五箇山の和紙を世界に!
和紙の魅力を発信するブランド
〈FIVE〉と石本泉さんの挑戦

泉鏡花風に言えば、右も左も山ばかり、手の届きそうな峰があると、
その峰に峰が乗り、頂が被さって、雲の形すら(空が狭くて)見えない、
そんな越中から飛騨に抜ける深山の間道で漉かれた和紙が、
パリの〈メゾン・エ・オブジェ〉に出品され、
ロンドンの〈ポール・スミス〉で取り扱われていると聞いたら、どう感じるだろうか。
「うそでしょう?」と思うかもしれないが、現実の話である。

そこで今回は世界文化遺産の村、富山県の五箇山(ごかやま)で働きながら
〈FIVE〉というブランドを立ち上げ、世界に越中和紙(五箇山和紙)の魅力を
発信し続けている石本泉(せん)さんに、同ブランドが誕生した背景などを聞いた。

世界文化遺産に認定されている五箇山の相倉(あいのくら)合掌造り集落。(写真提供:南砺市観光協会)

世界文化遺産に認定されている五箇山の相倉(あいのくら)合掌造り集落。(写真提供:南砺市観光協会)

〈五箇山和紙の里〉との出会い

本題に入る前に、石本泉さんのいる五箇山について、
少し説明しておく必要があるだろう。

富山県と岐阜県にまたがる山岳地帯の限られた平地には、
荻町集落、相倉(あいのくら)集落、菅沼集落などが点在している。

特別豪雪地帯に指定されるエリアで、平野部から隔絶されているため
物資の輸送もかつては困難を極めた土地だが、
その厳しい環境で自然と共生しながら暮らす人々の営みが、
1995年に白川郷・五箇山の合掌造り集落として
ユネスコから世界文化遺産に認定された。

撮影:倉員悠二

撮影:倉員悠二

3メートル以上も積もる冬の豪雪に対応するために、集落の家屋は
分厚い切妻(きりづま)の屋根の傾斜が極めて大きい造りになっている。

その形状から「合掌造り」とも呼ばれるが、屋根だけでなく間取りも独特で、
屋根裏には蚕を育てるスペースが設けられ、妻入りの入り口にある広い土間では
和紙をすき、黒色火薬の原料となる塩硝をつくれるようになっている。
平地が少なく、田畑を開くスペースが限られている同地で、
生計を立てるために先人が生み出した家屋の形である。

写真提供:南砺市観光協会

写真提供:南砺市観光協会

その五箇山で昔からすかれてきた和紙をいまに伝え、
発展させる目的を持った施設が、〈道の駅たいら・五箇山和紙の里〉だ。
同施設に勤務し、新商品の開発からデザイン、
和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培と、幅広く活躍する人が、石本泉さんだ。

聞けば富山県の出身ではなく、生まれは北陸ですらない。山口県岩国の出身だという。
現在でこそ五箇山和紙の里のある南砺市の女性と結婚したというが、
同施設に就職した際には、配偶者がいたわけでもない。
出身校は東京の武蔵野美術大学で、母校も遠く離れている。
そもそもの疑問として、どうして石本さんは五箇山和紙の里に勤務しているのだろうか。

「母校である武蔵野美術大学と五箇山の間に、昔から関係がありました。
大学の厚生施設である〈無名舎〉もあって、そこに大学4年生の夏に
友だちとレンタカーで訪れたことが、すべての始まりです」

〈五箇山和紙の里〉に勤務する石本泉さん。

〈五箇山和紙の里〉に勤務する石本泉さん。

無名舎とは、武蔵野美術大学の教職員や学生、卒業生、
その家族などが使用できる宿泊施設で、
世界文化遺産に認定された相倉合掌造り集落の近くに立地している。

石本さんは大学の木工科で家具づくりを学んでいたそうだが、
家具と同じ原料でつくられる紙に興味を持ち始め、3年時の自由課題において、
本来なら家具をつくる木工科の授業にもかかわらず、
当時住んでいたアパートの台所やお風呂場ですいた和紙を提出した。

木工の先生にはしかられたと、石本さんは当時を思い起こして笑う。
それでも、テキスタイル科など他学科の先生たちは大いに感心し、
和紙の産地である五箇山と、五箇山にある無名舎の存在を
石本さんに紹介してくれたという。

武蔵野美術大学の厚生施設、五箇山〈無名舎〉。

武蔵野美術大学の厚生施設、五箇山〈無名舎〉。

「正直に言えば、五箇山という地名を知りませんでしたし、
富山にも訪れた経験がありませんでした。
だからこそ、かえって気になる存在になって、4年生の夏に
友だちが行くと聞き、レンタカーに便乗させてもらいました」

五箇山訪問時には、武蔵野美術大学の先輩が五箇山和紙の里で働いていると聞き、
アポを取って会いにも出かけたと語る。
その五箇山は、石本さんの目にはどのように映ったのだろうか。

「初めて訪れた五箇山は本当にすばらしく、
友人たちと訪れたチベットや中国の雲南省などと景色が似ていて、
日本のようには思えませんでした」

聞けば、石本さんは在学中にアジア各国、ヨーロッパなど
世界中を幾度となく旅している。
その体験から考えても五箇山はすばらしく、住んでいる人々も魅力的で、
住みたい、和紙を勉強したいという思いが強くなったという。

そこで石本さんは、初めて訪れた夏と同じ年の冬にもう一度、
和紙づくりを勉強させてほしいと五箇山和紙の里にお願いをして、2週間ほど滞在する。
結果として、欠員が出るという偶然も重なり、五箇山和紙の里に就職することになった。

西武鉄道×JINSのコラボ! 電車の端材が鯖江の職人によって メガネに変身

子供から大人まで、多くのファンを持ち、
生活の一部として欠かすことができない“電車”にまつわる商品をご紹介!

まずこちらは、西武鉄道×JINSのアイウェア。
西武鉄道(40000系)とコラボレーションしたアイウェアです。

西武鉄道×JINSのアイウェア

西武鉄道×JINS

なんとこちらのアイウェア、電車の素材から生まれたもの。
西武鉄道40000系の車両製造工程の窓枠切り抜き加工で生じた
端材をメガネに再利用した特別モデルなんです!

電車を製造する際に出たアルミ端材が、福井県鯖江市の職人の手によって
メガネに変身! フロントにアルミ端材を使用しているため、
見た目よりも軽さを感じる仕上がりになっています。

フレーム1

フレーム2

フレーム2種類 18,000円(税抜)

フレームは2種類のラインアップで展開。お値段は18,000円(税抜)となっています。
座席部に使用されている布地と同素材を使用したオリジナルケースも販売予定。
鉄道好きにはたまらないグッズになっています。
2018年6月4日(月)から先行予約を行いますので、
詳細は公式サイトをチェック!

〈にわのわ アート& クラフトフェア・チバ〉 作家とまち一体で盛り上げる 千葉随一のクラフトフェア

2018年6月2日(土)3日(日)、千葉の佐倉城址公園にて
〈にわのわ アート&クラフトフェア・チバ〉が開催されます。

これは「千葉に暮らす私たちが、千葉という土地に巡りあわせた
つくり手との縁を大切にしたい」という思いから始まったクラフトフェア。
2012年にスタートし、2017年は2日間で約21,000人を動員。
いまでは千葉を代表するイベントのひとつになりました!

