒーの淹れ方ひとつとってみても、
エスプレッソマシンで大きな音を立てながら鮮やかに素早くコーヒーを提供するのか、
じっくり静かな環境でハンドドリップで提供するのか。
細かいことに思えるこれらのことが、
実はカフェの雰囲気や業態を大きく左右するということにこの時初めて気が付きました。

最終的に私たちがよりどころにしたのは「場から発想する」ということでした。
マーケティングなどを用いた飲食店のコンセプトづくりは、
ターゲットの年齢層を定めて、そのターゲットが好むメニューを決め、
それに合った趣向や内装にする、といった流れが通常かと思いますが、
私たちはそれとは逆の順番、HAGISOの場と、
ここに現れてほしい空気感からメニューや家具を決定し、
それを受け入れてくれる人をお客様としてお招きすることを選びました。
それによって、年齢層や特定の趣向に偏らない、
HAGISOの場としての価値を感じてくれるお客さま
にいらしていただけるようになったと思います。

コーヒーの淹れ方、豆の種類の検討中。

既存の構造を生かした改修

萩荘は典型的な中廊下型の共同住宅でした。
その構造的な形式を守り、中廊下を中心に入って右手に真っ白なギャラリー、
左手には既存の木材を見せたカフェを配置しています。

カフェの客席よりキッチン、ギャラリーを見る。

ギャラリー部分はもともとの部屋を縦横につなぎ、吹き抜けの空間としました。
天井高は高いところで7m、空間の真ん中に柱と梁が横切っています。
空間を分断してしまうこのような要素は邪魔になると思われがちですが、
かえってこの場所の特徴を際立たせ、使う人の想像力をかきたてると思いました。
吹抜けにはバルコニーを設けたことで、高い位置からも作品を見ることができ、
ギャラリーでコンサートなどを行うときには天井桟敷席として使えるようになっています。

ギャラリー吹き抜けを見上げる。

カフェの壁には「木毛セメント板」という、
木の屑をセメントで固着させたものを裏表にして使用しています。
防音性や断熱性に期待しながら、他の木部との調和を図っています。
雨戸の骨組みでカウンターの棚をつくったり、下駄箱で本棚をつくったりと、
各所に元の部材を再利用しています。
照明やローテーブルなどは、元萩荘の住人の仲間につくってもらいました。

カフェの風景 / Photo by Kazuo Yoshida

HAGI ROOM(レンタルスペース)。

2階の美容室やオフィス部分は、ほぼアパート時の設えを残しています。
壁面の塗装や床材だけ改修しただけで、元の雰囲気をガラっと変えることができます。

2階美容室。HAGISO唯一のテナント。予約制。

2階、アーティストのアトリエスペース。

2階に構えた、HAGI STUDIO事務所。

ハギエンナーレ、ふたたび!

オープニングパーティーの様子。フラッシュモブなどが行われ、会場を盛り上げました。

こうしてさまざまなプロセスを経つつ、2012年のハギエンナーレからちょうど1年後、
なんとかオープン日である2013年3月9日にこぎつけました。
ハギエンナーレという展示をきっかけに生まれ変わることになったHAGISOは、
やはり最初の展示もハギエンナーレ2013でした。
前回の展示に増して参加アーティストは約30名。
この展示には、「Third life」という副題をつけました。
展示を記念した本にそのステイトメントを載せていますので、
そちらを引用したいと思います。

「Third life」
HAGISOは、1955年の竣工より賃貸住宅として使われた時期を「第一期」、
2007-2012年までのシェアハウスとしての時期を「第二期」と考えますと、
2013年、HAGISOとしての今後を「第三期」、「第三の人生」と位置付けることができます。
―中略―
有り得べくもなかった「第三の人生」を歩みはじめてしまったHAGISOにおいて、
どのような余生が送られるのか、今後のHAGISOの活動も含めてご期待ください。

「窓の向こう側」野口一将

「雲を眺めて古きを落とす」林千歩

「reading time」三浦かおり

「壁を塗る(キッチン)」太湯雅晴

「Untitled」ARUGAA Shingo

「ミノムシに女の子の洋服の生地でミノをつくってもらう」AKI INOMATA

「クワッド」のメロドラマによる解体」野中浩一

手前:「graftwork」林祐輔
奥:「彼女のことをはなしている、彼女のことばで」遠藤麻衣

こうしてはじまった「最小文化複合施設」HAGISO。
次回は、オープンからこれまでHAGISOで行われた展示やイベントを通して、
どのように最小文化複合施設なのか、ご紹介したいと思っています!
お楽しみに!!

information


map

HAGISO

住所:東京都台東区谷中3-10-25
TEL:03-5832-9808
営業時間:カフェ12:00〜21:00 (L.O. 20:30)
http://hagiso.jp/

元スーパーマーケット +集合住宅を 自由に遊ぶ、DIY空間! HAPS vol.3

HAPS vol.3
テナントビルが、それぞれのクリエイティブ空間へ

京都市北区紫竹。少し北上すると上賀茂神社にも近い、静かな住宅街。
その一角、久我神社の森を背景に、
築50年を数える2階建ての「ふじセンター」が佇んでいます。
建物に一歩足を踏み入れると、
シャッターが半分降りている外観からは
想像もつかない予想外の面白い空間が広がっています。
ここでは現在、鶏肉店、鞄工房、HAPSのマッチングした
アーティストのスタジオなどの活動があり、居住者もいます。
1階、庭、屋上などの空間を生かし、
時にはライブや季節ごとのイベントが繰り広げられ、
また近所の人々が立ち寄ってはおしゃべりをしていくような場になっています。

1階の共用キッチンスペースにて。左よりアーティストの日名舞子さん、養蜂家(兼・帯の図案家!)の松田さん、ふじセンターを運営する山崎秀記さん。

1960年に建てられ、2階は12部屋の台所つきアパート、
1階は、肉屋、漬物屋、八百屋、たこ焼き屋、
ゲームコーナーなど総合商業施設として賑わってきました。
平成に入り徐々に活気が薄れ、
ついには鶏肉屋「鳥米商店」1店のみが営業を続ける状態に。
しかし、15年以上が経過していたところ、
2012年10月から100坪のスペースを活用すべく、
ミュージシャンの山崎秀記さんが中心となり、
アトリエや作業場、住居として自分たちでDIYしながら、
さまざまな人が入居し始めています。

秀記さんは、20代の頃から演劇や音楽の京都アングラシーンで活躍し、
丸太町のライブハウス「ネガポジ」のオーナーで、
ロックバンド「ウォーラス」のリーダーでもあり、
現在は「ふじセンター」の運営を行っています。
大学から京都に来て既に引越しは10回を超えています。
より面白い物件をを探しインターネットをいつもチェック。
ふじセンターとの出会いも
関西の地域活性を目指し空き家物件を紹介するインターネットサイトでした。
そのサイトにはこう書かれていたそうです。
「驚異的な部屋数!

1階・2階の一定区画を除いた全ての部分がご利用できます。

面白い物件が好きな方、根性のある方、ぜひ。」
秀記さんは早速連絡をとり、現地の様子を見に。

現在の1階入り口部分。シャッターが開いているところから、近所の人や小学生などが次々に出たり入ったり。

物件の問い合わせをしたところ、
偶然にも大学の音楽サークルの後輩であり、
ふじセンター近くの大宮商店街で代々畳店を営む、
西脇一博さんが関わっていることが判明。
西脇さんは、畳店の枠を越えて、
設計・施工などの工務店的な仕事も手がけていたことから、
ふじセンターの大家さんからメンテナンスの依頼を受けていました。
ふじセンターは神社に隣接していることもあり、
周囲に差し障りがある状態にはしておけないと
長年ほぼ空き家となっている建物の補修や落葉の清掃を、
西脇さんが月に1〜2度行っていたそうです。

そんなご縁から、ふじセンターを秀記さんが借りることになっても
ライブハウスの改修や家のDIYを自ら行っている秀記さんを、
西脇さんが知っていたことが、大家さんにとっても安心材料に。

しかし、実際自宅として借りるとなると
物件の魅力と可能性を大いに感じたものの、
100坪の広さにやはり最初は勇気が要ったという秀記さん。
そこで、ほかの借り手として誰に声をかけるかが問題でした。
思案していた頃、大学の頃から音楽を通じた旧知の仲である山本玄さんが、
ふらりとライブハウス「ネガポジ」にやってきたのです。
ふじセンターの話をすると、玄さんはすぐに乗ってくれました。

革製品の作家である玄さんは、
ふじセンターからすぐの場所にある自宅に工房を構え、
そこで革の鞄などを妻の尚子さんとともに製作。
機械や素材などが増え、手狭になってきたので、
ちょうど新たな場所を探していました。
当初は一部の作業のみを行う場所として借りたそうですが、
今や工房全ての機能をふじセンターに移し、
日々1階スペースを守る顔となっています。

1階・工房外観。友人の設計士と構造等を考え改修。

製作中の山本夫妻。工房内部には、必要な道具や素材などが随所に収められている。

そんな不思議な縁が重なって、
ふじセンターの磁力に惹き付けられるように仲間が集まっていきました。
そのひとりは、舞台美術をつくっている田島邦丸さん。
現在はふじセンターに工具室を借りています。
田島さんは演劇の舞台美術を手がけていましたが、
劇団の解散を経て公演の場所を探していたところ、
秀記さんがふじセンターの活用を始めたことを知って、
1階に舞台をつくり、照明を取り付け、公演会場に。
その後は、ふじセンターに新たな入居者を迎えると床を張り直したり、
1階にみんなでお正月を過ごすための居間を、
畳敷き、障子張りでつくったり。
DIYする上でも頼もしい存在です。

舞台美術などを手がける田島さんの工具室。

お正月用にと1階に田島さんがつくった居間スペース、「ふじの間」(2014年1月/現在は解体)。

そして、造園、電気や水道工事、設計など、
好きに遊ぶ余裕も出てきたという40代の
専門スキルも持つ古くからの友人知人などが
各自の強みを生かしあってこの場所で楽しんでいるという状況です。

1階で営業を続ける鶏肉屋さん「鳥米商店」。

現在は、鶏肉屋さんのスペースを除く、
「ふじセンター」1、2階全てのスペースを秀記さんが一括で借り、
運営しています。
1階はワンフロアで仕切りのない空間に、
鶏肉屋さん、鞄工房、手づくりの共用キッチンと居間。
さらにガレージとして使用している部分や、
フレキシブルなイベントスペースとして活用中。
ここで、田島さん特設の舞台が組まれ、ライブあり、フード&ドリンクありで、入居者や友人たち、そして近所の人々をまじえにぎわう
「ふじセンター祭」を年に2、3回開催。
奥の庭では養蜂もしているので、
蜂蜜の収穫と試食会も年に1度の行事になりつつあります。
2階の集合住宅部分のうち、住まいとしているのは秀記さん含め3名。
そして、アーティストのスタジオ、
工具室、短期滞在用の部屋として使用しています。
そして、比叡山まで見通せる見晴らしを誇る屋上では、
夏の「五山の送り火」の時に、たこ焼きパーティーが開かれたりもします。

