コロカル編集部が選ぶ、 2022年「ベストバイ」 ローカルのいいもの・買ったもの

もういくつ寝ると2023年。
皆さんは今年どんなお買い物をしましたか?
今回は、コロカル編集部のスタッフに「今年のベストバイ」を聞いてみました。

首都圏以外の地域を生活のベースにしている人も多く、
さらに出張で全国津々浦々歩き周り、
ローカルの“いいもの”に対して、ことさら敏感なコロカル編集部のメンバーが選んだ、
今年買ってよかったもの、人におすすめしたいものとは?

〈カエルデザイン〉のヘアゴム(石川県金沢市)

〈カエルデザイン〉は石川県金沢市発のプロジェクト。
障がいのある人たちとともに、
海洋プラスチックとフラワーロスを中心にさまざまな廃棄物をアップサイクルしているそう。
私が買ったのは海洋プラスチックをアップサイクルしたヘアゴムです。
オレンジとグリーンっぽいカラーの組み合わせがかわいくて、
髪を結ぶときアクセントになってくれます。

商品の台紙もFSC認証の紙で、
その裏面には海洋プラスチックごみを拾った場所が記載されていました。
2050年には海洋プラスチックが魚を上回るという研究もありますが、
ごみが資源になりアップサイクルされて、きちんと値段がつき、
使う人が増えれば、ごみを拾う人も増えるかもしれません。

いずれは、このプロダクトがつくられない=海洋プラスチックがないときがくるのが
理想なのだと思いますが……。
買い物をとおして、こうしたプロジェクトを応援していきたいです。

カエルデザイン

編集・栗本

〈瀬戸まねき猫〉の瀬戸焼キーホルダー(愛知県瀬戸市)

全国のつくり手・伝え手・使い手の3つの手が集う
〈ててて商談会〉で出合った、愛知県瀬戸市〈瀬戸まねき猫〉さんのつくる瀬戸焼キーホルダーです。
日本六古窯のひとつに数えられる瀬戸焼は、
古瀬戸(ふるせと)と呼ばれる釉薬を全体に施した技法で、約1000年の歴史があるそう。

その古瀬戸と、明治30年代後半にヨーロッパから導入された石膏型の技法を応用した
〈古瀬戸型招き猫〉を元に誕生したのが、この〈瀬戸まねき猫〉。

陶器のキーホルダーとは、勇気のいる買い物だ! と思いながらも、
つるんとした手触りと本物のような座り姿に、愛猫心をぐっと掴まれました。
ここ数か月帯同していますが、
招き猫を連れていると思うといつもより身振りが落ち着くような気が……。

一般的に右手はお金、左手は多くの人を呼び込むといわれる招き猫。
私は来年も、新潟市にある〈上古町の百年長屋SAN〉の運営を軸に、
多くの人に出会いたいと左手を選びました。

おもだかやオンラインストア

編集・金澤

佐藤裕美〈宙(そら)COCORO〉(新潟県新潟市)

新潟県ポータルサイト『新潟のつかいかた』でご紹介した
蒔絵師・佐藤裕美さんが手がける〈宙(そら)COCORO〉。
ステンレスのお猪口に蒔絵の技術で宇宙を描きます。

1830年創業の〈林仏壇店〉6代目の佐藤さんは、
初代・惣二郎から続く「惣」の字を襲名し、〈惣MONO COCORO〉として起業。
ネイルやギターに蒔絵を施したり、
打ち刃物や漆器などの伝統工芸同士のコラボ作品をつくったりと、
蒔絵の可能性を広げています。

以前、内閣府のシンポジウム「地域で活躍する女性たち」のパネリストとして
佐藤さんを推薦させていただき、
その流れで発表スライドを作成することに。
取材を通して、この酒器ができあがるまでの苦難を知りました。

女性であり、妻であり、母であり、6代目であり、イラストレーターでもある佐藤さん。
絵の師匠やご家族の助けをもらい、苦難を乗り越えチャレンジした、
その結晶がこの作品なのです。
たまに落ち込んだ時は、宇宙を眺めながら一献。なんだか勇気が湧いてきます。

コロカル紹介記事
佐藤裕美さんインスタグラム

ディレクター/プロデューサー・山尾

〈甲斐のぶお工房〉の〈フォーク魚(小/12.5cm)〉(大分県由布市)

大分県の魅力を発信するポータルサイト『エディット大分』の取材で
〈Oita Made〉を訪れた時に
この〈甲斐のぶお工房〉の存在を知りました。

こちらの工房がつくる木工カトラリーは
「先の尖ったフォークでも危険性を感じさせないデザインを心がけている」
という言葉どおり、やさしくてやわらかなフォルムが魅力です。

なかでもこの通称「さかなフォーク」は、
愛嬌がありつつ洗練されたシャープなカタチにひと目惚れ。
柿やリンゴなど果物によし、切って刺しての羊羹の類によし、と、
使い勝手もばっちりなのだけれど、
やっぱりなによりもこの絶妙に愛らしいカタチが食卓にあることに小さな幸せを感じます。

甲斐のぶお工房

編集長・松原

奥の麻衣子〈そら豆皿〉(石川県金沢市)

石川県金沢市で木と漆の作品を手がける作家・奥の麻衣子さんによる〈そら豆皿〉。
奥のさんの作品を初めて知ったのは、
コロカルで金沢市の工芸とグルメのイベント「乙女の金沢 春ららら市」の
ツイートレポート企画を担当していたときでした。
奥のさんもそのイベントの出店者だったのですが、
奥のさんのとある漆作品のツイートを偶々目にしました。

それが「栗」をモチーフにした小筥(こばこ)の漆器
ぽてっとした栗の佇まいがなんともいえず印象的で、
これを目にしてから、奥のさんの作品に注目するようになりました。
木地を挽くところから手がけられており、
ときおりインスタグラムでその木地が紹介されることもあります。
それを眺めるだけでも楽しい。

漆器というと凛としているイメージのものも多いですが、
奥のさんが手がける漆器はそれとはまた違って、
かわいらしさというかどこか愛嬌を感じる作品が多いと思います。
フォルムだったり、モチーフだったり、絵柄だったり。

その愛嬌のおかげで、食器としてだけじゃなくてもいろいろな使い方ができると思います。
わが家ではこのそら豆皿には、酒のつまみばかりがのっかっています。

オトメの金沢 陳列室
器さろん恵
八百萬本舗

デザイナー/エンジニア・絹川

新ジュエリーブランド〈TOUROU〉。 デビューコレクションに 秋田銀線細工を採用

伝統を今に伝える、完全受注販売のジュエリー

今冬、日本の伝統工芸の技術を採用した、
ジュエリーブランド〈TOUROU(トーロウ)〉が発表されました。

同ブランドは、後継者不足や高齢化によって
衰退が危ぶまれる日本の伝統工芸の存続を願い、
伝統工芸がもっと身近になってほしいという思いから、約2年の月日を経て誕生。

