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これからのオハナシ。
ビルススタジオ vol.10

リノベのススメ
vol.048

posted:2014.10.30  from:栃木県宇都宮市  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、
そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。
日本各地から、物件を手がけたその人自身が綴る、リノベーションの可能性。

editor's profile

Taisei Shioda

塩田大成

しおだ・たいせい●栃木県宇都宮市生まれ。株式会社ビルススタジオ代表取締役。建築設計そして不動産のみならず、界隈のデザインを含め、「場所づくり」を生業とするが、実はただの物件好きで貧乏性のお節介さん。
http://www.met.cm/

ビルススタジオ vol.10
観光地、日光に「HOTEL NIKKO」を計画中

この連載も最後なのでこれからのお話をしたいと思います。
世界遺産があるまち、栃木県の「日光」にホテルをつくりたいんです。

世界遺産「日光の社寺」の象徴、陽明門。

国内外から年間約1,000万人の観光客が来るにも関わらず、そのほとんどが日帰り。
かく言う私自身も県外からの友人が来る時は連れては行くものの、
食事もせずに宇都宮市へ戻ってきます。
そう、気軽に泊まれる、居心地のよいホテルが少ないんです。
あるのは激安の素泊まり宿、または一泊ひとり3万円以上のホテルか旅館。
それだったら都内からでも日帰りも無理はない距離だし、
飲食店やコストパフォーマンスの良い宿が集まるまちへ戻るでしょう。
いやしかしそれじゃあもったいない。
せっかくはるばる違うまちに来たのに泊まらずに、
つまりは土地の体験をせずに帰してしまうなんて、
日光に栃木に来たことがある、と言えるのでしょうか。
そう、やはり、旨い食事が食べられ、なんだか居心地のいいホテルが必要。
そこで目をつけたのが、「日光の社寺」エリアのほんの150m手前にある、
鉄筋コンクリート造の廃ホテル。

ここをこんな風にしたい。

ACE HOTEL PORTLAND(http://www.acehotel.com/)。

ひと言で言えば「ロビー活動が充実したホテル」。
宿泊客、観光客、更にはまちの内外の人が自由に出入りできるロビーをまず設けます。
ここにはもちろんコーヒースタンドを併設します。
偶然の同席での出会いのみならず、
定期的に勉強会や交流会を開催し、能動的に内外の人や情報を繋げることもしていきます。
日光のまちはもちろん、栃木県内の人や情報にも触れてもらう。
そうすることでまちの体験をしてもらいたい。
そんなホテルです。

まず大切なのは人。誰と一緒にやるのか、です。
おいしい料理とドリンク、グラフィックデザイン、そしてホテル経営と、
さまざまなジャンルのプロが必要です。
そこで、
「栃木をフィールドに発進力の高い実践を行なっている」メンバーを勝手に設定しました。

カフェ、料理、グラフィック、それぞれの分野をクオリティ高く、
しかも横断しながら地域価値創造を実践している20〜30代のメンバーです。
そこに建築設計として当社もこっそり参加させてもらっちゃいます。
なんか、楽しくなってきました。
そこで周辺調査、建物調査などをし、収支含めた企画書をつくってみました。
うん、いけるんじゃないか。よしっ。

これで県外から友人が遊びに来た時に一緒に泊まれるホテルができます。
これがあれば自宅でおもてなしをしなくても済む。
尚よしっ、ですね。

「もみじセントラルビル」古いビルの活用法を模索中

で、近所のハナシ。
ビルススタジオがあり、私自身の住まいもある宇都宮市にあるもみじ通り(vol.1
その真ん中辺りにある3階建ての建物が売りにでました。

オーナーさんの高齢化に伴い、引越しを考えているとのこと。
実は購入を検討している知人がいまして、
現在オーナーさんの自宅部分である2、3階の生かし方を考えています。
そのまま貸家? いや、広すぎる空間と
家賃的にも、それだけ払えれば宇都宮だったら家を買えてしまう。
無いか。テナントとして? いや事務所ニーズはそもそもないし、
店舗だとしたら、入り口が2階という点をどう生かすか。
美容室やマッサージ系のニーズはありそうだけど、
その業の方たちにヒアリングしたところ、広さ、家賃などからしてもバランスが悪いらしい。
これも無いか。

じゃあいつもの考えに戻ろう。
目の前の風景に何が足りないか?
目の前の風景でおかしなトコロはないか?