1階の天井を解体し、鉄板、電線、配管などを撤去(2013年1月)。

セットのような、秀記さんの初期生活空間(2013年1月)。

「ふじセンター祭vol.2」1階でのライブ風景(2014年5月)。

キッチンに水道を引くべく、建物裏手から配管を分岐する秀記さん(2014年7月)。

ふじセンターをHAPSに紹介してくれたのは、
HAPSがこれまでに六原まちづくり委員会などで一緒に活動をしてきた
戸倉理恵さんでした。戸倉さんはジャズシンガーの顔も持ち、
「日本畳楽器製造」(!)なる、
畳を素材にした楽器で演奏するバンドでも活躍中。
バンドを率いるのは、先ほど名前が挙がった西脇さんです。
そんなご縁で「面白い場所がある!」とHAPSにお知らせいただいたのでした。

日名さんのスタジオ。取材の前日に壁を黒く塗ったばかり。「好きなように手を入れてよいというのが、この場所の最大の魅力」と日名さん。

そして、HAPSのコーディネーションにより、
ふじセンターを制作の場としているアーティストが日名舞子さんです。
京都市立芸術大学を卒業後、
半年間続くワークショップの作品制作のために、
短期的なスタジオを探したいと、2013年8月にHAPSに相談を受けました。
早速マッチングへ。
当初は短期利用の予定でしたが、
ふじセンター屋上を作品の映像撮影に使ったり、
1階の広い空間で、作品の実験をするなど、
ふじセンターの環境が気に入ったようで、現在も継続しています。
ふじセンターでは、大学での制作環境とは違った、
幅広い人々と日々接し、話す機会が増え、作品にも変化が出てきたようです。

日名さんのスタジオの一角には、ドローイングを配置。

1階居間の奥から屋外に出ると憩いのスペースと、蜂たちの巣箱が。背後には久我神社の森。

さらに、HAPSのマッチングで、
ふじセンターで作品制作を行うアーティストがまたひとり、
最近加わりました。
お話を聞いていると、次々に登場人物が出てきて、エピソードが尽きません。
秀記さんの頭の中には、
まだやりたいことがいくつも実現を待っているようです。
まずは、11月16日に、次回の「ふじセンター祭vol.3」を控えています。
お近くの方はぜひ、遊びにいってみてください。

infromation


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ふじセンター

住所:京都市北区紫竹下竹殿町1

日本の森から生まれる国産アロマ「yuica」。岐阜県、飛騨高山の植物から抽出

日本は国土の67%が森林という、フィンランドについで
世界で2位の森林面積率を誇る国。
本日は、飛騨高山の森林で作られている精油「yuica」をご紹介。
100%天然、日本国産のアロマということで注目の存在です。

「yuica」の原材料になるのは、
飛騨高山地方の山から採集された間伐材や枝葉。
この森では化学肥料も農薬も使われていないので、
オーガニックな原料を採取することができます。
この原料を採取する役割を果たすのは、飛騨地方の森林組合員及びOBたち。
プロの目で、他の間違った樹種が混ざらないように吟味し、
しかも適度な太さで粉砕しやすいものを集めているんだそう。

こちらがyuicaの精油抽出場と工房。森に囲まれ、谷川のせせらぎや小鳥のさえずりがいつも聞こえています。

集めた素材は、きれいな地下水を使って水蒸気蒸留法で抽出。
原料から抽出した成分の他に何も加えず、何も引かずに、
純粋なエッセンシャルオイル(精油)を製造しています。

「KOTOHA with yuica クロモジの香り ヘアシャンプー」

ぬくもりを感じるヒノキのスタンドとyuicaのアロマを配合した自然芳香液のセット

こちらが人気の香り「クロモジ」の原料の葉っぱ。保湿作用と補修作用に加え、沈静・免疫力強化作用があるのだそう。

日本の森には針葉樹も広葉樹もあり、
温帯林でもっとも生態系が豊かであると言われています。
そんな豊かな生態系から抽出された天然エッセンシャルオイル、
国産、オーガニックなどのキーワードに興味のある方は
ぜひチェックしてみてください。
通信販売は下記より。

yuica

「グッドデザインエキシビション2014」。“小さな町が輝くためのデザイン”をキーパーソンが語る

ただいま東京・六本木の「東京ミッドタウン」にて、
「 グッドデザインエキシビション2014(G展)」開催中。
東京ミッドタウン内各所にて、「心地の質」という視点を
もって選ばれた、本年度グッドデザイン賞1,258点が展示されています。

コロカル読者におすすめしたいのは、
11月3日(月・祝)15時から、「東京ミッドタウン・ホールB」にて
開催されるトーク「小さな町が輝くためのデザイン」。
本年度グッドデザイン賞を受賞した各地での取り組みの中から、
地域に潜在している魅力と人間力を引き出し、関係性をつくり、
発信するプロジェクトを紹介。
実際に、現場で活躍している「地元のキーパーソン」が集い、
日本各地の市町村がそれぞれに光り輝いていくための仕組みづくりについて
意見交換します。

プレゼンターは、北は青森から、南は熊本まで!
青森県大間町より、「あおぞら組のまちおこしゲリラ活動
の古川デザイン室 バグダン地デザイナー 古川たらこさん。
青森県十和田市の「ウマジン
を手がける安斉研究所 安斉将さん。
新潟県三条市・燕市の、「燕三条 工場の祭典」を手がける、
三条市役所経済部商工課、澁谷一真さんほか、
地域活性化の活動、社会システムやビジネスモデルなど、
モノではない“コト”のデザインのデザインについて語られる
機会になります。

グッドデザインエキシビション2014(G展)特別ステージ
「小さな町が輝くためのデザイン」

日時:11月3日(月・祝)15:00~16:00
会場:東京ミッドタウン・ホールB グッドデザインエキシビション2014(G展)会場内ステージ
※参加申込不要
※グッドデザインエキシビション2014(G展)イベントに入場した方はどなたでもお聞きいただけます。
(G展 入場料 1,000円(税込/5日間共通、中学生以下は入場無料)

これからのオハナシ。 ビルススタジオ vol.10

ビルススタジオ vol.10
観光地、日光に「HOTEL NIKKO」を計画中

この連載も最後なのでこれからのお話をしたいと思います。
世界遺産があるまち、栃木県の「日光」にホテルをつくりたいんです。

世界遺産「日光の社寺」の象徴、陽明門。

国内外から年間約1,000万人の観光客が来るにも関わらず、そのほとんどが日帰り。
かく言う私自身も県外からの友人が来る時は連れては行くものの、
食事もせずに宇都宮市へ戻ってきます。
そう、気軽に泊まれる、居心地のよいホテルが少ないんです。
あるのは激安の素泊まり宿、または一泊ひとり3万円以上のホテルか旅館。
それだったら都内からでも日帰りも無理はない距離だし、
飲食店やコストパフォーマンスの良い宿が集まるまちへ戻るでしょう。
いやしかしそれじゃあもったいない。
せっかくはるばる違うまちに来たのに泊まらずに、
つまりは土地の体験をせずに帰してしまうなんて、
日光に栃木に来たことがある、と言えるのでしょうか。
そう、やはり、旨い食事が食べられ、なんだか居心地のいいホテルが必要。
そこで目をつけたのが、「日光の社寺」エリアのほんの150m手前にある、
鉄筋コンクリート造の廃ホテル。

ここをこんな風にしたい。

ACE HOTEL PORTLAND(http://www.acehotel.com/)。

ひと言で言えば「ロビー活動が充実したホテル」。
宿泊客、観光客、更にはまちの内外の人が自由に出入りできるロビーをまず設けます。
ここにはもちろんコーヒースタンドを併設します。
偶然の同席での出会いのみならず、
定期的に勉強会や交流会を開催し、能動的に内外の人や情報を繋げることもしていきます。
日光のまちはもちろん、栃木県内の人や情報にも触れてもらう。
そうすることでまちの体験をしてもらいたい。
そんなホテルです。

まず大切なのは人。誰と一緒にやるのか、です。
おいしい料理とドリンク、グラフィックデザイン、そしてホテル経営と、
さまざまなジャンルのプロが必要です。
そこで、
「栃木をフィールドに発進力の高い実践を行なっている」メンバーを勝手に設定しました。

カフェ、料理、グラフィック、それぞれの分野をクオリティ高く、
しかも横断しながら地域価値創造を実践している20〜30代のメンバーです。
そこに建築設計として当社もこっそり参加させてもらっちゃいます。
なんか、楽しくなってきました。
そこで周辺調査、建物調査などをし、収支含めた企画書をつくってみました。
うん、いけるんじゃないか。よしっ。

これで県外から友人が遊びに来た時に一緒に泊まれるホテルができます。
これがあれば自宅でおもてなしをしなくても済む。
尚よしっ、ですね。

「もみじセントラルビル」古いビルの活用法を模索中

で、近所のハナシ。
ビルススタジオがあり、私自身の住まいもある宇都宮市にあるもみじ通り(vol.1
その真ん中辺りにある3階建ての建物が売りにでました。

オーナーさんの高齢化に伴い、引越しを考えているとのこと。
実は購入を検討している知人がいまして、
現在オーナーさんの自宅部分である2、3階の生かし方を考えています。
そのまま貸家? いや、広すぎる空間と
家賃的にも、それだけ払えれば宇都宮だったら家を買えてしまう。
無いか。テナントとして? いや事務所ニーズはそもそもないし、
店舗だとしたら、入り口が2階という点をどう生かすか。
美容室やマッサージ系のニーズはありそうだけど、
その業の方たちにヒアリングしたところ、広さ、家賃などからしてもバランスが悪いらしい。
これも無いか。

じゃあいつもの考えに戻ろう。
目の前の風景に何が足りないか?
目の前の風景でおかしなトコロはないか?

