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料理も家も、生活まるごとDIY!
みんなの食堂のような空間です。
MAD City vol.12

リノベのススメ
vol.043

posted:2014.9.26   from:千葉県松戸市  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、
そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。
日本各地から、物件を手がけたその人自身が綴る、リノベーションの可能性。

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MAD City

マッドシティ

千葉県・松戸駅周辺エリアにて、まちづくりプロジェクト「MADCityプロジェクト」を推進中。クリエイターなどを誘致する不動産サービス事業「MAD City不動産」、新旧住民のコミュニティを創出するまちづくり事業に取り組み、創造的なエリアづくりを目指しています。
https://madcity.jp/

MAD City vol.12
マンションのなかに「食堂」を作りたい!

大がかりな工事ではなくとも、ほんのちょっとの工夫で部屋の雰囲気をガラっと変える。
それが、DIYの特徴でもあります。
MAD City最終回となる今回は、
「まったく変哲のない部屋も、DIY次第で部屋の雰囲気だけでなく、
その部屋の持つ役割も大きく変えてしまう」という事例をご紹介したいと思います。

今回登場するのは、フードユニット・Teshigotoの古平賢志さん。
古平さんは、コロカルでもご紹介した「MAD マンション」の住人です。

彼はもともと彼はもともと飲食業界のサービスマンで、
現在はフードコンサルタント、プロデューサーとして、
飲食店のコンサルタントやケータリングのお仕事をしています。

MAD Cityでは、「食」のプロフェッショナルである古平さんと、
さまざまなイベントを開催しています。
たとえば、今年3月に開催したのは、発酵食品を自ら作るイベント「MISO WORKSHOP」。
これは、古平さん(Teshigoto)たちと一緒に、
味噌をはじめとした発酵食品を作るというワークショップでした。

MISO WORKSHOPの最後には、お弁当を持って、参加者みんなでお花見にいきました。

「食べものを作ることも、DIYのひとつだと思うんです。
だから、日頃はお店から買ってきてしまいがちな味噌などの発酵食品を、
自分で作る……という体験をしてもらいたいな、と。
味噌のほかに、キムチやベーコンなんかも作りました。
添加物たっぷりだけれども安価に売られているものを買うのと、
昔みたいに全部自分たちで手作りしてみるのは全然ちがう。
もちろん毎回やるのは大変だけれども、
たまにこういうワークショップを通じて、
かつて料理をなんでもDIYしていた時代のことを、
ほんの少し思い出してみるのもいいんじゃないかなって思ったんですよ」

そして、こちらはMAD Cityの物件のひとつである「FANCLUB」にて。
ビルのオーナーさんがおこなったパーティーでも、
Teshigotoさんがお料理を作ってくれました。

当日の様子。

ほかにも、同じくイベントスペース「FANCLUB」を使って、
MAD Cityが定期的に行っている「MAD Cinema」でも、
Teshigotoさんに映画をイメージするお料理を作ってもらっています。

5月にバンクシーの『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を上映したときは、特製スパイシーチリドックとピクルス、オリジナルのコールスローを作っていただきました。絶品!

群馬県出身だという古平さんが松戸に住み始めたのは、2012年12月頃。

「松戸に住み始めたのは、友達が住んでいたというのがひとつ。
あと、もうひとつはMAD Cityのように、
『地元民じゃないけれども、そのまちを使って面白いことをやりたい』
という人たちが集まっている場所だな、と思ったんですよ」

MAD Cityが運営する「MAD マンション」は、DIYがOKな物件なので、
住民それぞれの個性が非常に部屋に反映されます。
そんななか、食のプロフェッショナルである古平さんの部屋は、
まさに「バー」のような空間にリノベーションされました。

古平さんの住まいは、もともとはこんな感じのお部屋でした。

真っ白なシンプル空間には、いつしか木製のカウンターが!
これは、以前ご紹介した建築家の西尾さんが作ったカウンターバーです。

実はこれ、屋外のイベントで使用していたものですが、
組み立て式なので、簡単に移動できるカウンターなのです。
「イベントだけで使うのはもったいないので、そのまま部屋に再利用しました」

使用したイベントでの設営時の様子。

台所には所狭しと食器や調味料が並び、
洗面所への入り口となるドアは、黒板になっていて看板のような印象も!