にわのわの出展者は、公募により選出されます。
今年は〈みんげい おくむら〉の奥村忍さんや、フードデザイナーのモコメシ/小沢 朋子さん、
〈fripon-friponne〉主宰の柳崎ユウコさんらが選考委員となり、
アート分野からは4組、陶磁器31組、ガラス9組、木工・漆11組、皮革8組、
染織・布8組、金属4組、アクセサリー4組など、総勢96組を選出しました。

木のうつわやはちみつスプーン

お弁当箱

参加作家は陶芸家の笹本雅行さん+竹内陽子さん(LIVINGSTONE STUDIO)、
平沢崇義さん(すゑもの亀屋)、安田裕康さん(焼締陶 六地蔵窯)、
ガラス作家の沖澤康平さん、左藤玲朗さん、相馬佳織さん、
木工・漆作家の藤井健一さん、岡野達也さん、
インテリアモビールを手がける大岡真奈さん(ヒンメリのおか)などなど。

また、ごはん部門も充実しています。
〈キレド〉による野菜のファーストフードとお菓子、
〈たけおごはん〉による揚げ物・惣菜・おやつ、
〈Craquelin〉のフランス伝統菓子(6/2のみ)、
食の情報誌『ちばのへそ』発行している〈Slow Food Trip〉の
地産地消サンド(6/2のみ)などが楽しめます。

FOOD×PICNIC SPACE 看板

ただ派手なだけではない!?
七色に光る靴
〈Orphe(オルフェ)〉は、
インタラクティブな
スマートフットウェアだった!

センサーやIoT技術などを駆使した楽器のような靴

〈Orphe(オルフェ)〉という靴を見たことがあるだろうか。
ソールが七色に光るので、ダンサーやミュージシャン、アイドルのライヴ演出などで、
その靴を目にすることができる。
エンターテインメントな側面が注目されがちだが、
実はモーションセンサーやIoT技術を搭載した靴であることから、
“スマートフットウェア”としてさまざまな領域から注目されている。

〈Orphe〉(左・上)と〈ORPHE TRACK〉(右)。

〈Orphe〉(左・上)と〈ORPHE TRACK〉(右)。

発売したのは〈no new folk studio〉。
今回、そのオフィスを一緒に訪ねたのは
〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さんだ。
かつて〈貝印〉のキッチン用品をつくるプロジェクトでCEOの菊川裕也さんと知り合い、
以来、その言動が気になっていた存在だという。
キッチン用品やカミソリにも、果たしてセンサーやテクノロジーを
取り入れることができるのだろうか。開発のきっかけになるかもしれない。

〈Orphe〉はアウトソールに約100個のフルカラーLEDを備えていて、見た目に美しい。
そのうえモーションセンサーを搭載しているので、
リアルタイムで足の動きをデータ化することができる。

〈no new folk studio〉代表の菊川裕也さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんが再会した。

〈no new folk studio〉代表の菊川裕也さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんが再会した。

“スマートフットウェア”として多くの機能を収斂させていく原点には、
「楽器をつくってみたい」という発想があった。
靴の楽器化はタップダンスやフラメンコなど、過去にも存在する。
それがどうしてテクノロジー満載の〈Orphe〉にまで到達したのか。
話は〈no new folk studio〉という会社名にさかのぼる。

「folkという単語が入っています。アコースティックなイメージの言葉ですが、
“自分の出自に向き合う”という意味合いで使っています。
テクノロジーに囲まれて育った私たちにとってはそれが出自だし、
アコースティックに偏ることも不自然。
今の自分たちを表現するのに適したメディアやテクノロジーで
表現していきたいと思ったんです」

かつては自身でも音楽活動に夢中だった菊川さん。そろそろ再開したいとか。

かつては自身でも音楽活動に夢中だった菊川さん。そろそろ再開したいとか。

菊川さん自身、音楽活動をしていた。
そこで生まれた、音楽的な視点とテクノロジー的な視点。
その両サイドから見つめて、
テクノロジーを重ね合わせた楽器という新しい表現を求めていった。

「通常の楽器で音を奏でられるようになるには、勉強やレッスンが必要になってきます。
しかし、すでに誰もが習得しているジェスチャーを使うことができれば、
多くの人を演奏の世界に巻き込める。すでに音楽を好きな人が満足する楽器より、
そうではない人も含めたすべての人を音楽の世界に巻き込むという発想で
楽器をつくったほうが、新しいことができるのではないか」

約100個のフルカラーLEDを内蔵した〈Orphe〉のアウトソールはかなり派手に光る。

約100個のフルカラーLEDを内蔵した〈Orphe〉のアウトソールはかなり派手に光る。

そこで靴である。歩くという動作はほとんどの人が習得しているし、靴も履く。
まったく新しい楽器の形を考えるよりも、日常生活の動作に重ね合わせた。

使い方は簡単。スマートフォンアプリと連動させて音色を設定したら、
足の運びに合わせて音が鳴る。楽器的なドラムやベース音を鳴らすことはもちろん、
水たまりを歩いているようなピチャピチャという水の音、
蹴りを繰り出すとジャッキー・チェンさながらの効果音が鳴るカンフー設定まで!

カンフー音設定で、キックを繰り出してみる貝印・大塚さん。

カンフー音設定で、キックを繰り出してみる貝印・大塚さん。

貝印も、キッチングッズやかみそりなど日用品の製造・販売がメインだ。
だからこそ貝印・大塚さんは、日用品の未来の姿を案じている。

「私たちがつくっている製品も、家庭用品や日用品など
生活に溶け込んでいるものが多く、劇的に新しいものは生まれにくい状況です。
そこで、より多くの人が使って楽しいものにするために、
こうしたテック系技術を採用していきたいと考えています。
だから歩くという日常動作に注目されたことにとても共感しました」(貝印・大塚さん)

『没後40年 濱田庄司展 大阪市立東洋陶磁美術館 堀尾幹雄コレクションを中心に』 濱田庄司の企画展を開催

2018年6月30日(土)〜8月26日(日)、東京の世田谷美術館にて、
『没後40年 濱田庄司展 大阪市立東洋陶磁美術館
堀尾幹雄コレクションを中心に』が開催されます。

「仕事が生活で、生活が仕事です」とは、生活のなかに美を見出し
数々の名作を手がけてきた陶芸家・濱田庄司さん(1894〜1978)の言葉。
そこには、どんな思いがあったのでしょうか?

濱田さんは東京高等工業学校の窯芸科を卒業し、
京都で陶芸の先端技術を学んだ後、
1920年にイギリス人の陶芸家、バーナード・リーチさんに誘われて
イギリスへ渡り、彼とともに西南端のセント・アイヴスで作陶を始めます。

濱田庄司『塩釉櫛目色差 茶碗』1961年頃 大阪市立東洋陶磁美術館蔵 堀尾幹雄コレクション

濱田庄司『塩釉櫛目色差 茶碗』1961年頃 大阪市立東洋陶磁美術館蔵 堀尾幹雄コレクション

濱田さんはその滞在中にロンドン南方の芸術家村「ディッチリング」を訪れ、
染織家のエセル・メーレさんと詩人で彫刻家のエリック・ギルさんが
都会から離れた地で、生活と結びついた創作を行っていることに
大きな影響を受けたといいます。

「仕事が生活で、生活が仕事です」という言葉は、
1924年に帰国した濱田さんが『大日本窯業協会雑誌』に寄せたものでした。

「彼等は美しい田舎の村に住んで居ますけど、
又楽しんで仕事していますけど、
卑法に資本と機械とから逃げているのでもなく、
徒に田舎へ還るのでもありません、勿論ジレッタント(※1)ではありません、
ペザントアート(※2)が一度死ぬべき事も承知しています。
そこに生み出す新しい道を知っています。
仕事が生活で、生活が仕事です、アーチストではないと表明しています。
此の訪問のお蔭で、趣味と仕事と生活の長い間の板挟みから救われた気がします」
(「英國より」『大日本窯業協会雑誌』365号、大日本窯業協会、1923年)

益子で作陶する濱田庄司さん。写真提供:(公財)濱田庄司記念益子参考館

益子で作陶する濱田庄司さん。写真提供:(公財)濱田庄司記念益子参考館

いまから100年近く前に書かれたとは信じられないほど、心に響く言葉です。
イギリスから戻った濱田さんは沖縄の陶工さんから仕事を学ぶ一方で、
拠点を栃木県益子に移し、陶芸の世界に新たな境地を切りひらきました。

