〈界 長門〉 温泉街に開かれた、御茶屋屋敷

〈界 長門〉から車で20分ほどの仙崎湾には、出産や育児をするために南の海へと向かう「下り鯨」が迷い込んで来るのだそう。施設周辺や「下り鯨」の歴史についての記事はこちらから。

山口県の武家文化を活かした建物は、黒壁と鈍色の瓦屋根で覆われていた。渋く、モノトーンの色合いだが、実は〈界 長門〉は星野リゾートの温泉旅館「界」ブランドの中でもっとも開かれた宿かもしれない。

2014年から始まった「長門湯本温泉観光まちづくり計画」の一環で開業したために、気軽に温泉街に出ることのできる「あけぼの門」があり、宿泊客以外も利用できる「あけぼのカフェ」がある。風にはためくのれんは、街と宿との境界をゆるやかに繋ぎ、宿泊客を温泉街へと誘う。

のれんをくぐって音信川沿いを歩き、透き通った川床に座って山を見上げると、山の風景に溶け込むように黒い壁があり、旅はやはり環境すべてを味わうものであると教えてくれる。川沿いの温泉街ほど、日本の風情を感じさせてくれるシチュエーションはない。

〈界 長門〉のロビーの大きな窓

ロビーの大きな窓からは、まるで屏風のように季節に合わせて変化する風景が広がる。黒い枠が額縁のように風景を切り取る。

のれんをくぐって〈界 長門〉に戻り、土地の文化を遊ぶ「ご当地楽」で墨を擦った。

山口県の伝統工芸に指定されている赤間硯は、その名の通り、少し赤みを帯びた石でできている。吉田松陰も愛用したと言われる名産品はしかし、現在では3名の職人が手掛けるのみ。その貴重な赤間硯に墨を押し当て、少しずつ水に含ませるようにして、擦っていく。墨には香の成分が混ぜられているため、擦るほどに香りが立ち上る。擦り心地の滑らかさと香りによって、少しずつ心が落ち着いていく。

筆に墨を染み込ませて字を書く前に、すでに目的は達せられているよう。意識を研ぎ澄ませていくと、時間が早く流れていくことを知る。

赤間硯を擦る様子

赤間硯を擦る。どこか懐かしい香りと、滑らかな擦り心地。心静まる時間。

悠然と流れる温泉街の時間

夜の温泉街

夜の温泉街。川のせせらぎを聞きながら、ぶらぶらと歩くだけで楽しい。

反対に温泉に入っていると、時間はゆっくりと過ぎていく。藩主が湯治に訪れたと言われる「アルカリ性単純温泉」に浸かる。露天風呂では、まだ肌寒い風が頭を冷まし、のぼせることなくジッと体を温めてくれる。

のれんをくぐった川沿いには「恩湯」という岩盤と足元から湯が湧き出る温泉もある。酸素に触れる前に湯船を満たす温泉は、日本国内でも非常に珍しいという。〈界 長門〉内の温泉でゆったりと寛ぐべきか、この温泉街の礎となった神から授けられた「恩湯」に入るべきか。温泉街の愉しさを思う。

そして、季節の会席料理によって、体の内側から長門の豊かさを体感する。深川萩焼きの器に乗った烏賊墨を和えた「烏賊の二色和え 生うに添え」から、ふぐ薄造り、瓦をモチーフとした陶板で牛と鳥を焼く「瓦焼き」へと続く。湯に入って体をゆるめ、日本海すぐ側の地の名産をいただく。

あとは藩主のように、枕を高くして寝るばかり。

〈界 長門〉宿泊券が当たるプレゼントキャンペーンを実施

〈界 長門〉の宿泊券が当たるプレゼントキャンペーンを実施中。

colocal公式Instagramアカウント(@colocal_jp)と界公式Instagramアカウント(@hoshinoresorts.kai )をフォロー&キャンペーン投稿に「いいね」した方から抽選で1名様に宿泊券をプレゼント。
※コメントにて桜の絵文字を送っていただくと当選確率がUPします。

応募期間は2025/04/29〜2025/05/13まで。
詳しくはcolocalのInstagramをご確認ください。
@colocal_jp

__________________________________⁠
【賞品】星野リゾートの温泉旅館〈界 長門〉
抽選で1名様に宿泊券が当たります。
・2名1室(1泊2食付き)
・部屋タイプ:星野リゾート指定

【宿泊期間】2025年6月1日~2025年11月30日 ※除外日あり
__________________________________⁠

information

map

KAI Nagato 
界 長門

住所:山口県長門市深川湯本2229-1

TEL:050-3134-8092(界予約センター)

URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kainagato/

〈界 長門〉から足を伸ばして。 鯨を追って、冬の日本海へ漕ぎ出す 海と共に生きる人々の物語

仙崎湾を訪れる時にぜひ宿泊したいのは、山口県の武家文化を活かした建物が特徴的な〈界 長門〉。〈界 長門〉についての記事はこちらから。

日本海に突き出た長門市青海島は、中央部分が細く、二つの島がくっついたような形をしている。

西側は青海大橋で長門市仙崎と繋がり、東側の通地区は海に向かって大きく口を開けているかのよう。天然の漁場になっているその仙崎湾に、出産や育児をするために南の海へと向かう「下り鯨」が迷い込んで来るのだという。
青海島の外海側は、海上アルプスと呼ばれるほど奇岩が連なっているが、海中も地形が複雑なのだろう。かつては弱ったり、死んで打ち寄せられたりした鯨を捕らえていたが、戦国時代になると長いモリを持って、舟を漕いで追いかけるようになる。どうにか鯨に近寄って、舳先に立ち、海に飛び込むようにしてモリを打ち込む。その勇壮な仕事は、江戸時代になると網を使って鯨を捕らえてからモリを打ち込む網取式捕鯨となっていった。「鯨組」と呼ばれる専業の漁師たちが組織化され、巨大な鯨によって土地を潤していた。

旧暦の10月から翌3月までが漁期だったと言うから、真冬の日本海に飛び込むわけで、その命懸けの物語には胸を打つものがある。

青海島の東端、大きな口の上顎部分にある「長門市くじら資料館」の駐車場には、大きな鯨が停まっていた。プラスチック製のナガスクジラには車輪が付いていて、海へと運び出せるらしい。
「くじら丸」と名付けられたこの舟を使って、古式捕鯨を再現する祭りが行われている。館内には、ふんどし姿の男たちが舟を漕ぎ、周りを取り囲んでいる写真が飾られていた。男たちが背中に乗った「くじら丸」は、潮まで吹いている。

「通くじら祭り」は、全国から参加者を募集しているらしく、スタッフらしき男性から7月にぜひいらっしゃいと誘われた。そうか、今では夏の行事になっているのか。

日本で唯一の鯨墓で手を合わす

くじら資料館の裏手には、鯨の胎児のための墓があった。

鯨組を引退した浄土宗派の上人が、母くじらのお腹の中にいた胎児を弔うために建立した鯨墓には、天の恵みとして鯨を捕らえても、胎児まで捕らえるつもりはなかったのだと刻まれているという。海に放しても生き得ないから、人間と同じように、念仏回向の功徳を受けるように、と。

この死生観は、海に生きる民には必要なものだったはずで、なぜ今でも「通くじら祭り」が行われているのか、その理由を示しているように思われた。鯨は単に獲物ではなく、共に生きるもの。生き物との距離感が適切な間には、毎年、鯨はやってくる。けれど明治時代に沖での近代捕鯨が盛んになると、仙崎湾に迷い込む鯨が減り、通地区では捕鯨をやめた。たとえ、近年に始まった祭りであったとして、そこには過去に繋がる精神性があるはずで、土地が人を作るのだと、改めて思う。

今では捕鯨は行われていないが、定置網に鯨が掛かることもあるという。

「通」という土地の名前は、仙崎湾を挟んだ対岸の漁師たちがイワシを捕るために、湾を渡って「通」っていたが、やがて小屋を建てて住み始めたことに由来する。鯨を湾内で発見するために海を見渡すことのできる各所に見張り番を置いて、鯨が入ってくると狼煙を上げて知らせた。それを合図に、鯨を仕留めるために一斉に漕ぎ出していく。仙崎湾を見下ろす場所から写真を撮りたいと、もしかしたら見張り番が置かれた土地かもしれないポイントを探して、地図を見ながら沿岸を車で走った。

仙崎湾

仙崎湾は入り組んだ地形で、天然の漁場になっている。今でも定置網に鯨がかかることがあるという。

資料館からすぐ近くの丘には小学校があって、そのグラウンドの壁には、潮を吹く鯨の絵が描かれていた。鯨の背景には虹がかかり、イワシやヒラメなどの魚たちが跳ね、奇岩の立つ海に漕ぎ出す舟には大勢の子どもたちが乗っている。明るい未来を描いたら、海の豊かさを示すことになったのだろう。見下ろす海は、陽が差すと底まで透けるようだった。

小学校の壁にある鯨の絵

小学校の壁にあった鯨の絵。鯨祭りの様子だろうか。海にはさまざまな魚が跳ねている。

information

map

KAI Nagato 
界 長門

住所:山口県長門市深川湯本2229-1

TEL:050-3134-8092(界予約センター)

URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kainagato/

ツレヅレハナコさんとめぐる はちのへエリアツアー【前編】 八戸 毬姫牛と、南部町のフルーツ

食と酒と旅を愛する文筆家・料理研究家のツレヅレハナコさんが大好きな土地のひとつが、
青森県八戸市。
ツレヅレハナコさんとともに、冬の味覚を楽しむ、食材探しの旅へ。
【後編はこちら】

はちのへエリアの魅力とは?

