まちの喫茶店 「ONUKI COFFEE ROASTERY」。 本格派の自家焙煎珈琲を

中標津町の中心部、大型スーパーの裏手にふと現れる、
黒くてモダンな建物〈ONUKI COFFEE ROASTERY〉。

店に入るとコーヒーの香ばしい香り。奥には大きな焙煎機が置かれています。
カウンターで丁寧にコーヒーを淹れているのは、店主の小貫 琢さん。
奥さんのあけみさんはマフィンやスコーンなどの焼き菓子や
トーストを担当しています。

注文後に琢さんがドリップでコーヒーを淹れてくれます。

「いつかコーヒー屋さんをやりたい」
もともとコーヒーを焙煎するのが好きだった琢さん。
小さい網を使ってベランダで焙煎するところから始めて、
その後、小さな焙煎機を購入し、焙煎した豆を友人にあげたりしていました。

中標津で生まれ育った琢さんは地元の高校卒業後、都内へ進学。
そのまま都内でIT関係の会社に10年ほど勤めるうちに、
年齢とともに管理職としての役割を求められていくなかで、
「自分は誰かを評価するよりも、ものづくりをしているほうが向いている」
と思ったそうです。
「震災当時、鎌倉に住んでいたんですが、職場から家に帰れなくなって。
そのときに、今の自分の暮らしってどうなんだろう? と見つめ直したんです」

中標津も好きだったし、奥さまの仕事がひとくぎりついたり、
自然な流れで、地元で喫茶店を開くことを決意しました。

ダークブラウンとシンプルな外観がカッコいい。

「久しぶりに帰った地元は、知らないまちに見えました」と琢さん。
「僕の子どものころの記憶に、このまちに嫌なところはひとつもなかったんです。
いろんな店があって、まちもにぎわっていて。
でも久しぶりに帰ってみたら、大型チェーン店がたくさんできていて、
個人商店がどんどんなくなっていた。
何もないまちになっちゃったって感じたんです」

そんな土地で見つめた自分のお店づくり。
見つけた土地は、もともとはスーパーの駐車場。
建物の設計は札幌の建築事務所に依頼し、
くつろげる場所にしたいと庭には芝生や木を植え、
白を基調とした明るい内装に、
北欧の家具ブランド〈アアルト〉のぬくもりのある
木のテーブルとチェアを置きました。
ひとつひとつ妥協せずに、空間も素材も追求。
「このまちでつくったものが、
このまちで食べられる場所にしないとダメなんじゃないかって思いました。
田舎だけれどちゃんとしたコーヒーが飲めて、
内装や家具にもこだわった場所にしたかったんです」

常連さんでにぎわう店内。家のようにくつろげる空間。

その日の朝に焙煎した豆で淹れる、ONUKI COFFEE ROASTERYのコーヒー。
おすすめのデイリーブレンド(400円)は
毎日でも飲みやすいすっきりとした味わいで、マグカップにたっぷりと。
「来てくれたからには、いっぱい飲んでゆったりくつろいで帰ってほしいんです。
ケチケチしたくないじゃないですか。
でも多すぎるって言われることもあるんですが(笑)。
お菓子もどんどん大きくなっていってますね。
でも、自分たちがおいしいと思えるものをつくっています」

地元の素材を使ってあけみさんがつくる焼き菓子は、
レモンカードマフィン(350円)、チーズケーキ(400円)、
クランベリーとくるみのスコーン(300円)など、
素朴だけど本格派のおいしさで、どれもコーヒーによく合います。
焼き菓子は午前中のうちには売り切れてしまうこともあるのでお早めに。

店頭に置かれていた焙煎機。コーヒー豆の地方発送も行っている。

「目標としたのは、“カフェ”というよりも“まちの喫茶店”です」と琢さん。
2015年2月にオープンして半年。
いまでは地域の人たちが、かわるがわる顔を出しに店に来る、そんな店になりました。
「オープンしたてのころ、まだ仕事に慣れなくて
夕食を作るのも疲れちゃうって話したら、
お客さんが煮物とか天ぷらとか晩ご飯を作ってきてくれて。
今朝、港に揚がったわーって、大きなブリを持ってきてくれた方もいました。
この辺のお客さんたちはあたたかい方が多いんです」

立ち寄って、コーヒー豆を買ったり、
コーヒーを飲みながら世間話をしたりと、
お店にはさまざまな世代の人が、日常のひとコマとして足を運びます。
家族連れやお年寄り、カウンターには買い物帰りのお母さん、
懐かしい高校時代の同級生も来てくれるそうです。
「いろんな年齢の人が来てくれて、望ましい方向にすすんでるなって思います。
できれば高校生の背伸びしたデートとかにも使ってほしいんですけどね(笑)」

かつてたくさんの商店でにぎわったというまちに、
新しくできた"まちの喫茶店"。
一軒のお店の想いは、まちに新たな彩りを添え、
やがては特色あるこの中標津のまちの個性となっていくのです。

毎日通いたくなるあたたかな雰囲気とお人柄。

information


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ONUKI COFFEE ROASTERY 

住所:標津郡中標津町東五条北2-3

TEL:0153-70-4214

営業時間:7:00~17:00 

定休日:月曜、不定休

※駐車場 あり
※コーヒー豆のみ、地方発送可能。詳しくはお問い合わせください。
http://www.onukicoffee.com/

「LAUKIKA(ラウキカ)」 自然の恵みを丁寧にねりこむ 焼き菓子店

中標津の住宅街のなかに建つ、白い壁の洋風の家。
〈LAUKIKA(ラウキカ)〉という看板のある入口を入ると、
ガラスケースのなかにこんがりと焼けた焼き菓子が並んでいます。
パウンドケーキ、エンガディナー、パルミエ、フィナンシェ、クッキーなど
伝統的な焼き菓子たち。

一見普通の家のような、真っ白な洋風の建物。

ずらりと並ぶ焼き菓子。種類が豊富でどれもおいしそう。

ご主人の長谷川洋さんが焼き菓子を焼き、
奥さまの瑞恵さんが販売を担当しています。
洋さんの実家は和菓子店だったこともあり、
幼い頃からお菓子に囲まれて育ちました。
高校生の時に、フランス料理研究家の上野万梨子さんの本に出会い、
本格的な洋菓子を学びお店を出したいと思ったそうです。
高校卒業後に関東へ上京。
10年の間に4つの洋菓子店で働き、焼き菓子づくりを学びました。
修行期間の目標としていた10年が経ち、
洋さんは中標津に戻って念願のお店を開きました。

中標津にお店を出して9年。
「なにより焼き菓子を食べるのが好き」と、
店のケーキはパウンドケーキやタルトなど焼き菓子が専門です。
ケーキ屋というと生クリームがのった生ケーキのイメージが強いせいか、
最初の頃は「焼き菓子しかないの?」
とお客さんに言われたこともあったそうです。

焼き菓子というと、お店の隅に並んでいる印象かもしれませんが、
LAUKIKAでは主役。今ではおなじみのお客さんも増えました。
店には喫茶スペースもあり、コーヒーとともに焼き菓子をいただくこともできます。
コーヒーは札幌にある〈斎藤珈琲〉のもの。
「ふたりともここのコーヒーが大好きで、
店を開く前から、斎藤珈琲さんのコーヒーに合う焼き菓子を
つくりたいって思っていたんです。
うちの焼き菓子とすぐに仲良くなる味です」(瑞恵さん)

オーガニックドライフルーツの自家製ラム酒漬けを練りこんだフルーツのケイク(330円)。焼き菓子に合うコーヒー(450円)と一緒に。

「素材を選ぶときは、自分たちの直感を大切にしています。
自分たちが食べておいしいと思ったものだけを使っていますし、
大切に作られた素材のおいしさを最大限にいかした
お菓子づくりを目指しています」(洋さん)
中標津のコッコ家や標茶町のポロニ養鶏場の卵、
別海町のブルーベリーなど、
農家さんから直接いただいた素材を使ってお菓子を作っていきます。

パウンドケーキは常時3~4種類(ひと切れ240円~)。
ほかにもアーモンドと蜂蜜が入ったフィナンシェ(3個入630円)、
バターの風味豊かなバタークッキー(470円)など定番の焼き菓子のほかに、
マロンタルトやアップルパイなど季節の果物を使った焼き菓子も並びます。

店内の喫茶スペースで、おいしいコーヒーとともにゆったりと。

開店中も絶えずお菓子を焼き続けている洋さんと、
さわやかな笑顔が印象的な瑞恵さん。
営業日は木曜から日曜と週4日。店がお休みの日も仕込みをしています。
真摯に丁寧に、心を込めて作られた焼き菓子に出会いに、
ぜひ足を運んでみてください。

