47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
岡山でコロカルが向かったのは、美作市の棚田が広がる集落。
新緑の季節、千枚田の里をめざして
岡山市内から北東に向けて、吉井川沿いに車を走らせること約1時間。
一路、山奥へ山奥へ。若葉の淡い緑が車窓を流れます。
この時期の木々はふつふつと音がしそうなほど生の力に満ちていて、
山の空気に、都会での疲れがすっと抜けていくよう。
向かうは、岡山県美作市上山地区。
山間を縫うように走り、この道でまちがってないよね……
と不安になりかけた頃、ようやく上山の看板が見えました。
ぱっと視界が開け、目に飛び込んできたのは田んぼ、田んぼ、田んぼ――。
視界の端から端まで、大空の下に一面の棚田が広がります。
〈上山の千枚田〉は、奈良時代が起源ともいわれ、
最盛期には8300枚が連なっていたというほどの規模だったのだとか。
精緻に積み上げられた石垣はいまも健在で、ちょっとした遺跡のよう。
6月になれば田んぼには水が張られ、秋には稲穂が黄金色に。
その景観を見るだけでも心は洗われるのだけれど、上山での過ごし方のおすすめは、
この棚田づくりに参加するという、新しい旅のスタイル。
土地の人たちとふれあい、みんなで田んぼで汗をかく。
普段とはひと味違う、田舎を体験できそうです。

上山の千枚田は、四季折々の顔を見せてくれます。(写真提供:英田上山棚田団)
8300枚の棚田を復活させたい
いまでは美しい上山の棚田ですが、実はほんの10年前まで、
ここ一帯の田んぼは雑草に埋もれ、見る影もありませんでした。
1970年代に始まった減反政策の頃から、大きな機械の入らない棚田は、
どんどん耕作放棄されていったのです。
その荒れた土地を、約10年前から再生し始めた希有な集団があります。
その名も〈NPO法人 英田上山棚田団〉。
大阪からの通い人と、移住者から成る集団です。
棚田団は、メンバーのひとりのお父さんが上山へ移住し、
水路掃除を手伝ってもらおうと大阪の息子を呼び寄せたことに始まりました。
息子さんは友人知人と連れだって、頻繁に上山へ通うように。
このメンバー十数名が、いつしか「8300枚の棚田を見てみたい」と、
田んぼを覆っていた草を刈り始めたのです。
めいっぱい太陽の光を浴びて、青空の下で汗をかく。
真夏にはちょっと過酷では……と思われる草刈りも、
普段都会で暮らす彼らにとっては、爽快な楽しみに。
「みんなで汗を流したあとの温泉と、ビールが最高!」と、
毎週のように東京や大阪から通ってくる人も現れ始めました。
活動9年目にして、約1600枚(15ヘクタール)の田んぼが
元の姿を取り戻しています。

2008年、活動開始から2年目。まだ草ぼうぼうの状態だった、荒れた棚田。(写真提供:高田昭雄)

2015年、活動8年目。ひとつ前の写真と同じ場所から撮影した再生後の棚田。昔と同じように、手作業の櫨干し(はぜぼし)が行われています。(写真提供:高田昭雄)






































































