青森県の南東部、太平洋に面した八戸市は、
古くから全国有数の水揚げを誇る水産都市として栄えてきました。
そのため、食材といえば魚介類のイメージが持たれていますが、実は農業や畜産業も盛ん。
さらに、三戸町、五戸町、田子町、南部町、階上町、新郷村、おいらせ町を加えた
8つの市町村が一体となって形成される「はちのへエリア」では、
地の利を生かした特産品がたくさんあります。

津々浦々、おいしい食と酒を探すのがライフワークになっているツレヅレハナコさんは、
仕事でもプライベートでも青森に通っており、八戸へ訪れた回数も数えきれないほど。
「八戸には見どころがたくさんあるから、下調べもなく初めて訪れた人も、
丸腰でも楽しめるのがうれしいですよね」と、その魅力を語ります。
今回は生産者をめぐりながら、はちのへエリアのテロワールを感じる旅に出ます。

地域を代表するブランド牛「八戸 毬姫牛」を育てる〈イチカワファーム〉

〈イチカワファーム〉

まず向かったのは、八戸市市川地区にある〈イチカワファーム〉。
こちらは、「八戸 毬姫牛」というブランド牛の肥育農家です。

「ブランド名は、青森の伝統工芸品である『南部姫毬』からとっています」
と教えてくれたのは、就農14年目だという、2代目の市川広也さん。

『南部姫毬』

「南部姫毬は、邪気を払い、人々の身代わりとなって色あせるとされているお守りです。
育てた牛を正面から見ると、毬のようにまんまるな見た目になること、
そして、すべて雌牛ということもあり、かわいらしさを連想させる名前にしたくて
この『八戸 毬姫牛』というブランド名をつけました」(市川さん)

〈イチカワファーム〉の市川広也さん。

〈イチカワファーム〉の市川広也さん。

市川さんに牛舎内を案内してもらうと、
さっそく「毬姫牛の特徴は?」と興味津々のハナコさん。

「すべて未経産の雌牛で、きめ細かくてやわらかい肉質が特徴です。
体が大きくて赤身の多いホルスタイン種の母と、
霜降りがきれいに入るA5ランク黒毛和牛の父から生まれる交雑種なので、
大きく育ち、ジューシーな赤身のなかに、ほどよい霜降りが入ります」(市川さん)

ハナコさんに群がる牛たちの画像

ハナコさんに群がる牛たち。「私の読者も女性がほとんど。女子にモテる運命なのかなあ」と笑う。

テレビ番組から派生したリアルツアー! 三重県南伊勢町で 移住希望者向けツアーを開催

あなたの背中を押す出会いがあるかも

移住に対する障壁が低くなりつつある昨今。
あとはきっかけがほしい方、誰かに背中を押してもらえればという方もいるのでは。

ケーブルテレビ『satonoka4K』『satonoka TV』 で
2023年からスタートした番組「田舎で暮らそう~移住の先に見えるもの~」
日本の地方に焦点を当て、移住を選択する人々や受け入れる地域の現在を、
その地域の魅力と共にお届けしています。
その番組内で2024年7月に放送&紹介された三重県南伊勢町にて、
活躍する人たちに実際に会って直接お話を聞けることをコンセプトとしたツアーを開催。
現在、参加者を募集しています。
<応募ページはこちら>。

南伊勢町は、リアス式海岸の穏やかな内海に面したまち。
寒暖差もあまりなく、1年を通して過ごしやすい温暖な気候の土地です。

まちの東部、五ヶ所浦の夕景。

まちの東部、五ヶ所浦の夕景。

 恋人の聖地としても人気のハートの入江がある鵜倉園地。

恋人の聖地としても人気のハートの入江がある鵜倉園地。

三重県のなかでもとりわけ観光地である伊勢志摩エリアに属していますが、
あまり都市化はされておらず、日本の暮らしの原風景や歴史ある祭りが残っています。
地域の産業では農業(みかん)や漁業(鯛の養殖)が盛んです。
移住後に食の分野に携わりたい方、田舎暮らしを満喫したい方、
地域の伝統文化が残るまちで子育てをしたい方は注目のまちです。

会って、話して、南伊勢町の暮らしをシミュレーションしてみる

南伊勢町での暮らしがどういったものになるか、
まちを見て回る観光客目線では難しいこともあります。
そこで、このツアーでは3人のキーパーソンたちを訪ねる機会があります。

1日目にアテンドしてくれるのは、南伊勢町おしごとアドバイザーの西岡奈保子さん。
空き店舗や空き家が増えた旧商店街地区をひとつの家に見立てた
「うみべのいえプロジェクト」でリーダーを務めています。

南伊勢町おしごとアドバイザーの西岡奈保子さん。

南伊勢町おしごとアドバイザーの西岡奈保子さん。

3年前から空き家を改修し、
誰でも飲食店に挑戦できるシェアキッチン〈うみべのいえキッチン〉や、
誰でもくつろげるまちのリビング〈うみべのいえリビング〉をスタート。
海辺のエリア全体を家と捉え、
キッチン、リビング、クローゼットなど暮らしをより楽しむための機能を
まちに増やしています。

名古屋から南伊勢町に移住して7年目。今も名古屋と行き来しながら、
名古屋では保育園のコンサルタント業、南伊勢では移住者の仕事にまつわる相談に乗る、
おしごとアドバイザーとして活動中。

「私も移住者として、地元の方々にお世話になりながら、活動を続けてきました。
南伊勢は、移住者だけでなく、住民の皆さん自らまちを良くしようと活動されています。
何が起こっているのか、ぜひ確かめに来てください」とコメントを寄せました。

2日目は、南伊勢町移住定住コーディネーターの西川百栄さん。
南伊勢町贄浦出身、2007年に京都からUターンした西川さん。
タウン情報誌の編集・制作を経て、
2019年に南伊勢町移住定住コーディネーターに就任しました。

南伊勢町移住定住コーディネーターの西川百栄さん。

南伊勢町移住定住コーディネーターの西川百栄さん。

コワーキングスペース〈しごとば〉を拠点にまちの情報発信や、
まちと協働で南伊勢町空き家バンクの運営、移住定住サポートを行っています。
日本酒好きがこうじて町内道行竈での日本酒プロジェクトでも活動中です。

「南伊勢町は人口減少や高齢化などの課題が多いまちですが、
だからこそさまざまなチャレンジができるまち。まずは一度訪れて、
やりたいことの実現に奮闘している人の話を聞いてみてください!」

〈友栄水産〉の橋本純さんは、南伊勢町阿曽浦に生まれ育ち、
大学を卒業後はヨーロッパやアフリカなど世界中を旅した経験を持ちます。
久しぶりに帰った故郷の衰退ぶりを目の当たりにし、Uターンを決意。
実家の〈友栄水産〉の跡を継ぐこととなりました。
真鯛の養殖や小型の定置網漁を生業としながらも、
2007年にゲストハウス〈まるきんまる〉をオープン。

〈友栄水産〉の橋本純さん。

〈友栄水産〉の橋本純さん。

宿泊だけでなく、漁船で漁に出る「漁師体験」や、
鯛の養殖をしているイカダで泳ぐ「鯛になれる体験」など、
漁師がいる宿でしかできない唯一無二の体験を提供しています。
ツアー当日は、鯛の塩釜&えさやりを体験いただけます。

漁師がいる宿でしかできない唯一無二の体験

また世界中を旅するなかで身につけた語学力を生かし、
海外からの観光客も積極的に受け入れているそう。
漁業の仕事や漁村での暮らしを体験したい人のために、インターンシップ制度を設け、
学生・社会人、国籍を問わず幅広い人を受け入れており卒業生は100名を超えます。
現在新たな取り組みとして、地域の交流の場となるスペースを開設し、
阿曽浦に人が訪れる仕組みをつくっています。

橋本さんからはひと言。「Life on Dish 南伊勢の恵みを!」

作家・せきしろの旅コラム 「郷愁を誘う、冬晴れの富山吟行」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。第44回は、作家のせきしろさん。
定型に縛られず自由な韻律で詠む「自由律俳句」をつくる俳人でもある、
せきしろさんの目的地は富山。魚津のまちを吟行しながら、
旅の途中で思いついた自由律俳句とともに綴ってもらった。

