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posted:2022.11.1 from:静岡県掛川市 genre:食・グルメ
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writer profile
Mayo Hayashi
林 真世
はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。
有数のお茶どころである静岡県掛川市。
その掛川市に本店を置く〈きみくら株式会社〉より、
ひと夏の間トンネルでじっくりと熟成させた、珍しい茶葉が発売となりました。
その名もトンネル熟成茶〈秘壷蔵(ひこぞう)〉。
毎年、秋に発売される秘壷蔵の歴史やこだわりの製法、味わいをご紹介します。
熟成茶の起源は江戸時代にまで遡ります。
お茶通として知られた徳川家康公は、
春に摘んだ一番茶を茶壺に入れて井川上流の山奥に運ばせ、
ひと夏の間冷涼な高地で大切に保管させたのだそう。
「お茶は貯蔵しておくと、香り、味がより深まる」として、
その深い味わいを愛したといわれています。
現在も同じように、天竜川を上った山奥まで
春に摘み取った貴重な茶葉を運び込み、
暑い夏の間冷涼な環境で保管しているのだそう。
徳川家康公も熟成していくお茶の味わいを想像しながら、
秋の訪れを心待ちにしていたのかもしれませんね。
かつてこの地区には長野県とを結ぶ「佐久間線」の鉄道路線計画がありました。
しかし開通することなく幻の路線となってしまいます。
その幻の路線上に現存する、ひっそりと自然の一部となった「相津トンネル」。
年間を通じて一定の温度と湿度を保つトンネル内は、
ワインの貯蔵や熟成に最適な環境です。
秘壷蔵もまさに、この相津トンネルの最適な環境を利用して作られています。
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秘壷蔵は、トンネルでの熟成前にもこだわりが。
掛川では一般的な煎茶よりも長く蒸す、
「深蒸し製法」でのお茶づくりが主流となっています。
春に摘み取られた新茶を深蒸しして一次加工をした
たくさんの茶葉の中から、茶師によって秘壷蔵に合う品質のものが
選りすぐられ、後熟の味を計算しながら火入れがされます。
旨味、コク、渋みのバランスが良いとされる
八十八夜の頃に摘み採った新茶をさらに茶師の目で厳選するため、
その後の熟成でより品質のよいお茶になるのだそう。
このように茶師によって入念に仕込みを終えたお茶が、
茶箱へ封印され浜松市天竜の奥地へと運ばれていきます。
山奥のトンネルの低温貯蔵庫でひと夏じっくりと寝かせたお茶は、
新茶の青々しい新鮮さとはまた違った、
まろやかでコクのある芳醇なお茶に生まれ変わるのです。
実際に熟成茶をいただいてみることに。
茶葉は細かく深い緑の色合いで、湯を注ぐとゆっくりと茶葉が開いていきます。
芳醇な香りが広がり、ひと口飲むと濃厚な旨みにとろんとした舌触り。
熟成茶と呼ばれるだけに茶葉本来の味わいがぎゅっと閉じ込められていて、
濃厚でコクがあり、体に染み入るような滋味深い味わいを感じました。
今年はトンネル熟成茶秘壷蔵の完成を記念した、
ミニ茶箱に詰めた数量限定パッケージを発売中とのこと。
涼しい秋を迎え、温かいお茶がぴったりのこれからの季節。
ひと夏を経て熟成された珍しいお茶を、
ぜひこの機会に味わってみてはいかがでしょうか。
お求めは、日本茶きみくら本店またはオンラインショップをご覧ください。
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*価格はすべて税込です。
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