〈 この連載・企画は… 〉
ひとつの商店街(地域)をねり歩きながら、パンと具材を集めて勝手にサンドイッチを作る旅。
そこでしか食べられないオリジナルなサンド、果たしてどんなものができるのか?
writer profile
Kozakai Maruko
小堺丸子
こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。
「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチをつくってみる企画。
必ずといっていいほど美味しいものができ、ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる一石二鳥の企画なのだ。
今回は東京の西南端にある町田市の町田駅前にやってきた。
町田駅は新宿から小田急線快速急行で30分ほどのところにある。
駅の反対側にいけばもう神奈川県相模原市。東京と神奈川のちょうど境目にあるまちだ。
駅を降りてまず驚くのは、丸井、ルミネ、109といった大型デパートがずらりと並んでいること。
さらに、ドラッグストア、牛丼屋、雑貨屋にブックオフなど、
チェーン店が所狭しと軒を連ねている。
とても便利そうだがその密集ぶりに「雑多なまち」という印象を受ける。
雑多、というとあまり聞こえはよくないが、それが町田駅前の良さであり特徴に思える。
窮屈に感じるほどたくさんのお店が入っている建物には、
よく見ると明治時代から続く乾物屋さんが入っていたりする。
大きくてきれいなホテルがあるなと思ったら、よく見ると図書館が入っていたりする。
整備されたキレイな通りもあれば、酔客が似合いそうな味のある細道があったりする。
新しいものの中に古くから残るシーンを見つけるのが面白い。
まちを歩く人々も老若男女問わず。いろんな世代が楽しめそうなまちだ。
さて、今回の商店街サンドにつきあってくれるのは
町田市観光コンベンション協会の本多浩子さんと、
急きょ参加することになった中東辰哉さんこと通称ゴンちゃん。
これだけお店が多くて賑やかだと具材選びに迷ってしまいそうだが
ふだん町田の観光情報を発信してるふたりとなら「町田らしい」サンドが作れるに違いない。
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しかしマズいことに、唯一個人商店でやっているパン屋さんが定休日であった。
ここで買えないとなると他はチェーンのパン屋さんしかないらしい。
しょっぱなピンチである。
しかしこの企画、いずれこういうこともあろうかと勝手に特別ルールを設けていた。
パンがないなら代わりに挟めそうなものを見つけるのだ。
初の試みだが、パン以外で挟めそうなものを探してみよう。
たとえば和菓子屋さんで餅を買ってきて挟むのはどうだろうか、
それか最中の皮とか?
富澤商店は日本全国に店舗があるそうだが、ここ町田店が本店なのだとか。
粉だけでもこの量、その品揃えに驚く。
ホームベーカリーも売っていたので、それでパンを作ろうという斬新なアイデアも出るが
日が暮れてしまうのでもちろん却下である。
パンの代わりになるものと食材を探しながらまちを歩く。
道をちょっとそれると有名なオネエバーがあったり、
そのすぐ隣には自然派食材にこだわったお店があったりと安定の雑多さを見せてくれる町田。
歩いてるといろいろ見つけられて楽しい。
駅前の商店街をグルグルと探したあと、
旧市役所の跡地を使った広場・ 町田シバヒロまでやってきた。
駅前は賑やかだったがちょっと足をのばせばこんな静かなところもあるのだ。
ベンチ以外なにもないのだが、天然芝が気持ちよく
子どもたちがキャッキャと駆けまわっている。
駅前で買い物に疲れたらここでひと休みするといいかもしれない。
いろいろ回ったあと目星をつけていたところに戻り具材を買い集めた。
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町田仲見世商店街は、手を広げたら塞がってしまうくらいの狭い通りで、
ペットショップ、雑貨屋、沖縄料理のお店、魚屋さん、占いの店などが
ギュギュっと入っている。
たくさんあるお店の中でもその人気ぶりから、
町田にきたら食べておくべきだろうと予想される2品をゲットした。
もうひと品は、チェーン店に負けず残り続けている老舗の乾物屋さんで探してみることに。
パンの代わりはいろいろ候補があがったものの、結局クレープ生地にした。
というのも、町田ではマップができるほどたくさんクレープ屋さんがあるのだ。
ハムレタスのクレープと、特別にお願いして皮だけをいただく。
さあ、これで材料がそろった。
おふたりの勤める町田市観光コンベンション協会がある「ぽっぽ町田」の前の広場で
サンド作りをさせてもらうことに。
若者たちに人気のクレープに、昔から残り続けるお店の具材をくるむ。
まるで新旧が混在する町田のまちを表したようなサンドの完成だ!
モッチリとしつつもカリカリとした食感が楽しめる味付け揚げマグロに、
フカフカと厚めの皮からあふれ出る小籠包の肉汁が絡んですごく美味しい。
鼻に抜けるのは小籠包にのったゴマの香りと、
噛めば噛むほど染み出てくるたこカマの風味だ。ああ、ビールがほしくなる。
クレープに入っていたハムやキュウリの爽やかな存在も嬉しく、
マヨネーズの酸味が全体をひきしめてくれた。
本多さんのほうはマヨネーズがない分ほんのり甘く、
クレープの存在感を残す優しい食べごたえだ。これはこれでまた美味しい。
ゴンちゃんの愛妻弁当にも負けてない、町田の愛がつまったサンドであった。
・マルハチの揚げマグロ 200円
・小陽生煎饅頭屋の小籠包6個入り 600円
・柾屋商店のたこカマ 324円
・Carrot Houseのクレープ ハムレタス 280円
・岡直三郎商店のSHOYUSCO(しょうゆすこ)486円
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合計 1890円
Post from RICOH THETA. -- Spherical Image -- RICOH THETA
Information
町田駅周辺
住所:東京都町田市原町田
http://machida-town.jimdo.com/
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