故郷の原風景と重なる富山

車窓から山が見えた。山は悠々とそして堂々と連なっていた。
自分の原風景にはだだっ広い雪原がある。何もない白い世界である。この山が富山の人の原風景なんだろうなと思った。
ただ、私が故郷にいた頃は見えるものすべてが当たり前の風景であって、それが原風景になるなんて一切思っていなかった。故郷を離れてから原風景だと気づく。きっとこの山々もそうなんだろう。

富山駅に着くとひんやりとして、上着のファスナーを上げた。同時にある記憶が蘇った。私は富山に一度来たことがあった。1989年、平成元年に富山大学を受験したのだ。なぜ富山大学を志望したのかは覚えていない。その頃はとにかく知らないところに行きたかったから、ただそれだけの単純で衝動的な理由だった気がする。受験することが決まってから私はまだ見ぬ富山に住むことばかり想像していた。
ところが仲の良かったクラスメイトが「東京でお笑いをやる」と私に告白してきたので心はそっちに支配されてしまった。受験どころではなくなった。それでも受験することは決まっていたから富山に向かい、前日は富山市に泊まったはずだ。次の日、大きな川があって、橋を渡ったのを覚えている。親にお土産で初めて見るホタルイカを買ったが、私はそのまま東京に行って故郷には帰らなかったので結局渡していない。

山頂白くなり手には赤本
山動かず見る者が変わっていく

“忍者の里”三重・伊賀上野で 忍者の歴史と伊賀グルメを楽しむ旅

日本ではおなじみの忍者ですが、近年では映画やアニメの影響もあり、
外国人観光客からも人気が上昇しています。
三重県伊賀地方と滋賀県甲賀地方が忍者の発祥地として知られ、
なかでも伊賀忍者は忍術や戦闘能力に優れ、多くの戦で貢献したといわれています。
今回は、そんな忍者の里「上野市(忍者市駅)」で立ち寄りたいスポットを紹介します。

「名古屋発専用臨時電車」に乗って「伊賀上野市」へ

使用車両はJR東海所属のキハ75形2両編成。

使用車両はJR東海所属のキハ75形2両編成。

三重県までは、名古屋から「名古屋発専用臨時電車」に乗って移動します。
「名古屋発専用臨時電車」は、地域活性化と観光需要の取り組みを検証するために、
2025年2月16日と22日に実証運行された2日間限定の電車です。

「名物☆忍者列車」のピンク。ほかにブルーとグリーンがある。

「名物☆忍者列車」のピンク。ほかにブルーとグリーンがある。

名古屋から関・伊賀上野駅までを直通で結ぶ臨時列車で「伊賀上野」、
そして伊賀鉄道で忍者のまち「上野」へ。

駅前のマルシェで地元の人たちとの交流

お弁当やスイーツ、パンなど地元のお店やキッチンカーが勢揃い。

お弁当やスイーツ、パンなど地元のお店やキッチンカーが勢揃い。

「上野駅」に到着。改札を出ると、駅前の多目的広場で地元のお店が集まった
「忍マルシェ」が行われていました。
地元のお店が出店しているほかに、駅の周辺は忍者の人形が並べられ、
地元の人や観光客が入り混じり、賑やかにグルメや体験を楽しんでいました。

いろんなポーズをとっている忍者人形と写真を撮って楽しめる。

いろんなポーズをとっている忍者人形と写真を撮って楽しめる。

今回行われていたマルシェは「忍者の日」にちなみ、2日間限定で開催でしたが、
今後も多目的広場で、不定期でさまざまなマルシェを行うそうです。

information

忍マルシェ

Instagram:忍マルシェ

広島・尾道にエリア屈指の眺望を誇る ホテル〈尾道倶楽部〉が 3月31日にオープン

地元に長く愛された宿が装い新たに生まれ変わる

広島県尾道市で60年以上愛されてきた宿泊施設〈千光寺山荘〉が
この春、ホテル〈尾道倶楽部〉に生まれ変わります。

尾道のランドマークである千光寺山の中腹に位置するこのホテルは、
エリア屈指の眺望を誇るホテルとして、今年3月31日にオープン予定です。

ホテル〈尾道倶楽部〉フロント、カフェ

フロントのすぐそばには、地元のスイーツやこだわりのオリジナルコーヒーを楽しめるカフェを併設。

“尾道を目に宿す宿”をコンセプトに、海と山に囲まれ、
懐かしくて目新しい風景が混在するこのまちを楽しむ旅の拠点を目指す同館。

客室は、ユニットバスタイプの「エコノミーツイン」から、
尾道水道を一望できる「尾道倶楽部スイート」まで、全6タイプ。

窓辺に小上がりのある客室「コンフォートフォース」。

窓辺に小上がりのある客室「コンフォートフォース」。4人まで宿泊できます。

尾道水道に面した大きなバルコニーのあるお部屋や
サイクリストにおすすめの客室内に自転車をかけられる
バイクハンガーを備えたお部屋など、このまちを訪れる人の
さまざまなニーズに応えたバラエティ豊かな客室が揃います。

俳優・山本奈衣瑠の旅コラム 「そのまちの人みたいな顔して歩く」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第43回は、俳優の山本奈衣瑠さん。

長期の撮影仕事で訪れた高知県の奈半利町。
海に面したまちで、時間があればすぐに海に行ったという。
観光スポットとして賑わうわけではないこの場所で
山本奈衣瑠さんはどんな過ごし方をしたのだろうか。
海辺を中心に出会った人、過ごした時間、感じたことを綴ってくれた。

海がある日常の生活

去年の夏、私は高知県の奈半利町にいた。場所的には徳島県の下あたり。
町は海に面していてどこにいてもまっすぐ行けば海にたどり着く。
滞在していたホテルから海は歩いて10分。
自分の生活のなかで海がこんなに近くにあることは貴重だったので
時間があるときはすぐ海に行った。

このまちを訪れた理由は撮影だったのだけど、
長期撮影だったため、のんびりとそのまちで1か月程生活をさせてもらっていた。
海はあるけど大きな観光スポットや人で賑わう有名な場所があるかというと
正直そうではない。
観光客が泊まりに来るホテルが沢山あるわけではなく、
あるのは大きなホテルが2つだけ。

着いてすぐに分かった。
派手じゃないけど東京とは確実に違う時間の流れを感じられるのが
このまちの魅力なのだろう。
仕事で来ているとはいえ、休みの日や撮影が早く終わった日は
宿泊していたホテルを出てなるべく外でこのまちに触れるようにしていた。
一応これを旅と言わせてもらおう(笑)。

気の利いた選曲とうっとりする眺め。 橋のたもとに佇む、松江〈PUENTE〉

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
島根県松江市。

音楽の道は深くて険しいと、それとなく気づかせてくれた夜

コロンボ(以下コロ): まあ、音楽の世界は広いね。
まだまだ知らないことばっかりだよ。

カルロス(以下カル): どうしたの? なんかギャフンとさせられちゃったの。

コロ: いや、松江の〈PUENTE〉ってカフェで、
マスターの角田潤さんにいろいろかけてもらったら、まあ、幅が広いわけ。
フォークにエレクトロにニュージャズに北欧って感じで。
自分の狭さを痛感しちゃった。

カル: 音楽の道って、深くて険しいから、知っているつもりでも1%も知らないもの。
まあ、そんな発見があるから、楽しいんじゃない。
そもそも、その松江のお店、どんな経緯で見つけたの?

陽の高さにかかわらず、しっとりと音楽でまったりさせてくれるカフェ。

陽の高さにかかわらず、しっとりと音楽でまったりさせてくれるカフェ。

コロ: 去年、山下達郎さんのライブが島根県民会館であったんだけど、
翌日に知り合いに薦められて、ちらっと寄ってみたんだ。

カル: 行った自慢?(笑)。地方のライブに東京の人が行っちゃ迷惑だよ。
楽しみにしている地元のファンが見られなくなっちゃうから。

コロ: お店でも行かれなかったお客さんにそう言われた(笑)。
でね、特に達郎さんアピールをしたいわけじゃないんだけど、
お店でかけてくれたのが、弾き語りでライブに乗せた「シャンプー」だったの。

カル: 達郎さんがアン・ルイスに書いた曲のセルフカバーね。

コロ: 久しぶりに生で聴いてリフレインしていた曲が、
見透かされたようにかかって、うれしかったんだよ。

カル: ライブ帰りにお客さんにサービスするつもりなら、
もっとわかりやすいキラーチューンがあるよな。

ボブ・ディランのいたって感傷的で内省的な作品ともいえる『OH MERCY』。アートワークはトロツキーのストリートアート。

ボブ・ディランのいたって感傷的で内省的な作品ともいえる『OH MERCY』。アートワークはトロツキーのストリートアート。

最近、堀っているという和ジャズの神レーベル〈スリー・ブラインド・マイス〉から鈴木勲トリオ/クワルテットの『ブロー・アップ』。

最近、堀っているという和ジャズの神レーベル〈スリー・ブラインド・マイス〉から鈴木勲トリオ/クワルテットの『ブロー・アップ』。

コロ: そうなのよ。控えめにひねったところにセンスが漂う。
ディランにしても『OH MERCY』をピックアップしたり。

カル: ダニエル・ラノアと組んだ霧のようなサウンドのアルバムだ。
裏最高傑作ともいわれているけどな。

コロ: そこからつないだのがロバート・グラスパーの『DOUBLE BOOKDED』。

カル: 意外性に満ちたいいつなぎ。なかなか思いつかないかも。

コロ: でしょ。ニュージャズも詳しいけど、
去年から和ジャズにもハマりはじめて、
和ジャズの専門レーベル〈スリー・ブラインド・マイス〉を中心に掘り出したんだって。

カル: あくなきディガー精神。

コロ: マスターがいうには、都会のお店と違うのはかけるだけで終わらないことで、
大切なのはそのあとの会話なんだそう。

カル: たしかにね。独りよがりにならないように、
説明したり、掘ったり、薦めたりとね。
客層はどんな感じなの?

