新潟に行ったら食べたい、地元で愛される銘菓3選|ニッポンおやつ図鑑

雪遊びの思い出を、ひとくちのパイに。〈木村屋〉のつぼんこ

つぼんこ

新潟県十日町市に店を構える老舗〈木村屋〉。このお店の人気商品として愛されているのが、パイ菓子「つぼんこ」です。名前の由来は、かつて子どもたちが足で雪を固めて作った雪玉をぶつけ合って遊んだ冬の遊びから。コロンとした丸みを帯びた形と、雪ん子をあしらったパッケージが愛らしく、食べる前につい手にとって眺めてしまいます。

こだわりは、職人がひとつひとつ手作業で丁寧に折り重ねるパイ生地。何度も生地を折り重ねて焼き上げることで、幾重にも重なるサクサクとした食感に。パイ生地を割ると、中から現れるのはコクのある黄身餡と、一粒贅沢に入った栗。ひと口頬張れば、優しい甘さと、サクサク、ホクホクとした食感が口いっぱいに広がります。

懐かしい冬の風景に思いを馳せて作られたつぼんこ。雪深い十日町の景色を想いながら、温かいお茶と一緒にゆっくりと味わいたいお菓子です。

Information

お菓子処 木村屋

住所:新潟県十日町市駅通り98番地1
電話番号:025-752-2280(駅通り本店)
HP:https://tokamachi-kimuraya.com/

伸びる飴が話題、長岡名物〈長命堂飴舗〉の飴もなか

飴もなか

新潟県長岡市で大正元年に創業し、100年以上愛され続けている老舗〈長命堂飴舗〉(ちょうめいどうあめほ)。この店の看板商品が「飴もなか」です。

一見すると普通の最中のようですが、割ってみると中からとろ〜りと伸びる水飴が溢れ出てきます。見た目のインパクトからSNSなどでも話題を呼び、長岡でもすぐに売り切れてしまう人気のお菓子。新潟産のもち米を使って香ばしく焼き上げられた皮と、あっさりとした甘さの水飴との組み合わせは、シンプルながらも計算し尽くされた絶妙なバランス。

「失敗苦心を重ねて完成させた」という初代の想いが詰まったこのお菓子は、全国菓子大博覧会でも名誉金賞を受賞するなど、折り紙付きの名品。

長命堂の「おいしいお菓子をひとつひとつ丁寧に」というモットーの通り、昔から変わらない製法で、職人が一つ一つ手仕事で丁寧に仕上げています。時代が変わっても変わらない素朴な味わいは、長岡の歴史が詰まった唯一無二の銘菓です。

Information

長命堂飴舗

住所:新潟県長岡市殿町2-1-2
電話番号:0258-35-1211
HP:https://amemonaka.jp/
Instagram:@amemonaka_

新潟県民の定番おやつ、〈亀田製菓〉のサラダホープ

サラダホープ

新潟の米菓文化を語る上で、〈亀田製菓〉の「サラダホープ」抜きには語れません。1961年に亀田製菓から発売されて以来、60年以上愛され続けるロングセラー商品。看板商品の「ハッピーターン」や「柿の種」よりも長い歴史を持っています。

それなのに県外で「サラダホープ」をあまり見かけないのには理由があります。発売当初は全国で販売されていましたが、あまりの人気で売り切れが続出。生産体制を整えるために新潟限定(一部店舗を除く)の商品として販売されるようになりました。それ以来、新潟県民のおやつや帰省した際の定番土産として定着しています。魅力は、サクサクとした軽快な食感と、もち米本来の旨みを引き立てる絶妙な塩加減。お米を知り尽くしたメーカーが追求した、飽きのこない味わいは、一度食べ始めると止まらないクセになるお菓子です。

最近では、定番のうま塩味に加え、枝豆やカレーといったバラエティ豊かなフレーバーも展開されており、選ぶ楽しさも広がりました。日常の風景に溶け込むこの新潟のスタンダードは、子供から大人まで、世代を超えて親しまれています。

Information

亀田製菓株式会社

住所:新潟県新潟市江南区亀田工業団地3丁目1番1号
電話番号:025-382-2111
HP:https://www.kamedaseika.co.jp/
IG:kameda_jp

