odekake
posted:2015.10.6 from:北海道 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Team YumYum
チームヤムヤム
(山本 学 ・ 山本えり奈)
旅をしながら十勝に暮らす編集デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、すごろくやイラストマップなど、日々の楽しみをデザインする作品をつくっています。「ヤムヤム旅新聞」にて、旅やローカルな魅力を発信中。
http://www.tyy.co.jp
credit
取材協力:北海道観光振興機構
ハマナシ、エゾノリュウキンカ、オオバナノエンレイソウ……
北海道に自生する野の花が一面に描かれた、
北海道の人ならば必ず目にしたことがある紙袋。
〈マルセイバターサンド〉などで全国的に知られる
菓子メーカー〈六花亭〉の包装紙として親しまれている絵柄です。
六花亭の〈六花の森工場〉の敷地には、
そんな六花亭の包装紙に描かれた草花が咲く森があります。
帯広の本社工場に次ぐ第二の工場として、
とかち帯広空港からほど近い中札内村に
1998年に開業した六花亭の六花の森工場。
マルセイバターサンドを主に作っているこの工場の敷地には、
もともと澄んだ清水が流れ、
オオバナノエンレイソウなどの草花が自生する美しい森がありました。
この場所に花柄包装紙の草花が咲く森をつくりたい——
そんな構想から生まれた〈六花の森〉。
自然のままの花の群生地を大切に守りつつ、
山野草の定植を重ねたその森は、
工場の可動から9年後、2007年に一般開放のガーデンとしてオープンしました。
六花の森の敷地内には、木造の小さなギャラリーが点在し、
園内を散策しながら歩けるようになっています。
そのなかのひとつ、〈花柄包装紙館〉には、
その有名な包装紙の原画の複製画が展示されています。
その歴史は半世紀以上、1961年から使われているという包装紙。
包装紙の絵を描いたのは、山岳画家であり、
十勝の原野で開拓民として生きた坂本直行(なおゆき)さん(1906-1982)。
地元では親しみをこめて、“ちょっこうさん”と呼びます。
原野に咲く草花を描いた絵は、
いまでも六花亭のお菓子のパッケージに多く使われています。
花柄包装紙にはこれまでに歴代7種類のパターンがあり、
全部で69種類もの山野草が描かれてきました。
(現在使用されているのは基本的に1〜2種類)
花の名前とともに、花ごとにひとつずつ切り抜いて、
直行さん自身がいろいろな角度に並べたもので、
一枚のレイアウトを完成させるのに一週間以上もかかったと言われています。
包装紙の原画の複製画からは、
ひとつずつ丁寧に切り貼りされた直行さんの仕事ぶりがうかがえます。
坂本直行さんの山の絵や草花のスケッチが展示されている、
〈坂本直行記念館〉や、
六花亭が発行する『サイロ』という児童詩誌の表紙絵を集めた、
〈サイロ五十周年記念館〉など、敷地内のその他のギャラリーでも、
坂本直行さんの絵を観ることができます。
六花の森の開園期間は、4月下旬から10月中旬まで(2015年は10月18日まで)。
4月下旬の開園時期には、まだ冬の風景が残っていて、
水辺には水芭蕉が咲いています。
ゴールデンウィーク明け頃から森は賑やかになり、
オオバナノエンレイソウの森には、
真っ白なエンレイソウとニリンソウがぎっしりと咲き積もります。
川辺にはエゾノリュウキンカが黄色い花を咲かせます。
夏には、包装紙の真ん中に描かれているハマナシが鮮やかなピンク色の花を咲かせ、
森は甘い香りに包まれます。
秋は、エゾリンドウやキキョウなど紫色の花が静かに茂り、
色々な植物が、赤や黄色の小さな実をつけます。
森に流れる大きな時間と、繰り返される季節の中で、
包装紙の森はこれからも進化し続けていきます。
information
花柄包装紙館/六花の森
住所:河西郡中札内村常盤西3線249-6
TEL:0155-63-1000
営業時間:10:00~17:00(6~8月は9:00~、10月は~16:00)、冬季休業
入園料 大人800円、小中学生500円
※駐車場 あり
http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index2.html
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