※1 ジレッタント:学問や芸能などを趣味として愛好する人。

※2 ペザントアート:農民芸術。ヨーロッパの農民が自分たちのためにつくった木製の家具や小物。ペザントとは農民や農夫を意味する言葉。

『ダイニングテーブル、イス』(デザイン:濱田庄司)1940年頃(公財)濱田庄司記念益子参考館蔵 撮影:秋山晋一

『ダイニングテーブル、イス』(デザイン:濱田庄司)1940年頃(公財)濱田庄司記念益子参考館蔵 撮影:秋山晋一

〈クラフトフェアまつもと〉 松本の「工芸の五月」にいかねば! 全国からクラフトマンが集合

5月になると工芸月間〈工芸の五月〉を迎え、
つくり手とクラフトファンでにぎわう長野県松本市。
今年も10cm、ミナ ペルホネンなどが参加する
六九クラフトストリート〉や〈松本民芸館名品展〉(松本民芸館)、
〈草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて〉(松本市美術館)など、
約60の会場で展示や即売会などが行われています。

ハイライトは〈クラフトフェアまつもと〉が
開催される2018年5月26日(土)〜27日(日)。
今年はクラフト部門232組、材料・道具・情報部門18組、
食品部門41組、合わせて291組が出展します。
クラフト好きなら、うずうずしてしまいますね。

今年で34回目を迎える〈クラフトフェアまつもと〉

今年で34回目を迎える〈クラフトフェアまつもと〉

公園

松本は江戸時代のころから、各地から集められた匠が
居住する城下町として栄えてきました。
戦後には、柳宗悦の唱えた「民藝運動」に共感した人たちにより、
ますます盛んにものづくりが行われるようになったといいます。

クラフトフェアまつもとは、そんな松本で1985年に始まったイベント。
屋外で行われるクラフトイベントとしては、日本初のフェアでした。
会場となるあがたの森公園には、木工、漆、陶磁、染織、ガラス、金属などの
出展ブースがずらり。つくり手とお話できるのも魅力です。

あがたの森公園での展示

公園内には大正時代の面影を残す素敵な建物
〈あがたの森文化会館講堂〉(旧松本高等学校講堂)も。
こちらでは〈講堂棟CINEMA〉や企画展、ワークショップなどが開催されます。

あがたの森文化会館講堂での〈講堂棟CINEMA〉

〈講堂棟CINEMA〉

〈六九クラフトストリート〉 10cm、ミナ ペルホネンなど 7つの眼が選ぶ日用美品とは?

六九通りにある木工作家・三谷龍二さんのお店〈10cm〉

爽やかな空気に包まれる5月。
長野県松本市は工芸月間〈工芸の五月〉を迎え、つくり手たちとクラフトファンでにぎわいます。
この期間は〈クラフトフェアまつもと〉をはじめ、展示会が目白押し。
今日はそのなかから、10cm、ミナ ペルホネン、工芸青花、森岡書店、
さる山、gallery yamahon、Roundabout/OUTBOUNDが参加するイベント
〈六九(ろっく)クラフトストリート〉をご紹介します。

〈六九クラフトストリート Vol.6 日用美品〉2018年5月25日(金)〜27日(日)開催

〈六九クラフトストリート Vol.6 日用美品〉2018年5月25日(金)〜27日(日)開催

六九クラフトストリートは、戦前からの古い建物が残る六九通りで
2012年に始まったイベント。作家が中心となるクラフトフェアに対し、
ギャラリーという選者の眼を通して工芸を紹介するのだとか。
今年は7つの眼が「日用美品」をテーマに作品を揃えます。

松本駅から歩いていくと、六九通りへ入ってまず出会うのが
木工作家・三谷龍二さんのお店〈10cm〉。

〈10cm〉

〈10cm〉

もとはたばこ屋さんだった建物を改装したというこちらのお店。
なんとも素敵な雰囲気ですね! 
三谷さんは〈クラフトフェアまつもと〉や〈瀬戸内生活工芸祭〉の
運営に発足時から参加されている方でもあります。
ここは、クラフト好きなら一度は訪れたい聖地といったところでしょうか。

ふだんの10cmの様子。

ふだんの10cmの様子。

三谷龍二さんが手がけた陶磁器のような木のうつわ。

三谷龍二さんが手がけた陶磁器のような木のうつわ。

六九クラフトストリートの舞台となる六九通りは、かつてハイカラな商店街として親しまれた場所。
開発が進むにつれ、にぎわいは駅前へと移っていきましたが、
そのおかげで開発の波を逃れ、新しいまちにはない陰影と奥行きが残されたといいます。

そんな六九通りに10cmがオープンしたのは2011年のこと。
すると、新たな層のお客さんが訪れるようになり、
2013年にはデザイナーの皆川明さんのブランド
〈ミナ ペルホネン 松本店〉もオープンしました。
こちらも何とも雰囲気がある、素敵な佇まいのお店です。

ミナ ペルホネン 松本店 Photo by Takumi Ota

ミナ ペルホネン 松本店 Photo by Takumi Ota

注目の1冊 『センベイブラザーズのキセキ』 閉鎖寸前の老舗せんべい工場が 4代目兄弟の力で復活!

東京都江戸川区船堀にある、50年以上続く老舗せんべい工場〈笠原製菓〉。
2014年夏、この小さな町工場は、倒産寸前の崖っぷちに
追い込まれていましたーー。

絶望的な状況で家業を継承した4代目の兄弟が、
起死回生に立ち上げた〈Senbei Brothers センベイブラザーズ〉というビジネス。
現在では、通販サイトで最大数か月待ちとなるほどの人気を誇るブランドに!

このセンベイブラザーズの歩みが綴られた書籍
『倒産寸前からの復活! センベイブラザーズのキセキ
〜赤字を1年で黒字化 金、時間、経験なし 町工場の奮闘記〜』

が大和書房から発売されます。

『倒産寸前からの復活! センベイブラザーズのキセキ 〜赤字を1年で黒字化 金、時間、経験なし 町工場の奮闘記〜』書影

『倒産寸前からの復活! センベイブラザーズのキセキ 〜赤字を1年で黒字化 金、時間、経験なし 町工場の奮闘記〜』書影

センベイブラザーズは、兄の笠原健徳さんと、弟の忠清さんの2人組。
健徳さんは1975年生まれ。約20年デザイナーとして企業に勤務したのち、
2014年に家業を継ぎました。センベイブラザーズの販売から、
パッケージデザイン、プロモーションに至るまで、全てを自ら行っています。

弟の忠清さんは、兄より足はやく家業を継ぎ、煎餅職人として働き始めました。
センベイブラザーズの商品を全て製造するかたわら、受注生産の業務も行っています。

2人が家業を継いだ2014年頃は、〈笠原製菓〉を取り巻く状況はかなり厳しいものでした。
経営者の病、銀行からの融資ストップ、残された借金、せんべいが売れない……。
先代までは「受注生産卸」といういわゆる下請けの仕事をメインに行っていたので、
発注元の大企業の理不尽なしわ寄せで取引量減少の憂き目に遭ってしまいます。
弟の忠清さんが焼くせんべいはすごく美味しいのに、経営は傾く一方。

そこで、兄の健徳さんのデザインのもと、徹底的なリブランディングを図ることに。
キャッチコピーは「せんべいを、おいしく、かっこよく。」

キャッチコピーは「せんべいを、おいしく、かっこよく。」

立ち上げた〈センベイブラザーズ〉の売りは、
煎餅らしくないオシャレなパッケージと、
「バジル」「極みワサビ」などこれまでになかったインパクトの強い味。
現在では、20種をこえるバラエティあふれる煎餅がラインナップしています。
この商品を独自のパッケージやプロモーションにより自ら販売し、
SNSやメディアにて大きな反響を呼びました。

煎餅らしくないオシャレなパッケージ

煎餅らしくないオシャレなパッケージ

地元での販売を足がかりに認知度を向上させると、
新宿伊勢丹、渋谷ヒカリエ、ルミネ新宿、阪急百貨店などに出店。
試行錯誤の販売を繰り返しながら、独自の販売スタイルを確率しています。
現在では、通販サイトで最大数か月待ちとなるほどの人気に! 
倒産寸前だった工場を復活させることに成功したのです。
書籍では、4代目兄弟ががむしゃらに走り続けて家業を立て直した、
過去から今の「リアル」を語っています。

〈FUMA 香り導くサーキュレーター〉 南部鉄器と有田焼の球体が生み出す 柔らかな風と香り

伝統工芸の魅力を引き出し、風流な空間をつくりだすブランド〈FUMA〉から、
柔らかな風と香りを生み出す扇風機〈FUMA 香り導くサーキュレーター〉が誕生しました。

なんともオーガニックな風合いがただよう、こちらの扇風機。
球体のボディの素材は、なんと有田焼と、

有田焼

有田焼

南部鉄器!