まず、周辺の新規店舗を振り返ってみると、
子ども服も扱うファッション雑貨店など、
小さい子連れの世代が好きそうな感じの店が集まっているのに、
不動産物件(売/貸とも)がほとんど出ないので、近くに住むという選択肢が取れない。
でも好きなので郊外からも車でお店へ通ってくる。近くに住めれば歩いて通えるのに。

そして周辺の住宅。
ゆったりした敷地に高齢の夫婦またはひとり暮らしが目立つ。
聞くと広さを持て余しているのだが、慣れ親しんだこの土地と近所付き合い、
年1回帰って来る子ども家族などの理由から動くに動けない。
そもそもこの古い家を使いたい人はいないだろう、と思っている。

さらにじぶんち。
小さい子連れ世代。ママ友と遊ぶのに、誰かの家を順番に巡っている。
人の家は子どもが汚すとかで気が引けるし、
自分の家はその前の片付けやお茶お菓子の気遣いで疲れる。
かと言ってお店に行くのはもっと疲れる。近くに同じ世代の住民も非常に少ないので、
会場になる人以外は結局車で移動する。なんか、遊ぶのも大変。
その日は母親も疲れて夕飯づくりもサボりたい。

うん、こんな場所。
http://kazoku-no-atelier.com/

子連れのお母さんたちが遊びに来てゆっくりできる場所。
それをもみじ通りという狭いエリアの利用者を対象にやってみよう。
もちろん飲食の持込みもOK。
十中八九、通りにあるドーナツ屋やお惣菜屋を使ってくれるだろう。
カフェやお蕎麦屋さんからの出前もアリだろう。
もともと住宅だったこのビルにはキッチンもあるし、セルフで料理してもいいだろう。
近所の高齢者さんたちの趣味の集まり所としても機能しそうだ。
そしたら子どもと高齢者の接点もしかけられるかもしれない。
近所の商店主や住民さんを先生に招き、
ワークショップなんか開催してみてもいいかもしれない。

並行して自分の土地建物を持て余している住民の方々へ近隣移住のしかけをしてみよう。
そうしないと新たな移住のニーズをしかけても無駄になってしまう。

よし、なんか見えてきたぞ。
これでママ友と遊んでいたらしい日に家に帰っても疲れた顔で迎えられなくて済む。
つまり家庭円満に日々を過ごすことができる。
先には、目を付けていた近所のいい感じの家に引っ越すことも叶うかもしれない。

これまで目を付けていたのに、解体されてしまった住宅がありました。

妄想中のあれこれ

他にも、あれやこれや考えていることはたくさんあります。

たとえば、もみじ通りから歩いて10分くらいの所に、
奥州街道と日光街道の追分だった場所があります。
そこに築数十年くらいの店、蔵を含めたお屋敷があります。

ここ、ずっと使っていないんです。
こんな良い場所に格式ある建物群があって、それが遊んでいる。
うちの企画を待っているんじゃないか。と勝手に思ったので
近々、ここを活かす企画を立ててみようと思っています。
ゆっくり友人と飯の食べられる場所。
じっくり仕事のお客さんと話せる場所。
かつ、偶然の出会いも時折起きる場所。
そんなんがいいです。

さらに、うちのオフィスの話です。
わがビルススタジオの事務所はもみじ通りに面しています。

でも業種上、通りに面している必要はほぼないんです。
それはここに移転してきた時から思っていることで、
次にここにオフィスを動かしたいな、と考えています。

現オフィスから徒歩15秒にある、元診療所2棟。

今のオフィスよりもだいぶ広いです。
とはいえ、スタッフ数を何倍にもしたい訳ではなく、
複合した場所にしたいんです。
モデルはロンドン留学時に通ったICA

ひとつの施設内にギャラリー、ライブハウス、映画館、本屋、CD屋、カフェが入っています。
ここに来ると何かしら見るべきものがあるし、
特段イベントがなくても本とコーヒーで何時間でも過ごせる。
ロンドンみたいな大都市だけではなく、
イギリスの中規模都市にはだいたいこんな施設がひとつはありました。
栃木だとどうかな、成り立つかな。来る人いるかな。
でも収支がトントンだったら自分で設ける価値はありそうだな。
なによりも出入りする人々が面白そうだな。
その人たちと友だちになりたいな。
そうすればここでの生活がもっと楽しくなりそうだな。
もうオフィスは2階で引っ込んでもいい。
余ったスペースにカフェ、本屋、多用途なシアターあたりをつくろう。
うん、そうしよう。

こうなればいいなというスケッチ。

仕事でやっている「場所づくりのお手伝い」だけではなく、
自分で自分が楽しむための場所をつくってみよう。
そこで得られることは必ずお客さんのメリットとして還元できるハズなんです。

結局、こういう言い訳を入れないと始められないんです。
そして公に言ってしまわないと先に進まないんです。

これらは今、全て妄想です。
でも、妄想で終わらせたくない。
だって自分のためですから。

リノベーションって、ただ古い建物を見た感じかっこ良くすることではありません。
空いている、遊んでしまっている建物を利用して
新たにその建物がある界隈の価値をつくり出すこと。
それはただきれいになればいいのではなく、
そこに入るコンテンツが重要だと思っています。
既存の建物の魅力、界隈の魅力、コンテンツの魅力、そこに居る人々の魅力、、。
それらの相乗のからみ合いをもつれさせること。
そこにはもちろん自分も入り込みつつ、でないと楽しくないですよね。

P.S.
そんな(?)株式会社ビルススタジオ、現在「設計メインのスタッフ募集中」です。
興味ある方は連絡下さい。

information


map

ビルススタジオ

住所 栃木県宇都宮市西2-2-24
電話 028-636-5136

東京にいながら地域と深くつながる!土日を使って地域活性に参加する「地域イノベーター留学」

人口減少・高齢化が止まらない地域。
素晴らしい資源や観光地があるのにも関わらず、うまく活かせていない地域。
それぞれの課題を抱えた地域が多くあります。
その一方で、いずれは地域に移住したいと考える人や、
移住ではなくとも繋がりながら仕事をしたい人も多くいるはず。

NPO法人ETICが主催の「地域イノベーター留学」は
課題を抱えた地域の「なんとかしたい、新しいことをしたい」という地元の人たちと、
外側からだからこそ新しい気づき・見方ができる「よそ者」をひきあわせ、
新しい仕事を作り出すきっかけとなるプログラム。
平日働いている人でも参加できるようにと
週末を使ったフィールドワーク(体験や交流を通した現状把握)と
課題分析・アイデア・計画を考えるワークショップを組み合わせ
最終的には地域が元気になり可能性を広げるような、
具体的な方法を地元の人たちに提案します。

地域イノベーター留学は今年で5年目。このプログラムをきっかけとして、なんと15%もの人が移住をしているのだとか!

地域の再出発への糸口を見つける

「地域で働くこと」
「本当の地域課題」
「地域のために自分ができること」とは何かを本気で考える4ヶ月間。
関わっていくことでまた何度も行きたくなる
「第二のふるさと作り」でもあります。

将来は自分の地元に戻りたい人や地域で仕事をする際の具体的なスキルや仕事像をつかみたい人などが参加

10月26日(日)に行われるキックオフイベントでは
受け入れ先の地域コーディネーターが
地域の魅力や現在の取り組みを語り、地域と参加者をマッチング。
また、地域活動に関心のある参加者同士が想いを話す場にもなります。

地域に貢献したいけど何から始めたらいいのか悩んでいる方、
まずは一歩、話を聞きにいくところから
参加してみてはいかがでしょうか。

【地域イノベーター留学キックオフイベント】
■ 日時:2014年10月26日(日)11:00~19:30(1部11:00~14:30、2部15:00~19:30)
*10:30開場/10:45までに受付をおすませください。
*2部制となっております。
1部はコーディネーターの方と直接お話し出来る機会となっておりますので
こちらは特にご参加いただけますようお願い致します。
■ 会場
日本財団ビル(港区赤坂1-2-2)[地図]
*東京メトロ銀座線/南北線・溜池山王駅9番出口 徒歩5分
*地図を持参の上、時間に余裕を持ってお越しください。
■ 参加費 無料
■ 定員 200名
詳細は下記サイトより

地域イノベーター留学 キックオフイベント

職人集団、友人、 スタッフ、みなの力を結集! デザイン溢れるゲストハウスへ medicala vol.1

medicala vol.1
住みながら、その土地でリノベーションする。

はじめまして。
僕らは「medicala(メヂカラ)」の屋号で活動している、
主に空間のデザイン(ハード)を担当している、アズノタダフミ(以下アズノ)と
空間の運営やごはん(ソフト)を担当しているアズノカナコ(以下カナコ)の夫婦です。

アズノは1984年生まれの今年30歳。
カナコは1986年生まれの今年28歳。
目がほかの人たちよりちょっと大きなふたりが活動しています。

空間をプロデュースするmedicalaとしての働き方は、
お呼びがかかれば地方都市でもどこでも出向き、
その土地に住みながらひとつのお店を地元の職人さんや仲間とともに、
つくり上げていくというスタイル。
これまでに東京都蔵前、愛知県豊田市、山口県萩市、
長野県下諏訪町と住みながら空間をつくってきました。
現在は夫婦ふたりで大分県の竹田市に住みながらレストランつくっています。

住みながら空間づくりをしているのには理由が3つあります。

まず、空間づくりはデザインだけで完成するわけではなく、
図面があっても実際につくる職人さんたちとの意思の疎通がとれていないと
イメージ通りの空間に仕上がりません。そして、地方の職人さんほど
「一般的な住宅づくり(例えば、伝統的な在来工法の家など)」に慣れていて、
古材を使うことやエイジング加工などは
「やり方がわからない」もしくは「やりたくない」
と思っている人が多いかもしれません。
だから、デザインも兼ね備えた空間を実現するためには
「最悪の場合、仕上げの作業は自分で施工する」という覚悟が必要になってきます。

次に、その土地が持つ風土や気候、素材、風や光の具合などを
できるだけデザインに反映していきたいと思っています。
一度や二度現場に行って調査してもわからないことはたくさんあります。
その場所のまわりに住んでいる人の声から風の通り方など、
住みながらつくることでそういったことに敏感になりながら
工事を進めることができます。

最後に、オーナーや大工さんとみんなで一緒になって
つくっていくことで生まれる空気を大切にしているから。
住みながら空間をつくることは大変です。
慣れ親しんだ自分の家には帰れず、工事中他の仕事はほとんど受けられず、
初めての場所で不便なこともたくさんあります。
それでもやっぱり住みながらつくるということは
オーナーや大工さんと過ごす時間が限りなく長くなり、
普通の打ち合わせではわからないことまでわかるようになってきます。
お店をつくるというしんどいタイミングに、オーナーと共にいることで、
困っていたら助けられるし、オーナーががんばっている姿を見ると
こっちも「いい空間つくるぞー!」という気持ちになり、
お互いが高め合って、結果よい空間につながっていくと思っています。

もちろん、かっこいいだけの空間をつくればよいわけでもなく、
過程が楽しいだけでよいわけでもなく、その両方を大切にしてつくっています。

僕らやオーナーはもちろん、大工さんや職人さん、
手伝いに来てくれた友人たちや地元の人と一緒にごはんを食べて作業して、
好きな音楽を流して、休憩時間はお菓子を食べて、
夜はお酒が好きな人は飲んで、ときには人生の話とかをしちゃったりして、
そうやって空間をつくっています。

その空間と向き合った時間が長いほど、関わった人の想いが強いほど、
よりいい空間ができる。そう信じています。

施行中の休憩写真。

この連載は、基本的には僕アズノが書いていきますが、
物件よってにはカナコも登場しますのでお楽しみに。
まずは、僕アズノが結婚前に関わった物件から紹介します。
東京の東側、浅草の近くの「蔵前」というエリアにある
ゲストハウス「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」(以下Nui)です。

2012年。いまから2年ちょっと前の話。
鉄筋コンクリート造6階建ての元おもちゃ屋さんの倉庫を
1棟まるまる改装して
1階をバーラウンジ、2階以上を主にホステルの宿泊機能に充てる、
というプロジェクト。延べ床面積約960平米です。

改装前の写真。

Nui.を運営する株式会社バックパッカーズジャパン(以下BJ)
のみんなとは2010年に世界一周していたときに
トルコのイスタンブールで会ったのがきっかけで友だちになりました。
当時彼らは、ゲストハウス1号店となる「toco.」をつくるために、
世界中、日本中の宿を見る旅をしていました。
僕はその「世界中の宿を見て回るチーム」と会ったのです。