もはや、完全にお店にしか見えないこの部屋。
それゆえ、仕事帰りや土日などには、このバーカウンターの周辺に、
MADマンションの住人たちが集まってくるそうです。
MAD Cityのメンバーも時々お邪魔しています!

そして、奥の部屋はたくさんの観葉植物にソファと、まるでカフェのような佇まい。

「この部屋には本当にいろんな人が来るので、
部屋のなかはできるだけ生活感を排除しているんです。
テレビもないし、無駄な雑貨もおきません」
また、アウトドア好きな古平さんの趣味が高じて、なぜか壁にはボルダリングが!

山登りが趣味だという古平さん。それゆえ、部屋のテイストは「山小屋風」。

「これはベニヤ板を貼った上に、ボルダリングのネジを打ち込んでいます。
そして、友達を呼んで、一緒にのぼってみたり(笑)。
ベニヤを壁の上から貼っただけではありますが、
意外と頑丈で耐久性があるので、全然問題ないですよ」

癒され空間+エンタメ要素抜群なこの古平さんの部屋は、
実はMADマンションの住人にとって「食堂」的な機能も兼ね備えているんです。

「ひとり暮らしだと、あまり料理しませんよね。
だから、みんな、実家から野菜なんかの食べ物が送られてくると、
僕の部屋に持ってきて『なにか作ってくれ』というんです。
そういうときは、メーリングリストを回して、
『週末に○○さんのところからもらった野菜を使って料理をするので、
良かったら来ませんか?』と食事会のお誘いをしています」

誰かが来たら、いつでも快く迎えてくれる古平さんの部屋。
あまりの居心地の良さに、ついつい長居してしまう人が多いのも頷けます。
でも、本来、部屋というのはプライベートなもの。
それをいつもほかの人に開放するのに、抵抗感をもったりしないのでしょうか?

「このマンションに住む人は、デザインができる人、イラストが描ける人、
美術家、家具をDIYする人それぞれにさまざまなスキルを持っている人が多いんです。
だから、ちょっとなにか困った時には僕もそれぞれの専門家に相談しにいきます。
住む人それぞれで役割分担ができているなかで、僕の担当は『食堂』だと思っている。
だから、ほかの住民に自分の部屋をシェアするのは、全然問題ないんですよ」

そして、先日このMADマンションを使って行われたのが、
「SUNDAY BEER GARDEN」。
日頃、使われずに放置されてしまっているマンションの屋上。

“このスペースはもったいない! それをなんとか有効活用できないか”
と考えた末、我らがMADマンションの屋上を使って、
ビアガーデンを開催することになりました。
MAD Cityが屋上使用のルールを作成。
ビルのオーナーさんと近隣住民の方に許可を取り、
Teshigotoさんが主催者となって作るオリジナル料理とビールを楽しみました。

当日のビアガーデンへの入り口はこんな感じで。

「実際に住んでみて思いましたが、松戸の地元民や行政の人たちは、
本当に僕らの活動に寛容なんですよ。
ほかの地域だったら断られそうなことも、OKしてくれることがある。
『まちを使ってこんなに遊ぶことができるんだ!』と、驚くことも多いです。
現在、MAD Cityに関わっている人の半数以上が、地元民以外の人々だと思うんです。
ひとりではなにもできないかもしれないけれども、
みんながそれぞれ役割分担することで、
大きななにかを作っていくことができる。
地元民の方、MAD Cityの人たち、そして松戸に興味を持ってくれる人たち。
みんなの工夫でもって、まちを作っていけたらすごく楽しいですよね」

今回で最終回となる本連載ですが、Teshigotoの古平さんをはじめ、
この連載に登場してきてくださったクリエイターの方々と一緒に、
MAD Cityではさまざまな取組を考えています。
「DIYをしたいけれども、どうすればいいのかわからない」
という人のお手伝いをしてみたり、
ほかのまちではできないような面白いことを松戸でたくさんやっていきたい。

そんな僕らの様子をみて、ちょっとでも松戸やDIYに興味を持ってくださる方がいたら、
ぜひいつでも松戸に遊びに来てくれたら嬉しいです。

なお9月末からMAD Cityではこれまでの連載に登場した入居者たちが参加する、
DIYでのリノベを広めたり施工を請け負ったりするプロジェクトを開始します。
9月28日(日)には物件ツアー&ワークショップを予定しています。
次回は、10月19日(日)。今後の活動もどうぞお楽しみに。

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