コロ: 20代から80代。
地元の人から観光客と全方位。最高齢は90代前半らしい。

マスターの角田さんの意外性に満ちた選曲の流れに感心。それでいてマニアックにならないところが不思議。

マスターの角田さんの意外性に満ちた選曲の流れに感心。それでいてマニアックにならないところが不思議。

路地裏にたたずむ猫のように。 12年目を迎える猫本専門書店 〈書肆吾輩堂〉のこれから

福岡市内屈指のお散歩コースである大濠公園をはじめ、
福岡市立美術館や福岡市科学館などのおでかけスポットを擁する
緑豊かな文教地区、六本松エリア。

大濠公園を抜けて、NHK福岡放送局の横を通り過ぎると、
小さな長屋の並ぶエリアが突如、現れます。
このエリアに個性的なショップが集まっていることは、
あまり知られていないかもしれません。

大濠公園駅から20分ほど歩くと現れる、昭和レトロな街並み。

大濠公園駅から20分ほど歩くと現れる、昭和レトロなまち並み。

今回ご紹介する〈書肆吾輩堂〉も、
そんな静かな路地裏にたたずむ、ちょっと変わったお店です。
フォトジェニックなまち並みに思わず撮影したくなりますが、
スマートフォンはあえてポケットにしまって、
記憶に残る「お店探訪」をしてみませんか?

「書肆吾輩堂」がある細い路地。「DAY’S CUP cafe」のテラスに置かれた小さな看板が目印。

書肆吾輩堂があるのは、この細い道沿い。「DAY’S CUP cafe」のテラスに置かれた小さな看板が目印。

(おそらく)日本で初めての猫本専門書店

長屋の趣を残す「書肆吾輩堂」

住宅が並ぶ小道にお店が点在。現代的にリフォームされた住宅もある中、書肆吾輩堂は長屋の趣を残している。

「書肆吾輩堂」ののれん

書肆吾輩堂のロゴは、歌川国芳『流行猫の狂言づくし』の中の「口上猫」。

2013年、「日本で初めての猫本専門書店」としてネット書店を開設、
2018年には福岡の六本松で実店舗もオープンした書肆吾輩堂。
猫が登場する小説や絵本、猫を愛する作家のエッセイ、
そして海外の猫本が、細長い店内にずらりと並びます。

「書肆吾輩堂」店内

店内は土足禁止のため、靴を脱いで上がるスタイル。「静かに本を選んでもらいたい」という店主の意向により、撮影も禁止。

店主の大久保さんは、ネット書店を始めた当初から、
六本松エリアで実店舗をオープンするため、
理想的な物件を探しつづけていたといいます。

「お店を開くなら落ち着いたところがいいと思っていたので、
大濠公園も美術館もあって、緑の多い六本松で探していました。
このあたりは護国神社の土地で、戦後の引揚者住宅のエリアなんです。
住所の番地もこの地区一帯、全部同じなんですよ」

実は、同じ六本松でも福岡市科学館のある六本松駅側は
九州大学キャンパスの移転によって大きく変化したエリア。
新しい賑わいと古くからある静けさが道一本を隔てて隣り合う、
とても魅力的な場所なのです。

「あるお客さんが、細い路地から小さい間口の店に入ってきて、
『自分まで猫になった気がする』と言ってくださって。
猫好きとして、それはすごくうれしかったですね(笑)」(大久保さん)

端正でオーセンティックな 米子のカフェ〈遠音〉で、 日がな一日まどろむ。

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
鳥取県米子市。

クラシック→ボサノヴァ→ジャズと三毛作でうつろう一日

コロンボ(以下コロ): 米子の街道沿いの郊外に品よく佇むカフェがあったから、
ちょいと寄り道したら、これが大当たり!

カルロス(以下カル): 外観を見る限り、
まさかレコードを音源としてかけているお店だとは思わないね。

コロ: でしょ。レコードバーだと、なんだか怪しい匂いに誘われて、
なんとなく鼻が利くもんだけど、カフェとなるとね。

カル: いま風な感じだと、わからないでもないけど、
ここまで端正な一軒家のお店だと、ボクらのアンテナも機能せずだ(笑)

コロ: それでもオープンして今年で14年目だそうだ。

カル: 〈遠音(とおね)〉っていう店名も情緒があるね。
遠鳴りがする音はいい音っていうし。

コロ: ローマ字で表記すると「TONE(トーン)」とすることもできて、
メッセージがこもっているでしょ?

米子郊外の街道沿いにポツンと佇む瀟酒な一軒家のカフェ。

米子郊外の街道沿いにポツンと佇む瀟酒な一軒家のカフェ。

朝はクラシックからはじまり、陽の動きとともに選曲も変わっていく。

朝はクラシックからはじまり、陽の動きとともに選曲も変わっていく。

カル: うっとり。 しかも9時半オープンだっていうじゃない。
この連載で最も早い開店時間だ。
やっぱりお店は静かに始まるの? パット・メセニーとかアール・クルーな感じで。

コロ: 午前中はクラシック。12〜14時はボサノヴァ、
そして14時以降はジャズっていうタイムテーブルなんだよ。

カル: シームレスな流れ、美しい‼︎ 

コロ: すっきりと広々とした店内にぴったりの音質なんだよ。
奥ゆかしい音っていうのかな。

カル: 意識高いお店だね。

コロ: お店を始めるきっかけは、
マスターの瀬尾尚史さんの社会人になってからの夢なんだって。いつかはこんなお店をと。
だから建物の設計からして、音楽を聴くためにこだわりが詰まっているようだよ。

カル: 防音とかそういうこと?

コロ: それも大事だけど、窓、カーペット、壁の中の構造まで、
とにかく響きを研究し尽くしたらしい。

カル: 本棚にあった『住まいと音』(岡山好直著)が指南書なのかな?

コロ: そのとおり、
『遮音は材料によって行うのではなく、建築の構造によって行う』という教えを
具現化したんだ。

放送局から払い下げてもらったDENONの業務用プレーヤーをレストア。

放送局から払い下げてもらったDENONの業務用プレーヤーをレストア。

設計段階から音響にはこだわったお店。そのバイブルともなった書籍『住まいと音』。

設計段階から音響にはこだわったお店。そのバイブルともなった書籍『住まいと音』。

平家が愛した湯といわれる 「湯西川温泉」の オールインクルーシブホテルで 過ごす癒しの時間

栃木県日光市の〈亀の井ホテル 日光湯西川〉が12月1日より、
宿泊費に夕・朝食と、アルコールを含むドリンク、アクティビティなど
滞在中の利用料金が含まれる宿泊料金体系が「オールインクルーシブ」になりました。
平家の一族が河原に湧き出る温泉を見つけ、疲れを癒したと伝えられている
「湯西川温泉」の温泉宿をレポート。

平家落人伝説が残る「日光 湯西川」へ

「浅草駅」から「湯西川温泉駅」まで、東武特急に乗って約2時間30分ほどで到着。
そこからは送迎バス(予約制)に乗車すること20分で
〈亀の井ホテル 日光湯西川 オールインクルーシブホテル〉に到着。

湯西川の源流近くに位置する温泉地で、
平家の落人が隠れ住んだという伝説が残されています。

〈亀の井ホテル 日光湯西川 オールインクルーシブホテル〉の部屋数は54室。

〈亀の井ホテル 日光湯西川 オールインクルーシブホテル〉の部屋数は54室。

ホテル周辺は自然環境に恵まれ、里山の風景など郷愁が漂い、
敷地にある源泉からモウモウと湯けむりが立ちのぼっています。

女性グループでのステイを想定したサービス

チェックインが終わったら、
フロント横に設置されているアメニティコーナーから、
好きなものを選んでお部屋へ。
今回のオールインクルーシブ化は、女性グループでのホテルステイを想定。
日常から離れてホテルの中でゆったりと過ごせるよう、
無料で好きな柄の浴衣が選べます。