彼らはtoco.をつくる際にはデザイナーを入れていなくて
大工さんたちと話し合ってつくりあげていました。
しかし今回のNui.はtoco.の5倍程度の規模だったので、
さすがにデザイナーが必要だと思ったのかわかりませんが
とにかく彼らの一番身近にいた空間デザイナーの僕に話がきた、というわけです。

実はこの仕事、独立してから初めてつくる店舗の仕事であり、僕は当時27歳。

ずっと店舗デザインの仕事がしたいと思っていたので、
「ここで全力を出してよい空間がつくれなかったら自分の実力はそれまで。
言い訳はできない」と、プレッシャーはありましたが、楽しさのほうが勝っていたと思います。



Nui.の棟梁は大工チーム「渡部屋」代表の渡部雅寛さん、通称ナベさん。
渡部屋とは、大工衆の集まりです。

しかも、設計士がいなくても、
彼らのつくりあげる空間はとてもかっこいいのです。


大工チーム。

そんな大工さんたちの仕事に「デザイナー」として関わるとなると、
できるだけきちんと信頼関係を築きたいと思い、
「毎日現場に行って、図面も現場で描いて、施工もやる」
という働き方になりました。
これが今の仕事の進め方の原点になります。

最初に施主であるBJ代表の本間貴裕さんと
完成イメージを共有するため、

青山にある「嶋田洋書」という洋書屋さんに行きました。
いろんな海外のデザインの本を見る中で一目見て、
「これだ!」とふたりの意見が一致したのが
『ROUGH LUXE DESIGN』という当時発売されたばかりの本。
(ちょっと高くて15000円くらい)
これを軸にイメージを固めていきました。

参考にした『ROUGH LUXE DESIGN』の表紙。

イメージビジュアルを集めてスケッチを重ねて、
大工さんや会社のみんなとの話し合いを重ねてぼんやりを見えてきたかたちを
スケッチに落とし込みました。

ピアノが置いてある場所を屋内的な静的な空間、そのほかのスペースを屋外的な動的な空間としました。

Nui.のコンセプトは「あらゆる境界線を越えて人々が集える場所を」。
このコンセプトを実現するために気をつけていたことは“ゾーニング”。
1階を平面で見た時に真ん中の柱を中心に4つのゾーンに分けて考えました。

1.立ち飲みする動きのある場所(スケッチ左)。
2.テーブル席のある少しゆっくり話せる場所(スケッチ下)。
3.ソファ席のある長時間ゆっくり話せる場所(スケッチ右)。
4.エレベーター前の人が行き交う交差点のような場所(スケッチ上)。

ゾーンを分けて席を配置することで、
ゲストは気分によって席を選ぶことができ、
幅広いジャンルの人たちがNui.を楽しむことができます。
また、注文を「キャッシュオン」方式にすることで、
空間自体にも動きが生まれて、
「注文のために立った人が、偶然隣り合わせた待ち人と話して仲良くなる」
と、コミュニケーションが生まれやすい空間を意識しました。

空間を自由に使ってくれているお客さん。オープン後のある日の営業風景。

技術もセンスも持ち備えた、大工集団

ここからは実際の施工風景を紹介します。

施工にあたって、大きく分けてふたつの方法がありました。
ひとつは『プロの大工チームの本気でしっかり施工』
そして、もうひとつは『手伝いにきてくれた友人との参加型の施工』。
前者は主に1階のバーラウンジ、後者は2階以上の客室部分の担当です。

まず、『しっかり施工』のバーラウンジ。
大工チームは先ほどご紹介した『渡部屋』を中心に
日本中から10名以上が集まりました。
大工、ログビルダー(ログハウスをつくる大工)、
ツリーハウスビルダー、金属造形職人、左官職人など、
このメンバー、いま思い出してもスゴ過ぎる職人たちです。

1階のシンボルとなる木材を施工しているところ。

とにかく全てに対して真剣で、
そこには「デザイナーだから偉い」「大工だから偉い」など
そういった関係はなく、
お互いがよりよい空間デザインになるために意見を言って、
つくれる人はデザイナーであろうと施主であろうと手を動かす。
そんな気持ちのよい信頼関係ができていました。

毎晩行われていた深夜のスタッフミーティング。

例えば、木材に関して、
Nui.に来たら真っ先に目に入るシンボルツリーや
空間のポイントとなる丸太のカウンターができたのもお互いの理解があってこそ。

使われている木の多くは北海道のニセコで大工さんが選んできていて、
樹種はイシナラ、タモ、キハダ、トドマツ、イタヤカエデなど、
北海道ならではの木材です。
それらは、乾燥しきってなかったり、曲がっていたりして、
普通の職人さんだと敬遠されがちな木材です。
(それゆえ、市場価値が低く、安く手に入ります)
でも、曲がっていることも木は生きているんだから自然なこと、
乾燥しきっていないと、後で反ったり割れたりすることもあるが、
それも木が生きている証拠。
むしろそういった経年変化を「いいよねー!」って言い合える関係性が、
施主、大工、デザイナーの三方で育まれていたからこそ、
この木材の良さを生かせて、実現した空間です。

木材が北海道からやってきた時の様子。

そういった特殊な木材は、やっぱり
現場で判断しながら、生かしていきます。
「現場の空気をかたちにする」という、
手仕事じゃないとできないことや表現できないニュアンスもあり、
もしかしたらデザイナーはデザインを決めすぎず、
職人さんを信頼して任せるという方法もあるのかもしれません。

ただ、Nui.の場合、僕が未熟だったこともあり、
大工さんお任せデザインの部分がたくさんあります。
例えばゲストハウスの受付となる「レセプション」部分。
ここは寸法やサイズ感だけ図面におとして、
あとの細かいおさまり方や素材はお任せ。
本当にかっこいいレセプションができました。
僕自身、ここから学べる技がたくさんありました!

レセプション。カウンター下の木のデザインは大工さんが考えたもの!

施工中、大工さんと話していて印象に残っている言葉があります。
「あいつがそうやってつくるんやったら、俺はこうやってつくろうか!」
「作業しながらも後ろでつくってる仲間のエネルギー感じる!」
大工さんたちはつくりながらも考えて、
そういった現場の空気が、建物に宿っていく気がしました。
職人さんたちはみんながみんな個性的で、
お互いを尊重して高め合っていく現場の空気は、
それはまるでJAZZのセッションをしているかのようでした。

現場でカウンター材を加工。

鉄の加工も現場で行った。

こうして、Nui.の1階のバーラウンジは、
大勢のプロの技術と経験が詰まって完成しました。

素人、プロ、みんなと共有する空間づくりの面白さ

参加型施工部分は、主に2階以上のフロアの左官仕事、
ドアのエイジング塗装、二段ベッドの制作です。
手伝ってくれたのは施主であるBJの社員とその友人たち、
toco.のお客さん、僕の友だち、そして噂を聞きつけてきたはじめましての人など、
本当にたくさんの人に手伝ってもらいました。
募集は主にfacebookで行い、
延べ300人以上の人が手伝いにきてくれたと思います。
これも1店舗目のtoco.があって、生まれたつながりが大きいと思います。

手伝い風景。

お手伝いしてくれる人への、作業内容はとても配慮しました。
ざっくりと作業はこの3つに分けて、お願いしました。

①がんばれば誰でもできる。
②安全。怪我のリスクが少ない。
③大工さんの手を煩わせなくても教えることができる。

地味なことでは掃除、塗装や左官する場所にマスキングテープで養生、
材料運びなど楽しくて人気がある作業では左官、塗装、革縫いなどがあります。

左官作業をしているところ。

なかでも、Nui.の左官は量が多くて大変でした(2階~5階の廊下、客室の壁全て)。
オープン日が迫ってくると、
朝4時まで作業、その後9時から再開! というハードさ。
それでも実際に手を動かす作業の気持ちよさや、
次第に上手になっていくことの嬉しさ、
みんなで同じ作業をしてゴールに向かう楽しさなどがあり、
しんどかったこともひっくるめて全てよい思い出です。

左官仕事のさなかの休憩風景。

素人でもがんばって左官した壁は下手さ具合が絶妙な「味」になっていて
柔らかい印象の壁に仕上がりました。
塗装技術でわざとヒビ割れた仕上がりにした、
ドアのエイジング塗装もいい感じです。
これは専門性が求められそうな分野だけど、
実はやり方さえわかれば初めてでも意外とできるもの。
もちろんプロがやる場合に比べてクオリティは落ちますが、
それでもみんなでやると楽しくて、上手にひび割れした時は嬉しいものです。

ドアエイジング風景。

エイジング塗装を施した廊下。

みんなで一緒になって空間をつくり上げていくということは、
単純に施工費を抑えられるということではなくて、
お店をオープンさせるまでに「ファン」をつくることができます。
例えば左官を手伝ってくれた友人が、オープン後、
友だちを連れてきて「ここ俺が左官したんだよー」
という話をしているのを見ると、嬉しくなります。

そして、オープン後の愛着が一層わきます。
例えば、掃除中に壁を見ては「ここはあの人がつくってくれたなぁ」
と思い出すと、掃除にも熱が入りがんばれるそうです。

Nui.は、プロの職人だけでつくったカッコいいだけの空間でもなく
素人だけでつくったヘタウマなだけの空間でもなく
たくさんの人の手助けがあり、たくさんの人の想いが詰まった空間になりました。

Nui.の完成!

オープニングパーティーの様子。

information


map

Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE

住所:東京都台東区蔵前2-14-13
TEL:03-6240-9854
http://backpackersjapan.co.jp/nui/

高齢過疎も引きこもりもなんのその。 おいしいキッシュの持つ力。

秋田県藤里町の社会福祉法人藤里町社会福祉協議会が製造・販売している
「白神まいたけキッシュ」は“まいたけ”という響きからか、
1年中販売しているにもかかわらず
毎年秋には注文が殺到する人気商品だという。

確かに、秋になるとキノコ類とバターや卵の組み合わせは食欲をそそる。
白神山地の麓で育ったまいたけと、比内地鶏の卵、
ヒマラヤの岩塩、北海道十勝の生クリームを贅沢に使ったキッシュと聞けば、
ごくりと喉がなる。
口コミで徐々に広がった白神まいたけキッシュは、
2011年3月に販売を始めてから今年で4年目を迎えた。
実はこのキッシュ、社会が抱える大きな問題に
希望の光を射す、ある挑戦が背景にある。
町に住む「引きこもり」とされていたみなさんがつくっているのだ。

平成18年度に藤里町社会福祉協議会(以下、社協)で行った
町内の引きこもり者・長期不就労者等数把握調査によると、
藤里町民約4000人のうち113人もの人たちが
何らかの事情で就労せず、自宅に引きこもっていることが判明した。
世界遺産白神山地の麓に位置する自然豊かなまち。
それゆえに高齢者の多い過疎である藤里町につきつけられた現実だった。
これは町の将来にかかわること。見過ごすわけにいかない。