「夫の焼き菓子は本当に上手だと思うし、おいしい!」と瑞恵さん。

information


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LAUKIKA 
ラウキカ

住所:標津郡中標津町西三条北8丁目3−1 レグルス1階

TEL:0153-72-7879

営業時間:11:00~18:00(喫茶室は16:00ラストオーダーで17:00まで) 

定休日:月・火・水曜

駐車場 あり
http://laukika.blog137.fc2.com/

今日のおやつ: アーモンドクッキー「増毛旅情」 北海道の道北、 増毛町(ましけちょう)名物

今日のおやつは、北海道の道北、
日本海沿いの町、増毛町(ましけちょう)から。
町内のお菓子屋さん「やまざき」の銘菓、「増毛旅情」です。
レトロなパッケージがなんともキュート。

味わいのあるパッケージ

増毛のスポットが描かれた包み紙を開けると、
海と灯台、その周りを飛ぶカモメという、
増毛の海を思わせるパッケージが。
中身のお菓子は、アーモンドをふんだんに使用した、カリカリで香ばしい生地に、
クリームがサンドされているもの。
リッチな味わいの、おいしい洋菓子です。

中のクリームもポイント

手つかずの自然が残る 「落石岬灯台」。 北方の草花に包まれた木道を抜けて

根室市街地から南西に約20km、太平洋につきだした落石岬。
落石漁港を越えて岬を目指すと、ゲートがあり、
そこに車を停めて灯台まで歩く道があります。

草に覆われた道をしばらく歩いていくと、
窓が閉ざされたコンクリート製の堅牢な建物が現れます。
かつて無線局として使われていた建物で、
現在は根室市出身の版画家、池田良二さんのアトリエになっており、
また「落石計画」というアートプロジェクトの活動の舞台として使われています。

旧無線局の建物を過ぎてしばらく歩くと、木道がまっすぐ続きます。
木道の両側に広がるのは、アカエゾマツの森。
厚い苔で覆われた木の根元が盛り上がっていて、
水芭蕉の大きな葉を広げています。
鬱蒼としたシダ植物も生えていて、
まるで太古の森に迷い込んだような不思議な場所です。
森の中でふと視線を感じてあたりを見回すと、エゾシカの親子がいました。

エゾシカの親子。森の中では、自分が自然界におじゃまさせてもらっていると感じます。

途中にはサカイツツジの自生地があり、
5月下旬から6月中旬にかけて紅紫色の花が咲きます。
サカイツツジは東アジア北部に分布する植物で、
日本ではここ落石岬でのみ発見されているという貴重な花です。

歩きやすい木道が海に向かってのびています。

約600mの木道をまっすぐ歩き、森を抜けると、
赤と白のコントラストが美しい灯台が見えてきました。
視界を隔てるものが何もない、広大なグリーンの草地と広い空。
その先にコロンとした形の灯台がたたずんでいます。
落石灯台は、1890(明治23)年、
北海道で10番目に設置された歴史のある灯台で、
『日本の灯台50選』にも選ばれています。
白い建物に入った赤いラインは、積雪があっても目立つようにするためのもの。
2010年までは、霧笛信号も行っており、GPSが普及した時代でも
年配の漁師さんにとって重要な役割を果たしていたといいます。

人の気配もなく、風の音のみ。灯台が静かにたたずんでいます。

高さ40 メートルの断崖絶壁には柵などはなく、
そのまま海へと美しい稜線を描いてそびえ立っています。
かすかに踏みしめられた道をたどって海へも近づいていけます。
一面笹や草に覆われた緑色の大地、吸い込まれそうな海と波しぶき……。
どことなくイングランドやアイルランドの風景を思わせます。

ダイナミックな風景が続きます。散策道は笹で覆われているので、トレッキング向きの服装で。

落石湿原には北海道でも珍しい植物が咲いています。
5~6月はユキワリコザクラやマイヅルソウ、シコタンタンポポ、
6~8月はシコタンキンポウゲやチシシマフウロ、
10月ぐらまではエゾノコギリソウやエゾリンドウなど
高山植物がかわいらしい花を咲かせます。

ハマナシの可憐な花。ふと目をやるといろいろな植物が咲いています。

根室には〈フットパス〉というウォーキングコースがいくつかあり、
このコースもそのひとつ。
“フットパス”とは、もともとイギリス発祥の言葉。
イギリスでは私有地の牧場や森林でも“人が歩く権利(通行権)”が認められていて、
私有地でもフットパスなら誰でも歩くことができます。
そうした歩くための道からヒントを得て、
根室でも牧草地や海岸線を歩けるフットパスがいくつか整備されています。

ゲートから落石灯台までは往復で約1時間ほど。
落石岬の突端まで一周するコースもあり、約3時間ほどかかります。
専用のルートマップが落石給油所や落石漁業協同組合、
根室観光インフォメーションセンター、道の駅ねむろで販売されているので、
マップを手がかりに、根室を感じるフットパスを歩いてみては。

こちらのガイドブックには落石岬灯台など、根室市内の自然の見所が記されています。英語、中国語もあり。

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落石岬灯台

住所:根室市落石西

TEL:0153-27-2121(落石漁業協同組合)

駐車場 あり
http://www.nemuro-footpath.com/ochiishi/

今日のおやつ: あんこはハズレ!? 5つの味が ランダムに入ったレアなパン。 島根県「おやつあんパン」

今日のおやつは、島根県隠岐の島町にあるパン屋「木村屋」さんで見つけた
「夢がいっぱい! おやつあんパン」。
なんでも、島根県の一部の地域では昔から馴染みのあるパンだそうです。

一見すると、かわいい袋にパンが5つ入ったふつうのパンに見えますが、
実はこれ、中身が全部違う味なんです。
内訳は、こしあん、白あん、チョコ、いちごジャム、クリーム。
一番上に乗っているのは「こしあん」と決まっていて、
あとはランダムに入っています。
地元の人たちに聞いたところ、子どもの頃のおやつの定番だったそう。
「チョコを引くと当たり、次にジャム、次にクリーム。
あんこは親たちにあげていた」そう。
子どもってチョコ味が好きですもんね。

牛乳と食べたいあんパン。

一番人気のチョコクリームパン。子どもが好きそうな、懐かしさを感じるチョコ味です。

いちごジャムのパン。意外とたっぷりと入っててうれしい。

パンとクリームの柔らかさが嬉しいクリームパン。

ほどよい甘さの白あん。

親子で手作りのパン屋さん。地元のスーパーなどにおろすのがメインのようですが、こちらの工場でも買う事ができます。ふかふかとした食感のパンが凄くおいしい!

こちらのおやつあんパン、隠岐の島町では未だに馴染みがあるそうですが
その後調査したところ、
島根県の中でも雲南市出身の方など一部の人しか見覚えがなく、
それも、今ではあまり見かけなくなったというレアな存在だそうです。
昔から続くパン屋さんでしか、もう作られていないのかもしれません。
なに味が当たるかお楽しみなパン、
島根で見つけたらぜひいただいてみてください。

木村屋パン店

電話 08512-2-0072

住所 島根県 隠岐郡隠岐の島町 西町八尾の二72

定休日は日曜日、水曜日は昼まで。7時半くらいにOPEN。

「チーズ工房チカプ」 野鳥のさえずりが聞こえる森で、 放牧牛乳で手づくりするチーズを

シマフクロウ、アカゲラ、シマエナガ。
北海道に生息している鳥が描かれた、かわいらしいパッケージのチーズたち。
“チカプ”とはアイヌ語で“鳥”という意味。
そんな鳥たちが遊びにくるような、
自然豊かな場所に〈チーズ工房チカプ〉はあります。
根室市の市街地からも車で20分と少し離れていて、
深い森に包まれた場所です。

かわいい青い看板が目印。

工房を営んでいるのは菊地亮太さん、芙美子さんご夫妻。
亮太さんは神奈川出身、芙美子さんは長崎出身。
ふたりとも、都内でそれぞれシステムエンジニア、
WEBデザイナーの仕事をしていました。
そんな夫妻が根室でチーズ工房を始めるきっかけをくれたのは、
芙美子さんのお姉さんでした。
お姉さんはご夫婦で、もともとこの場所にあった牧場を譲り受け、
新規就農して〈横峯牧場〉を始めて、放牧で牛を育てていました。
「一度遊びに来たら?」
と声をかけられて、初めて訪れた根室。
北海道とはいえ本当に何もなくて驚いたそうです。

「もっとおいしいチーズがつくれるはず! と、毎回思います(笑)」と話す菊地さんご夫妻。

「三友牧場さんのチーズを食べたら、びっくりするほどおいしかったんです。
食べることも好きだったし、
こんなチーズをつくれるようになれたら……と思って」
お姉さんたちの牧場にはチーズの工房も併設され、
次の人がすぐにできるようにと、チーズをつくるための機材も揃っていました。
そこで、ふたりは都内の仕事を辞め、
中標津にある〈三友牧場〉で1年4か月、チーズづくりを学びました。

