長崎・東彼杵町の「みせ・ひと・こと・もの」をつなぐローカルメディア「くじらの髭」

東彼杵町の今を伝えるローカルメディア

長崎県東彼杵町の情報を発信するウェブメディア「くじらの髭」。地元の有志で結成された一般社団法人〈東彼杵ひとこともの公社〉が運営し、町の「みせ」「ひと」「こと」「もの」をテーマに、人や店、文化、風景などを取材記事として紹介している。

大村湾に面した東彼杵町は、かつて長崎街道の宿場町として栄えた場所。くじらの髭では、こうした町の背景を踏まえながら、地元で新しく始まった店や取り組み、地域の人々の活動を丁寧に発信している。

〈東彼杵ひとこともの公社〉代表理事の森一峻さん
〈東彼杵ひとこともの公社〉代表理事の森一峻さん。東彼杵町を拠点に地域の文化づくりに取り組む。

海辺や旧米倉庫を活用した地域の拠点

記事の発信だけでなく、地域の空間を活かした拠点づくりにも取り組んでいる。「くじらの髭」は、千綿地区の旧米倉庫を活用した交流施設〈sorrisoriso 千綿第三瀬戸米倉庫〉や、大村湾を望む場所にある地域交流の場〈uminoわ〉などが活動拠点だ。これらの空間ではイベントや食にまつわる企画などが行われ、町の人と訪れる人が自然に交わる機会が生まれている。

商品づくりを通して地域の魅力を発信

メディア運営と並行して、東彼杵町の魅力を伝える商品づくりにも取り組んでいる。町の特産であるそのぎ茶を使った商品や、地域の菓子店と共同開発したお菓子などを販売。地元の素材や文化を活かしたプロダクトを通して、地域の魅力を届けている。オンラインストアではお茶や雑貨などのセレクト商品も展開し、地域の作り手と外の世界をつなぐ役割も担う。

「CHANOKO」の手がけるくじら最中
東彼杵町土産 「CHANOKO」の手がけるくじら最中。

地域の人や文化に光を当てながら、町の価値を再発見していくこと。小さな町の日常や活動を積み重ねて伝えていくことが、地域の新しい魅力の発見にもつながっている。

Information

〈sorrisoriso 千綿第三瀬戸米倉庫〉
一般社団法人東彼杵ひとこともの公社

住所:長崎県東彼杵郡東彼杵町瀬戸郷1303-1|地図TEL:0957-20-1883HP:https://kujiranohige.com/
オンラインストア:https://kujiranohige.stores.jp/

編集部員が選ぶ、新潟・長岡エリアに行ったら食べてほしいグルメ4軒|コロカル編集部の食いしん坊日記

新潟はラーメン大国! 生姜醤油ラーメンで体ぽかぽか。

お米のイメージが強い新潟ですが、全国屈指の「ラーメン県」でもあるんです。新潟濃厚味噌ラーメン、燕背脂ラーメンなどの「新潟5大ラーメン」を筆頭に、土地の風土を生かした個性豊かなラーメンが独自の進化を遂げています。その一つ、長岡を代表するラーメンが「長岡生姜醤油ラーメン」。 生姜を効かせた濃口のスープが特徴で、食べるとじんわり体が温まる、 県内でも雪深い長岡地域ならではのラーメンです。今回訪れたのは、〈ラーメンあおきや 喜多町店〉。 90席ある広い店舗にも関わらず、土日は列ができるほど人気の名店です。

生姜醤油ラーメンという名前から、さぞ生姜のパンチが強いのだろうと少しドキドキしながらスープを口に運ぶと。意外にも口当たりはさっぱりとしており、マイルドな醤油の旨味が口いっぱいに広がります。けれど、後から生姜の風味がしっかりと追いかけてきて「確かにこれは生姜醤油ラーメン!」と納得の味。中太のストレート麺に、トッピングの海苔もアクセントになり、あっという間にするすると食べ切ってしまいました。初めて体験した、本場の生姜醤油ラーメン。また食べたくなる、クセになる一杯でした。

醤油の香りに誘われて〈江口だんご〉でひと休み。

長岡市摂田屋地区は、自然豊かで水がきれいなことから、お酒や醤油、味噌作りなどが栄えてきた醸造の街。現在は、古い建物を活かしながら、再開発が進み、街歩きにぴったりのエリアです。このエリアの街歩きで必ず立ち寄りたいのが〈江口だんご〉。店先から漂う香ばしい香りに誘われて、ついつい足が向いてしまいます。このお店は、摂田屋の老舗醤油蔵〈越のむらさき〉の創業者の旧邸宅を改築した店舗。名物のみたらし団子にもその醤油が使われています。店先にはベンチもあるので、焼きたてのお団子をその場で頬張るのがオススメ!また、奥の店内を覗くと、笹だんごや大福など手土産用の和菓子も販売されていました。今回同行してくれた長岡地域振興局職員の方の「いちご大福も絶品なんです!」という言葉に、ついついこちらもお買い上げ。

摂田屋の夜は、発酵レストラン〈WILLOW HOUSE〉で。

発酵文化が色濃く残る摂田屋で、古民家を改装して2024年にオープンしたレストラン〈WILLOW HOUSE〉。発酵をテーマに、地のものを活かしたメニューを提供しています。今回いただいたのは「薪火と発酵コース」。料理は、隠し味に醤油や味噌が使われていたり、調味料にも麹が使われていたりと前菜からデザートまで、じっくりと発酵の魅力を堪能できます。 さらに、天然酵母を使ったパンはなんと食べ放題!しかも、薪火を使って焼き上げているというから驚きです。 種類も豊富で、そのおいしさについついおかわりしてしまいます。

ドリンクも侮ることなかれ。ノンアルコールも発酵メニューが充実しており、 お酒を飲む人も、そうでない人も楽しめるのが嬉しいポイントです。普段はお酒一択の私も、この日はクラフトコーラにもチャレンジ。素敵な空間でゆっくりと食事を楽しんだ、いい夜でした。

小千谷にきたら、へぎそばを食べよう。

長岡市から少し足を伸ばしてやってきたのは小千谷市〈わたや本店〉。ここは100年以上、名物の「へぎそば」を作り続けている老舗です。古くからお祝いの席で親しまれてきた郷土料理で、「へぎ」と呼ばれる四角い木の器に盛り付けられていることが名前の由来。 岩手のわんこそばといい、へぎそばといい、器で料理の名前がつくのが面白い。そばは一口サイズで綺麗に並べられており、それを一玉ずつつゆにつけて食べるのが小千谷スタイル。

へぎそば
絹のように盛り付けられたそばが美しい。

さっそくすすってみると、コシが強くツルッとした食感に驚きます。この独特な食感の秘密は、生地に練り込まれている海藻の「ふのり」。実はこのふのりは、江戸時代から作られてきた高級麻織物「小千谷縮」にも使われていたもの。ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、さらっとした着心地の良さゆえに夏の着物の素材として大名御用達だったと言われています。 その糸を整えるための糊として、ふのりは欠かせない存在でした。

そばも織物も、どちらも同じ素材が支えてきたという話を聞き「やっぱり食には土地の色が出るんだなあ」と改めてしみじみ。小千谷の歴史に思いを馳せながら、最後の一口までじっくり味わいました。

わたや本店
外観からも歴史を感じる。

どの料理も土地の気候や歴史と紐づいており、「なるほど!」の連続だった人生初の新潟旅。滞在はたったの2日間でしたが、帰る頃にはもう新潟が恋しくなっていました。
次はどこで何を食べようかな?

【地元の人はここで食べる】住宅街のレストランからグローサリーまで。長崎・諫早エリアのおすすめ3選

素材と向き合う、予約制レストラン

長崎市内の閑静な住宅街に佇むレストラン〈condate(こんだて)〉は、昼夜どちらも予約制のおまかせコースのみ。島原や佐賀の農家から届く野菜と、長崎の魚介を中心にした料理を、ゆっくりと味わえる。

「野菜のおいしさを喜んでもらえることが多いですね」
そう語る店主・澁谷啓之さんの料理には、派手な技巧に頼るのではなく、素材の持ち味をそのまま引き出す力が感じられる。それは、若い頃に日本料理店で修業した経験があってこそ。和食をベースにしながらも、ジャンルに縛られない自由な発想が魅力だ。

「大切な友人を連れていきたいお店です。渋谷さんのフィルターを通した長崎の魚や野菜の料理は、本当に滋味深いんです」と〈nai〉の近藤さん。

お酒好きの渋谷さんが、自ら取り揃えるナチュラルワインや日本酒は、どれも料理にすっと馴染むものばかりだ。

「料理や空間から感じられるものを、思い思い自由に楽しんでいただけたうれしいですね」
店主の言葉どおり、ここでは食事が体験として残る。

Information

CONDATE

住所:長崎県長崎市泉1-12-9|地図
電話:080-5696-7735
営:12時〜15時、18時〜22時
休:不定休
Instagram:@condate123

40年続く店の新しいかたち、ドイツ菓子とナチュラルワイン

1984年創業のドイツ菓子店〈クロンプリンツ〉は、地元で長く愛されてきた存在。2024年、装いも新たに、少しユニークな形へ生まれ変わった。ドイツ菓子に加え、サワードゥブレッドやナチュラルワイン、チーズ、シャルキュトリなど、食卓を彩る食材が並ぶマルチグローサリーへ進化したのだ。

店に入ると、パンの香り。その隣にはワインボトルが並び、冷蔵ケースには名熟成士から仕入れるチーズや加工肉まで。ついあれこれ手に取ってしまう。

特徴は、素材選びに一切の妥協がないこと。パンにはすべて自家培養酵母を使用し、有機・自然栽培の原料を中心に、サワードゥ製法で焼き上げる。ケーキや焼き菓子に使用する卵は、諫早産のつしま地鶏の平飼い卵、乳製品は風味を損なわない低温殺菌「パスチャライズド牛乳」を採用。素材への配慮が行き届いているからこそ、安心して味わえるおいしさにつながっている。

ワインはボトル販売が中心だが、時間帯によっては角打ちも可能。〈久米桜酒造〉の日本酒やヨロッコビール、〈nobana〉のミードなども揃い、そのラインナップは実に幅広い。昼からグラス片手に、パンやチーズをつまむ、そんな過ごし方も、この店では自然に馴染んでいる。

「〈nai〉から本明川を挟んで徒歩3分ほど。近所に一軒あるだけで、暮らしの質がぐっと上がるお店です。仕入れの帰りについ一杯、なんてことも」と近藤さん。日常に少しの豊かさを添えてくれる、頼もしい存在だ。

Information

クロンプリンツ

住所:長崎県諫早市八天町4-31|地図
電話:0957-23-8335
営:水〜土11時〜19時、日 12時〜17時
休:月、火
Instagram:@kronprinz_1984

魚も、ワインも、焼き菓子も。ちょっと自由な居酒屋

「諫早では珍しく、居酒屋でナチュラルワインが楽しめるうえに、お通しのレベルがとにかく高い。近所にあってよかったと心から思えるお店です」

そう語る近藤さんが3軒目に選んだのは、居酒屋〈暁&bonbonアカツキ〉。

料理の軸にあるのは、地元の食材。刺身やカルパッチョなど、旬の魚を使った一皿が人気を集めている。ランチでのアジフライ定食も地元の人々には評判だ。

夜にはさらに楽しみが広がり、ナチュラルワインに加え、焼きたての米粉グルテンフリーのおやつも並ぶ。ジャンルにとらわれない自由な組み合わせも、この店ならではの魅力。

「地元の食材を使って、身体がよろこぶ料理を届けたいんです。一人でもふらりと立ち寄れる、そんな近所の店でありたいですね」と店主の水永さん。

その言葉どおり、自然と足が向く店が、街には必要だ。〈暁&bonbonアカツキ〉はまさに、そんな一軒である。

Information

暁&bonbonアカツキ

住所:長崎県諫早市八坂町7-19|地図
電話:0957-21-3828
営:11時30〜14時30分、18時〜10時30分
休:日
Instagram:@bonbonakatsuki

教えてくれた人

Information

近藤 彰

長崎県諫早市でコーヒー豆屋兼コーヒースタンド「nai」を営む。
 nai
「感性を刺激しつつ日常にあるコーヒー」をテーマに生豆の買付けから焙煎、販売、抽出までを一貫して自社で行う。クオリティを向上しながら町にコミットしたコーヒー屋である事を目指している。
住所:長崎県諫早市本町1-19-1|地図
電話:0957-46-5504
営:土〜水 10時〜18時、金 12時〜18時
休:木
Instagram:@._n_a_i._/

【地元の人は、ここで食べる】〈アンペキャブル〉のシェフが惚れ込んだ、長崎の通いたい店2選

汁あり派?汁なし派? 町中華で愛される担々麺

長崎の町中華を語るなら、外せない一軒がある。昭和28年創業の〈平和楼〉だ。
担々麺とジャンボ焼餃子を目当てに、地元の人たちが足を運ぶ店である。

〈アンペキャブル〉の大坪さんが、必ず頼むというのが名物の担々麺。汁あり、汁なし、どちらも人気で、長崎の中華好きのあいだでも意見が分かれる看板メニューだ。

濃厚な旨味があとを引く「汁なし担々麺」は、香ばしい肉味噌とピリリと効いた辛味が麺に絡み、気づけば箸が止まらない。一方、細麺にピリ辛スープのコクがよくなじむ「汁あり担々麺」も、根強い支持を集めている。

「どちらも甲乙つけがたいですが、僕は汁あり派。最後にライスを入れて食べます。心もカラダもおなかも幸せぱんぱんに満たされます」

そして、もう一つ外せないのがジャンボ焼餃子。こんがり焼けた皮の中には、肉汁をたっぷり含んだ餡。ひと口かじれば、じゅわっと旨味が広がる。

昭和28年創業の〈平和楼〉は、現在3代目。店を切り盛りするのは蘇さん夫妻だ。
「小さな店ですが、安心して食べてもらえる料理を出すことを大切にしています」

長崎でお腹を満たすなら、まずはここから。そんな一軒だ。

Information

平和楼

住所:長崎県長崎市万屋町4-3|地図
TEL:095-822-0931
営:11時30分〜14時00分、17時〜20時
休:木
Instagram:@_heiwarou_

店主に会うために人がふらりと集う、小さな立ち飲み店

長崎の夜を、もう少しだけ楽しみたい。そんなとき、大坪さんがふらりと立ち寄る一軒がある。〈Bar Lino〉は、地元の人たちが自然と集う小さなバーだ。

店内は立ち飲みスタイルで、カウンターは8席のみ。距離の近い空間だからこそ、隣り合った人同士の会話が自然と生まれる。

「長崎出身の店主、ケントさんに会いに地元の人が集まってくるオアシスのようなスタンドバー。ここに来ると、長崎らしさを感じられるんですよ」

ドリンクはすべて500円。スパークリングやハイボール、トマトサワーなど、気軽に楽しめるラインナップが揃う。

店主にその日のおすすめを尋ねると、こんな言葉が返ってくることも。
「フードは持ち込み自由です。気が向いたら、パスタを作ることもありますよ」

その懐の深さと、どこか気まぐれなスタイルもまた、この店の魅力。
長崎の夜を少しだけ延ばしてくれる一軒だ。

Information

Bar Linoの外観
Bar Lino

住所:長崎市古川町8-8 めがね橋LogicL3棟|地図
営:Instagramを確認
休:日
Instagram:@lino_lino_lino_369

Information

アンペキャブル

住所:長崎市油屋町2-10八坂ストリートビル2F|地図
電話:095-824-2047
営:12時〜14時、18時〜22時   
休:不定休
Instagram:@impeccable2peccable