“灯籠”という名前も、そのような日本の伝統を守りつつ、
もうひとつの新しい火を灯したい、という思い、
それから江戸時代の浮世絵に描かれている灯籠のような
朧げな美しさからインスピレーションを得ています。

価格帯は約20000〜150000円。

価格帯は約20000〜150000円。

日本の伝統工芸の技術を採用した、
ジュエリーブランド〈TOUROU(トーロウ)〉

日本の伝統工芸の技術を採用した、
ジュエリーブランド〈TOUROU(トーロウ)〉

秋田の伝統工芸・秋田銀線細工の技術を採用したジュエリー。

秋田の伝統工芸・秋田銀線細工の技術を採用したジュエリー。

秋田の伝統工芸・秋田銀線細工の技術を採用したジュエリー。

福祉と伝統のものづくりの 可能性を探求。 〈NEW TRADITIONAL〉の展覧会が 京都で開催

豊かな発想が伝統工芸の可能性を切り開く

12月15日(木)から、京都伝統産業ミュージアムで、
福祉と伝統工芸のあたらしいものづくりの可能性を探る
〈ニュートラ展 in 京都 福祉と伝統のものづくりの可能性〉が開催されます。

〈NEW TRADITIONAL(ニュートラ)〉とは、
福祉の視点を取り入れた伝統工芸のあたらしいものづくりの可能性を探り、
それらが息づく生活文化を提案するプロジェクト。

TRADITIONAL(ニュートラ)〉とは、福祉の視点を取り入れた伝統工芸のあたらしいものづくりの可能性を探り、それらが息づく生活文化を提案するプロジェクト。

TRADITIONAL(ニュートラ)〉とは、福祉の視点を取り入れた伝統工芸のあたらしいものづくりの可能性を探り、それらが息づく生活文化を提案するプロジェクト。

TRADITIONAL(ニュートラ)〉とは、福祉の視点を取り入れた伝統工芸のあたらしいものづくりの可能性を探り、それらが息づく生活文化を提案するプロジェクト。

そんなニュートラの実験と実践を、
障がいのある方が制作にたずさわった作品の展示をとおして紹介します。
その発想の豊かさに、伝統工芸の新たな側面を見出すことができるかも。

京絵師が手書きで表現! 京阪の車体カラーが 和ろうそくに

8000系、3000系、普通車モデルの3種類

長引く積雪で、昔は冬になると
仏壇に花が飾れなかったという東北や北信越地方。
その代わりとして生まれたのが「絵ろうそく」です。

その技術は京都にも伝わり、
京絵師による手描きの「絵付けろうそく」は、
工芸品としても高く評価されています。

和ろうそくブランド〈京ROUSOKU+〉

和ろうそく

京絵師による手描きの「絵付けろうそく」

このたび、そんな和・京ろうそくの老舗〈中村ローソク〉と、
地域活性化プロデュースを手がける〈株式会社Chanois〉による
和ろうそくブランド〈京ROUSOKU+〉から、2022年11月3日より、
京阪電車モデルのオリジナル和ろうそくが発売されました。

「中村ローソクの手描きの技術を生かし、
これまでにないユニークなろうそくをつくろう」と企画され、
1年の月日を経て、商品化されたこちら。

京阪電車

京阪電車モデルのオリジナル和ろうそく

特急色の8000系モデル(上から赤・金・黄)、
3000系モデル(紺・銀・白)、普通車モデル(緑・黄緑・白)の
3モデルのカラーが京絵師によって鮮明に表現されました。
もちろん、ろうそくの箱も車両カラーです。
手作業でムラなく各色の高さを合わせながら、
車体カラーを表現するのが難しかったのだそう。

多治見のオンラインタイルショップ 〈TILE KIOSK〉のポップアップが 青山〈スパイラル〉で開催中!

想像力を刺激する個性的なタイルに出合える

日本におけるタイルの一大産地・岐阜県多治見市でつくられるタイルを、
1枚から気軽に購入できるオンラインショップ〈TILE KIOSK〉
世界中の建築家やインテリアデザイナーのための
カスタムメイドタイルのブランド〈TAJIMI CUSTOM TILES〉がスタートした
オンラインショップです。

同ショップが、現在、東京・青山の〈スパイラル〉で、
3度目のポップアップショップを開催中。

色や形、サイズ、年代もいろいろなタイルをひとつずつセレクト。

岐阜県多治見地区の窯元で眠っていたデッドストック、
長い間つくり続けられているものから新しく生まれたもの、
実験的につくられた希少なプロトタイプやデザイナーが手がけたものまで、
色や形、サイズ、年代もいろいろなタイルをひとつずつセレクト。

対談・現代ニッポンの
新名物となるのは?
〈ザ・コンランショップ〉中原慎一郎、
〈中川政七商店〉高倉泰

さまざまな土地で昔から親しまれている名物はいろいろあるが、
これからの日本を代表する“新名物”は何だろう?
例えばインバウンドの観光客が
東京や京都以外のまちを訪れることが多く見られるようになり、
日本人も知らないようなその土地の名物を買う。
新名物といっても、新しく生み出されたものである必要はなく、
すでにあるものでも視点を変えれば新しい価値が見えてくるのではないか。
日本のローカルには、まだまだそんな名物がたくさんあるのではないか。

そこで〈ザ・コンランショップ〉代表の中原慎一郎さん、
〈中川政七商店〉大日本市ディレクターの高倉泰さんが
それぞれの視点で“日本の新しい名物”をピックアップ。
目利きのふたりが“新名物” にふさわしいアイテムの魅力や背景、
そしてこれからの名物に必要なことを語った。

現代のライフスタイルに添った伝統的なプロダクト

中原慎一郎さん(以下、中原): 僕はつくっている人や発信している人から始まらないと、
なかなか自分のなかで名物にならないので、今回もそういった視点で選びました。

高倉泰さん(以下、高倉): “人”ですか?

中原: はい。昔からあるものを掘り起こして魅力を伝えたり、
素材やつくり方を変えて新鮮に見せてくれる人っているじゃないですか。
僕はそういうのがおもしろいなと思っていて。
アーティストの和泉侃(いずみかん)さんが手がけるお香の〈√595〉もそうです。
和泉さんは現代の感性で伝統的なお香を再解釈し、新しい角度で魅力を伝えている方です。
豊かな植生が残る淡路島へ移住して、
原料の調達から調香、製品づくりを行っているんです。
沈香(じんこう)といった伝統的な香料だけでなく、
胡椒、麦などの成分も取り入れてつくっているのがおもしろい。
お香って昔からあるものだけど、
彼の感性を通じて、現代の暮らしにあった香りのあり方が広がっているなと感じます。

香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動するアーティスト・和泉侃がディレクションを手がける√595。インセンスの香りの種類は Soothe、Humidity、Jinkohの3つ。stick incense 3520円、paper incense(ポストカードつき) 2200円

香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動するアーティスト・和泉侃がディレクションを手がける√595。インセンスの香りの種類は Soothe、Humidity、Jinkohの3つ。stick incense 3520円、paper incense(ポストカードつき) 2200円