チーズ工房兼ショップ。

その後1年間は、工房で試作を繰り返しました。
工房があったとはいえ、長年使われてなかったチーズの熟成庫は、
チーズづくりのためのいい菌がいなくなっていて、
最初はうまくいきませんでした。
チーズの菌がすみ続けるようになるまでに、
何度も何度も試作品をつくっては捨てての繰り返しだったそうです。

ハードタイプの長期熟成チーズ“シマフクロウ”を作っているところ。

なんとか納得できるチーズができるまで約1年。
工房をオープンしたのは、2013年12月のことでした。
現在は5種類のチーズをメインに作っています。

チカプのチーズの原料は、牛乳と塩だけ。
チーズに使われる牛乳は、お姉さんたちが営む横峯牧場のもので、
夏は放牧で、草原の草を食べるので、風味豊かでさっぱりとした味わい。
冬は脂肪分が高くてミルキーです。
季節により味がちがう牛乳を使うので、毎回が菌との真剣勝負。
なかでも、長期熟成で深い味わいのシマフクロウをつくるチャンスは
放牧をしている夏のシーズンだけで、後の半年は熟成期間。
失敗してもすぐにつくり直すことはできません。
「調整が大変だけれど、じっくりと向き合っていこうと思います。
そうした味の違いも知ってほしいし、
楽しんでもらえるようなチーズをつくっていきたいです」

野鳥が棲む地で、ふたりのチーズづくりへの挑戦は続きます。

深い森に囲まれた牧草地に建つチーズ工房。

information


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チーズ工房チカプ

住所:根室市川口54-3

TEL:0153-27-1186

営業時間:10:00~17:00 

定休日:火・水曜休

駐車場 あり
http://www.chikap.jp/

向かうは「すし善」。 親子で切り盛りする 根室の旬を握る寿司店

カウンター席には地元の常連さんの姿。
その日の新鮮な魚介を、善博さん、慎一郎さん親子二代で握っています。
〈すし善〉は根室で店を初めて19年。
息子の慎一郎さんは、調理師学校を卒業後、札幌の寿司屋で修行し、
15年前から店に出てお父さんを支えています。

カウンターは、常連客さんたちでにぎわう。

ガラスケースには見るからに新鮮な魚介が並んでいます。
まるでほら貝のように大きな真つぶ。根室で採れる真っ赤なエゾ赤ホヤ。
ねっとりとした食感のタラバカニの内子やプツプツとした歯ざわりの外子。
昆布でしめたオヒョウ、新物のすじこなど、根室の旬が味わえる握りの数々。
シャリには道産のななつぼしが使われています。

その日一番おいしいネタを握ってくれる。特上生にぎり2270円、上生にぎり1940円、中生にぎり1400円、生にぎり1100円。

この日特別にいただいた新鮮なエゾ赤ホヤのにぎり。初めての食感!

根室産のさんまを昆布で巻いた〈根室さんまロール寿司〉(860円)もおすすめ。
根室の新ご当地グルメとして考案され、
市内7か所の飲食店で提供しているメニューです。
歯舞諸島にある貝殻島で採れ、
漁期は一年のうちわずか2〜3週間という貴重な「棹前昆布」 を使っています。
出汁に使う堅い昆布のイメージとは異なり、
透き通った柔らかくてしっかりとした旨みのある昆布です。
脂がのった根室産のサンマの旨みと、
北海道産のななつぼし、ネギや大葉、ゴマの風味でさっぱりといただけます。

こちらがサンマロール寿司。

〆のお椀も体にしみ込んでいくおいしさ。

地元客に愛される寿司の老舗。
根室の旬を味わいにぜひ足を運んでみてください。

information


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すし善

住所:根室市梅ヶ枝町2-6

TEL:0153-22-3938

営業時間:17:00〜22:30 

定休日:日曜

地域に愛され続ける まちの魚屋「魚信」。 根室ならではの鮮魚が豊富!

サンマの水揚げ量日本一と言われる、根室市。
その市街地、ひときわ活気あふれる雰囲気の魚屋があります。
店内に一歩入ると、明るく照らされた店内には、
早朝に仕入れた旬の魚がぎっしりと並び、
買い物かごを手にした地元客で賑わっています。

店内には、鮮魚のほかに魚総菜も並び、常連客と店員の会話が飛び交う。

取材で訪れた8月末はサンマ漁が始まったばかり。
店の入口では、早朝に仕入れたサンマの選別・箱詰め作業が行われています。
高級車ぐらいの値段がするというサンマの選別機もフル回転。
たえず手を動かしながら、
お客さんに声をかけているのは、魚信社長の浅野昌英さん。

身体も頭もフル回転で対応してくれた浅野さん。

もともとは今の店の6分の1ぐらいのスペースで、
車庫のような店からスタートした魚信。
30年の歴史を支えてきたのは地域のお客さんたちと浅野さんは語ります。
「根室はお年寄りが多いから、個人宅への配達を始めたんだ」
初代社長が引退後、一時期は従業員の数も減ったこともあるそうです。
浅野さんが根室に戻ってきて社長になってからは、
徹底した地域密着型の魚屋として、
地元客の信頼を得るところから始めました。
「うちのお客さんには『冷蔵庫には魚をためないでいいよ』って言ってる。
うちの店を冷蔵庫だと思ってもらえればいいから。
ここにはその日に仕入れた魚があるからね。
だからお客さんはほとんど毎日魚を買いに来るんだよ」

ナベコワシ、ウサギアイナメ、青ソイなど根室ならではの地魚も豊富。

魚の仕入れは地元で揚がったものが中心。
落石、花咲、根室、歯舞、それぞれの漁港から新鮮な魚を仕入れています。
店内にはこの土地ならではの珍しい魚も並んでいます。
例えば、ウサギのような顔をしたウサギアイナメ(300円〜)、
お腹が膨らんだナベコワシ(300円〜)。
一体どうやって食べるの? と思ったら、
ハキハキと元気な従業員の人たちに尋ねてみましょう。
ウサギアイナメは煮付や味噌漬けに、
ナベコワシはその名のとおり鍋に、
と地元ならではの美味しい調理の方法を教えてくれます。

青光りして、見るからにおいしそうな新鮮なサンマ。

サンマの発送だけでも何トンもの量。
1日4〜500ケース、多いときは1500ケースものサンマを
朝から晩まで出荷し続けるそうです。
透明で澄んだ目をした見るからに新鮮なサンマは、ぜひ刺身で。
地方発送のクーラーボックスには刺身のさばき方も書いてあります。
サンマは時価で価格は毎日変動します。
(取材時は1尾140円、20尾1ケース2800円)

「うちの店はね、お客さん同士も仲がいいんだ」
魚屋で毎日のように顔を合わせて声をかけ合う。
漁師町らしいコミュニケーションの場がそこにはありました。

information

魚信

住所:根室市緑町3-27

TEL:0120-16-3817

営業時間:8:00〜17:00 

定休日:日曜

※駐車場 30台
http://www.n-uoshin.co.jp/

息をのむほどの美しさ! 広島県三次市名物「霧の海」を 見ながら朝ごはんイベント 開催

山の下に立ち込める霧がまるで雲の海のように見える「雲海」。
実は広島県北部の「三次(みよし)市」の秋の風物詩でもあります。
この貴重な霧の海を地元の観光資源とするべく、
展望台で朝ごはんを食べる「雲の上の朝ごはん」イベントが
2015年10月13日(火)、三次市内の高谷山展望台周辺にて開催されました。
三次市が開催したモニターツアーで、大阪〜福岡から22名が参加。
当日はお天気に恵まれ、自然が創り出す「霧の海」の美しさに息をのみました。

高谷山展望台

メインイベントは、霧の海が見下ろせる展望台での、
三次市特産品を活かした朝ごはん。

朝ごはんのメニューは、三次産の「神石高原特製ウィンナー」
「三次産カボチャと二本松牧場の牛乳を使ったポタージュスープ」
などに加え、なんと「三次のワニ串カツ」も!!
ワニとは実はサメのことで、山間部で食べられる貴重な魚として
昔から重宝されているのだそう。これにはびっくりです。

朝ご飯のメニュー

「guild Nemuro」 あらゆる時代や国籍のものを 根室から発信

北海道の最東端のまち根室市。
その郊外、自動車メーカーが並ぶ大きな通り沿いに、
ポツンと建つ白いガレージのような建物。
なかに入ると、がらんとした大きな空間に、
キリンの剥製、クジラの頭の骨、アンティークのテーブルやイス、
アメリカの先住民〈ズニ族〉のお守り、気泡の入った古いワイングラスに
柔らかなランプの灯り……
まるで異国の博物館のような、不思議な空気が漂っています。

