100年に1度といわれる 大規模工事を終えて 道後温泉が全館営業再開! 工事前はなかった新たなサービスは?

古くからの温泉街として知られる、愛媛県松山市の道後温泉。
2014年には道後温泉を舞台としたアートプロジェクトが開催され、
アートのまちとしても知られるようになりました。

そんな道後温泉のシンボル〈道後温泉本館〉が、
100年に1度といわれる大規模工事を経て昨夏に全館営業再開。
その様子をお伝えします。

歴史をつなぐ、未来にのこす。保存修理工事を終えた道後温泉

約3000年の歴史を誇る日本最古の湯といわれる道後温泉のシンボル
〈道後温泉本館〉が、2019年1月から営業しながら保存修理工事に着手し、
約5年半の歳月を費やし、2024年7月11日に全館営業を再開しました。

100年に1度といわれる大規模工事のため、足場でぐるっと囲う。

100年に1度といわれる大規模工事のため、足場でぐるっと囲う。

工事中の本館を覆う素屋根テント膜は、画家の大竹伸朗が作品化し話題となりました。
作品名は「熱景/NETSU-KEI」。

作品名:熱景/NETSU-KEI © Shinro Ohtake / dogo2021

作品名:熱景/NETSU-KEI © Shinro Ohtake / dogo2021

解体しながら保存修理を始めると、蟻害及び木材の腐食等も確認されました。
ミリ単位で復元するため、一気に修理することができなかったそう。

公示前の趣を残しながらの保存修理は気が遠くなるほど大規模だった。

公示前の趣を残しながらの保存修理は気が遠くなるほど大規模だった。

補強工事などは、歴史的価値と文化的価値がそのまま残せるように、
なるべく見た目が変わらないように行われ、
屋根瓦も約3万枚全て打音試験を行い大変苦労したのだとか。

新たに本館3階に2室の貸切室を整備

新たに登場した2室の貸切室は、これまでお客さんに開放していなかったお部屋。
ご家族やご友人などとゆっくり過ごせます。
インバウンドで高まる需要にも対応できるようになりました。

しらさぎの間。

しらさぎの間。

また、貸切室は新作のお茶菓子や貸し浴衣などのサービスが充実しているほか、
国の重要文化財の1室を貸し切ることができる、魅力的なコースです。

そして、道後温泉で1番新しい湯屋の〈道後温泉別館 飛鳥乃湯泉〉。
館内は愛媛の伝統工芸を用いたアートで彩られているほか、
浴室とアートが楽しめ、新しい温泉文化を体験できます。

インドのチャイ文化が教えてくれた 日本の心とお茶時間の大切さ

こんにちは、世界一周旅中のうんまほふうふです。
東南アジアを立ち、次に向かったのはインド!

インドからその周辺国、さらには世界中に広まった食も多く、
独自で多様な食文化が発展していったおもしろい国のひとつです。

インドではよくお茶(チャイ)を飲む!

タイのバンコクからインドに飛行機で移動し、
第3の都市・コルカタ市街地に到着したのは、現地時間の朝8時頃。
バスを降りて、すごい人集りを見つけたと思ったら
そこは「チャイスタンド」でした。

たまたま出合ったローカルなチャイスタンド。一杯18円ほど。

たまたま出合ったローカルなチャイスタンド。一杯18円ほど。

次から次へと人がやってきては、
チャイを飲みながら店の前で談笑する。

噂には聞いていたけど、
「ほんとうにインドではチャイをよく飲むのだ」
と感じた瞬間でした。

最初に飲んだチャイは、その甘さにびっくり!

最初に飲んだチャイは、その甘さにびっくり!

私たちも、さっそくチャイを試してみることに。
初めての感想は、想像以上においしい!
甘いけどスパイスがしっかり効いている。
これは、ハマってしまいそうな予感……。

宿泊していたゲストハウスの朝食でも提供されました。

宿泊していたゲストハウスの朝食でも提供されました。

米子で見つけた モノラルレコードの殿堂。 〈ロックンロールレコード〉

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
鳥取県米子市。

かたまりでドーン! モノラルで浴びせるガッツのある音

コロンボ(以下コロ): またしてもスーパーマニアックな店を見つけちゃったよ。
世界的にもレアじゃないかな?

カルロス(以下カル): なになに、もったいつけないで教えてよ。

コロ: ひと言でいえば、大広間みたいなところで、
オリジナル盤によるロックが心おきなく聴けるお店。

カル: オリジナル盤を聴かせてくれるのが、そんなレア?

コロ: それがさー、ほぼほぼモノラル盤なんだよ。
しかも7インチシングルが中心。

オープンして1年と半年が過ぎたところ。広がりでなくかたまりで聴かせる空気の振動対策が最大の難関だったとか。

オープンして1年と半年が過ぎたところ。広がりでなくかたまりで聴かせる空気の振動対策が最大の難関だったとか。

モノラルの忠実な再現を追求した自前のオーディオシステム。試行錯誤の賜物らしい。

モノラルの忠実な再現を追求した自前のオーディオシステム。試行錯誤の賜物らしい。

〈和み処サンシャイン〉斉木佑介さん “生きている実感”がある新島で、 塩工房と居酒屋を営む

生き方や働き方を考える事業を数多く行い、
求人サイト『日本仕事百貨』を立ち上げたナカムラケンタさんが推薦するのは、
新島で居酒屋〈和み処サンシャイン〉を営み、〈しおさいの塩〉をつくる斉木佑介さんです。

推薦人

ナカムラケンタさん

ナカムラケンタ

日本仕事百貨
代表

Q. その方を知ったきっかけは?

16年前から伊豆諸島の新島に通っています。佑介さんは、新島の居酒屋〈和み処サンシャイン〉で働きはじめて、お店を引き継いだこともあって、よく訪問するようになりました。

Q. 推薦の理由は?

居酒屋を引き継いだあとに「自分にしかできないことは何か?」を考えていたように感じます。そこで思いついたのが、新島での塩づくりだったようです。実は新島の海は水の汚れを示す化学的酸素要求量=CODが低く、透明度の高い海として知られています。山口県長門市の〈百姓庵〉で塩づくりを学び、新島で塩小屋をつくります。最初は掘っ建て小屋をつくろうと思ったら、先輩のみなさんに手伝ってもらって、立派なものができたそうです。塩はサンシャインのメニューにも活かされています。自分のオススメは塩レモンサワーです。

先輩に導かれて新島へ。移住するという感覚もなかった

「まさか10年後に自分がこうなっているなんて、
新島へ来たときはまったく想像していなかったんですよ」

斉木佑介さんは、開口一番そう言った。
東京から南へ約160キロの洋上に浮かぶ離島、新島。
そこで斉木さんは〈和み処サンシャイン〉という小さな居酒屋を営むかたわら、
自宅横の工房で海水を釜炊きして塩づくりを行っている。
昨夏には島内外の仲間と会社を設立し、島での農業をスタート。
今年は宿の開業も控えている。

新島へ移住して10年。
彼がたどってきた道は、どれも新島にはなかったものばかりだ。

斉木さんが営む居酒屋〈和み処サンシャイン〉。

斉木さんが営む居酒屋〈和み処サンシャイン〉。

埼玉県出身の斉木さんが、初めて新島を訪れたのは2014年9月のこと。
島に来た理由はシンプルで「大事な先輩がいたから」。
学生時代のバイト先だった居酒屋チェーンの店長が、
新島に移住して自分の店を持つことになったという。
「手伝わないか?」という短い連絡に、ふたつ返事でOKしたのがはじまりだった。

「当時、僕は4年間暮らしたニューヨークから引き上げるタイミングだったんですよ。
新島ってどこ? というくらい何も知らなかったんですが、
ニューヨークから帰って離島にいるって、なんかおもしろいんじゃないと思って。
半分ノリでしたけど、先輩とはいつか一緒に店をやりたいねとずっと話していたんです。
先輩が店を開くなら自分も行くのが当然という感覚でした」

2015年2月に新島へ移住し、ナカムラケンタさんに出会ったのも、その頃だ。

「新島に来たときは必ず店に来てくれますね。
僕のあれこれをずっといい距離感で見守ってくれているのを感じています。
『自分にしかできないことを考えていたように感じる』と
思ってくれていたのはうれしいですが、
僕はケンタさんと同じように新島がただただ好きで、
島から離脱しないためにはどうすればいいだろう? って感じ。
たいしたことは考えていなかったと思います(笑)」