新潟県・長岡で歴史散歩。摂田屋と出雲崎をめぐる旅。

摂田屋の豪商が残した芸術建築〈旧機那サフラン酒本舗〉

長岡駅の隣、宮内駅が最寄りの摂田屋は、古くから醸造業が盛んな「醸造の町」。お酒に味噌、醤油など、今でも続く蔵が多くあり、町を歩くと、発酵の香りがふわりと漂います。

まず訪れたのは、この地域のシンボルになっている〈旧機那サフラン酒本舗〉。明治20年に創業し、全国で薬用酒として流行したお酒の製造所跡地です。サフランという花と蜂蜜、丁子、桂皮、甘草などの植物を調合したお酒で、その人気はあの養命酒と並ぶほどだったといいます。

看板には大きな「サフラン酒」の文字

敷地内に現存している建物や庭園は全て国登録有形文化財に登録されており、今でも市民によって保全活動が続けられています。中でも、注目すべきは全国でもトップレベルの大きさを誇る鏝絵(こてえ)。名前の通り、左官が壁を塗る「こて」で図柄を立体的に描く技法で、かつて事務所として使われていた建物の外観には、色鮮やかな動物たちが大胆に描かれています。

立体的に見えるのが特徴の鏝絵。動物たちが今にも動き出しそう。

これらの建築物は、サフラン酒で財を成した創業者の吉澤仁太郎が築いたもの。豪快な人柄だったという彼が「世間をあっと言わせたい」という遊び心で作ったというから驚きです。鏝絵以外にも鯉が泳ぐ庭園や「趣味で花火を打ち上げたところ、近くの寺に落ちて全焼してしまった」と言う逸話からも、彼の豪快で華やかな人柄が滲み出ています。

 新潟最古の酒蔵を知る〈吉乃川 酒ミュージアム 醸蔵〉

次に訪れたのは、新潟一の歴史を誇る酒蔵〈吉乃川〉。醸造の町、摂田屋の歴史はここから始まりました。創業は 天文17年(1548年)。470年以上も、この地でお酒を作り続けています。

敷地内に2019年にオープンしたのが〈酒ミュージアム 醸蔵〉。蔵の歴史や酒造りの工程を知ることができる他、試飲コーナーがあったり、グッズを購入できたりと、吉乃川を五感で体験できるスポットです。

約100年前に建てられた倉庫を改装して作った、〈酒ミュージアム 醸蔵〉。

地元の方曰く、新潟のお酒は繊細なため、手首のスナップを使って顎を上げずに飲むのがコツ。こうすることで舌の真ん中で存分に日本酒の旨みを感じることができるんだそう。これから新潟のお酒を飲むときは、試してみたい!

お地蔵さまが目印。長岡の名物醤油〈越のむらさき〉

摂田屋を歩いているとひときわ目をひくのが、大きく屋号が書かれた煉瓦の煙突。江戸時代から続く老舗醤油蔵〈越のむらさき〉です。看板商品の「特選かつおだし 越のむらさき」は、かけるだけではなく、煮物やつゆとしても使える万能調味料。地元民には定番の「ソウル調味料」です。

「第一回長岡市都市景観賞」を受賞した社屋。

目印は、ボトルのラベルに描かれた愛らしい「こしのじぞう」。店先には、江戸時代から旅人の道しるべとして座り続けてきた本物のお地蔵さまが祀られており、今も摂田屋を優しく見守っています。

出雲崎の海岸線に立ち並ぶ、妻入りの街並み

摂田屋を後にして向かったのは、日本海に面する出雲崎町。江戸幕府の直轄地「天領」で、佐渡からの金銀が陸揚げされた北前船の寄港地として栄えた町です。今では県内で2番目に人口が少ない町ですが、当時の人口密度は日本トップクラスだったといいます。

その名残ともいえるのが、「妻入り(つまいり)」と呼ばれる建築様式の家。限られた土地に多くの人が住めるようにするため、そして当時は間口の幅が税の基準になっていたことから、間口を抑え奥へと伸びるつくりが広がりました。

そうして生まれたのが、海岸線に沿って約3.6kmも続く妻入りの街並み。晴れた冬の日に路地を歩くと、前には雪の積もった山が、家々の間からは日本海が見える、出雲崎ならではの景色を堪能することができます。

