東京ミッドタウン内の「デザインハブ」で
3月6日からスタートした「おいしい東北パッケージデザイン展 in Tokyo」。
東北の食品メーカーがつくる10商品のパッケージデザインを、
全国から公募し、選ばれた受賞作品と入選作品270点を展示している。
東北経済産業局による、
「平成26年度TOHOKUデザイン創造・活用支援事業」として、
日本グラフィックデザイナー協会(以下JAGDA)により
デザインコンペが行われ、
昨年12月の仙台での展示に続いて東京での開催となる。
このプロジェクトが最終的に目指すところは、
企業とデザイナーのマッチング。
優秀作品のデザインは、今後、実際の商品化が進められていくという。
さて、展示されているのはたくさんの公募のなかから選ばれし精鋭たち。
審査会は、昨年11月に行われた。

審査会で並べられた応募作品。
事前に与えられた企業の希望や商品の特徴など、限られた情報をもとに、
応募者は、思い思いにデザイン。
届いた総数はなんと、623点にのぼった!
この企画を牽引するアートディレクターの福島 治さんは、
予想を超える応募数に驚きつつも、
「素晴らしい作品がたくさん届いてうれしい」と喜んでいた。
福島さんは2011年よりJAGDAの被災地支援プロジェクトなどを
企画・プロデュース。
「震災後、数えきれないほど東北を旅する機会が増えました。
東北に根づく魅力が僕のなかで次第に大きくなっていき、
何か力になれることはないかと、その想いはますます強くなっています」
と福島さんは話し、今回のプロジェクト開催へとつながった。
“デザインの力によって東北地域の魅力をより強く発信したい”
という思いから、考案された今回のパッケージデザインの公募。
地域の商品パッケージには、どんなデザインが選ばれるのか。
ワクワクしながら、コロカル編集部もその審査会へお邪魔した。

審査会場となった、JAGDA事務局の隣のデザインハブに並べられた
多数の応募作品。その風景は圧巻だった!
どのデザインが選ばれるのかと、思わずキョロキョロしてしまう。
集まった審査員は、地域のデザインやパッケージデザインを手がけてきた、
実績と経験のある方々ばかり。
仙台を拠点に東北のデザインを手がけるアートディレクターの畠山 敏さん、
地域デザインのパイオニア、デザイナーの梅原 真さん、
日本パッケージデザイン協会理事長を務める、加藤芳夫さん、
地域のお菓子メーカーのリデザインなどの実績を持つ、
グラフィックデザイナーの左合ひとみさん、
そして、前述の福島さん、参加メーカー、東北経済産業局が加わった。
参加メーカーの代表者が審査に加わることによって、
本当に納得のできるデザインを商品化するのが狙いである。
みなさん、並べられた応募作品をひとつひとつじっくり見てまわり、
色違いの付せんで票を入れていくという投票方法。
数の多いものが選ばれるが、
満場一致で選ばれるものもあれば、意見が分かれるものもあった。

審査中の様子。
たとえば、宮城県の八葉水産がつくる「みちのく塩辛」は、
さまざまな意見交換がされた商品のひとつ。
同社の新商品で、りんごの粉末が加えられた甘い味わいの塩辛。
本当は、東日本大震災が起こる少し前に発売されたものだったが、
販売2週間後に東日本大震災が発生。工場が被災してしまった。
工場を復活させ、ようやく販売再開へと準備をしているところだ。
1回目の投票後、審査員の方々からメーカーさんへ質問が出る。
「販売価格はいくらですか?」
――400円です。
「土地に足を運んでくれた人へのお土産的要素を強く出したいのか、
あるいは地元の人に日常的に親しまれたいのか?」
――お土産というよりは、まずは日常的に愛されるような商品に。
ただ、これは今までにない味だと思っているので、
たくさんの人に手にとってもらえるような商品になっていきたいですね。
価格帯、販売ターゲットなどは、デザインに大きく影響するという。
お土産であれば、少し強めのキャラクター性があったほうがいいし、
日常的に買うものであれば、親しみやすいデザインがいい。
再投票の結果、3作品が残った。
「商品の特徴は、甘さ。塩辛だけど、従来の塩辛ではないこの味を、
どう伝えられるかというところだと思うんです」と加藤さんは指摘する。
審査員たちからは「とてもおいしかった」と好評価を得たが、
消費者にとっては、まだ誰も味わったことのないだろう、塩辛の味。
“塩辛”だけど、“りんご”の甘さが効いている。
これをどうデザインで表現すべきか。
3作品のうち、下記の2点は“りんご”と“塩辛”の特徴をそれぞれ顕著に表していた。

ひとつは、誰もが塩辛だと思えるような味わい深いパッケージで、
もう一方は特徴であるりんごの印象が強い可愛らしいデザイン。
ただこちらは塩辛というよりは、お菓子かな?と連想してしまうのも事実。
「それを解決するのは、ネーミングという場合もあります。
たとえば、“みちのくりんご塩辛”としてもいい」と話すのは梅原さん。
写真左の作品を指し、
「こちらに“りんご”というハンコを押したようなデザインだけでも伝わる。
いずれのデザインでも、まだ詰めるべき課題がありますね」と続けた。
さらに、実用化される場合、手作業が発生するのでは? 印刷方法は?
など具体的な意見が交わされ、再度決戦投票へ。
結果、僅差であったが、
上記の2点ではなく、パッケージ構造の精度の高さから、
別のデザインが優秀作品に選ばれた。

写真提供:JAGDA