長崎県民なら知っている?『和・華・蘭』の歴史を感じる銘菓3選|ニッポンおやつ図鑑

五島列島の念仏踊りの熱気を伝える。〈はたなか〉の治安孝行(ちゃんここ)

ちゃんここ

大正元年、五島列島福江島で饅頭店として創業した〈はたなか〉。現在は、お菓子作りだけでなく「観光ビルはたなか」としてレストランや宴会場も運営し、島の人々にとって親しみ深い存在となっています。そんな老舗が60年以上守り続ける看板商品が、五島を代表する銘菓「治安孝行(ちゃんここ)」です。

一度聞いたら忘れられない、そのユニークな名前は、島に800年前から伝わる念仏踊り「チャンココ」(県指定無形民俗文化財)が由来となっています。語源はカネの音の「チャン」と太鼓の音「ココ」。先祖の霊を鎮め、家内安全の祈りを込めて踊られる、五島の夏の風物詩です。毎年お盆の時期になると、花傘を被り、腰みのをつけた踊り子たちが太鼓を叩きながら踊る様子が島の各所で見られます。コロンとした俵型は、踊り手が首から提げる太鼓を模したものなのだそう。

きな粉がたっぷりまぶされたもちもちの求肥の中には、職人が丁寧に練り上げたあんこがぎっしり。かつて天皇陛下へ献上され、全国菓子博覧会でも名誉総裁賞に輝いた、五島が誇る正真正銘の銘菓です。

ちゃんここのポップ

実はこの「治安孝行」、島外の実店舗ではなかなかお目にかかれない希少な一品。今回、商品を購入したアンテナショップ〈日本橋長崎館〉でも、「交渉の末、ようやく入荷!」というポップが添えられていました。島の歴史がぎゅっと詰まった、出会えたらラッキーな五島のおやつです。オンラインでも販売されているので、ぜひ食べてみてください。
(※日本橋長崎館は2026年4月1日〜5月31日にリニューアル工事のため一時休館予定。)

Information

御菓子司はたなか

住所:長崎県五島市中央町7番地20|地図電話番号:0959-72-3346
HP:https://www.hatanaka.cc/
Instagram:@chankoko_hatanaka

中国文化を感じる、長崎県民のソウルフード。〈福建〉のよりより

よりより

日本三大中華街の一つがある長崎で古くから愛され続けている「よりより」は、小麦粉の生地をねじって油で揚げた、中国発祥のお菓子。「麻花兒(マファール)」や「唐人巻」など様々な呼び名がありますが、2本の生地をよりあわせて作られることから、地元では「よりより」の愛称ですっかり定着しています。長崎では学校給食にも登場するほど身近な存在で、県民のソウルフードともいえる食べ物です。

今回、アンテナショップに並ぶ、数あるよりよりの中から手に取ったのは、中華街で70年以上続く老舗〈福建〉のもの。おいしさの秘密は、中国の伝統的な饅頭作りにも使われる、自然発酵させた熟成生地「老麺(ろうめん)」。これを一本一本職人の手で編み上げ、大豆油で揚げることで小麦本来の旨みを引き出しています。

よりよりのポップ

最大の特徴は、なんといってもその独特な歯ごたえ。アンテナショップのポップにも「歯の弱い方はお気をつけください」と注意書きがあるほどの硬さです。ボリボリとした食感と、さっぱりとした優しい甘さはクセになること間違いなし。商品ごとに違う「硬さ」を食べ比べして、自分好みのよりよりを探してみるのも楽しみのひとつかもしれません。異国の文化が街に溶け込み、日常のおやつとして根付いた、長崎の歴史を感じる一品です。

Information

福建

住所:長崎県長崎市出島町4-13|地図
電話番号:095-823-1036
HP:https://fukken-nagasaki.jp/

殿様が愛した、黄金のお菓子。〈平戸 蔦屋〉のカスドース

カスドース

かつて海外交通の拠点として栄え、南蛮貿易の幕が開いた長崎県平戸市。文亀2年に創業した〈平戸 蔦屋〉は、江戸時代に平戸藩主・松浦家の御用菓子司を務めた、九州最古とも言われる歴史ある菓子店です。

看板商品の「カスドース」は、長崎に伝えられた南蛮文化のひとつ。ポルトガルの家庭で食べられてきた伝統的なお菓子で、長崎名物カステラよりも早くポルトガルの宣教師から伝えられたとも言われています。名前の由来は、カステラの「カス」にポルトガル語で甘いという意味の「ドース」。卵や砂糖が最高の贅沢品だった当時、殿様しか口にできない“幻の菓子”と呼ばれていました。

保存料は一切使わず、厳選した長崎県産の新鮮な卵を使い、丸2日間かけて手作業で仕上げられているカスドース。一口大のカステラをたっぷりの卵黄にくぐらせ、沸騰した糖蜜で揚げ煮にし、仕上げにグラニュー糖をまぶして作られます。糖蜜で揚げる工程は、冷蔵設備がない時代に日持ちを良くするための先人たちの知恵。第十代平戸藩主・松浦熈(ひろむ)が町民のために編纂したお菓子図鑑『百菓之図』にもその姿が描き残されており、古くからこの地で愛されてきたことが分かります。

シャリッとした砂糖の食感のあとに広がる、濃厚なコクと贅沢な甘み。黄金色に輝くその姿は、まるで宝石のよう。特別なティータイムに、一切れずつ大切にいただきたい一品です。

Information

つたや總本家

住所:長崎県平戸市戸石川町953-5|地図
電話番号:0950-22-2360
HP:https://www.hirado-tsutaya.jp/

編集部員が選ぶ、長崎県に行ったら食べてほしいグルメ4軒|コロカル編集部の食いしん坊日記

身も心もあたたまるちゃんぽんを食べるなら〈思案橋ラーメン〉へ

仕事終わり、羽田空港から最終便で長崎県にやってきました。

たとえ夜遅くとも、一食たりとも無駄にしたくない。長崎にきたなら、まず食べたいのはちゃんぽん!22時以降でも営業しているお店を探して、長崎随一の繁華街と言われている思案橋へ。

「ちゃんぽん」「皿うどん」の文字がキラキラと輝く〈思案橋ラーメン〉を発見しました。


カウンターに座り、見上げると豊富なメニューの数々。「バク辛ちゃんぽん」も気になりますが、まずは定番の「ちゃんぽん」を注文します。


出来立て熱々。湯気がゆらゆら。シャキシャキ野菜と適度な太さの麺、ちょうどいい塩加減で、あっという間に完食。私は魚介類が食べられないので、抜いて作っていただきました。優しい。寒い時期(1月下旬)にぴったりの、心もお腹も温まるお店でした。
ちなみに某長崎出身の有名アーティストも通うお店なのだとか。

おやつ感覚で食べたい〈雲龍亭本店〉の「ひとくち餃子」

長崎名物の「ひとくち餃子」はどうしても外せない。今回は〈雲龍亭本店〉に伺いました。


ころんとしたかわいいサイズの餃子を、赤い柚子胡椒でいただきます。スナック菓子のようにパクパク食べられる軽さ、柚子胡椒のピリッとした辛味がきいていて、箸が止まりません。


餃子は醤油と酢、ラー油(または酢コショウ)が定番だと思っていましたが、これからは柚子胡椒を推していきたい。
10個で500円という値段も、このご時世に驚くほど良心的です。

〈ツル茶ん〉のトルコライスは夢の一皿。

長崎県には修学旅行で来たことがあるのですが、初めて「トルコライス」というものに出会い、夢のような一皿だと驚いた記憶があります。
大人になった今、もう一度食べたいと思い立って、大正14年(1925年)創業の、九州で最古の喫茶店〈ツル茶ん〉へ。


ピラフの上にカツとカレー、ケチャップベースのスパゲッティという、お子様ランチのようなワクワクするメニューたち。一見重そうに見えて、不思議とぺろりと食べられてしまいます。


そして〈ツル茶ん〉に行ったら忘れてはいけないのが、「元祖 長崎風ミルクセーキ」。アイスとシャーベットの中間のようなしゃりしゃりとした食感で、優しいミルクの甘さが食後にぴったりの一品です。

長崎の夜はおにぎりで締める〈かにや本店〉

長崎では飲んだ締めにおにぎりを食べる、という話を聞き、尋ねたのは〈かにや本店〉。

この日はかなり食べ飲みしていたので、おにぎりまで辿り着けるか……と心配していましたが、食べやすい小ぶりサイズで、お米はふわふわの軽い食感。何個でも食べられてしまいそうでした。漬物と一緒に、ざるに乗っているところもまた食欲がそそられます。東京でも締めのおにぎり文化が広がってほしいですね。

つくり手が注ぐ、 できたてのクラフトビール。 宮崎発の〈ノボルブルーイング〉が 直営店「Yado」をオープン

つくり手と飲み手が出会う“宿り木”のような場所

宮崎県宮崎市でクラフトビールを製造するノボルブルーイングが、直営店〈Yado(ヤド)〉を宮崎駅近くにオープンした。これまで県内外の特約店を通じてビールを届けてきた同社にとって、つくり手自身が立ち、直接ビールを注ぐ初めての拠点だ。

「できたてのクラフトビールを、こだわりとともに手渡したい」。そんな想いから生まれた〈Yado〉は、人と人が自然に集い、語らう場を目指している。

ここでしか飲めない一杯と、発酵を楽しむ料理

〈Yado〉では樽生のクラフトビールに加え、缶の購入も可能。注目は、この場所限定で提供されるアンバーエール「Yadoru」だ。香ばしいモルトのコクとやさしい飲み口を併せ持ち、ゆっくりと味わいたくなる一杯に仕上がっている。

さらに、看板商品のセッションIPA「Novoru」や、創業当初からつくり続けるIPA「Warau」などもラインナップ。料理には、ビール酵母を使った軽やかな生地のピッツァを用意し、発酵の魅力を五感で楽しむことができる。

ノボルブルーイングは、「また飲みたいと思うビールをつくる」をミッションに、宮崎の気候や季節感を生かした醸造を続けてきた。〈Yado〉は、その延長線上にある“体験の場”でもある。

これまでイベントで培ってきた対面の距離感を日常へ。宮崎の街に、新しいクラフトビールの風景が静かに根づこうとしている。

イベント出店で培ってきた“対面の一杯”を、日常の風景へ。

イベント出店で培ってきた“対面の一杯”を、日常の風景へ。

information

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Yado(ヤド)

住所:宮崎県宮崎市広島1-4-9 むさし山水荘1階南

営業時間:平日17:00〜22:00/土日祝12:00〜22:00(木曜定休)

Instagram:@yado.novoru

りんごにバジル? 地元の料理人が唸る、青森・八戸のジェラート店〈KIBI GELATO〉

「素材の組み合わせに、毎回ハッとさせられます」
八戸市でレストランを営む〈ZUPPA〉の店主が青森で甘いものを食べるなら、と名前を挙げるのが〈KIBI GELATO〉。理由は明快だ。

週替わりで並ぶ8種のフレーバーは、いずれも青森県産の素材が軸。鮮度の良い採りたての苺、さくらんぼ、ネクタリン等の地域果実だけでなく、トマトやカボチャ、トウモロコシといった野菜を使ったジェラートも。リンゴにバジルを合わせるなど、意外性のある組み合わせも、この店では自然に成立している。

その理由は製法にある。イタリアで学んだ久慈さんが使うのは、手動式のジェラートマシン。空気を含ませすぎず、密度の高い食感に仕上げることで、素材の風味がぼやけない。さらに、食感を細かく調整できるのも手仕事ならではだ。

短いスパンで入れ替わるメニューも、この店の楽しさのひとつ。行くたびに違う表情を見せながら、芯の部分はぶれない。料理人が信頼を寄せるのも、納得の一軒だ。

Information

KIBI GELATOの外観
キビジェラート KIBI GELATO

住所:青森県十和田市西二番町8-48 KIBI GELATO|地図
電話:0176-51-4121
営:11時〜17時
休:月・火
Instagram:@kibi_gelato

Information

ZUPPA

住所:青森県八戸市堤町1 大丸ビル1F|地図
電話:0178447303
営:18〜24時(月に一度昼営業あり、Instagramでお知らせ)
休:日曜 +α
Instagram:@zuppa_8nohe

エネルギッシュな酒場が連なる赤羽で元気をチャージ。あなたのまちの焼酎ハイボール アテ探し旅

一人呑み万歳。赤羽の大衆酒場でアテ探し。

好きな仕事でも、辛いときはあるし、疲れもする。
落ち込んだときに飲む酒は、好きじゃないけれど、
少しでも前向きになれたときの酒は、うまい。

そんなとき、CMのキャッチフレーズのように、
頭に浮かんでくるワードがある。
「そうだ、赤羽にいこう!」。

赤羽一番街商店街

1人呑みの楽しさを教えてくれる、東京の“北酒場”。
週末を前にした金曜日の昼。呑もうじゃないか!
赤羽の酒場で、元気と自信をV字回復だ!