ドリンク&スナックを好きなだけ味わえる「ロビーラウンジ」

ロビーラウンジでは、生ビールやスパークリングワイン、
栃木の地酒などのアルコール類に加え、
ソフトドリンクやスナックなども自由に楽しめます。

ここで提供されているものは、全て宿泊代に含まれていますので、
安心して好きなものが味わえます。

また、スナックの他にも、フムスやピクルスなどのおつまみもあり。
ソファに腰をかけて、暖炉の火のゆらめきを眺めながらリラックス。

散策やゲームなどのアクティビティも

館内には温泉場に欠かせない「卓球」や、ダーツやバドミントンも楽しめるほか
周辺散策に便利なレンタサイクルも無料で利用でき、
近くの温泉街や平家の里、湯西川水の里などへ向かうのにも便利です。

里山の風景を眺めながら浸かる「美肌の湯」

大浴場は内風呂と露天風呂を完備。
ph8.4の弱アルカリ性の泉質は、美肌の湯としても知られ、
角質を溶かす効果があるので、湯上がりはお肌がツルツルに。

美肌効果の他に、肩こりや神経痛、冷え性などに効き、健康増進の効果もあり。
四季折々、美しい風景を眺めながらゆったりと手足を伸ばして温泉を堪能。
平家の一族が身体を癒したとされる温泉で湯治体験が楽しめます。

100年に1度といわれる 大規模工事を終えて 道後温泉が全館営業再開! 工事前はなかった新たなサービスは?

古くからの温泉街として知られる、愛媛県松山市の道後温泉。
2014年には道後温泉を舞台としたアートプロジェクトが開催され、
アートのまちとしても知られるようになりました。

そんな道後温泉のシンボル〈道後温泉本館〉が、
100年に1度といわれる大規模工事を経て昨夏に全館営業再開。
その様子をお伝えします。

歴史をつなぐ、未来にのこす。保存修理工事を終えた道後温泉

約3000年の歴史を誇る日本最古の湯といわれる道後温泉のシンボル
〈道後温泉本館〉が、2019年1月から営業しながら保存修理工事に着手し、
約5年半の歳月を費やし、2024年7月11日に全館営業を再開しました。

100年に1度といわれる大規模工事のため、足場でぐるっと囲う。

100年に1度といわれる大規模工事のため、足場でぐるっと囲う。

工事中の本館を覆う素屋根テント膜は、画家の大竹伸朗が作品化し話題となりました。
作品名は「熱景/NETSU-KEI」。

作品名:熱景/NETSU-KEI © Shinro Ohtake / dogo2021

作品名:熱景/NETSU-KEI © Shinro Ohtake / dogo2021

解体しながら保存修理を始めると、蟻害及び木材の腐食等も確認されました。
ミリ単位で復元するため、一気に修理することができなかったそう。

公示前の趣を残しながらの保存修理は気が遠くなるほど大規模だった。

公示前の趣を残しながらの保存修理は気が遠くなるほど大規模だった。

補強工事などは、歴史的価値と文化的価値がそのまま残せるように、
なるべく見た目が変わらないように行われ、
屋根瓦も約3万枚全て打音試験を行い大変苦労したのだとか。

新たに本館3階に2室の貸切室を整備

新たに登場した2室の貸切室は、これまでお客さんに開放していなかったお部屋。
ご家族やご友人などとゆっくり過ごせます。
インバウンドで高まる需要にも対応できるようになりました。

しらさぎの間。

しらさぎの間。

また、貸切室は新作のお茶菓子や貸し浴衣などのサービスが充実しているほか、
国の重要文化財の1室を貸し切ることができる、魅力的なコースです。

そして、道後温泉で1番新しい湯屋の〈道後温泉別館 飛鳥乃湯泉〉。
館内は愛媛の伝統工芸を用いたアートで彩られているほか、
浴室とアートが楽しめ、新しい温泉文化を体験できます。

インドのチャイ文化が教えてくれた 日本の心とお茶時間の大切さ

こんにちは、世界一周旅中のうんまほふうふです。
東南アジアを立ち、次に向かったのはインド!

インドからその周辺国、さらには世界中に広まった食も多く、
独自で多様な食文化が発展していったおもしろい国のひとつです。

インドではよくお茶(チャイ)を飲む!

タイのバンコクからインドに飛行機で移動し、
第3の都市・コルカタ市街地に到着したのは、現地時間の朝8時頃。
バスを降りて、すごい人集りを見つけたと思ったら
そこは「チャイスタンド」でした。

たまたま出合ったローカルなチャイスタンド。一杯18円ほど。

たまたま出合ったローカルなチャイスタンド。一杯18円ほど。

次から次へと人がやってきては、
チャイを飲みながら店の前で談笑する。

噂には聞いていたけど、
「ほんとうにインドではチャイをよく飲むのだ」
と感じた瞬間でした。

最初に飲んだチャイは、その甘さにびっくり!

最初に飲んだチャイは、その甘さにびっくり!

私たちも、さっそくチャイを試してみることに。
初めての感想は、想像以上においしい!
甘いけどスパイスがしっかり効いている。
これは、ハマってしまいそうな予感……。

宿泊していたゲストハウスの朝食でも提供されました。

宿泊していたゲストハウスの朝食でも提供されました。

米子で見つけた モノラルレコードの殿堂。 〈ロックンロールレコード〉

音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
鳥取県米子市。

かたまりでドーン! モノラルで浴びせるガッツのある音

コロンボ(以下コロ): またしてもスーパーマニアックな店を見つけちゃったよ。
世界的にもレアじゃないかな?

カルロス(以下カル): なになに、もったいつけないで教えてよ。

コロ: ひと言でいえば、大広間みたいなところで、
オリジナル盤によるロックが心おきなく聴けるお店。

カル: オリジナル盤を聴かせてくれるのが、そんなレア?

コロ: それがさー、ほぼほぼモノラル盤なんだよ。
しかも7インチシングルが中心。

オープンして1年と半年が過ぎたところ。広がりでなくかたまりで聴かせる空気の振動対策が最大の難関だったとか。

オープンして1年と半年が過ぎたところ。広がりでなくかたまりで聴かせる空気の振動対策が最大の難関だったとか。

モノラルの忠実な再現を追求した自前のオーディオシステム。試行錯誤の賜物らしい。

モノラルの忠実な再現を追求した自前のオーディオシステム。試行錯誤の賜物らしい。

〈和み処サンシャイン〉斉木佑介さん “生きている実感”がある新島で、 塩工房と居酒屋を営む

生き方や働き方を考える事業を数多く行い、
求人サイト『日本仕事百貨』を立ち上げたナカムラケンタさんが推薦するのは、
新島で居酒屋〈和み処サンシャイン〉を営み、〈しおさいの塩〉をつくる斉木佑介さんです。

推薦人

ナカムラケンタさん

ナカムラケンタ

日本仕事百貨
代表

Q. その方を知ったきっかけは?

16年前から伊豆諸島の新島に通っています。佑介さんは、新島の居酒屋〈和み処サンシャイン〉で働きはじめて、お店を引き継いだこともあって、よく訪問するようになりました。

Q. 推薦の理由は?

居酒屋を引き継いだあとに「自分にしかできないことは何か?」を考えていたように感じます。そこで思いついたのが、新島での塩づくりだったようです。実は新島の海は水の汚れを示す化学的酸素要求量=CODが低く、透明度の高い海として知られています。山口県長門市の〈百姓庵〉で塩づくりを学び、新島で塩小屋をつくります。最初は掘っ建て小屋をつくろうと思ったら、先輩のみなさんに手伝ってもらって、立派なものができたそうです。塩はサンシャインのメニューにも活かされています。自分のオススメは塩レモンサワーです。

先輩に導かれて新島へ。移住するという感覚もなかった

「まさか10年後に自分がこうなっているなんて、
新島へ来たときはまったく想像していなかったんですよ」

斉木佑介さんは、開口一番そう言った。
東京から南へ約160キロの洋上に浮かぶ離島、新島。
そこで斉木さんは〈和み処サンシャイン〉という小さな居酒屋を営むかたわら、
自宅横の工房で海水を釜炊きして塩づくりを行っている。
昨夏には島内外の仲間と会社を設立し、島での農業をスタート。
今年は宿の開業も控えている。

新島へ移住して10年。
彼がたどってきた道は、どれも新島にはなかったものばかりだ。

斉木さんが営む居酒屋〈和み処サンシャイン〉。

斉木さんが営む居酒屋〈和み処サンシャイン〉。

埼玉県出身の斉木さんが、初めて新島を訪れたのは2014年9月のこと。
島に来た理由はシンプルで「大事な先輩がいたから」。
学生時代のバイト先だった居酒屋チェーンの店長が、
新島に移住して自分の店を持つことになったという。
「手伝わないか?」という短い連絡に、ふたつ返事でOKしたのがはじまりだった。