かつての暮らしを知るため、〈北国街道 妻入り会館〉へ。ここは当時の建築様式を再現した施設で、外から眺めるだけではわからない内部を見学できます。玄関口から海側にあるお勝手場までが繋がっている「通し土間」は港町ならでは。

普段は、季節に合わせた展示が行われたり、街歩きの休憩処としても使われています。

出雲崎の偉人、良寛ゆかりの地を巡る。

出雲崎を語る上で欠かせないのが、僧侶・歌人の良寛(りょうかん)。この地で生まれた良寛は、裕福な家庭ながらも出家し、自然や子どもたちとの交流を好みました。また、多くの歌や漢詩を残し、今でも多くの人に親しまれています。

良寛を偲んで、生家の跡地に建てられたのが〈良寛堂〉。日本海をバックに素朴なお堂が建っており、中に展示されている自筆の詩は必見。晴れた日には良寛の母の故郷、佐渡島も見えるというこの場所で、良寛の石像が海の向こうを見つめるように鎮座しています。

日本海を一望できる絶景スポット

町歩きの最後は、高台にある〈良寛と夕日の丘公園〉へ。妻入りの街並みと、目の前に広がる日本海、そしてその先に浮かぶ佐渡島を一望できる絶景スポットです。

先ほど歩いた海岸線の街並みを上から見下ろすことで、海と山に挟まれた狭い平地に妻入りの家々が密集して並んでいる様子がよく分かります。

「にいがた景勝百選」の一位にも選ばれたこの場所は、名前の通り県内屈指の夕日の名所。タイミングがよければ、良寛と子どもたちの石像が夕日に照らされる様子も見れるんだそう。


街を歩くと見えてくる、人々の営み。歴史を知ることで、今も変わらぬ町並みの中に長岡で続いてきた暮らしを感じる旅でした。

旅の中で出会ったグルメは「コロカル編集部の食いしん坊日記」で紹介中。
併せてチェックしてみてください。

編集部員が選ぶ、新潟・長岡エリアに行ったら食べてほしいグルメ4軒|コロカル編集部の食いしん坊日記

新潟はラーメン大国! 生姜醤油ラーメンで体ぽかぽか。

お米のイメージが強い新潟ですが、全国屈指の「ラーメン県」でもあるんです。新潟濃厚味噌ラーメン、燕背脂ラーメンなどの「新潟5大ラーメン」を筆頭に、土地の風土を生かした個性豊かなラーメンが独自の進化を遂げています。その一つ、長岡を代表するラーメンが「長岡生姜醤油ラーメン」。 生姜を効かせた濃口のスープが特徴で、食べるとじんわり体が温まる、 県内でも雪深い長岡地域ならではのラーメンです。今回訪れたのは、〈ラーメンあおきや 喜多町店〉。 90席ある広い店舗にも関わらず、土日は列ができるほど人気の名店です。

生姜醤油ラーメンという名前から、さぞ生姜のパンチが強いのだろうと少しドキドキしながらスープを口に運ぶと。意外にも口当たりはさっぱりとしており、マイルドな醤油の旨味が口いっぱいに広がります。けれど、後から生姜の風味がしっかりと追いかけてきて「確かにこれは生姜醤油ラーメン!」と納得の味。中太のストレート麺に、トッピングの海苔もアクセントになり、あっという間にするすると食べ切ってしまいました。初めて体験した、本場の生姜醤油ラーメン。また食べたくなる、クセになる一杯でした。

醤油の香りに誘われて〈江口だんご〉でひと休み。

長岡市摂田屋地区は、自然豊かで水がきれいなことから、お酒や醤油、味噌作りなどが栄えてきた醸造の街。現在は、古い建物を活かしながら、再開発が進み、街歩きにぴったりのエリアです。このエリアの街歩きで必ず立ち寄りたいのが〈江口だんご〉。店先から漂う香ばしい香りに誘われて、ついつい足が向いてしまいます。このお店は、摂田屋の老舗醤油蔵〈越のむらさき〉の創業者の旧邸宅を改築した店舗。名物のみたらし団子にもその醤油が使われています。店先にはベンチもあるので、焼きたてのお団子をその場で頬張るのがオススメ!また、奥の店内を覗くと、笹だんごや大福など手土産用の和菓子も販売されていました。今回同行してくれた長岡地域振興局職員の方の「いちご大福も絶品なんです!」という言葉に、ついついこちらもお買い上げ。