まずは、赤羽駅東口に降りて、
赤羽一番街商店街に向けて歩く。

全国いろいろな酒場街を巡っているが、
“まっぴるま”から、これほど酒場が看板を出し、
のれんをかかげている場所なんか見たことがない。

そこから一本、裏通りに入ると、
昭和レトロ、いや、昭和そのものの小路、
赤羽一番街シルクロードがある。

赤羽一番街シルクロードは、戦後に開けた商店街。生活用品や生鮮食品を扱う店が並んでいたが次第に飲食店が増え、昼から呑める、せんべろの聖地のひとつになっていったという。今ではレトロだが、当時、アーケードは赤羽のモダンの象徴だったのだろう。

年季が入りすぎたアーケードを進んでいくと、
おでん呑みが楽しめる〈丸健水産〉に到着。
12時30分だが、立ち飲みテーブルはほぼ埋まっている。

丸健水産
丸健水産

「お昼からすごいですね」と、
店長の追川さんに感嘆の言葉をかけると、
「このあたりの方々のランチタイムですね」と微笑。

丸健水産
店長の追川さんは丸健水産で6年目。「その間で、赤羽も変わりましたね。コロナ以降、夜は早くなっちゃいましたし」としみじみ。だからこそ、昼の赤羽という楽しみ方を存分に。

追川さんに聞けば、常連さんの注文は2パターン。
好きなタネにこだわる人と、おまかせセットの人。
おまかせセットは、1000円でおでん4種と1杯。
入るおでんは日替わりどころか時間と状況で変わる。
「常連さんも飽きずに楽しんでいただいているようです」
との追川さんの言葉にのって、おまかせでいこう。

おまかせのおでんと焼酎ハイボール<ドライ>
おまかせのおでんと焼酎ハイボール<ドライ>はセットで1000円。練り物は朝、自店の工場で仕込んでお店で仕上げる。昼の時間帯は出来立てのおでんが食べられる。

今回のおまかせは、味付けたまご、大ぶりの焼ちくわ、
関東らしくちくわぶに、スタミナ揚げ。
スタミナ揚げは、ニラ、にんじん、もやしなどを練りこんだ、
丸健水産自慢のさつま揚げのひとつ。

まずは、ぐいっと焼酎ハイボール<ドライ>で喉を鳴らし、
口の中に余韻を残しながら、温かい出汁を味わう。
懐かしくなじみのある味わいの中に、コクが現れる。

焼酎ハイボール<ドライ>で喉を鳴らす

「出汁は、関西風とだけ言っておきましょうか。
うちの出汁はどこにでもあるような、
おうちでも作れるようなものだと思います。でも……」
追川さんのメガネの奥の瞳がきらりと光る。
「そこに揚げ物の旨味がしみ込んで、うちの味になるんです」。
そう“水産”なのだ。魚の練り物を揚げたタネこそ真骨頂。
これで唯一無二の丸健水産の出汁が出来あがる。

「おごりおごられ禁止」
「おごりおごられ禁止」など、壁には格言風の色紙が。ルールがあるのは、みんなが心地よくおでん呑みを楽しむため。「初めて来られる若い方はちょっと緊張されるみたいですね」と追川店長。「でもすぐ慣れちゃいますから大丈夫」。
丸健水産

広い厨房から、練り物を揚げるいい音が聞こえてきた。
「雨音はショパンの調べ」なんて懐かしい曲が浮かぶ。
なんだか心地よい優しい夕立のような音。
出汁とスタミナ揚げと焼酎ハイボールの味わいも、
いいハーモニーを奏でてくれている。
あぁ、なんだか心地よいなぁ、なんて独り言。

実は赤羽の伝統食。焼酎ハイボールとの相性も抜群

これまでのアテ探しの中で、焼酎ハイボールとの屈指の相性を誇るのが、鰻。

特に鰻そのものの味わいと食感、
タレの複雑な甘味との相性はたまらない。
実は赤羽には鰻で呑める店が意外と多い。

川栄
川栄
鰻とともに川栄のツートップは鶏料理。店頭には焼き鳥や鶏チャーシューなんかも並ぶ。戦後まもなく、近くにあった米軍施設に出入りしていたことから教わったローストチキンが始まりで、三代目がほろほろ鳥の取り扱いを始めたところ、それが人気に。次回は塩、タレともにほろほろ鳥も焼酎ハイボールに合わせてみたい。

中でも長い歴史とともに愛されているのが、
戦後間もなくから、川魚と鶏料理の店として創業し、
現在は、三代目が伝統の味を引継ぐ〈川栄〉。

「この近くに、日光街道の岩淵宿があって、
荒川を挟んで川口と船で行きかう場所で、
川魚を食す文化が昔からありました」と三代目の石井さん。

三代目の石井さん
生まれたときから赤羽を見続けてきた三代目。「だいぶ若い人が増えましたね。お酒離れと言われていますけど、結構、赤羽には若者が来ていますよ」。それでも何かをきっかけに赤羽に来た若者が、川栄のような店の味に触れて、いい呑み手になればと期待したい。

今日の自分へのお土産は、こちらの鰻と狙っていた。
タレは創業時からの継ぎ足し。
タレものれんも、守っていくプレッシャーがあるのでは?
と聞けば三代目は、鰻を焼きながら
「いえいえ、どのお仕事もそれぞれに大変さは一緒ですから」
と、さらりと粋な答え。

川栄の鰻
川栄の鰻
美しい所作、しなやかな指さばきで焼いていくと、次第に鰻が火とともに旨味をじわっとまとっていくように感じられる。一度浸けされた鰻は、蒲焼のような強く濃い色ではなく、自然な風合い。

鰻と言えば蒲焼か白焼きというのが定番で、
もちろん〈川栄〉でも両者取りそろえてはいるが、
スペシャリティといえば「一度浸け」。
文字通り、焼いた鰻を一度だけタレにくぐらせる。
さっぱりと食べられるのに、タレのうまさも味わえるのだ。

お目当ての鰻の蒲焼き・特(3000円)をゲット
無事お目当ての鰻の蒲焼き・特(3000円)をゲット。テイクアウトコーナーの隣には店舗があり、お店で鰻を食べることもできる。

白米では濃厚な蒲焼が良いかもしれないが、
焼酎ハイボールにはこちらのほうが、きっと合うという確信。
くぐらせる瞬間を目の前で見せていただいたが、
ちょっとスモーキーに、上品にタレが香る。
「お酒は、まあ、私も、好きなので……」と笑う三代目作だから、
期待感はさらに膨らむ。

帰宅後、川栄の鰻と焼酎ハイボール<ドライ>で晩酌。
こだわりの国産鰻。この日は愛知産の養鰻。
濃すぎず品のいい、代々引き継がれてきた一度浸けのタレは、
鰻だけではなく、焼酎ハイボールの風味も活かしてくれる。
テイクアウトについてくる塩とわさびをつけて食せば清涼感、
追いタレで、コクのペアリングも楽しめた。

1人呑みの登竜門。ここで知る礼儀と心地よさ

一旦、赤羽駅の東口の前に戻り、2分ほど歩けば、
赤羽の、いや、東京の立ち飲みの名店〈いこい〉がある。

東京の立ち飲みの名店〈いこい〉
東京の立ち飲みの名店〈いこい〉
支払いはキャッシュオン。これだけ膨大なメニューの注文を暗算で鮮やかにさばくスタッフもすごい。聞けば、まだ働き始めて1年未満だというから驚いた。暗算のコツは「煮込みと瓶ビールでいくら」など、定番の組み合わせから覚えること。職人技だ。

広々としているはずのコの字カウンターも、
入口手前の立ち飲みスペースもかなりの混雑ぶり。
時間を確認してみるが…午後2時すぎ。
金曜日とはいえ、ハナ金が早すぎないか?
ちょっと唖然としていると、カウンターから、
意気というか活きのよい男性スタッフの声。
「お一人様、空いてますよー、どうぞ!」。

案内されたのは、看板の煮込み鍋の前。
広く開かれた入口からは一番入りやすい場所ではあるが、
常連さん、一人呑み、立ち呑みの達人たちがひしめく中の、
ある意味、プレミアムなアリーナ席。

東京の立ち飲みの名店〈いこい〉
東京の立ち飲みの名店〈いこい〉

そういえばかつて初訪問の時、この店に踏み込むには随分、
緊張感があったなと思い出す。

ルールというよりはふるまい方。
勝手に席に着かない、キャッシュオンなどのルールより、
スピード感とタイミングにとまどった。
追加注文の時は、緊張感で声がけも躊躇したという記憶がある。

焼酎ハイボール(250円)と、煮込み(150円)、まぐろぬた(250円)にきんぴら(160円)
焼酎ハイボール(250円)と、煮込み(150円)、まぐろぬた(250円)にきんぴら(160円)。破格。アテにちょうどよいポーションと値段。これならあれこれ冒険できる。

焼酎ハイボールと煮込みに加えて2つほどアテを注文。
スタッフさんに言われた金額に合わせて、小銭を出す。
自分が図太くなったのか、それとも、
実はこの店の流儀とテンポが気持ち良いと気づいたのか。
阿吽な感じで、目の前にジョッキとアテが並ぶ。

東京の立ち飲みの名店〈いこい〉東京の立ち飲みの名店〈いこい〉

宝焼酎を使ったこちらの焼酎ハイボールは、
強くて、柔らかくて、爽やかで、そして酒感がぐっとくる。
強炭酸の注ぎ方なのだろうか、
溌溂(はつらつ)としているのだけど大らかに空気が入り、
ガツンとはしているけれど、ふわっと感も心地よい。

そこに煮込み。やわらかく煮込まれた内臓と、
わりとさっぱりしている味わいで、酒が弾む。
東京の大衆酒場ではずせないぬたは、酸味が小気味よい。
そして、ぬたとまぐろのまったりした食感に、
焼酎ハイボールが絡みながら、爽やかな余韻へ。

懐かしさを感じる濃い味のきんぴらは、
ここが歴史のある店だということを教えてくれる。
2つの柔らかいテイストに、歯ごたえのあるきんぴら。
こういうちょっとした変化も、アテを選ぶ際のコツなのだ。

ロンドンのパブ通の常連紳士
こちらの常連紳士は、ロンドンのパブ通。「隣にいるこの人も、ここで知り合った人。連絡先なんかお互い知らないけど、なんだか隣にいるといい感じでね」。話す内容も歴史、英国カルチャーなど文化的。テーブルに置かれたキャッシュオンの小銭が英国の硬貨に見える錯覚。

しつこくしゃべりかけるのはご法度だが、
酒場の先輩たちと自然に会話が始まる。
聞けば70代も半ば、若い頃は大手百貨店に務め、
ロンドンでの駐在期間が長かったという。

「僕はロンドンでパブにハマったんだけど、
この店はそれを思い出させるんですよ」。

どのあたりが……と失礼ながら「?」が頭に浮かんだが、
「ロンドンもここも、立ち飲みのカウンターでは、
自分の肩幅が自分のテーブル。はみ出さないのがルール」。
なるほど。はみ出さないのは物理的な話だけではない。
自分を大きく見せるわけではなく、自然体で、
誰かに迷惑をかけず、自分らしく酒とアテを楽しむことでもある。

東京の立ち飲みの名店〈いこい〉

「お一人様、こちらどうぞ~。あ、リュックは降ろして、
前に抱えて入ってくださいね!」。
声の主は店長の淺野さんだ。

「狭い店ですから、リュックも汚れちゃうでしょうし、
ほかのお客さんにも迷惑かけちゃうと……。
言わなくてもいいかもなんですけど、言った方がいいかなって。
ごめんね、こういう店だからってことで。楽しく呑んで、
また、気持ちよく来てほしいだけなんですよ」。

店長の淺野さん
人が少し引けたのはわずか30分ほど。「休みがないじゃないですか」と聞けば「楽しいからいいんですよ」と笑う淺野店長。豊富なメニューは「常連さんも飽きないように、また来てもらえるように」との思いから。料理の味は先輩スタッフさんたちから変わらず引き継ぐちょっと濃い味。変わるものと変わらないもの、どちらも大切にする。

ルールや作法は皆さんに気持ちよく過ごしていただくためのもの。
「どうしても店を守るためっていうのはありますよね。
でも、昔よりもあまりズバッとは言わないようにしています。
まあ、生意気と思われちゃうこともあるかもしれませんけど(苦笑)」。

〈いこい〉で働き初めて10年目。淺野さんが大切にしているのは、
先輩たちが守ってきたこの場をこれからも、
スタッフやお客さんたちと一緒に、引き継いでいくことなんだな。

東京の立ち飲みの名店〈いこい〉

1人呑みの場は、ちゃんとパブリックの場だ。
でも難しく考える必要なんてないとも思う。
いい酒といいアテがあれば、自然に朗らかになるじゃないか。
心地よく楽しんで、さあ、明日からもがんばってみるか。
まだ陽が西に傾きすぎない時間。
焼酎ハイボールの余韻が何だか明るく、爽やかだ。

赤羽

明日は土曜日。どこの商店街でアテを探そうか。
もうすっかり、前とか上とかに向いている自分に、乾杯。

タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉

ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた
元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。
ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえと
キレのある辛口な味わいに加え、糖質ゼロ※1、プリン体ゼロ※2、甘味料ゼロ※3
といった機能面もうれしいひと缶です。
※1 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。
※2 100ml当たりプリン体0.5㎎未満をプリン体ゼロと表示。
※3 食品添加物としての甘味料は使用していません。

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宝酒造「酒噺」サイト

焼酎ハイボールが飲める名店の紹介や家飲みの極意など、もっと楽しいお酒ライフを送りたい方は必見。酒の肴や飲み屋で語れるお酒のうんちくなどの情報も満載。

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丸健水産
丸健水産

・住所:東京都北区赤羽1-22-8
・電話番号:03-3901-6676
・営業時間:10:30〜20:30、平日月曜のみ12:00〜20:00
・定休日:水曜

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川栄
川栄

・住所:東京都北区赤羽1-19-16
・電話番号:050-1724-2380
・営業時間:11:30~13:30、17:00~21:30
・定休日:水曜、日曜

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いこい本店
いこい本店

・住所:東京都北区赤羽1-3-8
・電話番号:03-3901-5246
・営業時間:11:00〜22:00
・定休日:なし

青森で愛され続けるロングセラー銘菓3選|ニッポンおやつ図鑑

1970年発売、旅人に愛された伝統の味。〈ラグノオささき〉の茶屋の餅

1884年、弘前で小さな餅屋として創業した〈ラグノオささき〉は、現在も青森を代表する定番土産を数多く手がけています。そんな同社が1970年に発売し、今なお幅広い世代に愛され続けているロングセラー商品が「茶屋の餅」。

その名前は、かつてみちのくの峠越えに挑む旅人たちが、道中の茶屋で味わった餅菓子に由来しています。竹皮柄のパッケージには、笠を被って歩く旅人や、わらぶき屋根の茶屋で休息をとる人々の姿が描かれており、当時の情景を今に伝えています。
袋を開けると、並んでいるのは、指の跡がへこみとなってつくほど柔らかな一口大の餅。きな粉の香ばしい香りがふわっと広がります。とろけるような口当たりのなかで、餅に練り込まれたくるみのカリッとした食感が心地よいアクセントに。

いっぷくの時間によく似合う、気取らない優しさが詰まったお菓子です。

Information

ラグノオささき

住所:青森県弘前市大字百石町9番地|地図
電話番号:0172-35-0353
HP:https://www.rag-s.com/
Instagram:@ragueneau_official

 

青森の豊かな恵みを一番シンプルに。〈アップルアンドスナック〉のアップルスナック

青森県田舎館村で、りんごチップスだけを作り続けている菓子メーカー〈アップルアンドスナック〉を知っていますか?