その年の夏に先輩とともに〈和み処サンシャイン〉をオープン。
当時の新島で移住者が飲食店をオープンするのは稀なケースで、
大きな注目を浴びたという。住民はみな誰かの親戚、というほど人間関係が濃密な離島。
右も左もわからない状態で、先輩と一からつくっていった。

推薦人のナカムラケンタさんがおすすめだという塩レモンサワー。

推薦人のナカムラケンタさんがおすすめだという塩レモンサワー。

塩レモンサワーの店内POP。

塩レモンサワーの店内POP。

「サンシャインにいる若い子」として、のんびりと新島暮らしを楽しんでいた日々が、
急展開を見せたのは3年後のことだ。
突然、先輩が家庭の事情で島を出ることになったのだ。
この人の後をついていけば何の問題もない、と思っていたその人が島からいなくなる。
しかも先輩から告げられたのは「サンシャインを継いでくれないか」という言葉だった。

「信頼していた先輩から『一緒に島を出よう』じゃなくて、
『俺は出ていくから店を継がないか』と言われたことが驚きでした。
何が驚いたかって、置いていかれて悲しいということよりも、
テンション上がっている自分がいたことです。
先輩のサポート役が天職だと思っていた自分が、まさか店長になるなんて、
どうなるんだオレ!って」

流されるままにやってきた新島だけど、いつのまにか新島での暮らしも、地元のつきあいも、
自分にとって大切なものになっていた。島を出るという選択肢はない。あとはやるだけだ。
そして2018年秋、斉木さんはサンシャインの2代目店長になった。

鎌倉の〈建長寺〉でできる、 坐禅や写経体験で 新しい年に向け気持ちをリセット

北鎌倉にある、臨済宗建長寺派の大本山〈建長寺(けんちょうじ)〉。
ここでは坐禅や写経体験ができるのをご存知でしたか?

筆者は過日に開催された、クレジットカードのダイナースクラブ会員向けの
「臨済宗巨福山 建長寺 貸切特別参拝」に参加してきました。
通常は非公開の修行道場や坐禅や特別法話、写経体験の様子をレポートします。

特別に貸し切りにされた〈建長寺〉をゆっくり参拝

お寺の門

1255(建長7)年に鋳造された梵鐘は、〈建長寺〉の創建当初から残る貴重な鐘。

〈建長寺〉の正式名称は〈巨福山建長興国禅寺〉といい、
1253(建長5)年に、鎌倉幕府第5代執権、北条時頼(ほうじょう ときより)によって
創建された臨済宗建長寺派の大本山です。

お寺の門

嵩山門。

今回の「貸切特別参拝」は、僧侶の説明を聞きながら
ゆっくり参拝できるイベントとなっていました。

当日は、三門、梵鐘の説明後、修行道場の通常非公開の西来庵があるエリアを参拝。
本来「西来庵」へ続くこの道は、僧侶になるために3年以上
修行をしている人だけが通れる道だそう。

禅寺特有の凛とした気配を体感。
1日限りのイベントでしたが貴重な体験ができました。
また、僧侶になるためには出家をして3年以上の修行が必要なのですが、
現在修行僧は6名しかおらず、「道心のある方がいたらぜひ」とのこと。

ご本尊のほかにも見応えがある境内

地蔵

「ご本尊」。鎌倉で1番大きいお地蔵さまといわれている。

本尊地蔵菩薩坐像を安置するお堂は、東京・芝の増上寺より
徳川2代将軍・秀忠夫人嵩源院(お江の方)の御霊屋を移築したもの。

ご本尊の頭上は、格式の高さを示す「折り上げ格天井」になっており、
左右には透かし彫りの「欄間彫刻」など、かなり古びているものの、
見応えがあります。

法堂は住職が説法するための場所だった。今はお参りできるよう、千手観音さまと釈迦苦行像が置かれている。

法堂は住職が説法するための場所だった。今はお参りできるよう、千手観音さまと釈迦苦行像が置かれている。

法堂は住職が須弥壇上で説法するためのお堂で、重要文化財にもなっています。
現在は釈迦苦行像、千手観音菩薩を祀っています。

法堂の天井に描かれた『雲龍図』は、小泉淳作画伯のもの。
龍の目は真ん中にかかれており、どの位置から見ても目が合うようになっています。
龍は法の雨を降らすといわれ、水をつかさどる龍神が火災から建物を守るとされています。

大井ダム完成100周年記念。 恵那市のご当地グルメ 「大井ダムえなハヤシ」が登場!

名古屋から70キロメートルほど東に位置する岐阜県恵那市。
木曽川の清流と市の約80パーセントが山林という豊かな自然に恵まれた場所です。
2024年12月の大井ダムの完成100周年を記念し、
恵那市ではさまざまなイベントを開催しています。

高度経済成長期を支えた大井ダム

大井ダムは、電力王と呼ばれた福澤桃介(ふくざわももすけ)が、
1924(大正13)年に国内初の重力式コンクリートで完成させた本格的な発電所。
発電した電力は関西方面に送電され、高度経済成長期を支えました。
2007年度には、経済産業省によって「近代化産業遺産」に認定されています。

奇岩や恵那峡大橋を楽しめる遊覧船も人気。

奇岩や恵那峡大橋を楽しめる遊覧船も人気。

「えなハヤシ」をご当地グルメに!

恵那市は、書店〈丸善〉の創業者で、ハヤシライスの発案者といわれる
早矢仕有的(はやしゆうてき)ゆかりの地。
彼が江戸時代に岩村藩(現在の恵那市岩村町)の藩医だったことから、
ハヤシライスで恵那を盛り上げようと、市内飲食店店主らで
〈えなハヤシの会〉を立ち上げ、「恵那市特産の寒天」と
「恵那山麓寒天育ちの三浦豚」を使ったご当地グルメ「えなハヤシ」を開発しました。

そして、今回、大井ダム完成100周年の記念事業として
新たに「大井ダムえなハヤシ」を考案。
ご飯をダムのかたちに見立て、各店舗がそれぞれ独自のトッピングで
ダム周辺の景観を表現するというユニークな一皿が誕生したのです。

〈えなハヤシの会〉のメンバー。

〈えなハヤシの会〉のメンバー。

ダム開発のように苦心したオリジナルなご当地グルメ

大井ダムにちなんだハヤシライスをつくろうと決めたものの、
メンバーは、ダムの形状に苦心したそうです。
「大井ダムは約53メートルもの高さがあり、
その高さとゆるやかなカーブを再現するのが難しく、
市販の型ではうまくいきませんでした。
それで恵那市の補助金を得て、特注で型をつくったんです」
と語ってくれたのは〈えなハヤシの会〉会長の
安藤良一(あんどうよしかず)さん。

ダムの大きさを計算し、サンプルづくりをするなど、徹底的にかたちにこだわった。

ダムの大きさを計算し、サンプルづくりをするなど、徹底的にかたちにこだわった。

さらに、どのように大井ダムと恵那峡を表現するか、各店舗も試作に追われる日々。
最終的に仕上がったのは、なんと記者発表の直前だったそうです。
しかし、苦労した分、評判は上々。
「大井ダムえなハヤシ」を目当てに来るお客さんも増えているのだとか。

〈お食事処金よし〉の店主で、〈えなハヤシの会〉会長の安藤良一さん。

〈お食事処金よし〉の店主で、〈えなハヤシの会〉会長の安藤良一さん。

静岡・湯ヶ島にある老舗旅館の敷地に 露天風呂とサウナを備えた1棟貸しの 別邸〈しゃくなげ〉オープン

静岡県の湯ヶ島に佇む〈おちあいろう〉は、明治7(1874)年創業の老舗旅館。
創業150周年を記念し、敷地内にある建物をリフォーム。
専用露天風呂とサウナを備えた1棟貸しの別邸〈石楠花(しゃくなげ)〉が誕生しました。

クラウドファンディングで過去最高の応援購入を達成

〈おちあいろう〉の入り口。

〈おちあいろう〉の入り口。

〈おちあいろう〉は、4000坪もの敷地に、全客室を含め7箇所が
有形文化財に登録され、明治時代は島崎藤村、大正時代は川端康成、
昭和初期は北原白秋など、名だたる文豪が、滞在時のことを作品のなかに残しています。

リフォームした〈しゃくなげ〉の外観。

リフォームした〈しゃくなげ〉の外観。

今回誕生した〈しゃくなげ〉も、3階建ての建物がまるごと登録有形文化財。
当時最高峰の匠によって建築され、随所に意匠を凝らした装飾や
精密な細工などを眺めながら贅沢なひとときが過ごせます。

〈しゃくなげ〉の入り口。

〈しゃくなげ〉の入り口。

同別邸は、ホテル、バンケット、レストランなどを展開する〈Plan・Do・See〉が
クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」にて先行販売を開始。

販売スタートから、わずか10分で応援購入総額が2,000万円を突破し、
Makuakeの宿泊関連プロジェクトで、過去最高の応援購入総額を達成。

3時間で個人向けプランの3,000万円分も完売するなど、
旅好きの心を魅了する憧れの宿だということが伺えます。

〈PARADI〉井上祖人さん、有紀さん “共存共栄”の城崎で、パンを軸に まちにひらけた店づくりを

PR会社〈HOW〉の代表で、国内外を飛び回る小池美紀さんが推薦するのは
城崎温泉にて2022年9月にオープンしたベーカリー〈PARADI〉の
井上祖人さん、有紀さんご夫妻です。

推薦人

小池美紀さん

小池美紀

HOW inc.