高倉: 東京から移住して淡路島で制作しているというのがすごいですね。
案外、外の人のほうがその土地の歴史や魅力に気づきやすいのかもしれません。
僕は今回のテーマを聞いて、
工芸の魅力を生かしながら現代的な用途や様式に生まれ変わり、
今のライフスタイルに受け入れられているものが
日本の新名物になるんじゃないかと思いました。
ひとつ目から自社製品で申し訳ないのですが(笑)、
〈中川政七商店〉の「花ふきん」を紹介します。
奈良は蚊帳の一大産地だったのですが、使う機会が減ってしまい、
その技術をどうにか残せないかというところから開発が始まったアイテムです。
風を通すほど織り目が粗い蚊帳の生地は吸水性や速乾性にすぐれ、
その特性を生かした結果、多くの人に親しまれるアイテムになりました。

蚊帳生地を2枚重ねで仕立てた布巾。タオルのような吸水性と速乾性にすぐれ、こまめに手洗いして衛生的に保てるのがうれしい。

蚊帳生地を2枚重ねで仕立てた布巾。タオルのような吸水性と速乾性にすぐれ、こまめに手洗いして衛生的に保てるのがうれしい。各770円

コンセプトは “経年進化” 。 鯖江の眼鏡メーカーと 都内アイウェアショップが 〈MIZ DIALOGUE〉をスタート

“継続的な関係性”を重視する、カスタムオーダーを楽しむ眼鏡

福井県鯖江市の眼鏡メーカー〈水島眼鏡〉と、
東京都内にアイウェアショップ〈ブリンク外苑前〉
〈ブリンク ベース〉を展開する〈荒岡眼鏡〉とが
タッグを組み、新たに眼鏡ブランドをスタートさせました。

その名も〈MIZ DIALOGUE(ミズ ダイアログ)〉。

デザインが出尽くしたという声がある今日、
眼鏡はよりユーザーに寄り添うものであるべきだと考える
MIZ DIALOGUEは、 “経年進化” をコンセプトに掲げ、
一本の眼鏡を長く愛用したい人に向けて
眼鏡の持続的な楽しさを提案します。

カスタマイズ事例:セル巻き・縄手・彫金

カスタマイズ事例:セル巻き・縄手・彫金

MIZ DIALOGUEの特徴のひとつは、
フレームパーツのカスタマイズや
オリジナルカラーで塗装をすることが繰り返し可能ということ。

眼鏡のビジネスはメンテナンスや修理はあるものの、
ユーザーが眼鏡を購入してしまえば
基本的な関わり合いが完結してしまうもの。

出来合いの既製品は自分に合わせて
カスタマイズすることが難しいことから、
これまでは度数が合わなくなったり、
不具合が出てきたら新しい眼鏡を買い直すことが一般的でした。

「シンプルなデザインで、使い込むほどに
愛着が湧いてくるような眼鏡を目指す」という水島眼鏡の
製造するベースモデルに、メッキをしたり彫金を施したり。
さまざまなカスタマイズができるのが
MIZ DIALOGUEのよさなのです。

フレームのベースとなるモデルは4つ。
どれもシンプルで飽きのこないデザインです。

ブランドディレクターである田代純一さんは、
「“新しい”や“格好良い”だけではなく、使う人のことを考えて、
根本的に眼鏡の楽しさを提案できないだろうか」と、
時の移ろいで変化する人の内面や外面も考慮しているといいます。

自分自身が変化していく先に、体の一部でもある
大切な眼鏡を託せる場所があるのはうれしいことですね。

カスタマイズ事例:ゴールドメッキ・セルモダン・彫金/ベースモデル:各 51,700円(税込)+追加カスタマイズ料金

カスタマイズ事例:ゴールドメッキ・セルモダン・彫金/ベースモデル:各 51,700円(税込)+追加カスタマイズ料金

高品質で長く使え、自分好みにカスタマイズできるMIZ DIALOGUE。

「リム」「ブリッジ」「テンプル」「表面加工」の
バリエーションは、こちらに記載されています。

〈FUJI TEXTILE WEEK 2022〉 織物産地・山梨県富士吉田市で 行われる布の芸術祭

昨年開催の様子。〈FUJI TEXTILE WEEK 2021〉出展作品 西尾美也『裏地/裏富士』 撮影 吉田周平

1000年以上続く織物産地から発信する
「テキスタイルの未来」

東京から高速バスで1時間半の場所にある富士吉田市。
富士五湖観光地として多くの人が訪れるまちで、
富士山から流れ落ちる清涼な渓流の水の恵みによって、
1000年以上の織物産業の歴史が続く織物産地です。

こちらで昨年に引き続き、国内外アーティストによる
テキスタイルをテーマにしたアート展「織りと気配」と、
産地の歴史や現代のテキスタイルシーンを紐解く産地展「WARP & WEFT」
のふたつを組み合わせた布の芸術祭〈FUJI TEXTILE WEEK 2022〉が
11月23日(水)〜12月11日(日)に開催されます。

テキスタイルを中心とした地域の産業資源とクリエイティビティを混交し、
テキスタイルの創造・ 普及・活性・継承のために企画された同芸術祭。
2年目となる今年は、国外アーティスト9名を誘致し、
よりグローバルな視点でテキスタイルにフォーカス。

参考イメージ:YUIMA NAKAZATO『Behind the Design』

参考イメージ:YUIMA NAKAZATO『Behind the Design』

作品イメージ 安東陽子『Aether 2022』

作品イメージ 安東陽子『Aether 2022』

作品イメージ 落合陽一 『The Silk in Motion』

作品イメージ 落合陽一 『The Silk in Motion』

アート展示では、安東陽子、落合陽一、Sigrid Calon、高須賀活良、
HELENE LAUTH、村山悟郎、YUIMA NAKAZATOら、
現代アートやファッション、テキスタイルデザインなど
さまざまな背景をもったクリエイターが表現したテキスタイル作品や、
機屋との共同作業で作り出したユニークな作品を展示。
テキスタイルとアートの新しい美の世界が展開されます。

〈nendo〉が樂茶碗を再解釈。 ユニークなコラボレーション展が 佐川美術館で開催中!

