odekake
posted:2015.10.8 from:北海道釧路市阿寒湖温泉 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Team YumYum
チームヤムヤム
(山本 学 ・ 山本えり奈)
旅をしながら十勝に暮らす編集デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、すごろくやイラストマップなど、日々の楽しみをデザインする作品をつくっています。「ヤムヤム旅新聞」にて、旅やローカルな魅力を発信中。
http://www.tyy.co.jp
credit
取材協力:北海道観光振興機構
〈アイヌコタン〉とは、
北海道の先住民族であるアイヌの人々が暮らす集落のこと。
釧路市阿寒町、阿寒湖畔に位置する〈阿寒湖アイヌコタン〉には、
130名あまりのアイヌ民族が暮らし、
かつてのアイヌ民家を再現した建物や、
アイヌに伝わる木彫などの民芸品店や飲食店など数十店が並んでいます。
店内に小さな工房スペースがある民芸品店もあり、
そこで彫刻家の方たちが木を削っている姿を見ることができます。
それぞれのお店によって個性ある木彫りの民芸品が並んでいるので、
いろいろと見比べてみるのも楽しいです。
注目されているアイヌアート彫刻家のひとり、藤戸康平さんは、
〈熊の家〉という民芸品店の二代目。
康平さんが手がけた繊細なアイヌ文様が施された木製のiPhoneケースは、
国立歴史民俗博物館にも展示されています。
康平さんの父・藤戸竹喜さんは、
緻密な彫刻でアイヌ木彫りを芸術の域まで高めた彫刻家。
けれどお父さんから木彫りを習ったりしたことはなかったそうです。
「自分なりに木彫りを始め、最初に彫ったものはフレンチブルドッグ。
彫っているうちに木彫りにはまっていって、
知人から頼まれているうちにいろいろなものをつくるようになったんです。
凝りに凝って納得するまで彫ります。
好きで彫っているから……それがよかったんでしょうね」
康平さんが彫刻で使う木は、アサダという落葉樹で、
床材や家具、そば打ちの麺棒などに使われるような硬い素材です。
削るのは大変だけれど模様が目立つので、繊細な模様を施せるように、
あえて硬い木を使っているのだそう。
いまつくろうとしているのは、木のフレームのメガネ。
蝶番の部分も木のみでできるような仕組みも自分で考えました。
iPhoneケースもメガネも、日常で身につけるもの。
アイヌの先人たちが魔除けのために日常の衣服や食器に装飾を施し、
生活していたように、
康平さんは現代の暮らしで使う道具を装飾し、
アイヌの伝統を受け継いでいます。
コタン内に2012年にオープンした〈阿寒湖アイヌシアター イコㅁ〉では、
ユネスコ世界無形文化遺産にも登録された〈アイヌ古式舞踊〉を観覧できます。
祝宴の場で歌われる『座り唄(イタサンカタ)』や、
鶴の羽を広げたような喜びや遊びなどの感情を表現した『鶴の舞(サロルンリムセ』、
ほかにも動物や自然を表現した踊りなど、
アイヌと和人(本州の人)との関わりなど文化的な背景の解説を交えながら、
アイヌに受け継がれるさまざま踊りを観ることができます。
『黒髪の踊り(フッタレチュイ)』は、
髪の長い女性が上半身を激しく揺らして、
髪の毛を振りかざして踊る激しい踊り。
「小さな頃からコタンで踊りを教わってきました。
週に1、2回は、学校の帰りにみんなで集まって踊りを教えてもらうんです」
と話す、踊り手の篠田マナさん。
人から人へ語りを通じて受け継がれてきたアイヌの口承文化は、
今なおコタンで息づいています。
館内にはアイヌ刺繍のタペストリーも飾られています。
それぞれの地方によって異なるアイヌ刺繍。
道東地方は刺繍糸だけで文様を描く“チヂリ”という手法が特徴だそうです。
コタンにいるおばあさんたちに冬の間の仕事として代々受け継がれています。
代々伝承されてきたアイヌ古式舞踊から、
現代的なアイヌアートまで、さまざまなかたちで息づくアイヌの世界観。
アイヌコタンでは、アイヌの人たちが生活を営みながら文化を発信し続けています。
inforamation
阿寒湖アイヌコタン
住所:釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7
inforamation
阿寒湖アイヌシアター イコㅁ
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