レトロなフォントデザインが可愛い「アップルスナック」の袋を開けると、生のりんごをそのままスライスして揚げたチップスが。驚くほど軽く、口に入れるとパリパリ、サクサクとした軽快な食感は、一度食べ始めると止まらなくなるほど。独自の「減圧フライ製法」で仕上げられているため、油っぽさはなく、噛むほどにりんごの爽やかな甘酸っぱさと、素材本来の優しい甘さが広がります。

今回、コロカル編集部が手に入れたのは、赤い袋の「サン津軽」と黄色の袋の「とき」。他にも「サンむつ」、「早生ふじ」など品種ごとのラインナップが発売されており、りんご王国の層の厚さを感じます。また、袋の裏面に種類ごとに異なるキャラクターが描かれているのもポイント。こうした遊び心に、手に取るたびに楽しい気持ちにさせられます。

“まっすぐ作れば…まっすぐ伝わる”。そんな信念のもと、添加物や保存料を使わず手間をかけて作る「体を想うお菓子」には、作り手の誠実さが詰まっています。
青森の豊かな恵みを一番シンプルな形で受け取る、贅沢なスナック。

Information

アップルアンドスナック

住所:青森県南津軽郡田舎館村大字川部字上船橋50-10|地図
電話番号:0172-26-5360
HP:https://www.applesnack.com/
Instagram:@applesnack_official__ig

素材を楽しむ、中泊の味。〈中里はとむぎ工房〉のはとむぎかりんとう 

美容や健康に良いとされ、古くから薬用としても使われてきたはとむぎ。青森県中泊町では、品種改良を一切行わずに受け継がれてきた貴重な在来種「中里在来」が今も大切に栽培されています。

この希少なはとむぎを使用して作られているのが〈中里はとむぎ工房〉の「はとむぎかりんとう」です。

このお菓子の魅力は、ボリボリ、ザクザクとした食感。一般的なかりんとうに比べて生地がぎゅっと詰まっており、噛むほどにはとむぎの素朴な旨みが広がります。甘さは控えめで、はとむぎの風味を主役にするための、絶妙な味付けです。

原料はシンプルで、保存料などの添加物は不使用。その日の気温や湿度に合わせて粉と水の配合を微調整するなど、製造工程にも作り手のこだわりを感じます。

素朴ながらも丁寧に作り込まれた味わいは、一度食べ始めると止まらなくなるはず。

土地の恵みがそのまま形になった、優しいお菓子です。

Information

中里はとむぎ工房

住所:青森県北津軽郡中泊町大字福浦字浦島32|地図
電話番号:0173-57-4735

多摩の風景を一杯に。 醸造所〈ビアエアンスト〉が 地元産ブルーベリーの クラフトビールを発売

土地の味をビールに落とし込む

東京・多摩市の理美容院〈TAMA tumuji WERKS.〉と併設カフェ〈PARLOR〉の新たな展開として誕生したクラフトビール醸造所〈Bierernst(ビアエアンスト)〉が、多摩市産ブルーベリーを使用した新作「Nümasuguri Blueberry Sour Ale(ヌマスグリ ブルーベリーサワーエール)」を発売した。

2023年の本格始動以来、ケルシュやIPAといった定番スタイルに加え、季節やイベントに合わせた限定ビールを手がけてきたBierernst。「日常に、ちょっと粋な寄り道を」というコンセプトのもと、理美容院・カフェ・醸造所が一体となった複合的な場から、地域に根ざしたカルチャーと味わいを発信し続けている。

今回登場したサワーエールは、「多摩市を表現できるフレーバーを」「ビールが苦手な人にも飲みやすい一杯を」という想いから生まれた。多摩市産ブルーベリー果汁と乳酸菌発酵を組み合わせ、やさしい酸味とジューシーな果実感を両立。アルコール度数6.5%ながら、軽やかで飲みやすい仕上がりとなっている。

風景を纏う、faceとのコラボレーション

パッケージデザインは、多摩市出身のイラストレーター・faceが担当した。市川氏とfaceは、2023年の地元カルチャーイベントを通じて交流が始まり、「多摩市を盛り上げたい」という共通の想いから今回のコラボレーションが実現した。

モチーフとなったのは、多摩市鶴牧東公園の豊かな緑。やわらかなタッチで描かれたアートワークは、ビールを手に取る瞬間に地域の原風景を思い起こさせる仕上がりとなっている。

「Nümasuguri Blueberry Sour Ale」は、醸造所併設のカフェやオンラインストアに加え、地域で親しまれる老舗酒販店でも販売予定。また、ブルーベリーサワーエールと同時にfaceが手がけた多摩市モチーフのTシャツやタンブラーも展開される。

information

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Nümasuguri Blueberry Sour Ale

発売日:2025年12月6日

内容量:330ml

アルコール度数:6.5%

価格:990円(税込)/3本BOX 3,300円(税込)

販売場所

・Bierernst(カフェPARLOR併設/住所:東京都多摩市諏訪1-9-4)

・オンラインストア:https://www.tumuji.jp

・小山商店(東京都多摩市関戸5-15-17)

モデル・阿久津ゆりえさんが おすすめする、群馬県民から愛される ローカルグルメスポット3選!

日本やグローバルで活躍するナビゲーターにご登場いただき、地元や別荘などの拠点がある土地のおすすめスポットを紹介してもらう本企画。

今回は、モデル・阿久津ゆりえさんが登場。
地元民から愛されるローカルグルメスポットを教えていただきました。

地元の定番といえば〈おおぎやラーメン〉

〈おおぎやラーメン〉は、私の地元のど定番ラーメンショップ。少ししょっぱい味噌ラーメンは、太めのちぢれ麺がスープによく絡んで癖になる!餃子と半ライスはぜひ一緒に食べてほしいです。
私は〈おおぎやラーメン〉を食べて大きくなりました。

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おおぎやラーメン 安中本店

住所:群馬県安中市安中1-2314-1

家族でシェアした楽しい思い出〈富士久食堂〉

何を食べても間違いない、昔ながらの町食堂〈富士久食堂〉。
小さい頃に家族でよく通っていて、 ボリューム満点の定食系やオムライス、 カツ丼などみんなで色々と頼んでシェアした楽しい思い出があります。

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富士久食堂

住所:群馬県高崎市中里見町121

Instagram:@fujikyu.shokudo

群馬県民御用達〈登利平〉のお弁当

〈楽園〉

〈登利平〉のお弁当は群馬に来たら外せません。
甘しょっぱい秘伝のたれが染み染みの薄くスライスされた鶏肉と、ぎゅうぎゅうに敷き詰められたご飯(こちらもたれが染み染み)は冷めても美味しい!
シンプルながらにノスタルジーを感じさせてくれる群馬県民御用達のお弁当。松と竹の2種類あるのですが、おすすめは“竹”弁当です。

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登利平

住所:群馬県前橋市六供町1-18-6

動画はこちらから!

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阿久津ゆりえ

群馬県出身。Gunn’s所属のファッションモデル。多くのCMをはじめ、雑誌や広告、MV等の出演やアパレルブランドとのコラボ商品を発売したり、群馬県の観光特使を務めたりと幅広く活躍している。またFMぐんまのラジオ番組でメインパーソナリティーを務めた経験も。明るく自然体な人柄に、男女問わず幅広い年代から共感を得ている。

Instagram:@yurie__a

ミュージシャン・YONCEさんが おすすめする、茅ヶ崎らしさを 感じるおすすめスポット3選!

日本やグローバルで活躍するナビゲーターにご登場いただき、地元や別荘などの拠点がある土地のおすすめスポットを紹介してもらう本企画。

今回は、ミュージシャン・YONCEさんが登場。
地元・茅ヶ崎らしさを感じられるおすすめスポットを教えていただきました。

背筋を正してくれる〈寒川神社〉

〈寒川神社〉

厄除けの神様を祀っている〈寒川神社〉は、幼い頃からほぼ毎年お詣りしている場所です。優しく背筋を正してくれるようなところで、お参りの時期でなくてもぜひ足を運ぶ価値があると思います。

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寒川神社

住所:神奈川県高座郡寒川町宮山3916

茅ヶ崎の文化拠点の一つ〈MOKICHI TRATTORIA〉

熊澤酒造さんの蔵を利用したイタリアンレストラン〈Mokichi Trattoria〉。気鋭の作家やアーティストの作品が展示されるギャラリーでもあり、複合的なカルチャーを発信する素敵な場所でおすすめです。

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MOKICHI TRATTORIA

住所:神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7

Instagram:@mokichi_trattoria

店名も味も素敵な〈楽園〉

〈楽園〉

名前も最高な〈楽園〉。ここのラクサがとてもおいしくて、ぜひ一度食べてみてほしいおすすめスポットです。

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楽園

住所:神奈川県茅ヶ崎市浜見平3-1 ブランチ茅ヶ崎2 1F

Instagram:@rakuen.to.oyoyo

動画はこちらから!

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YONCE

2019年、デビューからわずか4年で地元・横浜スタジアムでの3万人動員のワンマンを実現し、2021年に活動休止を発表。2025年6月に活動を再開し、復活の横浜アリーナ2Daysはソールドアウトを記録した6人組ロックバンドSuchmosのボーカリスト。歌唱する楽曲は自身のバンドのみにとどまらず、2022年にはフジテレビ系ドラマ「エルピス—希望、あるいは災い—」の主題歌「Mirage」を、Mirage Collectiveのボーカルとして歌唱。2023年5人組ロックバンド「Hedigan's」を結成。

変わりゆくまちに思いを馳せながら、 のんべえの聖地・立石を飲み歩き。 あなたのまちの焼酎ハイボール アテ探し旅

のんべえの聖地、立石が変わる
いや、もう変わりつつある。

大規模な再開発により、数年前から、
多くの名物酒場が立ち退きを始めた。

大衆酒場の聖地、立石

昭和の高度経済成長で、工場が林立し、
そこで働く労働者の元気と癒しを提供してきたまち。

1000円でべろべろに酔える「せんべろ」の迷宮として、
全国の酒場ファンから熱い支持を受け続けてきた、
歴史や物語がしみ込んだ街並みがなくなるのだ。

大衆酒場の聖地、立石

京成立石駅の北口には、大きなクレーン車が停まっており、
周りは白い工事壁に覆われている。
北口にはタワーマンションと商業施設、
葛飾区役所の新合同庁舎もやってくる。

寂しさを募らせながら、踏切に立って南口側をみれば、
「立石仲見世商店街」は健在だった。
立石をのんべえたちの聖地にした中心地は、やはりこの通り。

立石仲見世商店街

1931(昭和6)年に開設された京成立石駅。それから産業・交通の要所として発展。第二次世界大戦の空襲で被災した浅草周辺から移住してきた人々が、故郷を懐かしんで名付けたとも言われる「立石仲見世商店街」は、繁栄とせんべろの中心地だった。このエリアも2年後から再開発がはじまる。

昼でもほの暗い仲見世を入ってすぐにある
立役者的存在の店、もつ焼きの〈宇ち多゛〉は
平日の15時で、もうぎゅうぎゅう。
店の中から酒場好きの静かな熱気が漏れてくる。

立石といえば、もつ焼きの〈宇ち多゛〉。平日の明るい時間からこの盛り上がり様

立石といえば、もつ焼きの〈宇ち多゛〉。平日の明るい時間からこの盛り上がり様

その様子を横目で見ながら、〈丸忠蒲鉾店〉へ立ち寄る。
家呑み用におでんをテイクアウトするのだ。
店の前ではおでんが湯気を立てる。

丸忠蒲鉾店

「立石仲見世商店街」の中にある〈丸忠蒲鉾店〉。自家製のさつま揚げ、おでん種を販売していて、店先では日高さんが一年中おでんを炊いている。

「立石仲見世商店街」の中にある〈丸忠蒲鉾店〉。自家製のさつま揚げ、おでん種を販売していて、店先では日高さんが一年中おでんを炊いている。

「うちは、蒲鉾店。練り物からのいい出汁がしみ込むのよ」
と、店主の日高幸子(ゆきこ)さん。
ベースの出汁は大量の昆布。これに鰹節、塩と砂糖。
醤油はいれない。

「いわゆる関東炊きではないんですよ。
私は東京生まれなんだけど、お父さん(旦那さん)が四国。
こだわりが強くて、この出汁になりました」。

出汁だけをいただく

出汁だけをいただく。香りがやわらかい。
味わえば塩辛さはなく、きれいな甘さ。
昆布の風味に、練り物からのいい脂が混じり、
柔らかいけれど輪郭はボケずに、味はしっかり決まっている。
後味はスッキリだ。
この出汁だけで焼酎ハイボールと合わせたい。
やわらかい甘味と焼酎が手を取り合い、
炭酸とともにすーっときれいな余韻に導いてくれそうだ。

お店の自慢の一つは大根

お店の自慢の一つは大根。
2日がかりでじっくり、この出汁をしみこませる。
「手間がかかっているので1個、240円。
でも、食べて、なるほどと思っていただければ……」
たっぷりのあさりと長ネギが入ったあさり天もそそられる。
あさりの旨味も出汁に染みていき、それがまたあさり天に還ってくる。

立石の繁栄を見続けてきた幸子さん。
「浅草の仲見世にも負けないぐらい人が溢れていたわよ。
ほんとかうそか観光バスが来たなんてね。
この時間は夜の買い物で、通りはいっぱいだったわね」。
浅草寺のお清めの煙が、立石ではおでんの湯気か。

2年後に南口も再開発が進む予定。
おでんの味を競う、息子さんの人気の酒場〈二毛作〉は、もう移転している。
「場所のことも、蒲鉾屋を続けるかもわからないけど、
娘は続けるので、(隣で酒場〈おでんの丸忠〉を営む)、
おでんは、私が動ける範囲はやりたい。
なかなかない味だと思うので」

「このあたりのお客さんは優しくてね。店を始めたころは、今日のはしょっぱかったよ、なんて教えてくれて。育てられましたね」と幸子さん。息子さんは、立石のおでん酒場の名店と称される〈二毛作〉の店主(以前は隣にあったが、すでに移転)。「息子は息子で自分の味を作りたくてがんばっています。でも負けないわよ(笑)」

「このあたりのお客さんは優しくてね。店を始めたころは、今日のはしょっぱかったよ、なんて教えてくれて。育てられましたね」と幸子さん。息子さんは、立石のおでん酒場の名店と称される〈二毛作〉の店主(以前は隣にあったが、すでに移転)。「息子は息子で自分の味を作りたくてがんばっています。でも負けないわよ(笑)」

編集長が選ぶ、鹿児島県に行ったら 食べてほしいグルメ5軒 コロカル編集部の食いしん坊日記

日本全国に点在する郷土料理やB級グルメ、旬の食材を使った料理など、コロカル編集部があちこち巡り、おすすめを見つけました。今回は編集長Sが選んだ、鹿児島県に行ったら食べてほしいグルメ5軒をご紹介します。

鹿児島県に行ったら、レンタカーでGO!

鹿児島県を巡ってきました。今回の最大の目的は、いちき串木野にある〈白石酒造〉という焼酎蔵。自分たちの畑で育てた芋で、焼酎造りをする。砂地で育てた芋なのか、粘土質土壌で育てた芋なのか、同じ品種の芋でも、焼酎になったときに、明らかに酒質が異なり、テロワールを感じさせる。自然栽培農業と焼酎造りが密接につながっている蔵は、日本全国探しても、そうそうないのだが、これがそうやすやすとできないことを、現地に行って、身にしみて理解ができた。とともに、日本の酒造りの未来って、ここにこそあるんじゃないのかな、と感じさせる。熱く、優しく、噛み締めるように、焼酎造りを語る5代目当主・白石貴史さんの言葉は、名言ばかりで、また機会があったら、記事にしたいと思う。

鹿児島は、空港から市内が少々とおいのだけど、そこにこそ、行くべきスポットが多々ある。朝便でついたら向かうは〈大黒屋〉。メニューは、3品のみ。手打ち十割のそばと、美味しい汁に浸して食べる天麩羅。旅の始まり、エネルギーを注入するには、最高の一杯だ。

鹿児島は、魚天国だ!

陶芸家・野口悦士さんの工房を訪ねた。そこで待っていたのは、野口さん手作りのカブの浅漬けサラダ。野口さんの器に盛られ、見栄えも味も絶品だったのだが、そこに現れたのが、〈橋本水産〉の橋本隆介さんがわざわざ持ってきてくれたちらし寿司。そして、超新鮮なキビナゴとタカエビのお刺身。師走の旅のはずなのに、新年会みたいな!翌日のランチは、鰹節の聖地・枕崎へ。街中、鰹節の香りに包まれる中、俄然胃の働きが活発になる。枕崎港の市場メシ〈いちふく〉で青もの定食。しび(キハダマグロの幼魚)の刺し身とカツオの腹皮を焼いたものに、カツオのタタキも頼んじゃって。この腹皮が最高で、ごはんに合うのはもちろん、いつかきっと、焼酎お湯割り、ビール、日本酒にも!絶対に楽しみたい!

