「蘇りの地 熊野」に 禅スタイルのサウナをつくる 〈大泰寺〉の挑戦
巡礼路・熊野古道沿いに最澄が開いた〈大泰寺〉
和歌山県の南部は、熊野(くまの)と呼ばれ、古くより蘇りの地とされてきました。
この熊野を目指した巡礼の道、熊野古道沿い、
那智の滝で有名な和歌山県那智勝浦町に〈大泰寺〉はあります。

〈大泰寺〉は比叡山の開祖・最澄が約1200年前に開いた南紀地方屈指の薬師霊場です。
江戸時代には臨済宗に改宗しており、天台宗の時代から伝わる貴重な仏像を鑑賞できる
一方、坐禅や写経を通じて禅を学べるなど、多面的な魅力を持っています。
第8代目の住職が、天皇から紫衣を賜るような有名な和尚だったそうで
その水墨画のコレクションも〈大泰寺〉の見どころのひとつです。

現在の住職である西山十海(にしやまとうみ)さんは、
〈大泰寺〉の隣にあるお寺の息子です。
そのお寺の住職は代々兼職をしていたため
西山さん自身も、英語教師とお坊さんの兼業をするつもりで、
大学で教員免許をとり、大学修了後に愛知県の一宮妙興寺に修行に行きました。
その後、東京板橋区で教師となりましたが、地方のお坊さん不足が深刻となり、
帰郷を決断し、縁あって約10年前に〈大泰寺〉の住職になりました。
お寺での座禅体験や宿坊のほか、キャンプやテントサウナも実施

現在〈大泰寺〉では、より多くの人にお薬師様に触れて、癒しを得てもらおうと
坐禅体験や宿坊、心身の癒しが期待されるキャンプやテントサウナなどを、
地理的特性を生かし提供しています。

サウナを始めてみて西山住職が気付いたのは、
坐禅による悟りの状態とサウナの「ととのい」の親和性の高さ。
坐禅の素晴らしさを、サウナを通じて知ってもらい、
その癒しを、坐禅を通して日常生活に取り入れてもらいたいと考えました。
プロが手がける本格フィンランド式薪サウナをお寺に新設

しかし、テントサウナには天候による弱点もあります。
そこで、西山住職が取り組んだのが、全天候型の禅サウナのプロジェクトです。
設計監修は、〈株式会社アーティストリー〉の大西功起氏が担当。
今行くべきサウナを評するサウナシュランでグランプリを受賞した
〈北こぶし知床ホテル&リゾート〉を手がけたことでも知られています。

サウナに使用するのは、熊野エリアの良質な木材。
海外産木材を使うことがあるサウナですが、今回は全て地域の木材で製作しています。
年月をかけて育った大きな一枚板など、
サウナ室では普段使われないような個性ある素材を使います。

サウナストーブはサウナの本場フィンランドの〈Narvi〉社のもの。
水着着用で男女一緒に利用ができる、セルフロウリュウを採用予定です。
室内には坐禅で使う坐布(ざふ)を配置するほか
護摩木に願いを書いて薪ストーブに投入できるようにするなど
禅や仏教のエッセンスを感じられるサウナを目指しています。

サウナ後の外気浴を行うのは、日本庭園で観賞用として用いられることが多い枯山水。
ゆっくりと腰かけ、空間全体でお庭の意味を感じながら、
静かに自分自身と向き合うことを目的としています。
〈大泰寺〉では2025年春のサウナオープンに向けて、
11月29日までクラウドファンディングを実施中。
禅の精神を取り入れた本格“薪”サウナの誕生を、ぜひ応援したいところです。
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大泰寺