Q. その方を知ったきっかけは?

仕事でもプライベートでも足繁く通う城崎温泉の知人から、同じ兵庫でギャラリーと茶寮を営む〈井上茶寮〉の名前を聞いていました。特に興味を惹かれたのは、ある時、城崎の〈OFF KINOSAKI〉にあったフライヤー。井上茶寮ギャラリースペースのアーティストインレジデンスの告知でした。私が現在、東京と沖縄の2拠点生活をするなかで、個人的にも追いかけている今村能章が展示をするというものでした。

その後、井上茶寮が城崎に〈PARADI〉というペストリー&コーヒーショップをオープンし、交流が生まれました。彼らの幅広い活動を知るにつれ、底知れぬ活動に興味を寄せています。

Q. 推薦の理由は?

フレンチのシェフやパティシエとして修業を積まれた井上祖人さん。
大学職員からフランスに移住し、ミュージアムで働いていた井上有紀さん。

ふたりの活動は、現在展開する年数回のアーティスト・イン・レジデンスと並行して国内外のアーティストや作家の展覧会を企画する〈M1997〉(的形)、お茶やカヌレ型を使った羊羹などのスイーツを展開する〈井上茶寮〉(的形)、焼きたてのペストリーやコーヒーを提供する〈PARADI〉(城崎)。

お茶やお菓子、パッケージに至るまでおいしいのに加え、いつ見てもすてきなプロダクトは、デザインの文脈に通じるところがあります。実際にデザイン関係者のファンも多く、私は今年、インテリアの発表会で彼らにケータリングを依頼しました。味だけでなく、しつらえの美しさにも感動しました。
また、今年は、コペンハーゲンのベーカリーで短期留学をされており、出張の際にも彼らの活動を拝見しました。デザインの都コペンハーゲンでの滞在を経た彼らの今後の活動に注目しています。

待望のパン屋さんが、城崎にできた

晴れたと思ったら、鈍色の雲が広がり、冷たい雨が降ったり止んだりする。
そんな日本海沿岸特有の不安定な天気が、
この城崎温泉というまちの冬の風物詩だったりする。

瀬戸内に面する的形から豊岡市城崎に移住し、
2度目の冬を迎えた井上祖人(そひと)さん、有紀(ゆき)さん夫妻は、
「ここのところいつもこんな天気ですよ」と話す。
その“こともなさげ”といった雰囲気で、彼らがいかにこのまちに馴染んでいるかを知れた。

山陰地方には、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。冷たい雨雪が降れば降るほど温泉も心地いい。

山陰地方には、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。冷たい雨雪が降れば降るほど温泉も心地いい。

祖人さんと有紀さんは、
同じ兵庫県でも城崎とは北と南の関係にある、的形という地で
和菓子店〈井上茶寮〉と、
アーティストインレジデンス〈M1997〉を営む。
港まちに溶け込む、築114年の庄屋をリノベーションしたお店は、
土日だけの営業にかかわらず、お客さんが後を絶たない。

札幌市や大阪市の名だたるレストランで修業してきた祖人さんと、
大学職員を経てパリの美術館で勤務した経験を持つ有紀さん。
井上茶寮とM1997は、ふたりの経験を生かした唯一無二の場だ。

井上茶寮の外観。撮影:間澤智大

井上茶寮の外観。(撮影:間澤智大)

井上茶寮の内観。撮影:間澤智大

井上茶寮の内観。(撮影:間澤智大)

M1997の展示室。撮影:間澤智大

M1997の展示室。(撮影:間澤智大)

ふたりが城崎を訪れたのは6年ほど前のこと。
〈OFF KINOSAKI〉をオープンしたばかりの料理人・谷垣亮太朗さんに
会いに行ったのがきっかけだった。
そこでさまざまな“城崎人”を紹介してもらったことで、
地域コミュニティの温かさや、観光客と地元住民のバランスの良さに惹かれ、
城崎への移住を考えるなかで運良く物件の話が耳に入り、
住居兼店舗として開業することを決めた。

定期的に手入れがされている状態のいい空き家を取得・リノベーションし、1階を店舗、2階を住居として利用。

定期的に手入れがされている状態のいい空き家を取得・リノベーションし、1階を店舗、2階を住居として利用。

「やるなら井上茶寮とは違う業態で、
城崎に滞在する価値を高められるような店舗を目指したかったんです」(有紀さん)

井上茶寮としてのポップアップ出店を経て、OFF KINOSAKIの3軒隣に、
2022年10月、ペイストリーショップ〈PARADI〉をオープンした。

〈OFF KINOSAKI〉、ポップアップスペース〈MMM〉の並びにできた〈PARADI〉。

〈OFF KINOSAKI〉、ポップアップスペース〈MMM〉の並びにできた〈PARADI〉。

名物は「クロワッサン」(290円)。香ばしいクラスト(外側)と、弾力あるクラム(内側)のコントラストが芸術的! 噛みしめるほどに北海道産小麦のほんのりとした甘みとバターの芳醇な香りが鼻を抜ける。「うちのクロワッサンは、割ると生地が切れずにもっちりと伸びるんですよ」と祖人さん。昼前に行けば焼きたてが買えるかも。

名物は「クロワッサン」(290円)。香ばしいクラスト(外側)と、弾力あるクラム(内側)のコントラストが芸術的! 噛みしめるほどに北海道産小麦のほんのりとした甘みとバターの芳醇な香りが鼻を抜ける。「うちのクロワッサンは、割ると生地が切れずにもっちりと伸びるんですよ」と祖人さん。昼前に行けば焼きたてが買えるかも。

イートインはワンドリンク制。コーヒーやカフェラテのほか、井上茶寮のアイスティーや自家製コンブチャも。

イートインはワンドリンク制。コーヒーやカフェラテのほか、井上茶寮のアイスティーや自家製コンブチャも。

井上茶寮の看板商品の「カヌレ羊羹」はPARADIでも扱いがある。贈答用としても人気が高い。

井上茶寮の看板商品の「カヌレ羊羹」はPARADIでも扱いがある。贈答用としても人気が高い。

店内は賑々しく、平日にもかかわらず多くのお客さんが訪れていた。
スイーツとコーヒーとともに写真を撮り合う外国人観光客。
カップル温泉旅行だろうか。大きなバッグでやってきて、
お目当てのパンを買いホクホク顔の彼女と、それをやさしく見守る彼氏。
休憩時間に颯爽とパンを買っていく旅館の従業員は常連だそうだ。
甘いものを前に、人は自然と笑顔になる。

「基本的には地元の方が7割で、観光客は季節によって変動があります。
眼の前が桜並木なので、桜の時期は混み合いますね。
地元の人に来てもらうお店になることを最初から意識しています」(有紀さん)

桟橋から送迎船で5分。 駿河湾に浮かぶ無人島・淡島にある リゾートホテル〈淡島ホテル〉

無人島のリゾートホテル〈淡島ホテル〉

駿河湾に浮かぶ淡島は、静岡県沼津市の無人島。
その島内にある唯一のリゾートホテルが〈淡島ホテル〉です。

淡島へは、JR東海道新幹線の三島駅から無料送迎シャトルバスで
淡島桟橋まで行き、桟橋からは送迎船に乗って5分ほどで渡れます。

緑豊かな島の風景に溶け込んでいる〈淡島ホテル〉。
コロニアルピンクの美しい建物が、
送迎船に乗ってやってくる旅人たちをやさしく出迎えてくれます。

天窓から自然光が差し込む明るいロビーは、まるで美術館のよう。
高い天井や階段にも、エレガントで華やかな雰囲気が漂います。

チェックインすると、渡されたルームキーがリアルに「鍵」で驚きました。
最近はカードキーが多いので、アンティーク調の鍵に懐かしさを感じます。

カードキーだとすぐに見失ってしまうタイプの人にとっては、
どっしりと存在感のあるこの鍵が、のちの助けとなるはず。

客室は和室、洋室を選べる5つのスタンダードタイプと
6つのハイグレードタイプから選べます。
写真は、スタンダードタイプのオーシャンビュー・スイート。

全室オーシャンビューの景観を楽しめるのがこの宿の特徴で、
スタンダードルームでもすべての部屋にリビングルームがついています。
まるで海外のレトロなリゾートホテルのよう。