南部鉄器

南部鉄器

南部鉄器と有田焼は古くから香炉に使われてきたのだとか。
羽が見えない、穴も空いていない球体から風が送られてくるのは、なんとも不思議な感覚です。

FUMA 香り導くサーキュレーター

FUMA 香り導くサーキュレーター

左から南部鉄器モデルと有田焼モデル。販売価格:73,800円(税抜)

左から南部鉄器モデルと有田焼モデル。販売価格:73,800円(税抜)

この丸いかたちにはちゃんとわけがあります。
空気などの流体が物体の表面に沿って流れる「コアンダ効果」を生かし、
ピンポイントに風を届けることができるのだそう。

工芸品を美しく見せるために開発された、羽を隠しつつ風を生み出すコアンダ送風技術。

工芸品を美しく見せるために開発された、羽を隠しつつ風を生み出すコアンダ送風技術。

香りの秘密は、送風部の下に置かれたアロマストーン。
ここから立ち上る空気を送ることにより、自然な香りが楽しめるんです。

アロマストーン

アロマストーン

一般的なアロマディフューザーはしばらく使っていると嗅覚が麻痺し、
香りを感じにくくなってきてしまいますが、
FUMAは風によって香りの濃度を不均一にすることで、
低濃度の香りでもしっかり感じられます。
アロマストーンの代わりにハーブやコーヒー豆などを置いて、
好きな香りを楽しむことも!

南部鉄器モデル

南部鉄器モデル

この扇風機は、最先端のロボティクス開発に取り組む〈ATOUN〉(奈良県奈良市)と、
クリエイティブ集団〈PARTY〉(東京都渋谷区/ニューヨーク)による
新ブランド、FUMAの第一弾商品。
クラウドファンディングサイト〈グリーンファンディング〉で
先行発売されていましたが、2018年5月3日より〈二子玉川 蔦屋家電〉にて
一般販売予約がスタートしています。

〈二子玉川 蔦屋家電〉2015年5月、複合商業施設「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」(東京都世田谷区)にオープンした新しいスタイルの家電店。

〈二子玉川 蔦屋家電〉2015年5月、複合商業施設「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」(東京都世田谷区)にオープンした新しいスタイルの家電店。

〈VUILD〉の
デジタルファブリケーションは、
ゼロからイチをつくる、
ものづくりの「ひらめき」を
呼び戻す!

自由で創造的なものづくりの感性を取り戻す

パソコンでつくったデータを工作機械に送ることで、
特別な技術を持っていなくてもものづくりが容易にできるようになった
「デジタルファブリケーション」。
最近では、それら機械を自由に使える施設なども増え、一般にも普及が進んでいる。

〈VUILD(ヴィルド)〉では、
そのデジタルファブリケーション機である〈SHOPBOT(ショップボット)〉を
全国に販売している。これは木材加工に特化した機械で、安価で操作も簡単。
板からパーツを切り出すことはもちろん、角材を立体的に削ることも可能だ。
かつての宮大工のように、加工された木材同士を組み合わせることで、
大型なものが製作できる。

〈ヴィルド〉CEOの秋吉浩気さん(左)と、COOの井上達哉さん(右)。

〈ヴィルド〉CEOの秋吉浩気さん(左)と、COOの井上達哉さん(右)。

〈ヴィルド〉の工房は川崎にあるシェアオフィス〈UNICO〉にある。内部の木製品のほとんどは〈ヴィルド〉製作によるもの。

〈ヴィルド〉の工房は川崎にあるシェアオフィス〈UNICO〉にある。内部の木製品のほとんどは〈ヴィルド〉製作によるもの。

〈ショップボット〉があれば、購入者は自分たちの手で
さまざまな木製品をつくり出すことができるようになる。
ただし、狙いはほかにもある。
〈ヴィルド〉代表取締役である秋吉浩気(こうき)さんが教えてくれた。

「ほかのCNC(数値制御)加工機は、
加工データが改変できないようになっていることが多いのですが、
ショップボットは素人でも簡単に加工データがつくれるよう、
オープンな仕組みになっています。
そのため、ユーザーも多く、データや情報をシェアしやすい。
私たちが目指している理念に一致しているのです」

アメリカ〈ショップボット〉社製の木材切削加工機。

アメリカ〈ショップボット〉社製の木材切削加工機。

現在までに、全国21か所にショップボットを納品した(2018年4月末現在)。
企業から行政まで使用方法はさまざまだが、購入者に共通しているのは、
現在の林業や木材を取り巻く環境に問題意識を持っており、
“公共性”を大切にしていることだ。

たとえば高知県高岡郡佐川町では、
小学校の教育プログラムや地域おこし協力隊のメンバーが
プロダクト開発に役立てているという。
東京都大田区西蒲田でもFAB付き賃貸&シェアオフィスに納入され、
「ものづくりのまち」の活性化にひと役買っている。

量産体制の構築やコストカットなど、企業の営利目的のみならず、
“まちとの接点”や“人とのつながり”のハブとして
〈ショップボット〉が設置されている事例が多いようだ。
それぞれが〈ヴィルド〉が持っているビジョンに賛同しているからにほかならない。

〈ショップボット〉はコンピューター制御で正確に木材を切り抜いていく。

〈ショップボット〉はコンピューター制御で正確に木材を切り抜いていく。

デジタル加工機械が普及し、何でもつくれる世の中になった。
しかしまだまだ一部クリエイターのプロトタイプや
モックづくり程度にとどまっていて、一般市民は暮らしの中で、
どの程度使いこなしているのだろうか。

「デジタル加工機械があれば、
本人にとって“最適なオリジナル”がつくれるはずです。
しかし現代の人間の創造性がいかに乏しいか。
本来ならば、制限を取り払ったときに、もっといろいろなひらめきがあるはず。
その生活に対する感性や創造力を、ありものの中から選ぶ生活の中で、
自分たちはどれだけ失っているか」

そのため秋吉さんは「創造のための設計支援」行っているのだ。

「物の売り買いからではなく、自分でつくることによって生まれる幸福感や
達成感を身につけてほしい。それを実感してもらう仕組みを提供したい」

以前、〈ヴィルド〉では、主婦向けに収納家具をつくるワークショップを開催した。
どんな家具が欲しいかという答えは人それぞれ。ある人は棚がほしいと言った。
しかしよくよく話を聞いていくと、つくるべきものは棚ではなかったりする。

「“収納家具=棚”のように、どうしても既成概念にとらわれてしまいがちです。
子どもに遊具をつくろうと伝えて、
すぐにすべり台の絵を描いていたことがありました。
子どもにしてすでに枠組みに縛られていると思います」

〈ヴィルド〉が製作した各オフィスの木製扉。

〈ヴィルド〉が製作した各オフィスの木製扉。

リミッターを取り払うことができるか。
そしてゼロから考える力をどれだけ引き出すことができるか。
これを繰り返すことで秋吉さんが気づいたことは
「最大限、熟考してつくられたものは、その人らしいユニークなもので、
この世にふたつと存在しないものになる」ということ。
デザイナー視点からみたら美しいデザインではないかもしれないが、
つくった本人にとっては、とても幸福度の高いものになる。

「もっと創造的に暮らしたほうが、絶対に幸せだと思います」

ゼロからイチをつくること。
私たちの心がその技術に追いつくための方策を〈ヴィルド〉は教えてくれる。

『Sun miの傘展』 元気な柄がかわいい! 日本の職人さんがつくった アフリカンバティックの傘

東京・自由が丘にある日本の“かっこいいもの”を揃えた
お土産やさんkatakana(カタカナ)にて、
毎年恒例の〈Sun mi(サンミ)の傘展〉が開催されています。
お店に並ぶのは、目にも鮮やかなアフリカンバティックを使った傘たち。

目にも鮮やかなアフリカンバティックを使った傘

元気な柄がかわいい

デザインや生地の買いつけなどはSun mi代表の淵上さん、
傘本体は大阪〈傘工房 えいきち〉の傘職人・平下榮吉さん、
ボタンは神戸の陶芸家・土末(どすえ)さんが手がけています。
見ているだけで元気になれそうな傘です!

