連載
〈 この連載・企画は… 〉
全国にはどれぐらいの商店街があるのだろう? シャッター通りとか地域の課題もあるけれど、
知恵と元気とみんなの協同で生き生きしている、ステキな商店街を全国行脚します。
writer profile
Maruko Kozakai
小堺丸子
こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。
credit
撮影:地主恵亮
〈商店街サンド〉とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチをつくってみる企画。
必ずといっていいほどおいしいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。
今回やってきたのは宮崎県宮崎市。
まちなかにはヤシの木があちこちに見え、まさに南国!
空港からも近い県庁や定番の観光スポット・青島神社では、
南国の木々に囲まれていてとても宮崎らしい光景を見ることができる。
自然のエネルギーあふれる宮崎市にはほかにも、
まちなかに厳かに鎮座する宮崎神社や一大リゾート施設のシーガイアがあったり、
足を伸ばせば古代ロマンあふれる古墳群などを見たりすることができる。
そんな宮崎市には、商店街がたくさん集まる賑やかなエリアがある。
これまたヤシが並び南国感ただようメインストリート「橘通り」、
通称“ニシタチ”と呼ばれ郷土料理店や居酒屋が集まる「西橘通り・中央通り」、
生活用品やファッションが集まる「一番街・若草通り」など。
そのなかでも今回は、若草通り周辺に絞って商店街サンドをつくってみることにした。
若草通商店街は、ファッションからグルメまで、幅広いジャンルのお店が並ぶ商店街だ。
歩いてみると、ところどころに散策甲斐のある横道が通っていることに気づく。
もっとも目を引いたのは「楽しいお買い物 文化ストリート」の看板がある細道。
時代を感じさせるデザインの看板に、思わず胸がキュンとなる。
昔はこの細い道の中にたくさんお店が並んだのだろう。
この文化ストリートにはかつてレコード店や化粧品屋、呉服屋、靴屋などの
日用品店のほかに、鮮魚店やお肉屋、八百屋、お菓子屋なんかもあったようだ。
その当時なら、このストリートだけで商店街サンドが完成したかもしれない。
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いろいろ寄り道していると、人懐っこい猫に遭遇した。
地元の方に聞いたところこの若草通りには
「カンタ」と「キンタ」と名づけられた猫がいて、
のんびりと過ごす姿が見られるのだ。猫好きにはたまらないな!
キンタに誘われ、かき氷をいただいてみることにした。
いちごやパイナップルなど果物のかき氷もそそられたが、
宮崎の特産品を使った創作かき氷にチャレンジ。
宮崎の〈服部養蜂場〉のこだわりの純粋ハチミツをたっぷり楽しめる
「はちみつミルクヨーグルト」を選んだ。
これが驚くほど贅沢なかき氷だった。
まず見た目は思い切った純白でインパクト大。
シロップはこぼれるほどたっぷりだし、
中にはサクサクのクッキーも入っていてかき氷とは違った食感が楽しめる。
キンタ、いいお店教えてくれてありがとう。
さてひととおり商店街を練り歩いたので、
目星をつけていたお店で商店街サンドの具材を一気に買い込むことにした。
〈はぁーとパン〉さんは、
地元の就労支援施設の利用者の方たちがつくっているパン屋さん。
種類は多いわけではないけれど、焼きたてのパンや焼き菓子が並んでいて
とてもおいしそう。
ちなみにケーキなんかもあって、喫茶店としても利用できる。
次に、一見アクセサリーショップに見えるお店〈NOA〉さんで卵焼きをゲットした。
店の中をのぞくと地元らしきお客さんがところ狭しと椅子に座り、
昼間からビールを飲みつつ料理を食べていたのだ。
そして宮崎ブランドポークをつかった〈とんかつ峯〉ではメンチカツをゲット。
宮崎ブランドポークとは、品種や餌、安全性にこだわりをもった宮崎県産豚のことだ。
こちらではひとつ120円から揚げたてをテイクアウトできるのでありがたい。
そして、人の入り具合から人気がうかがえる〈こはる食堂〉では宮崎を代表するグルメ、
チキン南蛮を発見!
こはる食堂では唐揚げや生姜焼きなどの定番のおかずのほかに、
今回買ったチキン南蛮や宮崎牛すじカレー、冷や汁など
宮崎ならではのメニューも食べることができるのでオススメだ。
お米も宮崎県産とのこと。
さらに、果物屋さんを発見したのでスイーツサンドもつくってみることにした。
やっぱり宮崎と言ったらまず浮かぶのがあの果物だから。
それにしても近くに大きいデパートがあるにも関わらず、
ちゃんと果物屋さんがあるのっていいな。
日向夏に合わせるものとして〈南国プリン〉を選んだ。
南国プリンは昭和スイーツの代表ともいえるプリンの上に、
果物やジュレを乗せた宮崎の新名物だそうだ。
パンのかわりに買ったカステラはひと切れ個包装150円のものがあったが、
端っこの大きいのが430円とお得だったのでそれを買った。
なお、南国プリンは3種が入ったお得なセット。
燦燦と輝く太陽を表現した「マンゴー入りプリン」、
透き通った南国の青空に浮かぶ入道雲を表現した「青島プリン」、
そして宮崎県産のこだわりの牛乳に九州産の生クリーム、
厳選されたバニラビーンズの味を生かしたテゲセボンの「南国プリン」だ
(テゲ=宮崎弁でとても、セボン=フランス語でおいしいの意味)。
時折、犬の散歩やランニングしている人が横を通り過ぎるなか
オリジナルサンドをつくった。
今回は穴が開いているベーグルに、どうやって具材を乗せるかが大きなポイントだった。
結果、切った具材を穴に落ちないように積み上げていくことに。
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その堂々たる姿は、まるで海沿いにそびえ建っていたシーガイアのようだった。
食べてみると、リゾート複合施設のように一気に贅沢を味わえる!
もっちりとして噛み応えのあるベーグルに、肉汁ジューシーなメンチカツ、
喫茶店のママがつくってくれた甘い卵焼き、そして酸味のきいたチキン南蛮。
食べ盛りの男子に大ウケしそうなラインナップじゃないか。
そしてああ、タルタルソースって、すべての食材に合うんだなあ……。
今回は商店街がたくさん集まったエリアの
ほんの一角だけをピックアップしてみたのだけど、
それでも充分見どころはあったし、
宮崎らしさが詰まったサンドをつくることができて楽しかった。
さて次はどの商店街へ行こうか。
●シーガイアサンドレシピ
はぁーとパンのベーグル2個…300円
NOAの卵焼き…400円
とんかつ峯のメンチカツ2個…240円
こはる食堂のチキン南蛮…450円
合計……1390円
●宮崎スイーツサンド
いなはる菓子司のカステラ切れ端…480円
フルーツ永野の日向夏 4個入り…690円
南国プリンの南国3個セット…1390円
合計……2560円
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