客室には、広々としたバスルームがあり、
浴槽に面した大きな窓からも外の景色を一望できます。

冷蔵庫には、富士山伏流水でつくった地元産のクラフトビールと富士サイダーが。
お風呂上がりに窓辺で景色を眺めながら飲むドリンクは最高。

富士山の絶景や漁火など、日本ならではの風景が楽しめる大浴場

男湯の露天風呂。

男湯の露天風呂。

ホテル館内には内風呂と露天風呂を備えた大浴場もあり、
地下1000メートルから組み上げている天然温泉が楽しめます。
泉質はナトリウムイオン泉・塩化物泉・ナトリウムイオン塩化物泉。

女湯の露天風呂。

女湯の露天風呂。

効能は外傷、ストレス、冷え性などに効き、
香りは強くなくサラッとサッパリしているのが特徴。

天気のいい日はこんな絶景も眺められる。

天気のいい日はこんな絶景も眺められる。

露天風呂からも富士山が望める絶景のロケーション。
釣り船が目の前を通ることがあり、海との距離が近いので、
女湯の露天風呂は、タオルを巻いての利用も可能。

これでもかの装飾と 照明演出が圧巻! 大宮〈ROCK MEMORIES〉

音楽好きコロンボとカルロスがリスニングバーを探す巡礼の旅、
次なるディストネーションは、埼玉県さいたま市大宮。

通りすがりのお客さんも入店に10年かかった圧倒的デコレーション!

コロンボ(以下コロ): キラキラの外観、なかなかのもんでしょ。

カルロス(以下カル): クセ強いねー。絢爛豪華! ロックはこうじゃないと。

コロ: 毎日、前を通って気になっていたお客さんでも、
入るのに10年かかったらしいよ(笑)。

カル: いくらマイケルが出迎えてくれるといっても、
このグラマラスな佇まいだと、ドアを開けるにはかなりの勇気がいるよな。

コロ: 内装だって、すこぶるゴージャス。
マスターのケイさんはいたってフレンドリーなんだけどなー。

カル: 白を基調とした店内に、あるわあるわ往時のレコードジャケットの数々。
まさにロックメモリーズだね。

コロ: ジャケットのカラーコピーをこれでもかと貼りめぐらせているんだけど、
笑っちゃうのが、
帯がないレコードはカタカナでわざわざアーティスト名を加えちゃっているところ。

カル: 手づくり感がなんともいえず好印象。

コロ: わかりやすいがモットーなんだって。

カル: ジャケットに「GOOD」とか丸印とかもあるけど。

コロ: それはケイさんによる評価。まあ、感想ね。

突如現れるジャケットに彩られた絢爛豪華なファサード。

突如現れるジャケットに彩られた絢爛豪華なファサード。

店内のデコレーションもキラキラ。白を基調とした壁面にレコードジャケットがこれでもかと。

店内のデコレーションもキラキラ。白を基調とした壁面にレコードジャケットがこれでもかと。

カル: お店に入ったとき、最初にかかっていたのはなんだった?

コロ: シャカタクの「Easier Said Than Done」だったかな。
雨が降って、寒い夜だったんで、滲みたなー。

カル: フュージョンの名盤、『Night Birds』収録曲だね。

コロ: シャカタクはAOR全盛時のフュージョンだから、とにかくキラキラしている。

カル: ブリット・ファンクの文脈からも、最近、盛り上がっているみたいね。
店内のジャケットを見る限り、70年代〜80年代のチャートやロックが中心だけど。

コロ: ロックメモリーズだけにマスターのメモリーを具現化しているんだ。

ホストの仕事もしていたというマスター、ケイさんの長髪時代。まるでロックスター。

ホストの仕事もしていたというマスター、ケイさんの長髪時代。まるでロックスター。

ディスコが学校、『MUSIC LIFE』が教科書だったという10代。

ディスコが学校、『MUSIC LIFE』が教科書だったという10代。

“日本のウユニ塩湖”近くに サウナやスパイス香料室を併設した ヴィラ〈積修館〉がオープン

日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜など、海・山・田園地帯を有する香川県三豊市

北は瀬戸内海、南は徳島県に接しており、海・山・田園地帯を有する香川県三豊市。
近年では、日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜や桜の名所
紫雲出山で知られることも多くなりました。
今ではその絶景を求めて、遠くから観光客が訪れる場所となっています。

日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜

こうした豊かな自然が当たり前にあり、
四季折々の風景を日常的に感じることができるのはこの地の大きな魅力。
お花見や海水浴、紅葉狩りができる場所など、様々な観光名所が点在しています。

瀬戸内海

また、商店街に開業したクラフトビール店や酒蔵をリノベーションした
体験型宿泊施設など、新しい動きが広まっている地域でもあります。

大学の学生保養施設をリノベーションしたプライベートヴィラ〈積修館〉

プライベートヴィラ〈積修館〉

そんな香川県三豊市に位置する荘内半島の高台に2024年11月20日(水)、
一棟貸しのプライベートヴィラ〈積修館(せきしゅうかん)〉がオープンしました。
大学の学生保養施設(宿泊学習施設)をリノベーションし、
5室の客室で最大14人が宿泊できるゲストハウスとして生まれ変わっています。

1階のダイニングホール

手掛けたのはデザイン工務店の〈YAE WORKS〉。
香川県綾川町に佇むカフェ〈やえ珈琲店〉のインテリアをプロデュースしており、
風の流れや光の陰影など自然を生かした寛ぎの空間設計が特徴的です。

〈積修館〉1階のダイニングホールは、大きなテーブルやカウンター、ソファーが
備えてあり、瀬戸内海を臨むカフェのような空間で食事を楽しめます。

2階のスイートルーム

2階には、85平方メートルの室内にキッチンや薪ストーブも備えた
スイートルームがあります。

タイの「ナンプラー」から 日本の「いしる・いしり」まで。 東南アジアと日本の奥深き魚醤の世界

こんにちは、世界一周旅中のうんまほふうふです。

2024年10月頭に日本を発ち、最初に訪れたのは東南アジア諸国。
タイにはじまり、ラオス、ベトナム、カンボジアと4か国を巡りました。

日本と同じアジア圏に属する国々ですが、似て非なる調味料を使った
独自の料理の数々に出合いました。

東南アジア料理に共通する、ある調味料とは?

タイの屋台で出合った麺料理「クイッティアオ」、
日本でも人気のタイ料理でひき肉とバジルの炒め物をごはんにのせた「ガパオライス」、
ひき肉をミントや唐辛子、野菜と混ぜ合わせたラオスのサラダ「ラープ」、
これらに共通して使われている調味料が何かおわかりでしょうか?

タイのラーメン「クイッティアオ」

一般的にスープ入りの麺料理を指すタイの「クイッティアオ」は、お肉や肉団子のせが定番。

本場タイの「ガパオライス」

本場の「ガパオライス」はエスニック香が強いホーリーバジルと刻んだ唐辛子をふんだんに使っていて、スパイシーでした。

ラオスのサラダ「ラープ」

ラオスのサラダ「ラープ」は、酸味のあるひき肉と爽やかなミントの風味が食欲を引き立ててくれます。

その調味料は東南アジアの現地スーパーでは数多く並んでおり、
屋台のテーブルでも必ず目にしました。

タイの食卓の上に置かれている4種の調味料セット

タイの食卓に必ず置かれている「クルワンプルーン」という4種の調味料セット。

これらの料理に共通して使われているのが「魚醤」です。

魚醤は、魚介類を塩漬けにして発酵させた発酵調味料で、
タイの「ナンプラー」が一番有名かもしれません。

発酵過程で、魚の内臓などに含まれる酵素や微生物の働きにより、
魚自体のタンパク質が旨み成分であるアミノ酸に分解されています。

私たち日本人にとって身近な調味料・醤油に含まれる主な旨み成分が
原料である大豆由来の「グルタミン酸」であることに対して、
魚醤にはそのほかに「リジン」「アルギニン」「イノシン酸」など
いくつもの旨み成分が含まれているのが特徴です。