目にも鮮やかなアフリカンバティックを使った傘

日傘(45センチ)晴雨兼用傘(45センチ、50センチ、60センチ)価格帯1万2,900円〜2万円

日傘(45センチ)晴雨兼用傘(45センチ、50センチ、60センチ)価格帯1万2,900円〜2万円

傘のタイプは、日傘と晴雨兼用傘があります。
こんな元気な柄で太陽を下を歩くのもいいですね。

〈エイトブランディングデザイン〉
ブランディングデザインは
「伝言ゲーム」?
“売る”よりも“伝える”、
その極意とは

「ブランディングデザイン」とは、どんな仕事?

取材冒頭、〈貝印〉が製造している商品点数を尋ね、
「もし僕が貝印さんからリブランディングを依頼されたら、
半分くらいの点数にするかもしれませんね」とアイデアを話す
〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん。
自身でもイベントでファシリテーションをしたり、
雑誌連載や書籍でインタビューをしていることもあり、人に話を聞くのが好きな性分。
西澤さんのもとを訪れた〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんは、
いきなり逆質問をされた格好だ。

社名に掲げているように、ブランディングデザインの専門家である西澤さん。
そもそもブランディングの本質を、
企業側もデザイナー側も、正しく理解していないことが多いという話から始まった。

〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん(右)。

〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん(右)。

「どちらかというと、日本の経営者はマーケティングを学び、
マーケティング視点でものごとを考える人が多い。マーケティングは“売るゲーム”。
どうやって売るかという方法論なので、
経営のゴールを売ることに設定してしまいがちです。
しかしブランディングの本質は、売ることではなく“伝えること”です」

どの企業も情報を提供し、ユーザーに伝えているはず。
西澤さんの考えるブランディングのなかで「伝える」、
そして「伝わっている」とはどういう状態を指すのか。

「伝言ゲームのように、どんどん伝播していくことが理想です。
それが起こらないような情報設計やデザインでは、
ブランディングできていないといえます。
組織自体がブランディングを正しく理解していないと、
途中からなんとなくマーケティング思考になっていって、
短期的な売り上げ増加のみを目標として
プロジェクトが途中で終わってしまうなんてことが多々ありますね」

過去のブランディングデザインで、100点程度あった商品点数を3点程度にまで絞り込んだこともあるという。

過去のブランディングデザインで、100点程度あった商品点数を3点程度にまで絞り込んだこともあるという。

西澤さんの言う「伝言デーム」を〈COEDOビール〉の例で見ていこう。
エイトブランディングデザインが、2005年からブランディングデザインを手がける
埼玉県川越市にあるクラフトビールメーカーだ。
ビールとして大切なのはもちろん、おいしいこと。
しかしそれだけでは、伝言ゲームは起こらないという。大切なのは、物語や背景だ。

「COEDOビールは日本のクラフトビールのパイオニアです。
既存のビールとの違いやCOEDOがビールづくりで大切にしている
クラフトマンシップについて朝霧重治社長ととことん話し合いました。
そしてそこから “BEER BEAUTIFUL”というコンセプトが生まれました。
ここから伝言ゲームが始まります。
コアなファン層になると、ただ『おいしいよ』というだけでなく、
背景やコンセプトを理解して話してもらうことができます。
最初の100人が1000人に、そして1万人にと、
ただ『おいしい』というだけではない伝わり方をする。
これがブランディングデザインに必要な波及効果だと思います」

 国際的なビールのコンテストでも受賞している〈COEDOビール〉。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

国際的なビールのコンテストでも受賞している〈COEDOビール〉。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

伝わっていく状態が大切だ。企業から「第一波」は可能だろう。
そこから第二波、第三波を生み出していくには、第一波のつくり込みが肝になる。
こうして効果的な波及効果が生まれると、その世界に共感して人が集まってくる。
それは買い手だけでなく、つくり手も同様。
COEDOビールには、最近、若い職人希望者がたくさん来るという。

「伝言ゲームがうまくいくと、リクルートもうまくいくようになります。
〈山形緞通〉という手織じゅうたんの会社では、
リブランディングから数年でスタッフ数が倍近くになるまでに成長しています」

雇用、求人状況まで向上すると、企業からお客様、
そしてまた企業へとフィードバックされ、1周回っていい循環が生まれるのだ。

 エイトブランディングデザインのオフィスで使われている〈山形緞通〉の手織じゅうたん。

 エイトブランディングデザインのオフィスで使われている〈山形緞通〉の手織じゅうたん。

スペシャルティコーヒー専門店〈堀口珈琲〉のリブランディング。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

スペシャルティコーヒー専門店〈堀口珈琲〉のリブランディング。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

〈濱田庄司登り窯
復活プロジェクト〉
伝説の登り窯がつなぐ
益子と笠間の陶芸家のこれから

登り窯を復活させ、継承していく

陶芸家・濱田庄司が作陶の拠点とした栃木県益子町は、
多くの陶芸家が集う焼きものの産地だ。
その益子で行われた〈濱田庄司登り窯復活プロジェクト〉を取材するべく
まだ雪の残る2月、開催地である〈濱田庄司記念益子参考館〉を訪れた。

益子焼の聖地〈濱田庄司記念益子参考館〉。

益子焼の聖地〈濱田庄司記念益子参考館〉。

日本の工芸界に大きな影響を与えた陶芸家・濱田庄司(1894~1978年)。
バーナード・リーチとともに渡英、帰国後は益子に移住して作陶し、
柳宗悦らとともに民芸運動を主導した、益子焼の象徴的な人物だ。
その濱田が拠点とした益子町で、2018年2月
〈濱田庄司登り窯復活プロジェクトVOL.2〉がクライマックスを迎えていた。

濱田庄司登り窯復活プロジェクト委員会の会長を務めるのは、
濱田庄司の孫であり、濱田庄司記念益子参考館の館長でもある濱田友緒さん。

濱田庄司の孫であり、濱田窯を引き継ぐ濱田友緒さん。今回のプロジェクトのキーマンだ。

濱田庄司の孫であり、濱田窯を引き継ぐ濱田友緒さん。今回のプロジェクトのキーマンだ。

2011年の東日本大震災で損壊した登り窯を2年がかりで再建し、
2015年、濱田庄司の生誕120年に合わせ、
濱田庄司登り窯復活プロジェクトとして実際に窯焚きを行った。
今回は2回目の火入れとなる。

「震災後、登り窯を修復したのは、
これまで展示していたものが壊れたので直そうという感覚でした。
復興の証としてみなさんに感謝の気持ちを表すきっかけにもしたかったですし。
でもレンガを組み表面を粘土で固めただけではもろくて結局風化してしまうので、
完成させるためには窯を焼き締める必要があります。
火を入れるとなると薪代など費用もかかることだし、せっかくなら作品も焼こう! 
というのが登り窯復活プロジェクトの始まりです」

修復された濱田庄司の登り窯。長さ約16メートル、横幅は約5メートルと大型で迫力がある。

修復された濱田庄司の登り窯。長さ約16メートル、横幅は約5メートルと大型で迫力がある。

濱田庄司の没後、休眠状態であった登り窯に
約40年ぶりに火入れをした第1弾から3年。
第2弾となる今回は、益子焼のルーツとされる笠間焼の作家も含め、
87人のプロの陶芸家が参加し、プロジェクトを盛り上げた。

笠間焼は茨城県笠間で江戸時代中期に始まったといわれ、
日用雑器が多くつくられてきた。地理的にも近い笠間と益子は、
これまでも産地を超えてつながるような取り組みが行われている。

〈福井県鯖江市への発地 2018春〉 リノベーションホテル、 HATCHi金沢にSAVA!STOREが やって来る!