お菓子天国だ、鹿児島は!

ふくれ、かるかんなどなど、味わい、歯ごたえなど、様々に楽しませてくれる鹿児島のお菓子たち。そんな中、行くたびに必ず食べるのが〈平田屋〉のぢゃんぼ餅。見た目はこってり?なのだけど、爽やかな後味で、1皿、2皿……。桜島を眼の前に、お皿がどんどん進みます。今回、初めて買ったのは、〈つるや菓子舗〉のよもぎ餅。これまで食べたことがない食感、ほどよい甘さとかすかな苦味。鹿児島のお菓子は、本当に奥深き。どちらも、軽やかな腹持ちで、おやつにぴったりです。

帰りの飛行機、ギリギリまで楽しむのが、鹿児島の旅。

空港へ向かうまでに、少しでも時間があったなら、〈おでんの掌〉も絶対だ。豆もやし、春菊、とんこつがオススメだが、味が染みた豆腐も美味だし、チューリップ唐揚げも!しっかりと胃袋を鹿児島色に染めて、東京へと戻るのです。「あああ、腹いっぱい」のコメントは、幸せなため息。鹿児島は、そんなため息が街中に溢れているのです。

青森県を代表するブランド米。 あおもり米〈青天の霹靂〉の おいしさの理由を探る

国内有数の米の産地である青森県。県内で生産される“あおもり米”の主力品種は、〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の3つがあります。今回は、2015年にデビューした、青森県を代表するブランド米〈青天の霹靂〉の登場です。

五つ星お米マイスターに聞いた!
あおもり米〈青天の霹靂〉の魅力

まずは、青森県三沢市に本社があり、米卸業を行う株式会社PEBORAの取締役で、「五つ星お米マイスター」の認定を受けている川村敦子さんにお話を聞きました。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

〈青天の霹靂〉は、これまでになかったネーミングや青色をベースにしたパッケージデザインで、2015年に鮮烈なデビューを果たしました。お米のプロから見て、〈青天の霹靂〉はどんなお米なのでしょうか?川村さんによると、3品種の中で最も厳しい基準が設けられているのが〈青天の霹靂〉だといいます。

「作付地域や栽培農家の登録制が設けられ、青森県内でも限られたエリア・農家しか生産できません。農薬の使用回数を通常の1/2以下にすること、土壌診断に基づく土壌改良を行うこと、玄米タンパク質含有率6.4%以下など、厳しい栽培基準や出荷基準をクリアしたお米だけが流通できます。

玄米タンパク質含有率を下げることで、炊飯時にたっぷり吸水でき、甘みや粘りのバランスがとれた食味が良いお米になるといわれています。〈青天の霹靂〉は慣行栽培での農薬の使用回数より1/2以下に節減して栽培されているため、減農薬栽培といえます」

さらに、味わいにもこんな特徴が。

「しっかりとした粒感と、適度な粘りが特徴。しつこくないあっさりとした甘さなので、飽きがこない、食べやすいお米です。炊き上がりもきれいで、お米も輝いて見えます。

炊き上がりの粒感がしっかりしているので、汁気に負けないおいしさがあり、カレーや丼ものなどとの相性も抜群です」

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉で提供している、「豚の角煮 わっぱ膳」(1,480円)。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉で提供している、「豚の角煮 わっぱ膳」(1,480円)。

〈青天の霹靂〉は、店頭でも購入可能です。

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KOMEKUUTO八戸店

住所:青森県八戸市田向2-14-10

電話:0178-51-6070

営業時間:10:00〜19:00

定休日:第1・3水曜 ※変更あり

Instagram:@5910hachinohe

あおもり米〈青天の霹靂〉を
つくる人に会いに

続いて、〈青天の霹靂〉を生産している米農家さんのもとへ。青森でも昔からおいしい米どころと知られている、黒石市で米づくりを行うアグリーンハートを訪ねました。津軽平野に面し、東には八甲田連邦を望む場所で〈青天の霹靂〉を有機栽培しています。

アグリーンハートは、GLOBALG.A.P. 認証、有機JAS認証、ノウフクJASを取得する日本唯一の農業法人。代表の佐藤拓郎さんは、農業だけでなく、シンガーソングライター、テレビやラジオなどでも活躍しています。

アグリーンハートは、GLOBALG.A.P. 認証、有機JAS認証、ノウフクJASを取得する日本唯一の農業法人。代表の佐藤拓郎さんは、農業だけでなく、シンガーソングライター、テレビやラジオなどでも活躍しています。

アグリーンハートの代表を務める佐藤拓郎さんは、黒石市の農家の6代目。もともと志していたのはプロミュージシャンでしたが、高校3年生の頃に実家の経営が破綻し、高校卒業と同時に就農したといいます。

「当時、実家も競売にかけられてしまったのですが、それでも父親が農業を継続すると決断し、親戚中に頭を下げて借金して。私が高校卒業のタイミングだったので、もうやるしかないと、嫌々ながら家業を手伝うようになりました」

アグリーンハート

借金の返済のため徐々に栽培面積を広げるなか、過労で倒れてしまった佐藤さん。その経験から働き方を見直すようになり、家族経営をやめて、2017年に法人化へ舵を切ります。

また、それまでの慣行栽培から、有機栽培に切り替えることに。これには、アグリーンハートが取得しているノウフクJASとの強い結びつきがありました。

「病気をした親族に障がいがあり、農業での障がい者雇用の可能性を模索したんです。当時、試しにほうれん草を穫って洗う作業をしてもらったときに、僕のできる量の半分くらいしかできなかった。でもそれなら、倍の値段で売れるものをつくれたらいいのではないかと、行き着いたのが有機栽培だったんです」

佐藤さんは、“奇跡のりんご”で知られる木村秋則さんとのテレビ共演をきっかけに、「支配ではなくケアする」農法を学びました。別の田んぼでは自然農法での米づくりも行っています。

佐藤さんは、“奇跡のりんご”で知られる木村秋則さんとのテレビ共演をきっかけに、「支配ではなくケアする」農法を学びました。別の田んぼでは自然農法での米づくりも行っています。

現在では、有機栽培の技術を用いて〈青天の霹靂〉を生産しています。化学肥料を使わずに出荷基準である「タンパク含有量6.4%以下」を叶えるのは非常に難しいため、有機栽培で〈青天の霹靂〉を生産しているのは、県内でアグリーンハートのみ。

こうした生産のハードルの高さはあるものの、有機栽培は高温障害による農作物の被害が出にくく、これからの農業の可能性を広げてくれる農法だと、佐藤さんは話します。

「稲は食物の中でも比較的早く成長する部類ですが、葉温が35度以上になると光合成をしなくなってしまうんです。今は温暖化が進んで稲が育ちにくい環境になっていますよね。それが、有機農業だと、光合成で作るべきエネルギーを根から吸わせることができるんです」

そのため、なにより土づくりが重要。地上ではなく地下にアプローチして、まず微生物のいる土をつくることから始めました。アグリーンハートでは、青森県の陸奥湾のホタテ養殖から出る残渣を活用し、堆肥を与えています。

陸奥湾のホタテ養殖の残渣のうち13%をアグリーンハートの農地で活用しているそう。

陸奥湾のホタテ養殖の残渣のうち6〜7%をアグリーンハートの農地で活用しているそう。

「ホタテを養殖するときにカゴに付着する、海藻類や藻類、フジツボなどの海洋生物の残渣を活用します。豊富なミネラルを根から吸うので、うちの〈青天の霹靂〉はうまいですよ」

佐藤さんの妻で取締役の真澄さんが、従業員のみなさんの〈青天の霹靂〉の塩おむすびをつくると聞きつけ、事務所へ向かうことに。

炊き立てアツアツのご飯を握っていく。真澄さんは三つ星お米マイスター取得者。

炊き立てアツアツのご飯を握っていく。真澄さんは三つ星お米マイスター取得者。

佐藤さん曰く、「化学肥料を使うと、日が出たときに強制的に栄養を吸収させるので、米が縦に伸びてから横に太るのですが、うちの米はストレスがかからないので、縦と横にちょっとずつ伸びていき、丸くなるから粒立ちがいいんです」とのこと。

確かに見た目は縦長というよりも、ふくよかで丸みがあります。

きゅうりとなすの浅漬けを一緒に。

きゅうりとなすの浅漬けを一緒に。

従業員のみなさんで、「いただきます」

従業員のみなさんで、「いただきます」

人数分以上あったおむすびが、あっという間になくなりました。

人数分以上あったおむすびが、あっという間になくなりました。

“子どもたちの未来に希望をつくり、地球に感謝される農業をする”ことを理念に掲げているアグリーンハート。

「誰が食べるか、というところまでを考えて生産していきたい」と、話す佐藤さんが印象的でした。休耕地の再生や自然栽培など、さまざまな挑戦を続けるアグリーンハートは、豊かな食文化を子どもたちにつないでいます。

取材先情報

株式会社アグリーンハート

料理家・冷水希三子さんに聞いた
〈青天の霹靂〉でに合うレシピ
「ハーブたっぷり油林鶏」

最後に、雑誌やWEBなどで活躍中の料理家・冷水希三子さんに、〈青天の霹靂〉に合うレシピを教えてもらいました 。食べ応えがあるので、夕食にぜひどうぞ。

料理家・冷水希三子さん

「粘りとキレのバランスがよく、やや硬さもありつぶれにくい〈青天の霹靂〉は、エスニックっぽいメニューとも相性がいいですね。しっかり食べたい夕食には、『ハーブたっぷり油林鶏』を合わせてみては。最後にハーブたっぷりのタレをかければ、さっぱりと食べられます」

■ハーブたっぷり油林鶏

ハーブたっぷり油林鶏

【材料(2~3人分)】
鶏もも肉…1枚
片栗粉…適量
油…適量

(A)
黒酢…大さじ2
濃口醤油…大さじ1
水…大さじ2強
砂糖…小さじ1
パクチー…2株
イタリアンパセリ…10g
長ネギ…15cm
生姜…1片
粉唐辛子…適量
ごま油…大さじ1

【つくり方】
② Aのハーブと香味野菜はみじん切りにして、他の材料と混ぜ合わせ、タレをつくる。
②鶏もも肉に片栗粉をつけて、フライパンに1cmくらい油を入れて両面カリッと焼く。
③ ②の鶏もも肉を切って皿に盛り、1のタレをかける。好みできゅうりスライスや焼きなすを添えてもよい。

鶏もも肉を上手に焼くコツは、両面がカリッときつね色になるまで弱火でじっくり揚げ焼きにすること。カリッとジューシーなお肉が、酸味のあるタレとハーブで爽やかに。ご飯が何杯でも食べられそうな一品です。

「ほかにも白身のお刺身や蒸し魚、鶏肉、ポークソテー、ハーブ、きのこ、などの食材が、上品なキレと硬めの米に合いそう。粘りが強すぎないので、パラパラ食感のチャーハンができます。リゾットやパエリアにもおすすめです」

取材者情報

冷水 希三子

料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などの仕事をしている。

Instagram:@kincocyan

もっとあおもり米を身近に!

全3回にわたり、あおもり米の魅力を紹介してきました。生産者のみなさんに共通していたのは、食を通じて子どもたちの未来を守りたいという思い。これまで県内で消費されることが多かったあおもり米ですが、今後は首都圏をはじめ別の地域で見かけることも増えるかもしれません。生産者の思いが詰まったお米を、ぜひ手にとってみてくださいね。

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青森県県産品販売・輸出促進課

住所:青森市長島1丁目1-1

問い合わせ:kensanhin@pref.aomori.lg.jp

Instagram:@aomori_no_okome

島民がガイドする、何度でも楽しい 豊島のディープな魅力

香川県の豊島に大量の産業廃棄物が不法投棄された「豊島事件」をきっかけに、瀬戸内海エリアの美しい自然環境を守り、再生することを目的として、2000年からNPO法人として活動をしている「瀬戸内オリーブ基金」。2025年に設立から25年を迎えた。まずは「瀬戸内オリーブ基金」の本拠地、香川県・豊島をご紹介。アートの島として全世界から観光客が訪れるこの島だが、楽しみ方はアートのみにあらず。今回は豊島在住の「瀬戸内オリーブ基金」事務局の松澤千穂さんに、島民ならではのオススメのスポットを案内していただいた。

松澤千穂さん

松澤千穂さん:メーカー勤務、シンガポール暮らし、地元・金沢の市場でECサイト立ち上げやインバウンド向けの体験型観光提案など、さまざまな職歴を経て「瀬戸内オリーブ基金」へ。昔から自然や環境保全にも興味があり、いつかは島暮らしがしたいという夢を叶えるため、豊島へ2025年1月に移住。

魔法の手から生まれる豊島土産〈soe farm〉

魔法の手から生まれる豊島土産〈soe farm〉

高知県出身の副田祥子さん。関西に長年住んだ後、岡山県の海の玄関口・宇野に移り住み、農業法人で働いていた経験を生かして、2012年頃から瓶詰め作りを開始。宇野と豊島の2拠点生活を経て、豊島へ移住した。現在はすべての加工品を豊島で製作。豊島レモンを使ったレモンジャム、イチゴジャム、柑橘のジャム……。スモモや梅など島の果実と相談しながら最もいいタイミングで仕上げる。また、地元漁師さんから仕入れた素材で作る海苔の佃煮や、副田さんが養蜂しているニホンミツバチのハチミツを使ったマスタードの瓶詰めなど、調味料も販売している。商品は「自分が好きなもの、食べたいものばかり」と副田さん。友人の紹介やつながりのある生産者さんから人間関係を重視した仕入れで、島の素材を最大限に生かす。「県外の方へのお土産にはマスト!ジャムも調味料も素材を生かした味わいや組み合わせが絶妙。ジャムは数あれど、副田さんが作り出すものは別物」と、松澤さんは話す。

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soe farm

Instagram:@soefarm

島食材×スパイスで味わう異国の味〈ARUEI〉

島食材×スパイスで味わう異国の味〈ARUEI〉

島の裏路地、古民家が連なる住宅街に猫が描かれた赤い看板が目に留まる。オーナーの中野志保子さんは東京都出身。2014年に移住し、島のレストランで3年半勤務した後独立し、2018年に現在の店舗を開業した。スペインやトルコで地中海料理を学んだ中野さん。オリーブ、イチジクなど地中海と共通の食材があり、豊島はトルコの島とも雰囲気がよく似ていると話す。豊島の食材をハーブやスパイスを使用した料理は風味のある味わい。食材は地元生産者との直接取引や自身の畑で採れたものを使用。年間通して採れるものは決まっているが、収穫時期や質量はその年にならないと分からないので、お店のコースメニューは日替わりだ(夜のみ)。提供しているパンは、フランス人のパン職人が岡山県で栽培している有機の麦を購入し、自家製酵母で焼き上げる。「いつも違う食材、違う味わいで楽しませてくれます」と、松澤さん。

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〈ARUEI〉

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2320

電話:080-3243-2792

営業時間:18:00〜(事前予約制)

定休日:不定休(インスタグラムにて告知)