魚醤入りのピーナッツダレ

生野菜やゆで野菜を魚醤入りのピーナッツのタレにディップして食べることも。

いにしえから続く豊かな文化や自然に 深く触れられるホテルが増加中 知れば知るほどおもしろくなる 古都・奈良に泊まろう

宿泊施設客室数ランキングにも変化。ホテルを利用して感じる奈良の豊かさ

1300年前に都があった古都奈良。
長年にわたって多くの観光客を受け入れる人気の観光地です。
しかし2008年から発表されるようになった宿泊施設の客室数ランキングで
奈良県は日本47位をしばらく保っていました。
つまり日本国内で宿泊できる部屋数がいちばん少ない土地だったのです。
ところが令和に入って徐々に状況が変化。
奈良の特産品や自然が感じられるホテルのオープンも続き、
2022年には44位になっています。
様々な試みで奈良の文化に触れられる奈良市内にある4つのホテルをご紹介します。

一度は泊まりたい日本を代表するクラシックホテル〈奈良ホテル〉

圧倒的な存在感を持つエントランス。

圧倒的な存在感を持つエントランス。

明治42(1909)年10月17日に開業したという歴史ある〈奈良ホテル〉。
日本近代建築の父と言われる辰野金吾が設計した建物には
115年以上にわたる歴史があちこちに刻まれています。

重厚な木造2階建ての建物は、古都奈良の景観に合うようにと外観は和風。
館内に入ると赤絨毯やシャンデリア、マントルピースなどがある洋風の建築となっています。

明治から続く長い歴史のなかでは、世界からもたくさんの要人が訪れました。
アルベルト・アインシュタインやヘレンケラー、
ラストエンペラーとして知られる愛新覚羅溥儀
そしてオードリー・ヘプバーンも宿泊。

アップライトピアノの上に飾られている写真にはアインシュタイン博士とピアノが写っています。

アップライトピアノの上に飾られている写真にはアインシュタイン博士とピアノが写っています。

アインシュタイン博士は宿泊した時にピアノを演奏したという記録が残り、
そのピアノがロビーの一画に置かれています。

実はこのピアノ、戦時中に金属供出の対象にならないよう
大阪の倉庫に隠されてから2009年に発見されるまで行方不明になっていました。
できる限り古い部品を残して修理が施され、
現在はロビーコンサートなどで人々を楽しませています。

メインダイニングルーム「三笠」。

メインダイニングルーム「三笠」。

メインダイニングルーム「三笠」は、創業以来の変わらない厳かな空間で、
明治大正時代にタイムスリップしたかのような気分が味わえます。

9月~11月の春日コース17000円(サービス料・税金込み)。コーヒーも付きます。

9月~11月の春日コース17000円(サービス料・税金込み)。コーヒーも付きます。

宿泊客はもちろん、食事に訪れる多くの人から愛されてきた料理は、
コースのフランス料理が中心です。
食前のお楽しみ(アミューズ)からデザートまで
存分に味わえるディナーのコースは季節の食材とともに
贅沢な時間が味わえます。

クッキー缶(手前)4320円、ビーフカレー2缶セット(奥)2380円、オリジナルコーヒー(右)1404円。

クッキー缶(手前)4320円、ビーフカレー2缶セット(奥)2380円、オリジナルコーヒー(右)1404円。

奈良ホテルを訪れたら、ホテルショップも必ず足を踏みいれたい場所です。
人気があるのは正倉院ゆかりの模様がデザインされた缶入りのクッキーや
ホテルオリジナル缶詰クラシックカレー、ホテルオリジナルコーヒーとのこと。

奈良ホテルの建物の中で過ごす時間は、歴史と品格を全身で感じられる
特別なものとなってくれるはずです。

information

map

奈良ホテル

住所:奈良県奈良市高畑町1096


tel:0570-66-6088(ナビダイヤル)


客室数:本館62室/新館65室


1泊料金:42000円から(税・手数料込、2名1室)


Web:奈良ホテル公式サイト

吉野杉とヒノキ、伝統技術を生かした〈SETRE NARAMACHI(セトレならまち)〉

〈SETRE NARAMACHI(セトレならまち)〉

道路を挟んだところに猿沢池があります。

興福寺五重塔が周囲の柳と一緒に水面に映る風景はとても美しく、
奈良八景のひとつに選ばれている猿沢池のほとりに
2018年11月にオープンしたのが〈SETRE NARAMACHI(セトレならまち)〉です。

隣にある老舗旅館〈吉田屋〉が修学旅行生向けの別館「ホテル大和路」として
営業していた場所を建て替えて建設されました。

デザインにもこだわったホテルを運営するのは
西日本を中心に地域の特徴を発信するホテルブランド〈SETRE〉です。

レセプションの背面は、奈良の土を用いて左官仕上げが施されています。

レセプションの背面は、奈良の土を用いて左官仕上げが施されています。

建物には吉野の杉や檜、奈良市東部の月ヶ瀬地区の土など、
奈良を象徴する素材がふんだんに使われています。
さらに館内の家具は吉野杉を使ったオリジナル。

「蘇芳」は小上がりの畳スペースの横には、中庭を見渡せるテラスがあります。

「蘇芳」は小上がりの畳スペースの横には、中庭を見渡せるテラスがあります。

客室も全32室すべてに吉野杉を使用しています。
小上がりのある客室、「蘇芳」は、布団を敷けば最大4名で利用可能。

ガラスに囲まれた坪庭がある町屋ルーム。坪庭の上は屋根がなく雨の日も楽しめます。

ガラスに囲まれた坪庭がある町屋ルーム。坪庭の上は屋根がなく雨の日も楽しめます。

町屋ルームと名付けられた客室には、4階の室内にガラスで囲まれた小さな坪庭があります。
奈良の古い町屋には坪庭があることを取り入れています。

中央にシンボルツリーの枝垂れ桜。

中央にシンボルツリーの枝垂れ桜。

セトレならまちでは、客室以外にも宿泊客が自由に過ごせる空間がいくつもあります。
吉野のしだれ桜が植えられ、畑もある中庭のビオガーデンには
足湯が設置されています。
この足湯はヒノキパウダーと米ぬかを混ぜて、微生物の力で発熱させたもの。

匠室(マスタールーム)と名付けられた茶室。

匠室(マスタールーム)と名付けられた茶室。

フードとドリンクが自由に楽しめるラウンジの一画には、
匠室と名付けられた茶室があります。
この茶室は、釘や金具を一切使わない木造建築技術を使用。
屋根は耐久性に優れた吉野杉の皮でできています。
奈良で長く技術を受け継いできた匠たちが手がけた
土壁や手すきの障子紙、畳が使われています。
宿泊者以外も見学可能で、
月に2度開かれる雅楽の体験イベントの舞台にもなります。

他にも2階には本やレコードが楽しめるライブラリー&レコードルーム、
屋上の五重塔や若草山の大自然を眺められる星宙テラスもあり、
五感すべてで奈良を吸収できる工夫が散りばめられています。

information

map

セトレならまち

住所:奈良県奈良市高畑町1118


TEL:0742-23-2226(代表)

休館日:火・水曜(祝日・夏期・年末年始を除く)


客室数:32室


1泊料金:13000円から(朝食付・1名1室)


Web:セトレならまち公式サイト

400年非公開だった“禁足地”や 富士山の絶景を巡る秋冬の旅。 静岡のおすすめスポット5選!

