colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

odekake

まちの喫茶店
「ONUKI COFFEE ROASTERY」。
本格派の自家焙煎珈琲を

おでかけコロカル|北海道・道東編

posted:2015.10.27  from:北海道中標津町  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Team YumYum

チームヤムヤム
(山本 学 ・ 山本えり奈)

旅をしながら十勝に暮らす編集デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、すごろくやイラストマップなど、日々の楽しみをデザインする作品をつくっています。「ヤムヤム旅新聞」にて、旅やローカルな魅力を発信中。 http://www.tyy.co.jp

credit

取材協力:北海道観光振興機構

中標津町の中心部、大型スーパーの裏手にふと現れる、
黒くてモダンな建物〈ONUKI COFFEE ROASTERY〉。

店に入るとコーヒーの香ばしい香り。奥には大きな焙煎機が置かれています。
カウンターで丁寧にコーヒーを淹れているのは、店主の小貫 琢さん。
奥さんのあけみさんはマフィンやスコーンなどの焼き菓子や
トーストを担当しています。

注文後に琢さんがドリップでコーヒーを淹れてくれます。

「いつかコーヒー屋さんをやりたい」
もともとコーヒーを焙煎するのが好きだった琢さん。
小さい網を使ってベランダで焙煎するところから始めて、
その後、小さな焙煎機を購入し、焙煎した豆を友人にあげたりしていました。

中標津で生まれ育った琢さんは地元の高校卒業後、都内へ進学。
そのまま都内でIT関係の会社に10年ほど勤めるうちに、
年齢とともに管理職としての役割を求められていくなかで、
「自分は誰かを評価するよりも、ものづくりをしているほうが向いている」
と思ったそうです。
「震災当時、鎌倉に住んでいたんですが、職場から家に帰れなくなって。
そのときに、今の自分の暮らしってどうなんだろう? と見つめ直したんです」

中標津も好きだったし、奥さまの仕事がひとくぎりついたり、
自然な流れで、地元で喫茶店を開くことを決意しました。

ダークブラウンとシンプルな外観がカッコいい。

「久しぶりに帰った地元は、知らないまちに見えました」と琢さん。
「僕の子どものころの記憶に、このまちに嫌なところはひとつもなかったんです。
いろんな店があって、まちもにぎわっていて。
でも久しぶりに帰ってみたら、大型チェーン店がたくさんできていて、
個人商店がどんどんなくなっていた。
何もないまちになっちゃったって感じたんです」

そんな土地で見つめた自分のお店づくり。
見つけた土地は、もともとはスーパーの駐車場。
建物の設計は札幌の建築事務所に依頼し、
くつろげる場所にしたいと庭には芝生や木を植え、
白を基調とした明るい内装に、
北欧の家具ブランド〈アアルト〉のぬくもりのある
木のテーブルとチェアを置きました。
ひとつひとつ妥協せずに、空間も素材も追求。
「このまちでつくったものが、
このまちで食べられる場所にしないとダメなんじゃないかって思いました。
田舎だけれどちゃんとしたコーヒーが飲めて、
内装や家具にもこだわった場所にしたかったんです」

常連さんでにぎわう店内。家のようにくつろげる空間。

その日の朝に焙煎した豆で淹れる、ONUKI COFFEE ROASTERYのコーヒー。
おすすめのデイリーブレンド(400円)は
毎日でも飲みやすいすっきりとした味わいで、マグカップにたっぷりと。
「来てくれたからには、いっぱい飲んでゆったりくつろいで帰ってほしいんです。
ケチケチしたくないじゃないですか。
でも多すぎるって言われることもあるんですが(笑)。
お菓子もどんどん大きくなっていってますね。
でも、自分たちがおいしいと思えるものをつくっています」

地元の素材を使ってあけみさんがつくる焼き菓子は、
レモンカードマフィン(350円)、チーズケーキ(400円)、
クランベリーとくるみのスコーン(300円)など、
素朴だけど本格派のおいしさで、どれもコーヒーによく合います。
焼き菓子は午前中のうちには売り切れてしまうこともあるのでお早めに。

店頭に置かれていた焙煎機。コーヒー豆の地方発送も行っている。

「目標としたのは、“カフェ”というよりも“まちの喫茶店”です」と琢さん。
2015年2月にオープンして半年。
いまでは地域の人たちが、かわるがわる顔を出しに店に来る、そんな店になりました。
「オープンしたてのころ、まだ仕事に慣れなくて
夕食を作るのも疲れちゃうって話したら、
お客さんが煮物とか天ぷらとか晩ご飯を作ってきてくれて。
今朝、港に揚がったわーって、大きなブリを持ってきてくれた方もいました。
この辺のお客さんたちはあたたかい方が多いんです」

立ち寄って、コーヒー豆を買ったり、
コーヒーを飲みながら世間話をしたりと、
お店にはさまざまな世代の人が、日常のひとコマとして足を運びます。
家族連れやお年寄り、カウンターには買い物帰りのお母さん、
懐かしい高校時代の同級生も来てくれるそうです。
「いろんな年齢の人が来てくれて、望ましい方向にすすんでるなって思います。
できれば高校生の背伸びしたデートとかにも使ってほしいんですけどね(笑)」

かつてたくさんの商店でにぎわったというまちに、
新しくできた”まちの喫茶店”。
一軒のお店の想いは、まちに新たな彩りを添え、
やがては特色あるこの中標津のまちの個性となっていくのです。

毎日通いたくなるあたたかな雰囲気とお人柄。

information


map

ONUKI COFFEE ROASTERY 

住所:標津郡中標津町東五条北2-3

TEL:0153-70-4214

営業時間:7:00~17:00 

定休日:月曜、不定休

※駐車場 あり
※コーヒー豆のみ、地方発送可能。詳しくはお問い合わせください。
http://www.onukicoffee.com/

Feature  これまでの注目&特集記事

    Tags  この記事のタグ