店主、中島孝介さんは長野県出身。
東京でアートやデザインの古書や新刊本を扱うショップ
〈リムアート(現POST)〉のスタッフとして働いていました。
どこかで店をやりたい、そう思いながら縁があり、根室を訪ねました。
先に東京から移住していたジュエリーデザイナーの古川広道さんが、
落石海岸や春国岱など根室のいいところをいろいろ案内してくれたそうです。
「4月に根室に来て、雪が溶けかけてグレートーンに染まる景色が、
もともと好きだった画家・アンドリュー・ワイエスが描く風景画に似ていたんです。
初めての北海道で根室へ来て、滞在2日間でここに住むことに決めました」

中島さんが根室を訪れるきっかけとなった、ジュエリーデザイナー古川さんが手がけたシルバーのバングル。エゾシカの角をイメージしてつくられた力強いフォルムと、繊細なオリーブの彫刻が美しい。

根室に移住して約半年後、2013年5月に店を開きました。
もともとは自動車の整備工場だった建物を友人に教えてもらい、
大家さんに根気強く交渉し借り受けました。
内装は知り合いの大工さんに頼みながら、
ペンキ塗りなどできるところは自分で改装したそうです。

店内。手前にあるのは、オランダのアンティークのお皿。右奥にdigawelのシャツとデニムが並ぶ。

キリンの剥製とクジラの骨以外、店に並んでいるものは、
器を並べているテーブルもイスも、すべて販売しています。
当初は古いものを中心にしていましたが、
新しいものでいいものも扱うようになったそうです。
「生活に根づいたもの、衣・食・住をすべて扱いたいと思っています」
1950年代のドイツの写真家の写真集、緑色のオランダの古い瓶、
19世紀のフランスのグラス、
〈rimowa〉のヴィンテージスーツケースといった古いものから、
〈digawel〉のシャツとデニム、インドのガラス容器〈VISION GLASS〉、
波佐見焼の〈Common〉のテーブルウェアといった新しいものまで、
毎日の生活を豊かにしてくれるような品々が並んでいます。

くじらの頭の骨。

アンティーク雑貨は、年に2回、
ヨーロッパ各地のものが集まるオランダのマーケットへ、
インテリアや器の買い付けの旅へでかけます。
ほかにも札幌やアメリカのディーラーと取引したり、
guild Nemuroにはさまざまな場所から集まってきたものが揃っています。
「時代も国籍も関係なく、自分がいい、と思ったもの」
中島さんが買いつけた品々には、中島さん自身のぶれない視点、
軸となっている独特の感性が光ります。

ズニ族のお守り、フェティッシュ。神の力で石になった動物の魂が込められていると信じられている。ウルフは“知識の共有” “旅”、イーグルは“創造者”などそれぞれの動物によって秘められた力が異なる。ターコイズを削った素朴なかたちがかわいらしい。

中島さんは、特に根室の冬が好きだそうです。
「星がきれい。冬が好きで、昼間は青い空と白だけの世界になるんです。
別当賀というところは特に、人工的な光がなくて星がきれい。
遠くからか動物の鳴き声が聞こえてくるのに、
どこにいるのかわからないような感覚になります。
自分が自然の中にお邪魔している感じなんです」
身体感覚を研ぎすます根室での生活は
生きるということの本質をつきつけられるという中島さん。
「根室っていう場所で培う感覚を店に落とし込みたい」

店名の“ギルド”とは、中世ヨーロッパで、商人の集まりという意味。
「同じ感覚の人、似た感覚の人、見てる先が一緒の人が、
職業に関係なく、いろんなところから集まってほしい」
という想いで付けられた店名です。
地元から遠方まで感性の似た人たちが集まり、共有して生まれる場と文化。
中島さんが根室での生活を楽しみながら、
“ギルド”はこれからも、ものや場を通して発信され続けます。

根室や周辺のまちのステキなところをいろいろ教えてくれたやさしい中島さん。

information


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guild Nemuro

住所:根室市昭和町4-396

TEL:0153-20-4121

営業時間:11:00〜19:00 

定休日:月・火曜

※駐車場 あり
http://www.guild-nemuro.com/

「阿寒湖アイヌコタン」 アイヌの人々が暮らしながら、 文化を継承する場所

〈アイヌコタン〉とは、
北海道の先住民族であるアイヌの人々が暮らす集落のこと。
釧路市阿寒町、阿寒湖畔に位置する〈阿寒湖アイヌコタン〉には、
130名あまりのアイヌ民族が暮らし、
かつてのアイヌ民家を再現した建物や、
アイヌに伝わる木彫などの民芸品店や飲食店など数十店が並んでいます。

店内に小さな工房スペースがある民芸品店もあり、
そこで彫刻家の方たちが木を削っている姿を見ることができます。
それぞれのお店によって個性ある木彫りの民芸品が並んでいるので、
いろいろと見比べてみるのも楽しいです。

〈クロユリ屋〉で見つけたアイヌ木彫りのアクセサリーや髪飾り。下に敷かれているのは、アイヌ刺繍の手づくりのマット。

注目されているアイヌアート彫刻家のひとり、藤戸康平さんは、
〈熊の家〉という民芸品店の二代目。
康平さんが手がけた繊細なアイヌ文様が施された木製のiPhoneケースは、
国立歴史民俗博物館にも展示されています。
康平さんの父・藤戸竹喜さんは、
緻密な彫刻でアイヌ木彫りを芸術の域まで高めた彫刻家。
けれどお父さんから木彫りを習ったりしたことはなかったそうです。
「自分なりに木彫りを始め、最初に彫ったものはフレンチブルドッグ。
彫っているうちに木彫りにはまっていって、
知人から頼まれているうちにいろいろなものをつくるようになったんです。
凝りに凝って納得するまで彫ります。
好きで彫っているから……それがよかったんでしょうね」

こちらが藤戸康平さん。

康平さんが彫刻で使う木は、アサダという落葉樹で、
床材や家具、そば打ちの麺棒などに使われるような硬い素材です。
削るのは大変だけれど模様が目立つので、繊細な模様を施せるように、
あえて硬い木を使っているのだそう。
いまつくろうとしているのは、木のフレームのメガネ。
蝶番の部分も木のみでできるような仕組みも自分で考えました。
iPhoneケースもメガネも、日常で身につけるもの。
アイヌの先人たちが魔除けのために日常の衣服や食器に装飾を施し、
生活していたように、
康平さんは現代の暮らしで使う道具を装飾し、
アイヌの伝統を受け継いでいます。

熊の家の店内には、木彫りオブジェや器、アイヌ刺繍の民芸品が並ぶ。中央のキッズ用Tシャツは、熊の家オリジナル。

コタン内に2012年にオープンした〈阿寒湖アイヌシアター イコㅁ〉では、
ユネスコ世界無形文化遺産にも登録された〈アイヌ古式舞踊〉を観覧できます。

イコㅁの入り口。

祝宴の場で歌われる『座り唄(イタサンカタ)』や、
鶴の羽を広げたような喜びや遊びなどの感情を表現した『鶴の舞(サロルンリムセ』、
ほかにも動物や自然を表現した踊りなど、
アイヌと和人(本州の人)との関わりなど文化的な背景の解説を交えながら、
アイヌに受け継がれるさまざま踊りを観ることができます。

長い黒髪の美しさが際立つ『黒髪の踊り』。

『黒髪の踊り(フッタレチュイ)』は、
髪の長い女性が上半身を激しく揺らして、
髪の毛を振りかざして踊る激しい踊り。
「小さな頃からコタンで踊りを教わってきました。
週に1、2回は、学校の帰りにみんなで集まって踊りを教えてもらうんです」
と話す、踊り手の篠田マナさん。
人から人へ語りを通じて受け継がれてきたアイヌの口承文化は、
今なおコタンで息づいています。

篠田さん。

館内にはアイヌ刺繍のタペストリーも飾られています。
それぞれの地方によって異なるアイヌ刺繍。
道東地方は刺繍糸だけで文様を描く“チヂリ”という手法が特徴だそうです。
コタンにいるおばあさんたちに冬の間の仕事として代々受け継がれています。

代々伝承されてきたアイヌ古式舞踊から、
現代的なアイヌアートまで、さまざまなかたちで息づくアイヌの世界観。
アイヌコタンでは、アイヌの人たちが生活を営みながら文化を発信し続けています。

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阿寒湖アイヌコタン

住所:釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7

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阿寒湖アイヌシアター イコㅁ

TEL:0154-67-2727

営業時間:11:00〜21:00(公演により異なる)

料金 大人1080円、小学生540円
※駐車場 あり
http://www.akanainu.jp/

六花亭のカフェレストラン 「ポロシリ(中札内美術村)」で 地元の旬野菜をたっぷりと!