11月6日に初冠雪を迎えた富士山。
美しい自然はもちろん、さまざまな体験ができるスポットが多いことから、
季節問わず人気の観光地として知られています。
そんな静岡では、JR東海の「富士山×〇〇」をテーマに、
富士山眺望が楽しめる「もれなく富士山」キャンペーンを実施。
美しい富士山を眺められる絶景スポットやグルメを紹介します。

「美 咲良祈願」でコノハナサクヤヒメに祈る。〈富士山本宮浅間大社〉

この日は雲が多く富士山が見え隠れしていた。

この日は雲が多く富士山が見え隠れしていた。

身延線の富士宮駅から徒歩10分の場所に位置する〈富士山本宮浅間神社〉は、
富士山に対する信仰(富士信仰、浅間信仰)の神社です。

富士山信仰の広まりとともに、全国に祀られた1300余の浅間神社の
“総本宮”と称されるようになり、富士山の神霊
「木花之佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメノミコト)」が祀られています。

この神社を参拝して美に関することを願う「美の願い体験プラン」(1,800円)は、
「願い用紙」「御朱印台紙」「御朱印ケース」「体験の手引き」がセットになっています。

美 咲良祈願プラン(1,800円)。

美 咲良祈願プラン(1,800円)。

体験セットは富士宮駅前観光案内所で受け取り、
願い用紙には美に関する願いを記入。

願い事は外見的な美に限らず、内面的なことも書いていいそう。

良縁のご利益がある「湧玉池」。

良縁のご利益がある「湧玉池」。

願い事を書き込んだら、湧水スポットへ。
富士山から湧き出る7か所の湧水にはそれぞれ
良縁、上昇、実り、輝きなどの意味が込められています。

用紙を湧水に浸すと、願い事がコノハナサクヤヒメに届き、
メッセージイラストが浮かび上がります。

富士山から湧き出る7か所の湧水にはそれぞれ
良縁、上昇、実り、輝きなどの意味が込められています。

コノハナサクヤヒメからのメッセージは全部で4種。

コノハナサクヤヒメからのメッセージは全部で4種。

用紙を水に浸すと、コノハナサクヤヒメからの
メッセージイラストが浮かび上がります。

総本宮や御神祭など参拝後に初穂料を収めると、
参拝記念のオリジナルクリップつき御朱印がもらえます。

御朱印料金(オリジナルクリップつき 500円)。

御朱印料金(オリジナルクリップつき 500円)。

本プランの御朱印台紙と重ねると、
桜が咲いたようなデザインになる仕掛けになる特別なデザインに。

information

富士山本宮浅間大社

住所:静岡県富士宮市宮町1-1

TEL:0544-27-2002

営業時間: 開門時間(11月~2月)通常6:00〜19:00

Web:富士山本宮浅間大社

アーティストSHETAとコラボした お遍路さんの宿坊〈岩本寺〉が キュートすぎる!

1300年の歴史をもつ四万十町〈岩本寺〉へ

高知県といえば坂本龍馬像がたつ桂浜や仁淀川ブルーなどの
有名観光地が思い浮かびますが、
今回はディープな旅先、四国最長の四万十川(しまんとがわ)近くにある
四万十町を訪れてみました。

〈岩本寺(いわもとじ)〉

本流に大規模なダムがないため「日本最後の清流のまち」とも呼ばれるこの地には、
1300年の歴史をもつ古刹〈岩本寺(いわもとじ)〉があります。
お遍路さんが巡る「四国八十八ヶ所霊場」
37番目の札所(ふだしょ)として知られています。

お寺とは一見不釣り合いなポップ・アート

門をくぐると、お寺とは一見不釣り合いなポップ・アートが目に飛び込んできました。

湘南出身のアーティスト・SHETA氏のイラスト

「LOVE & PEACE」をテーマに、親しみとユーモア溢れる表現で注目を集める
湘南出身のアーティスト・SHETA氏のイラストです。
〈COACH〉や〈STAR WARS〉とのコラボ、ミュージシャンのCDジャケット、グッズなどの
イラストを手がける注目のアーティストの作品が、なぜお寺に? 
聞けば、境内のみならず四万十町の6か所に
彼のオリジナルアートが点在し鑑賞できるとのこと。

31代住職・窪さん。宿坊に設けた寺サウナ前にて

31代住職・窪さん。宿坊に設けた寺サウナ前にて

朗らかな笑顔で出迎えてくれたのは、
室町時代から数えることなんと31代目住職の窪博正さん。
斬新な旅の取り組みにチャンレンジしている四万十町のキーパーソンです。

お遍路の札所〈岩本寺〉

〈岩本寺〉がお遍路の札所、つまり空海(弘法大師)ゆかりの
仏教寺院となったのは平安時代。
中世に一度廃寺したものの室町時代に窪さんのご先祖さまが引き継ぎ、
長い月日が流れていまに至ります。
隣の札所(ふだしょ)から距離があるため、
昔から数多くのお遍路さんたちが宿坊として旅の疲れを癒やしてきました。

「SHETA ROOM」

「SHETA ROOM」

「お寺をより親しみやすくアピールできる策を探していたときに、
当時人気に火がつく直前だったSHETA君をご紹介いただき、
作風がぴったりでいいんじゃないかなとお願いしました。
実際にお遍路さんをインタビューしてもらい、
そこからイメージしたものを描いていただきました」(窪住職)

「蘇りの地 熊野」に 禅スタイルのサウナをつくる 〈大泰寺〉の挑戦

巡礼路・熊野古道沿いに最澄が開いた〈大泰寺〉

和歌山県の南部は、熊野(くまの)と呼ばれ、古くより蘇りの地とされてきました。
この熊野を目指した巡礼の道、熊野古道沿い、
那智の滝で有名な和歌山県那智勝浦町に〈大泰寺〉はあります。

〈大泰寺〉

〈大泰寺〉は比叡山の開祖・最澄が約1200年前に開いた南紀地方屈指の薬師霊場です。
江戸時代には臨済宗に改宗しており、天台宗の時代から伝わる貴重な仏像を鑑賞できる
一方、坐禅や写経を通じて禅を学べるなど、多面的な魅力を持っています。
第8代目の住職が、天皇から紫衣を賜るような有名な和尚だったそうで
その水墨画のコレクションも〈大泰寺〉の見どころのひとつです。

現在の住職である西山十海(にしやまとうみ)さん

現在の住職である西山十海(にしやまとうみ)さんは、
〈大泰寺〉の隣にあるお寺の息子です。
そのお寺の住職は代々兼職をしていたため
西山さん自身も、英語教師とお坊さんの兼業をするつもりで、
大学で教員免許をとり、大学修了後に愛知県の一宮妙興寺に修行に行きました。
その後、東京板橋区で教師となりましたが、地方のお坊さん不足が深刻となり、
帰郷を決断し、縁あって約10年前に〈大泰寺〉の住職になりました。

お寺での座禅体験や宿坊のほか、キャンプやテントサウナも実施

お寺での座禅体験

現在〈大泰寺〉では、より多くの人にお薬師様に触れて、癒しを得てもらおうと
坐禅体験や宿坊、心身の癒しが期待されるキャンプやテントサウナなどを、
地理的特性を生かし提供しています。

心身の癒しが期待されるキャンプ

サウナを始めてみて西山住職が気付いたのは、
坐禅による悟りの状態とサウナの「ととのい」の親和性の高さ。
坐禅の素晴らしさを、サウナを通じて知ってもらい、
その癒しを、坐禅を通して日常生活に取り入れてもらいたいと考えました。

しっとりソウルからたまにディスコ。 松本にオープンした ソウルバー〈Super Duper〉

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
長野県松本市。

おもてなしから始まったゴージャスなディスコサウンドのヘビロテ!

コロンボ(以下コロ: 今回は松本のニューオープンのソウルバー。
なんたって、今年の4月15日オープン!

カルロス(以下カル): 松本でソウルバーってなんだかイメージしづらいね。

コロ: でしょ、そうはいっても根強いファンが多いようで、
地元はもちろん県内からこぞってお客さんが来てくれるんだって。
といっても、マスターの上原紀喜さん曰く、
この手の店は長野県だと松本市と長野市くらいでしか成立しないそうだ。

カル: ソウルバーならスキー場近くもいけそうだけどな。

コロ: そりゃ、『私をスキーに連れてって』以前の話じゃない? 
ゲレンデそばのディスコ的な。ディスコじゃなくてソウルバーだから。

カル: でも、上原さんはその昔、
銀座のすずらん通りの大箱ディスコ〈マジック〉を仕切っていたんでしょう。

コロ: そうらしいよ。銀座の〈マジック〉といえば、
ベテランのステッパーさんたちが集まる熱いディスコ。
それ以前は三軒茶屋のソウルバーとか、なんだかんだでソウルバー歴は20年近いらしい。

お店の奥がレコードラックとDJブース。オーダーがてんてこ舞いでない限り、こちらに移動してパワープレイ。

お店の奥がレコードラックとDJブース。オーダーがてんてこ舞いでない限り、こちらに移動してパワープレイ。

エントランスにある面出しジャケットの数々。バンド・オブ・チーヴスとかデルズとか、シブいところが飾られる。

エントランスにある面出しジャケットの数々。バンド・オブ・チーヴスとかデルズとか、シブいところが飾られる。

石上純也設計の 洞窟レストラン〈maison owl〉が、 1日1組限定で宿泊体験を提供

2024年日本建築学会作品賞を受賞した洞窟レストラン

旅の目的地(=デスティネーション)となる宿をプロデュースする温故知新が
2022年、山口県宇部市にオープンさせた洞窟レストラン
〈house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)〉。