白神まいたけキッシュの生みの親、藤里町社会福祉協議会 常務理事兼上席事務局長の菊池まゆみさん。現在は講演会などで全国各地にひっぱりだこだとか。

当時、事務局長を務めていた菊池まゆみさんは
相談員として高齢者の家庭訪問をしていたことから
この町には引きこもりの人たちが多いのではないかと気づいていた。

高齢者の家に、都会から子どもがUターンして帰ってくる。
仕事が見つからないまま、そのうちに介護をすることになって
結婚をしないまま年を重ねてしまっている。
働くことも、他人とコミュニケーションをとることも
難しくなってしまった人たち……。
家にばかりいては体の健康、特に精神衛生上よろしくない。
彼らが重い腰をあげて外に出かけられる場所を、と
お茶会などのイベントなどを考えていたが
そんなときに社協の職員採用試験に顔見知りの引きこもり者が現れた。
「あ、働きたいんだ。そうだよね」
がつんと頭を殴られたような衝撃を覚えたという。

彼らは、問題を抱えた“助けてあげないといけない人たち”ではなく
社会復帰に一歩踏み出すために
“社会支援を必要としている人”たちなのだ。
菊池さんはそのときに自分の考えが根本的に間違っていたことに気づき、
引きこもり者対策事業を見直すことにした。
同時に、秋田県の社協が各市町村の社協と一緒に行う
「地域福祉トータルケア推進事業」が平成17年から始まった。
「福祉でまちづくり」を合い言葉に、
助成金申請などいろんなタイミングがバタバタと符合していき、
福祉の拠点施設として「こみっと」がスタート。
そこで、社協の職員たちによる引きこもり実態調査が行われたのだ。

こみっとは社協のすぐそばにある県の発電事務所の跡地と建物を再利用。土地や建物は町が買い取り、社協に貸与。改修費などは日本財団の助成金制度を利用し、運営費は自立支援法制度に則って捻出している。

「みなさん、家庭の問題は隠したがるでしょう?
小さな町だからこそ、ちゃんと出てきた数だったかもしれませんね」
と菊池さんはいう。
これまで足しげく各家庭を訪問し、その内情を知っていたからこそ
実際のところを把握できたのであり、現実の数字は想像以上のものだった。

社会復帰支援の場所としてのこみっとには、
登録生(引きこもり者等)たちが
その症状によって、給仕したり、調理したりと
働くことができるお食事処をつくった。
町には外食する場所が少ないから、町民が訪れるようになる。
そこには、同じ地域の住人が共存できる居場所があるのではないかと。

そこで、キッシュの登場だ。
「町の特産品を自分たちの手でつくろう。
おやつに食べられるもので、気に入ったら誰かに贈りたくなるような、
おしゃれなお土産にできる何かをつくろう!」
菊池さんはひらめいた。

一見使えなさそうなものに、光を宿す。

「自分でいうのも何ですが、おいしいですよ」
25年前から藤里町マイタケセンターで菌床マイタケを栽培している
藤里町振興協会の土佐吉二郎さんは、
藤里の周辺にあるコナラなどの材木をオガクズにし、
トウモロコシやフスマに水を加えた物を袋詰めして菌床をつくっている。

菌床にマイタケ菌を植菌し、培養するとマイタケが発生する。培養室の温度、湿度、Phなどに配慮し、植菌して70日くらいで市場に出回る。

左からマイタケセンターの山田千幸さん、小山牧子さん、土佐吉二郎さん。

ボリュームのある生き生きとした白神まいたけは
ブランドきのことして関東のホテルやスーパーにも
仕入れられている藤里町の名産品だ。
きれいにブロック状にして出荷されるのだが、
その際に、ぽろぽろと崩れたり、カットしたりしたバラの部分が出てくる。
そこを安く買い上げて利用することにした。

「いきなり、事務局長からキッシュ担当を任されて、
キッシュ? って、ぽかんとしました」
というのは、社協の櫻田康子さん。
菊池さんは、既に町の特産品だった白神まいたけを使ったものを
と考えており、キッシュと中華まん、どちらにするか
相当迷ったらしいのだが、最後は町民みんなが営業マンになって
外に売り出せるものを、ということでおしゃれ度数の高めな
キッシュに決定したという。

「ほら、自分も食べてもいいけど、よそ様に持っていきやすいでしょう?」
と菊池さん。でも、櫻田さんの苦労は相当なものだったようだ。
「マイタケをキッシュの中に入れこむのは大変なんです。
たっぷり入れ込むと黒くて見た目が悪いし、
はてはマイタケに含まれるタンパク質分解酵素のせいで
卵液がうまく固まらなくて、困りました。
こみっと登録生全員がつくりやすいものを目指しましたが
キッシュは手間もかかるし、根気もいります。
パイ生地にしてしまうと、とても扱いが難しいので
スコーン生地に変えて、つくりやすくしました。
それでも、やはりキッシュづくりに参加できる人は限られますね」
食べ物に妥協しないことにおいては、社協内で定評のあった菊池さんいわく、櫻田さんはきっちりと物事を進めていくタイプで
おいしくしたいと最後までこだわる人とわかって、試作を頼んだのだとか。

櫻田さんの編み出した秘策により、きれいに固まるようになったキッシュ。ブロック状のショルダーベーコンや岩塩を使うのも彼女のこだわりのひとつ。

こみっと登録生のこださんは44歳。1996年に東京で就職し、藤里にUターンしてから引きこもるようになったそう。でも、今では大切な戦力。商品PRのために、テレビ出演も果たした。

厨房をのぞいてみると、キッシュが焼けたばかりのタイミングだった。
バターの香ばしいにおいがたちこめた室内は
マイタケから醸し出された秋の香りが充満している。
急速冷凍して固まったキッシュをきれいに切り分ける係、
密封作業をする係など、分業している様子。
みな、丁寧に自分の作業を行っている。

「キッシュづくりは週に2回、毎日3回焼き上げるんだけどね。
ほかの日は高齢者の生活支援ハウスの宿直をやっているから忙しい、忙しい」

と洗いものをしていたこみっと登録生のこださんがいう。
「キッシュとか知らなくて、最初は意味がわからなかったよな。
ここに来て初めて食べておいしいと思った」
こださんは、こみっとに通ってくるうちに生活のリズムが整っていったという。
ちなみに、パッケージのかわいらしい“くまげら”のデザインは
いくつか候補のある中から、登録生らが選んだ。

こみっとカフェでは、こんな風に提供されている。コーヒーと白神まいたけキッシュがセットで200円。誕生のバックストーリーはおいしさのスパイスにはなっているが、あくまでも商品そのもので勝負できるのが白神まいたけキッシュの強み。

藤里町で引きこもりと定義される人たちは、
18歳から55歳で2年以上定職についていない、両親以外と交流のない人たち。
社協は、彼らを外に引っ張りだす意識はないと菊池さんはいう。
「まずは、こみっとのパンフレットをつくり、
家庭訪問をした際に情報提供を続けていきたいので、と
伝えることにしました。
精神科のお医者さんや薬とはまた違うところで
福祉という手法でできることはあるはず、という考え方です。
一歩でも出たいとき、福祉を使ってもらえれば支えることはできます。
地域で少しでも快適に暮らしたいという人たちに向けた
お手伝いができたらという気持ちで取り組んできました」
菊池さんは彼らと協働するために、下記を職員に意識してもらうようにした。
相談支援や指示、助言を行わない。
登録生との個人的な関わりは持たない。
悩み相談など必要があればカウンセラーを呼ぶ。
そこに一般的に“やさしい”とされる感情が入ってしまうと
途端に依存につながり、自立から遠のいてしまう。
ひとつのミスがそれこそ本当の命取りになってしまうかもしれないから
自分たちは治療者でもカウンセラーでもないことを自覚する。
“支援する側もされる側も一緒に働ける環境づくり”
それがこみっとの使命なのだ。

こみっと内にあるお食事処。ランチタイムはたくさんの町民がやってくる。登録生が働くことで町民の引きこもりへの理解も生まれてきた。

菊池さんは、「藤里方式」と呼ばれるようになった
引きこもりとの協働に成功したわけだが、
もともと、福祉をやりたくて社協に入ったわけではなかった。
東京で専業主婦をやっていたのが30代前半に秋田に戻ってきてから
社協に入り、福祉がなんなのかがわからないまま
お金をいただく以上はきっちり仕事をしようという気持ちでやってきたという。
父親は倫理社会の先生で、「自分の心のために完成せよ」といわれ、育ってきた。
そんなこともあり、誰かのためにやってあげているというような
これまでの福祉をとりまく目線には違和感があったという。
「地域のなかで弱者を決めるのは好きではないですし。
弱者を決めるという時点で上から目線ですよね。
世の中は、さまざまな人がいて成り立っています。
ついつい忘れて自分視点になりがちですが、
行き詰まったらいろんな視点に立って取り組めばいいのだと思います」

今後のビジョンは? と聞くと、
この事業を独立化させて彼らの収入源としていくこと、と菊池さんは言い切った。
そのためには、人手の確保も必要になる。
そこに、「いきがい」を求める高齢者たちも巻き込んで
協働していける体制をつくっていくこと。
社協はその存在の性格上、利益をあげられない仕組みになっているが
それではいくら作っても張り合いがないとするのではなく、
ひと手間ふた手間かけないとできないようなキッシュをつくろうと、
現在は取り組んでいる。

そこに、注文が殺到するとどうなるか。
ちょっといじわるかもしれないが、その壁を乗り越える
菊池さんたちをはじめ、社協、登録生たちの姿を見てみたい気がする。
きっとまた新たな「藤里方式」をつくり出し、乗り越えていくのだろう。
しっかりとはまる場所さえあれば、
存在そのものの持つ資質は存分に発揮される。
キッシュを「おいしいね」と食べ続ける側にもまた、
その役割はあるのではないかと思った。

社協のこみっと立ち上げから今までの取り組みは一冊の本になっている。登録生手書きの年表なども入った細やかに書かれたドキュメントだ。  
「ひきこもり 町おこしに発つ」(秋田魁新報社)藤里町社会福祉協議会 秋田魁新報社共同編集 1,080円

Information

藤里町社会福祉協議会 秋田県の名産品を使った
「白神まいたけキッシュ」

「コロカル商店」で、「白神まいたけキッシュ」が発売中。舞茸たっぷりの優しい味わいをご賞味ください。1,400 円(税込)
https://ringbell.colocal.jp/products/detail.php?product_id=6022

千葉県のMAD Cityにて「DIYリノベ」体験ツアーを開催!手づくりのプランターでボタニカルライフをはじめよう。

千葉県松戸市のMAD Cityにて、
DIYリノベ見学会と
プランターづくりのワークショップが開催されます。

MAD Cityとは、千葉県の松戸駅西口駅前で展開している
まちづくりプロジェクト。
アーティストやクリエイターが集まり、
魅力的なコミュニティづくりを進めています。
そんなMAD Cityには、
DIYされたすてきな部屋がたくさんあるそう。
次回のワークショップでは
MAD CityのDIY事例を見て歩き、
セメントのプランターづくりに挑戦します。

西尾健史さん

先生は、コロカルの「リノベのススメ」にもご登場頂いた
建築家・デザイナーの西尾健史さん。
森アーツセンターギャラリー「スヌーピー展」の物販スペースの設計や
ポップアップショップ「POPMOTTO du CAT LOVER」の設計などを手がけ、
MAD Cityでは「知恵袋的存在」として頼りにされています。
ユニークなアイデアが教われそうですね!
西尾さんの「リノベのススメ」記事はこちら