柏林の原生林の中に続く枕木の道を、迷いこむように歩いて行くと、
深い茶色をした木造りの建物が見えてきます。
扉を開けると、開放的なオープンキッチンからは、
包装紙と同じ花柄のエプロンを身につけた店員さんが
さわやかにあいさつをしてくれます。
〈ポロシリ〉は、六花亭が経営するカフェレストラン。
この土地ならではのおいしい食材を生かした家庭料理を、
柏の林に囲まれた自然の中でゆっくり味わってもらいたいと、
1992年、〈中札内美術村〉とともに敷地内にオープンしました。

柏林のなかに佇むポロシリ。

ポロシリのメニューに息づくのは、
お菓子づくりと同じく、身体に安心で安全な食べものをつくるという六花亭の精神。
カフェテリアのカウンターに並ぶのは、
旬の野菜を使った家庭料理。
お客はトレイを持って並びながら、
順番に好きなメニューを選んでお皿をのせていきます。

木のトレイを持って、料理を選んで注文するカフェテリア形式。

自社農園で朝採れたばかりの野菜をたっぷり使った農園サラダ(350円)をはじめ、
夏はきゅうりやトマトを使ったサラダや漬物、
ズッキーニやオクラがたっぷり入った野菜カレー(680円)、
秋はきのこを使ったきのこ汁(260円)や胡麻和え(270円)、
カボチャたっぷりのパンプキンスープ(320円)など、
季節によって野菜を使ったさまざまなメニューが登場(年によって内容、価格は変動あり)。
観光客だけでなく、何度も足を運ぶ地元の常連客が多いのも納得です。

すこし半熟のゆで卵がのったポテトサラダは320円。ホクホクじゃがいもと新鮮野菜が入っておいしい。

ほかにも、刻んだキャベツやブロッコリーがぎっしり入った野菜コロッケ(190円)、
地元の豆腐屋さんの豆腐を使った素揚げ豆腐(280円)、
牛肉を長時間じっくり煮込んだポロシリカレー(790円)など定番の人気メニューも。
チーズケーキやバウムクーヘン、ソフトクリーム(季節限定)など、
六花亭ならではのケーキやデザートももちろん楽しめます。

木のぬくもりを生かした落ち着いた内装。
椅子やテーブルには、ハマナシやスズランなど、
六花亭の包装紙にも描かれている
坂本直行さんの植物画がさりげなくあしらわれています。

晴れた日には、ぜひテラス席へ。
柏の林にはときどきエゾリスも遊びに来ます。
時折響く、カーン、カーンという音は、時を知らせてくれる鐘の音。
教会の鐘のように、森の中にこだまします。
コーヒー(210円)はおかわり自由。お気に入りの本を持って、
テラス席で読書を楽しむ人の姿も見られます。
時間を忘れて、のんびりくつろげる場所です。

8月下旬に訪ねたメニューの一部。朝採りの野菜を使った農園サラダ(350円)。トマトソースで甘く煮込んだ手芒豆にチーズをかけて焼いたポロシリ(470円)。夏の旬の時にだけ食べられる三杯酢で漬けたトマトサラダ(320円)。旬のブルーベリーとともにいただいた〈ヨーグルト〉はマスカルポーネチーズのような濃厚さ。

中札内美術村には、山の風景などが展示されている〈相原求一朗美術館〉、
東大寺の蓮の襖絵レプリカなどが展示されている〈小泉淳作美術館〉、
板東 優さんの彫刻が展示された〈夢想館〉などの美術館が点在しているので、
ゆったりと散歩をしながら眺めるのもおすすめです。
〈北の大地美術館〉ではバイオリンの演奏会が不定期で開催されていて(来季については未定)、
食後の音楽鑑賞に気軽に立ち寄るのも楽しみ。

〈柏林(はくりん)〉と名づけられた売店には、
カフェで使っているお皿や陶器も販売しています。
他にも六花亭のお菓子はもちろん、
包装紙の植物画の絵葉書やエプロンなど
グッズ類はほかではなかなか手に入らないオリジナルグッズも揃っています。

柏の森、初夏にはスズランが一斉に咲き、林の中は甘い匂いでいっぱいになります。
秋には落ち葉やドングリが枕木を埋め尽くします。
季節の移ろいを感じながら、森の中を歩いて食べに行くカフェランチ。

ポロシリを取り囲む柏林。

開館期間は、4月下旬からは10月中旬まで(2016年開館は4月28日(木)〜を予定)。
今年(2015年)の営業は10月18日(日)までで、その後は冬の長いお休みに入ります。
冬のお休みに入る最後の日は、店員さんと地元のお客さんが、
「今年もありがとうございました。また来年」と、
まるで年の瀬のような挨拶を交わしている姿も見られます。
長い冬の訪れを前に、北海道ならではの季節を感じる一幕です。

information

カフェ ポロシリ/中札内美術村

住所:河西郡中札内村栄東5線

TEL:0155-68-3003

営業時間:10:00~17:00(10月は~16:00、ランチタイムは11:00~15:00)
冬季休業

※駐車場 あり
http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index.html

※メニュー、価格は2015年のもので来季は異なる場合もあります。

六花亭の包装紙の挿画を鑑賞。 「花柄包装紙館(六花の森)」で 季節の草花と森に包まれる

ハマナシ、エゾノリュウキンカ、オオバナノエンレイソウ……
北海道に自生する野の花が一面に描かれた、
北海道の人ならば必ず目にしたことがある紙袋。
〈マルセイバターサンド〉などで全国的に知られる
菓子メーカー〈六花亭〉の包装紙として親しまれている絵柄です。

六花亭の〈六花の森工場〉の敷地には、
そんな六花亭の包装紙に描かれた草花が咲く森があります。

花柄包装紙館の趣ある建物はクロアチアの古民家を移築したもの。園内各所にあるギャラリーも同様で、絵画作品などが展示されています。

帯広の本社工場に次ぐ第二の工場として、
とかち帯広空港からほど近い中札内村に
1998年に開業した六花亭の六花の森工場。
マルセイバターサンドを主に作っているこの工場の敷地には、
もともと澄んだ清水が流れ、
オオバナノエンレイソウなどの草花が自生する美しい森がありました。

この場所に花柄包装紙の草花が咲く森をつくりたい——
そんな構想から生まれた〈六花の森〉。
自然のままの花の群生地を大切に守りつつ、
山野草の定植を重ねたその森は、
工場の可動から9年後、2007年に一般開放のガーデンとしてオープンしました。

花柄包装紙館の入り口。

六花の森の敷地内には、木造の小さなギャラリーが点在し、
園内を散策しながら歩けるようになっています。
そのなかのひとつ、〈花柄包装紙館〉には、
その有名な包装紙の原画の複製画が展示されています。
その歴史は半世紀以上、1961年から使われているという包装紙。
包装紙の絵を描いたのは、山岳画家であり、
十勝の原野で開拓民として生きた坂本直行(なおゆき)さん(1906-1982)。
地元では親しみをこめて、“ちょっこうさん”と呼びます。
原野に咲く草花を描いた絵は、
いまでも六花亭のお菓子のパッケージに多く使われています。

ひとつひとつの草花の鮮やかな色合いと、切り貼りされた配置の絶妙なバランス。一枚の包装紙としてまとまりのあるデザインとなっています。

花柄包装紙にはこれまでに歴代7種類のパターンがあり、
全部で69種類もの山野草が描かれてきました。
(現在使用されているのは基本的に1〜2種類)
花の名前とともに、花ごとにひとつずつ切り抜いて、
直行さん自身がいろいろな角度に並べたもので、
一枚のレイアウトを完成させるのに一週間以上もかかったと言われています。
包装紙の原画の複製画からは、
ひとつずつ丁寧に切り貼りされた直行さんの仕事ぶりがうかがえます。

建物の中は全面に包装紙柄の壁紙が貼られ、花柄で包まれています。

坂本直行さんの山の絵や草花のスケッチが展示されている、
〈坂本直行記念館〉や、
六花亭が発行する『サイロ』という児童詩誌の表紙絵を集めた、
〈サイロ五十周年記念館〉など、敷地内のその他のギャラリーでも、
坂本直行さんの絵を観ることができます。

六花の森の開園期間は、4月下旬から10月中旬まで(2015年は10月18日まで)。
4月下旬の開園時期には、まだ冬の風景が残っていて、
水辺には水芭蕉が咲いています。
ゴールデンウィーク明け頃から森は賑やかになり、
オオバナノエンレイソウの森には、
真っ白なエンレイソウとニリンソウがぎっしりと咲き積もります。
川辺にはエゾノリュウキンカが黄色い花を咲かせます。
夏には、包装紙の真ん中に描かれているハマナシが鮮やかなピンク色の花を咲かせ、
森は甘い香りに包まれます。
秋は、エゾリンドウやキキョウなど紫色の花が静かに茂り、
色々な植物が、赤や黄色の小さな実をつけます。