Web:https://aruei.stores.jp/

Instagram:@aruei_

豊島のお父さんが作る島唯一の手延べそうめん〈川東製麺所〉

豊島のお父さんが作る島唯一の手延べそうめん〈川東製麺所〉

川東幸治さんが豊島でそうめんを作り始めたのは約45年前。以前は採石場で重機オペレーターとして働いていたが一念発起し、そうめん製造で有名な小豆島の知人から技術指導を受けて、豊島で製造を開始した。全自動で管理された工場の中で作られるそうめんとは異なり、手作りのそうめんは天候・温度・湿度に応じた調整が必要。手間を省かず、教わった通りの製法を厳格に守ること、12時から14時ごろまでの時間帯を見極め、天日乾燥を基本とし、品質の安定に努めている。そうめんは冬場が製造シーズン。朝3時から夕方5〜6時まで、1日14〜15時間もの長時間作業が続く。オフシーズンの春から秋にかけては、そうめんの販売と工場に併設している民泊の運営、さらに夫婦で食事処「碧い空」も経営している。当時2軒あったそうめん製造所も、今では川東さんのみ。
「とにかく美味しいそうめんを食べてほしい。2分ゆがいたらすぐ食べる!時間が勝負」と、川東さんは話す。

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川東製麺所、民泊「川東さん家」

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦986

電話:0879-68-2117

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食事処・観光農園「碧い空」

住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃614

電話:090-4337-3789

営業時間:11:00〜15:00

定休日:不定休(火曜・雨天定休)

あるものを活かし、島暮らしを体感〈結-YUI-〉

あるものを活かし、島暮らしを体感〈結-YUI-〉

県外・海外での経験を経て、「日本と海外をつなぐ仕事をしたい」と考えていた高松市出身のオーナー夛田敦さん。瀬戸内の島々を回った際に、豊島の自然とアートが共存する雰囲気に惹かれたことに加え、外国人を中心とした観光客は多いが、宿泊場所が不足している状況を知り、姉とともに宿を開業した。古民家をリノベーションし、アートを目当てに島を巡る外国人旅行客にもフィットした設えに。豊島の暮らしを感じつつも快適に過ごすことができる空間作りがなされている。2017年、庭園が美しい一棟貸しの宿〈結-AKEDA〉をオープンし、翌年には2つ目の宿〈結-ISHIYA〉を開業。かつて石材業を営んでいた邸宅、〈結-ISHIYA〉の敷地内にある作業場は〈結-YUI Gallery & Café+Bar〉として、おやつや軽食、自家製ドリンク、ナチュラルワインやクラフトビールなどが楽しめるほか、オリジナル商品や定期的にギャラリーでの展示も行い、島民や旅人のコミュニティスペースとしても機能する。「豊島の産業廃棄物問題の歴史を踏まえて、ビジネスを通じた持続可能な地域貢献をしたい。スクラップアンドビルドではなく既存の空き家やリソースを活用して、私たちにもできることを考えたい」と、2024年より「瀬戸内オリーブ基金」の法人サポータに加入。今後も利益の一部を地域に還元する仕組みづくりを進めたいと語った。

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結-AKEDA

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦1017

Web:https://yui-teshima.com/stay/akeda/

Instagram:@yuiteshimaofficial

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結-ISHIYA

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2163

Web:https://yui-teshima.com/

Instagram:@yuiteshimaofficial

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結-YUI Gallery & Café+Bar

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2163

定休日:火曜・水曜・木曜休、不定休 ※12~2月は冬期休業(インスタグラムにて告知)

Instagram:@yui.gallery_cafebar

引き継ぎたい島のモノをレスキューする〈古道具みるく〉

引き継ぎたい島のモノをレスキューする〈古道具みるく〉

地域の過疎高齢化に伴った空き家問題から発生する大量の家財道具の処分、解体される家屋に残った貴重な古道具など、「次世代に残したいモノや素材」を自分たちの手で引き継いでいきたい。そんな思いで豊島に住む有志が始めた無人販売所「古道具みるく」。豊島はかつて酪農が栄えたこともあり「ミルクの島」とも呼ばれていた。そんな歴史を残す、甲生地区にある元集乳所跡を利用し、島内で不要になったものを持ち寄ったり持ち帰ったりすることができる場所作りをしている。普段は無人でオープンしているため、気に入ったものを見つけた人が募金箱にドネーションするスタイルだ。洋服や古布、人形、食器、カゴ、調度品までメンバーがセレクトした品々が並ぶ。店舗に置かれたノートには、ここを訪れた方からのメッセージがぎっしり。物が手に入りにくく、捨てにくい島だからこそ大切にされてきた物品が世界に羽ばたいていく。

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古道具みるく

住所:香川県土庄町豊島甲生932-5

定休日:年中無休(オープンデイはインスタグラムにて告知)

Instagram:@teshima_vintage

島に来たらココも!ベストビュー&癒しのスポット

豊かな島と書いて豊島。面積 14.5 ㎢、人口約700人の島の中央にそびえるのは、標高約340メートルの檀山。降り注ぐ雨を山が蓄え、麓の集落では現在まで枯れたことがないという水がこんこんと湧き出ている。瀬戸内の島では珍しく、豊富な水を利用した稲作が盛んに行われ、かつては酪農や漁業でも栄えたという。また豊島では、加工がしやすく火に強い「豊島石」が採れ、古くから石の島としても知られている。資源に恵まれた島の自然美溢れるスポットを、松澤さんおすすめコメントとともにご紹介。

「晴れた日には瀬戸内海の多島美と四国本土を見渡すことができる、檀山岡崎公園展望台。眼下には私の住んでいる甲生地区が見えます。ベンチにゆっくり腰をかけて景色を眺めるだけで清々しい気分に」

「晴れた日には瀬戸内海の多島美と四国本土を見渡すことができる、檀山岡崎公園展望台。眼下には私の住んでいる甲生地区が見えます。ベンチにゆっくり腰をかけて景色を眺めるだけで清々しい気分に」

「家浦八幡神社には室町時代に豊島石で造られた、香川県内で最古の鳥居があり、石段を登ると別世界に入っていくような趣があります。恒例の秋祭りは島らしいあたたかみがあり、これからもずっと残ってほしい伝統です」

「家浦八幡神社には室町時代に豊島石で造られた、香川県内で最古の鳥居があり、石段を登ると別世界に入っていくような趣があります。恒例の秋祭りは島らしいあたたかみがあり、これからもずっと残ってほしい伝統です」

「檀山の中腹にあるスダジイの森。山一帯が信仰の対象であったため、まとまった規模で現存しているとか。一面大木に覆われ、まるで太古の森に迷い込んだかのよう。樹齢250年の大木は樹木医により現在治療中」

「檀山の中腹にあるスダジイの森。山一帯が信仰の対象であったため、まとまった規模で現存しているとか。一面大木に覆われ、まるで太古の森に迷い込んだかのよう。樹齢250年の大木は樹木医により現在治療中」

「四国や瀬戸大橋を望むことができる甲生地区の夕日。ここは私が住んでいる、豊島の中で最も小さな集落で人口は70人ほど。夕方からは人がほとんどいないので、ビール片手に夏の夕暮れにベンチでのんびりするのが最高です」

「四国や瀬戸大橋を望むことができる甲生地区の夕日。ここは私が住んでいる、豊島の中で最も小さな集落で人口は70人ほど。夕方からは人がほとんどいないので、ビール片手に夏の夕暮れにベンチでのんびりするのが最高です」

そして「瀬戸内オリーブ基金」の設立当初の2001年から、基金の想いに共感し、支援を続けてきたユニクロのオリジナルグッズが作れるサービス「UTme!」で、基金設立から25周年を記念した、オリーブ基金Tシャツ、スウェットシャツ、バッグの販売がスタート。中でもスウェットシャツは、オリーブ基金の発起人の一人で、建築家の安藤忠雄氏によるデザインで、ここでしか手に入らない貴重なグッズだ。
UTme!商品1点につき、100円が基金へ寄付され、集められた寄付金は、瀬戸内海の美しい自然を守り、次世代へとつないでいくための活動に役立てられる。
2025年12月9日より、UTme!サービスのある全ユニクロ店舗(39店舗)、UTme!オンラインストアにて購入可能。「瀬戸内オリーブ基金」が気になったら、まずはグッズの購入で支援を始めてみよう。

特設サイトリンク:https://utme.uniqlo.com/tips/19592/

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瀬戸内オリーブ基金

所在地:香川県小豆郡土庄町豊島家浦3837-4

Web:https://www.olive-foundation.org/

Instagram:https://www.instagram.com/olive_foundation/

瀬戸内オリーブ基金を支援する:https://congrant.com/project/olivefoundation/20593

【見逃し配信あり】 『ラーメン文化を通じて、土地の食材を生かし店舗と地域を繋ぐ』 コロカルアカデミーVol.9

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、新たなウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」の第9回を開催しました。

今回は、「ラーメン文化の未来」をテーマに、ゲストには、全国津々浦々のラーメンを年間600杯以上食べ歩き、ラーメン業界のカルチャーを明るく軽やかに牽引し続けている森本聡子さんをお迎えしました。
森本さんのこれまでの経験をもとに、ラーメン女子博を始めとした独創的なイベントの数々と、その企画背景や裏側、ラーメン文化と地方創生の関係、食とカルチャーの融合について、セミナーでたっぷり語っていただきました。
見逃し配信を視聴したい方はこちらからお申し込みください。

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森本聡子(もりもと・さとこ)

森本聡子(もりもと・さとこ)
株式会社RamenSwitch 代表取締役。「女性が1人でもラーメンを楽しめるカルチャーを広めたい」という思いから食べ歩きを始めて22年。現在は年間600杯以上を食す「ラーメン女史」として活動。「ラーメン女子会」を主催し、大型イベント「ラーメン女子博」「LIVE AZUMA 東北拉麺屋台村」「Setouchi Contemporary」ではラーメンプロデューサーを歴任。累計動員数は100万人を超える。

「ラーメン」を〇〇〇として見る

「ラーメン」を〇〇〇として見る

ラーメンを「食」や「一過性のブーム」としてではなく、カルチャーとして、そして地域を動かす力として捉え、育ててきた森本さん。ラーメンは、“食”であると同時に、人の生き方や街の空気、関係性まで映し出す存在だと感じていたという視点から、これまで考えたことのなかったラーメンの新たな捉え方が、おぼろげながらも立ち上がってきます。
そんな森本さんから提示されたのは、「ラーメンを〇〇〇として見る」という、なぞなぞのようなひとつの問い。キーワードは移動とのこと。さあ、どんなお話が始まるのでしょうか。

掛け算で生まれる新しいカルチャー

掛け算で生まれる新しいカルチャー

掛け算で生まれる新しいカルチャー

導入として森本さんからお話があったのは、ご自身のライフヒストリー。ラーメンにのめり込み、ラーメン女子になり、そんなラーメン女子から、ラーメンをお仕事にして、新たなラーメンカルチャーを牽引するようになるまでのお話を伺いました。「ラーメンの仕事だけは絶対にしない」と決めていた森本さんのお話は、私たちのキャリアプランニングにも多くのヒントを与えてくれる内容でした。

そこから話題はカルチャーの創出という具体的な話題に。ラーメンを仕事にすると決めてから、森本さんが考えてきたのが、「ラーメン×○○○」という掛け合わせ。
ラーメン単体ではなく、音楽、ファッション、アート、ものづくり、地域、ジェンダー。ラーメンと何かと掛け合わせた瞬間に、ラーメンは“新しいカルチャー”として立ち上がると感じていたとのこと。確かに、ラーメンは私たちの日々の中にある日常食。そこにアートやファッション、地域やジェンダーといった現代文化にまつわるものを掛け算するだけで一気に見える景色が広がります。掛け算の大事さ自体は、多くのビジネス書やキャリアに関する書籍などでも目にするかもしれませんが、ここで掛け算の相手になっているのは、「ラーメン」。そこに掛け合わされるものが現代的でポップであればあるほど、そのギャップに独特の面白さが宿るのかもしれません。
ラーメンは完成された文化だからこそ、外側とつなぐことで、まだ見えていない可能性が開いていく。森本さんの活動の軸が見えてきます。

ラーメンイベント戦略と実態を大公開

ラーメンイベント戦略と実態を大公開

ラーメンイベント戦略と実態を大公開

次に話題に上がったのは、実際のラーメンイベントの数々。森本さんが手がけてきた「ラーメン女子博」「LIVE AZUMA 東北拉麺屋台村」「Setouchi Contemporary」などを事例として扱いつつ、ラーメンイベントの実情と裏側についても、徹底的に深掘りしていただきました。
講座内では、首都圏イベントではなく、地方イベントにこそ活路があるという視点を、明確なロジックとともに説明していただきつつ、『入場者数に対して、どのようなラーメン販売予測値を立てるのか?』に関する計算式なども含めたリアルな数字も含めて、教えていただくことができました。
こうして話を聞いていると、森本さんの並々ならぬラーメンへの情熱が、森本さんのビジネスのセンスや能力に裏打ちされたものだからこそ、説得力を持って、たくさんの人を巻き込み、大きなイベントの数々を成功させてこられたのだなと感じました。

ラーメンイベントで大切にしていること

ラーメンイベントで大切にしていること

ラーメンイベントで大切にしていること

ラーメンを一時の熱狂に終わらせずに、より長い目でラーメンに対する視点を参加者に持ってもらうこと。食べた瞬間で終わるのではなく、「また来たい」「あの街に行ってみたい」「あの店を思い出す」。そんな余韻をどう残すかが重要だと語る森本さん。
確かに私たちはイベントを立ち上げようとしたとき、そこに吹く最大瞬間風速のようなものばかり気にして、参加者の中にどんな想いが生まれ、それがどう育っていくのか、という視点を忘れがちかもしれません。しかし森本さんは、ご自身のラーメンへの想いを基軸に、よりロングタームな関係性に落とし込んで、他にはない独自性を持つイベントを生み出してきました。

まとめ|ラーメンは……

まとめ|ラーメンは……

地方創生との関わりなどもお話しいただきつつ、最初の〇〇に対する答えとして、最後に森本さんが提示されたのは、「ラーメンは最短距離で地方を動かすスイッチ」ということば。
ラーメンという国民食、みんなから愛されているものを基軸にしつつ、そこに新しい掛け算を施していくことで、たくさんのローカルな場所や新しい分野に可能性を生み出していく。
そこにあるのは、まさしく「ロマン」と「そろばん」の掛け算。今回、森本さんのお話を伺っていて一番驚いたのは、「本当の愛は数字と共にある」ということです。
私たちは、好きを仕事にしたり、好きを基軸にしたプロジェクトを考えようとすることも多いですが、熱意だけが先行して、うまくいかないことも多々あると思います。しかし、森本さんのラーメンに対する向き合い方を見ていると、本当に何かを好きになるということは、その好きなことと真剣に向き合い、数字や結果から逃げずに、好きなもののポテンシャルを信じてやり抜くことにあるのではないかと感じました。
そうした「好き」に対する態度は、私たちがローカルに目を向け、唯一無二の土地と場所を広げようとする際にも役立つ視点ではないでしょうか。

講座本編終了後のQ&Aでは、まだ知られていない土地の食品等を広げるにあたって誰に向けての発信を意識するべきかなど、より具体的な話題も盛りだくさんでした。
ラーメンが好きな人はもちろん、イベントの運営に関心がある方、好きなことや熱意とビジネスとの関係を考えたい方など、多くの方におすすめです。

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3年連続で最高評価“特A”を 獲得した青森県のお米。 2023年デビューのあおもり米 〈はれわたり〉って?