摂田屋の夜は、発酵レストラン〈WILLOW HOUSE〉で。

発酵文化が色濃く残る摂田屋で、古民家を改装して2024年にオープンしたレストラン〈WILLOW HOUSE〉。発酵をテーマに、地のものを活かしたメニューを提供しています。今回いただいたのは「薪火と発酵コース」。料理は、隠し味に醤油や味噌が使われていたり、調味料にも麹が使われていたりと前菜からデザートまで、じっくりと発酵の魅力を堪能できます。 さらに、天然酵母を使ったパンはなんと食べ放題!しかも、薪火を使って焼き上げているというから驚きです。 種類も豊富で、そのおいしさについついおかわりしてしまいます。

ドリンクも侮ることなかれ。ノンアルコールも発酵メニューが充実しており、 お酒を飲む人も、そうでない人も楽しめるのが嬉しいポイントです。普段はお酒一択の私も、この日はクラフトコーラにもチャレンジ。素敵な空間でゆっくりと食事を楽しんだ、いい夜でした。

小千谷にきたら、へぎそばを食べよう。

長岡市から少し足を伸ばしてやってきたのは小千谷市〈わたや本店〉。ここは100年以上、名物の「へぎそば」を作り続けている老舗です。古くからお祝いの席で親しまれてきた郷土料理で、「へぎ」と呼ばれる四角い木の器に盛り付けられていることが名前の由来。 岩手のわんこそばといい、へぎそばといい、器で料理の名前がつくのが面白い。そばは一口サイズで綺麗に並べられており、それを一玉ずつつゆにつけて食べるのが小千谷スタイル。

へぎそば
絹のように盛り付けられたそばが美しい。

さっそくすすってみると、コシが強くツルッとした食感に驚きます。この独特な食感の秘密は、生地に練り込まれている海藻の「ふのり」。実はこのふのりは、江戸時代から作られてきた高級麻織物「小千谷縮」にも使われていたもの。ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、さらっとした着心地の良さゆえに夏の着物の素材として大名御用達だったと言われています。 その糸を整えるための糊として、ふのりは欠かせない存在でした。

そばも織物も、どちらも同じ素材が支えてきたという話を聞き「やっぱり食には土地の色が出るんだなあ」と改めてしみじみ。小千谷の歴史に思いを馳せながら、最後の一口までじっくり味わいました。

わたや本店
外観からも歴史を感じる。

どの料理も土地の気候や歴史と紐づいており、「なるほど!」の連続だった人生初の新潟旅。滞在はたったの2日間でしたが、帰る頃にはもう新潟が恋しくなっていました。
次はどこで何を食べようかな?

長崎県民なら知っている?『和・華・蘭』の歴史を感じる銘菓3選|ニッポンおやつ図鑑

五島列島の念仏踊りの熱気を伝える。〈はたなか〉の治安孝行(ちゃんここ)

ちゃんここ

大正元年、五島列島福江島で饅頭店として創業した〈はたなか〉。現在は、お菓子作りだけでなく「観光ビルはたなか」としてレストランや宴会場も運営し、島の人々にとって親しみ深い存在となっています。そんな老舗が60年以上守り続ける看板商品が、五島を代表する銘菓「治安孝行(ちゃんここ)」です。

一度聞いたら忘れられない、そのユニークな名前は、島に800年前から伝わる念仏踊り「チャンココ」(県指定無形民俗文化財)が由来となっています。語源はカネの音の「チャン」と太鼓の音「ココ」。先祖の霊を鎮め、家内安全の祈りを込めて踊られる、五島の夏の風物詩です。毎年お盆の時期になると、花傘を被り、腰みのをつけた踊り子たちが太鼓を叩きながら踊る様子が島の各所で見られます。コロンとした俵型は、踊り手が首から提げる太鼓を模したものなのだそう。

きな粉がたっぷりまぶされたもちもちの求肥の中には、職人が丁寧に練り上げたあんこがぎっしり。かつて天皇陛下へ献上され、全国菓子博覧会でも名誉総裁賞に輝いた、五島が誇る正真正銘の銘菓です。

