自粛期間は八ヶ岳山麓にこもっていた
2020年を迎え、今年はオリンピックイヤーだと思ったのもつかの間、
中国・武漢での新型コロナウイルスの発生が報じられ、
3月には東京オリンピックの延期が正式に発表された。
外の景色を桃色に染めた桜はあっという間に散ってしまった。
コロナ禍において、テレワークが進み、会社に出社しなくても、
さらには都心部に住んでいなくても仕事が成り立つことがわかったという人も多い。
そうした人たちから、2拠点生活が注目されている。
東京のデザイン・スタジオ〈groovisions(グルーヴィジョンズ)〉の代表を務める
伊藤弘さんは6年ほど前から八ヶ岳に一軒家を構え、東京との2拠点生活を送っている。
グラフィックやモーショングラフィックを中心に、音楽や出版、
ファッションやインテリア、ウェブといった多様な領域で存在感を発揮し続ける
アートディレクターで、自転車やアウトドア好きとしても知られている。
コロナウイルスの影響を考え、お子さんの通う小学校の休校が決まった時点で
しばらくの間、八ヶ岳の家で過ごすことを決めたそうだ
(現在は東京の自宅で過ごしている)。
取材は東京の事務所で行い、掲載写真は伊藤さん本人に撮影してもらった。
始まりは、やはり
「コロナ禍、どう過ごされていますか?」である。
「買い物は、近くのスーパーで。
家の周りは住宅が密集しているわけではないけど、
のびのびとスポーツをするのもなんか違う気がして、
家でビールを飲みながらだらだらと過ごしていました」
東京から車で約2時間半、
中央道から少し入ったところに伊藤さんのもうひとつの家はある。

八ヶ岳にある伊藤さんのご自宅。外壁には、都内ではほとんど目にすることない無垢の杉板が一面に使用されている。その風味は、日や雨の当たり方によって年々変化する。
八ヶ岳で過ごした約1か月半は、東京のように大勢の人がいるなかで
自粛していたわけではなかったため、家にいるストレスはあまり感じていなかったという。
それでも、抱えていた仕事やプロジェクトは半分ほどが延期や中止となった。
「資金は必要なので、
ある程度シミュレーションしながらこの先の展開を考えていますが……。
正直、まだ悶々としていて、まだ積極的に動くタイミングではないようです。
うちの事務所は、もともと会議が少なく、ひとりひとりが作業に集中するタイプなので、
作業自体の変化はないほうかもしれません。
今は、手元にあるプロジェクトを各々の場所でゆっくり実行している感じです」
伊藤さん自身、手持ちのMacがあれば日常的な作業はほとんどできてしまうという。
ならば、東京と八ヶ岳に拠点を持ち、パソコンで仕事ができる伊藤さんの暮らしは
これからをどう生きるかのヒントになるかもしれない。
結論を急ぎたくなる気持ちを一旦落ち着かせ、
まずは、伊藤さんが八ヶ岳の家を建てることになった経緯をうかがった。











































