森に流れる大きな時間と、繰り返される季節の中で、
包装紙の森はこれからも進化し続けていきます。

訪れる季節によって、咲いている花はさまざま。風景ががらりと変わります。

information


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花柄包装紙館/六花の森

住所:河西郡中札内村常盤西3線249-6

TEL:0155-63-1000

営業時間:10:00~17:00(6~8月は9:00~、10月は~16:00)、冬季休業

入園料 大人800円、小中学生500円
※駐車場 あり
http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index2.html

パワースポット「神の子池」へ。 まるでガラスのような透明度の パワーがもらえる青い泉

弟子屈町にある湖〈摩周湖〉から車で走りやすい道を抜け、
裏摩周展望台入口を横目に見ながら北へ。
小さな看板に従ってダートの林道を入ると、
2キロほど進んだところに、
知る人ぞ知るパワースポット〈神の子池〉があります。

気持ちのよい林道を通っていきます。

車を降りた視界の先には深い森。
散策路に入るとすぐに、驚くほど透明な水をたたえた小さな池が見えてきます。
“カムイトー(神の湖)"と呼ばれる、
摩周湖の伏流水からできているという言い伝えから、
“神の子池”という名がついています。
世界でも有数の透明度を誇る摩周湖は、
湖に流れ込む川も流れだす川もないのに、
水位が変わらない不思議な湖と言われています。
その秘密は湖の周辺に神の子池のような伏流水が湧いているから。
“摩周ブルー”と呼ばれる独特の群青色をみせる摩周湖ですが、
伏流水である神の子池も、美しい神秘的な青が印象的です。

池の周囲は約220メートルと、ぐるりと周りを散策できます。
水の深さは5メートルありますが、透明度が高く水底までくっきりと見えます。
水底からぽこぽこと水が湧き出ている様子に心から感動。
湧き出す水の量は、なんと1日1万2000トン。

水面から、湧き水がわいている様子がわかる。

透明すぎて、水中の倒木がくっきりと見え、
まるでガラスを通して見ているかのようです。
水温が年間を通して8度と低いため、
水の中の倒木が腐らずにまるで化石のようにそのまま沈んでいます。
目を凝らせば、青い池の中を美しく泳ぐ魚影がたくさん見えます。
この魚は、オショロコマという渓流魚で
日本では北海道にしか生息していません。

原始の地球に出会ったような、そんな不思議な感覚を覚える場所。
日本にもまだまだ自然は残っていて、
その美しさ、神々しさに心惹かれます。
摩周湖を訪れたら、ひと足のばしてぜひ立ち寄ってほしいスポットです。

information


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神の子池

住所:斜里郡清里町字清泉

TEL:0152-25-4111(きよさと観光協会)

※駐車場 あり

森の中の小さな料理店 「かっこう料理店」で 十勝の恵みをまるごといただく

帯広市中心街から車で30分、更別村の畑の中に、かっこうの鳴く森があります。
駐車場から小道を通って、森の向こうに現れる、こげ茶色の木の建物。
入り口には白く清潔な暖簾がかかっていて、
まるで童話の世界のような佇まいです。

柏の森の小道を歩くとかわいらしい建物が現れます。

店主の渡邊正和さん、知子さんご夫婦は、
2011年に更別村に引っ越してきて2年間場所を探し、
今の森に出会って2013年に店をオープンしました。
東京出身の正和さんは帯広市にある帯広畜産大学を卒業後、
料理人を目指して東京へ。
夜間の調理師学校へ通い、西荻窪にある〈のらぼう〉で料理の修行をします。
畑をしながら料理店を開きたいという夢を叶えるため、
学生時代を過ごした北海道へ戻りました。
同じ大学の同級生だった知子さんと一緒に、
日高山脈が綺麗にみえる更別村で、念願の料理店を開きました。

道路沿いにあるこちらの看板が目印。

かっこう料理店のメニューは、〈やさいごはん〉と
〈やさいごはん〉に肉料理などの主菜が付いた〈とかちごはん〉の2種類。
先付けからはじまり、かっこうサラダ、
かき揚げやだし巻き玉子などの野菜料理いろいろ、土鍋ごはん、お味噌汁、
最後は着物姿の知子さんが点ててくれるお抹茶と和菓子、
とコース仕立てて、一品ずつ運ばれます。

先付けは、更別村にある野矢農場の大根のネギ味噌かけ(上)。野菜料理いろいろ皿(下)。この日は、夏野菜の揚げ浸し、噴火湾産ベビーホタテと大根の和え物、更別産ニラ入り出汁巻き玉子、人参葉のかき揚げ、トウキビと南瓜のゴマ和え。季節の野菜を使っているので、内容は日によって変わります。

まず、おしながきに書かれた“本日のお野菜”の種類の多さに驚かされます。
「十勝には思っていたよりもたくさん野菜があって、
農家さんに買いに行ったら『この野菜使ってみて』といただいたり、
欲しい野菜をつくってくれたり」(正和さん)

かっこう料理店の看板のひとつ、〈かっこうサラダ〉は、
まさに豊かな十勝の土地で農家さんのつくったいろんな珍しい野菜がいっぱい。

〈かっこうサラダ〉は色も味もカラフル。冬は〈かっこうおでん〉になります。

黄色や紫色の人参、ナスタチウムやボリジといった食べられる花、
縞模様の地豆など、ひと口食べるたびに味わいの異なる、楽しいサラダです。
ほかにも長芋、きゅうり、トウキビ、キャベツ、南瓜、金時豆など数種類の豆、
グズベリーなど果実類、アクセントに更別産のポテトチップスと、彩り豊かに。
正和さんも何種類入ってるのかわからないほどだそうです。
(編集スタッフが数えたところ25種類の野菜や果実が入ってました!)

とかちごはん(2000円)には、肉料理や魚料理がつく。この日はお野菜入りミートローフ。

テーブルごとに炊きたてを出してくれる土鍋ごはんは、2種類から選びます。
かっこう畑で採れた豆を使った豆ごはんの米は、
手植え、手刈り、天日干しした東川町産無農薬米。
毎年秋には、ご夫婦で稲刈りのお手伝いにも行くそうです。
もう一種類は、季節によって野菜が変わり、今回はカボチャと肉味噌のごはんでした。
ホクホクの甘いカボチャと濃厚な肉味噌の相性が絶妙なおいしさです。

土鍋ごはんはテーブルごとに炊きたてを出してくれます。

“かっこう”という店名は、畑仕事を始める季節の合図である
「かっこうが鳴いたら豆を蒔く」という農家に伝わる言い伝えと、
4歳になる息子さんが1歳のころ、
初めて言った言葉が“かっこう”だったから。
鳥のさえずりが響く森の中。窓の外からはミズナラ、柏の森を望み、
冬には清らかな小川も顔を出す環境で、家族でつつましく暮らしています。
「メニューは毎日少しずつ変えています。
特に最初にお出ししている先付けは、あたたかい日は冷たいもの、
寒い日は温かなものにしています。
暑いかなー? いや寒いんじゃない? って、
その日の朝に今日の天気はどっちどっち? と夫婦で悩んだりするんです」
と笑う知子さん。そんなご夫婦の優しい人柄もこの店の魅力です。

コースのしめくくりは、知子さんが点ててくれる有機宇治抹茶と手作りの和菓子。優しい味わいにほっとします。

「食べ物が、誰がつくったのか、
どこで育ったのかがわかるというのは、すごい幸せなことだと思います」(正和さん)

おしながきにある
“食べることは生きること。明日に繋がるお食事を”
という言葉の通り、心身ともに清らかになっていくような、
心地良くお腹を満たすことができる、料理の数々。
笑顔の素敵なご夫婦のあたたかな人柄。
窓の外に広がる柏の森……人、食、自然と、
十勝のよさを味わうことのできる料理店です。

小さなお店なので、予約制とのこと。
夏休みなどの繁忙期は、当日の予約が取れないこともあるので、予め連絡を。

笑顔が素敵な渡邊さんご夫婦。

information


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かっこう料理店

住所:河西郡更別村字勢雄317-8

TEL:0155-52-5180

営業時間:11:00〜15:00(予約制) 

定休日:日曜・祝日、ほか不定休あり

http://kakkouryouritenn.blog.fc2.com/

「糠平温泉 中村屋」は 手にするもの、口にするものすべてが、 ローカルで手づくりの宿

帯広市の中心街から車で1時間20分。
上士幌町・ぬかびら源泉郷に、心のこもったおもてなしが評判で、
地元の人たちが何度も足を運ぶ宿があります。
玄関には〈中村屋〉の文字と、
季節ごとの糠平の風景が描かれた手づくりの暖簾。
柱時計や福助人形、足踏みミシンなどが置かれたロビーは、
昭和の古民家にお邪魔したようなぬくもりのある雰囲気。
アメ色のソファに座り、
火鉢でパチパチとポテトチップスを炙っていただくことができます。
調度品のほとんどは、かつて土産物屋をしていたときのものや
古い農家や民家からいただいたものだそう。

ロビーでは、所蔵の本やマンガを読めたり、カフェメニューも頼めたり。

瓶からポテトチップをとって、火鉢で炙る。あつあつはたまらなくおいしいです!