樂茶碗の魅力を化学的に再解釈した5作品

〈佐川急便株式会社〉の創業40周年記念に建てられた、
琵琶湖のほとりにある美しき〈佐川美術館〉。

同館には、千利休の創意から生まれた陶芸・樂焼(らくやき)の茶碗師である
樂家の十五代樂吉左衞門・樂直入による展示室と茶室があります。

現在こちらで、佐藤オオキ氏を中心に設立され
デザインオフィス〈nendo(ネンド)〉と樂焼のコラボレーション展
「吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入」が開催中です。

樂吉左衞門館では、開館以来「吉左衞門X」というシリーズで、
アーティストや事象とのコラボレーションによって
約450年の歴史を持つ樂家の十五代樂吉左衞門作品の
新たな側面を解明するような展示を行ってきました。

第13回目となる今回は、樂茶碗の特徴である、
質感・内部空間・時間軸・素材特性の観点から、
直入が制作した樂茶碗にnendoがアプローチし、ビジュアルだけでなく、
その思想までも形にする斬新かつ挑戦的な取り組みとなっています。

展示されるのは、以下の5つの作品。

『chuwan』

『chuwan』

土の表情を最大限生かしたいという思いから、
人の手によって味わい深いフォルムが形成される樂茶碗。
その魅力を最大限伝えるべく考えられたのが茶碗を浮遊し、回転させた〈chuwan〉です。
この展示方法にすることで「手の痕跡」という、
茶碗のなかに流れる「時間」を感じられる展示となっています。

『jihada』

『jihada』

『jihada』

『jihada』

「日常性が感じられる空間」に茶碗が溶け込む
見せ方の可能性を探求したインスタレーション〈jihada〉。
5つの樂焼茶碗の表面を3Dスキャンし、オブジェに移植。
黒を基調とした小さな空間に樂焼の質感が浮かび上がります。

有田焼産地から発信する
〈アリタセラ / Arita Será〉の
魅力創出プロジェクト

地元からも観光客からも愛される場所へ

有田焼の産地として知られる佐賀県有田町にある〈アリタセラ/Arita Será〉は、
約2万坪の敷地に日用食器から業務用、美術工芸品まで、
多種多様な陶磁器の専門店が軒を連ねるエリアの総称だ。

かつては〈有田陶磁の里プラザ〉と呼ばれ、
集客に悩んでいた有田焼の商社が集まる卸団地が、
〈アリタセラ/Arita Será〉と改称したことをきっかけに、
今では、「心地よい場所」「また行きたい」と
SNSにもたびたび投稿されるまでに変化を遂げた。

愛される場所へと創生を促す、5年間の歩みを取材した。

陶磁器の専門店が軒を連ねる〈アリタセラ/Arita Será〉。

陶磁器の専門店が軒を連ねる〈アリタセラ/Arita Será〉。

有田焼創業400年事業から踏み出す一歩

毎年ゴールデンウィークに開催される〈有田陶器市〉には、
約120万人の観光客が訪れ賑わいをみせる佐賀県有田町。
しかしながら、それ以外の時期は驚くほど閑散としているのがまちの現状だ。

そんな有田町にとって、2016年は大きな節目となる年だった。

日本で最初の磁器である有田焼が誕生したとされる1616年から
400年を迎える2016年に向け、
佐賀県は〈有田焼創業400年事業〉を立ち上げ、
3か年をかけ17ものプロジェクトが推進されたのだ。

アリタセラ(旧・有田陶磁の里プラザ)も、
有田焼の販売を担ってきた拠点という位置づけから、さらなる産業基盤整備が求められ、
外部のクリエイターやシェフなど食と器文化に関わる専門家や、
広く観光客までを迎え入れられる滞在型の交流および情報発信を強化するべく、
敷地内の空き店舗を活用し、レストランを併設した宿泊施設を開業することが決まった。

そこで事業化推進とプロモーションの依頼を受けたのが、
有田焼創業400年事業の一環で招聘された、
クリエイティブディレクターの浜野貴晴さんだ。

クリエイティブディレクターの浜野貴晴さん(東京在住)。2014年から2017年まで有田に赴任して有田焼創業400年事業の任期を務めた。東京に戻ってからも毎月有田へ通い、産地支援を行なっている。(写真提供:有田ケーブル・ネットワーク「伝トーク!! 令和四年有田場所」)

クリエイティブディレクターの浜野貴晴さん(東京在住)。2014年から2017年まで有田に赴任して有田焼創業400年事業の任期を務めた。東京に戻ってからも毎月有田へ通い、産地支援を行なっている。(写真提供:有田ケーブル・ネットワーク「伝トーク!! 令和四年有田場所」)

魅力は自ら創り出す

事業主となる有田焼卸団地協同組合から、はじめに相談された内容は、
「何かSNSを使ったPRができないか?」というものだったという。

「SNSを使えば、来場者が勝手に発信してくれるのでは」という発想の組合幹部に、
浜野さんは問いかける。

「厳しいことを言うようですが、今、この場所に、
発信したくなるようなどんな魅力があると思いますか?」

組合事業なので、各店舗の運営に口を出すことはできないが、
当時はショーウィンドウや店先など管理の行き届かないケースも散見された。

さらにヒアリングを進めると、この場所に店を構えている組合員たちの悩みと、
ネガティヴな思いが見えてきたという。

「話を聞いていてびっくりしました。
『この場所をどのように活用していったらいいかわからない』
『〈有田陶磁の里プラザ〉という名称が好きではないので誰も使わない』
という声もあったのです」

当事者たる自分たちが悩み、不満を感じている場所で、
来場者が楽しめるはずがない。

「もっと魅力的な場所に、自分たちの手で変えていかなければ!」と
浜野さんの発案で立ち上げられたのが、
〈魅力創出プロジェクト〉だ。2017年10月のことである。

アウトドアシーンを盛り上げる! 三重県の伝統工芸品「萬古焼」を活用した 吊り鍋と水コンロ

300年以上の歴史を持つ無形文化財「萬古焼」

「萬古焼(ばんこやき)」とは、三重県四日市市に伝わる伝統的な焼き物。
1979年には国の伝統工芸品に指定され、同市の無形文化財にもなっています。

「萬古焼(ばんこやき)」とは、三重県四日市市に伝わる伝統的な焼き物。

今でも急須や火器、土鍋などに使われており、
特に土鍋においては、全国シェアの8割を占めるほど。
知らず知らずのうちに萬古焼を使っているという人も多いかもしれませんね。

そんな萬古焼は、葉長石(ペタライト)と呼ばれる素材を使うことで、
軽いうえに高い耐熱性があるのが特徴です。
その機能性がアウトドアシーンに活用できると考え、
〈株式会社ロゴスコーポレーション〉がオリジナルのコラボレーションアイテムを開発。
同社が展開するアウトドアブランド〈LOGOS〉で販売が開始されます。

〈LOGOS×萬古焼〉シリーズとして販売されたのは、
クラウドファンディングで316%の達成率を記録した〈卓上水コンロ〉と、
〈いろり吊り土鍋〉の2種類。

強度が高く、直火にも耐えられるすぐれた機能性で、
キャンプやBBQで大活躍すること間違いなし!
いずれも萬古焼の技術が活用され、製品の一部は職人の手作業によりつくられています。
温かみも感じられるような和風のデザインと、丸みのあるフォルムが美しく、
アウトドアシーンによく映えそうです。

〈zen to〉秋の新作! 〈COFFEE COUNTY〉森崇顕、 〈MERCI BAKE〉田代翔太監修の 波佐見焼コーヒーカップ

コーヒーの日に新発売

長崎県東彼杵郡波佐見町の
〈株式会社中善〉によるオリジナルブランド〈zen to〉から、
コーヒーカップが初登場です。

zen toではこれまで数々のデザイナーやアーティストの
監修によるカレー皿や酒器をリリースしてきました。

今回は「コーヒーの日」である10月1日に発売された、
福岡を代表するコーヒー店〈COFFE COUNTY〉代表の森崇顕さん、
東京・世田谷区の〈MERCI BAKE〉〈CHEZ RONA〉の
オーナーパティシエである田代翔太さん監修の
コーヒーカップをご紹介します。

