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odekake

「guild Nemuro」
あらゆる時代や国籍のものを
根室から発信

おでかけコロカル|北海道・道東編

posted:2015.10.13  from:北海道根室市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Team YumYum

チームヤムヤム
(山本 学 ・ 山本えり奈)

旅をしながら十勝に暮らす編集デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、すごろくやイラストマップなど、日々の楽しみをデザインする作品をつくっています。「ヤムヤム旅新聞」にて、旅やローカルな魅力を発信中。 http://www.tyy.co.jp

credit

取材協力:北海道観光振興機構

北海道の最東端のまち根室市。
その郊外、自動車メーカーが並ぶ大きな通り沿いに、
ポツンと建つ白いガレージのような建物。
なかに入ると、がらんとした大きな空間に、
キリンの剥製、クジラの頭の骨、アンティークのテーブルやイス、
アメリカの先住民〈ズニ族〉のお守り、気泡の入った古いワイングラスに
柔らかなランプの灯り……
まるで異国の博物館のような、不思議な空気が漂っています。

店主、中島孝介さんは長野県出身。
東京でアートやデザインの古書や新刊本を扱うショップ
〈リムアート(現POST)〉のスタッフとして働いていました。
どこかで店をやりたい、そう思いながら縁があり、根室を訪ねました。
先に東京から移住していたジュエリーデザイナーの古川広道さんが、
落石海岸や春国岱など根室のいいところをいろいろ案内してくれたそうです。
「4月に根室に来て、雪が溶けかけてグレートーンに染まる景色が、
もともと好きだった画家・アンドリュー・ワイエスが描く風景画に似ていたんです。
初めての北海道で根室へ来て、滞在2日間でここに住むことに決めました」

中島さんが根室を訪れるきっかけとなった、ジュエリーデザイナー古川さんが手がけたシルバーのバングル。エゾシカの角をイメージしてつくられた力強いフォルムと、繊細なオリーブの彫刻が美しい。

根室に移住して約半年後、2013年5月に店を開きました。
もともとは自動車の整備工場だった建物を友人に教えてもらい、
大家さんに根気強く交渉し借り受けました。
内装は知り合いの大工さんに頼みながら、
ペンキ塗りなどできるところは自分で改装したそうです。

店内。手前にあるのは、オランダのアンティークのお皿。右奥にdigawelのシャツとデニムが並ぶ。

キリンの剥製とクジラの骨以外、店に並んでいるものは、
器を並べているテーブルもイスも、すべて販売しています。
当初は古いものを中心にしていましたが、
新しいものでいいものも扱うようになったそうです。
「生活に根づいたもの、衣・食・住をすべて扱いたいと思っています」
1950年代のドイツの写真家の写真集、緑色のオランダの古い瓶、
19世紀のフランスのグラス、
〈rimowa〉のヴィンテージスーツケースといった古いものから、
〈digawel〉のシャツとデニム、インドのガラス容器〈VISION GLASS〉、
波佐見焼の〈Common〉のテーブルウェアといった新しいものまで、
毎日の生活を豊かにしてくれるような品々が並んでいます。

くじらの頭の骨。

アンティーク雑貨は、年に2回、
ヨーロッパ各地のものが集まるオランダのマーケットへ、
インテリアや器の買い付けの旅へでかけます。
ほかにも札幌やアメリカのディーラーと取引したり、
guild Nemuroにはさまざまな場所から集まってきたものが揃っています。
「時代も国籍も関係なく、自分がいい、と思ったもの」
中島さんが買いつけた品々には、中島さん自身のぶれない視点、
軸となっている独特の感性が光ります。

ズニ族のお守り、フェティッシュ。神の力で石になった動物の魂が込められていると信じられている。ウルフは“知識の共有” “旅”、イーグルは“創造者”などそれぞれの動物によって秘められた力が異なる。ターコイズを削った素朴なかたちがかわいらしい。

中島さんは、特に根室の冬が好きだそうです。
「星がきれい。冬が好きで、昼間は青い空と白だけの世界になるんです。
別当賀というところは特に、人工的な光がなくて星がきれい。
遠くからか動物の鳴き声が聞こえてくるのに、
どこにいるのかわからないような感覚になります。
自分が自然の中にお邪魔している感じなんです」
身体感覚を研ぎすます根室での生活は
生きるということの本質をつきつけられるという中島さん。
「根室っていう場所で培う感覚を店に落とし込みたい」

店名の“ギルド”とは、中世ヨーロッパで、商人の集まりという意味。
「同じ感覚の人、似た感覚の人、見てる先が一緒の人が、
職業に関係なく、いろんなところから集まってほしい」
という想いで付けられた店名です。
地元から遠方まで感性の似た人たちが集まり、共有して生まれる場と文化。
中島さんが根室での生活を楽しみながら、
“ギルド”はこれからも、ものや場を通して発信され続けます。

根室や周辺のまちのステキなところをいろいろ教えてくれたやさしい中島さん。

information


map

guild Nemuro

住所:根室市昭和町4-396

TEL:0153-20-4121

営業時間:11:00〜19:00 

定休日:月・火曜

※駐車場 あり
http://www.guild-nemuro.com/

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