廊下にずらりと並ぶ自家製の果実酒。
アキグミ、エゾヤマザクラ、コクワ、ふきのとうなど、
夕食時に選ぶことができます。

廊下に並ぶ果実酒。効能も書かれているので、その日の体調に合わせて選んで。

現在の中村屋のはじまりは、昭和52年。
土産店を経営していた当時、
昭和はじめから続いていた旅館の建物を買い取って宿泊業を始めました。
その頃の旅行スタイルは団体客が主流で、
55の客室を持つ中規模旅館として経営していましたが、
団体ツアーブームが去った後、中村屋は大きな方向転換をしました。
15年ほど前に、それまで55室あった客室を、19室まで縮小。
個人客へきめ細やかなおもてなしをできる宿へと
その方針を変えていったのです。

一室ずつ趣の異なる客室は、すべて社長の中村準一さんと、
娘婿の健次さんの手作業によるもの。
材料は古民家から集めたどっしりとした梁や建具、床板など。
古いタイルが散りばめられた洗面台。
エゾシカの革が貼られた畳、池田町産のミズナラを使ったベッドボード、
足寄産のエンジュを使った客室のドア。
客室の木材や畳の縁も、ローカルに根づいたもの、地産地消を目指しています。

改修した新和洋室の一例。こちらは、客室103。

源泉かけ流しの温泉は、趣の異なるふたつの内風呂と
混浴の露天風呂があります。
ひとつはヒノキやサワラ、オンコ、ヒバなどの
木をふんだんに使った湯治場風の木の浴場、
もう一方は、昭和30年代のタイル職人がつくったというレトロな花形の湯船。
いまでは貴重な細やかなタイルは、タイル職人の技を感じさせてくれます。
手づくりだという露天風呂には、
星を見るための真っ暗になるスイッチなど粋な演出も。

こちらがタイルの内風呂。

緑が気持ちのよい露店風呂(混浴)。

夕食時には、キャンドルに照らされた廊下からロッジ風のレストランへ。
寒い日は薪ストーブのパチパチと薪がはぜる灯りを眺めながら、
窓の外にはエゾシカがときおり現れることもあります。
食材はほぼ全てが地元産のもの。
糠平周辺地域で採れた山菜や野菜をたっぷり使っています。

地元で採れた野草をかりかりの天ぷらで。

春から秋にかけていただける、摘み草の天ぷらは、
アカツメグサやブドウの葉、ミントなど、普段目にする草花が食べられるなんて! 
と驚きの味です。

あたたかく優しい味わいの〈たまごと牛乳の茶碗蒸し 丸麦入り〉。丸麦のぷちぷちとした食感が楽しめます。

この日、豚肉と野菜の陶板焼きについてきたのは、
士幌町の「夢想農園」のわかもろこし(ヤングコーン)。
トウキビの赤ちゃんであるヤングコーンは短い夏の間だけ食べられる貴重なもの。
柔らかくて甘みのあるタケノコのような歯ざわりです。

朝食は、地産地消を大切にしたビュッフェスタイル。
地元採れたての野菜料理や茅室町・さげやの新鮮生卵、十勝わたなべの納豆、自家製の梅干、
ゴボウ、カボチャの種、レーズンを使った手づくりグラノーラ、焼きたてパン、
自家製ソーセージのスープなど、
和洋に富んだ旬の食材をふんだんに使った優しい味わいの料理が並びます。

地元でとれた数種の野菜とお豆のマリネ、十勝ゴボウの甘から(キンピラ)、夢想農園の野菜のサラダやナムルなどお野菜が満載。炊きたてのごはんは、東川町産のおぼろづきとほしのゆめのオリジナルブレンド(top写真も朝食)。

さらに、中村屋には、アイデアの光るうれしいサービスがいくつもあります。
まず、宿泊客が滞在中に利用できる品々が揃えられた、
〈エゾリスの穴〉と呼ばれる小部屋。
基本的なアメニティの追加分以外にも、
双眼鏡、星座早見盤、野草図鑑、虫除けスプレー、お香、
アロマディフューザー、折り紙やお絵かきセット、スノーシューや自転車まで、
宿での滞在をより楽しくしてくれそうなアイテムがいっぱいです。

そして朝起きると、ドアノブにかわいいバッグが。
中にはころんとした牛乳瓶が入っていました。
上士幌町の〈しんむら牧場〉の新鮮な牛乳。心遣いにほっこりします。

朝風呂上がりの楽しみにどうぞ。まろやか甘みですっきりとした味わいです。

「宿で体験したことを持ち帰ってほしい」
そんな想いから、ロビーにあるお土産コーナーには
宿にちなんだものが並びます。
夕食や朝食にも使われている、地元産の野菜が並んだ「食べれる野菜市」。

この日は、夢想農園の新鮮野菜が並びます。

料理で使われている地元でとれた豆も売店で量り売りしています。
料理に使っても、家庭菜園で育てても。
手書きのレシピカードも用意されていて、
食べておいしかった料理、豆や雑穀を使ったおやつなど、
家でもつくれるようにと、うれしい心遣い。

販売されている豆は、約15種。スタッフは朝食でおいしかった花豆を購入。

客室に置かれていた手づくり石鹸やお風呂バッグ、
使いやすさを追求したオリジナルタオルも販売。
赤いナイロン製のお風呂バッグは、上士幌の気球を再利用したもの。
気球の全国大会も行われる上士幌らしい手づくりの逸品です。
エゾシカの革を使ったバブーシュやコースターも目を引きます。

しっとりとしたやわらかい肌触りのエゾシカのアイテム。このほかにクッションカバーも。

中村屋の食事に使っていたいろんな木の箸や、
客室の鍵に付いていたバードコールをつくる体験もできます。

中村屋でのお土産選びはじっくりと。地元のもの面白いものがたくさん並んでいる。

ローカルに愛され、ローカルを感じることのできる宿。
“泊まる”ことで、
糠平温泉の自然や動植物、地域の豊かさ、あたたかさを体験できる場所です。

あたたか過ぎる中村屋のおもてなしを、毎日切り盛りする中村さんご家族。左から健次さん、愛犬あずき、菫ちゃん、舞さん、桜介くん、洋美さん、準一さん。

information


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糠平温泉 中村屋

住所:河東郡上士幌町字ぬかびら源泉郷南区

TEL:01564-4-2311

料金 新和室/1泊2食付1万3110円〜、新和洋室/1泊2食付1万5270円〜
※駐車場 あり
http://nukabira-nakamuraya.com/

熊本・天草 前編 ひじき漁

ひじきの熱に浮かされて

昨年ふと思い立ち、天草諸島に出かけてみた。
航空券だけ手配して宿などは決めず、
友人や現地の人におすすめを聞きながら移動するという気ままな旅。
ある日友人から、珍しいものを食べさせてくれる宿があるとの情報を得た。
そこで訪ねたのが上天草の樋島(ひのしま)にある〈漁師の郷〉。
このお宿、地元の漁師さんから直接魚を仕入れているとあって、
新鮮な海鮮料理を存分に味わうことができる。
夕飯には、食べきれないほどの海の幸が食卓を埋め尽くすのだから、たまらない。
そして、その珍しい物というのは“ガゼ”。
ガゼというのはヒトデのこと。
あんな固いもののどこを食べるの? と驚いてしまうけれど、
あるんです、食べられるところが。
と、このままガゼの話をしたいところなのですが、これは後ほどするとして、
今回お伝えしたいのは“ひじき”の話。

宿の売店を物色しているときのこと。
かごにごっそりと盛られた乾燥ひじきが目に飛び込んできた。
天日を存分に浴びたであろう黒々としたその姿は、いかにも美味しそう。
いくつか購入して東京に持ち帰った。

自宅で、そのひじきを水で戻してみる。
すると、磯の香りが一気に立ち上り、一瞬自分が海中に潜ったような錯覚にさえなった。
それほどに強烈な香りだった。
火を通して味見をしてみると、いままで食べてきたひじきにはない
コリコリとした歯ごたえ。
海中で生息していた姿を想像させるような、生命力に満ちた力強い味わい。
こんな体験をしたのは初めてのこと。
この感動をすぐに伝えなくてはと、旅館に電話をかけた。
電話口に出てくれたのは漁師の郷の若女将。