まず、周辺の新規店舗を振り返ってみると、
子ども服も扱うファッション雑貨店など、
小さい子連れの世代が好きそうな感じの店が集まっているのに、
不動産物件(売/貸とも)がほとんど出ないので、近くに住むという選択肢が取れない。
でも好きなので郊外からも車でお店へ通ってくる。近くに住めれば歩いて通えるのに。

そして周辺の住宅。
ゆったりした敷地に高齢の夫婦またはひとり暮らしが目立つ。
聞くと広さを持て余しているのだが、慣れ親しんだこの土地と近所付き合い、
年1回帰って来る子ども家族などの理由から動くに動けない。
そもそもこの古い家を使いたい人はいないだろう、と思っている。

さらにじぶんち。
小さい子連れ世代。ママ友と遊ぶのに、誰かの家を順番に巡っている。
人の家は子どもが汚すとかで気が引けるし、
自分の家はその前の片付けやお茶お菓子の気遣いで疲れる。
かと言ってお店に行くのはもっと疲れる。近くに同じ世代の住民も非常に少ないので、
会場になる人以外は結局車で移動する。なんか、遊ぶのも大変。
その日は母親も疲れて夕飯づくりもサボりたい。

うん、こんな場所。
http://kazoku-no-atelier.com/

子連れのお母さんたちが遊びに来てゆっくりできる場所。
それをもみじ通りという狭いエリアの利用者を対象にやってみよう。
もちろん飲食の持込みもOK。
十中八九、通りにあるドーナツ屋やお惣菜屋を使ってくれるだろう。
カフェやお蕎麦屋さんからの出前もアリだろう。
もともと住宅だったこのビルにはキッチンもあるし、セルフで料理してもいいだろう。
近所の高齢者さんたちの趣味の集まり所としても機能しそうだ。
そしたら子どもと高齢者の接点もしかけられるかもしれない。
近所の商店主や住民さんを先生に招き、
ワークショップなんか開催してみてもいいかもしれない。

並行して自分の土地建物を持て余している住民の方々へ近隣移住のしかけをしてみよう。
そうしないと新たな移住のニーズをしかけても無駄になってしまう。

よし、なんか見えてきたぞ。
これでママ友と遊んでいたらしい日に家に帰っても疲れた顔で迎えられなくて済む。
つまり家庭円満に日々を過ごすことができる。
先には、目を付けていた近所のいい感じの家に引っ越すことも叶うかもしれない。

これまで目を付けていたのに、解体されてしまった住宅がありました。

妄想中のあれこれ

他にも、あれやこれや考えていることはたくさんあります。

たとえば、もみじ通りから歩いて10分くらいの所に、
奥州街道と日光街道の追分だった場所があります。
そこに築数十年くらいの店、蔵を含めたお屋敷があります。

ここ、ずっと使っていないんです。
こんな良い場所に格式ある建物群があって、それが遊んでいる。
うちの企画を待っているんじゃないか。と勝手に思ったので
近々、ここを活かす企画を立ててみようと思っています。
ゆっくり友人と飯の食べられる場所。
じっくり仕事のお客さんと話せる場所。
かつ、偶然の出会いも時折起きる場所。
そんなんがいいです。

さらに、うちのオフィスの話です。
わがビルススタジオの事務所はもみじ通りに面しています。

でも業種上、通りに面している必要はほぼないんです。
それはここに移転してきた時から思っていることで、
次にここにオフィスを動かしたいな、と考えています。

現オフィスから徒歩15秒にある、元診療所2棟。

今のオフィスよりもだいぶ広いです。
とはいえ、スタッフ数を何倍にもしたい訳ではなく、
複合した場所にしたいんです。
モデルはロンドン留学時に通ったICA

ひとつの施設内にギャラリー、ライブハウス、映画館、本屋、CD屋、カフェが入っています。
ここに来ると何かしら見るべきものがあるし、
特段イベントがなくても本とコーヒーで何時間でも過ごせる。
ロンドンみたいな大都市だけではなく、
イギリスの中規模都市にはだいたいこんな施設がひとつはありました。
栃木だとどうかな、成り立つかな。来る人いるかな。
でも収支がトントンだったら自分で設ける価値はありそうだな。
なによりも出入りする人々が面白そうだな。
その人たちと友だちになりたいな。
そうすればここでの生活がもっと楽しくなりそうだな。
もうオフィスは2階で引っ込んでもいい。
余ったスペースにカフェ、本屋、多用途なシアターあたりをつくろう。
うん、そうしよう。

こうなればいいなというスケッチ。

仕事でやっている「場所づくりのお手伝い」だけではなく、
自分で自分が楽しむための場所をつくってみよう。
そこで得られることは必ずお客さんのメリットとして還元できるハズなんです。

結局、こういう言い訳を入れないと始められないんです。
そして公に言ってしまわないと先に進まないんです。

これらは今、全て妄想です。
でも、妄想で終わらせたくない。
だって自分のためですから。

リノベーションって、ただ古い建物を見た感じかっこ良くすることではありません。
空いている、遊んでしまっている建物を利用して
新たにその建物がある界隈の価値をつくり出すこと。
それはただきれいになればいいのではなく、
そこに入るコンテンツが重要だと思っています。
既存の建物の魅力、界隈の魅力、コンテンツの魅力、そこに居る人々の魅力、、。
それらの相乗のからみ合いをもつれさせること。
そこにはもちろん自分も入り込みつつ、でないと楽しくないですよね。

P.S.
そんな(?)株式会社ビルススタジオ、現在「設計メインのスタッフ募集中」です。
興味ある方は連絡下さい。

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ビルススタジオ

住所 栃木県宇都宮市西2-2-24
電話 028-636-5136

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