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posted:2022.8.8 from:福井県小浜市 genre:ものづくり
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writer profile
Ayumi Otaki
大瀧 亜友美
おおたき・あゆみ●山形県出身。広告制作会社や出版会社での勤務経験を活かして、フリーライターへ転身。WEBや紙媒体で編集から取材、執筆まで幅広く行う。旅や料理、植物など心を豊かにしてくれるモノやコトが大好き。
福井県の老舗箸メーカー〈株式会社マツ勘〉が、
同県小浜市にある若狭高校海洋科学科の生徒とともに
海洋プラスチックゴミをリユースした箸〈ocean〉を開発しました。
この商品には、若狭湾に流れつくペットボトルやプラスチック容器などが
装飾として使われています。
生徒たちが若狭湾で拾ったゴミを集めて粉砕し、
箸職人が若狭塗(わかさぬり)の伝統技法で箸の持ち手部に加工しています。
若狭塗とは小浜市で約400年つくり続けられている伝統的な漆器のこと。
海底の美しい煌めきを図案化して生まれたといわれており、
長年、小浜氏の海の美しさを表現してきた工芸品です。
本来であれば、若狭塗には貝殻や卵の殻、松葉など自然の素材を使いますが、
海洋プラスチックゴミを使うことで昔と今の海を対照的に表現。
環境保全について考えさせられる商品になっています。
カラーは全部で4種類。
照りつける太陽をイメージした「夏」や、凛とした冬の空気を感じさせる「冬」など
若狭湾の四季を表現した色合いになっています。
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古くから若狭湾の恵みを生かし、豊かな漁場として栄えてきた小浜市。
海産物や塩などの食材を都に献上し、
「御食国(みけつくに)」としてその食文化を支えてきました。
しかし近年、若狭湾は海洋プラスチックゴミによる環境汚染が問題となっています。
海流や特徴的な地形によって
海洋プラスチックゴミが国内外から集まりやすい傾向にあるためです。
海に棲む生物がそのゴミを食べて、死んでしまうケースも多く報告されています。
海洋プラスチックゴミはそのままにしておくと、
時間の経過とともに微細なマイクロプラスチックに変化します。
海洋生態系に影響を与えるだけでなく、
マイクロプラスチックを取り込んだ魚介類を人間が食べることによる
人体への健康リスクも懸念されているのです。
若狭高校海洋科学科の生徒たちは
「そんな若狭湾の現状を知ってほしい」という想いから〈ocean〉を発案。
同校は独自の水産海洋教育カリキュラムを開発し、
文部科学省「マイスターハイスクール事業」に指定されている高校でもあります。
かねてより地域の探究活動に力を入れており、
地元産業と一体となってさまざまな活動をおこなってきました。
今回は海洋プラスチックゴミを身近な箸の素材に使うことで、
より多くの人に環境問題を意識するきっかけになると考えています。
同商品は7月27日から、同社のECサイト〈箸蔵まつかん〉で販売がスタート。
売上の一部は、
同校の海洋プラスチック問題に関する調査や取り組みにあてられるそうです。
今も増え続ける海洋プラスチックゴミ。
少しでも環境を変えていくには、私たちひとりひとりの意識も非常に大切です。
今の若狭湾を表現した、新しいかたちの伝統工芸品で、
地球環境のためにできることをあらためて考えていきませんか?
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お箸の専門店【箸蔵まつかん】
Web:オンラインショップ
*価格はすべて税込です。
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