金沢のリノベーションホテル〈HATCHi金沢〉にて、
2018年5月31日(木)まで〈福井県鯖江市への発地 2018春〉が開催されています。

HATCHi金沢は、既存建物の改修・再生を手がける〈リビタ〉が
企画、プロデュースから運営までを手掛けるホテル。

築50年のオフィスビルをリノベーションし、客室や飲食店のほか、ポップアップスペースや屋台カート、シェアキッチンなどさまざまなシェアスペースを複合

築50年のオフィスビルをリノベーションし、客室やふたつの飲食店のほか、ポップアップスペースや屋台カート、シェアキッチンなどさまざまなシェアスペースを複合しています。

今回はHATCHi金沢に、お隣り福井からよりすぐりの
漆器やアクセサリー、グリーンポットなどが大集合し、
ポップアップショップ〈SAVA!STORE in Kanazawa〉を展開しています。

ポップアップショップ〈SAVA!STORE in Kanazawa〉イメージイラスト

福井県の越前エリアは、半径10kmという小さな圏内に
越前漆器や越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼といった伝統工芸や、
眼鏡、繊維産業がギュッと集積したものづくりのまち。

福井県の越前エリアは、半径10kmという小さな圏内にギュッと集積したものづくりのまち

出店者は鯖江市に移住したデザイナー、クリエイターによる
クリエイティブカンパニー〈TSUGI(ツギ)〉や、
同じく鯖江で200年にわたり漆塗を継承してきた〈漆琳堂〉による
漆器ブランド〈aisomo cosomo(アイソモコソモ)〉などなど。
伝統工芸と現代のデザインが出会って生まれた、すてきなプロダクトが集います。

漆器ブランド〈aisomo cosomo アイソモコソモ〉

〈aisomo cosomo〉

キシルから ランドセル〈アタラ〉誕生! 軽くておしゃれ、革なのに軽い!

国産ひのき学習机で知られるキシルから、新たなランドセルブランド

国産ひのきの学習机で知られるキシルが、小学生やお母さんの声を反映した
ランドセルブランド〈アタラ〉をプロデュースしました。

それは、本場イタリア製の牛革を使っているのに軽いランドセル。
「せっかくつくるのなら、今までにない新しい特徴を持ったランドセルを」と、
一般的なランドセルの機能をひとつずつチェックし、
必要最小限のものだけを残したデザインを一からつくりました。

キシルがランドセルブランド〈アタラ〉をプロデュース

色は森で拾った木の実をイメージした「kinomi」(キャメルベージュ)、
清らかな泉をイメージした「izumi」(ペールブルー)、
光と影が交差する木陰をイメージした「kokage」(ネイビー)の3色。
とってもきれいな色!大人も羨ましくなってしまうランドセルです。

「kinomi」(キャメルベージュ)、「izumi」(ペールブルー)、「kokage」(ネイビー)の3色

学習机をつくってきた同社が新しい入学アイテムを
つくりたいと構想し始めたのは2年ほど前のこと。
そんな折、キシルの創業当時(2003年)から販売協力している
〈土屋鞄製造所〉のデザイン協力・技術指導を得られることになり、新プロジェクトがスタート。
「A4フラットファイルを入れたい」との声を反映させ内寸を大きめに仕上げるなど、
随所に工夫が施されています。

アタラのランドセルは「A4フラットファイルを入れたい」との声を反映させ内寸を大きめに仕上げ

〈ビームス ジャパン〉 2周年記念イベントで お祭り気分!濱田窯復活 プロジェクトの器も登場

2周年を祝うにぎやかな催し

建物一棟丸ごとBEAMSという「ビームス ジャパン」は、2016年4月28日にオープン。
日本をキーワードに各地の銘品、ファッションやカルチャー、
アートやクラフトといった幅広いカテゴリーの商品の販売や作品の展示、
日本を代表する異業種の企業や地方自治体と協働するイベントの実施などを
通して、さまざまな日本の魅力を発信しています。

2018年4月25日(水)から、その2周年記念イベントが始まり、
館内でさまざまな企画が行われます。
そのなかでもローカルな企画がいくつかあるのでご紹介。

ビームス視点で北海道にふれる

通いたくなる北海道

北海道に関する企画は二点あります。
4月25日(水)~5月22日(火)は「通いたくなる北海道 powered by JTBeams」。
2017年に発足したビームスとJTBの協働プロジェクト “JTBeams“は、
両社が持つ力を掛け合わせて日本を楽しむコミュニティを創出し、
地域活性化につなげることを目指しています。
今回は北海道にフォーカスし、ビームス スタッフが
愛してやまない北海道のとっておき情報を紹介。
プロダクトや食、アクティビティなど、バイヤーや北海道出身スタッフをはじめとした
多様な視点で切り取った北海道の楽しみ方をお届けする企画です。

4月25日(水)~5月29日(火)は「ULTRA NORTH –大北海道展–」。

北海道の工芸品に新しいアイディアをプラスしたプロダクトや選りすぐりの食品など

札幌出身のブランディングディレクター福田春美氏と
旭川出身のスタイリスト石川顕氏を迎え、
北海道の工芸品に新しいアイディアをプラスしたプロダクトや選りすぐりの食品など、
北海道の魅力あふれる産品を紹介するイベントです。
こだわりの帽子の受注会や試食・試飲も実施するほか、
5月1日(水)には編集者の岡本仁氏によるトークイベントも開催します。

濱田庄司登り窯復活プロジェクトの器も到着

楽器デザイナー中西宣人
誰でもすぐにミュージシャン!
直感的な電子楽器は
どうやって生まれた?

手のひらサイズのかわいい電子楽器を開発

中西宣人さんが現在制作をしているオフィスは、小さいラボのようだ。
たくさんの配線やスイッチ類とともに置いてあるのは、
デジタル機器のような形をしているが、れっきとした楽器。
中西さんは、こうした電子楽器を製作している。

かつてはバンドでベーシストとして活動し、楽器デザイナーを目指したこともある
〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんは、
「音楽とデザインは常に隣り合わせだと思っていて、
それを実践されている希有な人だと思います」と感心する。
そこで楽器とサウンドのデザインについて、中西さんに話をうかがった。

楽器デザイナーの中西宣人さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん(右)。

中西さんが初めてつくった電子楽器は、2011年製作の〈B.O.M.B.〉(Beat Of Magic Box)。
手のひらに収まるサイズ感で、片手で音の大きさと高さと音色の3つをコントロールできる。
8つの圧力センサーを、やさしく握れば低い音が、強く握れば高い音がでる。
本体をシェイクすると楽器モードが変わるなど、
使用における最適化を目指したら、丸みを帯びた形状になった。

SF映画に出てきそうな〈B.O.M.B.〉。

翌年、2012年に開発したのは〈POWDER BOX〉。
かまぼこのような半円形で、黄色、赤、オレンジなどカラーバリエーションが揃っており、
色によって音色が異なる。
圧力センサーや接触位置センサーなど、
操作部分のインターフェイスを自由に差し替えることができ、
簡単に奏法をアレンジできる。
デバイス自体を傾けることで、音量を調整することが可能だ。