まるで洞窟のような構造と造形を体現している同建築は、
「時間と共に重みを増していくような建物がほしい。
ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物」というオーナーシェフ
平田基憲さんの強い思いを、建築家・石上純也氏が9年という歳月をかけ、
完成させたものです。
2024年日本建築学会作品賞を受賞するなど、建築物としても高い評価を得ています。

平田基憲シェフによる完全招待制のレストラン

レストラン〈maison owl〉

完全招待制のレストラン〈maison owl〉は
音の反響、香りの循環、そのすべてをとってもまさに唯一無二のレストランです。

平田シェフが生み出す季節の素材をふんだんに使った料理は、空間全体を彩り、
他のどのような場所とも異なる、感性が研ぎ澄まされるような、
至極の時間と空間の中で味わうことができます。

カトラリーや器はこの空間の一部になるようオリジナルで製作された他、
厳選された貴重なワインコレクションもこだわりの一つです。

日本の伝統芸能に、 五感とカラダで浸る。 〈熱海・伊豆山 佳ら久〉で過ごす 特別な時間

能を学び、室町時代の空気を知る

2024年10月17日、満月の日、
〈ORIX HOTELS & RESORTS〉が運営する
ラグジュアリー旅館リゾート〈熱海・佳ら久〉で開催されたのが、
「海を照らす月明かり 佳ら久の能楽夜」。
熱海・伊豆山、箱根・強羅にかまえる〈佳ら久〉では、
今回の能体験のほか、さまざまなイベントを催しています。

衣を返してもらった天女が舞を舞いながら月へ帰っていく場面。

衣を返してもらった天女が舞を舞いながら月へ帰っていく場面。

今回の能体験では、熱海が位置する静岡県の三保の松原が舞台となった
「羽衣」の一部実演を、客席から2メートルほどの間近から鑑賞。
舞を見せていただいたのは、観世流の上田宜照さん。
上田さんは、能楽師としての活動のほか、
能という日本の大切な伝統芸能を、次の700年に残していくために、
さまざまな場所でワークショップを行っています。
だからこそ、ふだんの能舞台では体験することができない
臨場感を味わうことができるとともに、
実演の前には、「羽衣」の物語についての解説も。
難しいと思っていた能が、実はとてもシンプルなストーリーのもと、
つくられていることがわかるとともに、能の舞の凝縮された美を知ることができます。

ふつうでは触れることができない、スペシャルな能体験

古の日本人の身体感覚などを教えてくれたのは、能楽師の上田宜照さん。

古の日本人の身体感覚などを教えてくれたのは、能楽師の上田宜照さん。

夜行われた実演の前には、参加者が能のお面(能面)や衣装を実際に着て、
能の動きと謡(うたい)を学ぶワークショップに参加することもできます。
無表情な能面を手に持って初めて知ることができるのは、
じつは表情豊かであるということ。

面の顎を引くと、寂しげな表情に。少し顎を上げると明るい表情に。
数百年前につくられた能面の精巧さに驚くとともに、
実際につけて、その視界の狭さにも驚愕。
能楽師たちが、この狭い視界であれほどの演技をしていることを知ると、
日本の伝統芸能の奥深さに触れた気になれます。

山口県下関市に根を張る、 まちの本屋&ホテル〈ねをはす〉が誕生

〈文喫〉を手がけた〈ひらく〉によるブックカフェ、レストラン、ホテルを擁する複合施設

2024年11月2日(土)、山口県下関市に日本出版販売株式会社の子会社である、
〈株式会社ひらく〉が企画・プロデュースを手掛けた文化複合施設〈ねをはす〉が
オープンしました。

文化複合施設〈ねをはす〉外観

〈ねをはす〉のコンセプトは
「地域とのつながりを強め、県外からも人が訪れる賑わいが生まれる場所」。
約2万冊の本を販売するカフェ併設の書店〈ねをはすBook&Cafe〉(1~2階)、
下関の食材をふんだんに使った料理が楽しめる〈Restaurant Neohas〉(3階)、
客室ごとにコンセプトや選書ラインナップが異なる全39室の〈ねをはす Book&Hotel〉
(4~7階)からなる、7階建ての複合施設です。

地域の人々にとっては、普段づかいの親しみやすい書店・カフェとして
また、県外から下関を訪れる人々にとっては〈ねをはす〉に泊まることが
旅の目的の一つとなるよう、館内設備やサービスがこだわり抜かれています。

文化複合施設〈ねをはす〉館内

〈ねをはす〉の企画・プロデュースを行ったひらくは、
「本と出会うための本屋」を掲げる東京・六本木の〈文喫〉も手がけた会社です。
今回〈ねをはす〉の施設全体のコンセプトメイキング、ブックホテルおよび書店の企画、
プロデュースに携わっており、館内にある約3万冊の本の選書も
〈文喫〉のブックディレクターが手掛けています。

〈ねをはす〉という名称は、下関に暮らす人々と下関を訪れた人々が同じ空間を行き交い、
滞在するような施設となることをコンセプトに、
「下関に根を張る・根差すように」と名付けられています。

〈ねをはすBook&Cafe〉中央の吹き抜けにある5メートルほどのシマトネリコの木

その象徴として〈ねをはすBook&Cafe〉中央の吹き抜けには、
5メートルほどのシマトネリコの木が1本立っています。
この木のように〈ねをはす〉が下関に根を張り、人々の日々に潤いをもたらし、
心を育むこと、そしてこの木のもとに多くの人々が集うことを願い、
空間デザインも、この木を中心に本棚が扇状に広がっていくレイアウトとなっています。

フィリックス・コンランさん、日本での暮らしは、 クリエイティブにどんな影響を 与えてくれそうですか?

日本のクラフトマンシップに学ぶこと

インテリア雑貨や家具のセレクトショップ〈ザ・コンランショップ〉が、
1994年に新宿でオープンして今年30年になる。
創業者テレンス・コンラン卿の孫である、フィリックス・コンランさんは2024年春、
豊かな自然環境に魅了されて奈良県東吉野村に居を移し、
古民家の改修と家具の制作を手がけるデザインスタジオ〈HA PARTNERS〉を立ち上げた。

「何事にも丁寧に取り組む日本のクラフトマンシップ、
卓越したこだわりに深く惹かれています。
この“忍耐”と“細部へのこだわり”という哲学は、
私がいま学ぶべきものであると思うのです」

終の住まいとオフィスの移転先に、
イギリスのカントリーサイドのバートン・コートを選んだテレンス氏と、
言語も文化も異なる東吉野に活動の場を移したフィリックスさんの姿はどこか重なる。
そして、東吉野への移住については
「ほかの親族が唖然としても、祖父は理解してくれたと思います」と
2020年に亡くなったテレンス氏を偲ぶ。

「祖父が亡くなり、彼との関わりはより深まったと思います。
彼が生きていたときは、現在起きている出来事について話していました。
でも今は、彼がしてきたことを振り返ることができます。
彼と一緒に仕事をした人たちを通してね。
だから、私は彼の考え方や、世界で起きたことに対して、
どうナビゲートしていったのかを知ることで、
タイミングよくインスピレーションを得ることができています。
今こそ私は彼から学んでいるのです」

フィリックスさんにとってテレンス・コンラン氏はどういう存在だったのだろうか。
すぐれた経営の師匠か、メンター(先生)か、あるいは“いいおじいちゃん”か?

「祖父は、なぜそれが好きなのか、どのようにつくられているのか、
どうすればそれを改良できるのかを理解することの大切さを教えてくれた人。
加えて、生涯にわたる好奇心と革新への意欲を私に植えつけてくれた、
メンター的存在でした。
たしかに彼はビジネス界で名を馳せた優秀なビジネスマンではありましたが、
私と祖父の関係はごく個人的なものでした」

ビバンダム(日本では一般的に「ミシュランマン」と呼ばれることが多い)の収集家であったテレンス氏。その1体が東吉野のフィリックスさんのオフィスにあった。「日本の空港で税関を通れるか(爆発物と間違われないか)気が気じゃなかったよ!」

ビバンダム(日本では一般的に「ミシュランマン」と呼ばれることが多い)の収集家であったテレンス氏。その1体が東吉野のフィリックスさんのオフィスにあった。「日本の空港で税関を通れるか(爆発物と間違われないか)気が気じゃなかったよ!」