〈株式会社中善〉による
オリジナルブランド〈zen to〉から、コーヒーカップが初登場

まずはCOFFE COUNTYの森さん監修の〈Café Futae〉から。

「“理想的なコーヒーカップ”。
このテーマをいただいたときに思い描いたのが、
コーヒーを手で包む、そんな姿でした。
そのためには手肌にコーヒーの温度がじんわりと伝わるようなものがいい。
試行錯誤を重ねて出来上がったのが、陶磁器でありながらダブルウォール、
取っ手なしのコーヒーカップです」(森さん)

Café Futae(フタエ)と名づけられた磁器製のカップ。

その特徴は、持っても熱くない
ダブルウォール(二重構造)になっているところ。

通常のカップと異なり生産まで制限が多い
ダブルウォール構造とのことですが、
長年培ったノウハウのある波佐見焼メーカーに
製造を依頼し実現したのだそう。

材質:磁器 / サイズ:飲み口直径 78・底直径 85×高さ85(mm) / 価格:2970円(税込)

材質:磁器 / サイズ:飲み口直径 78・底直径 85×高さ85(mm) / 価格:2970円(税込)

雰囲気のあるグレーカラーをベースにしたCafé Futae。

使用しているマットな釉薬は窯の気圧などによって個体差が出るため、
色合いや模様の表情がそれぞれに異なります。

雰囲気のあるグレーカラーをベースにしたCafé Futae

「藍を含んだようなグレーの静かな色味は
どこか曖昧でひとつひとつ違った表情を持ちます。
器のしっとりとした手触り、伝わる温度。
コーヒーをより近くに感じ、
冷めにくくゆったりと楽しんでいただけます」(森さん)

安定したフォルムと絶妙な色合い。

その佇まいには、固定概念に縛られない、
「わたしらしい時間を自由に楽しんでいいよ」という
どこか穏やかな意思が感じられるよう。

森 崇顕(もり たかあき):2013年単身ニカラグアへ。3カ月間コーヒー農園に滞在し、コーヒー作りを根本から学ぶ。同年COFFEE COUNTYをオープン。

森 崇顕(もり たかあき):2013年単身ニカラグアへ。3か月間コーヒー農園に滞在し、コーヒーづくりを根本から学ぶ。同年〈COFFEE COUNTY〉をオープン。生産者への支援も行うなど産地から一杯のコーヒーを飲むまでのプロセスが循環する店、〈COFFEE COUNTY〉代表。現在福岡県久留米市に本店焙煎所、福岡市内に2店舗を構える。

コーヒーの多面的な魅力を引き出すCOFFEE COUNTYと、
“多様な嗜好に応える、多彩な個性” をブランドコンセプトに掲げる
zen toの融合で、日常に寄り添うコーヒーカップが誕生しました。

〈燕三条 工場の祭典 2022〉 今年は現地にて開催! ものづくりの現場を見学・体験

82のKOUBAが参加

信濃川の度重なる洪水によって、
その周辺に住む人々が副業として和釘製造を始めたことで、
工業や商業のまちとして発展した新潟県・燕三条。

燕三条ののどかな風景。

燕三条ののどかな風景。

そんな、歴史ある燕三条の地の普段閉ざされている、
工場・耕場・購場というものづくりの現場=KOUBAを一斉に開放し、
見学・体験できるイベント〈燕三条 工場の祭典〉が
2022年10月7日(金)〜10月9日(日)の期間で今年も開催されます。

今年で10年目を迎えた同イベント。
ここ数年はコロナウイルス感染症のためオンラインをはじめ、
異なるスタイルで開催していましたが、
今年は「Beyond KOUBA!祭典から聖地へ脱皮する3日間」をテーマに、
現地で開催され、ものづくりの現場の見学・体験が可能です。

三条市に〈鍛冶ミュージアム〉誕生! 図書館等複合施設〈まちやま〉にできた ユニークなミュージアム

三条といえば、言わずと知れたものづくりのまち。
そしてその礎となっているのが「鍛冶」です。
鍛冶とは、金属を熱して打ち鍛え、刀や包丁、農具など、さまざまな道具をつくること。
その世界は奥深く、熟練の仕事によって生み出される品々は、まさに芸術品。

そんな三条の鍛冶の歴史や名工たちの仕事に触れられる〈鍛冶ミュージアム〉が、
図書館等複合施設〈まちやま〉内にオープンしたので、さっそく訪ねてみました。

鍛冶のイロハがわかるミュージアム

突然ですが、鉄と鋼(はがね)の違いを知っていますか? 
答えは、鉄に含まれる炭素量の違い。
炭素が少ないものを鉄(生鉄)、多いものを鋼といい、含有量が多いほど硬くなります。
職人は道具の特性に合わせて鉄や鋼を細かく使い分け、
抜群に使いやすい道具へと変貌させます。

意外と知らない鍛冶の世界。
そんな三条の鍛冶について気軽に触れられるミュージアムが誕生しました。
さまざまな資料や製品が展示されており、
道具が誕生するまでの背景を知ることができます。

〈鍛冶ミュージアム〉は図書スペースから一体となるようデザインされた開放的な空間。板を張らず、ダクトや配線を剥き出しにした天井や、コンクリートを前面に出した床など、鍛冶の工場(こうば)をイメージしてデザインされているそう。

〈鍛冶ミュージアム〉は図書スペースから一体となるようデザインされた開放的な空間。板を張らず、ダクトや配線を剥き出しにした天井や、コンクリートを前面に出した床など、鍛冶の工場(こうば)をイメージしてデザインされているそう。

鍛冶の歴史や原料などについての解説も。

鍛冶の歴史や原料などについての解説も。

「このミュージアムは鍛冶仕事の導入部的な役割を担っています。
ここで鍛冶の奥深さを知ってもらい、実際に製品を使いながら
その良さを実感してもらえたらと思っています」と話すのは、
学芸員でもある三条市生涯学習課の藤野哲寛さん。

たとえば、この美しい製品、何かわかりますか? 
工具のようですが、実は爪切り。喰切(くいきり)とよばれる、
釘や針金を切断するための伝統工具を発展させたものだそうです。

1926年に喰切の製造から始まった三条の〈諏訪田製作所〉が、
一貫した手作業にこだわってつくっているこの爪切りは、
無駄のない美しいデザインもさることながら、一度使ったら手放せない切れ味が特徴。
プロのネイリストや医療従事者にも愛用者が多いそうです。

このほかにも調理道具や木工道具、山林道具など、
世界に誇る三条の鍛治文化を間近で見ることができます。

5つの陶磁器と久留米絣が出合った…! 〈Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING〉が 佐賀県の名宿にて開催