国内有数の米の産地である青森県。県内で生産される“あおもり米”の主力品種は、〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の3つがあります。今回は、3年連続(2022年は参考品種として)で最高評価“特A”を獲得した青森県のブランド米で、2023年に全国デビューした、新たなあおもり米〈はれわたり〉についてご紹介。

五つ星お米マイスターに聞いた!
あおもり米〈はれわたり〉の魅力

まずは、青森県三沢市に本社があり、米卸業を行う株式会社PEBORAの取締役で、「五つ星お米マイスター」の認定を受けている川村敦子さんにお話を聞きました。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

2009年に育成をスタートし、13年かけて開発された〈はれわたり〉は、2023年に全国デビューしました。お米のプロから見て、どんなお米なのでしょうか?

「3品種の中で〈青天の霹靂〉は作付けできる地域が限られていますが、〈はれわたり〉はそれ以外の地域でも栽培できる品種です。食味ランキングで最高位の特Aを3年連続取得するなど、あおもり米を牽引する存在としても期待されています。

粒感は大きめでみずみずしく、ふんわりした食感のお米なので食べやすく、お米の甘さが口の中でじゅわーっと広がります」

〈はれわたり〉のおいしい食べ方について川村さんは、「ほどよい粘りがあるので、おにぎりにしてもふっくら。さっぱりとした魚料理のほか、魚卵や塩辛などのシンプルな食材もおすすめです」と、おすすめしてくれました。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉に併設するカフェレストランでは、「紅子と紅鮭 わっぱ膳」(1,680円)を提供しています。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉に併設するカフェレストランでは、「紅子と紅鮭 わっぱ膳」(1,680円)を提供しています。

〈はれわたり〉は、店頭でも購入可能です。

取材先情報

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KOMEKUUTO八戸店

住所:青森県八戸市田向2-14-10

電話:0178-51-6070

営業時間:10:00〜19:00

定休日:第1・3水曜 ※変更あり

Instagram:@5910hachinohe

あおもり米〈はれわたり〉を
つくる人に会いに

続いて、〈はれわたり〉を生産している米農家さんのもとへ。八戸市出身の久保沢卓さん、麻美さん夫妻は2023年、MARBLE FARM(マーブルファーム)の屋号で新規就農しました。〈はれわたり〉を栽培しているのは、八戸市の南郷島守地域。丘陵地に囲まれた島守盆地は、新井田川が近くを流れ、冷涼な気候条件のもと、雑穀を中心とした農業が行われてきました。初夏には盆地を覆うように幻想的な朝もやがかかることでも知られています。

屋号のマーブルファームは島守弁で“守る” という意味がある“まぶる”に由来。「自然豊かなこの景色を守っていきたい」と、願いを込めたそう。

屋号のマーブルファームは島守弁で“守る” という意味がある“まぶる”に由来。「自然豊かなこの景色を守っていきたい」と、願いを込めたそう。

お米の栽培には十分な日光と水、稲穂が垂れる登熟期の寒暖差が欠かせません。特に島守地域は、イワナやヤマメなどが棲むきれいな水が田んぼに流れ込み、盆地なので昼と夜の寒暖差も十分。お米の栽培に適している地域です。

お米の栽培に適している地域

未経験から農家になったおふたりですが、なぜお米をつくることにしたのでしょうか。

「わが家には子どもがふたりいるのですが、子どもたちの食をめぐる環境について疑問を抱いたことがきっかけです。毎日口にするものなので、農薬を使わず、子どもたちに自信を持って食べてもらえるようなお米をつくりたいと考えて就農しました」(麻美さん)

「2023年のデータによると、日本のカロリーベースの食料自給率が38%、主食用穀物自給率は63%だそうです。このままだと、お米すらも輸入することになる時代がくるかもしれないと、危機感を覚えました。

今は約3ヘクタールの田んぼで、種まきから収穫まで、無農薬・有機栽培の米づくりをしています。 自然の力を最大限に生かしたこの栽培方法は、手間と時間がかかりますが、安心で安全、そしてなによりも生命力に満ちたお米をお届けしたいという想いから、この農法を選びました」(卓さん)

久保沢卓さん、麻美さん夫妻

マーブルファームが〈はれわたり〉を栽培し始めたのは2025年から。2024年に、〈はれわたり〉の新米を買って食べてみたところ、青森県産米の品種の中では粘りが強く、特においしいと感じ、この品種を育てることを決めました。

「〈はれわたり〉は、もちもちとしたやわらかい食感と、ほどよい甘みが特徴です。特に魚の塩焼き、煮物など、素材の味を活かした和食と相性が良いと思います。また、冷めてもおいしいので、おにぎりにもおすすめです」(麻美さん)

〈はれわたり〉は、もちもちとしたやわらかい食感と、ほどよい甘みが特徴

田んぼの近くにある〈舘のやかた〉を借りて、ちょうどお昼休憩をするというので、食事風景を見せてもらうことに。

食事風景を見せてもらうことに

「今日は、〈はれわたり〉に合う和食を用意しました。八戸エリアの郷土料理である『せんべい汁』と、塩漬けの梅干しにします。炊飯器がないので、土鍋でご飯を炊きましょうか」(麻美さん)

土鍋でおいしいご飯を炊く方法を麻美さんに教えてもらいました。

【つくり方】
①お米を正確に計量し、やさしく研ぐ。最初の水はすぐに捨て、お米が水を吸い込む前に手早く行う。

②研いだお米は、別のボウルなどに移し、水に浸す。お米1合に対して、水は200〜250mlが目安。浸水時間の目安は、夏場は30分、冬場は1時間。
※土鍋に直接浸水させると、土鍋が水を吸いすぎてひび割れの原因になることがあるため注意。

③浸水させたお米と水を土鍋に入れる。蓋をして、強めの中火にかける。火加減は、炎が鍋底に当たるくらいが目安。

④沸騰するまでの時間は、土鍋の大きさやお米の量によって異なるが、10分程度を目安に。蓋から蒸気が出てきたり、カタカタと音がしたりしたら沸騰のサイン。

⑤沸騰したら、すぐに弱火にして、そのまま10分~15分炊く。土鍋から聞こえるパチパチという音が小さくなってきたら、水分がなくなってきた合図。
※おこげを作りたい場合は、火を止める直前に10秒ほど強火にすると良い。

⑥火を止めたら、蓋を開けずに10分~15分蒸らす。この蒸らしの時間が非常に重要なので、蓋は絶対に開けないように。

⑦蒸らしが終わったら蓋を開け、しゃもじで底からご飯をやさしく混ぜる。余分な水分を飛ばすことで、ひと粒ひと粒が立った、つやつやのご飯に。

炊きあがりました!つやつやに輝いています。

炊きあがりました!つやつやに輝いています。

せんべい汁と、塩漬けの梅干しと合わせていただきます。

せんべい汁と、塩漬けの梅干しと合わせていただきます。

茅葺屋根の古民家〈舘のやかた〉は、囲炉裏や土間、和室、台所などがあり、誰でも借りることができます。(有料)

茅葺屋根の古民家〈舘のやかた〉は、囲炉裏や土間、和室、台所などがあり、誰でも借りることができます。(有料)

マーブルファームが見つめているのは、子どもたちの未来。健やかに成長してほしいという思いのもと、ひとり親家庭へお米の無料お渡し会なども開催しています。
また同時に、次の世代へ、豊かな農地を引き継ぎたいという思いもあると久保沢卓さん。

「今年から耕作放棄地を復活させたのですが、一度山に戻してしまった農地を復活させるのは、すごく大変なんです。農地は農地の状態で、ちゃんと次の世代に引き継いでいかなきゃならない。

私たちが『無農薬・有機栽培で米づくりをしている』というと、農薬や化学肥料を使っている農家さんを悪く言っているように聞こえてしまうかもしれないのですが、そうではありません。慣行栽培でも、どんな品種やどんな作物であっても、農業をしていること自体が次の世代のためになると思います」(卓さん)

「ぺろりと食べました」のポーズ。

「ぺろりと食べました」のポーズ。

最後に、「今後のあおもり米に期待することは?」と問いかけてみると……。

「気候の変化によって、西日本ではどんどん米がつくりづらくなっていると聞きました。これまで青森県は寒くて米の栽培が難しかったのですが、気候の変化や品種の改良によって、これからもっとおいしいお米の産地になり得るんじゃないかと、期待しています」(卓さん)

ふたりの就農したタイミングと同じ2023年に全国デビューした〈はれわたり〉。2025年の収穫で、マーブルファームの〈はれわたり〉の新米が食べられるようになりました。

取材先情報

マーブルファーム

Instagram:@marble_farm88

料理家・冷水希三子さんに聞いた
〈はれわたり〉に合うレシピ
「アサリと豚肉のバジルココナッツ煮こみ」

最後に、雑誌やWEBなどで活躍中の料理家・冷水希三子さんに、〈はれわたり〉に合うレシピを教えてもらいました 。手が込んだように見えて実は工程が少ない、昼食におすすめのメニューです。

料理家・冷水希三子さん

「ふっくらとしていて粘りがあり、甘みもある〈はれわたり〉にはソースがよく絡むので、汁気のあるメニューがおすすめ。昼食のシチュエーションなら、『アサリと豚肉のバジルココナッツ煮こみ』はいかがでしょうか。カレー粉を使っていないのに、手軽にカレーのような味わいになりますよ」(冷水さん)

■アサリと豚肉のバジルココナッツ煮こみ

アサリと豚肉のバジルココナッツ煮こみ

【材料(2~3人分)】
アサリ…200g
豚肉…120g
バジル…1パック
油…小さじ2
塩…少々
生姜スライス…5枚
赤唐辛子…1本
酒…50ml
ココナッツミルク…100ml
レモン…好みで
※写真は2倍の分量でつくっています。

【つくり方】
①アサリは砂抜きして洗う。豚肉はひと口大に切って軽く塩を振る。
②鍋に油を入れ豚肉を炒める。色が変わってきたらアサリと生姜スライスと種を取り除いた赤唐辛子、酒を加え、強火でアサリの口が開くまで煮る。
③ ②にココナッツミルクを加え1~2分煮て塩味が足りないようなら足す。
④火を消し、バジルを加えひと混ぜする。
⑤器に盛り、好みでレモンを絞って食べる。

アサリと豚肉の旨みが溶け出したスープに、バジルの風味が加わり、ほんのり甘みのあるお米によく合います。ゴロゴロの具材で、満足度の高いランチになりました。

他にも〈はれわたり〉は、ハンバーグ、角煮、カレー、天つゆで食べる天ぷら、ぶりの照り焼きなど、汁気のあるメニューと合わせるのがおすすめだそう。

「ソースがよく絡み、米の甘さがより旨みを引き立ててくれます。もっちりしていてやわらかいので、パリパリの海苔を巻いたおにぎりや、お弁当にも」

取材者情報

冷水 希三子

料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などの仕事をしている。

Instagram:@kincocyan

information

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青森県県産品販売・輸出促進課

住所:青森市長島1丁目1-1

問い合わせ:kensanhin@pref.aomori.lg.jp

Instagram:@aomori_no_okome

ラーメン文化を通じて、土地の食材を生かし店舗と地域を繋ぐ| コロカルアカデミー Vol.9開催決定

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場「コロカルアカデミー」の第9回を開催します。主催は、日本各地のローカルの魅力を発信し続けるWebマガジン「コロカル」です。

今回は、「ラーメン文化の未来」をテーマに、ラーメン業界の新しいムーブメントを作り出してきた 森本聡子さんをゲストにお迎えします。全国600杯以上のラーメンを食べ歩き、ラーメン業界のカルチャーを牽引する森本さんのユニークな取り組みについて深掘りします。

森本さんは、女性に向けたラーメンイベント「ラーメン女子博」を立ち上げ、音楽イベント「LIVE AZUMA 東北拉麺屋台村」や「Setouchi Contemporary」などでラーメンプロデューサーを歴任し、累計動員数は100万人を突破。これらのイベントを通じて、女性でも気軽にラーメンを楽しめる文化を広めてきました。また、ラーメンに関連するジュエリーブランド「ZURU+」や、ラーメン専用の日本酒(クラフトSAKE)のプロデュースなど、多岐にわたる活動を展開しています。

今回のセミナーでは、森本さんの経験をもとに、
●ラーメン女子博を通じたイベントの裏側
●ラーメン文化と地方創生の関係
●食とカルチャーの融合

といったテーマについてお話しいただきます。地域の魅力をラーメンを通じて発信する方法や、食文化を活用した地域活性化の可能性について学べる機会。

さらに、編集長杉江が深掘りしたいのが、伝統的な地域食材を活用することで、捨てられがちな食材を活かし、地域の店舗とつなげていく取り組みです。地域の一店舗だけではサポートできない部分を、他の店舗との連携で一気に広げ、地域全体を元気にする方法についても伺います。

地方創生に興味がある方、食文化を通じて地域を盛り上げたい方、ラーメン業界に携わる方におすすめのセッションです。ぜひご参加ください

【概要】
コロカルアカデミー Vol.9
「ラーメン文化を通じて、土地の食材を生かし店舗と地域を繋ぐ」
日時:2026年1月15日(木)15:00〜16:00(14:50開場)
形式:Zoomウェビナー
費用:無料(要事前申込)
募集期間:2026年1月8日(木)12:00まで
※後日見逃し配信あり

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本セミナーで学べること】
●ラーメン文化を通じた地方創生の可能性
●食とカルチャーの融合による地域の魅力発信
●女性向けイベントの企画と運営の実際

【こんな方におすすめ】
●食文化を通じた地域活性化に興味がある方
●ラーメン業界で活躍したい方
●地域創生に携わる自治体・企業関係者
●森本聡子さんの取り組みに興味がある方

【登壇者プロフィール】

森本聡子

森本聡子(もりもと・さとこ)
株式会社RamenSwitch 代表取締役。「女性が1人でもラーメンを楽しめるカルチャーを広めたい」という思いから食べ歩きを始めて22年。現在は年間600杯以上を食す“ラーメン女史“として活動。「ラーメン女子会」を主催し、大型イベント「ラーメン女子博」「LIVE AZUMA 東北拉麺屋台村」「Setouchi Contemporary」ではラーメンプロデューサーを歴任。累計動員数は100万人を超える。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声や映像の乱れが生じる場合があります。
・録画・録音・再配信はご遠慮ください。

大阪・梅田に都市型酒蔵が誕生。 酒造りを“見ながら飲める” 〈KOFUNE SAKE BREWERY〉

都会の真ん中で、酒造りを体感できる新拠点

大阪・梅田の中心に、酒造りを間近で体験できる新たな拠点「KOFUNE SAKE BREWERY(コフネ サケ ブリュワリー)」が、2025年11月1日にグランドオープンした。醸造所と立ち飲みパブを併設した“都市型酒蔵”として注目を集めており、ガラス越しに麹造りや仕込みの様子を見ながら、タップから注がれる出来立てのSAKEを味わうことができる。開業直後から多くの来場者で賑わい、都市の真ん中で酒造りを体験するという新しい楽しみ方が話題を呼んでいる。

