都市を耕す、メディアサーフコミュニケーションズ。
青山国連大学前〈Farmer's Market @ UNU(以下、ファーマーズマーケット)〉や
南青山の〈COMMUNE246〉、〈青山パン祭り〉など、
さまざまなイベントやメディアを仕掛けている。
今回は創業メンバーの田中佑資さんに、
活動を通じて見えてくる社会像をお聞きした。

メディアサーフコミュニケーションズの創業メンバー田中佑資さん。
ファーマーズマーケットが始まったのは、2009年の9月。
その立ち上げから関わっているのが田中佑資さんだ。
ファーマーズマーケットは、
農家さんが直接野菜や果物を売る、都会の中の市場である。
「海外とかの文化的な都市には必ず市場がある。
東京にもあったらいいんじゃないか、ということで始まりました。
僕自身、もともと農業にも食にも興味を持っていました」
野菜、果物、花などの産直品やジャムなどの加工品、
パン、コーヒーなど、1回の開催ごとに100店舗ほどが集う。
毎週土日に開催しているが、簡単なことではない。
「月に1~2回だとどうしてもイベントになってしまう。
毎週開催していくことで、コミュニティが生まれます。
最初から毎週、出店されている方もいらっしゃいますし、
毎回いらっしゃるお客さんもいます」
さらに〈青山パン祭り〉のような企画も連動している。
「2014年から〈AOYAMA FOOD FLEA〉という動きもつくりました。
食の多様性をテーマにして、会場で同時開催しています。
そちらは職人にスポットをあてて、全国のパン屋さんが集まる〈青山パン祭り〉、
コーヒーのロースターの方が集まる〈Tokyo Coffee Festival〉、
日本酒の蔵元さんを集める〈AOYAMA SAKE FLEA〉などをやりました。
会場を提供している国連大学の意向とも一致して進めています」
毎週末、“村”ができる。
食と農を通じて出会うコミュニティがある。

国連大学前で毎週開催されるファーマーズマーケット。写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ株式会社
田中さんたちは日ごろから関東近郊の畑を訪れ、生産者さんたちと対話し、
消費者との架け橋をつくることを進めている。
「農家さんはこだわっていればいるほど、
自分でお客さんを見つけなければならない。
なぜかというといま農産品の“規格”というのが、
大きな価値観になってしまっているんです。
“色”、“かたち”、“大きさ”が野菜や果物の価値を決めてしまいがちですが、
“規格”ではない大切な思い、例えば無農薬であるとか、
在来種であるといか、そういうこだわりは流通が小さくて評価されないんです」
だから、農家さんの“こだわり”と都会の消費者の“こだわり”を直接結びつける。
「都市に住んでいると、農家さんと触れ合うだけでもおもしろい。
おいしくて、癒される。新鮮なものも買えるし、値段も高くない。
それに直接やりとりをしたほうが楽しいじゃないですか。
効率的にやるなら今の流通でもいいのだと思いますが、
出会いを求めているのなら、こういう“交換”のやり方が一番いい。
“こういうものをあなたに食べてもらいたい”、
“食べたい”、という関係ができればいいと思う。
それが僕が思うファーマーズマーケットなんです」
ファーマーズマーケットのコンセプトは“野良”。
そこに目指す社会の姿も見えてくる、と田中さん。
「“野に良い”というのはどういうことなのだろうか。
すべての生活の原点はそこにあるんじゃないかと考えました。
つまり、野良があって、農家さんがいて、食事ができるということ」
都市のなかにあって、その流れを意識したコミュニティをつくっていくこと。
そのベースとなっているのがファーマーズマーケットなのだ。

ファーマーズマーケットでは野菜だけでなく、花屋さんも出店。ほかにパン、お酒、コーヒーなども出店している。2014年からは食の多様性をテーマ に〈AOYAMA FOOD FLEA〉も併催している。
写真提供:メディアサーフコミュニケーションズ株式会社