久留米絣、5つの陶磁器とファッションの共演

〈BEAMS〉のクリエイティブディレクター、佐藤幸子氏が、
福岡県の久留米絣と、佐賀県を代表する5つの陶磁器に
新たな価値を見出して構築したふたつのブランド、
〈CATHRI〉と〈HIZEN jewelry〉のポップアップイベントを、この秋、
佐賀を代表する温泉地、嬉野温泉の名宿〈和多屋別荘〉にて開催します。

彼女が両方の文化と出会い、刺激を受け、可能性を感じたことから始まった
プロジェクト〈Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING〉。
2021年に京都、2022年には東京でもポップアップを開催。
今回、満を持しての九州上陸です。
伝統工芸とファッションの美しいコラボレーションを、その目でぜひ。

久留米絣を取り入れたリラクシングウエア〈CATHRI〉

Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKINGにて紹介される、
ふたつのブランドのうち、ひとつは福岡県久留米地方に伝わる
重要無形文化財・久留米絣。
今から220年前に、なんと13歳の少女が創製したという織物は、
その後、多くの人に愛され、1957年に国の重要無形文化財に選ばれました。

佐藤氏は、2018年にその久留米絣に出合い、
約1年後に自らのアイデアを提案し、CATHRI(カスリ)を誕生させます。

絣をファッションの視点でデザインに落とし込み、目指したのは、
「10代の女の子から90代のおばあちゃんまで、どんな人にも似合う服」。
ゆったりと着心地の良さそうなシルエットで仕上げられたワンピースやセットアップ、
その細部にあしらわれた久留米絣が存在感を輝かせます。

ドレス57200円

ドレス 57200円。

ドレス53900円

ドレス 53900円。

“木工のまち”大川に 森になる空間〈ARBOR〉が誕生

木を知りつくす企業が、地域に開いた「森」

福岡県大川市に、
「つくる人をつくる森」をコンセプトにした
新施設〈ARBOR(アーバー)〉が誕生しました。

大川市といえば九州の
一大家具産地として有名な「木工のまち」。

その大川市にルーツを持つ
〈クレアプランニング株式会社〉が、
同社の敷地内に公園のような機能をもつ広場と
アウトドアブランドのショップを併設した
新施設・ARBORを9月3日に開業、注目を集めています。

広々とした敷地に緑地が映える。

広々とした敷地に緑地が映える。

1973年に創業したクレアプランニング。
主に商業施設、店舗の企画、デザイン、設計、
施工、木工什器製造をワンストップで行い、
さまざまな業態の空間を
大川の木工技術と共につくり続けてきました。

木の魅力を知りつくしている企業が提案する
ARBORとは、どんな施設なのでしょう?

福岡在住の彫刻家・新庄良博さんによる作品(中央)。さまざまな木の素材を生かしたインテリアが出迎える。

福岡在住の彫刻家・新庄良博さんによる作品(中央)。さまざまな木の素材を生かしたインテリアが出迎える。

芝生の丘を越えてエントランスを潜ると、
頭上では木材を薄く切り出したモニュメントが風に揺れています。

建築デザインを手掛けたのは、〈Happenstance Collective〉。

施設全体を囲う建材やインテリアに木材をふんだんに使った仕様で、
作り手の木に対する熱量が伝わってきます。

〈一般社団法人Pine Grace〉
酒巻美子が助けられた「女神の木」
アカエゾマツの甘い香り

アカエゾマツが与えてくれた多くの出会いと、さまざまな可能性

アカエゾマツに惹かれている。
北海道、とくに道東と道北に多く分布し
クロエゾマツとともに「北海道の木」に指定されている常緑針葉樹。

赤蝦夷松。英語名は、Sakhalin spruce(サハリン・スプルース)。高さは30〜40メートルにもなる。

赤蝦夷松。英語名は、Sakhalin spruce(サハリン・スプルース)。高さは30〜40メートルにもなる。

ウロコ状になった赤茶色の樹皮と、
触るとチクチクする葉が特徴で、
真っ直ぐ天に向かって伸びる凛とした感じが、北の大地によく似合う。

エゾマツと並んで北海道を代表する針葉樹、トドマツとは、葉先の形が大きく異なる。触ると痛いのがアカエゾマツだ。

エゾマツと並んで北海道を代表する針葉樹、トドマツとは、葉先の形が大きく異なる。触ると痛いのがアカエゾマツだ。

アカエゾマツ(以下、アカエゾ)の世界へと導いてくれたのは、酒巻美子さん。
「森林、樹木、草花の機能成分を有効利用し、動物や人の健康福祉に貢献する」
ということを目的に掲げる、〈一般社団法人Pine Grace〉の副代表である。

酒巻さんが所属する『一般社団法人Pine Grace』は、2018年に弟子屈町に蒸留所を設立した。

酒巻さんが所属する〈一般社団法人Pine Grace〉は、2018年に弟子屈町に蒸留所を設立した。

酒巻さんがアカエゾに夢中になったきっかけは、香りだった。
「その日は雨上がりで、地面から水蒸気が上がっていて、
アカエゾの森に入った途端、めっちゃいい香りがしたんです」
と、まるで昨日のことのように臨場感たっぷりに
感動の体験を話してくれる。

「森を案内してくれたガイドの方に『何の香り?』と尋ねたら、
『いろんな香りが混ざっているからわからないね〜』なんて
はぐらかされたんだけど……さらに奥へと歩いていったら
一本のアカエゾに洞があって、そこに樹液が垂れていて、
近づいたらまさに! その香りだったんです」

「アカエゾは、他の針葉樹にはない甘い香りがするんです。アイヌの人たちは『女神の木』と呼んでいたそうです」と酒巻さん。

「アカエゾは、他の針葉樹にはない甘い香りがするんです。アイヌの人たちは『女神の木』と呼んでいたそうです」と酒巻さん。

工芸好きは必見! 〈北のクラフトフェア〉 岩手県・盛岡市で初開催

工芸が息づくまち・盛岡で

2022年、初めての開催が決定した〈北のクラフトフェア〉。

岩手県盛岡市の〈岩手公園(盛岡城跡公園)芝生広場〉をメイン会場に、
選考委員会(皆川明さん、三谷龍二さん、日野明子さん、ナガオカケンメイさん、
〈F/style〉五十嵐恵美さん・星野若菜さん、光原社 川島富三雄さん)により
厳選された約100組の作家が展示・販売を行います。

皆川明さん、三谷龍二さん、日野明子さん、ナガオカケンメイさん、F/style五十嵐恵美さん・星野若菜さん、光原社 川島富三雄さん。6組の選考委員会により公募作品の中から出展者が選出されました。

皆川明さん、三谷龍二さん、日野明子さん、ナガオカケンメイさん、F/style五十嵐恵美さん・星野若菜さん、光原社 川島富三雄さん。6組の選考委員会により公募作品の中から出展者が選出されました。

「北」とイベント名にありますが、出展作家は、東北を中心に、
北海道から沖縄まで、ジャンルも陶磁器・木工うるし・
金属・ガラス・皮革・編組・紙・染織・その他と、
活動場所も扱う素材や技法もさまざまです。