「当時、僕は4年間暮らしたニューヨークから引き上げるタイミングだったんですよ。
新島ってどこ? というくらい何も知らなかったんですが、
ニューヨークから帰って離島にいるって、なんかおもしろいんじゃないと思って。
半分ノリでしたけど、先輩とはいつか一緒に店をやりたいねとずっと話していたんです。
先輩が店を開くなら自分も行くのが当然という感覚でした」

2015年2月に新島へ移住し、ナカムラケンタさんに出会ったのも、その頃だ。

「新島に来たときは必ず店に来てくれますね。
僕のあれこれをずっといい距離感で見守ってくれているのを感じています。
『自分にしかできないことを考えていたように感じる』と
思ってくれていたのはうれしいですが、
僕はケンタさんと同じように新島がただただ好きで、
島から離脱しないためにはどうすればいいだろう? って感じ。
たいしたことは考えていなかったと思います(笑)」

その年の夏に先輩とともに〈和み処サンシャイン〉をオープン。
当時の新島で移住者が飲食店をオープンするのは稀なケースで、
大きな注目を浴びたという。住民はみな誰かの親戚、というほど人間関係が濃密な離島。
右も左もわからない状態で、先輩と一からつくっていった。

推薦人のナカムラケンタさんがおすすめだという塩レモンサワー。

推薦人のナカムラケンタさんがおすすめだという塩レモンサワー。

塩レモンサワーの店内POP。

塩レモンサワーの店内POP。

「サンシャインにいる若い子」として、のんびりと新島暮らしを楽しんでいた日々が、
急展開を見せたのは3年後のことだ。
突然、先輩が家庭の事情で島を出ることになったのだ。
この人の後をついていけば何の問題もない、と思っていたその人が島からいなくなる。
しかも先輩から告げられたのは「サンシャインを継いでくれないか」という言葉だった。

「信頼していた先輩から『一緒に島を出よう』じゃなくて、
『俺は出ていくから店を継がないか』と言われたことが驚きでした。
何が驚いたかって、置いていかれて悲しいということよりも、
テンション上がっている自分がいたことです。
先輩のサポート役が天職だと思っていた自分が、まさか店長になるなんて、
どうなるんだオレ!って」

流されるままにやってきた新島だけど、いつのまにか新島での暮らしも、地元のつきあいも、
自分にとって大切なものになっていた。島を出るという選択肢はない。あとはやるだけだ。
そして2018年秋、斉木さんはサンシャインの2代目店長になった。

鎌倉の〈建長寺〉でできる、 坐禅や写経体験で 新しい年に向け気持ちをリセット

北鎌倉にある、臨済宗建長寺派の大本山〈建長寺(けんちょうじ)〉。
ここでは坐禅や写経体験ができるのをご存知でしたか?

筆者は過日に開催された、クレジットカードのダイナースクラブ会員向けの
「臨済宗巨福山 建長寺 貸切特別参拝」に参加してきました。
通常は非公開の修行道場や坐禅や特別法話、写経体験の様子をレポートします。

特別に貸し切りにされた〈建長寺〉をゆっくり参拝

お寺の門

1255(建長7)年に鋳造された梵鐘は、〈建長寺〉の創建当初から残る貴重な鐘。

〈建長寺〉の正式名称は〈巨福山建長興国禅寺〉といい、
1253(建長5)年に、鎌倉幕府第5代執権、北条時頼(ほうじょう ときより)によって
創建された臨済宗建長寺派の大本山です。

お寺の門

嵩山門。

今回の「貸切特別参拝」は、僧侶の説明を聞きながら
ゆっくり参拝できるイベントとなっていました。

当日は、三門、梵鐘の説明後、修行道場の通常非公開の西来庵があるエリアを参拝。
本来「西来庵」へ続くこの道は、僧侶になるために3年以上
修行をしている人だけが通れる道だそう。

禅寺特有の凛とした気配を体感。
1日限りのイベントでしたが貴重な体験ができました。
また、僧侶になるためには出家をして3年以上の修行が必要なのですが、
現在修行僧は6名しかおらず、「道心のある方がいたらぜひ」とのこと。

ご本尊のほかにも見応えがある境内

地蔵

「ご本尊」。鎌倉で1番大きいお地蔵さまといわれている。

本尊地蔵菩薩坐像を安置するお堂は、東京・芝の増上寺より
徳川2代将軍・秀忠夫人嵩源院(お江の方)の御霊屋を移築したもの。

ご本尊の頭上は、格式の高さを示す「折り上げ格天井」になっており、
左右には透かし彫りの「欄間彫刻」など、かなり古びているものの、
見応えがあります。

法堂は住職が説法するための場所だった。今はお参りできるよう、千手観音さまと釈迦苦行像が置かれている。

法堂は住職が説法するための場所だった。今はお参りできるよう、千手観音さまと釈迦苦行像が置かれている。

法堂は住職が須弥壇上で説法するためのお堂で、重要文化財にもなっています。
現在は釈迦苦行像、千手観音菩薩を祀っています。

法堂の天井に描かれた『雲龍図』は、小泉淳作画伯のもの。
龍の目は真ん中にかかれており、どの位置から見ても目が合うようになっています。
龍は法の雨を降らすといわれ、水をつかさどる龍神が火災から建物を守るとされています。

大井ダム完成100周年記念。 恵那市のご当地グルメ 「大井ダムえなハヤシ」が登場!

名古屋から70キロメートルほど東に位置する岐阜県恵那市。
木曽川の清流と市の約80パーセントが山林という豊かな自然に恵まれた場所です。
2024年12月の大井ダムの完成100周年を記念し、
恵那市ではさまざまなイベントを開催しています。

高度経済成長期を支えた大井ダム

大井ダムは、電力王と呼ばれた福澤桃介(ふくざわももすけ)が、
1924(大正13)年に国内初の重力式コンクリートで完成させた本格的な発電所。
発電した電力は関西方面に送電され、高度経済成長期を支えました。
2007年度には、経済産業省によって「近代化産業遺産」に認定されています。

奇岩や恵那峡大橋を楽しめる遊覧船も人気。

奇岩や恵那峡大橋を楽しめる遊覧船も人気。

「えなハヤシ」をご当地グルメに!

恵那市は、書店〈丸善〉の創業者で、ハヤシライスの発案者といわれる
早矢仕有的(はやしゆうてき)ゆかりの地。
彼が江戸時代に岩村藩(現在の恵那市岩村町)の藩医だったことから、
ハヤシライスで恵那を盛り上げようと、市内飲食店店主らで
〈えなハヤシの会〉を立ち上げ、「恵那市特産の寒天」と
「恵那山麓寒天育ちの三浦豚」を使ったご当地グルメ「えなハヤシ」を開発しました。

そして、今回、大井ダム完成100周年の記念事業として
新たに「大井ダムえなハヤシ」を考案。
ご飯をダムのかたちに見立て、各店舗がそれぞれ独自のトッピングで
ダム周辺の景観を表現するというユニークな一皿が誕生したのです。

〈えなハヤシの会〉のメンバー。

〈えなハヤシの会〉のメンバー。

ダム開発のように苦心したオリジナルなご当地グルメ

大井ダムにちなんだハヤシライスをつくろうと決めたものの、
メンバーは、ダムの形状に苦心したそうです。
「大井ダムは約53メートルもの高さがあり、
その高さとゆるやかなカーブを再現するのが難しく、
市販の型ではうまくいきませんでした。
それで恵那市の補助金を得て、特注で型をつくったんです」
と語ってくれたのは〈えなハヤシの会〉会長の
安藤良一(あんどうよしかず)さん。

ダムの大きさを計算し、サンプルづくりをするなど、徹底的にかたちにこだわった。

ダムの大きさを計算し、サンプルづくりをするなど、徹底的にかたちにこだわった。

さらに、どのように大井ダムと恵那峡を表現するか、各店舗も試作に追われる日々。
最終的に仕上がったのは、なんと記者発表の直前だったそうです。
しかし、苦労した分、評判は上々。
「大井ダムえなハヤシ」を目当てに来るお客さんも増えているのだとか。

〈お食事処金よし〉の店主で、〈えなハヤシの会〉会長の安藤良一さん。

〈お食事処金よし〉の店主で、〈えなハヤシの会〉会長の安藤良一さん。

静岡・湯ヶ島にある老舗旅館の敷地に 露天風呂とサウナを備えた1棟貸しの 別邸〈しゃくなげ〉オープン

静岡県の湯ヶ島に佇む〈おちあいろう〉は、明治7(1874)年創業の老舗旅館。
創業150周年を記念し、敷地内にある建物をリフォーム。
専用露天風呂とサウナを備えた1棟貸しの別邸〈石楠花(しゃくなげ)〉が誕生しました。

クラウドファンディングで過去最高の応援購入を達成

〈おちあいろう〉の入り口。

〈おちあいろう〉の入り口。

〈おちあいろう〉は、4000坪もの敷地に、全客室を含め7箇所が
有形文化財に登録され、明治時代は島崎藤村、大正時代は川端康成、
昭和初期は北原白秋など、名だたる文豪が、滞在時のことを作品のなかに残しています。