テレンス氏が収集していた19台のブガッティ・ペダルカーのうちの1台。これらはテレンス氏の自邸でありオフィスのバートン・コートの玄関ホールの壁に飾られていたもの。

テレンス氏が収集していた19台のブガッティ・ペダルカーのうちの1台。これらはテレンス氏の自邸でありオフィスのバートン・コートの玄関ホールの壁に飾られていたもの。

北の横丁をめぐる ディープな八戸案内。 あなたのまちの焼酎ハイボール
アテ探し旅

全国で、思わずその場で缶を開けたくなるほど魅力的な
「焼酎ハイボールのお供」を見つけるこの連載。
今回は、青森県八戸市にUターン移住し、
八戸市の情報を発信するウェブメディア『はちまち』の編集長も務める
ライターの栗本千尋さんがアテンドします。

酒好きの多い北の酒場でアテを探す

八戸の横丁からこんにちは。
2020年に青森県八戸市へUターンした、ライターの栗本千尋です。

すでに酒場を堪能して“いい気分”状態なのだが、
まずは八戸のことを紹介していきたい。

青森県はおおまかに津軽地方、下北地方、南部地方にエリア分けされ、
それぞれに異なるカルチャーが根づいているのだが、
八戸市はこのうちの南部地方にあたる。
県の南東部に位置し、太平洋に面するため漁業が盛んだが、
農業や畜産業も行われ、さまざまな食べ物が集まるため、
食通にはたまらないまちだ。

しかも、八戸には酒好きが多い。
中心街には8つの横丁が張り巡らされ、さまざまな酒場を楽しむことができる。

そんなわけで、酒場帰りに撮ってもらった写真を見たら、
普段あまり笑わない私もいい笑顔をしていた。

さて、時を戻して、昼頃からの様子をお届けしたい。

取材班が八戸にやってきたので、まず案内したのが種差海岸。

なかでも種差天然芝生地は、波打ち際まで天然芝が広がる
全国的にも珍しい場所だ。

なんでも、海水面の変動や隆起によって
海底が地上に現れた地形で、「海成段丘」と呼ばれるらしい。
ゴツゴツした黒い岩肌に、緑色をした芝生のコントラストが美しい。

司馬遼太郎は著書『街道をゆく』のなかで、
「どこかの天体から人がきて地球の美しさを
教えてやらねばならないはめになったとき、
一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした」
と評した。そんな場所が地元にあるなんて!

この風光明媚な種差海岸から、市街地エリアへ向かう。

日本一周から、世界一周へ。 海外のガストロノミーを巡る旅

いつか自由な身になって、気ままに旅したい……。
その夢を叶えるため、夫婦揃って30才手前で脱サラし、
2023年9月に日本一周の旅へ出ました。
そこから1年後の2024年10月には、なぜか世界一周へ旅立つことになった私たち。
日本で感じたこと、世界へ旅立った理由など、旅への序章をご紹介していきます。

はじめまして。うんまほふうふです。

1993年生まれのうんまほふうふ(うんちゃん&まほ)です。
新卒で約5年間、食品会社に勤め、食や地域創生に関わる仕事をしていました。

ふたりの共通の趣味である旅行を気軽に楽しめるように軽バンを車中泊仕様にDIYし、
週末になると各地に遠征して休みを満喫。

そんな日々を送るなかで、ゆくゆくはふたりでどこかに移住し、
地域に密着したまちおこしに関わる事業をしたいと考えるようになっていきました。

その思いが膨らみ続け、新たなスキルを身につけるためにSNSや動画制作の勉強をし、
人生のひとつのチャレンジとして退職を決意。

SNSで発信しながら、軽バンで自分たちができるまちおこしについて考えるための
「日本一周の旅」に出ました。

日本一周のスタートは四国から! 愛媛県の松山城をバックに。

日本一周のスタートは四国から! 愛媛県の松山城をバックに。

日本の各地を旅していると、同じ国内なのに、風土や地域資源を生かした独自の風習や文化が
地域ごとに根づいていることを実感しました。

それは表面的には理解していましたが、
各地の景色や人と会って話すことでリアルに伝わってくるものがありました。
なかでもその特徴がわかりやすく表現されていると感じたのは「日本食」。

沖永良部島の〈西郷食堂〉にて。鮮度バツグンの伊勢海老がおいしかった!

沖永良部島の〈西郷食堂〉にて。鮮度バツグンの伊勢海老がおいしかった!

例えば地方をドライブしていると、多くの畑や田んぼを目にしますよね。
日本人からすると当たり前の”原風景”ですが、季節によって景色は変わりますし、
地域によっても育てられる作物は異なります。

今でこそ農業技術が進み、全国的につくれる作物は増えたものの、
そのルーツはひとつの小さな村だったりします。

熊本県阿蘇の〈喫茶竹の熊〉は、田園風景の見晴らしが心地良い空間!

熊本県阿蘇の〈喫茶竹の熊〉は、田園風景の見晴らしが心地良い空間!

高知県の四万十市からさらに山奥に入ったところにある、三原村という小さな村。
高知県内でも有数の米どころであり、住民の半数を米農家が占めるほどの場所です。

山間部に位置するため夏はそこまで暑くならず、冬はしっかり寒いという
ハッキリとした気候区分や、豊富な水資源の恵みもあり、
米を使ったどぶろくづくりが盛んに行われるようになったそうです。

そんな村に日本一周の途中で立ち寄った私たちは、
せっかくなのでどぶろくづくりを行う米農家さんの家で民泊を体験。

どぶろくづくりの工程や写真をたくさん見せていただきながら、
産地の食材を使った料理とともに、何種類かのどぶろくを試飲させてもらいました。

お酒が好きでどぶろくもよく飲んでいましたが、
製法などはなんとなく理解している程度だったので、
すごくためになる経験になりました。

〈土佐三原どぶろく〉甘口「このこ」と辛口「あのこ」は、三原村のどぶろく文化・伝統を守り続けるために開発された商品。

〈土佐三原どぶろく〉甘口「このこ」と辛口「あのこ」は、三原村のどぶろく文化・伝統を守り続けるために開発された商品。

どぶろくは静置しておくと米粒が沈んで2層になるのですが、
「いきなり混ぜて飲むのではなく、おいしいからまず上澄みだけを飲んでみて」
とおすすめしてもらったことが、とても印象に残っています。

実際に味わってみると、上澄みのスーッと入ってくる味がすごくおいしいんですよね。

お米ひとつをとっても、その地域ならではの素材の生かし方、味わい方も
多岐に渡っていると再認識しました。

いろいろな日本の食文化があるはずなのに、
風土との結びつきについて考える機会を今まであまりつくってこなかったなぁと。

日本一周の旅を通して、
あらためて身近な日本食のすばらしさを体感することがとても多かったです。

三原村には農作業のお手伝いのために時期をずらして再び滞在し、大根掘りも体験。

三原村には農作業のお手伝いのために時期をずらして再び滞在し、大根掘りも体験。

その地域の背景にある歴史や文化を学び、
その土地の食べ物をその土地で味わうおいしさは格別。

”現地で体験するからこそ大きな価値があるものだ”と感じました。

さらには、このような旅先での体験こそが、
普段の生活の豊かさや地球環境に対する意識にもつながると思うようになりました。

音楽のまち、松本。 創業50周年を迎えた ジャズ喫茶の本格派〈EONTA〉

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
長野県松本市。

アナログとハイレゾ音源をほどよくミックスした進化系の老舗

カルロス(以下カル): 松本っていうと音楽のまち、
それも小沢征爾さんってイメージだよね。

コロンボ(以下コロ): 夏の風物詩『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』。
小沢さんが亡くなった今年も開催されたんだ。

カル: クラシックだけの祭典じゃなくて、
ジェイムス・テイラーがお忍びでやってきたりとゲストも多彩だよね。

コロ: ほかにも「りんご音楽祭」とか、
ボクらが行った週末には「信州ギター祭り」が開催予定だったよ。

カル: ハイエンド・ギターとギター・ビルダーが集うイベントね。
ギターの産地としても信州は有名。
さらに〈サウンドパーツ〉社っていうオーディオメーカーもあるね。

コロ: そうそう創業時は真空管と関連パーツをつくっていた会社なんだけど、
いまじゃマニア垂涎のアンプを製作している。
ここ〈エオンタ〉のパワーアンプも〈サウンドパーツ〉のカスタムだよ。
〈マッキントッシュ〉のプリアンプとのコンビで稼働中。

エオンタとは古代クレタ語で「存在するものたち」。まさに創業50周年を迎えた〈エオンタ〉に相応しい。

エオンタとは古代クレタ語で「存在するものたち」。まさに創業50周年を迎えた〈エオンタ〉に相応しい。

入口の階段の壁に書かれたサイン。ビル・エヴァンスをはじめレジェンドたちの足跡が。

入口の階段の壁に書かれたサイン。ビル・エヴァンスをはじめレジェンドたちの足跡が。