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〈nendo〉が樂茶碗を再解釈。
ユニークなコラボレーション展が
佐川美術館で開催中!

コロカルニュース

posted:2022.11.2   from:滋賀県守山市  genre:ものづくり / アート・デザイン・建築

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
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writer profile

Kanae Yamada

山田佳苗

やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。

樂茶碗の魅力を化学的に再解釈した5作品

〈佐川急便株式会社〉の創業40周年記念に建てられた、
琵琶湖のほとりにある美しき〈佐川美術館〉。

同館には、千利休の創意から生まれた陶芸・樂焼(らくやき)の茶碗師である
樂家の十五代樂吉左衞門・樂直入による展示室と茶室があります。

現在こちらで、佐藤オオキ氏を中心に設立され
デザインオフィス〈nendo(ネンド)〉と樂焼のコラボレーション展
「吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入」が開催中です。

樂吉左衞門館では、開館以来「吉左衞門X」というシリーズで、
アーティストや事象とのコラボレーションによって
約450年の歴史を持つ樂家の十五代樂吉左衞門作品の
新たな側面を解明するような展示を行ってきました。

第13回目となる今回は、樂茶碗の特徴である、
質感・内部空間・時間軸・素材特性の観点から、
直入が制作した樂茶碗にnendoがアプローチし、ビジュアルだけでなく、
その思想までも形にする斬新かつ挑戦的な取り組みとなっています。

展示されるのは、以下の5つの作品。

『chuwan』

『chuwan』

土の表情を最大限生かしたいという思いから、
人の手によって味わい深いフォルムが形成される樂茶碗。
その魅力を最大限伝えるべく考えられたのが茶碗を浮遊し、回転させた〈chuwan〉です。
この展示方法にすることで「手の痕跡」という、
茶碗のなかに流れる「時間」を感じられる展示となっています。

『jihada』

『jihada』

『jihada』

『jihada』

「日常性が感じられる空間」に茶碗が溶け込む
見せ方の可能性を探求したインスタレーション〈jihada〉。
5つの樂焼茶碗の表面を3Dスキャンし、オブジェに移植。
黒を基調とした小さな空間に樂焼の質感が浮かび上がります。

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『michiwan』

『michiwan』

〈michiwan〉は、樂焼の特色のひとつである茶碗の内部を3Dスキャンし、
透明アクリルで切削加工し、内側をひとつの塊と表現。
元の茶碗とアクリルの塊が並ぶかたちで展示されることで、
茶碗の内と外の関係を発見できる作品です。

『junwan- chroma -』

『junwan- chroma -』

『junwan- chroma -』

『junwan- chroma -』

軟質で多孔質な土質と厚みのある側面の特徴を生かし、
色素を吸い込ませることで茶碗に自ら模様を描かせた〈junwan-chroma-〉。
色素、水、茶碗、それぞれが持つ要素が作用して生まれた、
唯一無二の味わい深い表情がなんて美しいんでしょう。

『junwan- redox -』

『junwan- redox -』

『junwan- redox -』

『junwan- redox -』

一般的な焼き物において、釉薬と共に混ぜ合わせ、
表面に色を塗る際に使う酸化鉄や酸化銅ですが、
〈junwan-redox-〉は茶碗を横に寝かせ、
片方から金属イオン水溶液を、もう片方からビタミンCを染み込ませ、
酸化還元反応(=redox)をさせたあとに本焼きをして仕上げられました。
茶碗の中で金属成分とビタミンCの化学反応のあとが、
美しい揺らぎ模様として形跡を残しています。

nendoの精緻かつユニークな切り口で表出した、樂焼の新たな側面。
実際の作品からその美しさや魅力を感じ取ってみてください。

information

map

吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入

会期:2022年9月16日(金)~2023年3月11日(土)

会場:佐川美術館 樂吉左衞門館 (滋賀県守山市水保町北川2891)

時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜(祝日の場合は開館)11月28日(月)~12月6日(火)、12月30日(金)~1月3日(火)、1月10日(火)、2月13日(月)~17日(金)

Web:佐川美術館 公式サイト

※入館にはWEBでの予約が必要。ご予約はこちらから

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