リフォームした〈しゃくなげ〉の外観。

リフォームした〈しゃくなげ〉の外観。

今回誕生した〈しゃくなげ〉も、3階建ての建物がまるごと登録有形文化財。
当時最高峰の匠によって建築され、随所に意匠を凝らした装飾や
精密な細工などを眺めながら贅沢なひとときが過ごせます。

〈しゃくなげ〉の入り口。

〈しゃくなげ〉の入り口。

同別邸は、ホテル、バンケット、レストランなどを展開する〈Plan・Do・See〉が
クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」にて先行販売を開始。

販売スタートから、わずか10分で応援購入総額が2,000万円を突破し、
Makuakeの宿泊関連プロジェクトで、過去最高の応援購入総額を達成。

3時間で個人向けプランの3,000万円分も完売するなど、
旅好きの心を魅了する憧れの宿だということが伺えます。

〈PARADI〉井上祖人さん、有紀さん “共存共栄”の城崎で、パンを軸に まちにひらけた店づくりを

PR会社〈HOW〉の代表で、国内外を飛び回る小池美紀さんが推薦するのは
城崎温泉にて2022年9月にオープンしたベーカリー〈PARADI〉の
井上祖人さん、有紀さんご夫妻です。

推薦人

小池美紀さん

小池美紀

HOW inc.

Q. その方を知ったきっかけは?

仕事でもプライベートでも足繁く通う城崎温泉の知人から、同じ兵庫でギャラリーと茶寮を営む〈井上茶寮〉の名前を聞いていました。特に興味を惹かれたのは、ある時、城崎の〈OFF KINOSAKI〉にあったフライヤー。井上茶寮ギャラリースペースのアーティストインレジデンスの告知でした。私が現在、東京と沖縄の2拠点生活をするなかで、個人的にも追いかけている今村能章が展示をするというものでした。

その後、井上茶寮が城崎に〈PARADI〉というペストリー&コーヒーショップをオープンし、交流が生まれました。彼らの幅広い活動を知るにつれ、底知れぬ活動に興味を寄せています。

Q. 推薦の理由は?

フレンチのシェフやパティシエとして修業を積まれた井上祖人さん。
大学職員からフランスに移住し、ミュージアムで働いていた井上有紀さん。

ふたりの活動は、現在展開する年数回のアーティスト・イン・レジデンスと並行して国内外のアーティストや作家の展覧会を企画する〈M1997〉(的形)、お茶やカヌレ型を使った羊羹などのスイーツを展開する〈井上茶寮〉(的形)、焼きたてのペストリーやコーヒーを提供する〈PARADI〉(城崎)。

お茶やお菓子、パッケージに至るまでおいしいのに加え、いつ見てもすてきなプロダクトは、デザインの文脈に通じるところがあります。実際にデザイン関係者のファンも多く、私は今年、インテリアの発表会で彼らにケータリングを依頼しました。味だけでなく、しつらえの美しさにも感動しました。
また、今年は、コペンハーゲンのベーカリーで短期留学をされており、出張の際にも彼らの活動を拝見しました。デザインの都コペンハーゲンでの滞在を経た彼らの今後の活動に注目しています。

待望のパン屋さんが、城崎にできた

晴れたと思ったら、鈍色の雲が広がり、冷たい雨が降ったり止んだりする。
そんな日本海沿岸特有の不安定な天気が、
この城崎温泉というまちの冬の風物詩だったりする。

瀬戸内に面する的形から豊岡市城崎に移住し、
2度目の冬を迎えた井上祖人(そひと)さん、有紀(ゆき)さん夫妻は、
「ここのところいつもこんな天気ですよ」と話す。
その“こともなさげ”といった雰囲気で、彼らがいかにこのまちに馴染んでいるかを知れた。

山陰地方には、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。冷たい雨雪が降れば降るほど温泉も心地いい。

山陰地方には、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。冷たい雨雪が降れば降るほど温泉も心地いい。

祖人さんと有紀さんは、
同じ兵庫県でも城崎とは北と南の関係にある、的形という地で
和菓子店〈井上茶寮〉と、
アーティストインレジデンス〈M1997〉を営む。
港まちに溶け込む、築114年の庄屋をリノベーションしたお店は、
土日だけの営業にかかわらず、お客さんが後を絶たない。

札幌市や大阪市の名だたるレストランで修業してきた祖人さんと、
大学職員を経てパリの美術館で勤務した経験を持つ有紀さん。
井上茶寮とM1997は、ふたりの経験を生かした唯一無二の場だ。

井上茶寮の外観。撮影:間澤智大

井上茶寮の外観。(撮影:間澤智大)

井上茶寮の内観。撮影:間澤智大

井上茶寮の内観。(撮影:間澤智大)

M1997の展示室。撮影:間澤智大

M1997の展示室。(撮影:間澤智大)

ふたりが城崎を訪れたのは6年ほど前のこと。
〈OFF KINOSAKI〉をオープンしたばかりの料理人・谷垣亮太朗さんに
会いに行ったのがきっかけだった。
そこでさまざまな“城崎人”を紹介してもらったことで、
地域コミュニティの温かさや、観光客と地元住民のバランスの良さに惹かれ、
城崎への移住を考えるなかで運良く物件の話が耳に入り、
住居兼店舗として開業することを決めた。

定期的に手入れがされている状態のいい空き家を取得・リノベーションし、1階を店舗、2階を住居として利用。

定期的に手入れがされている状態のいい空き家を取得・リノベーションし、1階を店舗、2階を住居として利用。

「やるなら井上茶寮とは違う業態で、
城崎に滞在する価値を高められるような店舗を目指したかったんです」(有紀さん)

井上茶寮としてのポップアップ出店を経て、OFF KINOSAKIの3軒隣に、
2022年10月、ペイストリーショップ〈PARADI〉をオープンした。

〈OFF KINOSAKI〉、ポップアップスペース〈MMM〉の並びにできた〈PARADI〉。

〈OFF KINOSAKI〉、ポップアップスペース〈MMM〉の並びにできた〈PARADI〉。

名物は「クロワッサン」(290円)。香ばしいクラスト(外側)と、弾力あるクラム(内側)のコントラストが芸術的! 噛みしめるほどに北海道産小麦のほんのりとした甘みとバターの芳醇な香りが鼻を抜ける。「うちのクロワッサンは、割ると生地が切れずにもっちりと伸びるんですよ」と祖人さん。昼前に行けば焼きたてが買えるかも。

名物は「クロワッサン」(290円)。香ばしいクラスト(外側)と、弾力あるクラム(内側)のコントラストが芸術的! 噛みしめるほどに北海道産小麦のほんのりとした甘みとバターの芳醇な香りが鼻を抜ける。「うちのクロワッサンは、割ると生地が切れずにもっちりと伸びるんですよ」と祖人さん。昼前に行けば焼きたてが買えるかも。

イートインはワンドリンク制。コーヒーやカフェラテのほか、井上茶寮のアイスティーや自家製コンブチャも。

イートインはワンドリンク制。コーヒーやカフェラテのほか、井上茶寮のアイスティーや自家製コンブチャも。

井上茶寮の看板商品の「カヌレ羊羹」はPARADIでも扱いがある。贈答用としても人気が高い。

井上茶寮の看板商品の「カヌレ羊羹」はPARADIでも扱いがある。贈答用としても人気が高い。

店内は賑々しく、平日にもかかわらず多くのお客さんが訪れていた。
スイーツとコーヒーとともに写真を撮り合う外国人観光客。
カップル温泉旅行だろうか。大きなバッグでやってきて、
お目当てのパンを買いホクホク顔の彼女と、それをやさしく見守る彼氏。
休憩時間に颯爽とパンを買っていく旅館の従業員は常連だそうだ。
甘いものを前に、人は自然と笑顔になる。

「基本的には地元の方が7割で、観光客は季節によって変動があります。
眼の前が桜並木なので、桜の時期は混み合いますね。
地元の人に来てもらうお店になることを最初から意識しています」(有紀さん)