静岡県に工房を構え、磁器や耐熱土を使った器をつくる〈CANASA〉。

静岡県に工房を構え、磁器や耐熱土を使った器をつくる〈CANASA〉。

岩手県八幡平市で、木や漆の長所を生かした生活道具をつくる〈平岡クラフト工房〉。

岩手県八幡平市で、木や漆の長所を生かした生活道具をつくる〈平岡クラフト工房〉。

メイン会場の〈岩手公園芝生広場〉は、複合施設〈ホホホの森〉が建設される予定の場所。
都市公園の質の向上を目的に制定された「Park-PFI(公募設置管理制度)」を活用し、
盛岡市と、皆川明さんが設立した〈ミナ ペルホネン〉により整備される計画が
約3年前に発表されていました。

その後コロナ禍となり、〈ホホホの森〉はプロジェクトとして計画を模索。
「まずはこの場所が目指すコンセプト
(クラフトやデザインなどさまざまなものや人との出会い、交流、発信)を、
建物(ハードの部分)を前提ではなく、
中身(ソフトの部分)のひとつ『クラフトフェア』から始めてみよう」
そうした皆川さんの思いに賛同した有志が実行委員会をつくり、
〈北のクラフトフェア〉の企画はスタートしました。

〈MINOIRO〉 カラバリ100色の美濃焼! 自分好みの色にオーダーメイド

カネコ小兵製陶所創業100周年記念プロジェクト

美濃焼の産地として知られる岐阜県土岐市。
ここは非常に技術が発達しており、形状、色、質感、製法のあまりの多彩さに、
100円ショップの陶器から国宝級まで手がける幅広さが売りです。

100色のなかから自分好みの色の
美濃焼の器を選べる〈MINOIRO(ミノイロ)〉クラウドファンディングを実施

そんな土岐市にて、NYやロンドンなど海外展開も行う、
大正10年創業の美濃焼の老舗〈カネコ小兵製陶所〉。
現在創業100周年を記念して、100色のなかから自分好みの色の
美濃焼の器を選べる〈MINOIRO(ミノイロ)〉クラウドファンディングを実施しています。

どの産地にも負けない多彩な色表現が可能なこと、
カーテンや壁紙などのインテリアを選ぶように、
食器もこだわりたいという人に寄り添う製品が提供したかったことから、
今回のクラウドファンディングを実施。

地元の高校生と協同! 海洋プラスチックゴミが若狭塗の箸へ

歴史のある伝統工芸品・若狭塗の技術を用いて

福井県の老舗箸メーカー〈株式会社マツ勘〉が、
同県小浜市にある若狭高校海洋科学科の生徒とともに
海洋プラスチックゴミをリユースした箸〈ocean〉を開発しました。

福井県の老舗箸メーカー〈株式会社マツ勘〉が、地元高校生とともに海洋プラスチックゴミをリユースした箸〈ocean〉を開発。

この商品には、若狭湾に流れつくペットボトルやプラスチック容器などが
装飾として使われています。
生徒たちが若狭湾で拾ったゴミを集めて粉砕し、
箸職人が若狭塗(わかさぬり)の伝統技法で箸の持ち手部に加工しています。

生徒たちが若狭湾で拾ったゴミを集めて粉砕し、箸職人が若狭塗(わかさぬり)の伝統技法で箸の持ち手部に加工している。

くだいたプラスチックを散りばめ、箸の装飾に。

くだいたプラスチックを散りばめ、箸の装飾に。

若狭塗とは小浜市で約400年つくり続けられている伝統的な漆器のこと。
海底の美しい煌めきを図案化して生まれたといわれており、
長年、小浜氏の海の美しさを表現してきた工芸品です。

本来であれば、若狭塗には貝殻や卵の殻、松葉など自然の素材を使いますが、
海洋プラスチックゴミを使うことで昔と今の海を対照的に表現。
環境保全について考えさせられる商品になっています。

ocean 22.5cm 大人用(食洗機対応)各1760円。左から「春(ピンク)」、「夏(オレンジ)」、「秋(イエロー)」、「冬(ブルー)」。

ocean 22.5センチ 大人用(食洗機対応)各1760円。左から「春(ピンク)」、「夏(オレンジ)」、「秋(イエロー)」、「冬(ブルー)」。

カラーは全部で4種類。
照りつける太陽をイメージした「夏」や、凛とした冬の空気を感じさせる「冬」など
若狭湾の四季を表現した色合いになっています。

国産タオル発祥地、 大阪・泉州から誕生! リラクシングなルームウェア

赤ちゃんも使える上質なパイル生地

国産のタオルといえば、愛媛県の今治タオルが有名ですが、
国産タオル発祥の地は、実は別にあるのです。それは大阪・泉州。

泉州では、明治20年にドイツから輸入されたタオルを研究し、
日本初の国産タオルを開発。
以来、国内きってのタオル産地といわれています。

泉州タオルの特徴は、タオルを織りあげてから、糊抜きや
洗浄、漂白、染色などを行う、「後晒し(あとざらし)」製法でつくられていること。
糊や汚れがしっかりと落ちた状態で商品となるため、
清潔で吸水性抜群の仕上がりのタオルが完成します。
素肌で触れたくなるような肌馴染みで、やわらかな生地感なんだとか。

泉州タオルメーカーの老舗〈ツバメタオル〉から誕生した、ワンマイルウェアブランド〈niella (ニエラ)〉 。

2022年、そんな泉州タオルメーカーの老舗〈ツバメタオル〉より、
ワンマイルウェアブランド〈niella (ニエラ)〉 が誕生しました。

ツバメタオルでは、化学薬品を使わず天然由来の成分を用いて加工を行っているため、
肌への刺激がなく赤ちゃんも使え、環境にやさしいのが特徴です。
綿花の油分を残して綿本体のやわらかさを生かしており、
使いはじめから優れた吸水性を発揮します。

そんな同社の特徴を反映したniellaでは、
「ここちよさとやさしさ」をコンセプトに掲げ、
年齢・性別・ライフスタイルにとらわれず心身体ともに
“リラックスできる自分の居場所を纏う感覚”を養えるアイテムを発売。

Story1「sweet home」シリーズでは、赤ちゃんから大人まで、
安心して使えるパイル地のプロダクトが登場しました。

古くから縁起物・家庭円満の象徴であるツバメがモチーフの〈つばめのおくるみ〉。
multi clothsは生地の残反がでないように試行錯誤して作られました。
出産のお祝いのギフトとしてもよさそうですよね。

おくるみで包まれたようなシルエットで、着心地のよいガウンカーデ。
デザイナーとタオル職人が意見を出し合って生まれました。
泉州タオルの生地感と織りの表情が魅力です。
お風呂上がりやリラックスウェアとして、デニムなどとも相性がよさそう。

肌なじみの良いボーダーのパイル生地を使ったフード付きショートガウン。
ゆとりのあるアームホールで、ストレスなく着用でき、
共地を使ったベルトは取り外し可能で、ウエストを絞ったコーディネートも楽しめます。

お茶の葉を再利用した器が、 京都の老舗茶舗〈福寿園〉 プロデュースのブランドから登場!