醸造家の個性を支える“レーベル型”の仕組み

「KOFUNE」は、“音楽レーベルのSAKE版”を掲げる日本初のSAKEレーベルとして誕生。資金調達や製造免許の取得など、醸造家にとって高いハードルとなる部分をレーベルが担い、造り手が自由に表現できる環境を整えている。使用する米や酵母、副原料、製法は各醸造家によって異なり、個性豊かな味わいのSAKEが次々と誕生。伝統的な日本酒の製法にハーブや果実を掛け合わせた“新しいSAKE”も人気を集めている。

レーベルロゴ。「音楽レーベルのように、醸造家の個性を尊重する」という発想から誕生。

レーベルロゴ。「音楽レーベルのように、醸造家の個性を尊重する」という発想から誕生。

オープニングイベントも盛況に開催

開業を記念して、11月1日から3日まで開催されたオープニングイベントでは、福岡や大阪の料理人が参加し、KOFUNEのSAKEに合わせた限定メニューを提供した。「昼は会社員、夜は醸造家」という多様なバックグラウンドを持つメンバーも集う空間として、今後はワークショップや限定醸造イベントも予定。営業日やイベントの詳細は、Instagramでチェック。

多くの来場者で賑わったオープニングイベント。

多くの来場者で賑わったオープニングイベント。

Information

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KOFUNE SAKE BREWERY

所在地: 大阪府大阪市北区大淀中1-7-19

公式Instagram: @kofune.sake

サッカー元日本代表・石川直宏が 長野・飯綱町で育てた、 “なおもろこし”がビールに

“奇跡のとうもろこし”が一杯に宿る

元サッカー日本代表・石川直宏氏が長野県飯綱町で育てるとうもろこし「なおもろこし」。その実と芯をまるごと使ったクラフトビール「NAOMOROKOSHI BEER」が誕生した。醸造を担うのは、神奈川県横須賀市のブルワリー GRANDLINE BREWING。2025年10月10日(金)より、タップルームとオンラインストア「KANPAI SHOP」を中心に全国で順次販売を開始した。

自然の甘みを生かした、まろやかな一杯

このビールは、「なおもろこし」の実と芯を丸ごと活かし、自然な甘みとまろやかなボディを持つクリームエールスタイルとして仕上げられた。アルコール度数5.0%。使用ホップにLibertyを選ぶなど、原料から製法に至るまでこだわりが詰まっており、つくる過程における農業・醸造・土地・人のつながりを味わえる一杯となっている。また、新商品の発売に合わせてブランドムービーが公式YouTubeチャンネルで公開され、農園・醸造所・人が交わる様子が“背景ごと味わえる”仕様だという。

スポーツから農へ、そして地域へ

石川氏はサッカー引退後、「喜びを届ける手段をスポーツ以外にも広げたい」と農業に挑戦。自身が育てた作物を通じて地域に貢献する新たな形を模索してきた。

今回のプロジェクトでは、ビールという媒介を通じて、土地の恵みを都市へと届け、地域と消費者の距離を縮めている。畑から醸造所へ、そしてグラスの中へ。ひと口の“乾杯”が、人と土地をもう一度つなぎ直す。

information

NAOMOROKOSHI BEER 

ビアスタイル:Cream Ale with Fresh Corn

アルコール度数:5.0%

販売場所:GRANDLINE BREWING タップルーム、KANPAI SHOP、全国一部酒販店

公式サイト:https://grandlinebrewing.jp/

お米のプロや生産者に聞いた、 青森県で最も作られている お米〈まっしぐら〉の魅力

米の産地というと、新潟県や北海道、秋田県などをイメージする人が多いかもしれませんが、実は青森県も米の食料自給率が300%超えと、国内有数の米の産地。県内で生産される“あおもり米”の主力品種は、〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の3つがあります。今回は、2006年にデビューし、青森県で最も作られているお米〈まっしぐら〉についてご紹介。

五つ星お米マイスターに聞いた!
あおもり米〈まっしぐら〉の魅力

まずは、青森県三沢市に本社があり、米卸業を行う株式会社PEBORAの取締役で、「五つ星お米マイスター」の認定を受けている川村敦子さんにお話を聞きました。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

2006年にデビューし、青森県で最も作られているお米〈まっしぐら〉。お米のプロから見て、どんな特徴のお米なのでしょうか?

「稲の病気である“いもち病”に強く、収量が安定するため、現在では青森県の看板品種となっています。県内全域で作付けされ、最も多く生産されています。やわらかすぎず硬すぎず、万人受けする食感と粒感だと思います。あっさりとした甘みで、何にでも合いますよ」

〈まっしぐら〉のおすすめの食べ方について、「万能なお米なので、卵かけご飯のようにシンプルにお米を味わうのはもちろん、チャーハンのように炒める食べ方でも幅広く相性がいいと思います」と、川村さん。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO 八戸店〉には、炊きたてのご飯と本格的な日本茶が楽しめるカフェレストランも併設。ここで提供している中から、〈まっしぐら〉に合うメニューを紹介してもらいました。「卵かけご飯」880円。なんとご飯はおかわり1杯無料! 米は月替わり。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO 八戸店〉には、炊きたてのご飯と本格的な日本茶が楽しめるカフェレストランも併設。ここで提供している中から、〈まっしぐら〉に合うメニューを紹介してもらいました。「卵かけご飯」880円。なんとご飯はおかわり1杯無料!米は月替わり。

〈まっしぐら〉は、店頭でも購入可能です。

information

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KOMEKUUTO八戸店

住所:青森県八戸市田向2-14-10

電話:0178-51-6070

営業時間:10:00〜19:00

定休日:第1・3水曜 ※変更あり

Instagram:@5910hachinohe

あおもり米〈まっしぐら〉を
つくる人に会いに

続いて、〈まっしぐら〉を生産している米農家さんのもとへ。五所川原市の成田収聴(しゅうき)さんは、津軽平野を縦断する五所川原の中里広域農道、通称「こめ米(まい) ロード」に面して広がる田んぼで〈まっしぐら〉を栽培しています。

成田収聴(しゅうき)さん

農家さんから見てで、〈まっしぐら〉はどんな品種なのでしょうか?

「〈まっしぐら〉は病気や倒伏に強く、天候に左右されにくいので、品質が安定していて収量を確保しやすいのが特徴です。農家にとってはつくりやすく安定的に販売しやすい、頼れるお米。私たちはできるだけ農薬を減らしながらも、安定した収量を確保できるように工夫しながら栽培しています」

津軽平野は昼夜で寒暖差があり、水害なども比較的少ないエリアなので米づくりに適している場所。

津軽平野は昼夜で寒暖差があり、水害なども比較的少ないエリアなので米づくりに適している場所。

成田さんは、祖父母から続く米農家の3代目ですが、もともと農家を継ぐつもりはなかったといいます。

「幼い頃から親や祖父母が農作業をしている姿を見てきましたし、たびたび手伝わされてきました。それが嫌だったので、家を離れて、絶対に別の仕事に就くぞ!と(笑)。県内の大学を卒業後、パンクやロック音楽を学ぶためにカナダのトロントに5年ほど住み、帰国後も東京でDJ活動をしていました」

現在も米農家をするかたわら、デザインや動画の編集、「GAMEBOY」名義でのDJ活動を行っています。

現在も米農家をするかたわら、デザインや動画の編集、「GAMEBOY」名義でのDJ活動を行っています。

家業を継ぐのを避けていた成田さんが、農家になることを意識するようになったのは、2011年の東日本大震災後のボランティア活動がきっかけでした。震災直後に福島へ行った際、田んぼの壊滅的な状況を見て危機感を覚えました。

「そのとき、かつてあんなに嫌だった田んぼが、自分の中で原風景になっていて、創作活動にも影響を与えてくれていたことに気づきました。親も歳をとってきているし、家の田んぼは大丈夫なのだろうかと考えるようになったんです」

翌年Uターンすると、家業を手伝うようになった成田さん。農業を始めてから、「自然に生かされている」と実感するようになったそう。

成田収聴(しゅうき)さん

「もちろん稲が育つようにいろいろ手助けしますが、人間のできることは限られています。太陽とか水とか、自然の強さによって育つんですよね。そのお米を食べて、エネルギーにして、また稲が育つための手助けをして、循環する。そういう自然の循環の中に自分がいる心地良さがだんだんわかってきたんです」

私たちが日々、当たり前のように口にしているお米は、こうした農家さんの営みに支えられています。

これからお昼休憩だという成田さんに、農家さんごはんを見せていただくことに。

「〈まっしぐら〉は、お米の粒が白くツヤがあって、炊きあがりも粒立ちがよく、時間が経ってもおいしいです。粘りが控えめなので丼や寿司にも使いやすいのも特徴のひとつ。今日は、わっぱのお弁当箱にご飯を用意して、スーパーで納豆と塩漬けすじこを買ってきました」

太宰治も愛したと言われる「すじこ納豆」

五所川原市内の金木町出身の文豪、太宰治も愛したと言われる「すじこ納豆」。食べ方は人によって違うようですが、成田さんはすじこの粒がバラバラになるまで混ぜる派。

「その名の通りすじこと納豆をかけ合わせただけのシンプルなものですが、お米とともに永劫食べ続けたいと思わせる魅力があると思います」

太宰治も愛したと言われる「すじこ納豆」

就農して10年以上の成田さんですが、まだまだ父の背中を追っていると話します。

「父は何十年も米農家をやってきたから、米の状態を見ただけで、『ちょっと水分が足りていないな』とかがわかるんですよね。もう70歳を過ぎているんですけど、よく動くし、筋肉もあって。今は米の栽培も父親の比重が大きいんですが、これからもっと自分が引き継いでいけたらと思っています」

米の状態を見ただけで、『ちょっと水分が足りていないな』とかがわかる

かつての自分のように、お子さんが田んぼを訪れることも。今は田んぼよりも虫を見るのに夢中とのことですが、お子さんにとっても、ここが原風景になるのではないでしょうか。

「子どもには、農業に限らず自分の好きなことを自由にやってほしい」と話す一方で、若い人にどんどん農業に挑戦してほしいとも。

「ドローンやAI制御など、機械や技術が発展して、農業はやりやすくなってきています。昔の農家さんよりも自由な時間が増えているので、私のように半農半Xの可能性が増えています。もし農家になりたい若い人がいたら応援していきたいですね」

そう話す成田さんの思いを胸に、田んぼを後にしました。

取材先情報

成田収聴さん

料理家・冷水希三子さんに聞いた
〈まっしぐら〉に合うレシピ
「しらすの出汁玉じめ」

最後に、雑誌やWEBなどで活躍中の料理家・冷水希三子さんに、〈まっしぐら〉に合う食材を使ったレシピを教えてもらいました 。卵を使った、朝に食べたいおかずです。

料理家・冷水希三子さん

「粘りが少なくあっさりしている〈まっしぐら〉には、お米の風味を立たせる『しらすの出汁玉じめ』を。スクランブルエッグをつくる要領で、最後に出汁をかけるので、出汁巻き玉子よりも簡単です」

■しらすの出汁玉じめ

しらすの出汁玉じめ

【材料(1〜2人分)】
しらす…12g
卵…2個
万能ネギなどの香味野菜…少々
砂糖…ひとつまみ
かつお昆布出汁…80ml
薄口醤油…少々
油…小さじ2

【つくり方】
①ボウルに卵を割り入れ、しらすと香味野菜、砂糖ひとつまみを加えて混ぜる。
②小さなフライパンに油を入れ、強火で①を混ぜながら半熟状に焼く。
③出汁を加え1分ほど煮たら、最後に醤油で味をととのえる。

汁ごとご飯にのせて食べると、出汁の旨みと一緒に味わうことができます。簡単な手順でさっとつくれるうえに、リッチな気分になれるメニューです。

ほかにも、〈まっしぐら〉のに合うおかずについて、「梅干し、焼き魚、漬物、卵料理、お浸しなど、米の風味を立たせる食材が合います」と冷水さん。粒感がしっかりしているので、炊き込みご飯にしても出汁を吸い込んでくれるのだそうです。ぜひお試しを!

取材者情報

冷水 希三子

料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などの仕事をしている。

Instagram:@kincocyan

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青森県県産品販売・輸出促進課

住所:青森市長島1丁目1-1

問い合わせ:kensanhin@pref.aomori.lg.jp

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コロカル編集部の食いしん坊日記 日帰りで回れる岡山グルメ3軒

日本全国に点在する郷土料理やB級グルメ、旬の食材を使った料理など、コロカル編集部があちこち巡り、おすすめを見つけました。
今回は日帰り出張でも絶対地元グルメは逃さない編集部Mが選んだ、岡山駅付近のおすすめ3軒をご紹介します。

最後まで熱々の焼きパスタが美味しい〈ブエナビスタ〉

日帰り出張で岡山県にやってきました。取材の前後に岡山の美味しいものを食べたい!と意気込んで、まずは駅から歩いて5分ほどの〈ブエナビスタ〉で腹ごしらえ。名物の「焼きトマトソースとモッツァレラ」を注文しました。(辛さが選べるので、辛口に。)チーズがたっぷりでとにかく伸びる……トマトの酸味もちょうどよく、何よりずっと熱々です!これからの季節は嬉しいですね。大満足のパスタランチでした。

落ち着いた雰囲気でコーヒーを楽しめる〈ONSAYA COFFEE〉

お腹いっぱいになった後、取材前に頭をシャキッとさせるべくコーヒーを探して〈ONSAYA COFFEE〉へ。岡山市内に四店舗展開しているようで、今回は岡山の古い商店街、奉還町にある店舗に伺いました。ブレンドコーヒー「ONSAYA JOY」と「エスプレッソロール」をチョイス。
アイスで注文したコーヒーは、酸味がちょうどよくスッキリしていて、ボリューミーなランチの後にピッタリでした。「エスプレッソロール」は、生地がもちもち!クリームもエスプレッソの苦味がほんのりと、甘すぎずペロリと食べてしまいました。店内は落ち着いた雰囲気で、大きなスピーカーが印象的!

岡山に来たならやっぱり桃!〈観音山フルーツパーラーOKAYAMA〉

無事に取材を終えました。頭を使ったらやっぱり甘いものが欲しくなります。そして、岡山に来たなら、絶対にフルーツは食べたい!〈観音山フルーツパーラーOKAYAMA〉で、フルーツパフェを食べてから帰ることにします。
岡山といえば桃だけど、もう旬は終わったかな……なんて思っていましたが、ありました!しかも晩秋の今しか食べられないらしい「冬美白(とうびはく)」という桃を使ったパフェ!
パフェの上には桃がドーンと!はじめましての冬美白は爽やかな甘さで、しゃくしゃくとした食感は、洋梨にも近いかも?桃の下にあるほんのりしょっぱいクッキーや、スッキリとしたライチゼリーとともに食べ進めると、一番下にはまた冬美白が!最後まで桃づくしで大満足のパフェでした。一緒に行ったライターのIさんは「旬フルーツの農園パフェ」をチョイスしていました。こちらもその時期に美味しいフルーツがたっぷり。
駅から5分ほどの場所にあるので、新幹線までの隙間時間にもおすすめです。

次回は岡山名物の「デミカツ丼」を食べようと心に決め、きび団子をお土産に帰宅。今回取材した記事は近日中にコロカルに掲載します。お楽しみに!