並べるとギターエフェクターのような〈POWDER BOX〉。

〈B.O.M.B.〉も〈POWDER BOX〉も、小さくて、かわいいデザインが特徴。

「電子楽器って、かちっとしてツマミがたくさんついている、
難しそうなものが多いですよね。
プロだけではなく、誰でも気軽に親しんでもらえるようなものを目指して
デザインしました」

玩具のような、つい触りたくなるデザイン。使い方を知らなくても、触れば音は出る。
すぐに曲らしきものができあがる。
生楽器には音を出すことすら難しいものも多いし、
コードや曲を演奏するとなると、ひとつ上のテクニックが要求される。
しかし中西さんのつくる電子楽器は、より直感的だ。

8つある圧力センサーを押すと音が出る。

「既存の楽器を真似てしまうと、ただの焼き直しになってしまうので、
その形式にとらわれすぎないよう気をつけています」

一方で、ここが課題でもある。“楽器”っぽく見えないと、楽器として認識されない。
しかし“楽器”っぽいままのデザインだと、イノベーションは起こらない。
現状、電子楽器とはこれだ、というアイコンやイメージは、まだない。
ユーザーがそれを思い浮かべられるようになるまで普及させるのには、
まだまだ時間がかかりそうだ。

「電子楽器の分野では、音の発生については、シンセサイザーなどすごく研究され、
独自性があります。
しかし、まだ演奏のためのインターフェイスとしての独自性を獲得しているとは
言えないと思います。だからこそ国内外でさまざまな電子楽器が日々開発されています」

〈POWDER BOX〉に差し込むインターフェイスのひとつ。

貝印・大塚さんも、自身の仕事に関連づけて、
これからのテクノロジー活用の可能性を話す。

「たとえばエレクトリックバイオリンは、
バイオリンのイメージを崩さずにデザインされていますよね。
電子楽器という記号性はまだない。
当社が扱う商品も、これから機能として劇的に変わることはないかもしれません。
しかしテクノロジー領域のエッセンスを用いて、
新しいライフスタイルを実現できるのならば挑戦していきたいと思っているんです」

文字っ子集合! フォントのお香ってどんな匂い? 〈MORISAWA TYPE PRODUCT〉

フォント。それは書体のデザインのこと。
フォントにこだわるフォントマニア、通称「文字っ子」たちが増えています。
そんな中、大阪に拠点を置くフォントメーカー〈モリサワ〉から、
文字っ子へのプレゼントにぴったりなグッズを展開する
〈MORISAWA TYPE PRODUCT〉が登場!

〈MORISAWA TYPE PRODUCT〉とは、
モリサワが作る、文字にちなんだオリジナルグッズ。
グッズの個性に応じて〈MORISAWA TYPE PRODUCT KURO〉と
〈MORISAWA TYPE PRODUCT SHIRO〉の2種類がラインナップします。

〈MORISAWA TYPE PRODUCT KURO〉の第1弾は、
アロマスティック〈hibi×モリサワ 書体で感じる日々の香り。〉。
こちらは、兵庫県播磨地方の神戸マッチ株式会社と、
淡路島のお香製造会社、株式会社大発が開発した〈hibi〉との
コラボレーション。
書体の専門家が厳選したA1ゴシック、リュウミン、フォークの
3つの書体の香りをお届けします。

擦るだけでOK!

特徴は、着火具がなくても手軽に使えるアロマスティックであること。
ひと擦りすれば、良い香りが漂います。
A1ゴシックはゼラニウムの甘く温もりのある香り、
リュウミンは檜の均整がとれた香り。
フォークはレモングラスの爽やかで端正な香りと、
文字そのものが持つイメージを香りに閉じ込めました。
価格は3,240円(税込)です。お求めはWebショップ〈モリサワストア〉より。

〈BAKE & MISHIM〉 厳選焼菓子と多彩な 陶芸作家の出会いから 生まれた小さなしあわせ

2018年4月17日(火)〜21日(土)、
東京・護国寺のMISHIM ATELIER SHOPにて
焼菓子とうつわの販売イベント
〈BAKE & MISHIM(ベイクアンドミシン)〉が開催されます。

お目見えするのは、3組のつくり手による焼菓子と、
〈MISHIM POTTERY CREATION(ミシンポタリークリエーション)〉のうつわ。

MISHIM POTTERY CREATIONは、デザインレーベル〈MISHIM(ミシン)〉を主宰する
デザイナー・土肥牧子さんによる陶器ブランドです。

「DRIPS(ドリップス)」シリーズのうつわ。MISHIMと3RD CERAMICSによる共作。呉須(ゴス:陶器の染付に使われる青い顔料)による青の滲みがうつくしい。

ユニークなのは、多彩な個性を持つ陶芸作家たちと
コラボレーションしていること。
作家さんの得意とする技法や素材、世界観などをもとに話し合いながら、
MISHIMがデザインを編みだし、すべて手作業で制作を行っています。

そして本イベントでは、3組の料理研究家/シェフとコラボ!
それでは、さっそくラインナップをご紹介していきたいと思います。

〈BAKE & MISHIM〉お皿の上に生まれた至福のひととき

NORIKO TAKAHASHI × MISHIM × fractal

こちらは「わがままなリクエストをしながらつくっていただいた」という
料理研究家の高橋典子さんのおからを使ったマフィン。

高橋さんはおから料理の研究でも知られるお方。
焼き菓子なのにヘルシーというのもうれしいです。
今回はおからを使ったマフィン3種、パウンドケーキ2種(スライス)、
グラノーラが登場します。グルテンフリーの商品もあるそう。

合わせるうつわは、「fractal」シリーズのものを。

こちらは700年続く美濃の名窯〈兵山窯〉との共作。
お皿に小さく刻まれる釉の縮れは「梅花皮(かいらぎ)」というそう。
力強い梅花皮(かいらぎ)と西欧のかたちが出会ってうまれた、
プリミティブな魅力あふれるシリーズです。

NORIKO TAKAHASHI × MISHIM × crepe

〈福井発 デッドストック ファブリックマーケット〉 パスザバトンで日本製繊維 の技に見惚れる。クラフト好き 必見のマーケットを開催

2018年4月19日(木)〜5月13日(日)、
東京・表参道の〈PASS THE BATON GALLERY パスザバトン ギャラリー〉にて
〈福井発 デッドストック ファブリックマーケット
〜刺繍生地、レース生地、リボン編〜〉が開催されます。

福井は日本を代表する繊維業の産地のひとつ。
今回のマーケットでは、福井を拠点とする日装、荒川レース工業、SHINDOの3社が
倉庫からデッドストックの刺繍やレースのサンプル生地、リボンをお蔵出し! 
約600種類、色・柄とりどりの生地が並びます。

刺繍生地 各種一律 3,000円/メートル(税抜) レース生地 各種一律 1,800円/メートル(税抜)リボン 100円/メートル(税抜)

繊維も日本製にこだわりたいという方は必見ですね。
今回登場する3社はどんなメーカーなのでしょうか?

日装(ニッソウ)は、刺繍生地(エンブロイダリーレース)を専門に取り扱うメーカー。
職人さんによって1点1点織られた刺繍生地は、
有名アパレルのパリコレクションにて使用されているほか、
海外の生地展にも参加し、国内外で高く評価されています。

荒川レース工業はインテリアからファッションまで、
多彩なレース製品を提案するオリジナルレースメーカー。
日本に数台しか存在しない最新機械を導入し、上質な国産レースを手がけています。

SHINDO(シンドー)は、
世界各国のデザイナーに高く評価されている服飾副資材メーカー。
今回は、もう生産できないリボンや、特別な加工を施した1点ものの商品を展示販売します。
見ているだけでも楽しそう!

会場となる〈パスザバトン表参道店〉

〈ジャパン・ハウス〉
ローカルから世界へ。
未知なる日本を伝える
いくつかのヒント

日本の魅力をどんな目線で発信していくべきか?