前回のワークショップでは、
2×(ツーバイ)材を使用したスツールをつくりました。

ワークショップで制作したスツール。次回は好きな多肉植物とプランターの型枠を選んでプランターをつくり、つくったものは持ち帰れます。

前回のワークショップが好評だったため、
次回は少し定員を増やして開催されます。
定員15名となっていますので、お申し込みはお早めに!
ご予約は、下記サイトからお申し込みください。

MAD City「DIYリノベ」体験ツアー
開催日:2014年10月19日(日)13:00~19:00(※予定時間のため、定刻に終了しない可能性があります。)
講師:西尾健史(DAYS.主宰、DIYアドバイザー)
定員:15名
参加費:2,500円(材料費、多肉植物、指導料込)
会場:FANCLUB
アクセス:千葉県松戸市本町20-10 ルシーナビル7F(JR常磐線/新京成線松戸駅から徒歩2分)
主催:MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

解体決定の建物が一転、 最小文化施設に! HAGISTUDIO vol.2

HAGISTUDIO vol.2
萩荘の解体がなくなったわけ

みなさんこんにちは!
vol.1に続き、東京谷中の最小文化複合施設「HAGISO」について書いていきます。
HAGISOの前身である木造アパート「萩荘」は解体することとなり、
僕らは最期の晴れ姿としてアートイベント「ハギエンナーレ2012」を開催(vol.1参照)。
このアートイベントが、予想以上の盛り上がりを見せたのです。
イベントと並行して、萩荘の大家さんは解体・駐車場化の段取りを進めていました。

萩荘の大家さんは、隣接する寺院、「宗林寺」さんです。
住職は常々、地域に対する、現代的な寺の文化的貢献に対して考えていらしたそうで、
萩荘を舞台にしたアートイベント、ハギエンナーレには大変共感していただきました。

宗林寺。通称萩寺。萩の花が境内に咲く。

私は展示の片付けをしつつ、大家さんと後始末について話していると、
大家さんの奥さまがぽつり、とつぶやきました。
「ちょっともったいないかしらね〜」
おや? と。これはもしかすると少し風向きが変わってきたのかな?
と思い、よくよくお話を伺ってみると、
「ハギエンナーレ2012」を通して、大家さんたちご自身も、
ただのボロアパートだと思っていた建物に多くの若者が集まった光景を目にして、
場所のポテンシャルに気が付いたとのことでした。
「これは萩荘にとって最後のチャンスかもしれない」
僕は早速リノベーションのアイデアを提案しました。
デザインをずっと学んできた僕にとっては、提案書をつくるなど全く素人でしたが、
簡単な事業計画と、経済的なリノベーションのメリットに関しても説明しました。
「駐車場として運用する場合」「新築の集合住宅を作る場合」「リノベーションする場合」、
と3つのシミュレーションを仮定して、それぞれの事業を比較します。
このとき役に立ったのは、
広瀬郁著『建築学入門-おカネの仕組みとヒトを動かす』(彰国社)という本で、
実際の事業を動かしていく上でも非常に重要な基礎知識を学ぶことができました。

一生懸命考えたものの、独立したてで何の実績もない僕のような若造の提案ですから、
事業の採算性というよりは、ほとんど情熱を買っていただいたようで、
最終的にリノベーションという選択肢を選んでいただけました。
後から大家さんに聞いた話によると、展示をある程度無事に成功させたことで、
大家さんから一定の信頼を置いていただけるようになっていたようです。

大家さんにプレゼンした際の萩荘の模型。

さて、とはいえ萩荘で一体何を始めるのか。
最初は設計だけして、誰か外からテナントを募集しようと思っていたのですが、
それだけではなにかが失われてしまうような気がしました。
継続的な思いというか、熱量の持続性のようなものかもしれません。
場所のポテンシャルを最大化する試みを、
建物のデザインだけではなくて運営することも含めてデザインしたいと思い、
全体を丸ごとお借りして、自ら施設の運営にチャレンジすることにしました。

ヒントは、上海のまちでの経験から

ところで、私はこの萩荘の改修にとりかかる前、
2011年までは設計事務所に勤めていました。
主に海外の大規模施設の設計がほとんどで、まだ何も知らない僕らのようなスタッフに、
ありえないくらい大規模の設計をチャレンジさせてくれました。
設計者として、そのような大規模な施設の設計に携わることができるのは
貴重な経験ですが、一方で、
どうしても自分が携わる建築の必然性のようなものが掴めないまま、仕事をしていました。
日本における公共建築は、本来的な意味で公共空間として使いこなされず、
「箱もの」としてお荷物になっている建物が多い状況を目の当たりにしてきた世代として、
一体誰のために、何のためにつくっているのか、
ということをリアルに実感したいと感じていました。

出張で中国の上海に半年ほど滞在していたのですが、
当時、上海なんかはそれはそれはもう開発がまっさかりで、
新しい高層マンションが次々と建ち並んでいくわけです。
しかし、上海のまちの中には、
取り残されたように「里弄(リーロン)」と呼ばれる古い路地に
住居がひしめき、いまだに多くの人が住んでいました。
どうしても僕にとってはそちらのほうが100倍魅力的に見えていました。

新しくそびえる高層マンションと取り残された住居。

滞在先がこのような古い住宅を意味する「老房子(ラオファンズ)」と呼ばれる
共同住宅だったこともあり、そこでの日常を目にする機会が多かったのです。
例えば、もうこっちは寝てる時間なのに廊下で炒め物を始める住人がいたり、
向かいの家で夫婦喧嘩を始めたりと、むちゃくちゃなわけです。
でも毎朝路地のおばあちゃんは親しげに挨拶してくれたり、
バルコニーで一斉に干された洗濯物を目にする日々は、
なにか自分が古くから脈々と続くまちの一員になった気がしました。

何故スラムのような古い路地のほうが最高に魅力的で、
清潔で経済的価値の高い高層マンションが絶望的につまらなく見えてしまったのか。
単なるノスタルジーや雰囲気によるものなのか。
ずっと考えてきましたが、最近になってだんだんわかってきたことがあります。
新しくつくられるまちは、人が建物に収納されているように見えるのと対照的に、
老房子などが残るまちは、
人が自分の生活空間を獲得しようとする意志と自由をもっているということです。
まず生活があり、それに合わせて必要な空間につくり替えていくたくましさが
生き生きと見えたのでした。

路地と少女。

老房子のように上海には意図的に古い建物を利用した場所が多くあります。
経済成長のまっただ中にありますので、一見乱開発のみが行われるように見えますが、
昔からの路地を利用した街区や工場をリノベーションした商業施設、
地下防空壕や租借地時代の洋館を利用したナイトクラブなど、
古い建物をコンバージョン(用途変更)した場所が実はいたるところにあります。
多くの中国人は新しいもの好きなのですが、
こうした古い建物が持つ価値を利用することで、
エリア価値が高まることを彼らは知っています。
それがたとえ商業的な目的を意図するものだとしても、
もともとのポテンシャルを生かしきっていこうとするしたたかさをもって
新たな魅力的な場所として生まれ変わっているのは、全然アリだと思えました。

田子坊。古い路地にアーティスト「陳逸飛」がスタジオを構えたことをきっかけに小規模な店舗やギャラリーが徐々に増え、路地空間を残した非常に魅力的な街区をつくっている。

1933老場坊。1933年に竣工した屠殺場を改修した複合施設。屠殺場という機能に忠実な建築で、かつて加工された家畜の通路が現在は人のための通路となっている。

翻って東京のことを考えてみますと、
そもそも震災や戦災の影響で、残っている古い建物自体少ないという一面もありますが、
戦後に建てられた建物に関しても基本的には価値を見出さず、
新しく管理のしやすい建物を好む傾向が強いと僕には思えます。
このまま東京が時間的な奥行のないつまらない都市に向かってしまうのではないかと、
危機感を感じるのです。

萩荘からHAGISOへ

少し脱線しすぎました。しかしこのような経験を経て、
萩荘を新しくどのような場所としていくかを考えたとき、
最初に描いたイメージが以下のものです。

萩荘はHAGISOと名前を変え、「最小文化複合施設」として生まれ変わります。
東京には多くの公的な公共施設や、巨大資本による複合施設が存在しますが、
その末席に肩をならべるパブリックな空間を、
「私営の公共施設として運営したい」と思ったのです。
上の図は、そんな思いから若干の自虐的なヤケクソ感とともに描いてみました。
小さいかわりに、東京ならではの、「ここにしかない場所にしたい」と心に決めました。
正直、大規模な複合施設は世界のどの都市にも似たようなものがあります(ボソッ)。
しかし萩荘のように、近年どんどん空き家化している、
戦後の典型的な木造アパートだからこそできるスケール感で、
東京というコンテクストの中での存在感を示せるのではないかと思いました。

具体的には、人が集まるための場として1階にカフェとギャラリー、
2階にはヘアサロンとアトリエ、事務所を計画しました。
カフェとギャラリーは一体の空間として、
イベント時などに複合的な使い方ができるようにします。
ギャラリーという空間は、機能的にはただの空間でしかありませんが、
さまざまな活動を受け止める「あそび」をもたらしてくれるので、
ステージになったりロビーになったりと、新たな使い方を誘発します。
ギャラリー上部は「ハギエンナーレ2012」時に鳥小屋にするために、
二階床をぶちぬいていましたので、そのまま吹き抜けとすることにしました。

Before-Afterの図。

工事費用は、建物の構造やインフラに関わるところは大家さんにご負担いただき、
内装や設備は私が負担しました。
どちらの費用も5年で回収できるよう、家賃設定を定めます。

工事開始!

改修計画をまとめ、見積りをとり、いよいよ工事が始まりました。
工事は、リノベーションの工事を多く手がけている、
「工務店ROOVICE」さんに協力をお願いしました。私たちはできるだけ自分たちや、
協力してくれる人たちの手もお借りしてつくりたかったということもあり、
大工さんや職人さんたちと一緒に、
自分たちができるところは自分たちでつくる方法をお願いしました。
工務店にとっては全体の作業量が把握しづらかったり、
工期が読みづらかったりという手間をかけさせてしまいましたが、
おかげで多くの人に工事プロセスにも参加していただくことができました。

まず築60年の古い家ですので、とにかくたまりにたまったものの廃棄と、
不要な部分の解体が大変です。この部分には、お手伝いいただける一般の方を公募。
アーティストや、ギャラリスト、雑貨屋さん、フォトグラファー、学生など、
HAGISOに興味をもってくれた方々が参加してくれ、
大工さんに解体の仕方を教えてもらいながら、一緒に作業しました。
約1週間かけて部分解体・廃棄を完了できました。

宗林寺住職による工事安全祈願のお祓い。

廃棄物。これの3倍くらいの廃棄物がでました。

解体の結果を受けて、現場でイメージしながら図面を引きました。

ひととおりの部分解体・掃除が終わると、本工事に入ります。
もともと竹木舞にしゅろ縄がはられた土壁ですので、
全体的に構造用合板で耐力壁をつくり、金物で補強していきます。
1階の天井はすべて剥がして、
もともとの2階床根太(床の補強となる部分)が見えるようにしました。

一階天井はすべて剥がして根太が現しになるように。

吹き抜け部分。

リノベーションの場合、開けてみないと土台の腐れなどがわからない部分が多いのですが、
今回は湿気のたまりやすい北側以外の構造部分はほぼ無事でした。
腐れのひどいところは、
大工さんが仕口(2種類の木材を継ぐための加工)をつくって差し替えてくれました。

腐食部分にぴったりと差し替えた柱。

コンクリート土間の左官仕上げ。

柱のやすりがけや壁の塗装は、自分たちや、アーティスト、
建築学生サークルのみなさんの手を借りてゆっくりと進めました。

色選びを失敗して塗り直し。

こうして徐々に萩荘はHAGISOへと生まれ変わっていきます。

うーん、予想以上に長くなってしまいました。
予定ではもうHAGISOオープンのところまでいくはずだったのですが、
あまり長くなってもアレなので今回はここまでにします!