ちゃんここのポップ

実はこの「治安孝行」、島外の実店舗ではなかなかお目にかかれない希少な一品。今回、商品を購入したアンテナショップ〈日本橋長崎館〉でも、「交渉の末、ようやく入荷!」というポップが添えられていました。島の歴史がぎゅっと詰まった、出会えたらラッキーな五島のおやつです。オンラインでも販売されているので、ぜひ食べてみてください。
(※日本橋長崎館は2026年4月1日〜5月31日にリニューアル工事のため一時休館予定。)

Information

御菓子司はたなか

住所:長崎県五島市中央町7番地20|地図電話番号:0959-72-3346
HP:https://www.hatanaka.cc/
Instagram:@chankoko_hatanaka

中国文化を感じる、長崎県民のソウルフード。〈福建〉のよりより

よりより

日本三大中華街の一つがある長崎で古くから愛され続けている「よりより」は、小麦粉の生地をねじって油で揚げた、中国発祥のお菓子。「麻花兒(マファール)」や「唐人巻」など様々な呼び名がありますが、2本の生地をよりあわせて作られることから、地元では「よりより」の愛称ですっかり定着しています。長崎では学校給食にも登場するほど身近な存在で、県民のソウルフードともいえる食べ物です。

今回、アンテナショップに並ぶ、数あるよりよりの中から手に取ったのは、中華街で70年以上続く老舗〈福建〉のもの。おいしさの秘密は、中国の伝統的な饅頭作りにも使われる、自然発酵させた熟成生地「老麺(ろうめん)」。これを一本一本職人の手で編み上げ、大豆油で揚げることで小麦本来の旨みを引き出しています。

よりよりのポップ

最大の特徴は、なんといってもその独特な歯ごたえ。アンテナショップのポップにも「歯の弱い方はお気をつけください」と注意書きがあるほどの硬さです。ボリボリとした食感と、さっぱりとした優しい甘さはクセになること間違いなし。商品ごとに違う「硬さ」を食べ比べして、自分好みのよりよりを探してみるのも楽しみのひとつかもしれません。異国の文化が街に溶け込み、日常のおやつとして根付いた、長崎の歴史を感じる一品です。

Information

福建

住所:長崎県長崎市出島町4-13|地図
電話番号:095-823-1036
HP:https://fukken-nagasaki.jp/

殿様が愛した、黄金のお菓子。〈平戸 蔦屋〉のカスドース

カスドース

かつて海外交通の拠点として栄え、南蛮貿易の幕が開いた長崎県平戸市。文亀2年に創業した〈平戸 蔦屋〉は、江戸時代に平戸藩主・松浦家の御用菓子司を務めた、九州最古とも言われる歴史ある菓子店です。

看板商品の「カスドース」は、長崎に伝えられた南蛮文化のひとつ。ポルトガルの家庭で食べられてきた伝統的なお菓子で、長崎名物カステラよりも早くポルトガルの宣教師から伝えられたとも言われています。名前の由来は、カステラの「カス」にポルトガル語で甘いという意味の「ドース」。卵や砂糖が最高の贅沢品だった当時、殿様しか口にできない“幻の菓子”と呼ばれていました。

保存料は一切使わず、厳選した長崎県産の新鮮な卵を使い、丸2日間かけて手作業で仕上げられているカスドース。一口大のカステラをたっぷりの卵黄にくぐらせ、沸騰した糖蜜で揚げ煮にし、仕上げにグラニュー糖をまぶして作られます。糖蜜で揚げる工程は、冷蔵設備がない時代に日持ちを良くするための先人たちの知恵。第十代平戸藩主・松浦熈(ひろむ)が町民のために編纂したお菓子図鑑『百菓之図』にもその姿が描き残されており、古くからこの地で愛されてきたことが分かります。

シャリッとした砂糖の食感のあとに広がる、濃厚なコクと贅沢な甘み。黄金色に輝くその姿は、まるで宝石のよう。特別なティータイムに、一切れずつ大切にいただきたい一品です。