外国の人と話したときに、日本のことをうまく説明できなくて
どぎまぎしたという経験がある人は少なくないのではないだろうか。

2014年からロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3都市で
外務省による〈ジャパン・ハウス〉という事業が動き始めた。

そのアウトラインは3都市に日本の魅力の発信拠点〈ジャパン・ハウス〉を開設し、
日本の魅力の諸相を「世界を豊かにする日本」として発信していくというもの。

総合プロデューサーは無印良品や蔦屋書店のアートディレクションなどを手がけた、
デザイナー/武蔵野美術大学教授の原研哉さん。

建物の設計には片山正通さん、名和晃平さん、隈研吾さん、
企画展やイベントには音楽家の坂本龍一さんや建築家の藤本壮介さんなど、
そうそうたるメンバーが関わっている。
さらに今年からは、日本の地域の魅力を発信していく
〈ジャパン・ハウス地域活性化プロジェクト〉もスタートするという。

2018年3月2日(金)、東京・渋谷で開催された〈JAPAN BRAND FESTIVAL 2018〉にて
同プロジェクトの事業発表会が開かれ、原研哉さんと國定勇人さん(新潟県三条市長)、
モーリー・ロバートソンさん(国際ジャーナリスト)によるパネルディスカッションが行われた。

この日のトークから、いま日本は海外へ向けて
どんなことをどんなふうに発信していくべきなのか、考えてみたい。

〈佐藤茅葺店〉 日本の風景に茅葺屋根を。 そんな夢から生まれた “運べる茅葺小屋”

夏涼しく、冬暖かい茅葺屋根の家。
秋田県に、そんな茅葺屋根の小さな小屋をつくっている方がいます。
それがこちらの「運べる茅葺小屋」。

サイズは2種類。大きなサイズでも分解すれば軽トラック1台で運べます。(※サイズはご希望に合わせて変更可能)

なんとも可愛らしいですね! 使い方は犬小屋として、
展示会のブースとして、遊具として……などなど、自由。
屋根の素材は「穂わら」「ススキ」「ヨシ」の3種類から選べます。

こちらを手がけたのは、秋田県〈佐藤茅葺店〉の佐藤偉仁(ひでと)さん。
屋根部分は佐藤さんが、組み立て式の木の土台は宮大工の方が
ひとつずつ手作業でつくっているそうです。

〈佐藤茅葺店〉佐藤偉仁さん。

じつは現在、新たに茅葺き屋根を設置することは、消防法により、
特定の観光エリアにある特例区でしか認められていないのだそう。
茅葺屋根を見かけない理由は、日本人の暮らしが変わったから
という理由だけではなかったんですね。

そんな茅葺屋根に惹かれた佐藤さんは
「減っていく一方の茅葺屋根を次の世代の景色に残したい」
という思いから宮城県石巻市にある〈熊谷産業〉で修業。
2006年に独立し、地元、秋田に佐藤茅葺店を開業しました。

茅をしまっておく茅小屋。

佐藤さんは、茅葺きの「茅」から自分たちの手でで育てているのだそう!

「現在は家業の稲作りと兼業しながら、自分たちで茅を育て、
ふたりの弟子とともに地元をはじめ、全国の茅葺屋根の工事に赴いています。
現在では新築で設けられるエリアが限られているため
補修工事が主ですが、一般住宅から重要文化財の
屋根工事にまで携わっています」(佐藤さん)

こちらは、佐藤さんのご自宅。

「自宅は風景の一部ような家にしたいと思って建てました。
全体の設計は知り合いの建築家の方に依頼し、
茅葺部分や茅葺小屋は佐藤茅葺店でつくりました。
景色がいいので、庭でおにぎりを食べても、おいしい気がします(笑)。
贅沢な生活をさせていただけて、ありがたいです。
子どもたちも伸び伸びと育てばいいなと思っています」(佐藤さん)

秀衡塗、岩谷堂箪笥、太鼓、染物。
岩手県南の職人の工房へ 
新たな工芸プロジェクトも始動 

国内外に広く知られる伝統工芸の工房が集まる岩手県南地域。
全国的に継承者が減り続ける中、ここに拠点を構える若き職人たちが集い、
これからの伝統工芸や職人のあり方を模索し、
チャレンジする過程で生まれた〈平泉五感市〉。
2016年、2017年と開催されたこのイベントは工芸体験ができ、
郷土料理や各社の美しい工芸品も販売された。(vol.10参照)
今回は、現場さながらの体験ができるこのイベントの運営に携わる
職人たちの工房を訪ねました。

丸三漆器 
今の課題は、どこでどう売るのか

右から〈丸三漆器〉の5代目・青柳 真さんと塗師で弟の青柳匠郎さん。

vol.10の記事で紹介した平泉の〈翁知屋〉(おうちや)と共に、
平泉に伝わる漆器〈秀衡塗〉(ひでひらぬり)の工房〈丸三漆器〉。
明治37年、一関市大東町を拠点に御膳造りを主とした
「丸三漆器工場」として創業して以来、木地、下地、塗り、絵付けと
一貫した生産工程を持つ数少ない工房として知られている。

木地は、地元周辺の材料を中心に岩手県産材にこだわっている。

「今はうち1軒だけになってしまいましたが、
大東町はかつて何軒か工房が建ち並ぶ秀衡塗の産地だったんですよ。
その名残りもあり、うちはお碗のセットや重箱など平安時代から伝えられてきた
伝統的な商品を大切に継承しつつ、先代の時代からガラスの漆器づくりなど、
現代の生活様式にフィットする新商品の開発にも力を入れています」

そう話すのは、5代目の青柳 真さん。
塗師として工房を支える弟の匠郎さんと二人三脚で、
100年以上続く〈丸三漆器〉のこれから100年のあり方を日々模索し続けている。
現在いちばんの課題は、販路開拓と職人の確保。

敷地の中を川が流れていて風情がある。

「地元百貨店の売り場や全国の百貨店の催事での販売が中心でしたが、
百貨店自体の売り上げの低下などとあいまって、
売り上げは減り続けているのが現状なんです。
インテリアショップやエキナカなど新規販路の開拓、ホテルや飲食店への納入など、
僕を中心に販路の見直しに取り組んでいます。

それから、今はほぼ家族経営になってしまっているのですが、
若い職人希望の人にきてもらえるように、環境を整えていきたいですね。
秀衡塗は工房ごとにしか教える場所がないので、
平泉の〈翁知屋〉さんとも連携しながら、
職人になりやすい環境をつくっていければと思っています」

全国の漆塗り工房に先駆け、10年ほど前に先代が開発した〈漆グラスシリーズ〉。普段使いにも贈り物にも使え、同社を代表するヒット商品になった。ほぼ家族経営だった〈丸三漆器〉に6年前に新卒として入社した菊地優太さん。同社で一から技術を習得し、現在は塗師として活躍している。

岩谷堂タンス製作所 
大切なのは、続けること、伝えること、変化すること

10年ほど前に東京から帰郷して家業を継いだ〈岩谷堂タンス製作所〉の専務取締役・三品綾一郎さん。

〈秀衡塗〉と並び、もともと〈いわて県南エリア伝統工芸協議会〉の
主要メンバーだった〈岩谷堂箪笥〉。
一関市や平泉町の北に隣接する奥州市に工房を構える
〈岩谷堂タンス製作所〉の13代目三品綾一郎さんは
現在、副会長として同イベントの運営に関わると共に、
自身の工房でも積極的に新しい取り組みを始めている。

ショールームには、伝統的な仕様から足付きの家具や照明器具など、多くの商品を実際に見ることができる。江戸時代には火事や洪水がおこると家財道具を箪笥にまとめて避難していたため、滑車がついていたというアンティークのものも展示。

工房は、大きく木工と塗りのふたつに分かれている。右手に並んでいるのは、これまで制作したすべてのタンスの寸法がわかる木の物差し。「やまびこ」など商品名が書かれていておもしろい。