桟橋から送迎船で5分。 駿河湾に浮かぶ無人島・淡島にある リゾートホテル〈淡島ホテル〉

無人島のリゾートホテル〈淡島ホテル〉

駿河湾に浮かぶ淡島は、静岡県沼津市の無人島。
その島内にある唯一のリゾートホテルが〈淡島ホテル〉です。

淡島へは、JR東海道新幹線の三島駅から無料送迎シャトルバスで
淡島桟橋まで行き、桟橋からは送迎船に乗って5分ほどで渡れます。

緑豊かな島の風景に溶け込んでいる〈淡島ホテル〉。
コロニアルピンクの美しい建物が、
送迎船に乗ってやってくる旅人たちをやさしく出迎えてくれます。

天窓から自然光が差し込む明るいロビーは、まるで美術館のよう。
高い天井や階段にも、エレガントで華やかな雰囲気が漂います。

チェックインすると、渡されたルームキーがリアルに「鍵」で驚きました。
最近はカードキーが多いので、アンティーク調の鍵に懐かしさを感じます。

カードキーだとすぐに見失ってしまうタイプの人にとっては、
どっしりと存在感のあるこの鍵が、のちの助けとなるはず。

客室は和室、洋室を選べる5つのスタンダードタイプと
6つのハイグレードタイプから選べます。
写真は、スタンダードタイプのオーシャンビュー・スイート。

全室オーシャンビューの景観を楽しめるのがこの宿の特徴で、
スタンダードルームでもすべての部屋にリビングルームがついています。
まるで海外のレトロなリゾートホテルのよう。

客室には、広々としたバスルームがあり、
浴槽に面した大きな窓からも外の景色を一望できます。

冷蔵庫には、富士山伏流水でつくった地元産のクラフトビールと富士サイダーが。
お風呂上がりに窓辺で景色を眺めながら飲むドリンクは最高。

富士山の絶景や漁火など、日本ならではの風景が楽しめる大浴場

男湯の露天風呂。

男湯の露天風呂。

ホテル館内には内風呂と露天風呂を備えた大浴場もあり、
地下1000メートルから組み上げている天然温泉が楽しめます。
泉質はナトリウムイオン泉・塩化物泉・ナトリウムイオン塩化物泉。

女湯の露天風呂。

女湯の露天風呂。

効能は外傷、ストレス、冷え性などに効き、
香りは強くなくサラッとサッパリしているのが特徴。

天気のいい日はこんな絶景も眺められる。

天気のいい日はこんな絶景も眺められる。

露天風呂からも富士山が望める絶景のロケーション。
釣り船が目の前を通ることがあり、海との距離が近いので、
女湯の露天風呂は、タオルを巻いての利用も可能。

これでもかの装飾と 照明演出が圧巻! 大宮〈ROCK MEMORIES〉

音楽好きコロンボとカルロスがリスニングバーを探す巡礼の旅、
次なるディストネーションは、埼玉県さいたま市大宮。

通りすがりのお客さんも入店に10年かかった圧倒的デコレーション!

コロンボ(以下コロ): キラキラの外観、なかなかのもんでしょ。

カルロス(以下カル): クセ強いねー。絢爛豪華! ロックはこうじゃないと。

コロ: 毎日、前を通って気になっていたお客さんでも、
入るのに10年かかったらしいよ(笑)。

カル: いくらマイケルが出迎えてくれるといっても、
このグラマラスな佇まいだと、ドアを開けるにはかなりの勇気がいるよな。

コロ: 内装だって、すこぶるゴージャス。
マスターのケイさんはいたってフレンドリーなんだけどなー。

カル: 白を基調とした店内に、あるわあるわ往時のレコードジャケットの数々。
まさにロックメモリーズだね。

コロ: ジャケットのカラーコピーをこれでもかと貼りめぐらせているんだけど、
笑っちゃうのが、
帯がないレコードはカタカナでわざわざアーティスト名を加えちゃっているところ。

カル: 手づくり感がなんともいえず好印象。

コロ: わかりやすいがモットーなんだって。

カル: ジャケットに「GOOD」とか丸印とかもあるけど。

コロ: それはケイさんによる評価。まあ、感想ね。

突如現れるジャケットに彩られた絢爛豪華なファサード。

突如現れるジャケットに彩られた絢爛豪華なファサード。

店内のデコレーションもキラキラ。白を基調とした壁面にレコードジャケットがこれでもかと。

店内のデコレーションもキラキラ。白を基調とした壁面にレコードジャケットがこれでもかと。

カル: お店に入ったとき、最初にかかっていたのはなんだった?

コロ: シャカタクの「Easier Said Than Done」だったかな。
雨が降って、寒い夜だったんで、滲みたなー。

カル: フュージョンの名盤、『Night Birds』収録曲だね。

コロ: シャカタクはAOR全盛時のフュージョンだから、とにかくキラキラしている。

カル: ブリット・ファンクの文脈からも、最近、盛り上がっているみたいね。
店内のジャケットを見る限り、70年代〜80年代のチャートやロックが中心だけど。

コロ: ロックメモリーズだけにマスターのメモリーを具現化しているんだ。

ホストの仕事もしていたというマスター、ケイさんの長髪時代。まるでロックスター。

ホストの仕事もしていたというマスター、ケイさんの長髪時代。まるでロックスター。

ディスコが学校、『MUSIC LIFE』が教科書だったという10代。

ディスコが学校、『MUSIC LIFE』が教科書だったという10代。

“日本のウユニ塩湖”近くに サウナやスパイス香料室を併設した ヴィラ〈積修館〉がオープン

日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜など、海・山・田園地帯を有する香川県三豊市

北は瀬戸内海、南は徳島県に接しており、海・山・田園地帯を有する香川県三豊市。
近年では、日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜や桜の名所
紫雲出山で知られることも多くなりました。
今ではその絶景を求めて、遠くから観光客が訪れる場所となっています。

日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ケ浜

こうした豊かな自然が当たり前にあり、
四季折々の風景を日常的に感じることができるのはこの地の大きな魅力。
お花見や海水浴、紅葉狩りができる場所など、様々な観光名所が点在しています。

瀬戸内海

また、商店街に開業したクラフトビール店や酒蔵をリノベーションした
体験型宿泊施設など、新しい動きが広まっている地域でもあります。

大学の学生保養施設をリノベーションしたプライベートヴィラ〈積修館〉

プライベートヴィラ〈積修館〉

そんな香川県三豊市に位置する荘内半島の高台に2024年11月20日(水)、
一棟貸しのプライベートヴィラ〈積修館(せきしゅうかん)〉がオープンしました。
大学の学生保養施設(宿泊学習施設)をリノベーションし、
5室の客室で最大14人が宿泊できるゲストハウスとして生まれ変わっています。

1階のダイニングホール

手掛けたのはデザイン工務店の〈YAE WORKS〉。
香川県綾川町に佇むカフェ〈やえ珈琲店〉のインテリアをプロデュースしており、
風の流れや光の陰影など自然を生かした寛ぎの空間設計が特徴的です。

〈積修館〉1階のダイニングホールは、大きなテーブルやカウンター、ソファーが
備えてあり、瀬戸内海を臨むカフェのような空間で食事を楽しめます。

2階のスイートルーム

2階には、85平方メートルの室内にキッチンや薪ストーブも備えた
スイートルームがあります。

タイの「ナンプラー」から 日本の「いしる・いしり」まで。 東南アジアと日本の奥深き魚醤の世界

こんにちは、世界一周旅中のうんまほふうふです。

2024年10月頭に日本を発ち、最初に訪れたのは東南アジア諸国。
タイにはじまり、ラオス、ベトナム、カンボジアと4か国を巡りました。

日本と同じアジア圏に属する国々ですが、似て非なる調味料を使った
独自の料理の数々に出合いました。

東南アジア料理に共通する、ある調味料とは?

タイの屋台で出合った麺料理「クイッティアオ」、
日本でも人気のタイ料理でひき肉とバジルの炒め物をごはんにのせた「ガパオライス」、
ひき肉をミントや唐辛子、野菜と混ぜ合わせたラオスのサラダ「ラープ」、
これらに共通して使われている調味料が何かおわかりでしょうか?

タイのラーメン「クイッティアオ」

一般的にスープ入りの麺料理を指すタイの「クイッティアオ」は、お肉や肉団子のせが定番。

本場タイの「ガパオライス」

本場の「ガパオライス」はエスニック香が強いホーリーバジルと刻んだ唐辛子をふんだんに使っていて、スパイシーでした。

ラオスのサラダ「ラープ」

ラオスのサラダ「ラープ」は、酸味のあるひき肉と爽やかなミントの風味が食欲を引き立ててくれます。

その調味料は東南アジアの現地スーパーでは数多く並んでおり、
屋台のテーブルでも必ず目にしました。

タイの食卓の上に置かれている4種の調味料セット

タイの食卓に必ず置かれている「クルワンプルーン」という4種の調味料セット。

これらの料理に共通して使われているのが「魚醤」です。

魚醤は、魚介類を塩漬けにして発酵させた発酵調味料で、
タイの「ナンプラー」が一番有名かもしれません。

発酵過程で、魚の内臓などに含まれる酵素や微生物の働きにより、
魚自体のタンパク質が旨み成分であるアミノ酸に分解されています。

私たち日本人にとって身近な調味料・醤油に含まれる主な旨み成分が
原料である大豆由来の「グルタミン酸」であることに対して、
魚醤にはそのほかに「リジン」「アルギニン」「イノシン酸」など
いくつもの旨み成分が含まれているのが特徴です。

魚醤入りのピーナッツダレ

生野菜やゆで野菜を魚醤入りのピーナッツのタレにディップして食べることも。