Information

つたや總本家

住所:長崎県平戸市戸石川町953-5|地図
電話番号:0950-22-2360
HP:https://www.hirado-tsutaya.jp/

青森で愛され続けるロングセラー銘菓3選|ニッポンおやつ図鑑

1970年発売、旅人に愛された伝統の味。〈ラグノオささき〉の茶屋の餅

1884年、弘前で小さな餅屋として創業した〈ラグノオささき〉は、現在も青森を代表する定番土産を数多く手がけています。そんな同社が1970年に発売し、今なお幅広い世代に愛され続けているロングセラー商品が「茶屋の餅」。

その名前は、かつてみちのくの峠越えに挑む旅人たちが、道中の茶屋で味わった餅菓子に由来しています。竹皮柄のパッケージには、笠を被って歩く旅人や、わらぶき屋根の茶屋で休息をとる人々の姿が描かれており、当時の情景を今に伝えています。
袋を開けると、並んでいるのは、指の跡がへこみとなってつくほど柔らかな一口大の餅。きな粉の香ばしい香りがふわっと広がります。とろけるような口当たりのなかで、餅に練り込まれたくるみのカリッとした食感が心地よいアクセントに。

いっぷくの時間によく似合う、気取らない優しさが詰まったお菓子です。

Information

ラグノオささき

住所:青森県弘前市大字百石町9番地|地図
電話番号:0172-35-0353
HP:https://www.rag-s.com/
Instagram:@ragueneau_official

 

青森の豊かな恵みを一番シンプルに。〈アップルアンドスナック〉のアップルスナック

青森県田舎館村で、りんごチップスだけを作り続けている菓子メーカー〈アップルアンドスナック〉を知っていますか?

レトロなフォントデザインが可愛い「アップルスナック」の袋を開けると、生のりんごをそのままスライスして揚げたチップスが。驚くほど軽く、口に入れるとパリパリ、サクサクとした軽快な食感は、一度食べ始めると止まらなくなるほど。独自の「減圧フライ製法」で仕上げられているため、油っぽさはなく、噛むほどにりんごの爽やかな甘酸っぱさと、素材本来の優しい甘さが広がります。

今回、コロカル編集部が手に入れたのは、赤い袋の「サン津軽」と黄色の袋の「とき」。他にも「サンむつ」、「早生ふじ」など品種ごとのラインナップが発売されており、りんご王国の層の厚さを感じます。また、袋の裏面に種類ごとに異なるキャラクターが描かれているのもポイント。こうした遊び心に、手に取るたびに楽しい気持ちにさせられます。

“まっすぐ作れば…まっすぐ伝わる”。そんな信念のもと、添加物や保存料を使わず手間をかけて作る「体を想うお菓子」には、作り手の誠実さが詰まっています。
青森の豊かな恵みを一番シンプルな形で受け取る、贅沢なスナック。

Information

アップルアンドスナック

住所:青森県南津軽郡田舎館村大字川部字上船橋50-10|地図
電話番号:0172-26-5360
HP:https://www.applesnack.com/
Instagram:@applesnack_official__ig

素材を楽しむ、中泊の味。〈中里はとむぎ工房〉のはとむぎかりんとう 

美容や健康に良いとされ、古くから薬用としても使われてきたはとむぎ。青森県中泊町では、品種改良を一切行わずに受け継がれてきた貴重な在来種「中里在来」が今も大切に栽培されています。

この希少なはとむぎを使用して作られているのが〈中里はとむぎ工房〉の「はとむぎかりんとう」です。

このお菓子の魅力は、ボリボリ、ザクザクとした食感。一般的なかりんとうに比べて生地がぎゅっと詰まっており、噛むほどにはとむぎの素朴な旨みが広がります。甘さは控えめで、はとむぎの風味を主役にするための、絶妙な味付けです。

原料はシンプルで、保存料などの添加物は不使用。その日の気温や湿度に合わせて粉と水の配合を微調整するなど、製造工程にも作り手のこだわりを感じます。

素朴ながらも丁寧に作り込まれた味わいは、一度食べ始めると止まらなくなるはず。

土地の恵みがそのまま形になった、優しいお菓子です。

Information

中里はとむぎ工房

住所:青森県北津軽郡中泊町大字福浦字浦島32|地図
電話番号:0173-57-4735