次回は、工事中開催してしまったイベントやカフェの開店準備や
そして、僕らが利用したクラウドファンディングのことについてもお話します。
みなさん、お楽しみに!

information


map

HAGISO

住所:東京都台東区谷中3-10-25
TEL:03-5832-9808
営業時間:カフェ12:00〜21:00 (L.O. 20:30)
http://hagiso.jp/

『みつばち鈴木先生 - ローカルデザインと人のつながり』。全国各地を飛び回り、地域とクリエイターを結ぶ一冊

日本の地域において、ネットワークをつくりだす達人の
鈴木輝隆さんは、著名デザイナーや建築家から
「みつばち先生」と親しまれる存在。
以前コロカルでもご紹介しました。

みつばちと呼ばれる理由は、全国各地を飛び回り、
地域とクリエイターを結びつける活動をしているから。
デザイナーの原研哉さん、梅原真さんやナガオカケンメイさんと
いくつものローカルデザインのプロジェクトを成功させてきたんです。

そんなみつばち先生の「教科書」がただいま発売中。
タイトルは「みつばち鈴木先生――ローカルデザインと人のつながり」。
みつばち先生がこれまでに手がけた北海道、秋田県、
東京都、新潟県、富山県、長野県などのプロジェクトが紹介されています。

タンポポの群落日本一 北海道むかわ町

「たんぽぽのお酒」 デザイン:原 研哉

鶴の湯(秋田県仙北市田沢湖乳頭温泉)

「鶴の湯」ポスター デザイン:梅原 真

長野県小布施町の桝一市村酒造場と小布施堂を、
デザイナーの原研哉や梅原真とリブランディングしたり、
国土交通省半島振興室の、日本の半島21島のプロジェクトを
デザイナーの大黒大悟とつくりあげたり。
10の事例とともに、地域づくりの牽引者たちと、
梅原真、隈研吾、大黒大悟、原研哉ら、関わったクリエイターたち
とのトークを収録しています。

みつばち先生の「受粉」

「地域には独自の個性や文化があり、理想を持つ土地の人がいますが、
思いはあってもカタチにすることができません。土地の人の思いや個性を
カタチにできる優れたデザイナーが必要です」とみつばち先生は言います。

はたしてみつばち先生がどんなやりかたで花粉を運び、デザインを生むのか。
土地の営みとデザインが触発しあって融合するとき、何が起こるのか?
この本で読んでみてください。

書名:みつばち鈴木先生――ローカルデザインと人のつながり
定価:3,456円
編者:原研哉

イベント「いばらき来た! きた!CAMP」開催。 茨城県北でめいっぱい 秋のキャンプを楽しむ!

秋の行楽シーズンまっさかり。そんなアウトドアシーズンのおでかけに
ピッタリなイベント「いばらき来た!きた!CAMP」が、
2014年10月18日(土)と19日(日)の二日間にわたり、
茨城県北部の久慈郡大子町「大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ」で
開催されます。
茨城県北エリアは、自然豊かでアクセスも便利なところ。
キャンプにまつわる遊びや食が盛りだくさんな催しです。

イベントの内容はバラエティ豊か。
ボルダリング、スラックライン、トレイルランニング基礎講座などのアウトドア体験。
アウトドアメーカーブースでは、様々なメーカーがアウトドアの楽しみかたを教えます。
そして「奥久慈しゃも」や「大子ブルワリー」のビールなど、
茨城県北エリアの食を楽しむフードブース。
さらにはアコースティックライブまで!
盛りだくさんの楽しみに出会える二日間になりそう。

10月18日(土)、19日(日)のグリンヴィラにはボルダリングウォールが登場。

お買い物コーナーより。19日(日)に出店する、無農薬野菜の「さより農園」。

こちらは「きたきたフードコート」のメニュー。日立市「セカンドアースダイナー」が19日(日)に出店。しらすをごま油とニンニクで煮込んだ”やみつきしらす”を、ご飯&アボカドと混ぜ込んで食べる「ぴた丼」。

車にキャンプ道具を積みこみ、家族や仲間や大切な人と一緒に、
緑と山に囲まれた素敵な空間の中で週末を過ごしてみてはいかがでしょう!
ご来場のお申込みは不要ですが、体験イベントは事前にお申込みを。
詳細はこちらをご参照ください。

■「いばらき来た!きた!CAMP
日時:2014年10月18日(土)11:00 OPEN
   2014年10月19日(日)15:00 CLOSE
※雨天決行、荒天時は中止。中止の場合は、
10月17日(金)15:00までに
WEBにて告知します。
会場:大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ
住所:茨城県久慈郡大子町矢田15-1
主催:茨城県
問合せ:お電話:080-5973-7883、メール:info[at]ibaraki-outdoor.jp

古き良きものが集う一大マーケット「関西蚤の市」兵庫県宝塚市にて初開催!

10月18日(土)・19日(日)、兵庫県宝塚市の
JRA阪神競馬場内・セントウルガーデンにて「関西蚤の市」を開催。
噴水や花壇、温室のある広大なガーデンに
古道具屋さんや古本屋さん、カフェなどが並びます。

主催は、東京で「東京蚤の市」や「もみじ市」などの
イベントを開催してきた手紙社さん。
東京で大人気の蚤の市を
関西で行うのは、今回がはじめてだそう。

参加店数は130店以上。
愛知県瀬戸市で生まれた食器ブランド「studio m’」さん、
アクセサリー職人さんがいとなむ雑貨屋「ちせ」さん、
民藝の器を中心とした手仕事のもののお店「FRANK 暮らしの道具」さんなど、
すてきなお店がそろいました!

暮らしの中に溶け込む食器のお店「studio m’」さん

生活の道具や、贈り物にもぴったりなジャムなどをお届けしてくれる「ちせ」さん。店名には、アイヌ語で「家」という意味があるそう

コンフィチュールとマフィンのお店「美味しい時間」さん、
季節の野菜をふんだんに使用した料理「シチニア食堂」さん、
京都のベジタリアン料理店「PLANT LAB.」さんなど、
ごはんのお店も充実しています。

「美味しい時間」さんの自家製コンフィチュールがたっぷり入ったマフィン。焼き立てはもちろん、時間がたってもしっとりしておいしい

秋の野菜をふんだんに使用した「シチニア食堂」さんの料理は、体に染みわたる美味しさ

当日は音楽ライブやトークイベント、
「アルフェテ工作室」さんによる
羊毛や木、針金などを使用する3つのワークショップ「魔女の工作室」も開催!
最新の出店者情報は、FACEBOOKにくわしく載っています。
そちらもぜひチェックしてみてください。
関西蚤の市
FACEBOOK

木造旅館が、 ゲーム制作会社の社屋へ大変身! シーンデザイン一級建築士事務所 vol.03

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.03 
アソビズム長野ブランチプロジェクト

今回は、東京に本社を置く会社「株式会社アソビズム」の
長野支社にまつわるリノベーションのお話です。
このプロジェクトでは、リノベという“つくりかた”をより意識したものになりました。

株式会社アソビズムは「ドラゴンポーカー」「ドラゴンリーグ」といった
スマホ向けのアプリを手掛ける、秋葉原に本社を構えるゲーム制作会社です。

2012年、代表の大手智之さんは、理想の子育てを求め、
ご家族そろって長野に移住してきました。
お子さんと一緒に参加した体験キャンプで触れた自然体験から、
「長野こそ“未来の教育”へ向けたチャレンジに向いている地である」
との思いが強くなったそうです。

さらに大手さんは、秋葉原にある本社はそのままに、
アソビズム長野支社(通称:長野ブランチ)の設立準備をはじめました。
最初は、駅前の貸事務所ビルといった物件を見ていたそうですが、
せっかく長野に来るのに東京と変わらない環境ではつまらないと、
善光寺門前界隈の空き家物件に興味を持つようになり、
マイルームの倉石智典さんと出会いました。

大手さんから聞く、アソビズム長野ブランチの構想は、
これまで門前界隈で行ってきたリノベ物件より規模が大きく、
建築や設備に対しても、より専門的な分野の経験が必要であることが予想されました。
そうしたことから、2013年、物件探しの段階からシーンデザインも加わり、
CAMP不動産としてプロジェクトを進めることになりました。

早速、大手さんと善光寺門前界隈のいくつかの物件を一緒に見てまわった末、
善光寺の西に位置する桜枝町に建つ元旅館「飯田館」を
アソビズム長野ブランチとしてリノベーションすることが決まりました。

長い間、放置されてきた空き家たちは、よほど想像力を豊かにそのまなざしを
向けない限り魅力的には見えないと思います。
ましてや建築を専門としていない方にとっては、なおさらだと思いますので、
大手さんには、よくご決断して下さったと感謝しています。

リノベ前の元旅館「飯田館」の外観。

現場に何度も足を運んでは、どのように使えるか想像します。

先ずは実測調査。既存平面図を作成します。
それをもとに大手さんからの要望を整理し、
場所の使い方の簡単なスケッチを数枚描いてイメージの共有を図ります。

あくまでイメージ。状況に合わせて現場はどんどん変わっていきます。

そのほか、建物のスペックについて打ち合わせを重ね、
ある程度内容が見えてきたところで、概算を提示して工事を始めちゃいます。

相変わらず、この時点で詳細図面がありません(汗)。

CAMP不動産的工事スタイル

前回で紹介した、「藤田九衛門商店」の“つくりかた”は、いろいろなことが手探りでした。

こうした工事の進め方は、マイルームの倉石さんがそのベースをつくってきました。
図面がほとんどない状態で工事が始まるスタイルはドキドキですが、
一方では、より自由度が増し、リノベ工事には合っていると思います。

考えてみれば、かつて大工の棟梁は、必要最低限の図面だけで、
旦那との信頼関係のもと、職人を束ねて建物を建てて、
その仕事に見合う報酬を得ていたのですから、
工事の進め方として全く新しいわけではないのかもしれません。

しかしながら現代では、細切れになった工業部品を、
設計図をもとに、これまた細部に分業化された専門職によって
順序良く組みあげていく“つくりかた”が大半を占めています。
建築工事の場合、“もの”ができる前に工事費を決めて契約をするので、
できるだけ予定通りに進んでもらわなくては大変です。