テツ「先日、そちらでひじきを買わせていただいたのですが、
磯の香りがすごくて、こんなひじき食べたのは初めてです」

そう思いを伝えると、少々驚きながらも笑って応対してくれた。

その後もしばらくの間、ひじきの熱に浮かされ続け、
会う人会う人にその感動を伝えていた。
それでも熱は覚めやらず、これはもう行動に出るしかないと、再び若女将に連絡。
あのひじきが、どのように生息していて、収穫されているのか見てみたい。
ひじき漁に同行させていただけないか、若女将にお願いをしてみると、

「知り合いの漁師さんに話をしておくので、来年の春にどうぞいらしてください」

との返事をいただいた。
そうして、一年後の春を待ちわびることとなった。

いろんなブルーを探しに 深い森に包まれた湖 「オンネトー」へ

神秘的な青い湖として、近年知られるようになった〈オンネトー〉は、
北海道の足寄(あしょろ)町にある阿寒国立公園の豊かな森の中にあります。
阿寒湖から十勝方面へ、車で30分。
樹々の隙間から、目に飛び込んでくる青く輝く湖。
雌阿寒岳と阿寒富士を背景に、静かに水をたたえた姿が印象的です。
光や見る角度によって色が異なり、
エメラルドグリーンやコバルトブルー、群青色とさまざまなブルーに見えます。
時間や光の当たり方によって刻々と表情が変わります。

約2万年前にできたといわれているオンネトー。
アイヌ語で“年老いた沼”、“大きな沼”という意味を持っています。
雌阿寒岳の噴火の溶岩流によって、川が堰き止められてできた火山性堰止湖。
いまでも火山性ガスが一部吹き出しているので、
強い酸性のため魚は生息しておらず、
エゾサンショウウオがわずかに棲んでいるのみ。

周囲は約2.5キロ、湖をぐるりと取り囲むように湖岸遊歩道が整備されています。
ゆったりと時間をかけて一周するのもおすすめです。
歩く場所によって、湖面の表情が移り変わります。

9月下旬から10月上旬は紅葉も見頃に。
カエデやナナカマドなどが色づき、
湖面のブルーと相まってカラフルな自然の美しさに心奪われます。

冬は湖面が凍結し、真っ白な雪に覆われ、
スノーシューを持参すれば、
湖の上を歩くこともできるそうです。
湖上から間近に見上げる雌阿寒岳は、
普段見ることのできない冬ならではの光景です。
水芭蕉が美しく咲く春、晴天を映し出す夏。
四季折々の表情に出合いに、森の中の湖をぜひ訪ねてみてください。

information


map

オンネトー

住所:足寄郡足寄町茂足寄 オンネトー

TEL:0156-25-6131(あしょろ観光協会)

※駐車場 あり

地酒王国・新潟を走る 日本酒列車「越乃Shu*Kura」が この秋リニューアル! 新潟の地酒とお料理、 イベントが目白押し

地酒王国・新潟を走る、「越乃Shu*Kura」という列車をご存知ですか?
車内で新潟県内の地酒の利き酒や
地元の食材にこだわったおつまみ、
ミュージシャンによる生演奏やお酒関連のイベントが
開催されるという、日本酒好きにはたまらない列車です。

このたび、この「越乃Shu*Kura」が、
お料理やお酒などのサービス内容を一新し、
10月2日から運行することに。
その内容をご紹介します。

注目は、料理メニューのリニューアル。
米の酒研究家の山本洋子さんが監修した
日本酒や料理が登場します。
山本さんは「1日1合純米酒!」運動や
「こぼし酒撲滅運動」を提唱するなど、
大の日本酒通として知られる料理家。
お料理のテーマは「発酵には発酵が合う!」。
地酒が一層おいしくなるよう、酒の肴に新潟の「発酵力」をプラスしました。
今回開発した「かんずり旨辛麹(うまからこうじ)」や、
南蛮海老、するめいか、鯖、海藻など日本海の幸を
盛り込んだ「おつまみごはん」仕立てでご提供します。
実際に提供されるお料理はこちら↓

往路「新潟朝焼け・おつまみごはん」

●南蛮海老・根菜の塩麹炙りをかんずり旨辛麹で

●栃尾の油揚げ味噌麹焼き

●鰊甘露煮

●錦糸玉子の海老しんじょう

●万九木綿あんかけ

●黒埼産ひたし豆

●妙高・矢代産コシヒカリの漬物ちらし寿司

復路「新潟星空・おつまみごはん」

●佐渡産一夜干しするめいかの天ぷらをかんずり旨辛麹で

●上越産人参・小松菜、佐渡産あんぽ干柿の白あえ風

●新潟産カキノモトもずく酢うどん

●妙高・矢代産コシヒカリの海鮮ちらし寿司

~紅ずわい蟹、炙りしめ鯖、鮭、烏賊のマリネ仕立て、いくら醤油漬け~

「越乃 Shu*Kura」オリジナル大吟醸酒

そして車内でご提供する日本酒は、「越乃Shu*Kura」オリジナル大吟醸と、
特別に選んだ純米吟醸酒「酒米菊水純米大吟醸」のおちょこサービス。
厳選した日本酒とあわせて、吉乃川酒蔵の仕込み水
「天下甘露泉(てんかかんろせん)」もご提供します。
仕込み水とは、酒造りに使われる水のこと。
地酒との相性もぴったりです。

森へ行こう。山形・月山山系に 分け入り森のテーブルマナーを学ぶ 「森の晩餐 はじまりの フルコース」

2015年10月24日(土) 、山形県鶴岡市で「森の晩餐 はじまりのフルコース」が
開催。ただいま参加申し込みを受付中です。
これは、森を知る人と一緒に、山伏の修行する出羽三山の主峰である
月山(がっさん)山系へ分け入り、
キノコや木の実など森の恵みを採集、調理し、晩餐会を開催する催し。
鶴岡は、はっきりした四季と多様な地形の中で
豊かな食文化が育まれてきた土地。
森の中で五感を澄まし、食料を嗅ぎ分け、摘み、調理し、
食べて、命の糧とする。そんな体験ができるプログラムです。
主催は、山形県出身・在住のメンバーが、地域の食や手仕事に関する
編集・出版活動などを行う「アトツギ編集室」。

それでは当日のプログラムをご紹介!
まず、森に入る前に、はらごしらえ。
森の入口で昼食をとります。
続いては、月山山頂小屋の主人、芳賀竹志さんと一緒に
月山山系の森へ入り、木の実やキノコを採集。
採取したものを食べられるものと食べられないものに選別。
食べられるものは瓶詰にしておみやげにします。
そして、待ちに待ったご馳走づくり!
みんなで火を起こし、鶏を一羽丸ごと食べる「乞食鶏」のレシピに挑戦。
出来上がった森のごちそうで晩餐会をします。
森から生まれたフルコースは忘れられない味になるはず。
その後解散ですが、里山情報館に宿泊して頂くこともできます。(追加料金あり)

地形保全と地域の活性化を担う 「世界ジオパーク」に北海道 「アポイ岳」認定、 高知県室戸も再認定

連休まっただ中、お出かけの方も多いのではないでしょうか。
近頃注目を集めるのが「ジオパーク」。
ジオとは地球のこと。自然の地層や地形など、
世界的に重要な地形や地質を含む、自然公園の一種です。
ただいま日本では「洞爺湖」、「有珠山」、「糸魚川」、
「山陰海岸」などが世界ジオパークに認定されています。

室戸半島

ただいまそんなジオパークのシンポジウム「アジア太平洋ジオパーク
ネットワーク山陰海岸シンポジウム」が鳥取市で開催。
2015年9月19日(土)、北海道の「アポイ岳」が新しく認定されたほか、
高知県の室戸半島に位置する室戸市全域を範囲とする
室戸ジオパーク」が再認定されました。
世界ジオパークは4年に1度、認定の再審査が行われています。
「ジオパーク」の概念は、実は地形や地質の保全だけではありません。
その土地の文化や歴史、生態系も対象としており、地域の活性化や教育など、
地域社会の持続可能な発展に取り組む地域が認定されるんです。
室戸世界ジオパークでは、
いったいどんな取り組みがされてきたのでしょうか?

室戸半島

室戸ジオパークが世界ジオパークに認定されたのは
2011年9月のこと。
室戸の凄さは、プレートテクトニクス理論を初めて陸上で
証明した土地であること。
現在も、1,000年で平均2mという驚異的な速度で
地面が隆起し続ける地殻変動の最前線であり、
地球のダイナミックな営みによって生じた地形や地質を目前で
観察することができます。
また室戸で見ることができるのは、激しく変動し続ける大地と
ともに生きる人々の営みや歴史。
室戸の伝統的建造物もジオパークの一部で、
現地では地元のボランティアの方が
建造物と地形との関係を教えてくれます。

吉良川まちなみサイト(文化遺産ゾーン)