マグカップで気軽に抹茶を点てられる

1790年創業の京都の老舗茶舗〈福寿園〉がプロデュースする、
エッジの効いた商品で新しいお茶の世界を探求するブランド
〈Needle to Leaf(ニードル・トゥ・リーフ)〉。
同ブランドは、2022年6月17日から
〈抹茶を楽しむ お茶の葉マグカップ〉を
クラウドファンディングサービス〈Makuake(マクアケ)〉で販売しています。

陶芸作家・竹村繁男さん(大日窯)の協力のもと、〈Needle to Leaf〉オリジナルのマグカップが完成。

お茶をつくる際に茶葉から出る大きすぎる部分や塊になっている部分、
細かすぎる部分は、おいしいお茶をつくるために除去されてしまうといいます。
これまでは農家の肥料などに活用されてきましたが、
何か美しいものに変えたいと、
陶芸作家・竹村繁男さん(大日窯)の協力のもと、
〈Needle to Leaf〉オリジナルのマグカップが完成しました。

陶芸作家・竹村繁男さん(大日窯)が茶葉の灰を一から研究し、伝統的な技術を取り入れ、つくり上げられた釉薬。

竹村さんは、これまで自身で育てた
ヒマワリやブドウ、イチジク、ビワなどさまざまな草木で釉薬(ゆうやく)をつくり出し、
作品を製作してきた灰釉(かいゆう)のスペシャリスト。
今回の開発にあたり、茶葉の灰を一から研究し、
伝統的な技術を取り入れながら釉薬をつくり上げたのだとか。

〈wood〉カラー 4000円(税・送料込)

〈wood〉カラー 4000円(税・送料込)

〈sunlight〉カラー 4000円(税・送料込)

〈sunlight〉カラー 4000円(税・送料込)

〈aqua〉カラー 4000円(税・送料込)

〈aqua〉カラー 4000円(税・送料込)

気になるカラーは、
高級木材である紫檀(したん)のような赤褐色をした〈wood〉と、
自然と生活の中に溶け込むような明るいブラウンの〈sunlight〉、
透明感の少ない乳白の青味がさわやかな〈aqua〉の3色。
それぞれに手触りや表情が異なるのもポイントです。

触って楽しむ伝統工芸品。 津軽塗グラス〈ゆいぬり〉シリーズ誕生

300年以上の伝統を生かしながら新しい視点で

津軽塗製造・販売を行う〈株式会社たなか銘産〉が
津軽塗グラスの新シリーズ〈ゆいぬり〉を発売しました。

〈ゆいぬり〉は、
2020年12月に誕生した〈さわるツガルヌリ〉シリーズのプレミアム版。
その名の通り、津軽塗の伝統技法を指で感じて楽しめるグラスになっています。

「さわるツガルヌリ」シリーズのプレミアム版の「ゆいぬり」。その名の通り、津軽塗の伝統技法を指で感じて楽しめるグラス。

津軽塗は青森県津軽地方でつくられる伝統工芸品です。
漆を塗る作業と研ぎ出しを何度も重ねることで、美しく複雑な模様を生み出しています。
その伝統的な技法は300年以上にも渡って代々受け継がれてきました。

歴史の長い津軽塗ですが、
一方でデザインの自由度が高いという特長があるといいます。
1947年創業以来、伝統を守りつつも新しい色使いやデザインを追求するなど
柔軟なものづくりを大事にしてきた同社。4代目の田中寿紀さんは、
津軽塗の途中工程であらわれる漆の独特な手触りに着目しました。

「幼い頃からおもしろいと思っていたこの漆の感触を生かしたい」と
考えたのが商品開発のきっかけ。
あえて仕上げの工程を省くことで、その特徴を生かした新しいグラスができあがりました。
まさに「時代に合わせて変化させていくことこそ伝統」と考える、
同社ならではの視点で生まれた商品と言えるでしょう。

今回は、青森県「広域連携による知財ビギナー支援事業」を受け、
「さわるツガルヌリ」シリーズにさらに磨きをかけることができました。
田中さんは「津軽塗の魅力をより広く発信していきたいですし、
この取り組みによって津軽塗産業の存続や、
知的財産の保護を考えるきっかけになることを願っています」と話します。

〈若林佛具製作所〉から “お盆のニュースタンダード”をたのしむ 新作盆飾りや盆提灯がリリース

先祖様が帰ってくるからお飾りしよう

京都市に本社を置く仏壇・仏具メーカーの〈株式会社若林佛具製作所〉は、
2022年の新作盆飾りセット〈TOU〉と
盆提灯〈BONTOU Chochin〉、〈BONTOU Lantern〉を発表しました。

お盆は昔から家族が集まる行事のひとつ。
故人や祖先の霊が年に一度家に帰ってくるとされ、
祖霊を迎えて、感謝・供養する催しです。

コロナ禍の影響もあり、お盆の帰省を控えていた方も多いはず。

ゆっくりと家族とご先祖様との時間を過ごすための、
伝統に囚われないスタイリッシュな盆飾りや盆提灯をご紹介します。

TOU  16500円(税込)内容物:パッケージ W297×D210×H33(mm)、精霊馬 W80×D20×H100(mm)、精霊牛 W100×D20×H72(mm)、蓮の葉 φ140×H10(mm)、おがら W260(mm)、冊子。

TOU  16500円(税込)内容物:パッケージ W297×D210×H33(mm)、精霊馬 W80×D20×H100(mm)、精霊牛 W100×D20×H72(mm)、蓮の葉 φ140×H10(mm)、おがら W260(mm)、冊子。

お盆の飾りには、地域での特徴がありどれが正しいということはないものの、
主なものに盆提灯、精霊馬(しょうりょううま)、まこも、蓮の葉、水の子、お供物があるそうです。

TOUは、すぐに飾れるセットになっています。

TOUとは、訪う(=訪ねる・訪れる)に通じる日本の言葉です。

祖先や離れた家族が集う場所、
それは「訪ねる人」にとっても「迎える人」にとっても
大切な心の触れ合いであることから名づけられました。

デザイナーは、〈クリエイティブノルム〉の代表、清水慶太さん。

以前ご紹介した
盆提灯〈AGASATO〉も清水さんが手掛けられています。

地域によってはナスやキュウリに割り箸や爪楊枝をさして馬や牛を作ることも。精霊馬はご先祖様が浄土から現世に行き来する際の乗り物として使われるといわれる。

地域によってはナスやキュウリに割り箸や爪楊枝をさして馬や牛を作ることも。精霊馬はご先祖様が浄土から現世に行き来する際の乗り物として使われるといわれる。

温もりを感じるシンプルなデザインが特徴のTOU。

お盆飾りの意味を知り、飾りつけを楽しみながら、
家族はもちろん他者を思いやる気持ちを育むことにつながってほしいという想いが込められ、
ひとつずつ丁寧に職人の手仕事でつくられています。

親や子、祖父母、孫たちや親戚とお盆の飾りつけを通して
一緒に楽しむことで、家族の縁や絆を深めるよい機会になることでしょう。