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勝手に作る商店街サンド:
静岡県・浅間(せんげん)通り編

LOVE、商店街
vol.005

posted:2014.12.4   from:静岡県静岡市  genre:食・グルメ / 活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつの商店街(地域)をねり歩きながら、パンと具材を集めて勝手にサンドイッチを作る旅。
そこでしか食べられないオリジナルなサンド、果たしてどんなものができるのか?

writer's profile

Kozakai Maruko

小堺丸子

こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。

以前東京の3つの商店街(戸越銀座、麻布十番、巣鴨)で試してみたところ
どれも個性的なサンドイッチができあがり、感動するほど美味しいものができたので
それを日本各地の商店街でもやってみよう、というのがこの連載の趣旨である。
また、美味しいものが食べられるだけでなく
同時にまちの様子を知ることができるという一挙両得の旅でもあるのだ。

こちらは戸越銀座サンドイッチ。「商店街で勝手にサンドイッチ作っていくと美味しい」-デイリーポータルZより。

徳川家康が25年を過ごしたまちでつくる。

今回やってきたのは静岡県静岡市葵区にある浅間(せんげん)通り商店街。
静岡駅から歩いて15分ほどの所にあり
手前の大きい鳥居から「静岡浅間神社」まで
南北600メートルほど続く商店街だ。

大鳥居から始まる商店街。お祭りのとき以外は割と落ち着いた雰囲気らしい。

その先には、26もの社殿をかまえる静岡浅間神社。とても広い。なかには写真撮影不可の神聖な場所もあるので、静岡にいったらぜひ立ち寄って欲しい。地元の人たちは愛情をもって「おせんげんさん」と呼ぶ。

浅間神社には1000年から2000年以上の歴史をもつ社があり
「東海の日光」と呼ばれるほどの漆塗り極彩色の美しい建築が見られる。
歴代幕府の崇敬を受けているが、
竹千代(家康の子どものころの名前)が元服を行ったことから
特に徳川家に厚く保護されたのだとか。

駅前にある家康の子どものころの像。美少年だ!

2015年は家康の没後400年。

家康は住処を移しながらも、
幼少期、壮年期、大御所時代、とあわせて25年間をこの静岡市で過ごしたそうだ。
駅前や、すぐ近くの駿府城では家康の像が置かれていたり
毎年4月には有名人が家康に扮し、御台所や大名たち総勢400名を引き連れて
この浅間通りを含むまちを練り歩く大イベントも行われている。
来年の2015年は没後400年とあって、
家康にちなんだいろいろなイベントが催される予定のホットな地域なのである。

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今井さんとサンドづくり。

地元出身の今井さんに案内していただいた。

今回ご縁があり一緒にサンドイッチをつくってくれることになったのは
見るからに優しそうな静岡県観光協会の今井利昭さん。
通っていた中学校がなんと駿府城の中にあったそうだ、超地元である。
先に浅間神社にお参りしたあと、商店街を案内してもらった。

商店街のぱっと見た印象としては、にぎやかというよりもノンビリ。
観光地の前に続く商店街としては派手な看板もなく、落ち着いている。

観光客向けというよりも地元密着型の商店街である。

とはいえ、静岡の特徴がギュッとつまった商店街ということがこのあとわかる。
静岡といえば黒いツユでお馴染みの静岡おでんが有名だが
この商店街にも1軒、サザエさんのオープニングにもモデルとして出た
静岡おでん屋さんがあったり、
突如プラモデルのお店があったりする。

静岡おでん屋さんは残念ながら定休日(水曜休み)。やっていたとしてもサンドに入れられないけど。

プラモデル屋さんも残念ながら休み。こちらもサンドに入れられないけど。

家康が呼び寄せた彫刻職人たちがプラモのルーツ。

静岡にはガンダムのプラモデルをつくっているバンダイの工場やタミヤ模型といった、
私でも知っているようなプラモデルメーカーが数多く集まっている。
その起源を聞くと、さきほどお参りした静岡浅間神社や、
のちに家康の墓所となる久能山東照宮の造営のために
家康が日本各地から優秀な職人を集めたことにあったそうだ。
その後、残った職人たちが雛人形や竹細工などの木工細工に携わり、
金型・木型を使った製品からプラスチック模型などの
プラモ産業へと移行していったとか。
ぜんぜん知らなかった……!

こちらは家康のお墓がある久能山東照宮というところに奉納されているガンダム。右ふたつは家康モデルだ。

雛人形や5月人形を扱う老舗もあるので入ってみる。

人形の話になるかと思いきや、大好きな器の話が止まらない亭主。人形を売る時期以外は器などを売っているそうだ。「唐津焼きについては東海三県で私が一番知っている」そうなので興味のある方は訪れると2~3時間は楽しめます。

金物屋さんに竹細工が売られていて職人のまちの背景が感じられる。

お茶缶(100円)が売られているお店が。静岡ぽい。

「吟醸王国」として名高い静岡のお酒や、お醤油が売られているお店。

味噌が置かれていたこうじ屋さん。「味噌はサンドには合わないかなあ」

こちらは一風変わった旅行会社「そふと研究室」。まちおこしを目的に、地元ならではの旅を提案してくれる。たとえばお茶に興味がある人には農家さんを紹介してくれ、お茶つみだけでなく朝6時から行われる茶市場での売買見学を提案してくれたり、頂上を目指さない富士山登山といったプランがあった。

ここでおいしいお茶をいただいて一服。……いやいや、サンドをつくらねば!

