kikitoからつながる滋賀の森のはなし
滋賀県といえば日本で最大の面積と貯水量を誇るびわ湖。
豊かな水を育む背景には県土の約50%を占める森林が大きく関わっている。
びわ湖を囲むようにそびえ立つ山々に降った雨が森林の土壌に貯留する。
121本の一級河川が流入するびわ湖は森林の水源かん養機能によって成り立っている。
そんな湖国の森林はスギ、ヒノキなどの人工林が43%、
アカマツ、コナラ、ブナなどの天然林が53%、竹林が4%。
森林全体の92%以上が民有林のため
林業の低迷で労働力や費用が十分に確保できない状況で、
間伐などの手入れが行き届いていないのが現状だ。
木と木が密集し、地表面に太陽光が差し込まない森林は
保水力が落ちていくため、県をあげての事業も始まっている。
平成18年からは〈琵琶湖森林づくり県民税〉を設けて活用し、
間伐などを行う〈環境重視〉と、森林の大切さを普及する〈県民協働〉の
ふたつの視点から〈琵琶湖森林づくり事業〉を実施。
びわ湖と人々の暮らしを支える森づくりが進められている。

森林はあるが地域材が使えない現実。
びわ湖の東側に位置する滋賀県の湖東地域。
42%を森林が占めているこの地域では
地域材を使って家を建てたいという声が増えている。
そこで工務店が地域材を探し始めたのだが
まったくといっていいほど手に入らない現実を目の当たりにする。
理由は森林面積のうち行政が所有している割合はわずか24%。
残りは管理を個人や民間の山主に委ねられた民有林だからだ。
現在の木材市況価格では、森林所有者が伐って運び出すコストを差し引くと
赤字になってしまうため、できれば売りたくない、と考える山主がいるのは当然。
そんな湖東の木々と人々の関係を再構築するために誕生したのが「kikito」だ。

有限会社坂東林業取締役であり一般社団法人kikito代表理事を務める大林恵子さん。
お話を伺った大林恵子さんが取締役を務める坂東林業をはじめ
湖東地域を中心に、びわ湖の森に携わる企業22団体、約35名が集まり
地域の森林や木材流通の問題を一緒に考えることを目的にkikitoは結成された。
構成団体の主な業種は森林保有者、林業・木工事業体、
工務店、デザイン事務所、行政などさまざま。
全員本業を持ちながら活動をしている。


kikitoメンバーの堤木工所では、滋賀県産のヒノキ間伐材を使った小・中・高等学校用の机と椅子やバインダーを製造。
kikitoが取り組んだのが、地域材を購入しストックすることだ。
「スギやヒノキは伐って製材し、約1年太陽と風で天然乾燥させて
ようやく建築材になるんです。
1年間はまったくお金にならないうえ、1年後に売れる保証もない。
地域材をストックするリスクは大きすぎます」と大林さん。
そこでkikitoをひとつの森林工場ととらえ参加団体の出資金で地域材を購入。
その地域材を〈kikito材〉と名づけブランド化し製材から加工まで自分たちで行うことで
輸送や市場コストを削減し、ストックリスクを分散させている。
また、森林所有者に対して持続可能な施業を行えるように
木材市況にとらわれない原木価格を割り出している。


kikito材を使ってつくる〈みんなの物置〉。kikitoメンバーの永源寺森林組合が製材・乾燥ストック、川村工務店が加工したもの。
ストックしている〈kikito材〉を循環させる商品のひとつに〈みんなの物置〉がある。
kikitoメンバーの川村工務店が考案したもので、プロの手を借りなくても、
誰でも簡単に組み立てることができるのが特徴だ。
工具はハンマーのみ。3人で順番通りに組み立てていけば、
1日で完成できる手軽さ。また物置だけでなく、趣味の部屋や店舗としてなど
アイデア次第でさまざまな用途に利用できることから続々と注文が増えている。
地域材を使ううえ、みんなで力を合わせてつくると愛着もひとしおだ。














































