現場では、事前に描かれた図面に即した施工がされているか、
チェックすることに力点が置かれ、工事の責任の分界点もはっきりしています。
それは、とても合理的な“つくりかた”ではあるのだけれど、実は、こうした“つくりかた”が、
現場から想像力を奪っているのではないだろうかと思うことがあります。
指示された通りにきれいにつくることはできても、
細かい部分で判断を迫られたとき、手が止まってしまいます。
つくり手が現場の状況や施主の要望などから、
なにをどうつくるべきかを「想像する」ことに慣れていないのです。

そういうこれまでの“つくりかた”に対して、CAMP不動産的なリノベ工事のスタイルは、
工事費も、工期も、内容もすべてがあいまいなまま工事がすすんでいくので、
これまでの感覚でいると、施主にも設計者にも施工者にも理解され難いスタイルだと思います。

そんななか、自分たちの仕事場は自分たちでつくっちゃおうという、
アソビズムの真にクリエイティブな思想とCAMP不動産との相性が合ったのだと思います。

工事を振り返り、アソビズムの大手さんはこんな風に話していました。

「今回、本当に設計図も完成予想図もなしでのスタート。
共有したのは軽いラフスケッチと、コンセプトだけ。
これまでのオフィスづくりではあり得ないやり方で、正直不安の方が大きかったですが、
考えてみれば、僕らのゲーム制作も、コンセプトを決めたら後は
ひたすらビルド&クラッシュで、仕様書などつくらずに進めていきます。
その方が観念や余計な重力に引っ張られずに、
素直に核の面白さだけを考えて進める事ができるからです。
そう考えれば、リノベーションのようなアドリブが入り込む余地のある建築スタイルでは、
この方法がむしろ適しているのかもしれませんね」

大手さんにおいては、さぞかし不安であったろうなと思います。
しかし最終的には、分野は違えど、クリエイティブな仕事をされている方に、
ものづくりという点で共感していただけたのならうれしい限りです。

壊しながら考え、つくりながら考える

さて、いよいよ工事が始まります。
先ずは、解体工事から。

設計者は、解体業者に、どこを解体してどこを残すか図面で指示することが一般的ですが、CAMP不動産では、現場で要るものと要らないものを判断して、
どんどんしるしを付けていきます。

壁や長押(なげし)に貼られた〇×△テープ(ちょっとわかりづらいですが・・・・・・)。

〇は残す。×は壊す。△はそっと外して再利用。
至る所にしるしが描かれたテープが貼られていきます。

おぼろげな平面プランはありますが、そもそも詳細な図面がないのですから、
現場で思考が止まることがありません。

壊しながら考え、つくりながら考えます。
その都度、クライアントの用途要求に対して最適最善と思われる方針を見つけ出し、
どんどん施工していきます。

解体工事が一通り済むと、空間のボリュームが見えてくるので、
よりその先をイメージしやすくなります。

飯田館の2階、客室押入れの天井の一部から天井裏を覗くと、そこには、
トラス構造の小屋組み(三角形をつくるように部材を連結して構成された構造形式)が
ありました。

門前界隈の旅館や倉庫建築によく見かけるこの構造は、
内部に柱がない大きな空間をつくることができます。

解体工事前の飯田館の2階は多くの小さな部屋に小分けにされていましたが、
この洋小屋組みを確認できたので、壁を取り払い、
執務室を大きな一つの空間にすることが可能だと判断できました。

あわせて、このトラス構造も空間を特徴付ける要素として是非見せたい!
ということで、天井を取り払い洋小屋組を現すことにしました。

飯田館の天井裏から現れた洋小屋構造。

そこには何ともダイナミックな空間が出現。
空間の変容ぶりに、関係者一同一気にテンションが上がります。

現場を見ながら、
トップライトやサイクルファンの最適な位置を検討できるのもリノベならでは。

光の入り方や、空気の流れなども、机の上で考えるのではなく、
現物を見ながらだから間違いがありません。

屋根断熱と天井板を張って、部屋の奥まで陽が入り込む、
とっても気持ちのいい天井のできあがり!

新しい天井のかたちが見えてきました。

木製OAフロア

“OAフロア”っていう言葉。
聞いたことがある方は多いのではないかと思います。
フリーアクセスフロアなんて言い方もします。
オフィスにおいて、パソコンなど多くの配線を必要とする場所に設置される床のことで、
これを使えば机や家具類の配置に影響されずに配線ができて足元がすっきりします。

一般的なオフィスビルに施工されるOAフロア。

当然アソビズムも、ゲーム制作会社ですからパソコンをたくさん使います。
なので、長野ブランチにもこのOAフロアをご希望されていました。

ただ、上記のような既製品のOAフロアを使うとなると、
床仕上げはタイルカーペットかビニルタイルになってしまいます。

床がタイルカーペットでは、せっかくの木造老舗旅館リノベなのに面白くない。
まるでオフィスになっちゃう(いや、オフィスなのですが・・・…)。

ということで、アソビズム長野ブランチでは、
根太(床下地)で配線ピットをつくって板で蓋をしてOAフロアの代わりとしました。

真ん中が配線ピットになります。
そして、ピットの壁際の下階は押入れを改造したサーバールーム。

仕上げはフローリングの巾と合わせた板で蓋をしました。

根太方向を工夫して配線を通すスペースを確保。

手掛け(板を外すために指を入れる穴)兼配線出しのための穴を等間隔に開ければ、
立派なOAフロアになりました。機能的にはこれで十分。

古くて新しいオフィス

そんなこんなで、ローテク満載でハイテクIT企業のオフィスを考え、工事が進みました。
見た目は古いけど、実は近代的な、ここにしかないオフィスの完成です。

基本的には外観を変えることなく再塗装のみを施しました。

輻射冷暖房と真空ガラスの採用で、快適な執務空間。

一階はスタッフのサロンであったり、応接や地域交流の場として活用されています。

根太表しの天井は、旅館だった頃の天井そのまま。

お風呂と洗面所だったスペースはバーカウンターになりました。

014年2月14日、記録的な大雪の中、
アソビズム長野ブランチはようやくオープニングを迎えることができました。
当日は県内外から、交通機関の乱れにも関わらず、
たくさんの方がお祝いに駆けつけてくださり、
アソビズムという魅力的な企業が長野に支社をつくったというインパクトと、
そんな企業が木造旅館をリノベした建物をオフィスにしたことが
地元メディアにも大きく取り扱われたりもしました。

リノベ工事の様子は、シーンデザインのブログでも紹介していたこともあり、
うわさを聞きつけて、かつての飯田館の所有者から
以下のようなコメントをいただきました。

「飯田館は私の実家でした。数年前ある住宅会社に売却しました。
買主は解体して駐車場にすると言っていたのですが、
さっぱりその様子がなく近年は放置されているような感じで、とても心配しておりました。
少し前に地元在住の同級生から、NHKや信濃毎日新聞で
お前の実家のことが出たと知らせを受けており、
このたび貴社のHPで懐かしい飯田館の改修工事の様子を拝見し、
とても嬉しくまた安心いたしました。
いつか兄弟で生まれ変わった飯田館を見に行けることを願っています」

とてもうれしいコメントでした。

まちには、合理的でわかりやすいことだけではなく、
さまざまな割り切れない気持ちがたくさん潜んでいるのだと思います。
私たちは、そのことを、まるでなかったことのように消してしまうのではなく、
いったん引き受けてみる態度をとることは、
実はとても大切なことなのではないでしょうか。

積み重ねてきた記憶を受け継ぎながら活用していくことが、
まちの“奥行”をつくっていくのだと信じています。

information


map

株式会社アソビズム 長野ブランチ

http://www.asobism.co.jp/nagano/

大館市の秋田犬 「ののちゃん」日記 第5回 。 大館・北秋田芸術祭2014 『里に犬、山に熊。』 直前レポートですのん。

朝晩、めっきり寒くなってきましたのん。
みなさんお元気にお過ごしですか?のん。
ののはいつも事務所の、のののテラスで街の様子を
伺いながら広報戦略を考えてますのん。

秋田市のガラス工房 「ヴェトロ」の看板娘さん ムーコちゃんせんぱいとおさんぽ!

いよいよ10月4日(土)から開催される
大館・北秋田芸術祭2014 『里に犬、山に熊。』」!
ののも毎日多忙に広報戦略室のお仕事頑張ってますのん。
青森県八戸市や秋田市のラジオ(犬初!)に出演したり、
芸術祭のテレビCMにも主演で張り切りましたのん♪

八戸でラジオ出演!

CMでは、サイトウタクヤさんに作ってもらった「のののうた」をバックに
根子-ねっこ-トンネルをぴょんこぴょんこと走ってますのん。

オープニングイベントは「根子フェス2014+DOMMUNE」。
会場をいっぱい走って、オレンジ色の異次元の雰囲気を
お伝えしましたのん。ここでしか味わえない空間、
ぜひご自分の目と耳と肌で感じてください!
イベントの詳細は→こちら

会期1週間前の各展示会場では、作家さん、スタッフさん達の
設営と搬入、制作ラッシュですのん!
朝から深夜までお疲れ様ですのんのん。ののも応援でお水の
差し入れ持って行ったり、会場周辺を巡回したりしてますのん。
室長として責任意識も強くなってきましたのん。

大館エリア:「栗真由美×街の記憶「builds crowd」」ごくろうさまです!お水をどうぞ~!

大館エリア:ののパパの展示会場、正札竹村前ここでは10/4にどなたでも参加できるストリートスナップの撮影イベントもやりますよ!

大館エリア:「藤浩志×秋田犬×こどもの遊び場」 ののも遊びたい!

【ののからのお知らせ】
大館・北秋田芸術祭 全国公募展では、
「のの」をテーマにした作品展も開催します。締切は10月7日(火)まで!
みなさん、ののの作品~絵、ぬいぐるみ、お菓子、お洋服、写真~なんでも
お待ちしておりますのん。全国公募展以外の作品展もあるので、
いっしょに楽しんで欲しいですのん。

■芸術祭全国公募展 公開講評会
ゲスト講師があなたの表現に向き合い対話する公開講評会!
日時:10月13日(月・祝)11:00-
会場:大館市樹海体育館
講師:藤浩志(美術家・十和田市現代美術館 館長)
中村政人(アーティスト・東京藝術大学准教授)

■ポコラートシンポジウム
日時:10月13日(月・祝)14:00-
会場:大館市樹海体育館
同時開催:生(き)の芸術・展
同時開催:ポコラート宣言2014/大館展

こちらは、先日の東京出張でパトリシア・ピッチニーニさんの
作品「Skywhale」と記念撮影パシャリしましたのん。でっかいのん!
左がパトリシア・ピッチニーニさん。
秋田でもおっきなクジラさんが飛ぶの!楽しみですのん。

「パトリシア・ピッチニーニ×環境」 巨大なクジラが景色とコラボ。
会場:北秋田市 阿仁合/阿仁河川公園
時間:10月4日(土)/10:00〜14:00 16:30〜20:00
   10月5日(日)/10:00〜17:00
会場:大館市 桂城小学校グラウンド
時間:10月11日(土)、12日(日)/10:00〜14:00 16:30〜20:00
   10月13日(月・祝)/10:00〜17:00

まだまだ、みなさんにお伝えしきれないイベント・展示がありますのん。
次回は、会期中の様子をののがしっかりと報告いたしますのん。
お楽しみに~ののん。

大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」
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