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サンドに挟めるお店はどこに!?

さすが歴史のあるまちである、ちょっとまわっただけでも静岡らしいいろいろな情報が入ってくる。
案内してくれる今井さんは隣で
静岡のお酒は(最近はビールも)いいお酒でね、と
洞爺湖サミットで出された「磯自慢」というお酒の美味しさを語っている。
しかしアレだ、お酒やお茶も美味しいけれど、そろそろサンドイッチづくりも始めたい。
すでに1時間たっているが使えそうな材料がまだ一品も見つかっていないのだ。
心配になった私に「食べ物はここから先にありますよ」と今井さん。
確かにその先はテンポよく食材を見つけることができた。

今井さんの元同級生がお店をたちあげたボンヌールというパン屋さんに入った。地元なだけあって顔が広い。

無添加の食パンをゲット! 焼きたてだ。

上質のステーキやハンバーグを出す「DON幸庵」では厚切りのローストビーフを1枚ゲット! 高級料理店だが「そふと研究室」で出会った坂野真帆さんがいてくれたお陰で勇気が出た。

つい「厚めで!」と頼んだらなんと907円。贅沢をしてしまったが美味しそうなので悔い無し。

お惣菜やさん「たんぽぽ」では静岡名物・桜海老(駿河湾での国内水揚げ量が100%)のかき揚げをゲット。120円と一気に経済的。

最後はオーガニック食材を扱う「あくつ」にて葉っぱ物と名物のオカラをゲット! お店の前のテーブルも急きょ使わせていただくことに。嬉しい。

健康志向のお店でとても美味しそうな食材がそろっていた。

途中で今井さんのかかりつけ病院も紹介されつつ、後半で一気に食材が揃った。
というのもこちらの商店街、入り口の鳥居から真ん中辺りまでに食べ物屋さんが
集中していたのだ。
サンドには挟めないが、他にも限定5枚までしか売ってくれない
こだわりのどら焼き屋さんやお茶がかかったラスク屋さんなど
名物のお菓子屋さんもいくつか並んでいた。

スイーツもたくさんありました。

それはおやつに後でいただくとして、、
さて、いよいよ商店街オリジナルサンドづくりだ!

こちらが集まった食材。色とりどりでいい感じ。

サンドは乗せる順番にもセンスがいる。が、苦手なので坂野さんにアドバイスもらいながら乗せた。

「浅間通り商店街サンドイッチ」ができた! これは美味しくないわけがない。

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美と健康のオシャレサンド。

この美しいバランスはどうだろう。
手のひらサイズの可愛らしいパンに
みずみずしい葉物とヘルシーなオカラ、
そしていかにも美味しそうなローストビーフが乗っていて
パリジェンヌが飛びつきそうなほどオシャレでヘルシーなものができてしまった。
しかし、それだけでは終わらないのが静岡名産「桜海老」のかき揚げの存在だ。
改めてみると桜海老とたまねぎの重なり具合が
先ほど拝んできた浅間神社の見事な彫刻を想起させ、
それが乗ることで安定した日本の美を感じさせる。
美しいだけでなく、栄養も満点である。

ボリューミーなので大きくかぶりつく!

素材たちは反発することなく見事にマッチしていた。美味しくて笑っちゃう。

今はお茶よりワインが飲みたい。

もっちりとしつつも噛みごたえある天然酵母のパンにかぶりつくと
桜海老の風味ががぱあっと鼻に抜けた。
サクサクとした食感も嬉しいそのかき揚げの優しい甘みと、
ゴマやコーンや人参が入ったオカラのマヨネーズの酸味が非常にあう。
さらにワサビとポン酢のたれをつけた
厚さ7㎜ほどの柔らかローストビーフは噛みしめるごとに旨みを引き出し
地元の農園でとれた爽やかでありつつも適度な苦みを演出するリーフミックスが
それらの味を引き締めてくれていた。
静岡出身の今井さんがお茶よりも「ワインが飲みたい」、と言ってしまう気持ちがわかる。
すごいのだ、高級感が。

一富士・二鷹・三サンド

「一富士・二鷹・三なすび」という、
初夢で見ると縁起がよいとされる言葉がある。
一説には、家康が好きなものを並べたもので
天下を取った家康にあやかろうという意味もあるらしい。
もしタイムスリップができたら家康にぜひこのオリジナルサンドを食べてもらいたい。
茄子にするかサンドにするか、きっと迷うはずだ。

とても満足げな今井さん。このあと商店街名物のどら焼きをご馳走してくれた。感謝!

●浅間神社通りサンドイッチレシピ

・ボンヌールの天然酵母食パン(大)…453円

・DON幸庵のローストビーフ…907円

・たんぽぽの桜海老かきあげ…120円

・あくつのベビーリーフとオカラ…334円

ーーーーー

合計 1814円

商店街サンド#02 -- Spherical Image -- RICOH THETA

ドラッグで画像が360度回転します。

Information


map

静岡浅間通り商店街

住所:静岡県静岡市葵区馬場町60
http://www.sengendori.com/

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